警備員編



7.警備員は65歳から先がない



a..『60歳を越えてふと思ったのです、 「もうあとは死ぬだけ」 と…』


5月より開始した短大警備に私も入っています。

大学には年配の学生がいます。
『もう一度勉強を』 というリタイア組です。

ある60歳超えの学生さんに 『なぜもう一度勉強しようと思ったのですか?』と尋ねました。

その男性はこう答えました。
『60歳を超えてふと思ったのです。「もうあとは死ぬだけ」と…』

仕事も子育ても終わった。
ずっと勤めてきた会社を退職し、子どもは独立して出て行った。
残ったのは年老いた体と限られた年月。
もうあとは死ぬだけ…。

これでは絶対に物足りない。
何でもいい、やりたいと思ったことをやろう。
そして自分に残された一日一日をしっかりと味わっていこう。

もっともです。よく分かります。

しかし、これができるのは、若いころからずっと企業で働きしっかりと年金を積み立ててきた人だけです。
人生設計を誤った年配警備員には無縁の話です。

やっとかけた25年の年金では、月に5万円くらい。
これだけでは、『もうあとは死ぬだけ…』 とゆっくり構えていられない。


b.60歳を超えたら雇ってくれない


『なぁに、死ぬまで働けばいいじゃないか。死ぬまで警備員として現場に出るさ!』

自分はその気でも、働く場所があるでしょうか?
70歳・80歳まで雇ってくれる警備会社があるでしょうか?

60歳を超えたら、もう老人です。

老人はガンパリがきかない、いつ病気になるかわからない。立ち姿がやっぱり年寄りくさい。
雇う側から言えば、そんな老人は必要ないのです。


『でも、「60歳以上に限る」という求人がありますよ。』

それは助成金をあてにした求人です。

60歳〜64歳の失業者をハローワークの紹介で一年間雇うと、一人につき60万円〜90万円の助成金が出ます。(特定就職困難者雇用開発助成金)
65歳以上で離職3年以内の者をハローワークの紹介で一年間雇った場合も同じです。(高年齢者雇用開発特別奨励金)
※30時間/週以上→中小企業90万円・大企業50万円、20時間以上30時間未満→中小企業60万円・大企業30万円

月15万円で雇っても、助成金が90万円/年(7.5万円/月)出るので、7.5万円/月で雇ったことになります。
労働時間を30時間/週ギリギリにすれば、もっと安く雇えることになります。

しかし、この助成金は一年限りの一回だけ。
雇用者は一年雇って助成金をもらったらその労働者に用はありません。

そこで助成金目当ての雇用者が労働者を解雇しないようにいろいろな制約がついています。
しかし、労働者が自己都合で退職した場合はこの制約に引っかかりません。

警備員を「辞めるように仕向けること」など簡単です。
きつい現場に行かせれば済むことです。

「60歳以上の高齢者の雇用を促進する施策の対象となる者を募集・採用する」 という求人については、
その警備会社が、助成金を使って「やる気と人間力を持った年配者を警備員として育てようとしているかどうか」を見極めなければなりません。

そんな警備会社はなかなかありません。
持参金(助成金)付きで雇われた場合は、一年限りだと覚悟した方が良いでしょう。


c.資格があっても先はない


『ハ、ハ、ハ…。それは資格のない警備員のことでしょう?
  私は指導教育責任者資格を持っていますよ。選任として20万円/月は軽いですよ!』

甘い、甘い。
大手警備会社ならいざ知らず、警備員が100名や200名の会社が、選任業務だけで月に20万円出すわけがない。
「現場にしっかり入って、その合間に教育・選任業務をする」 これが通例。

教育なんかランチのパセリ。
飾り物だから実物でなくても印刷したもので構わない。
書類上なんとでも処理できるし、お上もちゃんと分かってくれている。
それに指導責資格など誰でも持っている。

選任給与20万円には指導責資格と教育・事務処理能力、そして検定資格と現場をこなせる能力・体力が含まれている。

教育・事務処理能力と検定資格があっても体力がない。
そんな老体指導責では 『やっかい者だ、ゴクツブシだ』とパワハラの嵐。

じっと我慢していても、きつい現場に回せば音を上げる。
「遠方の新設営業所に転勤」という手もあります。

選任も60歳を超えたらそろそろ暗闇、65歳で真っ暗闇なのです。


d.あとは死ぬだけだから

老後に暗闇が待っているのは自分の責任です。
年金をしっかり積み立ててこなかった自分が悪いのです。

今まで夢を見すぎましたね。
そんな浦島太郎は最後のラウンドを自分独りで闘わなければなりません。

警備会社にいても先がない。
年金は月5万円。
生活保護をもらえば世間の冷たい眼。これは我慢できない。
身を案じてくれるのは兄弟姉妹。
子どもなんか葬式のときしかやって来ない。
どうしても死ぬまで働かなければならない。

それなら、自分で警備会社をやるしかないでしょう。

自分の会社なら死ぬまで働けます。
労働者でないから40時間/週の制限はありません。365日・休みなしで働いても労基法違反にはなりません。
最低賃金の制限もありません。

自分で仕事量を調整して必要な分だけ働けます。
100%自分流だからストレスがありません。
自分の会社だからいつまで居すわっても誰も文句を言いません。

もしかして、もしかして、自分が現場に出なくても生活していくことができるようになるかもしれません。
これから先、どんな人が集まってきて、どうなっていくのかも楽しみです。

残り人生はそれほど長くはありません。
もうあとは死ぬだけです。
成功しても失敗してもそんなに違いはありません。


60歳を超えたら「雇われ警備員」は卒業しましょう。

○○警備会社の課長・所長・支社長や教育部長・本部長。
そんな肩書にしがみついていてはいけません。
リーダーは 自分を越える者を育てて自分の職を譲らなければなりません。

管理職は60歳代ばかり。
こんな老害会社は成長しません。
他人の会社を私物化してはいけません。
若い者は皆そう思っています。

惜しまれる内が花です。
潔く身を退きましょう。
あとは等身大で生きていきましょう。
警備員ではなく警備業者としてやっていきましょう。


60歳で開業なら55歳くらいから準備にかからなければなりません。
指導責資格は1号と2号が必要です。
検定資格も施設・交通・雑踏は必須です。
ある程度の資金も準備しなければなりません。

「開業する前にしておかなければならないこと」を参考にしてください。

開業したらネットワークを組みましょう。


2013.06.29



目次にもどる
     top    万引きGメン実戦教本