FJ1200-4CC整備資料




2014.03.08  FJ キャブレター清掃・組み付け/その 2 - 初心者でもよく分かるキャブレター同調


キャブレター清掃・組み付け の続きです。

簡易油面測定、同調、組み付け方法について書いてあります。

同調については、調整ネジの動きから説明してあります。
演習問題もあります。
4連バキュームゲージを入手して、初めて同調作業をしようとする方は必読です。


    
1
.油面の簡易測定について


FJ-4CC の簡易測定 ( H寸法 ) での 基準値 は 21.3㎜ ~ 23.3㎜ です。

測定は次のようにします。

 ①キャブレターを逆さまにしてフロートバルブを沈み込ませる。
 ※この位置でフロートバルブが燃料を止めます。

 ②フロートアームの突起 ( リップ ) をフロートバルブの突起に触れさせる。
 ※フロートバルブの突起はバネで上下に動きます。当たり始めにします。

 ③キャブレター本体 ( ミキシングボディ ) と フロートチャンバの合わせ面から、
     フロートの上端 ( 一番高い点 ) までの高さを測る。
 ※写真では水平部分までのように見えますが、水平部分の右端が一番高い点です。
 ※実油面では外側に見えている合わせ面から測りますが、
     簡易測定では フロートチャンバの上端 がミキシングボディに当たる面から測ります。

 ※マニュアル P5-6 の図が不明瞭なので一般的なH寸法測定法で説明しました。
      間違っていたらご容赦ください。



実際には、
・キャブレターを逆さまにし左手で持つ。
・左手の中指をフロートの向こう側に当て、フロートアームリップがバルブ突起に触れる位置で止める。
・右手で持ったノギスの穴深さ測定部分で、ミキシングボディ上面からフロート最高点までの高さを測る。

  高さの目安は、
  ・ピン穴の上端までが 22㎜、
   ・ピンにかぶさっているアームの回転部の上端までが 23.3㎜、
   ・ピンの上部 1/4 弱までが 21.3㎜ です。
   ・なお、ピン外径は 2.45㎜Φ、ピン穴内径は 2.5㎜Φです。

  アームを水平にすると、その上端面の延長線が ピン上部 1/4弱を通ります。
  この時、フロート上端はアーム上端面と一致しています。

  つまり、フロートアームを水平にしたときに、
  ・リップがバルブ突起の先端に触れた瞬間なら H寸法は 21.3㎜ で調整不要。
  ・まだ触れていなければ H寸法は 21.3㎜より小さいので、リップを出して調整。
  ・すでに触れていれば、
    触れ始めるところまでアームを上げてフロートの最高位置が23.3㎜までならOK。
    それ以上なら、H寸法は23.3㎜より大きいので、リップを引っ込めて調整。




アームのリップは頑丈なので通常使用で曲がることはないでしょう。

フロートバルブやニードルバルブの磨耗、ニードルバルブOリング交換による取り付け位置の変化などでも油面高さは変わります。
しかし、それらは微小なもので、油面高さ許容巾の2㎜以内に収まるでしょう。

だから、エンジンの調子が悪くなければ油面高さは気にしなくてもよいし、油面測定はする必要はないでしょう。


今回は、2番キャブレターのフロートピン挿入の最後にマイナスドライバーを当てて叩き、そのドライバーが滑ってフロートアームを反らせてしまったのです。
そこで、アーム修正 ・ 油面測定が必要になったのです。

1番,3番,4番キャブレターは どれもピン穴より少し上、ノギスで測ると 22.3㎜。 規定値の中間となっていました。
アーム部分から出ているリップの状態はその上面が少し隠れるくらいになっていました。

2番キャブレターのフロートアームとリップの隙間にマイナスドライバーを差し込んで調整し、2番の油面も22.3㎜に調整しました。


・ 実油面規定値は、ドレンに透明パイプをつなげてドレンボルトを緩めて測定します。

・ 規定値は外側の合わせ面を基準にして下へ 4.5㎜~5.5㎜です。

・ 今回は測定していません。
 


・ 実油面測定をキャブレターだけでする場合は、
   バイクを水平にしたとき ( メインスタンドを立てたとき ) のキャブレター角度で 
   キャブレターを固定する必要があります。
   この角度αは 前傾13度くらいです。 ( 非常に不確かな測定です )。

・マニュアルではキャブレターをエンジンに取り付けて測定するようになっています。
  エアクリーナーは取り付ける必要はありませんので、
  キャブレターの取り付け取外しは、それほど面倒ではありません。

・フロート調整もキャブレターを分離せず四個を連結したままでやれます。

・キャブレターを あやふやな方法であやふやな13度に固定して測定するより、
  エンジンに取り付けて測定した方が確実でしょう。




 ・簡易測定油面と実油面では測定基準面が異なります。
   このことが少し引っかかりますが、この違いを含めての基準値なのでしょう。





2.初心者でもできるキャブレターの同調




a.同調,バタフライ開度,負圧測定,負圧計


( 同調 
)

4気筒エンジンは 「 四人五脚 」 です。
四つのエンジンの足並みが揃っていなければスムーズな回転が得られません。

そのためには、各キャブレターの空気吸い込み量を同じにして、各シリンダーに供給される混合気の量を同じにしなければなりません。

これがキャブレターの同調です。


( バタフライ開度 )

キャブレターには空気の吸い込み量を調整する部分があります。

上下するシリンダー ( スロットルバルブ) や 回転する蓋 ( バタフライ ) がそれです。

FJ のキャブレターは BS36でCV ( 負圧 )  キャブレターです。

スロットルワイヤーが引かれると、シリンダー側のバタフライ (スロットルバルブ)が回転して開き、その負圧でエアクリーナー側のシリンダー(ピストンバルブ)を押し上げるようになっています。
 
バタフライは下側が持ち上がるようにして回転し始め、スロットル全開で水平になります。


キャブレターの空気吸い込み量はこのスロットルバルブの上がり量やバタフライの開き量で決まりますが、以下では、これらをまとめて 「 バタフライ開度」 とします。


バタフライ開度は同調ネジで調整します。


バタフライ開度の調整は目視でもできます。

この場合は、同調ネジで 各バタフライが同時に開き始めるようにします。
開き始めが同じなら、あとは同じように開いていくからです。

バタフライに堅い紙片を挟み、スロットルを動かして 「どの紙片が早く動くか 」 によって、開き始めの早いバタフライを見つけることもできます。


( 負圧測定 )

バタフライ開度を調整する方法として、「 キャブレター出口の圧力を測定しこれを同じにする 」 というものがあります。

空気は気圧の高い場所から低い場所に流れます。
キャブレターに空気が吸い込まれるのは、キャブレター出口 ( シリンダー) の気圧がキャブレター入口 ( エアクリーナー) の気圧より低いからです。

エアクリーナー側の気圧は 大気圧/1気圧ですから、シリンダー側の気圧はこれより低くなっています。

大気圧より低い気圧を負圧といいます。

「 負圧が大きい ・ 高い 」 とは 「 気圧が小さい ・ 低い 」 という意味です。

シリンダー側の負圧はピストンの動きによって作られますから、エンジン回転数が同じなら負圧は各気筒とも同じです。

しかし、各気筒のバタフライ開度が同じでなければ負圧が同じになりません。

バタフライ開度が小さい気筒では、バタフライ開度が大きい気筒より鼻づまり状態になり負圧が大きくなります。
※ピストンの動きによって吸い込まれた空気の流れがバタフライによってじゃまされると、その部分の流速が速くなり圧力が低くなる。(ベルヌーイの定理)。

つまり、バタフライが閉じられれている(バタフライ開度が小さい)気筒ほど負圧が大きくなり、
バタフライが開けられれている(バタフライ開度が大きい)気筒ほど負圧が小さくなります。

各気筒の負圧を測定し、それが同じになるように調整してバタフライ開度を同じにするのが同調です。


( 負圧計)

負圧を測定するのが負圧計です。

目盛りは 0~76cmHg。
針が 0 を指せば、負圧ゼロで大気圧/1気圧。
針が 76cmHg を指せば、-76cmHg/-1気圧 で真空状態となります。

そのため、真空計 ( vacuum gauge/バキュームゲージ  ) とも呼ばれます。


負圧計の針は、
バタフライ開度を大きくしていくと、負圧が小さくなっていくので、針は0に近づいていきます。
逆にバタフライ開度を小さくしていけば、負圧が大きくなっていくので、針はmaxの 76cmHgに近づいていきます。


( 注意 )

・キャブレター番号は、吸気側 ( エアクリーナー側 ) から見て、左から 1番,2番,3番,4番です。
・右 ( R ) と 左 ( L ) も 吸気側から見た場合の右と左です。
・以下の写真は、キャブレターをシリンダー側から見ていますので、キャブレター番号と右左 ( R ・ L ) が逆になっています。



b. 3番 と 4番 の動き


( コの字ジョイントがバタフライ開度を変える )

・各キャブレターにはバタフライに直結されたシャフトが通っています。
・各々のシャフトは両端で  「 コの字形ジョイント 」 によってつながっています。

・スロットルワイヤーは 3番につながっています。
・スロットルワイヤーが引っ張られると 3番のシャフトが回り、
  それが 「 コの字形ジョイント 」 を介して 他のキャブレターのシャフトを回します。

・写真は 3番と4番です。

・スロットルワイヤーが引っ張られると 3番シャフトが回転し3番バタフライが開きます。  
  それと同時に、3Rと4L を介して 4番シャフトが回転し、4番バタフライが開きます。

・3Rが動けば 3番バタフライが開き、4L が動けば4番バタフライが開きます。
  だから、3Rと4Lの当たり具合を変えれば、
  3番バタフライ開度と4番のバタフライ開度が変わることになります。




( 同調ネジを締め込むとどうなるか )


イ.同調ネジが 3Rに触れた状態


  同調ネジを締めて、3Rとの隙間をなくした状態です。
  
  スロットルワイヤーが引っ張られると、3Rは反時計回りに回転します。
   
  3Rと 同調ネジの間に隙間はありませんから、3Rが回転すると同時に4Lも回転します。

  つまり、3番バタフライと4番バタフライが同時に開き始めることになります。

  この場合が  「3番バタフライ開度=4番バタフライ開度 」 と仮定します。

  ここで、3R が 4Lの穴の位置にあることに注目してください。
  同調ネジをさらに締めるとこの位置が変わります。 
  




ロ.同調ネジをさらに締め込んだ状態

  同調ネジをさらに締め込みました。
  3R が 4L 穴よりも後ろにずれています。

  これは 「 3R が後ろにずれた 」 のではなく、 「4L が前にずれた 」 のです。
  
  3R は 3番シャフトに固定されて動きません。
  この 3Rに 4L がバネと同調ネジでくっついているのです。
  だから、同調ネジを締め込んだときに動くのは 4L の方なのです。

  ただし、4L も 4番シャフトに固定されていますから 水平方向には動きません。
   4L は反時計回りに動きます。
  
  写真では 4L が 3R より前下りになっています。
  この角度だけ、4L は 3R よりも 反時計回りに送られたのです。
  写真の反時計回りはバタフライが開く方向です。

  つまり、4番バタフライ開度が3番バタフライ開度より大きくなったのです。





( 4番バタフライ開度を3番バタフライ開度より小さくするには )


『 質問です!』

どうぞ。

『 同調ネジを締めて3Rに触れた状態が  「 4番バタフライ開度=3番バタフライ開度 」 で、
  それより締め込んだ状態が 「 4番バタフライ開度>3番バタフライ開度 」 ですよねぇ。』

そうですよ。
「 イ.同調ネジが3Rに触れるた状態 」で バタフライ開度が同じになると仮定していますけどネ。

『 それなら、 「 4番バタフライ開度<3番バタフライ開度 」 にするにはどうしたらいいのですか?』

細かいことを突いてきますね…。

『こんな写真を見つけたのですが、同調ネジと3Rがこういう状態のときバタフライ開度はどうなっているのですか?』


ハ.同調ネジと3Rに隙間がある状態

これはボツにした写真じゃないですか!  仕方がないので説明しましょう。

  この場合、スロットルワイヤーが引かれて 3Rが反時計回りに回転し、
  3Rが同調ネジに触れるまで 4Lは動きません。

  この状態では4番バタフライ全閉で、4番負圧はmaxです。

  だから、こんな状態 ( 同調ネジと 3Rに隙間がある状態 ) で同調していることはありません。

  ここから、アイドリンク調整ネジで 3Rを反時計回りに回転させ、
  3Rが同調ネジに触れた状態ではじめて同調しているかどうかが問題となります。

  3Rが同調ネジに触れると、3Rは4Lの穴より前にずれることになります。
  この回転角の分だけ、 3番バタフライ開度が4番バタフライより大きくなっています。
   
  このようにすれば 「 4番バタフライ開度を 3番より小さくすること 」 ができます。





『 ややこしい説明ですね。 何か騙されたような気がするのですが…。』

私も 「 騙しているような気がする 」 ので、説明を省いたのです。

だから、この説明の正しさは保証しません。


結局、3・4ネジと3番バタフライ,4番バタフライの関係は、

「 3・4ネジを締めれば4番バタフライ開度が大きくなり、 3・4ネジを緩めれば 4番バタフライ開度が小さくなる。」

これを負圧で言い換えれば、

「 3・4ネジを締めれば、4番の負圧が下がり、 3・4ネジを緩めれば、4番の負圧が上がる 」 

これが、3番と4番の動きです。



c.3番,2番,1番の動き


2・3ネジを締めたり緩めたりするとどうなるか?
1・2ネジを締めたり緩めたりするとどうなるか?

もう、分かりますね。下の写真を見て考えてください。

  答えは、 ・2番と3番の関係

  2・3ネジを締め→2Rがスロットルの開く方向へ送られる→2番バタフライ開度が大きくなる。
  2・3ネジを緩める→2Rが反対方向へ戻される→2番バタフライ開度が小さくなる。
 ※厳密には、
  2・3ネジを緩める→3Lとの間に隙間ができる→アイドリングネジで2Rをスロットル方向へ送る
  →3番バタフライ開度が大きくなる→2番バタフライ開度が3番より小さくなる。
 つまり、2・3ネジを締めれば 2番の負圧が下がり、緩めれば2番の負圧が上がる

・2番と1番の関係
  1・2ネジを締める→1Rがスロットルの開く方向へ送られる→1番バタフライ開度が大きくなる。
  1・2ネジを緩める→1Rが反対方向へ戻される→1番バタフライ開度が小さくなる。
 つまり、1・2ネジを締めれば 1番の負圧が下がり、緩めれば1番の負圧が上がる






d.同調ネジで 3番負圧は調整できない


以上をまとめてみましょう。

初めて同調をする方はしっかりと頭に刻み込んでください。

  3・4ネジを締めれば、4番負圧が下がる。3・4ネジを緩めれば4番負圧が上がる。
  2・3ネジを締めれば2番負圧が下がる。 2・3ネジを緩めれば 2番負圧が上がる。
  1・2ネジを締めれば 1番負圧が下がる。1・2ネジを緩めれば1番負圧が上がる。

  3番負圧はどの調整ネジでも調整できません。
  これは3番が基準になっているからです。
  3番を基準にして、3番に4番と2番を合わせる、そのあとに2番に1番を合わせる。その結果、4番,3番,2番,1番の四個の負圧が同じになります。




e.アイドリング調整ネジと同調ネジとの関係


アイドリング調整ネジを締めたり緩めたりすると、各バタフライの開度はどうなるでしょうか?
アイドリング調整ネジを別の角度から見てみましょう。


( アイドリング調整ネジの役割 )

  アイドリング調整ネジを締めると、
  スロットルワイヤードラムを押し上げ、ドラムをスロットルの開く方向に回します。
  スロットルワイヤードラムは3番シャフトに固定されています。
  ドラムがスロットルの開く方向に回れば、3番バタフライ開度はその分だけ大きくなります。

  これと同時に
  3番シャフトの動きは 3Rと4Lを介して4番に、3Lと2Rを介して 2番に伝わり、
  さらに2Lと1Rを介して1番に伝わります。

  その結果、
  4番,3番,2番,1番のバタフライ開度がアイドリングネジを締め込んだ分だけ大きくなります。

  このように、
  アイドリング調整ネジはすべてのバタフライ開度を同じ量だけ変化させる働きをしているのです。





アイドリング調整ネジでアイドリングを上げた場合、すべてのキャブレターの負圧が同じだけ下がります。
これは、アイドリング調整ネジがすべてのバタフライ開度を同じ分だけ大きくしたからです。

逆に、アイドリング調整ネジでアイドリングを下げれば、すべてのキャブレターの負圧が同じだけ上がります。


( 2・3ネジを締めるとアイドリングが上がり、緩めるとアイドリングが下がるのはなぜか?)

これは同調作業中に経験することですが、その理由を考えてみましょう。

まず、思いつくのが
「 2・3ネジを締めると、スロットルワイヤードラムがアイドリング調整ネジの方向に押し下げられる。
  このため、アイドリング調整ネジの締め込み量は変わらなくても、アイドリング調整ネジを締めたのと同じ結果になる。
  だから、2・3ネジを締めるとアイドリングが上がる。 」

これは間違いです。

上の写真をよく見てください。

2・3ネジを締めて動くのは2Rで 3Lではありません。
3Lが動かなければ、スロットルワイヤードラムは動きません。
だから、2・3ネジを締め込んでも、スロットルワイヤードラムがアイドリング調整ネジの方向に押し下げられることはありません。


では、なぜ2・3ネジを締めるとアイドリングが上がるのでしょう?

それは、「 2・3ネジを締めれば、2番バタフライと1番バタフライの開度が大きくなるから」 です。

2番バタフライと1番バタフライの開度が大きくなれば、2番エンジンと1番エンジンの回転が上がります。
四個のエンジンは同じクランクシャフトにつながっていますので、2番と1番が回転を上げれば 3番と4番も無理やり回転を上げさせられます。

逆に 2・3ネジを緩めれば、2番バタフライと1番バタフライの開度が小さくなり、2番エンジンと1番エンジンの回転が下がります。
2番と1番の回転が下がれば、それがブレーキとなって3番と4番も回転が下がります。

もちろん、3番と4番の回転は自分の意に反したものなので、その回転はギクシャクしたものになります。
そのため、2・3ネジを緩めてアイドリングが下がる場合は簡単にエンストしてしまいます。

だから、2・3ネジを緩める場合は、あらかじめアイドリング調整ネジでアイドリングを上げておくことが必要です。


このことは、2・3ネジだけでなく、3・4ネジや1.2ネジについても当てはまります。

3.4ネジを締めれば4番バタフライ開度が大きくなり、4番エンジンの回転が上がって、3番,2番,1番エンジンが引っ張られる。
3・4ネジを緩めれば4番バタフライの開度が小さくなり、4番エンジンの回転が下がって、3番,2番,1番エンジンにブレーキがかかる。

1・2ネジを締めれば1番バタフライ開度が大きくなり、1番エンジンの回転が上がって、4番,3番,2番エンジンが引っ張られる。
1・2ネジを緩めれば1番バタフライ開度が小さくなり、1番エンジンの回転が下がって、4番,3番,2番エンジンにブレーキがかかる。

ただ、この場合は 2・3ネジと異なり一個のエンジンが他の三個のエンジンに影響を与える場合です。
だから、アイドリング変化はそれほど顕著なものにはなりません。


以上をまとめると、

「 同調ネジを締めればアイドリングが上がる。同調ネジを緩めればアイドリングが下がる。
   アイドリングが下がるとエンストする。
   同調ネジを緩める場合は、あらかじめアイドリングを上げておく。 」




f.同調ネジを動かすと、 関係のないキャブレターの負圧が変わる


これも同調作業中に経験することです。

たとえば、3番と4番の同調で、4番負圧が高いとします。
この場合、3・4ネジを締めれば4番負圧は下がりますが、3番負圧は変わらないはずです。

3・4ネジを締めて動くのは4L で、3Rは動かず3番シャフトは動かないから、
3番のバタフライ開度は変わらず3番負圧は変化しないはずです。

しかし、実際には3番負圧が上がります。


これもアイドリング変化が原因しています。

3・4ネジを締めれば、4番バタフライ開度が大きくなり 4番負圧が下がります。

4番バタフライ開度が大きくなれば、4番エンジンは回転数を上げます。

4番エンジンが回転を上げれば 3番,2番,1番エンジンもこれに引っ張られて回転を上げさせられます。

回転を上げさせられた、3番,2番,1番エンジンはより多くの空気を吸い込まされます。

しかし、バタフライ開度は変わっていません。

その結果、3番,2番,1番負圧が上がることになるのです。


この場合、3番,2番,1番に関しては 「 アイドリングが上がって負圧が上がった 」 ことになります。
これは、「 アイドリング調整ネジでアイドリングを上げると、負圧が下がる 」 ことと矛盾しているように思えます。

しかし、この二つは矛盾していません。

前者はバタフライ開度がそのままで回転数が上がった場合であり、
後者はバタフライを開けて回転数が上がった場合です。

回転数 ( アイドリング)  が上がったのは同じですが、バタフライ開度変化が違うので負圧変化も違ってくるのです。


3・4ネジを緩めて、4番負圧を上げる場合も同様です。

3・4ネジを緩める→4番エンジンの回転数が下がる→3番・2番・1番エンジンの回転数も下がる
→3番・2番・1番エンジンの吸い込み力が落ちる→バタフライ開度は変わっていない→3番・2番・1番の負圧が下がる。

以上のことは、2・3ネジ,1・2ネジでも同じです。


g.調整の順番


3・4ネジで 4番を3番に合わせる。
2・3ネジで 2番を3番に合わせる。
1・2ネジで 1番を2番に合わせる。

この三つの調整に順番はあるでしょうか?

( 一般的な順番)

通常、「 3・4 → 1・2 →2・3 」 or 「 1・2 →3・4 →2・3 」 の順で行われています。
「 両端を同調させてから、真ん中を同調させる 」 のです。
FJ/4CC サービスマニュアル P3-17 もこの順番です。(  1・2 →3・4 →2・3 )

「 3・4グループの同調 と 1・2グループの同調 をやってから、2・3ネジでこの二つのグループを同調させる 」 と考えるからでしょう。

しかし、このことは 「 そうしなければならない 」 という理由になりません。

各調整ネジがどのバタフライ開度に影響するのか、それは調整順番にどう関係してくるのか。

それを考えてみました。

再度、全体写真です。





( 調整ネジが影響を与えるバタフライ )

まずは、今までの復習です。

3・4ネジ→4L を動かすだけ→4番バタフライにだけ影響

2・3ネジ→2Rを動かす,2L を介して 1Rを動かす→2番バタフライと1番バタフライに影響

1・2ネジ→1Rを動かすだけ→1番バタフライにだけ影響

OKですね。


( 影響力の強さと調整の先後 )

次ぎに、影響力の強さと調整順番を考えます。

他のグループに影響を与えず、他のグループから影響を受けない調整は先にやっても後でやってもかまいません。

しかし、他のグループに影響を与える調整は、その影響が及ぶグループの調整より先にしなければなりません。
後からやると、影響を受けたグループの調整をやり直さなければならなくなります。

逆に、他のグループから影響を受ける調整は、その影響を与えるグループの調整より後にしなければなりません。

つまり、順番の先後は、
・独立したグループの調整はいつでもOK
・ 強いグループの調整は弱いグループの調整より先に
・ 弱いグループの調整は強いグループの調整のあとで

これを、3・4,2・3,1・2のグループについて当てはめると次のようになります。

3・4グループの調整は、他のグループの調整に影響を与えないし、他のグループの調整の影響を受けないから、いつやってもOK。

2・3グループの調整は、1・2グループの調整に影響を与えるから、2・3グループの調整を 1・2グループの調整より先にしなければならない。


( 理屈で言えばこの順番)

以上から考えると、

OKなのは、
①  3・4ネジ → 2・3ネジ → 1・2ネジ
  2・3ネジ → 1・2ネジ → 3・4ネジ
③  2・3ネジ → 3・4ネジ → 1・2ネジ

ダメなのは、
④  1・2ネジ → 2・3ネジ → 3・4ネジ
⑤  1・2ネジ → 3・4ネジ → 2・3ネジ
⑥  3・4ネジ  → 1・2ネジ → 2・3ネジ

一般にやられている順番は 「 2・3ネジ調整を最後にやる 」 から…、⑤か⑥。
あれっ? これはダメな調整順番だぞ?


( 2・3調整は 1.2グループ調整に影響を与えない?)

「1・2ネジで 1Rと2Lの関係を決めたあと、2・3ネジで  2Lが動いても、1Rと2Lの関係は変わらない 」 のではないでしょうか?

これを検討してみましょう。

たとえば、2Lと1Rの位置関係が、2L=a°、1R=a°+1° とします。
1R-2L=1° です。

次ぎに、 2・3ネジを締めて、2R を 1°だけスロットルの開く方向に送ります。
2Rが1°送られれば、2Lも同じ方向に送られるので、2L=a°+1°。
2Lがスロットルが開く方向に送られれば、2Lばその分だけ1Rを同じ方向に送りますから、1R=a°+1°+1°。
結局、2Lと1Rの角度の差は1°で変わりません。

今度は、2・3ネジを緩めて、2Rを1°だけスロットルの開く方向とは逆の方向に送ります。
2Rが -1°送られれば、 2Lも -1°だけ同じ方向に送られるので、2L=a°-1°。
1Rは2Lとともに戻されるから、1R=a°+1°-1°=a°
1R-2L=a°+1°-a°=1°で変わらない。

しかし、これは2Lが戻されたとき1Rが一緒に戻ってくる場合のことです。
もし、2Lが戻されることによって、1Rとの間に隙間ができるような状態になれば、1Rは2Lの戻った角度だけ戻りません。
だから、、1R-2L=1° とはならず、1Rと2Lの関係が変わることになります。

こんな場合が実際に起こるかどうか分かりませんが、2・3ネジ調整は1・2グループの調整に影響を与える可能性があります。

だから、理屈から言えば 「 2・3ネジ調整は 1.2ネジ調整より先にしなければならない 」 のです。


h.演習問題


では実際に調整してみましょう。

調整順番は、一般的な 3・4 → 1・2 →2・3 でやります。
調整ネジを動かしたことによるアイドリング変化とそれによる負圧変化は考えないことにします。



3・4調整

3・4ネジで動くのは④。③は動かない→ ④を③に合わせる→④を下げる→3・4ネジを締めて20にする。


1・2調整

1・2ネジで動くのは①、②は動かない→①を②に合わせる→①を下げる→1・2ネジを締めて12にする。

この段階で、①12,②12,③20,④20になっています。


2・3調整

2・3ネジで動くのは②、③は動かない→②を③に合わせる→②を上げる→2・3ネジを緩めて20にする。
※アイドリングが下がるから、あらかじめアイドリングを上げておく。

①と②の同調はできていますから、②が20になれば①も20になります。

その結果、①20,②20,③20,④20となります。


では、次の問題です。

①,②,④は揃っていますが、③だけ高くなっています。




③はどの同調ネジを動かしても動きません。
だから、③を同調ネジで下げることはできません。

この場合は、①,②,④をいったん③に合わせて負圧を大きくし、全体の負圧を50に揃えてからアイドリングネジで全体の負圧を下げます。


3・4調整

3・4ネジで動くのは④。③は動かない→ ④を③に合わせる→④を上げる→3・4ネジを緩めて④を50にする。
※アイドリングが下がるから、あらかじめアイドリングを上げておく。


1・2調整

①と②は揃っているから調整不要。

この段階で、①25,②25,③50,④50になっています。


2・3調整

2・3ネジで動くのは②、③は動かない→②を③に合わせる→②を上げる→2・3ネジを緩めて50にする。
※アイドリングが下がるから、あらかじめアイドリングを上げておく。

①と②の同調はできていますから、②が50になれば①も50になります。

その結果、①50,②50,③50,④50となります。


あとは、アイドリングを上げれば、全体の負圧が下がります。

FJ1200/4CC の負圧規定値は 22cmHg以上/1000rpmです。

アイドリングネジを締めてアイドリングを 1000rpm にしてみます。




きれいに、30cmHgに揃っています。

写真では負圧計のダンパーを効かせて針を止めています。
実際の調整では、小刻みに針が動くくらい ( 値が少し低くなる ) にして、針の中間点で目盛りを読みます。

あとは、『 1番が2番より少し低いな…、1番を少し高くしようか…。 』、『 4番が3番より少し高いな…、4番を少し下げてみるか…。』と気の済むまでやればいいでしょう。



i.座右の銘


同調作業を何度もやれば作業中に迷うことはありません。

しかし、馴れないうちはうっかり間違って、迷路に入り込んでしまうことがあります。

上の演習問題で、問題1は今回の同調作業のスタート。
途中で迷路に入り込んでもがいた結果が問題2。
そして、一晩頭を冷やして迷路から抜け出しました。

迷路に入り込まないために、また、迷路から抜け出すために、次の三つを常に自分に言い聞かせましょう。

・4番と3番を合わせる、1番と2番を合わせる、2番と3番を合わせる。途中はバラバラでも最後には同じになる。
・1・2ネジを締めれば1番が下がる。3・4ネジを締めれば 4番が下がる、( 両端のネジを締めれば、外側が下がる )
・3番は動かない。2・3ネジを締めれば2番下がる。( 真ん中のネジを締めれば2番が下がる)


負圧計の針はラジオのボリュームを回すように敏感に反応しません。
調整ネジの動きに負圧計が反応するまでに時間がかかったり、反応しなかったりすることもあります。
針がいったん逆の方向に動いてから、しはらくして正しい方向に動くこともあります。

これに焦ってジタバタしてはいけません。
ジグザグに進みながらも正しい方向に進んでいます。
少しずつ何度も調整していれば、ジグザグが一本になります。

また、このように何度も調整しなければならないので、調整順番はあまり問題にならないのでしょう。

なお、負圧計の品質・精度によって測定のしやすさに差が出るでしょう。

手持ちの負圧計は6980円の安価品。
ダンパーの効きが悪く、針の振れ小さくしそれを持続させるのに苦労します。

“四連バキュームゲージ” と言っても、真空計を四つ並べて固定しただけのもの。
真空計は国内専門メーカーのものでも、2000円くらいから入手できます。→→→その①その②
専門メーカーの真空計を四個固定して使った方が良いように思えます。


3.キャブレター取り付け時の留意点


a. 取外しは 「 前を外して後ろを外す 」、 取り付けは 「 後ろをはめて前をはめる 」


マニュアルのキャブレター取外し手順は、
  ①エアクリーナケースの取り付けネジを外す。
  ②キャブレター前後の取り付けクランプネジを緩める。
  ③エアクリーナーケースを後方一杯にずらせる。
  ④後方クランプを後ろにずらす。
  ⑤キャブレターを後方に引き、前から外す

要するに、「 キャブレターをエアクリーナーケースごと後ろへずらして前から外す 」 ということです。

キャブレターの前にあるジョイント ( キャブレタージョイント/インテークマニホールド ) は堅くて変形しません。
しかし、後ろにあるジョイント ( エアクリーナージョイント ) は柔らかくて変形します。

この変形とエアクリーナーケースの後退を使って、キャブレターを後ろにずらしてはずすのです。


キャブレター取り付け手順はこの反対になります。

「エアクリーナーケースを後ろに引く → エアクリーナージョイントにキャブレターの後ろをはめる → キャブレターを後ろへずらせてインマニにはめる 」

つまり、「 後ろをはめて、前をはめる 」 。


しかし、そう簡単にはいきません。

キャブレターがインマニに入っている部分は15㎜、エアクリーナージョイントに入っている部分は10㎜。
取り付けや取外しには、合計25㎜のスペースが必要です。

しかし、エアクリーナーケースは どれだけ頑張っても10㎜しか後退しません。

あとの、15㎜分はエアクリーナージョイントを変形させなければなりません。

取り外すときには何とかなっても、取り付けるときにはよく考えなければなりません。

今回気がついたことを上げておきます。


b.取り付ける前にオーバーフローのチェック


  キャブレターを取り付けて同調調整をしていたら、3番からポタポタとオーバーフロー。
  再度取り外してニードルバルブを新品交換。

  ニードルバルブ交換は簡単だけれど、取り外したキャブレターは取り付けなければならない。
  取り付けるときにはキャブレタージョイントをグイグイ・グリグリ。
  ジョイントが破れたら、一個3245円。
  無駄な経費と時間をかけないために、取り付け前にオーバーフローをチェックします。

  このチェックは燃料パイプからガソリンを注入すればすぐに済みます。
  ただ今回は、このチェックのあと、キャブレター組み付け、同調調整をして、
  試乗しようとしたら、4番からポタポタ。
  4番もニードルバルブ交換となりました。
 




必要なゴムパイプは、
  ・オーバーフローパイプ/内径4㎜Φ×50㎝
  ・プラスチックT燃料コネクタパイプ/内径6㎜×30~40㎝
  ・燃料パイプ/内径5㎜Φ×30㎝

  パイピングはマニュアルに書いてありませんので次のようにしました。。

 ( オーバーフローパイプ )
  ・エアクリーナーパイプの入口 ( 赤矢印 ) を通し、クランクケース右側の後ろに沿わせる。
  ・キャブレター位置によって、パイプ長さが違ってくるので先端を切り揃える。
  ・ 1番が50㎝、4番が45㎝になります

 ( プラスチックTコネクタからのパイプ )
  ・エアクリーナーケース下のフレームパイプにはさむ。
  ・フレームパイプにはさまなずエアクリーナーケース下に置いておくなら30㎝でOK。
    フレームパイプちはさむのなら40㎝必要。
 ・このパイプからガソリンは出てこないと思います。

  



※ エアクリーナーケースからのパイプについて


エアクリーナーケースから細いパイプと太いパイプが出ています。

細い方は水抜きパイプでしょう。

太い方はエアクリーナーケース前面から出てクランクケースに入っています。
だから、それ相応の役割を与えられているのでしょう。


太い方はクランクケースのニップル ( 外径13㎜Φ ) にクリップ留め。

細い方はキャブレタードレンパイプと同じ所から出して、クランクケース後ろの穴へ。

太い方は内径12㎜Φ ・ 厚さ 2㎜。

市販の 内径12㎜Φの耐油ゴムパイプは肉厚が厚くて代替品として使えません。
耐油ビニールホースなら、内径12㎜Φで肉厚の薄いものがありますが耐熱性が問題になります。

だから、代替品は手に入らないと考えてください。
『 ホームセンターで買えばいいや!』 と乱暴に扱って破損しないように注意しましょう。

細いドレンパイプの方は、外径8㎜Φのニップルに入ればよいから、内径6㎜ΦのゴムチューブでOKです。


c.先にエアクリーナージョイントをはめる


まず、インマニ,エアクリーナージョイント,キャブレター前後の接合部にシリコングリスを塗りましょう。

シリコングリスを塗らないと、取り付け作業がスムーズにいかないだけでなく、ゴム製ジョイントを損傷してしまいます。

ただし、シリコングリスがその後キャブレターにどんな影響をあたえるかは分かりません。

  今回は 3番と4番のオーバーフローのため、キャブレターを三度組み付けています。

  一度目と二度目はシリコンオイルスプレーを使用。
   175円の安物です。

  三度目は右下のシリコングリス/20g・886円を使いました。

  シリコンスプレーは 表面がツルツルになりますが、ヌルヌルになりません。
  ヌルヌルの方が作業がしやすくなり、ゴム製ジョイントにもやさしくなります。

  シリコングリスのかわりにビートクリーム ( 左下・40g・498円 ) ではダメでしょうか?
  四度目の組み付けがありませんでしたので試していません。
  ちょっとサラサラしすぎていますかね。



では、後ろからはめていきます。

  ・インマニにキャブレター前部を乗せる。
 ↓
  ・エアクリーナーケースを少し持ち上げる。
 ↓
  ・キャブレター後部下側をエアクリーナージョイントの下側に押し込む。

  エアクリーナーケースを少し持ち上げるのがポイントです。
  これで、エアクリーナーケース後退量の少なさを補います。
  キャブレター後部の接合部で “への字” になります。

  “ への字 ” の頂部を下に押し込んで
  キャブレター後部の下側をエアクリーナージョイントに押し込みます。

  まず、ジョイント下側にキャブレター後部下側をはめ込みます。

  このとき、シリコングリスが塗ってあると、
  キャブレター後部でエアクリーナージョイントが傷つくのが防げます。 




  キャブレター後部下側がはまったら、
  エアクリーナージョイントをめくってキャブレター後部上側をはめます。
  「 はめる 」 というより 「 かぶせる」 といった感覚です。

  シリコングリスを塗っているかいないかで、苦労度がまったく違います。

  二度目の取り付けでは、シリコンスプレーをするのを忘れ、
  エアクリーナーケースを少し持ち上げることをしなかったので苦労しました。
  ゴムジョイントの薄いリブに切れ目が入って、あわててシリコンスプレーをしました。

  三度目はシリコングリスを使ったので、
  作業がもう少しスムーズになりました。  




  
ゴムジョイントをめくるのに、スプリングフックを使いました。

  先がとがっているので先を丸くするか、無理をしないことが必要です。

  自転車用のタイヤレバーを削れば、めくるのに適した道具が作れるかもしれません。

  なお、三度目はシリコングリスのおかげで、このフックを使わずに指ではめることができました。




d.エアクリーナージョイントを変形させて前をはめる


キャブレター後部にエアクリーナージョイントがはまれば、残りの必要スペースは前後に 5㎜。

思いっきりキャブレターを後ろに引けば、この 5㎜をクリアーできます

    写真の状態でキャブレターを両手で持ち、
   後ろへ押しつけながらキャブレター前部下側をインマニ上部に差し入れます。

  インマニ上部に入ったら、キャブレター前部を下に押し込んでインマニに入れます。

  キャブレター後部がエアクリーナージョイントにうまく入らないときは、
  入らないままで、エアクリーナージョイントを押しつぶしてキャブレター前部をはめます。
    キャブレター前部がインマニに入ったら、
  それだけ前後に余裕ができますから後部ジョイントを楽にはめられます。

  シリコングリスにより、
  ジョイントを押しつぶしているときに自然とはまることもあります。




エアクリーナージョイントを押しつぶすと損傷の危険が高くなります。

しかし、 ジョイントをキャブレター後部にはめようとジョイントをあちらこちらに引っ張り回しているより、
ジョイントを押しつぶして手早くキャブレターをセットした方がジョイントに負担がかからないとも言えます。

どのようにしてもゴムジョイントに負担はかかります。
要はその負担を少なくすることです。

ジョイントを押しつぶしてキャブレターを一気にはめた方がよいように思えます。


さあ、キャブレター前部がインマニに入りました。
しかし、インマニに簡単に入れられるのは半分程度。
あと半分を入れるのには力が必要です。

しかし、キャブレター前部をインマニに完全挿入する前にやっておかなければならないことがあります。


e.前を完全にはめる前に必ずチェック

  インマニクランプには凹部があり、インマニの凸部に合わせてネジ締めをします。

  これは、四つのクランプネジを締めやすい所に位置決めするためのもので、
  あまり神経質になる必要はありません。

  クランプを回していって「スコン 」 と感じれば、凹部と凸部が合わさっています。


  キャブレター前部を完全挿入するまえにチェックしておかなければならないのは
   2番クランプです。



  
  必ず、2番クランプがこの位置にあることを確認してください。
  
  2番クランプが写真左側に落ち込んだ状態でキャブレターをインマニに完全挿入すると
  2・3ネジに当たって2番クランプをこの状態にすることができません。

  この状態にするためには再度キャブレターをインマニから外さなければなりません。




f.エアクリーナージョイントを正しい位置に直す


  四連だから、こちらをはめればあちらが外れる、あちらをはめればこちらが外れる。  

  キャブレターを上下に揺すって押し込みます。
  それでも入らないときは、
  タイヤレバーをキャブレター後部に当ててこじるようにして押し込みます。

  エアクリーナーケース取付部とキャブレターフロート連結部に
  タイヤレバーを当ててキャブレターを前にこじるようにします。

  これで簡単に完全挿入できます。

  キャブレターを外すときも、
  キャブレター前部のフロート連結部にタイヤレバーを当ててこじると楽です。
  しかし、支点になる部分がないので、木片を当てて支点にします。
  



  キャブレター前部がインマニに入っても、
  エアクリーナージョイントはキャブレター後部に完全にはまっていません。
  キャブレター後部の下側がジョイントからはみ出ているでしょう。

  これを、エアクリーナーケース位置を調整して、完全にはめます。

  エアクリーナージョイントには正規位置があります。
  完全にはめるためには、
  エアクリーナーケースの二つの突起の間に、ジョイントの突起を合わせて、
  ジョイントを正規位置にすることも必要です。

  なお、シリコングリスを使った三回目は、
  このキャブレター後部の完全挿入をしないでも済みました。
  やはり、シリコングリスですね。





g.エアクリーナージョイントは新品を使う


どれだけ慎重に取り扱っても、どれだけシリコングリスを塗ってもエアクリーナージョイントには大きな負担がかかります。

キャブレターを取り外すときには無傷でも、キャブレターを取り付けるときに亀裂が入ったり破れたりするかもしれません。

キャブレター取り付け時にジョイントが損傷した場合はその部位によっては気づかないことがあります。

損傷に気づかなければ 、エンジンが不調になってもその原因が分かりません。

FJ は20年前のバイクです。

ゴム製品は完全に劣化しています。

「 キャブレターを取り外すときには、ガスケット,Oリングとともにエアクリーナージョイントも新品に交換 」

これを覚悟しましょう。


h.「 前をはめる → 後ろをはめる 」 はできそうでできない


キャブレターの取り付け方法でもっと楽な方法はないのか…。いろいろ試してみました。

( その 1)   キャブレターをインマニに挿入、その後でエアクリーナージョイントをキャブレターに取り付ける

・キャブレターをインマニに取り付ける。
・エアクリーナーケースからエアクリーナージョイントの頭だけを出して、エアクリーナーケースを車体にセットする。
・エアクリーナージョイントをエアクリーナーケースから引き出して、キャブレターに取り付ける。

実際にやるとエアクリーナージョイントに力を加えるのが難しく、キャブレターにはめ込むことができません。


( その 2 )  キャブレターにエアクリーナージョイントを取り付けて、あとからエアクリーナーケースに入れる

・キャブレターにエアクリーナージョイントを取り付ける
・キャブレターをインマニに取り付ける
・エアクリーナーケースの後部を車体にはめ込む。
・エアクリーナーケース前部を下に押しつけながら、エアクリーナージョイントを曲げてケースに入れ込む。

エアクリーナージョイントはケースに入っている部分が長く、ジョイントはそんなに曲がらないので、ケースに入れることができません。


( その 3 )  先にエアクリーナージョイントをエアクリーナーに取り付け、あとからエアクリーナージョイントをキャブレターにはめ込む

( その 1) では、ジョイントをケースから引っ張りだしてキャブレターに押し込むのに力が入らなかった。
( その 2 ) では、ジョイントをケースに入れ込む部分が長かった。

そこで、
・エアクリーナージョイントをエアクリーナーケースに取り付ける。
・キャブレターをインマニに取り付ける。
・エアクリーナーケースの後部を車体にはめ込む。
・エアクリーナーケースに取り付けたジョイントを、上からキャブレターに押しつけて、ジョイントを曲げてキャブレターに取り付ける。

今度は、キャブレター後部のジョイント取り付け巾だけジョイントを曲げればよいだけです。

しかし、エアクリーナーケースがそんなに持ち上がらない。
例のエアクリーナーケースから出ている太いパイプが短いからです。

では、このパイプを外しておこう。
今度はエアクリーナーケースを下に押し込んだときに取り付けられません。

では、このパイプを長くしよう。
30㎝くらいのビニール製の耐油パイプを使いましたが、エアクリーナーケースを下に押し込むとパイプが折れ曲がってしまう。


結局、どの方法も不発。

以上、失敗済の方法は試さないでくださいネ。

結局、「 新品の元気なエアクリーナージョイントを使い、これを変形させてキャブレターを取り付ける 」 が一番の方法なのです。


つづく。


2011.03.23  FJカウル修復・取付完了

2011.05.08 FJその後_1

2011.05.24 FJその後2-キャブレター同調

2011.08.24 FJ ユーザー車検に向けて  その①

2011.08.31 FJ ユーザー車検に向けて  その②  あともう少し

2011.09.02 FJ ユーザー車検に向けて  その③  エア抜きに半日

2011.09.08 FJ ユーザー車検終了

2011.09.25  FJ フロントフォーク・オイルシール交換  その①  準備

2011.09.29  FJ フロントフォーク・オイルシール交換  その② 終了-自作専用工具改良も

2011.10.03  FJ 1200 整備初級編  オイルエレメント交換・エァクリーナー点検

2011.10.03  FJ 1200 整備初級編  リヤショック調整・バッテリーケース下のゴムマット寸法

2011.10.08  FJ に“驚くほど高い”チェーンスライダーを取り付ける

2011.10.15  FJ 1200 整備初級編  いつまでたっても上達しないエァ抜き-フロントブレーキオイル交換

2011.10.19  FJ 1200 整備初級編-「油圧クラッチ・プッシュレバーcomp シール交換」と「気泡吸い出し法によるエァ抜

2011.11.07  FJ 1200 整備初級編-チェーン“そのまま交換”  その 1

2011.11.12  FJ 1200 整備初級編-とても簡単だった“プッシュロッドのオイルシール交換”

2011.11.16  FJ 1200 整備初級編-チェーンそのまま交換  その②-組み付け・ゴムマット作成と新寸法表

2011.12.15  FJ と革ジャケットの関係

2012.11.06 再度の左フロントフォークオイルシール交換  ・  フロントフォークオイルシール交換手順最新版 ( 印刷用 )

2013.08.24 カウル取り外し手順をもう一度.

2013.09.05 FJ二回目のユーザー車検終了

2014.01.14 FJ 燃料ポンプコントロールリレーの交換

2014.03.01 FJキャブレター清掃・組み付け/その 1 - 安い市販Oリングを使う

2014.03.08  FJ キャブレター清掃・組み付け/その 2 - 初心者でもよく分かるキャブレター同調



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