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SPnet 私服保安教本の有償公開中止について
2019.10.16



1. 今までの経緯 と有償公開の中止理由


本書は私服保安 ( 万引きGメン ) の実務マニュアル・教育教材として、平成19年10月~平成20年3月に書いたものです。

その後、別のホームページで一部を公開し、当ホームページでその全部を平成23年6月~平成24年4月に一般公開しました。

一年間の一般公開の後、「内容が改変され一人歩きする」のを懸念し、閲覧者を特定した有償公開としていました。


しかし、昨今の万引き犯罪の態様が10年前と少し違ってきました。

例えば、「一部を買って一部を盗る」、「買うものより盗るものの方が少額」、「盗るときと盗らないときがある」、「尾行されたと感じたら二度とやって来ない」。

いわば「小蠅」のような万引きばかり。

そして、その小蠅は「一度追い払ったら二度とやって来ない」し、「いつまでたっても銀蠅にも虻(アブ)にも蝉に成長していかない」。

以前からそのような「小蠅のような小心万引き」はいましたが、
彼らを相手にしないでも「追い払っても追い払ってもやって来る万引き」、「欲を出してたくさん盗るようになる万引き」を捕まえることができました。

しかし、最近では小蠅が主流。
私服保安には「網の目を細かくし、一投で捕まえる」ことが必要になってきました。


このような現況において「実務偏の内容が合わなくなってきた、古典になりつつある」と感じるようにり、有償公開も中止することにしました。


現在、有償閲覧されている方はそのまま期日まで閲覧していただきますが、本日より「新たな有償閲覧申込」はお断りさせていただきますのでご了解ください。


2.今後の公開予定


実務偏は「大幅な書き直しが」必要であり、現在その時間が取れませんので以後の公開はありません。

法律偏は「警備員教育資料」として警備関係者から好評を得ていますので、今後、何らかの形で公開することを考えています。


3. 参考-本書の内容


a. 実務編


イ.私服保安の業務マニュアル・教育マニュアル

実務編は万引きGメンの業務マニュアル・教育マニュアルです。

・万引きの見つけかた、検挙するための条件、トイレ・エレベーター中断の対処、
・声かけ確保のやり方、犯人逃走時の処置、身柄確保の方法、同行のやり方、
・保安室での処置、自供させる方法、書類作成、その後の犯人の処遇、被害品買い取りの問題などについて説明してあります。


実務編は “ 実戦マニュアル ” として書いてあります。
警備員教育では 『 絶対にしてはいけない 』 と教えられるようなことも書いてあります。

警備員は警察官のように権力とピストルを持っていません。

私服保安は丸腰で万引き検挙を行います。
“ 畳水練 ” では溺れてしまいます。

きれいごとだけでは犯人に押し切られてしまいます。


ただし、初心者はマネをしないでください。

実戦テクニックは経験を積んだベテランだからこそできるのです。
初心者はまず基本をマスターしてください。

初心者の方のために実際の検挙実例を70話入れておきました。
検挙現場の動きと風を感じてください。


万引き以外の店内犯罪の対処法についても書いておきました。

盗撮・痴漢・女子トイレ入り込み・恐喝・クレーマー。
これら犯罪を処理できなければ店の信用を得ることはできません。


ロ. 伝承されてきた “ Gメン鉄則 ” の再検討

実務編ではGメンの世界に伝承されてきた “ Gメンの鉄則 ” の再検討もしました。

その中で 「 厳格に守っていては危険なもの 」もありました。


たとえば、 「 店外10mでの声かけ 」 。

犯罪既遂後一定時間が経ったり、犯人が犯行現場から一定距離を離れてしまったりすると現行犯逮捕はできません。( 判例・通説 )
1時間・300mが一応の基準です。

一方、窃盗罪は他人の物を自己の支配下に置いた時に既遂となります。 ( 判例・通説 )
ショッピングセンターでは 「 商品を自分のポケットやバッグに入れたとき 」 または 「本来清算すべきフロアーから出たとき 」 に既遂となります。
建物外に出て10m進んだ時に既遂になるのではありません。

ということは、

万引き犯が商品をポケットに入れたあと店の中で1時間過ごせば、犯人が店外しても現行犯逮捕することはできません。
万引き犯がショッピングセンターのある店で商品をポケットに入れ、そのまま300mダッシュしてショッピングセンターの建物外に出たら現行犯逮捕できません。

『 そんな馬鹿な! 』

皆さん、捕まえているでしょう?

しかし、それは違法現行犯逮捕なのです。


違法現行犯逮捕は、現行犯逮捕という法令で認められた行為ではありませんので違法性阻却事由に該りません。
Gメンの逮捕行為は逮捕罪となります。

『 それが違法現行犯逮捕となることを知らなかった。現行犯逮捕できる場合だと思っていた 』 という主張はできます。

しかし裁判所は “ 法律の錯誤 ” として、その主張を認めないでしょう。 →→→ 違法性阻却事由の錯誤

もっとも、「 もう知ってしまった 」 のでそんな主張はできませんね。

Gメンの 「 店外10mの声かけ 」 を 「 建物外10mの声かけ 」と理解して、何がなんでも厳守と思っていたら大怪我をするのです。


また、着手現認 ( 棚取り現認 ) がなければ 「 盗ったこと 」 が証明できないこと、

犯人が盗った商品については犯人の占有権が成立しているので:勝手に持ち出せないことなど、いろいろあります。


b. 法律編

法律編は警備員教育を担当する指導教育責任者を対象にして書いてあります。


資格取得講習で法律の講義は退屈だったでしょう?

・『 基本的人権の保障!生來的権利、永久不可侵!』、なぜもっとおもしろく説明できないのでしょうね。

・『 犯罪とは構成要件に該当する違法・有責な行為である!』、理解できました?

講義が難しくて退屈なのは、その内容を講師自身が充分に理解していないからです。

あなたは、警備員の新任教育で警備員を退屈させない自信がありますか?


本書の法律編をマスターすれば、警備員指導教育責任者としてどこに出ても引けはとらないでしょう。

資格取得講習で、講師を質問攻めにして困らせることもできるでしょう。

もちろん、そんなことをしてはいけません。
講師に嫌われたら実地試験で落とされます。


調子に乗って、共犯や違法収集証拠排除則まで説明しました。

法律を勉強したことがなくても理解できるように、簡単に・おもしろく書いてあります。
読むのにそれほど苦痛は感じないでしょう。


正当防衛・自救行為・現行犯逮捕については細かく説明してあります。

それが私服保安にとって絶対に必要な法律知識だからです。

はっきりと14歳未満とわかる子供は現行犯逮捕できませからね。

その他、
『えっ? そうだったの?』 ということをいろいろ見つけられることでしょう。


強盗致死傷罪が成立する場合 ( 結果的加重犯 ) の結果に対する因果関係について、判例はメチャクチャ広い解釈をしています。

・万引き犯人が警備員に呼び止められて逃げた。
・その途中で通行人を突き飛ばした。
・その通行人がケガをして病院に運ばれた。
・治療した医者の不手際でその通行人が死んだ。

こんな場合も強盗致死罪が成立し、法定刑は無期懲役か死刑です。

弁当一個を盗って死刑では割に合いません。


他国に類を見ないわが国の共謀共同正犯論 ( 判例 ) も万引き犯人にとっては不利ですね。

万引きを軽く考えてはいけません。
万引きをする者も、万引きを捕まえる者もしっかりと刑法を勉強しておきましょう。


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