きけん・危険! 見様見まねの保安警備

 

 


保安警備と法律知識

私服保安警備の業務について、いろいろな鉄則があります。        

「 なぜそうなのか 」 が分かるでしょうか ?

まずは簡単なものから。

「 単品禁止 」 ・ 「 逃げたら追うな 」 ・ 「 まず身分を告げよ 」                                 

お分かりですね。

「 単品禁止 」 は 「 見間違い・途中で商品を捨てられる危険 」 を防ぐためです。

「 逃げたら追うな 」 は犯人の逃走途中で犯人や他の者がケガをすることを防止するものです。

「 自分の身分を告げる 」 のは犯人の逃走や反撃に正当理由を与えないためです。

 

では、犯人が盗った商品を捨てた場合はどうしますか ?           

その商品を拾い、犯人を追いかけて捕まえていませんか ?                      

これは誤認逮捕になる危険があります。                                      

なぜだかわかりますか。

えっ ? 『 捨てた商品なんか犯人を捕まえてから回収すればいいじゃない! 』 ですって ?

怖い・コワイ。


これはどうですか ? 「 店外10mでの声かけ 」 。

その通り! 「 犯人の窃盗故意を証明するため 」 ですね。

それでは、 「 犯人が商品を3点ポケットに入れて、1時間半 後に店外した場合 」 はどうですか ?

もちろん、犯人を見失っていないし、商品を捨てられていないことが確実な場合です。

こんな場合に、犯人を店外10mで捕まえれば違法現行犯逮捕となり、犯人が無罪になる可能性がありますよ。            

なぜですか ?

小学一年生の子供がスナック菓子を三袋盗ってすぐに店外しました。

その小学生に手をかけて捕まえたら違法逮捕になりますよ。

もちろん、ご存じですよね ?                  

「 声かけから警察連絡までは30分 」 これは知っていますね。                                      

 「 任意同行 ・ 任意引き止め 」 であっても、犯人が後から 「 強制された 」 と言うことがあるからです。

30分の引き止め なら 「 現行犯逮捕 」 の逮捕行為に含まれますからね。

 

「 犯人の承諾があっても、保安員が犯人のポケットやバッグから被害商品を取り出してはいけない 」 。
これは 「 強制捜索を主張される 」 のを防ぐためですね。

しかし、被害商品の値段を調べるためにその商品を持ち出す時に犯人の承諾を得ていますか ?

 『 えっ? そんなもの必要なの? 』

では 「 着手現認 ( 棚取り現認 / 商品を手に取るところを見ること ) がなければ捕まえてはいけない 」 のはなぜでしょう ?                     

そんなの当たり前でしょッ! 犯人が商品を手に取るところをみなければ、犯人の持っている商品は 「 犯人が初めから持っていたもの 」 かも知れないじゃない! 』

確かにそうですね。                                     

しかし 「 犯人がその商品の前にいた。しかし、手には何も持っていなかった。
一瞬、あなたが犯人から目をそらした。
次に、見たときに 「 犯人はその商品を持っていた。そして、犯人のそばに誰もいなかった。 」

こんな場合はどうですか ?

 

『 だって、単品でしょう。当然、見送りですよ! 』

なるほど。

では、同じ状態で二点目・三点目があればどうですか ?            

単品ではないし、犯人が初めから持っていた物でないことは確かですよ。

『 しかし…。棚から手に取るところを見ていないからなぁ…。 』

 

迷ってはいけません。 「 当然、見送り 」 です。

着手現認が必要なのは 「 その商品は犯人が初めから持っていたものかも知れない 」 からではなく、
「 着手現認がなければ、その商品が店のものであることが証明できない 」 からなのです。

ことは 「 疑わしきは被告人の利益による 」 という刑事裁判の原則に関係しています。

単なる 「 誤認防止 」 の鉄則ではないのです。

世間で言われている 「 万引きGメンの鉄則 」 を 聞きかじりで理解していると大変なことになります。   

「 なぜそうなのか 」 を法律的に理解している必要があります。 

 

自社保安員・見様見まねの素人Gメン       

最近、ショッピングセンターが自社で雇った者を店の保安担当にすることが行われています。          

また、私服保安業務に精通していない警備会社が保安業務を行っている場合もあります。

上に挙げたことが 「 当たり前のこと 」 であれば何の問題もありません。

しかし、 『 えっ? そうなの ? 』 という状態では非常に危険です。

自社保安員や私服保安警備員に対する 「 しっかりとした保安教育 」 が必要です。

これは制服警備員でも従業員でも同じです。

まずは、 「 店長のための保安のイ・ロ・ハ 」 を参考にしてください。              


『 ちょっと不安だなぁ~。1号の指導教育責任者資格はあるけれど私服保安なんかやったことがないから…。 』

ご連絡ください。

私が教育に伺います。                          

               

 

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