SPnet 近況

自動巻き歩度調整資料



前回のオレンジモンスターの歩度調整に気をよくして、気になっていた時計の歩度調整をしていきます。

個人的な資料保存としての頁です。

自動巻きの内部を触るのは初めての入門者です。

入門者以上の方の参考になるようなことはいっさい書いてありません。
使用するのは、びぶ朗 と スターグラフ です




2012.09.13 TECHNOS 自動巻きの歩度調整



1.時計名称など


 ・TECHNOS TAM 606
  ・自動巻き10気圧防水

  ・手巻き機能 ・ 秒針停止機能あり
  ・シースルー スクリューバック
  ・ショップより新品購入
  ・購入当初から大幅に進むので使用せずワインディングマシーン保管。

  ・TECHNOS 刻印尾錠のオリジナル革ベルトは嫁入りのときに付けます。
    

  ・調整前測定
    文字盤上平置き →
+117秒/日
    三姿勢用ワインディングマシーン → 113秒/日













2.ムーブメント


  ・緩急針の反対側が隠れているので、緩急針自体を触らなければなりません。

  ・秒針停止機能 ( ハック機能 ) があるので、テンプを止めて調整できます。
    ただし、裏蓋をあけたままリューズを引くとムーブメントがせりだすので要注意。

  ・6振動

















  ・前回使用した目打ちの先を曲げて使用。

  ・緩急針の金色出っ張りに引っかけて動かします。

  ・力をかけやすくなりました。




3. 調整前グラフ



a.文字盤下

  ・片振りなし。

  ・歩度も 114秒/日 で、平置き 117秒/日 とほぼ一致。











b. 12時下

  ・片振りなし。

  ・ 文字盤下よりも やや進む。

  ・直線より外れる点がありますが、検知ミスでしょう。









c. 6時下

  ・片振りなし。

  ・ 12時下より やや進みますが、
    グラフ下の歩度数値はその時々の値で平均値ではありません。
    数字自体で比較することはできません。

  ・12時下と比べて直線から外れる点がないのは、
    パルス検知棒と時計ケースの接触の良し悪しよよるものでしょう。






d. 9時下

  ・片振りなし。

  ・各姿勢のなかで一番進む傾向あり。











4.調整


「 片振りなし 」 ・ 「 姿勢差による傾向がほとんど同じ 」 なので、あれこれやってみる必要はありません。

緩急針を 二度調整した ( ヒゲ持ちに近づけた ) だけ。

あっけなく、良いグラフとなりました。

使用年数の経過による進み遅れではなく、メーカー出荷段階での調整がうまくされていなかただけでしょう。



5.調整後グラフ


a. 文字盤下

  ・グラフはぐっと下がりました。

  ・「 水平にすること 」 にはこだわりません。
    「 文字盤上・下位置=日常使用 」 ではないからです。

  ・「 やや上向き 」 に調整します。







b. 12時下

  ・文字盤下よりやや上がり気味。

  ・乱れた点もありません。










c. 6時下

  ・12時下 と 6時下 では同じにならないところが興味部会ですね。

  ・文字盤下 よりグラフは下がっています。









d. 9時下

  ・ 12時下 に近い傾きになっています。


  ・四姿勢の傾き度合いは、
    ① 6時下 → ② 文字盤下 → ③ 9時下 → ④ 12時下

  ・精度は +10秒~20秒/日 くらいでしょう。





 


6.まとめ


TECHNOS TAM 606
調整前 調整後
文字盤上平置 三姿勢WM 日常使用 文字盤上平置 三姿勢WM 日常使用
+117秒/日 +113秒/日    +9秒/12時間 +7秒/12時間   


三姿勢WM → 観覧車タイプのワインディングマシーンによる装着測定

・三姿勢WM に一番近いのが 6時下
調整後の三姿勢WM は 12時間分で24時間ならもう少しプラスが出るはず。
・ 6時下 を もう少し下げて調整した方が良いかも知れない。



7. もう一つの TECHNOS


同じ型のテクノスがありましたので参考のために測定しました。

  ・TECHNOS TGM 554

  ・自動巻き10気圧防水
  ・手巻き機能 ・ 秒針停止機能あり
  ・シースルー スクリューバック
  
  ・新同品をコレクターから入手。


  ・精度は良い
    文字盤上平置 → +14秒/日
    三姿勢WM → +2秒/日

  ・平置きに比べ三姿勢WMの値が良いので再度測定。
    今度は +0秒/日









 

  ・むやみに裏蓋を開けません。

  ・裏蓋シースルーは薄い紫色です。





















2012.10.07 更改



以前に、垂直姿勢 ( 6時下 ・ 12時下 ・ 9時下 ) でグラフが波うちました。

あれからいろいろな時計を計測して、その原因が分かりました。

原因は 「 時計ケースととパルス検知棒がピッタリと接触していなかった 」 ことです。



1. 検知棒にベゼルが当たっている



  この時計の回転ベゼルはケースよりも一回り大きくなっています。

  文字盤上でセットするとパルス検知棒にベゼルが当たってしまいます。

   回転ベゼルはケース本体に固定されていず、自由に動けるようになっています。
  時計の振動は回転ベゼルの動き ( 揺れ ) を介して検知棒に伝えられます。

  その結果、時計の振動周期 ( 行きと戻りにかかる時間 ) が検知棒に正確に伝わらないことになります。

  





  


  文字盤を下にすると検知棒が時計ケースに直接当たります。

  こうすると時計の振動が時計ケースだけを介して直接伝わることになります。














2 垂直姿勢では検知棒と時計ケースの接触が緩む




  
  垂直姿勢ではプレスの重みで時計が浮き上がり、検知棒との接触が緩みます。

  時計が大きくケースが重い場合も同じです。

  写真は 3時下 ですが、9時下 ・ 12時下 ・ 6時下 でも同じです。












  垂直姿勢の場合は、時計が浮き上がらないような対策が必要です。

  最終的には時計をピックアップに縛りつける必要があるでしょう。












3. 以前の測定グラフと再測定グラフ


再測定グラフでは波がまったく出ていません。

結局、テクノス・青 に問題があったのではなく、測定方法に問題があったのです。

あらぬ疑いをTECHNOS社の製品にかけたことをお詫びいたします。


テクノス青   水平姿勢 - 文字盤下
以前の測定グラフ ( 9時位置接触・文字盤下 ) 再測定グラフ ( 3時位置接触・文字盤下 )

 

テクノス青・12時下-60秒グラフ
以前の測定グラフ ( 9時位置接触・文字盤下 ) 再測定グラフ ( 3時位置接触・文字盤下 )


テクノス青・12時下 -300秒グラフ
以前の測定グラフ ( 9時位置接触・文字盤下 ) 再測定グラフ ( 3時位置接触・文字盤下 )


テクノス青・6時下 -60秒グラフ
以前の測定グラフ ( 9時位置接触・文字盤下 ) 再測定グラフ ( 3時位置接触・文字盤下 )


テクノス青   6時下 -120秒グラフ
以前の測定グラフ ( 9時位置接触・文字盤下 ) 再測定グラフ ( 3時位置接触・文字盤下 )


テクノス青 6時下 - 300秒グラフ
以前の測定グラフ ( 9時位置接触・文字盤下 ) 再測定グラフ ( 3時位置接触・文字盤下 )


テクノス青   9・3時下 -60秒グラフ
以前の測定グラフ 9時下( 9時位置接触・文字盤下 ) 再測定グラフ  3時下 ( 3時位置接触・文字盤下 )


テクノス青   9時・3時下 - 120秒グラフ
以前の測定グラフ  9時下 ( 9時位置接触・文字盤下 ) 再測定グラフ  3時下 ( 3時位置接触・文字盤下 )




4. 測定の留意点


今までの計測で体得した留意点です。


a. 直線が出ないときは 接触位置を変える


同じケースを使っている時計でも 3時位置接触 と 9時位置接触では違いが出ます。
文字盤上 と 文字盤下 でも違いが出ます。

まず直線を出さないことには始まりません。

水平姿勢で直線が出るように姿勢を変えることが必要です。

ただし、できるだけ文字盤下で直線が出るように工夫します。
調整作業は文字盤下でするからです。


b.グラフが歪むのは検知棒との接触が緩んできたから


測定を続けていると、時計の重みでケースと検知棒との接触が緩んでくることがあります。

当然、グラフの形が変わってきます。

グラフの形が変わってきたら、検知棒との接触をチェックしなければなりません。


c. ある姿勢のときだけ片振りグラフになったら再チェック


片振りが出る場合は、その程度は異なりますがどの姿勢でも出ます。

ある姿勢だけに片振りが出た場合は、パルス検知が上手くできていないときです。

時計を疑う前に、測定方法を疑いましょう。


d. ケースが大きいとパルス検知が上手くできない


時計ケースの下に詰め物をして、検知棒に当たる時計ケースの部分をできるだけ大きくします。

どうしてもパルス検知ができないときは、生音で計測。.



つづく。

2012.09.26.



.

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