SPnet 選任業務編

4.法定備付書面-護身用具一覧・苦情処理簿・契約先一覧

これらの書類作成は難しいことはありません。
よく使われている書式(以下にあげるサンプル)の項目どおり書けばOKです。

保存期間は定められていません。
と言うことは、「ずっと保存しておかなければならない」のですね。

以下では一応、法律の規定をチェックしますが読みとばしてください。
警察庁の解釈運用基準は苦情処理簿に関しての一つだけです。

対象となる苦情は、警備契約の相手からのものだけではなく、警備業務を行う場所の周辺住民・通行者からの苦情もふくみます。

第18 苦情の解決(法第20条関係)
法第20条中「依頼者等」とは、「依頼者」の外、警備業務実施場所の周辺住民、通行者等をいう。


【1】法律のチェック

警備業法45条

「警備業者は、内閣府令で定めるところにより、営業所ごとに、警備員の名簿その他の内閣府令で定める書類を備えて、必要な事項を記載しなければならない

警備業法施行規則66条1項3・7・8号

法第四十五条 の内閣府令で定める書類は、次のとおりとする。

護身用具の種類ごとの数量を記載した書面

警備業務に関する契約ごとに、次に掲げる事項を記載した書類
イ.当該契約に係る警備業務の依頼者
ロ.第33条第1号ニ(当該契約が法第18条 に規定する種別の警備業務を行うものである場合には、当該種別に係る合格証明書を受けている警備員の氏名を含む。)及びワに掲げる事項
ハ.当該契約が法第2条第1項第1号 の警備業務を行うものである場合には、第33条第1号ハに掲げる事項
ニ.当該契約が法第2条第1項第2号 の警備業務を行うものである場合には、第33条第2号イに掲げる事項
ホ.当該契約が法第2条第1項第3号 の警備業務を行うものである場合には、第33条第3号ロに掲げる事項
ヘ.当該契約が法第2条第1項第4号 の警備業務を行うものである場合には、第33条第4号イに掲げる事項(警備業務の対象となる者の氏名を除く。)

警備業務についての依頼者等からの苦情に関し、
   苦情を申し出た者の氏名及び連絡先、苦情の内容、原因究明の結果、苦情に対する弁明の内容、改善措置並びに苦情処理を担当した者の氏名を記載した書類

護身用具一覧→種類ごとにその数

契約先一覧は?

またまた、ややこしく書いてあります。
こんな形で書かれると『たらい回しするな!結論を言え、ケ・ツ・ロ・ンを!』と野次を飛ばしたくなるでしょう。

条文では「一度言ったことは二度と言わない」のです。

同じことを繰り返すと長くなるばかりでなく、「こっちの〇〇とあっちの〇〇は同じものなの?違うものなの?」と解釈が分かれてしまうからです。
法33条は契約前書面・契約後書面の記載事項で、33条1号ハとは「警備業務対象施設の名称及び所在地」です。

これを「33条第1号ハに掲げる事項」と書けば、誰にも「契約前書面・契約後書面に書く警備業務対象施設の名称及び所在地と同じだ」と分かります。
これを「警備業務対象施設の名称及び所在地」と書けば、「契約前書面・契約後書面の警備業務対象施設の名称及び所在地と同じだ」・「イヤ違う」という解釈の争いが生じてしまいます。

このような配慮から「同じことは二度と言わない」のです。
意地悪をしているわけではありません。

結局、
契約先一覧に書くことは、

①.契約相手(依頼者)
警備業務に従事させる警備員の人数及び担当業務。・配置基準がある場合は、配置した資格者の氏名も。
警備業務を行う期間
警備場所など
・機械警備以外の施設警備→警備業務対象施設の名称及び所在地
・交通・雑踏警備→警備業務を行うこととする場所
・運搬警備→警備業務を行う路程
・身辺警備→警備業務の対象となる者の住所又は居所(氏名は不要)


苦情処理簿

・苦情を言ってきた者の氏名・連絡先
・苦情の内容
・苦情の原因は何だったのか
・苦情に対しどのように弁解したか
・苦情に対しどのような改善をしたか

・苦情の処理をした者の氏名


なお、苦情処理簿の作成・備付義務は、
警備業法20条「警備業者は、常に、その行う警備業務について、依頼者等からの苦情の適切な解決に努めなければならない。」を受けたものです。
契約前書面・契約後書面交付義務と同じく顧客保護・消費者保護のために平成17年改正で新設されたものです。


【2】護身用具一覧・苦情処理簿・契約先一覧の一例と、記載する時の注意点

護身用具一覧用紙

・護身用具一覧記載例

※記載する時の注意

・護身用具届出をしてある護身用具について記載する。(届出がしていない護身用具があれば警備業法違反)
・警棒の№は刻印してある場合だけ記載。(記載しなくても構わないが、記載した方が「厳重管理しています」とアピールできる)
・備考欄に]「業務担当警備員が保管」などとは書かないように。護身用具は警備会社での厳重保管が原則。
・必要不可欠以外のことを書いて、逆にねじ込まれないように注意。

・苦情処理簿用紙

・苦情処理簿記載例

※記載する時の注意

・半年間・一年間、顧客からのクレームがない場合がありますが、それでも何か見つけて書く。
・お上は「警備員にはクレームが付き物だ」と思っているので、「苦情処理簿に何も書いてなかったら」褒めてくれない。「選任業務をサボっている」と考える。
・一カ月に一度は指導に行くので、その時に顧客と話をすれば「クレームのネタ」はある。
・半期に3~4件は書いておいた方がよい。
・立ち入りのときに案外目を通される書類です。


・契約先一覧用紙号  

・契約先一覧記載例

※記載する時の注意

・契約ごとに書く(警備業法施行規則66条1項7号)

一つの契約に異なる業務が含まれる場合はまとめてかく。
記載例の場合〇〇スーパーから交通誘導業務と保安業務を受注している。契約は一つなので分類番号は同じになる。
警備業務ごとに用紙を別にする方法も見受けられるが、施行規則の定めに近いのは「契約ごとに」分類する方法だろう。

・警備会社から受注した場合は契約先は警備会社となる。

その警備会社(元請け警備会社)が受注した相手(依頼者)を備考欄に書く。

・警備会社へ再委託する場合

備考欄に再委託した相手(名称・住所・代表者名)と再委託した業務を書く。
依頼者との契約書、再委託をする相手との契約書の写しを添付する。

これは、「警備業者に対する警備業務提供委託に関する指針について(通達)・408号」による警察庁の指導です。

408号は、
警備業者が受注した業務を他の警備会社に委託する場合につき法律の規定がないこと。
それにより、警備業法で禁じている“名板貸し”や職業安定法・労働者派遣法で禁じている警備員派遣を潜脱する危険があることから出されたものです。


(参考1)
指針408号・該当部分原文

2 警備業者に対する警備業務提供委託に関する指針

1(1) から(3) までにおいて述べたことを踏まえ、警備業者に対する警備業務提
供委託については次の指針によることとする。

(1) 利用者と親事業者との契約

利用者と親事業者の間の警備業務の提供行為に関する契約(以下「基本契約」という。)に係る契約書に
親事業者が自ら行う警備業務と下請事業者が行う警備業務を明確に区分するため、次の事項を記載することとする。

① 下請事業者の氏名又は名称及び所在地並びに法人にあってはその代表者の氏名
② 警備業務提供委託に係る警備業務の内容

③ 警備業務提供委託契約に係る警備業務の利用者に対する責任は親事業者が負う旨
④ その他親事業者と下請事業者の責任関係の明確化に必要な事項

また、
親事業者は、営業所備付け書類のうち、「警備業務に関する契約ごとに、契約の相手方並びに警備業務の実施の期間、場所、方法及び警備員数を記載した書類」
(警備業法施行規則(昭和58年総理府令第1号)第46条第1項第6号。以下「
警備契約先一覧表」という。)①及び②に掲げる事項を記載し
基本契約に係る契約書及び親事業者と下請事業者との警備業務提供委託に係る契約書の双方を添付して
警備業務提供委託の実施状況を明らかにすることとする。

※指針408号のすべては→こちら


(参考2)

なお、複数の警備会社が合同して業務を受ける場合(JV)については、指針410号があります。
この場合も契約先一覧の記載方法につき、警察庁は次のように指導しています。
以下に、該当部分の原文を上げます。

2 警備業務の共同実施に関する指針

1(1) 及び(2) において述べたことを踏まえ、警備業務の共同実施については次の指針によることとする。

(1) 共同企業体の構成員間の関係

ア共同企業体を結成するに当たっては、次に掲げる事項について定めた協定書を作成することとする。
① 共同企業体構成員の氏名又は名称及び住所
② 共同企業体の代表者及びその権限
③ 共同企業体構成員が連帯して責任を負う事項の範囲
④ 共同企業体構成員の行う一の警備業務対象施設等ごとの業務分担及び責任分担

⑤ 警備業務の共同実施の対象となる警備業務に従事する警備員に対する共同企業体構成員の指導監督に関する事項
⑥ その他共同企業体を構成するために必要な事項

イ警備業務の共同実施に当たっては、協定書に基づき、
警備業務の提供行為を委託した者の委託内容に応じて、次に掲げる事項について定めた警備計画書をあらかじめ作成することとする。
① 警備業務の共同実施に係る一の警備業務対象施設等
② 共同企業体の構成員の業務分担の区分
③ 警備業務の実施の方法
④ 警備員の配置及びそのうちの検定取得者の配置
⑤ 警備業務の共同実施に係る全体の連絡調整の責任者及び各共同企業体の構成員における連絡調整担当者並びに連絡調整要領(緊急時の連絡調整要領を含む。)
⑥ その他警備業務の共同実施の適正を確保するために必要な事項


(2) 共同企業体と利用者との契約

共同企業体と利用者との契約書に次の事項を記載し、(1) の協定書及び警備計画書又はその要旨を添付することとする。
① 共同企業体を代表する警備業者及び当該警備業者の当該警備業務に係る営業所の所在地
② 警備業務の内容

③ 警備業務の実施につき委託者が支払うべき額に関する事項
④ 共同企業体が連帯してその責任を負う旨
⑤ その他共同企業体と利用者が契約する上で必要な事項

(3) 営業所備付け書類に関する事項

共同企業体の構成員は、
営業所備付け書類のうち、「警備業務に関する契約ごとに、契約の相手方並びに警備業務の実施の期間、場所、方法及び警備員数を記載した書類」に
(
1) ア①から④まで、(1) イ①から⑥まで、(2) ①及び②に掲げる事項を記載し、
これに(1) の協定書及び警備計画書並びに(2)の契約書を添付することとする。


※指針410号のすべては→→こちら


これから先、新しい警察庁の指針により備付書類の書き方が変わる場合があります。
これらは、指導教育責任者の現任講習で説明されます。
現任講習後に出た指針については、立ち入りの時に指導されます。
また、分からないことがあれば所轄の担当に聞けば親切に教えてくれます。
『そんなことは警備業協会に指導してあるよ!アンタのところが警備業協会に入らないから悪いんだ!』とは決して言いません。

なんでも遠慮なく聞きましょう。
そうする方が却って「選任業務をしっかりやっている」という印象を与えます。


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