SPnet警備員偏
・「乞食営業・ハイエナ営業」は行き詰まる
大きい警備会社に声をかけます。
『警備員が足らない時は言ってください。必ず必要な人員を出します。』
その警備会社が大きなイベントを受注します。
必要な数の警備員が自社や協力会社・警備業組合の応援ではまかなえません。
『あっ、そうだ!あそこの警備会社がある。』
電話がかかります『明日、30人を出せる?』
もちろん「OK」します。
・OKしてから、警備員を調達します。
・隊員を24時間働かせて配置します。
・それでも30人が出せません。
・管理職・事務職を総動員します。
「他の警備会社や組合の応援」など無理です。
大きな仕事を受注した元請け警備会社は、「他の警備会社や組合に応援を頼んでも人数を確保できない」から、最後の最後になって電話をかけてきたのです。
四苦八苦して何とか30人を確保しました。
しかし「猫の手を借りての30人」ですから良い仕事はできません。
それでも元請け警備会社の要求を満たすことができました。
元請け警備会社は大満足。
『あの警備会社は仕事はダメだけれど、とにかく人数を出してくれる。いざという時にはあの会社だ」
問題は「いざという時には」という評価です。
次からその元請け警備会社はドンドン仕事を取ります。
他の警備会社や自社の隊員が嫌がる、短時間の仕事であろうと遠距離・深夜の仕事であろうとお構いなく取ります。
そして、「良い仕事をする警備会社」から順に声をかけていきます。
「良い仕事をする警備会社」は「割に合わない仕事」を断ります。
しかし、元請け警備会社は安心しています。
「最後の最後になったらあの警備会社がある」
「たらい回し」の後、やっとお声がかかります。
元請け警備会社はその前に「他の警備会社に予定していた値段」を下げます。
「必ず受ける」ことを知っているからです。
『明日なンだけど、30人出してよ。この値段でネ。』
もちろん、「待ってました」とばかりその値段でOKします。
また、「猫の手を借りて」の四苦八苦。
良い仕事はできませんが、注文された人数だけは揃えます。
そして、営業担当は『また大きい仕事を受注しました!』と社長に報告。
社長は『あの大手警備会社との関係が深まったナ!』と大満足。
彼らは元請け警備会社の思惑に気づいていないのです。
元請け警備会社は重要な仕事・割の良い仕事は回しません。
そんな仕事は「隊員の質が良くて良い仕事をする」警備会社に注文します。
元請け警備会社にとって、「人数揃えの警備会社」は「最後の最後」だからです。
これが「乞食営業・ハイエナ営業」です。
「残り物が出るのをじっと待っている」営業です。
森のハイエナは残り物をあさりますが、自分の腹がいっぱいになればそれ以上食べなくてもかまいません。
しかし、ハイエナ営業では「出された残り物を全部食べきらなければ」なりません。
「残り物を全部食べてくれるから」仕事が回ってくるのです。
突然目の前に出された大量の残り物を食べきるために、隊員に無理をさせます。
メチャクチャな配置・過重労働で隊員に不満が出ます。
そして「他の警備会社でも通用する質の良い隊員」が辞めていきます。
「他の警備会社に転職することができないレベルの低い隊員」が残ります。
隊員の質が悪くなり、その仕事は前より質の悪いものになります。
これを繰り返せば、隊員の質はドンドン悪くなり良い仕事ができなくなります。
新規客があっても良い仕事ができないので次はありません。
それどころか「今までやってきた良い仕事・割のよい仕事」で失敗し昔からの顧客を失います。
売上・利益はジリジリと落ちてきます。
これを挽回するためにさらにハイエナ営業に走り回ります。
無理な仕事をもらい、隊員に無理をさせ、良い隊員が辞めて質の悪い隊員が残り、質の悪い仕事をして評判を下げ、顧客を失う。
「負のスパイラル」にはまってしまいます。
これが「ハイエナ営業の罠」なのです。
警備業界では『あの警備会社は警備会社ではなくて人数出しの会社だな』と言われているかもしれません。
そのうちに「人数も出せなくなって」残り物も回ってこなくなるでしょう。
こんな体質の警備会社で営業をやっていても、あなたに明日はありません。