spnet保安-防犯タグ・制服保安・私服保安の問題点





制服保安は店の雰囲気を明るくするが…。


★現在、 SPnet では制服保安業務を行っていません。以下は制服保安業務導入の参考にしてください。★






1】常駐警備員   と保安警備員   

 

  ショッピングセンターの警備員には常駐警備員と保安警備員があります。

  常駐警備員は従業員・取引関係者の出入り管理、鍵管理、火災報知機等の異常発報対応を担当します。

  保安警備員は店内犯罪の防止を担当します。

 

  常駐警備員も店内を巡回しますが、それは単に制服を見せてお客様に安心感を与えることを目的にしています。

  保安警備員のように「積極的に犯罪者(挙動不審者)を見つけてその犯罪を防止する」ものではありません。

 

  保安警備員は店内犯罪防止・犯罪者検挙のプロとして特別な教育と訓練がなされています。

  ショッピングセンターの店内犯罪の代表は万引きです。

  そこで保安警備員は俗に“万引きGメン”などと呼ばれています。

 

  【2】私服保安  と制服保安

 

  今まで保安警備員(万引きGメン)は私服でその仕事をやっていました。

  一般客にまぎれた方が犯罪摘発・検挙に便利だからです。

 

  しかし、3年前(H.18.4)から全国チェーンのショッピングセンターが「保安警備員に制服を着せる」ことを始めました。

  そして、制服保安という警備方法が生まれました。

 

  制服保安も私服保安もその職務は「積極的に犯罪者を見つけてその犯罪を防止すること」ですが、制服保安は「犯罪を行わせないようにすること」を目的としています。

  私服保安のように「犯罪者を捕まえること」を目的としていません。

 

  【3】検挙防止   と抑止防止  

 

  万引きなどの盗犯を防ぐ方法には検挙防止と抑止防止があります。

 

  検挙防止とは「実際に万引き犯人を捕まえること」により“みせしめ”をつくって盗犯を防止することです。

  万引き犯人を捕まえれば警察官が店内で現場写真を撮ります。

  犯人を伴って行うこともあります。

  これを一般客が見ることになります。

  また、保安員が犯人を捕まえたり保安室に同行したりする現場を一般客が目撃することもあります。

  これらによって『あの店で万引きをすると捕まる』という風評ができ上がります。

  この風評によって万引き犯人を来させなくするのが検挙防止です。

 

  抑止防止とは「万引きをしようとしている者」に何らかの働きかけをして「盗ることをあきらめさせる」ことです。

  万引きをしようとしている者の近くを巡回したり立哨したりするのが一般的ですが、最近では『いらっしゃいませ!』と明るく“声かけ”をすることが行われています。

 

  検挙防止をするのが私服保安、抑止防止をするのが制服保安です。

   

  【4】検挙防止と抑止防止の長所・短所

 

  検挙防止の長所
 

  万引き防止に一番効果的なのが「捕まえること」です。

 「一人の万引きを捕まえれば二十人の万引きが来なくなる。一人の万引きを成功させれば百人の万引きがやって来る。」といわれるくらいです。

  今では携帯電話・メールなどですぐに噂が広まりますからその効果は絶大なものです。


  費用があまりかからないのも長所です。

  私服保安員を毎日入店させる必要はありません。

  入店日数を少なくしてもそれなりの検挙はあります。

  かえって、毎日入店させると万引き犯人を根こそぎ退治してしまい、万引きが来なくなってしまいます。

  万引きが来なくなれば捕まえることができません。

  実際に捕まえなければ“みせしめ”の効果は上がりません。

 

  検挙防止の短所
 

  効き目の強い薬ほど副作用が大きいものです。

  検挙防止の短所は「誤認逮捕・事後処理での人権侵害の危険がある」ことです。

  マスコミに興味本位で取り上げられようものなら店に致命的なダメージを与えてしまいます。

  「万引きGメンは二十人捕まえて独り立ち、百人捕まえて一人前」といわれています。

  そのくらいの場数を踏まなければ冷静に犯罪行為を見て人権侵害のないように適切に処理することができないのです。

  経験の浅いGメンでは誤認逮捕や人権侵害を起こしてしまいます。

  プロ集団による大量盗難を防げないのも検挙防止の短所です。

  相手はグループでやって来て2~3分で高額商品を大量に盗っていくプロです。

  Gメンの入店していないことやその売場にいないことなど簡単にわかります。

  しかもGメンの方は「今日も絶対一件検挙!」と食品売場で常習万引きやホームレス・中高生の小物万引きを狙いますのでプロ集団が見えません。

 

  抑止防止の長所・短所

 

  抑止防止の長所・短所は検挙抑止のそれとは正反対のものになります。

 

  『いらっしゃいませ!』と声かけをして万引きを防いでも、なんの“みせしめ”にもなりません。

  それは「ハエを追っ払った」だけのことです。

  『あの店に行くと、うっとうしい警備員がニコニコして「いらっしゃいませ!」と近寄ってくる。

  まったくウザッタイ。もうあんな店で盗ってやるかい!』と諦めるのを気長に待つしかありません。

    

  そのためには、制服保安員を毎日、営業時間中ずっと入店させなければなりません。

  万引き犯人に「もうあんな店で盗ってやるかい!」と諦めさせるには、

  「いつ盗りに行っても“いらっしゃいませ警備員”がいなければならない」からです。

  制服保安は私服保安と違って、「 居る時と居ない時 」 がはっきり判ります。

  万引きは制服保安の居ない時に安心して盗ることができます。
  制服保安が居ないときがあれば効果がないだけでなく、逆に万引きが増えることになります。

  このように検挙抑止に比べ莫大な費用がかかるのが抑止防止の短所です。

 

  抑止防止の長所は、実際に捕まえることがないので「誤認逮捕も人権侵害も起こらない」ことです。

  さらに、制服保安員に「今日も一件」というプレッシャーがないので:

  “常習万引き・小物万引き”にとらわれず広く不審者を見つけてその犯罪を防止することができます。

 

  大量盗難・異物混入・置き引きなどの防止には“いらっしゃいませ警備”が効果的です。

 

  また、そもそも「安心・安全で快適なお買い物空間」に忍者のような万引きGメンが潜んでいること自体が異様です。

  それは子供部屋に盗聴マイクや隠しカメラを設置するようなものです。

  時代の流れは「盗らせて捕まえる」ことから「盗らせないようにする」ことに変わりつつあります。

  

 

 

  【5】機械防犯システムの効果      

 

  ショッピングセンターには防犯タグや防犯カメラが広く採り入れられています。

  しかし、その防犯効果を上げるためにはタグ発報に対応する人員やカメラ監視をする人員が必要となります。

  その経費が大きな負担となります。

 

  対応する人員を配置しない機械防犯システムは「後の祭り防犯システム」にすぎません。

  単に万引き犯人を牽制する効果しか上がりません。

  牽制するだけならダミーで充分です。

 

  人間と同等の判断能力を持った機械防犯システムは作られていません。

  盗難防止・犯罪防止にはやはり人が当たらなければならないのです。

 

  【6】お店の雰囲気を明るくする制服保安      

 

  ことを盗難防止に限れば私服保安(検挙防止)と制服保安(抑止防止)には一長一短があります。

  しかし、制服保安にはもう一つの利点があります。

  それは「制服保安がお店の雰囲気を明るくする」ことです。

 

  『制服警備員が店の中にいれば店の雰囲気が暗くなるでしょう?』

 

  警備員が怖い顔をして黙って突っ立っていればそうでしょう。

  しかし、『いらっしゃいませ!』・『ありがとうございました!』とニコニコして店内を歩き回れば何の物々しさも感じさせません。

  逆に店内が明るくなります。                                         

  また、お客様も「頼れる警備員が店内にいる」ことで安心してお買い物を楽しめます。

  豊富な品揃え・磨き込まれたフロア・明るい照明・快適な空調・係員のテキパキとした対応、

  これらは“快適なお買い物空間”になくてはならないものです。

  これからは「頼れる“いらっしゃいませ警備員”」がなくてはならないものになるでしょう。

  ただし、そのための費用を覚悟しなければなりません。


 

  【7】制服保安導入の注意点

   まず、制服保安員自身がお店の雰囲気に合っていることが必要です。      

  「頼れる雰囲気・物腰の柔らかさ・立ち姿の綺麗なこと」が不可欠です。

 

  次に、制服保安員に犯罪処理能力がなければなりません。     

  店内犯罪は万引きだけではありません。 

  盗撮・痴漢・脅迫・置き引き・ストーカー・悪ガキ等々、さまざまなものがあります。

  それらを適切に処理する能力が必要です。

 

  最後に制服保安員に“自分自身にブレーキをかける能力”が必要です。      

  新人Gメンは万引き現場を実際に目撃すると頭が真っ白になって冷静さを失ってしまいます。

  冷静さを失えば“やり過ぎ・誤認・人権侵害”を起こしてしまいます。

  事に当たって冷静さを保つためには“自分自身にブレーキをかける能力”が必要です。

 

  制服保安は「制服を着た警備員がグルグルと店内を回っているだけのもの」ではありません。

  「不審者発見能力・犯罪処理能力」を持った私服保安員が制服を着たものでなければなりません。


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