FJ1200-4CC 整備資料




2019.03.01  キャブレターオーバーフロー、プラグ状態、チェーン交換



1.少しずつオーバーフロー


a.少しずつオーバーフロー


エンジン始動時には問題ないが、車庫の中に停めておくとガソリンの跡。

四番キャブレターのオーバーフローパイプと三番・四番の連結パイプから漏れているようだ。

小旋回の練習をするから何かの拍子にオーバーフローし、それがパイプに溜まって停車時に漏れだしてくるのかな…。

しかし、それなら「四番だけ」というということはない。

一応、点検してみることに。


 キャブレターを取り付けたまま、燃料パイプからガソリンを注入。
 どこからも漏れてきません。
 エンジン下のガソリン跡はドレンを開けてフロート室のガソリンを抜いたときのものです。
 しかし、エンジンをかけるとアイドリングで「ボタ、…、ポタ、…」
 ガソリン滴がハッキリ分かるくらいゆっくりと。
 今まではエンジンをかけても漏れなかったのに、今回はSOS発信 ・ 点検要求。


 キャブレターを外して、もう一度燃料パイプからガソリン注入。

 どこからも漏れてきません。

 どうもこの方法はオーバーフローのチェックとしてあまり役に立たないようです。
 以前、4CCキャブレターでこの方法を使ってオーバーフローなし。
 エンジンに取り付けて同調調整をして乗ろうとしたら四番からオーバーフロー。→→→こちら

 キャブレター取付時にあちらこちらに傾けるのでフロートバルブが引っかかるということもあるでしょうが
 キャブレターが実際に稼働している状態でなければ「実際のオーバーフロー」はチェックできないようです。


 オーバーフローの原因は
  ・ フロートバルブの不具合(ニードル段付き、バルブシート削れ、汚れやゴミ)
  ・ フロートの不具合I(破れてガソリンが入る、歪み)
  ・ フロートバルブOリングの劣化

 まずはフロートバルブを見てみないと始まらない。



b.四番のフロート室を開けてみると…


フロート室はきれいそのもの。2017.11のフルパワー化のときにオーバーホールしているから当然。→→→こちら

 フロートの破れや歪みなし。  Oリングはミクニ純正を使っています。
 ニードルに段付きはありません。


 汚れが堆積していたりゴミが詰まっていることもありません。  キャブレター側も全く問題はありません。


ただし、気になったことが一つ。

それはフロートピンが固くて抜くのに苦労したこと。

ピンにはツバがあり、ツバのない方から入れて二つ目の穴に入るときにきつくなります。
そのあとは、ツバの方を叩くかウォータープライヤーで挟んでツバ元まで挿入します。
ピンを外すときは二つ目の穴のピン先を尖ったもので叩いて少し頭を出してから、ツバを挟んで抜きます。

しかし、ピン先を叩いても固くてなかなか頭が出ない。
頭が出ても固くて中々抜くことができない。

ストックの元4CCキャブレターも、ストックの4CCキャブレターも、苦労しないでピンが抜けます。

多分、このキャブレターのピンが曲がっているのでしょう。

なぜ、ピンが曲がったのでしょう。
ピン先が二番目の穴にしっかりと入っていないのに、ツバを叩いたりウォータープライヤーで挟んだりしたので曲がってしまったのかも知れません。

フロートのピン穴はピン外径より大きく余裕があるので、少しくらいピンが曲がっていてもフロートの動きは邪魔されず、ニードルが傾くことはないでしょう。
しかし、何かの拍子で少し傾くことがあるかもしれない。
そんなときにオーバーフローするのでは?

ピンが楽に抜けなかった場合はピンが曲がっている可能性があるので、ピンを新しくした方が良いでしょう。
キャブレターOHのときに必要な部品はOリングやガスケットの他にフロートピンを付け加えなければならないようです。→→→こちら



c.対処


取り敢えず、ストックのキャブレターからフロート、ピン、フロートバルブ、ニードルを移植しました。

 左が移植するフロートバルブ回り。

 フルパワー化する前に問題なく使用していた4CCキャブレターのものです。
 このキャブレターでは三番と四番に新しいフロートバルブセットが組んであります。(2014.03)
 その三番から取り外しました。
 もちろん、Oリングはミクニ純正の新しいものに。

 右が3XWの四番から取り外したフロートバルブ回り。
 ピンはストックの4CCキャブレターから(簡単に抜けたピン)
 Oリングをミクニ純正の新しいものにして、これを上の4CCキャブレターの三番に取り付けました。


 こちらが移植した4CCキャブレターのフロートバルブ。  こちらがオーバーフローした3XWキャブレターのフロートバルブ。
 こちらの方がきれいです。


 「これでまだ漏れるようなら、問題のなかった4CCキャブレターに
 3XWの MJ / ♯110 と PAJ / ♯155 を取り付けよう」と覚悟していました。

 しかし結果は「漏れなし」。

 アイドリングでも6000~7000回転でも問題なし。

 結局、「今回の“時々、少しずつオーバーフロー”の原因は
 “フロートピンの曲がり”だったようだ」と結論づけました。


 ところが…。



d.オーバーフロー再び


次の日、試乗のために再確認。

アイドリングで問題なし、高回転でも問題なし。
念のためにオーバーフローパイプ6本を右側に出す。

走り出してすぐの踏切。
オーバーフローパイプから「ボタ、ボタ、ボタ…。」
ガソリン滴がつながって漏れています。

急いでUターン。
路面にガソリン跡をつなげて自宅まで。

バイプを確認すると、二番から元気よくオーバーフロー。
そして、一番・二番の連結パイプからも元気なくおつきあい。

これほど元気なオーバーフローは「フロートバルブのゴミ詰まりか傾き」が原因。

二番をコンコン叩いたり、オートバイを左右に揺すったりしても収まらないので、
二番のドレンを開けてフロート室からガソリンを抜き、さらにバイクを左右に揺すってエンジンON。

これで両方のパイプからの漏れがなくなりました。

それから、50㎞程度試乗。
サオリーナで小旋回の練習も。
オーバーフローなし。

一日置いて、

 どこからも漏れなし。

 一番初めにあった四番からのオーバーフローも、次に起こった二番からのオーバーフローもなし。

 「小旋回の練習でバイクを左右に傾けたときに何かの拍子で少しオーバーフロー」ということは起こらないようです。

 いったい、「あの、尿漏れのような四番からのオーバーフロー」の原因は何だったのでしょう?

 先に述べたように「フロートピンの曲がり」も考えられますが、
 案外、小さなゴミが詰まっていたのかも知れません。

 次回からは「フロート室のガソリンを抜いてバルブニードルを下げる→ ポンプONでガソリンを流す
 →バルブ回りのゴミが取れてきれいになる→エンジンON」を試してみることにしました。




2.プラグ点検・PAJ調整


 PAJの設定は、4CC/97PS が 2.5回戻し、 3XW/130PS が 3.0回戻し。

 しかし、3.0回 では急なスロットルオープンについてこないので 「 すべて 3.5回 」にしてあります。

 フルパワー化のときに四本とも新品のプラグに交換。

 左から 一番、二番、三番、四番。

 プラグ状態は、
 一番 : 両端鈍く光る、中央に薄くスス。
 二番 : 全体に鈍く光る。
 三番 : 全体に薄くスス。
 四番 : 全体に濃くスス。
 ※四本とも口部は濃いスス。これは小旋回練習でアイドリングや低回転を多用するからでしょう。

 評価は高い順に、二番>一番>三番>四番。


 こちらが、一番と二番。  こちらが三番と四番。


 焼け評価の低い四番と三番のPAJを絞ることにしました。
 PAJ 戻し量→ 一番/3.5、 二番/3.5、 三番/3.25、 四番/3.0 に。

 急なスロットルオープンにも追従。
 但し、エンジンが温まっていないときは急なスロットルオープンに息継ぎ。
 
 驚いたのは、アイドリングが高くなったこと。

 四番の「 ポタ ・ ポタ オーバーフロー 」 といい、四番プラグの焼け不良といい、
 四番キャブレターに問題があったのかも知れません。




3.チェーン交換


今付いているチェーンは 2011.11 / 22000㎞ で交換したもの。もちろん中古です。→→→こちら

現在、オドメーターは31141.0㎞、9000㎞強走っています。

“片偏り ( 場所によってチェーンの張りが強くなったり弱くなったりする)”の症状。

そろそろ、交換時期。

そう言えば、程度の良いチェーンがあったな…。→→→こちら と こちら
ついでに、ドリブンスプロケットも交換しようか。


a.530VAのチェーンジョイント


 ドリブンスプロケットはストックの新品。
 ナットは M10/P1.25細目 ・ フランジ(セレートなし) ・ Uナット(緩み止めナット)→→→こちら
 ホームセンターが揃えているナットは、
 Uナットでもフランジがなかったり、フランジナットでもセレート(ギザギザ)が付いていたりします。


 チェーンは DID-50VA(530VA)-110リンク。

 問題はチェーンジョイント。
 「同じメーカー、同じサイズでも型番が違えばジョイントは適合しない」のが通念。
 DIDのラインアップには Vシリーズ があるけれど50(530)サイズがない。→→→こちら


 530Vのジョイントをあちらこちらで捜してやっとモノタロウ。
「Vシリーズ用ジョイント / 399円」がありました。→→→こちら

 しかし、ジョイントに 530V-ZJ と 530VM-ZJ の二種類。
 チェーンは 530VA。

 どちらが適合するのかをDIDに問い合わせ。
 すぐに回答がきました。
 「50(530)VAは10年前に廃盤。ジョイントは型番が同じでないと適合しないので 530V-ZJが適合。
  ZJ とはカシメジョイントの意味。」

 モノタロウは「 3000円以上で送料無料」。
 プリンタインクや ナット、SJ13キャブレターのドレンボルトなどで3000円をクリアー。

 パッケージ表記は 「530V-ZJ」 ですが、プレートには 「50VA」 の刻印がありました。※下記dの画像

 同じVシリーズの 530VA と 530VM の違いは判りませんが、
 「530V=530VA」 ということは確かです。



b.チェーンの使用限度


 ( チェーンのたわみ )
 上が今回取り付ける「GPZ1100用のDID.530VA / 110円」
 下が今まで付いていた「 XJR1300用のDID.530VZM / 1250円。で 9100㎞走行。
 上の方が程度が良いことは明白です。

 ( チェーンの使用限度 )
 FJマニュアルP6-54には「ドライブチェン 10リンク の長さ使用限度=150.1㎜」
 リンクとは内側と外側にあるひょうたん形の駒のことなので、「ひょうたん駒10個の長さ」ということでしょうか?
 しかし、イラストではそうなっていません。

 通常チェーンの使用限度として上げられるのは「ピン~ピンの長さ=ピッチ」
 ピッチには規格があり♯50チェーンでは 15.875㎜。
 例えばSJ13では「20ピッチ(21ピン)間の長さ=324㎜」。(SJ13マニュアルP3-17)
 SJ13のチェーンは520なので、1ピッチ=15.875㎜。
 つまりSJ13での 1ピッチ使用限度=324÷20=16.2㎜、伸び=16.2-15.875=0.325㎜。

 ではFJマニュアルの「10リンク」とは「10ピッチ」の誤記なのでしょうか?
 10ピッチ(11ピン間の長さ)=15.875×10=158.75㎜ なので、使用限度=150.1㎜と矛盾します。

 どうも「9ピッチ(10ピン間)の長さ」のようです。
 使用限度が9ピッチ=150.1㎜なら、1ピッチ=150.1÷9≒16.68㎜
 SJ13の使用限度1ピッチ=16.2㎜より大きい値ですが、
 使用限度にはチェーン巾、スプロケットの大きさ ・ 距離、予想される使用状況が考慮されるので問題はなさそうです。

 多分FJマニュアルは「ピン数」を「リンク数」と誤記したのでしょう。
 つまり、「10リンクの長さ」=「10ピンの長さ」=「9ピッチの長さ」

 ( チェーンの伸び )
 a は 10ピッチ、b は9ピッチ。
 bを測定すると、今まで付いていたチェーン(上)=144㎜、交換するチェーン(下)=143.5㎜
 測定誤差は±0.5㎜くらいあるだろうから、殆どかわらないということになりました。 

「今回取り付けるチェーンは今まで付いていたチェーンより格段に程度の良いもの」とい期待はあっけなく崩れてしまいました。


c.スプロケッ交換は次回に延期


 「交換するチェーンがそれほど程度の良いものではない」 ことでスプロケット交換の意欲がなくなりました。

 左が新品スプロケット、右が使用中のスプロケット。
 「まだまだ、大丈夫じゃない!」
 スプロケット交換は次回のチェーン交換の時に延期しました。

 しかし、前回のチェーン交換は7年半前。
 同じ使い方( 7年半で9100㎞-1200㎞/年)なら次回交換は7年後の 2026年。
 私は75歳。
 もう一度チェーン交換をする必要があるでしょうか?

 もう一度チェーン交換ができるように頑張ってFJに乗ることにしましょう。



d.三度目のかし丸くん


 チェーンカバーを外すのが面倒なのでチェーン下で作業。
 RMXのようにリフトスタンドが使えないのでメインスタンドで。

 地面との距離が短いのでレンチを両手で使うことができず少々苦労する。
 また、チェーンを取り付けたままの作業なので、
 チェーン駒の固定がずれたり、プレートがホルダーから外れたりして手こずりました。

 しかし、駒とプレートを固定してしまえば、圧入やカシメは簡単。
 プレート圧入では「固くなったら終了」で外側プレート間=22.0㎜ で他のリンクと同じ。
 カシメでは「突然固くなったら終了」でカシメ外径=5.8㎜Φ で 「5.7㎜Φ以上」をクリアー。

 かし丸くんは良くできたツールです。
 



e.出来上がり


 こちらが今まで付いていたチェーンの「チェーン引き量」
※このチェーンをつけたときの引きはこちら。 なんと9000㎞で引きの増加が4㎜弱。
 こちらが今回取り付けたチェーンの「チェーン引き量」
 少しだけ引き量が少ないようです。


チェーン引き目盛りは「1目盛り=5㎜」。
あと10㎜引くことができます。
このことを考えれば、「使用限度は9ピッチ150.1㎜」なのでしょう。

チェーンの弛みは「前後スプロケットの中間で15㎜~20㎜」。
前後スプロケット間は66㎝程度だから、後輪スプロケット中心から33㎝程度前。
だいたい、チェーンスライダーバンドから3㎝程度後になります。

一番きつい所で2㎝程度にしました。
チェーン弛み巾は「2.0~3.0㎝弱」で交換する前より少し改善されました。

しかし、チェーン交換は「新品交換」、さらに「前後スプロケット同時交換」が最適であることを痛感しました。



4.残された課題


ハンドルをヨーロピアン3型から150アップ2型に変更して「ピッグスクーターのようなライディングポジション」になりました。
ライディングポジションに違和感があるものの操縦は楽になりました。
「もう少し引きが少ない方がよい」とも感じられますが、もう少し乗り込んでみないと判断できません。

このハンドルがOKとなると残された課題は三つ。
①クラッチレバーが遠くなった。
②パイピングを変更しているのでフルロック時に挟むことがある。
③カウリングとマスタータンクの干渉。

①はレバーを曲げて手元に引き寄せるか手持ちのXJR1200の調整式レバーにすれば解決。
しかし、XJRのレバーは取り付け部の形状が違うのでマスターシリンダーごと交換しなければなりません。
そうすると、クラッチスイッチ三極をFJの二極に対応させる必要があります。

②は既に入手してある XJR1200に使われていた純正クラッチホースかメッシュホースに換えて「フォーク前から回す」規定のものにすれば解決。
もちろん、スイッチボックスの配線も延長しなければなりません。

③は「タンク別体式マスターシリンダー」を試すこと。
これでカウリングとの干渉がなくなるかどうか判りませんが、やってみないことには始まらない。

①・②・③とも早急に解決しなければならない問題ではないので少し先になるでしょう。

「今年9月の車検までには…。」



2019.04.06  追記  尾鷲 ・ 熊野での「150アップ2型」と燃費


温かくなりました。桜は満開。
自作スライダーに 150アップ2型 、そして小旋回の練習。
久々にFJを尾鷲 ・ 熊野の峠に持ち込みました。
前回の尾鷲・熊野は 2018年1月、一年ぶりです。

日本はどこに行っても桜があります。
街道沿い、河沿い、遠くの山々。
学校や公園。
一本だけ大きく見事な桜。

桜を楽しみながら走ったので、いつものように目をつり上げて走れませんでした。

コーナリングでは以前より後輪の肩に乗れるようになったけれど、まだまだ「Rの長い」コーナーでとまどってしまう。
タイトなヘアピンではイン側の足を出してしまう。

小旋回練習の成果は感じられますが、やはり峠道での練習が必要。


「150アップ2型」はいつも通りだったけれど、翌日に肩と首筋の筋肉痛。
「ハンドルが少し高い」のか…。

全走行距離は318㎞。
熊野で満タン(跨がってタンク口まで 「2000円分の15.39㍑」を入れ)、帰ってきてから(メインスタンドを立てオーバーフローするまで)10.46㍑を入れる。

熊野では完全に満タンになっていなかっただろうから、帰り道での消費燃料は「10.46-1=9.46㍑」程度。
走行距離は「318㎞÷2=159㎞」、燃費は159㎞÷9.46㍑=16.8㎞/㍑

フルパワー後 2018.01での尾鷲・熊野の計測が16.57㎞/㍑。→→→こちら
ほとんど同じレベルです。

上記「2.プラグ点検・PAJ調整」も合格ということです。

乗りたいリッターバイク(フェザー1000他)はありますが、自分の今のレベルでは、この「FJ ・ 130PS ・ 260㎏ ・ 空冷4気筒」が一番合っているようです。

これからの課題は「Rの大きなコーナーとヘアピン」。
それをFJで修得するころには、FJにプレミアがついているかもしれませんネ。






つづく



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