クランクが井上ボーリングでOHされて戻ってきたのが12月末。
温かくなってきたのでやっとオートバイを触る気になりました。
もちろん、FJもRMXも眠ったまま。
インプレッサだけ「2006年・1500㏄・NA・MT・100PS」から
「2007年・ 2000㏄・ターボ・MT・250PS」CBA-GH8に変わりました。 → こちら
通勤の信号で「3000rpmからのターボ加速」を楽しんでいます。
125㏄バイクなら50m先で抜け るでしょう。
「8㎞/ℓ,プレミアガソリン」まったく気になりません。
「ECOモードなんかなぜあるの?」
車は雨の日も寒い日も楽しめます。
それに比べてオートバイのコストパフォーマンスの何と低いことか!
自分にとってのオートバイの存在意義」はさておき、ばらしたエンジンは組み立てなければなりません。
NSRのエンジンを触るのは初めて。
思わぬところでつまずきました。
なお、オートバイ,時計関係の記事は「次の作業のためのメモ・資料」として書いています。
オートバイ整備に関してはRMXがメインです。 → こちら
NSRは「動態保管バイク」なのであまり触りません。
当然、整備も初歩的なものになります。
NSRフリークの方の参考になるような記事ではありませんのであしからず。
- クランク取り付け
- ミッションオイルポンプ,クラッチ取り付け
- ピストン取り付け
- 排気バルブ清掃・取り付け
- シリンダ取り付け
1.クランク取り付け
a.仮組でセット状態を確認
クランクのセットは「クランクをロアケースにセットしてアッパーケースを重ねる」だけ。
ミッション別体なのでRMXのようにミッションを組み上げる必要なし。 → こちら
クランクシャフトの引き込み作業も、微妙な調整もなし。 → こちら
接合には液体ガスケットを使います。
まずは、仮組みをして各部品がどこにセットされるのかを確認。
●オイルシール位置
右ベアリングはスナップリング溝に、右オイルシールは出っ張りが納まる溝に。
オイルシールを逆にすると取り付けられないので逆組みの心配はなし。
ベアリングとオイルシールの間には隙間ができます。
ベアリングの突起もクランクケース段差に当たるように。
左オイルシールも同じ。
出っ張りが溝に入るので裏表を逆に組むことはありません。
しかし、左オイルシールには上下があります。
オイルシールの出っ張りは真ん中に付いていません。
この出っ張りが中心より下になるようにしないと溝に納まりません。
上の画像では右側が正解。
左側にして溝にセットするとクランクケースが合わせられなくて焦ります。
オイルシールは左右とも出っ張りのある規格外のものです。
純正部品があるうちにストックしておかなければなりません。
・右オイルシール : 91203-kv3-831(36 × 68 × 8) 2152円/個
・左オイルシール : 91205-kv3-771 (25 × 38 × 6) 585円/個
特に左オイルシールは「見るからに弱そう」なので頻繁な交換が必要でしょう。
ただし、オイルシールだけ外から交換することはできません。
クランクケースを割らなければなりません。
この点はRMXの方が整備性が優れています。 → こちら
クランクを仮セットしたら、アッパーケースを取り付けて「うまく接合できるかどうか」確認します。
接合ピンが三カ所にあります。
分解時に外れてなくなることがあるので部品注文のときに忘れずに追加。
・94301-10160(10 × 16)・2個 ※シリンダ接合ピン4個も同じ。
・94303-08140(8 × 14)・1個 ※クランクケースカバーの接合ピン2個も同じ。
※汎用カラーに10 × 15,10 × 20 や 8 × 15があります。これで代用できるでしょう。
b.クランクケース接合
○液体ガスケット
今回使ったのは「スリーボンド 1215」
RMXのスタッドボルト穴リコイル後の液漏れで使ったもの。 → こちら
ずいぶん前のものです。
●ノズルが必要
液体ガスケットは「接合面に塗り広げる」のではなく「接合面に盛って、接合時に外側へ広がっていく」もの。
「接合面に盛る」にはノズルが必要です。 → こちら
ノズルがなくなっていたのでホームセンターでコーキング用のノズルを入手。
・左側の「セメダイン8060・8070用替えノズル 」: 内径20.5㎜
・右側の「inouerコーキングノズルS」 : 内径16 ㎜
・スリーボンド1215のチューブ口外径は13.5 ㎜。
チューブ口にテープを巻いて「inoueノズルS」を使おうとしたけどノズルが外れてしまう。
「セメダイン8060・8070用ノズル」の根元を切ったら内径が14㎜強。
素材が硬くなくテーパー状になっているので、そのままチューブ口をねじ込めばしっかりと固定される。
inoue の方も同じことができますが、素材が柔らかすぎてチューブ口がしっかりと固定されません。
●「盛り」がどのくらいになるのかテスト
ノズル先端をどのくらいの大きさにするかで「盛り」の太さが違います。
画像の一番上のノズルは「セメダインスーパーX・135㏄」に付属していたもの。
下の二つが「セメダイン8060・8070用ノズル」の根元を切ったもの。
「真ん中のノズルで盛って、細かいところは一番上のノズルで」と決める。
●実際は
思ったように「盛れてくれません」。
結局「これでもか、これでもか」と「力ずく盛り」。
多ければはみ出るだけ。
「はみ出さずにシール不足かな?」と心配するよりまし。
なお、オイルシールが納まる部分にもシール盛り。
※ノックピン穴には塗布しないこと(サービスマニュアルP11-4)
ピン接合が弱くなるからでしょう。
●ボルト留めの後のはみ出し
ケース上側でのはみ出しはこの程度。
ケース左右のはみ出しは少し多いが拭き取ればよし。
ケース前側のはみ出しはは少し多い。
クランクホイールにもベットリ。
もちろん、拭き取れば問題なし。
○接合ボルトについて
●先にロアケースをボルト留め
クランクシャフトベアリングが納まる部分です。
アッパケースより先にボルト締め。※サービスマニュアルP11-4~11-5)
重要な部分だから、ボルト締めによる歪みやストレスを他の部分に逃がすためでしょう。
・全てM8ボルトでS/首下80㎜,M/首下85㎜,L/首下90㎜。
・前側左端にだけワッシャ(内径9㎜ × 外径11㎜ × 厚さ1.6㎜・90555-283-000)
※このワッシャはアッパケース接合ボルトにも一個使います。
・締め付けトルク : 2.1~2.5㎏・m
※締め付けトルクはボルト接合部にオイルなどが付いていない状態のものです。
締めつける前にパーツクリーナーを吹きつけて付着物を取り去ること。
・締めつける順は「内から外へ」
「後側真ん中 → 前側真ん中 → 後側右 → 前側左 → 前側右」でしょうか?
●次にアッパーケースをボルト留め
・後ろ側の4本はM6+銅製のシーリングワッシャ
・右側だけ首下30㎜、他の3本は首下25㎜。締め付けトルク : 1.0~1.4㎏・m
・前側の1本はM8・首下105㎜+ワッシャ(内径9㎜ × 外径11㎜ × 厚さ1.6㎜)
・締め付けトルク : 2.1~2.5㎏・m
※このワッシャはロアケース接合ボルトにも使ったものです。
ボルト締めの順番は「中から外へ」,「盛った液体ガスケットが外にはみ出る方へ」。
上の画像では「後側左二つ目 → 後側左三つ目 → 前側 → 後ろ側左 → 前側 → 後側右」でしょうか?
●時間を置く
スリーボンド1215の製品特性(25℃・湿度50%)
・脱脂して塗布後5分以内に接合。
・15~16時間でゴム状に硬化。
・3日後にシール効果が現れる。
○あのOリングは何だったのだろうか?
クランクケースを接合してクランクケース分割時のメモを見ていると、
「アッパケースのオイルポンプ後のボルトにはワッシャとOリング」。
当時の写真を調べてみると、
確かにボルトのネジ部にOリング。
こんなOリングなど付けなかったぞ!
このボルトのネジ部はロアケースのネジ穴にはまる。
ということはそこにOリングが必要だったのか?
しかし、パーツリストを調べてみても該当するOリングはなし。
ボルトの位置を確認してみると、
赤丸がアッパケースから取り付けるボルト位置、黄丸がロアケースから取り付けるボルト位置。
オイルポンプ後のボルトはアッパケースの左上、ボトムケースの右上。
ここはクランク右ベアリングの後。
そんなところにOリングは必要ありません。
「黒い液体ガスケットがボルトネジ穴に入って固まりOリングのようになった。それがボルトにくっついてきた」
と結論付け。
結構、焦りました。
- クランク取り付け
- ミッションオイルポンプ,クラッチ取り付け
- ピストン取り付け
- 排気バルブ清掃・取り付け
- シリンダ取り付け
2.ミッションオイルポンプ,クラッチ取り付け
シリンダーを取り付ける前にクランクケース右側を完成させます。
これはシリンダー取り付けのときにピストンを動かして馴染ませるためです。
右側が完成していないとキックアームでピストンを動かすことができません。
a.ミッションオイルポンプ
●忘れていたこと
そういえばミッションオイルポンプを取り外すときに取り付けボルトの一つをねじ切っていたんだ!
ポンプを取り外したときの写真です。
ボルトのネジ部が頭を出しているのでバイスプライヤーで外そうと思っていました。
しかし、すでにクランクケースを接合しています。
アッパーケースだけならバイスプライヤーがまっすぐに入って出ているネジ部をしっかりと掴めます。
接合したあとではバイスプライヤーが斜めにしか入りません。
「ポンチ → タガネ → バイスプライヤー」を繰り返していく内に「どうしようもない状態」に。
ヘリサートをするほどのこともないし、そもそも6Mのヘリサートキットがない。
逆タップで外せそうだけど入手するまでに時間がかかる。
※以前、キャブレターのスロージェットを外すときに安物のエキストラクターを使ったら曲がってしまった。
→ こちら
面倒なので横着にM5ドリルで下穴を開けてM6タップでネジ山再生。
下穴がまっすぐでないので「ネジ山の再生」ではない。
雌ネジ穴に埋もれたボルトの上からM6の雌ネジ穴を作っただけ。
しかも、貫通穴ではないのでネジ山不足。
それほど強度を必要とする場所ではないので首下16㎜ボルト(本来は18㎜)を使ってネジロック留め。
逆タップセットも揃えておく必要がありますね。
このくらいのものでないと使い物にならないでしょう。 → こちら,こちら,※JTC,HASCO
ミッションオイルポンプ取付で迷うのがOリングの位置。
・Oリング(8 × 1.5㎜)は二カ所(黄色い○印)
・ノックピン(5 × 8㎜)も二カ所(赤い○印)
上の二本のボルトが首下18㎜。
下のボルトが首下16㎜。
上の右側ボルトに首下16㎜を使いました。
オイル通路の清掃(エア通し)も必要でした(マニュアルP20-41)が忘れていました。
b.クラッチ取り付け
○ブライマリードライブギヤ
裏表はありません。
シャフトに乗せれば「ストン」とはまります。
そこが定位置です。
ヘリカルギヤなのでユニバーサルホルダが引っかかりません。
クラッチ(プライマリードリブンギヤ)を取り付けてからボルト留めをします。
プライマリードリブンギヤ(クラッチアウター)を取り付けてドライブギヤとの間にウエスを噛ませる。
この状態でプライマリードライブギヤボルトを規定トルクで締めつけられます。
規定トルクは9.0~10.0㎏・m
ネジロック不要です。
○クラッチ取り付け
●湿式クラッチです。
この順番でセットします。
スチールプレートに「焼け」はありますが「ゆがみ」はありません。
コルクプレートの厚みはどれも「3.0㎜+α」で問題なし。
※使用限度 : 2.5㎜
内側から「シート → ジャダー(外側に反る) → 薄いコルクプレート → スチールプレート → コルクプレート…」
クラッチセンタロックナット締めつけトルク : 5.0~6.0㎏・m
カシメは太いマイナスドライバーで。
このロックナットもストック必要部品 → 90241-km9-000 490円/個
●アウターの爪の状態
時計回転方向の前側
時計回転方向の後側
ともに「人指し指の腹でかすかに凹凸を感じられる」程度。
「ほとんど平坦」といってよい。
それほど過酷な使用をされていはいない。
●クラッチリフターロッドの方向
ロッドの片側の側面に穴。
断面も違います。
穴の空いていない方(画像の左側)が外側です。
●スプリング取り付けトルク
規定トルクが書いてないから迷います。
RMXのマニュアルにもかいてありません。
大昔のCR125マニュアルには100㎏・㎝,kX125マニュアルには90㎏・㎝。
RMXは「90~100㎏・㎝」で締めています。
ボルトが止まるところまで軽く締めておいて、100㎏・㎝で「一度締め」です。
追加締めをしてはいけません。
●クランクケースカバー取り付け
接合カラー(8 × 14)が2個必要です。
ガスケットも廃番になる前にストックを(RMXでは廃番なので切り出しが必要)
・11391-kv3-700 1483円/枚
- クランク取り付け
- ミッションオイルポンプ,クラッチ取り付け
- ピストン取り付け
- 排気バルブ清掃・取り付け
- シリンダ取り付け
3.ピストン取り付け
a.純正部品がまだ入手できます
Yahooオークションに出ているような「エンジンオーバーホールキット」です。
驚いたことに全てメーカーから純正部品で入手できます。
全部でいくらになるでしょう。
| 番号 | 名前 | バーツ№ | 単価 | 個数 | 合計 |
| 1 | ピストン/無印 | 13103-kv3-830 | 7150円 | 2 | 14300円 |
| 2 | ピストンリングセット | 131A2-kv3-701 | 3817円 | 2 | 7634円 |
| 3 | ピストンピン | 1311-kv3-771 | 585円 | 2 | 1170円 |
| 4 | クランクロッド小端部ベアリング | 91102-kv3-771 | 528円 | 2 | 1056円 |
| 5 | ピストンピンクリップ | 94601-15000 | 30円 | 4 | 120円 |
| 6 | シリンダーヘッドガスケット | 12251-kv3-830 | 1254円 | 2 | 2508円 |
| 7 | シリンダーガスケット | 12192-kv3-000 (680) | 511円 | 2 | 1022円 |
| 27810円 |
※B印ピストン → 13102-kv3-830
無印ピストン → 13103-kv3-830
D印ピストン → 13104-kv3-830
※リング,ピンは共通です。
Webikeに注文すれば「送料無料」です。
このセットがYahooオークションに28400円で出品されています。
落札者は送料と簡単決済手数料100円が必要です。
出品者は5%の手数料1420円と簡単決済手数料100円の合計1520円が差し引かれます。
出品者の儲け=28400円-27810円-1520円=-930円
落札者から送料を取り、Webikeから送料無料で送らせたとしても儲けはありません。
NSR好きのボランティア出品でしょうか?
b.シリンダの型式
今回取り外したシリンダの型式を確認。
●L型とH型
「乾式クラッチ仕様がL型、湿式クラッチ仕様がH型」とのネット情報。
車台番号 MC21-1016150 (湿式クラッチの7L型)ですが乾式クラッチ仕様のL型シリンダーが付いていました。
この「カ」刻印は乾式クラッチ仕様であることを表しているのでしょうか?
シリンダーヘッドはフロントが「KV3L-FR2」,リヤが「KV3L-RR1」。
L型シリンダーにL型ヘッドだからこれでよいのでしょう。
「H型のシリンダーヘッドの刻印はKV3H 」だとか。
●A型,B型,C型
それぞれに適合するピストンがあります。
・A型シリンダー (54.008~54.011 ㎜)→ B印ピストン(53.966~53.969 ㎜)
・B型シリンダー (54.004~54.008㎜) → 無印ピストン(53.962~53.965㎜)
・C型シリンダー (54.000~54.004㎜) → D印ピストン(53.958~53.961㎜)
※サービスマニュアルP22-31
※使用限度もシリンダーごと、ピストンごとに違ってきます。(サービスマニュアルP7-6~p7-7)
B型シリンダーなのでピストンは「無印」になります。
●フロントシリンダーとリヤシリンダーの区別
パーツリストでは
フロントシリンダー : 12210-kv3-830 と 12210-kv3-680
リヤシリンダー : 12220-kv3-830 と 1220-kv3-6802
ボートの形や位置がちがうのでしょうか?
なお、
フロントシリンダーのスタッドボルトは長さの違う三種類。
リヤシリンダーのスタッドボルトは6本とも同じ長さ。
c.紙ガスケット剥がし
厄介なのがシリンダーの紙ガスケット剥がし。
シリンダー側はもちろん、クランクケース側にも残っています。
クランクケースカバーにも残っています。
使用するのはスクレーパーの刃と塗料剥離剤(ガスケットリムーバーも同じ成分)
剥離剤はあくまで補助手段。
中心はスクレーパーの刃を当てて「削ぎ取る」こと。
スクレーパーの刃が紙ガスケットに食い込めば「スーッ」と剥がれていきます。
食い込ませるときにガスケットの下のアルミを削らないように。
刃を少し立てて食い込ませたら後は刃を水平にして(剥がす面にくっつけて)押す。
紙ガスケットをプラスチックハンマーで叩いて圧縮すると「食い込み」と「剥がれ」がやりやすくなるようです。
まだまだスクレーパーの刃でやれますが、このくらいで剥離剤を塗ると柔らかくなってやりやすくなります。
この程度になったらオイルストーンを当てて表面をきれいにします。
紙ガスケットを取り付けるときはエンジンオイルを両面に塗って接合面と馴染むようにします。
d.ピストンの状態
こうして並べると「使用する上で問題なし」のように見えますが、
井上ボーリングで「コンロッド大端部にガタありでコンロッド交換をした」ので、
ピストンはそれなりのダメージを受けているはずです。
●ピストン1
残念ながら「フロントかリヤかのメモを取る」のを忘れてしまいました。
吸気側に「爪にはっきりと引っかかる」深い縦傷二本。
排気側に「爪に引っかかって分かる」縦傷多数。
ピストンヘッドには問題なし。(カーボンを取って少し磨いた状態です。)
●ピストン2
吸気側に「浅く短い」縦傷多数。
排気側にも浅い多数の縦傷。
RMXなら「この程度の縦傷」でも使います。
しかし、ヘッドの状態に「驚き」です。
ヘッドはガリガリ状態。
擦れる場所ではありません。
どのような原因でこのような傷ができるのでしょう?
ヘッドの上端は磨耗していません。
ピストン,リング,ピストンピンは全て新品に交換します。
e.ピストン,ピストンリング
●ピストンの「IN」側
マニュアルには「ピストンのIN印側を吸気側にすること」。
しかし「IN印」は刻印ではなくプリント。
新品でない限り「IN側」が分からない。
「IN側」は「ピストンリングストッパのある方」です。
●トップリングとセカンドリング
トップリングの入る溝は「上側が中心に向かって低く」なっています。
だから、トップリングも「中心に向かって低く」なっています。
上がトップリングで下がセカンドリングです。
しかし、この判定方法には虫眼鏡が必要です。
簡単な判定方法は「合口の広さ」。
下がトップリングで上がセカンドリングです。
「合口の広い方がトップリング」です。
マーク(画像ではN)のある方が上です。
MC21ではセカンドリングにエキスパンダは入りません。
RMXではセカンドリング溝にエキスパンダが入るのでセカンドリングの巾が狭くなっています。
- クランク取り付け
- ミッションオイルポンプ,クラッチ取り付け
- ピストン取り付け
- 排気バルブ清掃・取り付け
- シリンダ取り付け
4.排気バルブの清掃・取り付け
a.排気バルブ取り外し
RMXの排気バルブ-(スズキAETC3)は何度も触っていますがNSRは初めて。
まずはネットで取り外し方の情報収集。
プライヤーで挟んで「てこ」で抜いてもOKらしい。
しかし、構造が分からないので慎重に。
「ボルトを使って水平に引き抜く」やり方で。
a : M6 × 首下80 ㎜ ※60 ㎜程度で可
b : M6ナット
c : M6丸座金 ( M6 × 20㎜ ) ※プレートの溝巾が7㎜あるのでナットがプレートに引っかからない。
d : M6逆ネジナット ※プーリー取り付けネジで可
e : 既製品プレート ( 25㎜ × 100 ㎜ × 厚 2.9 ㎜,巾7 ㎜ × 80㎜の溝 )
※溝長さは50㎜程度で可。もう一回り小さいものでもよい。
※プレートに穴を開けてもよいが、長溝の方がプレートが逃げるのでバルブシャフトを水平に引っ張れる。
両側のナットを動かしてプレートでバルブ引っ張って抜く。
長ボルト自体も緩むので長ボルトの頭にもレンチを当てる。
シリンダーを膝の上に置いて作業するとよい。
プレートが斜めにならないようにナットを左右均等に動かしていくがそれほど気にする必要はない。
プレートが斜めになっても長ボルトやバルブシャフトが長溝の中に入っているのでプレートが動く。
プレートが動けばプレートがバルブシャフトを斜めに引っ張る力を逃がしてくれる。
「固い」のはダストシールが外れるまで。
長ボルトのナットが軽くなったら、プレートをそのまま押し出せばよいが無理はしない。
あくまでナットで少しずつ。
b.排気バルブの状態
バルブ取り外しは「排気孔から指を入れて、バルブをシリンダーの中に落とす」
カーボンでガチガチになっています。
RMXのバルブのようにタール汚れはありませんが、定期清掃が必要。
ダストシール ( オイルシール ) は内径 × 外径 × 厚さ=9 × 18 × 7 ㎜。
規格外なので汎用品で代替できない。
純正部品があるうちにストックしておきましょう。
※91201-pa9-004 220円/個
凹面が内側。
差し込んであるだけ。
クリップで止まる。
「灯油漬け → スチールウール → キャブクリーナー → パーツクリーナー」でこの状態に。
バルブ穴は細いマイナスドライバーを差し込んでグリグリと貫通させる。
バルブの出っ張りがある方が上側 ( ヘッド側 )
c.仕組み
シリンダーを逆にしています。
バルブ室の天井にバルブの出っ張りが納まる部分があります。
ここもきれいにしておかなければなりません。
「もう少しきれいにしておくべきだった」と後悔。
バルブの上側の出っ張りが納まった状態。
これが「バルブ全開」状態。
そのまま力が加わらないとバルブは自重で下に下がる。
次の画像がその状態。
上から見ています。
バルブシャフトが回るのは30度弱。
これで全域の排気タイミングを調整するのだから緻密な電子制御が必要なのでしょう。
「モーターの回転運動 → バルブの回転運動」だから伝達ロスや故障も少ない。
スズキのAETC3 は「円運動 → 水平運動 → 円運動 → 上下運動 → 円運動 → バルブの斜め直線運動」。
これをすべて機械的にやるので運動ロスが大きく緻密さがありません。 → こちら
バルブの動きが円運動で斜め上下運動でないので、
「バルブがシリンダーにはみ出してピストンで削られる」こともなさそうです。 → こちら
これを「電子制御とモーターを使わずに機械的にやれれば」画期的なのですが。
d.取り付け
●バルブの取り付け
①シリンダーを逆さまにして立てる
②バルブをバルブ室にセットする。
③バルブシャフトを少し差し込む。
④シリンダーを逆さまにしたまま下から左手を入れ、中指と人指し指でバルブを押さえる。
⑤そのままシリンダーを逆にして、右手でシャフトをバルブに差し込む。
⑥このときバルブを押さえている中指と人指し指を調整してシャフトが入るようにする。
●シャフトの取り付け方向
バルブシャフトの断面は「6㎜の正方形」。
シャフトの取り付け方によってシャフトの平坦面がシリンダーに対して縦になる場合と横になる場合があります。
上の画像のように「シャフト平坦面がシリンダーに対して横になる」のが正解。
これでバルブプーリーが正しくセットされるようになっています。
なお、フロントシリンダーも同じように「シャフト平坦面がシリンダーに対して横になる」ように取り付け。
フロントシリンダーは斜め下方向に取り付けられますが、バルブプーリーの切欠きがリヤシリンダーと異なります。
●ちょっと疑問
上の画像の状態でバルブシャフトを「右に回せばバルブが上がり、左に回せばバルブが下がる」。
ところがバルブプーリーは「前側 ( 右側 ) が引き側で後側 ( 左側 ) が押し側」
そのためモーターが動いてプーリーを引っ張ればバルブが下がり、モーターが止まればバルブが上がる。
「スロットルを開ける → 回転が上がる → モーターが動く → プーリーを引っ張る → バルブが上がる」
というイメージの逆になります。
そのような単純な仕組みではないようです。
●ダストシールの取り付け
凹面が内側。
リップ部にグリスを塗ってシャフトに差し込み「押し込む」。
シャフト入り口からEクリップまで8.3 ㎜。
ダストシールの厚さは6.85 ㎜。
「ツライチ」に打ち込んでもEクリップには届きません。
安心して打ち込みましょう。
しかし、ソケットを当ててまで打ち込む必要はありません。
これが指で押した状態です。
この上からガイドベースを取り付けるのでガイドベースに押されて「自然とツライチ」になります。
- クランク取り付け
- ミッションオイルポンプ,クラッチ取り付け
- ピストン取り付け
- 排気バルブ清掃・取り付け
- シリンダ取り付け
5.シリンダ取り付け
a.シリンダとシリンダヘッドの状態
●フロントシリンダー
バルブ室の上に「横線傷」がありますが問題はないでしょう。
「この柱にクラックが入るとダメ」とのネット情報ですがクラックはありません。
爪に引っかかるような縦傷はありません。
良好な状態ではないでしょうか?
●リヤシリンダー
柱に「二本の横傷がある」ように見えますが、爪で触って引っかかりを感じるものではありません。
問題ない状態です。
●シリンダヘッド
問題ありません。
b.ピストンが横方向にずれる?
シリンダー取り付ける前にピストを触ると「横方向に2㎜くらい動く」。
えっ!大丈夫なの?
ピストンをはずして計測。
・コンロッド小端部巾 : 16.3 ㎜
・ベアリング巾 : 17.2 ㎜
ベアリングがコンロッド小端部から少しはみ出すのは当然だから問題なし。
コンロッドは井上ボーリングで交換済みだから問題なし。
ベアリングが納まるピンの巾 : 20㎜
ピストンとピストンピンは新品だから問題なし。
結局、巾20 ㎜の場所に巾17.2㎜のベアリングが納まるのだからピストンが横方向に動くのは当たり前。
今まで「ピストンは横方向に動かないものだ」と思っていたので少し驚きました。
c.リングコンプレッションはやはり指
ピストンをシリンダーにはめるには
・二本のリングをリングストッパーに当てて縮める。
・リングをこの状態にしてシリンダーをかぶせる。
通常、片方の手で二本のリングを縮め、もう一方の手でシリンダーをかぶせます。
これができるのはシングルかシリンダーが独立しているVツインだけ。
シリンダーが並んでいる場合はあらかじめリングを縮めておくピストンリングコンプレッサーが必要です。
RMXの整備で「綿棒ケースを使った代用品」を考えました。 → こちら
これを使ってみました。
綿棒ケースを帯状に切ってピストンリングに巻き付け、
リングストッパーで止まったままにしてタイラップで締めつける。
このままシリンダーで綿棒ケースの帯びを押していく。
簡単にできそうだけどなかなかできません。
面倒なので片方の手で縮めて片方の手でシリンダーを入れました。
フロントシリンダーの場合はエンジンを裏返してシリンダーを取り付けます。
もちろん、「片方の手でリングを縮め、片方の手でシリンダーをかぶせる」やりかたで。
d.上死点で締める?
●まずは排気バルブのチェック
排気バルブの最終確認です。
バルブを指で動かしてしっかりとシャフトにはまり動作に問題がないか問題がないか
バルブが下がった状態(低回転)
ピストンがバルブ先を通ったときに排気が始まります。
回転が上がればバルブが上がり、排気タイミングが早くなっていきます。
排気ポートの少し下が下死点。
リヤシリンダーです。
こちらがフロントシリンダー。
なお、排気バルブの取り外しと取り付けはこの段階でやれます。
シリンダーヘッドを外せばよいだけなので定期点検は可能でしょう。
●シリンダ,シリンダヘッド取り付けで「いつもやっている方法」
・シリンダ仮付け
・キックアームを取り付けてピストンを動かして馴染ませる
・ピストンを上死点にする
・シリンダ本締め(2.3~2.7㎏・m)
・ピストンを動かして馴染ませる
・ビストンを上死点にする。
・ピストンヘッドを本締め(1.2~1.6㎏・m)
この状態でシリンダもシリンダーヘッドも本締めしています。
30年前にCRを整備していたときからこうやっています。
NSRのマニュアルに「上死点で締めること」が書いてないのでRMXのマニュアルで確認。
これにも書いてない。
30年前のCRやKXのマニュアルを調べても書いてない。
結局、オートバイ整備を始めたころにどこかの整備本で読んだのでしょう。
だから、この方法が正しいかどうか分かりません。
e.シリンダヘッドの方向
こんなところでつまずきました。
フロントもリヤも丸いマークが前になります。
やっとエンジンが完成しました。
次は車体への搭載です。
