SPnet 選任業務編



10-1.新任教育・2号業務別教育資料-道路交通法-駐車と停車


2号警備(交通誘導・雑踏)では道路交通法の理解が必要になります。

警備員は警察官の行う交通整理のように道交法を超える法的権限を持っていません。
警備員は一般人と同じように道交法に反することはできません。
たとえそれが依頼であり・相手の同意があっても道交法に反した誘導をすれば、道交法違反行為の教唆犯・幇助犯や共謀共同正犯となってしまいます。
もちろん、警備員の誘導に従った相手も道交法違反となります。

また、警備員の誘導が道交法で禁止された行為を防ぐものであり、その方法に行き過ぎがなければ、
警備業法15条の「他人の権利及び事由を侵害し、又は個人もしくは団体の正当な活動に干渉すること」には該りません。
少なくとも『警備員なんか何の権限もないじゃないか!警察官じゃあるまいし何を偉そうに!』と文句を言ってくる相手を説得することができるでしょう。

「私服保安が現行犯逮捕で飯を食っている」ように、「交通警備員は道交法で飯を食っている」ようなものです。

道交法は運転免許をとる時に勉強し、日常生活で身近に接している法律ですq
しかし、案外知らない部分が多いものです。
それゆえ、受講生の興味をひかせ“ときめき感覚”を与えることができます。

ここでは道交法の各項目についての確認していきます。
私の解釈が間違っているといけないので、法令の原文を参考として挙げます。

なお、解釈の間違いに気づいたときは予告なく改訂します。
あくまで、自己責任で参考としてください。

1.駐車と停車


a.教えるポイント

・一般的には「駐車はすぐに運転できない場合、停車はすぐに運転できる場合」と考えられているので正しい理解をさせる。
・法律の条文を理解させることは「遵法精神を育てる」とともに「交通警備員としての自信を持たせる」ことに役立つ。
・法解釈の一方的な説明ではなく、質疑応答をして『えっ、そうだったの!』という“ときめき感覚”を与える。
・条文に馴れさせるために、条文原文から内容を抽出させる作業をさせる。
・実技も必要だから、「こんな時はどう言う」とのロールプレー(role playing ・役割演技)を行う。

なお、法律の条文で第1項は数字が書いてありません。
第2項から数字が書いてあります。また、項の下が号です。
一つの条文が二つの部分に分かれる場合は前段と後段です。
「ただし」で分けられている場合は、本文と但書です。
このような点も指導してください。


b.道交法2条18号原文を示し、「駐車とはなにか」を答えさせる。

※道交法2条1項18号
「駐車    車両等が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること
(貨物の積卸しのための停止で5分を超えない時間内のもの及び人の乘降のための停止を除く)、
又は車両等が停止し、かつ、当該車両等の運転をする者がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態にあることをいう」


c.駐車とは

前段は運転者が「車から降りたか降りなかったか」に関係なし
後段は運転者が「車から降りた場合」の規定。

①一定の理由による継続的な停止→客待ち・荷待ち・貨物の積み下ろし・故障など→運転者が車から降りないでも駐車となる。
例外1→貨物の積み下ろし5分以内
例外2→人の乗り降り→5分を超えてもOK→バスやタクシーに限らない

タクシーが乗りたい客を待つ・捜すために止まる→駐車
タクシーが客を降ろすために止まる・客を乗せるために止まる→駐車ではない
電話で呼ばれたタクシーが連絡された場所に着いたがお客がいない。車を止めて待っていたら2分後に客が来たので客を乗せた→駐車、
車が故障したので停止板をおいて車のそばで他の車を誘導する→駐車

②運転者が車を離れてすぐに運転することができない場合→「直ちに」だから「5分を超えた場合」ではない

「直ちに」は常識的な判断・社会通念で決まる→実際的には裁判になった時にその裁判官が決める

考えてみよう

道路のそばにある自販機でタバコを買う、たばこ屋さんに入ってタバコを買う、
落ちていた一万円札を拾う、割り込んできた車に文句を付けるため車から下りて相手の車に近づく、
立ち小便をする、公衆便所で小便をする。公衆便所でウンコをする。

「運転者が車を離れた場合」に駐車となる。

考えてみよう
車を止めて熟睡してしまった→車を直ちに運転できないが車に乗っている。
ナンパをするために車を止めて窓からきれいな奥さんに声をかけた→車を直ちに運転できるし車に乗っている。

両方とも駐車→なぜ?→②には該らないが①に該る。


d.停車とは

※道交法2条19号
「停車   車両等が停止することで駐車以外のものをいう。」

タクシーやバスが乗客を乗降させるために止まる→停車。
5分以内の荷物の積卸し→停車

駐車と停車の理解は駐車禁止場所・停車禁止場所に必要


2.停車禁止場所・駐車禁止場所


a.駐停車禁止場所


・受講生に条文から抽出させる。

※第44条(停車及び駐車を禁止する場所)

「車両は、道路標識等により停車及び駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、
法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。
ただし、乗合自動車又はトロリーバスが、その属する運行系統に係る停留所又は停留場において、
乗客の乗降のため停車するとき、又は運行時間を調整するため駐車するときは、この限りでない。」

一 交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷内、坂の頂上付近、勾配の急な坂又はトンネル
二 交差点の側端又は道路のまがりかどから五メートル以内の部分
三 横断歩道又は自転車横断帯の前後の側端からそれぞれ前後に五メートル以内の部分
四 安全地帯が設けられている道路の当該安全地帯の左側の部分及び当該部分の前後の側端からそれぞれ前後に十メートル以内の部分
五 乗合自動車の停留所又はトロリーバス若しくは路面電車の停留場を表示する標示柱又は標示板が設けられている位置から十メートル以内の部分
(当該停留所又は停留場に係る運行系統に属する乗合自動車、トロリーバス又は路面電車の運行時間中に限る。)
六 踏切の前後の側端からそれぞれ前後に十メートル以内の部分

(罰則 第百十九条の二第一項第一号、同条第二項、第百十九条の三第一項第一号、同条第二項)

・駐車も停車もできない場所

①0m→交差点・横断歩道・踏切・トンネルの中、坂の頂上付近・勾配の急な坂
②5m→交差点・曲がり角・横断歩道
③10m→安全地帯・バス停(標識より・運行時間内)・踏切
④道路標識などで停車・駐車禁止の場所

   

例外1.バスがバス停で客の乗降のために・時間待ちのために停車する。
例外2.法令・警察官の指示による一時停止
例外3.危険防止のための一時停止


b.駐車禁止場所


※第45条(駐車を禁止する場所)

車両は、道路標識等により駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、駐車してはならない。
ただし、公安委員会の定めるところにより警察署長の許可を受けたときは、この限りでない。

一.人の乗降、貨物の積卸し、駐車又は自動車の格納若しくは修理のため道路外に設けられた施設又は場所の道路に接する自動車用の出入口から三メートル以内の部分
二.道路工事が行なわれている場合における当該工事区域の側端から五メートル以内の部分
三.消防用機械器具の置場若しくは消防用防火水槽の側端又はこれらの道路に接する出入口から五メートル以内の部分
四.消火栓、指定消防水利の標識が設けられている位置又は消防用防火水槽の吸水口若しくは吸管投入孔から五メートル以内の部分
五.火災報知機から一メートル以内の部分
2.車両は、第四十七条第二項又は第三項の規定により駐車する場合に
当該車両の右側の道路上に三・五メートル(道路標識等により距離が指定されているときは、その距離)以上の余地がないこととなる場所においては、駐車してはならない。
ただし、貨物の積卸しを行なう場合で運転者がその車両を離れないとき、若しくは運転者がその車両を離れたが直ちに運転に従事することができる状態にあるとき、又は傷病者の救護のためやむを得ないときは、この限りでない。

3.公安委員会が交通がひんぱんでないと認めて指定した区域においては、前項本文の規定は、適用しない。

(罰則 第一項及び第二項については第百十九条の二第一項第一号、同条第二項、第百十九条の三第一項第一号、同条第二項)」


・駐車できない場所

①1m→火災報知機
②3m→車が道路に出てくる出口(駐車場・バスターミナル・修理工場など)
③5m→道路工事区域・消防用器具・防火水槽
④道路標識などで駐車が禁止されている場所
  
⑤駐車OKでも道路の右側に3.5m以上の余裕のない場合→貨物の積卸しで運転者がすぐに動かせる場合はOK
例外1.道路使用許可
例外2.標識による場合(46条)→停車・駐車禁止場所でも停車・駐車が認められている場合もある。
          



c.停車禁止・駐車禁止の例外


①高齢者・身障者マーク・妊婦は駐車禁止・停車禁止の例外(45条の2)



細かく説明することは不要。「普通車の場合にだけ例外あり」で興味を引く。

・高齢者(1号)・身障者(2号)→「高齢者・身障者駐車・停車可の標識+高齢者・身障者が運転+高齢者・身障者マーク+普通車」の場合
・妊婦→「妊婦+普通車」→妊娠中、出産後8週間以内」(道交法施行令14条の5)


・高齢者マーク→普通車だけ
75歳以上の者→付けなければならない(71条の5・2項)→2万円以下の罰金または科料(121条1項9号の3)・うっかりして忘れたもダメ(121条2項)(

70歳以上~75歳未満の者→危なっかしい人は付けるようにしましょう。(71条の5・3項)

※高齢運転者等専用駐車区間制度の説明(警察庁)→→→ここ

②道路標識などで停車・駐車が認められている場合(46条)

当たり前ですね。


参考

※第45条の2 (高齢運転者等標章自動車の停車又は駐車の特例)

「次の各号のいずれかに該当する者(以下この項及び次項において「高齢運転者等」という。)が
運転する普通自動車(当該高齢運転者等が内閣府令で定めるところによりその者の住所地を管轄する公安委員会に届出をしたものに限る。)であつて、
当該高齢運転者等が同項の規定により交付を受けた高齢運転者等標章をその停車又は駐車をしている間前面の見やすい箇所に掲示したもの(以下「高齢運転者等標章自動車」という。)は、
第四十四条の規定による停車及び駐車を禁止する道路の部分又は前条第一項の規定による駐車を禁止する道路の部分の全部又は一部について、
道路標識等により停車又は駐車をすることができることとされているときは、
これらの規定にかかわらず、停車し、又は駐車することができる。

一.第七十一条の五第二項に規定する普通自動車対応免許(以下この条において単に「普通自動車対応免許」という。)を受けた者で七十歳以上のもの
二.第七十一条の六第一項又は第二項に規定する者
三.前二号に掲げるもののほか、普通自動車対応免許を受けた者で、妊娠その他の事由により身体の機能に制限があることからその者の運転する普通自動車が停車又は駐車をすることができる場所について特に配慮する必要があるものとして政令で定めるもの
2.項・3項・4項・5項・罰則 - 略 -

71条の5(初心運転者標識等の表示義務)

第八十四条第三項の普通自動車免許を受けた者で、当該普通自動車免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して一年に達しないもの(当該免許を受けた日前六月以内に普通自動車免許を受けていたことがある者その他の者で政令で定めるものを除く。)は、
内閣府令で定めるところにより普通自動車の前面及び後面に内閣府令で定める様式の標識を付けないで普通自動車を運転してはならない。

2.第八十五条第一項若しくは第二項又は第八十六条第一項若しくは第二項の規定により普通自動車を運転することができる免許(以下この条及び次条において「普通自動車対応免許」という。)を受けた者で
七十五歳以上のものは、内閣府令で定めるところにより普通自動車の前面及び後面に内閣府令で定める様式の標識を付けないで普通自動車を運転してはならない。

3.普通自動車対応免許を受けた者で七十歳以上七十五歳未満のものは、
加齢に伴つて生ずる身体の機能の低下が自動車の運転に影響を及ぼすおそれがあるときは、
内閣府令で定めるところにより普通自動車の前面及び後面に内閣府令で定める様式の標識を付けて普通自動車を運転するように努めなければならない。

(罰則 第一項及び第二項については第百二十一条第一項第九号の三、同条第二項)


※第46条(停車又は駐車を禁止する場所の特例)

「前条第一項に規定するもののほか、
車両は、第四十四条又は第四十五条第一項の規定による停車及び駐車を禁止する道路の部分又は駐車を禁止する道路の部分の一部について、
道路標識等により停車又は駐車をすることができることとされているときは、これらの規定にかかわらず、停車し、又は駐車することができる。」


3.駐車違反・停車違反の罰則

・15万円以下の罰金
・すぐに車を動かせる場合は罰則なし→駐車違反・停車違反は「すぐに車を動かせる場合なら」罰金なし。
・車の中で寝込んでしまった場合は?→「すぐに車を動かせる状態にない」→罰金。
※119条の2本文は、「駐車・停車が車両を離れて直ちに運転することができない状態にしたとき」だけでなく「車両を離れて直ちに運転することができない状態にする行為に該当するとき」も罰金としている。
・うっかりしていたは通用しない→過失も罰する。

※参考・第119条の2
「次の各号のいずれかに該当する行為
(第一号及び第二号に掲げる行為にあつては、その行為が車両を離れて直ちに運転することができない状態にする行為に該当するとき又はその行為をした場合において車両を離れて直ちに運転することができない状態にする行為をしたときに限る。)をした者は、十五万円以下の罰金に処する。
一.第四十四条(停車及び駐車を禁止する場所)、第四十五条(駐車を禁止する場所)第一項若しくは第二項、第四十八条(停車又は駐車の方法の特例)、第四十九条の三(時間制限駐車区間における駐車の方法等)第三項又は第四十九条の四(高齢運転者等専用時間制限駐車区間における駐車の禁止)の規定の違反となるような行為
二.第四十七条(停車又は駐車の方法)第二項若しくは第三項又は第七十五条の八(停車及び駐車の禁止)第一項の規定の違反となるような行為
三.第七十五条(自動車の使用者の義務等)第一項第七号の規定に違反する行為
2.過失により前項第一号の罪を犯した者は、十五万円以下の罰金に処する。」

・「そんな法律があることは知らなかった」も通用しない。

※第38条(故意)
罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
2 重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできない。
3 法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を減軽することができる。

・反則金・減点と罰金は違う

『駐車違反で罰金が1万5千円・減点が2点だった!』
この場合の罰金は正確には反則金。
道交法違反の罰金とは刑事罰で、刑事手続・裁判によって課せられるもの。
反則金とは「それを払えば刑事手続にしないで許してやる」というもの。
減点とは反則金とは別に道交法違反をした者に与える運転免許ルール違反のペナルティ。
(道交法125条~、道交法施行令45条~)

反則金を払わなければ刑事手続に移行するが、もともと道交法で罰金が課せられない場合は刑事手続に移行してても痛くもかゆくもない。
たとえば、駐車禁止場所で駐車したがすぐに車を動かせる状態」なら道交法で罰金なし。
これで、警官に切符を切られたところで拒否したり、受け取っても反則金を払わなければよい。
しかし、「すぐに動かせる状態であった」としても道交法違反であるので、駐車違反が証明されれば減点はされることになる。
もっとも、警察官の方も交通取締の行き過ぎ・職権濫用を指摘されると嫌なので、道交法で罰則の適用がない場合に切符を切ることはないだろう。

結局、実質的には「すぐに車を動かせる場合は」駐車違反・停車違反で切符を切られることはない。
(この点は警察官に聞いてみないと分からない。切符を切られても責任は持ちません。)


4.停車・駐車の方法

a.人の乗降・貨物の積卸しのための停車

・できるだけ道路の左側端に寄る+他の交通の妨害にならないようにする。(47条1項)
人の乗降・5分以内の貨物の積卸しを、例外的に駐車から除外したため。→除外してやったから「できるだけ左側端」によりなさい。

・左側に路側帯があるときは「路側帯に入る+他の交通の妨害にならないようにする」(47条3項)
※路側帯→歩道のない側の道路で左側端に白線などで区画された帯状の道路(道交法2条3の4号

b.駐車するとき(5分を超える貨物の積卸しは駐車→これも含む)

・道路の左側端に寄る+他の交通の妨げにならないようにする(47条2項)。
※「できるだけ左側端」でなくてもよい。

・道路の右側に3.5mの余裕がなければ駐車してはだめ(45条2項)
※5分を超える貨物の積卸しで、運転者が車から離れない場合・車から離れても直ちに運転できる場合は駐車してもよい。
※けがや病気の人を救助する場合は駐車してもよい。

・左側に路側帯があるときは「路側帯に入る+他の交通の妨害にならないようにする」(47条3項)

c..停車するとき

・左側に路側帯があるときは「路側帯に入る+他の交通の妨害にならないようにする」(47条3項)

※普通の停車の場合(人の乗降・5分を超える貨物の積卸し以外の停車)は「左側に寄れ」・「他の交通の妨害にならないようにする」の規定なし。

d.路側帯に入って、駐車・停車するときのきまり(47条3項カッコ書き・道交法施行令14条の6)

・路側帯進入禁止の標識がある場合→入ってはダメ
・歩行者が通る路側帯で幅が75㎝以下のもの→入ってはいけない。
・歩行者が通る路側帯で幅が75㎝を超えるもの→左側に75㎝の余裕をとる+車を白線に平行にする。
・歩行者が通らない路側帯→路側帯の左側端に沿う

   

e.罰則→15万円以下の罰金

※参考

・第47条(停車又は駐車の方法)
「車両は、人の乗降又は貨物の積卸しのため停車するときは、できる限り道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。
2.車両は、駐車するときは、道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。
3.車両は、車道の左側端に接して路側帯(当該路側帯における停車及び駐車を禁止することを表示する道路標示によつて区画されたもの及び政令で定めるものを除く。)が設けられている場所において、停車し、又は駐車するときは、
前二項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、当該路側帯に入り、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない。

(罰則 第一項については第百十九条の三第一項第四号 第二項及び第三項については第百十九条の二第一項第二号、第百十九条の三第一項第四号)」


・第48条(停車又は駐車の方法の特例)

「車両は、道路標識等により停車又は駐車の方法が指定されているときは、前条の規定にかかわらず、当該方法によつて停車し、又は駐車しなければならない。

(罰則 第百十九条の二第一項第一号、同条第二項、第百十九条の三第一項第一号、同条第二項)


・道交法施行令14条の6(路側帯が設けられている場所における停車及び駐車)
「  法第四十七条第三項 の政令で定めるものは、歩行者の通行の用に供する路側帯で、幅員が〇・七五メートル以下のものとする。
2.車両は、路側帯に入つて停車し、又は駐車するときは、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定める方法によらなければならない。
一.歩行者の通行の用に供する路側帯に入つて停車し、又は駐車する場合 
当該路側帯を区画している道路標示と平行になり、
かつ、当該車両の左側に歩行者の通行の用に供するため〇・七五メートルの余地をとること。
この場合において、当該路側帯に当該車両の全部が入つた場合においてもその左側に〇・七五メートルをこえる余地をとることができるときは、当該道路標示に沿うこと。
二.歩行者の通行の用に供しない路側帯に入つて停車し、又は駐車する場合 当該路側帯の左側端に沿うこと。」

5. 踏切の停止線の前で通過電車を『待つ・交差点の停止線で信号待ちをするのは44条違反?


a.  踏切の停止線で通過電車を待つのは44条違反?


『質問です!』

どうぞ。

『踏切の端から10m内は停車・駐車禁止ですよね。』

道交法44条の停車・駐車禁止場所ですね。

『私は踏切で通過電車を待つ時に、踏切の前にある停止線で止まっていますが、これは44条の停車違反となるのですか?
  あっ、すいません。停車違反ではなく駐車違反ですね。
 駐車とは「一定目的のための継続的な停止」ですから、「通過電車を待つ」という目的があるし、電車を通過を待つ時間は継続的だといえますから。』

そうですね。踏切で通過電車をまつことは停車ではなく駐車ですね。


さて、踏切で通過電車を待つことが44条に違反するかどうかの問題に入ります。

44条は「法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか‥停車・駐車をしてはならない」としています。(上記1-c  例外②)

踏切の直前・停止線の前で通過電車を待つことが法令で要求されるものであれば44条に違反しませんね。

道交法33条では踏切の通過方法を定めています。

※道交法33条(踏切の通過)
車両等は、踏切を通過しようとするときは、
  踏切の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止し、
  かつ、安全であることを確認した後でなければ進行してはならない。ただし、信号機の表示する信号に従うときは、踏切の直前で停止しないで進行することができる。

  
 2.車両等は、踏切を通過しようとする場合において、踏切の遮断機が閉じようとし、若しくは閉じている間又は踏切の警報機が警報している間は、当該踏切に入つてはならない。

 3項--略--


 (罰則 第一項及び第二項については第百十九条第一項第二号、同条第二項)

ここで定められていることは、
①電車が来なくても踏切・停止線の直前で一時停止すること。(信号機が“進め“なら一時停止不要)
②安全であることを確認した後でなければ進んではならない。
③踏切の遮断機が閉じようとしているとき、閉じている間、警報機の鳴っている間は踏切に入ってはいけない。

つまり、33条は、「電車が来た場合(②)、遮断機が下り始めた時・警報機がなり始めた時(③)は踏切の中に入ってはいけない」と要求しています。

踏切・停止線の直前で一時停止して安全確認をしたら電車見えた、一時停止して進もうとしたら警報機が鳴り出したということがありますね。
そんな場合に踏切・停止線の直前で通過電車を待つことは33条(②・③)の要求することだから44条の違反とはなりません。

これは、後続する車にも当てはまりますね。
前の車が一時停止して踏切を通過しようとしたら電車が来たり警報機が鳴り出したりした。
前の車が通過電車を待って踏切内に入れないのだから、後続車も前の車の後ろで通過電車を待つしかありませんね。

ただし、「踏切が見えてきたときに、警報機が鳴っている・遮断機が降り始めている・遮断機が降りている・車が踏切の前で通過電車を待っている」、
こんな場合は踏切の手前10mで通過電車を待たなければならないでしょう。
踏切の手前10mで止まれるのに、踏切直前まで進んだり通過電車を待つ車の後についたりするのは44条違反となるでしょう。
33条は「通過電車を待つ場合は踏切・停止線の直前で待ちなさい」とまでは要求していませんからね。

もっとも、車一台が占めるのは5mくらいですから、三台目につけば踏切の直前10m内に入らず44条違反にはなりませんがね。


b. 交差点前の停止線で信号待ちするのは44条違反?

※この項目については考慮中で何度も改訂しています。解釈間違いや説明不足があれば指摘してください。


『もう一つ質問です!』

どうぞ。

『44条で交差点や横断歩道から5m以内は停車・駐車禁止ですよね?
 信号待ちをする場合に交差点前の停止線や横断歩道前の停止線で停止しますよね。
 あの停止線は交差点・横断歩道の側端から5m以内にありますよ。』

踏切の場合と同じ問題ですね。
どう思いますか?

 『多分、踏切の場合と同じような法令の要求があるのだと思います。「そこで止まってもよい・止まらなければならない」という法令の根拠を教えてください。』


交差点や横断歩道に関して車が停止しなければならないのは次の場合です。

①交通整理が行われていない交差点で、横断歩道を渡る歩行者がいるかも知れない時・渡ろうとしている時・渡っている時は横断歩道・停止線の直前で一時停止(38 条)
②交通整理が行われていない交差点で、一時停止の標識がある時は交差点・停止線の直前で一時停止(43条)。
③交通整理が行われていない交差点で、そのまま進めば交差点内で止まらなければならず他の交通を妨害することになるような場合は、交差点内に入ったりや停止線を超えたりしてはてはならない (50条1項)
④そのまま進めば、横断歩道の中で止まらなければならず横断者の通行を妨害することになるような場合は、横断歩道内に入ってはならない。(50条2項)

※道交法43条
指定場所における一時停止)
車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、
  道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあつては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。
  この場合において、当該車両等は、第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。」
 (罰則 第百十九条第一項第二号、同条第二項)


道交法50条(交差点等への進入禁止)
交通整理の行なわれている交差点に入ろうとする車両等は、
  その進行しようとする進路の前方の車両等の状況により、 
  交差点(交差点内に道路標識等による停止線が設けられているときは、 その停止線をこえた部分。以下この項において同じ。)に入つた場合においては
  当該交差点内で停止することとなり、 よつて交差道路における車両等の通行の妨害となるおそれがあるときは、当該交差点に入つてはならない。

  2.車両等は、その進行しようとする進路の前方の車両等の状況により、
    横断歩道、自転車横断帯、踏切又は道路標示によつて区画された部分に入つた場合においてはその部分で停止することとなるおそれがあるときは、
    これらの部分に入つてはならない。」
  (罰則 第百二十条第一項第五号、同条第二項)

※道交法38条(横断歩道等における歩行者等の優先)
車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、
  当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、
  当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。
   この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。

  2項・3項--略 」
 (罰則 第百十九条第一項第二号、同条第二項)


『質問です!』

どうぞ。

『交通整理が行われていない交差点とは何ですか?』

これは後の講義で出てきますが、簡単に言えば信号のない交差点です。


『それなら、①・②・③・④とも「信号待ちのための停止」ではないじゃないですか!
 私が知りたいのは「信号待ちのために停止線で停止しなければならない」ことです!』

そう興奮しないでください。
そういう質問が出るように後一つを言わなかったのですから。

『先生はいじわるですね!』

教えるとは「疑問を持たせて、その疑問を解決させていくこと」なのです。
講師が知っていることを話すだけでは「伝える」ことになっても「教える」になりませんからね。

もう一つは道交法4条4項です。

※道交法4条
(公安委員会の交通規制)

 都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、
   道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、又は交通公害その他の道路の交通に起因する障害を防止するため必要があると認めるときは、
   政令で定めるところにより、信号機又は道路標識等を設置し、及び管理して、交通整理、歩行者又は車両等の通行の禁止その他の道路における交通の規制をすることができる。
   この場合において、緊急を要するため道路標識等を設置するいとまがないとき、その他道路標識等による交通の規制をすることが困難であると認めるときは、
   公安委員会は、その管理に属する都道府県警察の警察官の現場における指示により、道路標識等の設置及び管理による交通の規制に相当する交通の規制をすることができる。


 2.前項の規定による交通の規制は、区域、道路の区間又は場所を定めて行なう。この場合において、その規制は、対象を限定し、又は適用される日若しくは時間を限定して行なうことができる。

 3.公安委員会は、交通のひんぱんな交差点その他交通の危険を防止するために必要と認められる場所には、信号機を設置するようにつとめなければならない。

 4.信号機の表示する信号の意味その他信号機について必要な事項は、政令で定める。

 5.道路標識等の種類、様式、設置場所その他道路標識等について必要な事項は、内閣府令・国土交通省令で定める。」

 (罰則 第一項後段については第百十九条第一項第一号、第百二十一条第一項第一号)



これは、都道府県公安委員会が信号機や道路標識を設置して交通規制ができることを定めています。
道交法の規制は全国一律ですから、地域の状況に適合しない場合があるからです。
しかし、その信号機や道路標識の規格や意味を定めておかないと国民が困ります。
ここの県では赤で進め、あそこの県では青で進めでは交通事故・交通渋滞が多発してしまいますからね。
これらについては政令で一律に定めることにしたのです。

信号機については道路交通法施行令2条で定められています。

この中で、「車両は黄信号・赤信号で、停止位置をこえて進行してはならない」と定めています。
この”停止位置“については次のように定めています。

①横断歩道のない交差点→交差点の直前・停止線の直前
②横断歩道のある交差点→横断歩道の直前
③交差点以外の場所での横断歩道・踏切→横断歩道・踏切の直前
④交差点以外の場所で、横断歩道・自転車横断帯・踏切がない場合→信号機の直前。

そして、道交法7条では「信号機の信号に従わなければならない」と定めています。、

※道交法7条(信号機の信号等に従う義務)
 道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等(前条第一項後段の場合においては、当該手信号等)に従わなければならない。」

 (罰則 第百十九条第一項第一号の二、同条第二項、第百二十一条第一項第一号)

これらの規定により信号待ちをするときは停止線の前で止まらなければならないのです。

「停止線の前で信号待ちをしなければならない」法的根拠を詳しく言えば次のようになります。

信号の表示に従わなければならない(道交法7条)
→都道府県公安委員会は政令で定めた信号を設置して交通を規制できる(道交法4条)
→黄・赤信号の意味は停止線より進んではならない(道路交通法施行令2条)

だから、信号待ちのために停止線で止まっていても44条違反にはなりません。

ただ、厳密に言えば、踏切の場合と同様に、既に信号が赤である場合は交差点の手前5mで停止して信号待ちをしなければならないでしょう。
もちろん、都道府県公安委員会の設置する停止線が「ここで信号待ちをしなさい」という意味であれば別ですが、施行令にそんな規定は見当たりません。
もっとも、車一台分は5mですから、赤信号で止まっている車についても交差点側端から5m以内の停止・駐車になりませんが‥。


なお、青信号は「車は直進・右折・左折できる」という意味です。(施行令2条)
信号が青に変わって、そのまま停止していても信号無視(道交法7条違反)とはなりません。
しかし、44条の「交差点側端から5m以内の停車・駐車」に該りますから、44条違反となります。(※参:新実務道路交通法・48頁)

  
★2012.01.16 追記--三重県運転免許更新センター・講習講師への質問


三重県運転免許更新センターで更新講習を受けました。
30分の講習後、講師に 「警備員の教育をしている者です 」 と次の質問をしました。

①踏切の停止線の前で電車の通過待ちをするのが44条に反しない法的根拠。
②交差点や横断歩道の停止線で信号待ちをするのが44条に反しない法的根拠。

①については33条の 「 踏切の通過方法 」 、②については 「 交差点の通過方法 」 ( 多分、38条・43条・50条のことでしょう ) を上げていました。


次に、 「 踏切の停止線で電車通過待ちをしている車の後続車は44条に反しないのか ・ その法的根拠 」を尋ねました。

講師は 「 標識標示主義 」 を持ち出してきました。


標識標示主義とは一般に次のように説明されています。

「 交通に関する規制は道路標識または道路標示によって行うことを原則とし、道路標識または道路標示による規制が行われない場合に限り法律の規制に従う こと 」

根拠は 4条の 「 都道府県公安委員会の交通規制 」 です。

もちろん、都道府県公安委員会の道路標識・標示の規制内容は政令により定められています。


講師は、
『 踏切や交差点に停止線があるのだから、その前で電車の通過待ちや信号待ちをするのは標識・標示主義から認められている。
  後続車も電車の通過待ち・信号待ちをしているのだから標識・標示主義から認められている。』

そして呆れたように、
『 あんたは法律の解釈を持ち出すけれど、道路標識や道路標示がそうなっていれば問題ないじゃないか。
  警備員にはまず道路標識や道路標示の意味を教えなければいけない。
  そして、あんたは道交法の標識標示主義あたりから勉強した方かよいよ ! 』


私は 「 踏切 ・ 交差点 ・ 横断歩道 の停止線の規制内容についての法的根拠 ( 施行令2条など ) 」 の質問を止めました。
これ以上の質問は相手を苦しめることになるからです。

ただ 「 踏切で電車通過待ちをしている後続車の取扱 」 について確認をしました。

私 『 踏切の停止線で電車通過待ちをしている車に続いて止まっている車は44条違反ではないのですね。 』

講師は、
『電車の通過待ちをしているのだから、44条違反にならない。二台目も三台目も44条違反にならない。

  あんた、警備員にどんな教育をしているんだ ?  どこの警備会社なんだ!』


運転免許更新センターの講師に、私の警備員教育を蔑まれる理由はありません。
また、上から物をいわれる筋合いもありません。

名刺を渡して自己紹介し、講師の名刺をもらおうとしましたが  『 名刺は持っていない。 名前は黒板に書いてある。』


どうも嫌われたようです。

法律好きにとって解釈論を戦わすことは 「鬼ごっこやかくれんぼをする 」 ようなものなのですが‥。


それにしても  『 どこの警備会社なんだ! 』 には少々腹が立ちました。

しかし、警備員や警備会社に対する社会的評価が低いことを実感しました。



6.新任警備員のためのワンポイント

①運転者が車に乗っていても駐車→すぐに運転できれば罰金なし。しかし道交法違反。
②車から離れてすぐに運転できなければ駐車→罰金15万円
③工事現場から5m以内は駐車禁止
④工事現場入り口から3m以内は駐車禁止
⑤路側帯があれば路側帯に入って駐車・停車→75㎝の余裕が必要
⑥罰金と反則金・減点は違うもの



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