FJ1200-4CC 整備資料




2017.11.15  耐熱塗料の空焼き硬化の方法と「マフラーに耐熱塗装が必要か」の疑問



4CCをフルパワー化するにあたり、イグゾーストパイプ,チャンバー(イグゾーストジョイント),マフラーを換えました。

イグゾーストパイプとチャンバーは4CCと3XWで共通です。この際「とっておきの美品」を使いました。

マフラーは4CCと3XWでは違うので、ストックの3XW・サビありマフラーを使いました。

イグゾーストパイプ,チャンバー,マフラーは耐熱塗装しました。

今回、苦労したのはマフラーの耐熱塗装です。



1.耐熱塗装と空焼き硬化


 使ったのは「KURE 耐熱ベイントコート 艶消しブラック」。
 耐熱温度600℃の耐熱塗料です。
 他社のは1200円でこれは980円だったのでこちらを選びました。

 説明書きには
 「1塗装後、1時間乾燥したあと、塗装対象物の熱で硬化させてください。その目安は200℃×1時間 です。」
 いわゆる「空焼き硬化」です。

 今まで、耐熱塗料は塗っただけで600℃まで耐えられる」と思っていました。
 前回のマフラー塗装(2011.8)でもこの「硬化」をさせていません。→→→ こちら

 イグゾーストパイプはエンジンをかけたらすぐにモウモウと白い煙が上がりました。
 「これが ”塗装対象物の熱を使った硬化”なのか!」と理解できました。

 しかし、マフラーからは白い煙が上がりません。
 マフラーマフラーはイグゾーストパイプと違い、
 排気ガスをグラスウールや膨張室で外側板と分断しているので、
 排気ガスの熱はそれほど外側板に伝わらず高熱にはならない。
 200℃にはならないだろうから当然のことです。

 「まあ、前回のマフラー耐熱塗装でも別に問題は生じなかったから、このままでイイヤ」



2.耐熱塗料は硬化させないとベタベタになる


そして、80㎞程度試乗。

マフラーガ熱いうちは耐熱塗装表面はベタベタしています。
しかし、マフラーガ冷えるとペタペタはなくなります。

マフラーを外してみました。

 冷えているのでサラサラと乾燥しています。  裏側の状態です。
 写真下側のマフラー(右側マフラー)の前部(チャンバー寄り)にシマシマができています。


 この部分はチャンパーに近いので温度が高くなります。
 しかし、その温度は耐熱塗料が硬化する200℃には至りません。
 そこで、ベトベトになった耐熱塗料が溶けて流れたのでしょう。
 まさか「このシマシマ部分だけ硬化した」のではないでしょう。
 表側も同じように溶けて流れた跡があります。




 マフラー(サイレンサー)部分は排気ガスの温度が低くなるので、耐熱塗料が溶けて流れることはありません。

 しかし、ベトベトになっているためにホコリを吸着しています。

 また、ところどころに部分的に溶けた痕が残っています。


下の写真は左側のマフラーです。

右側のマフラーほどではありませんが、同じような状態になっています。

 耐熱塗料が溶けて流れた跡はありませんが、部分的に溶けています。
 
 やはり部分的に溶けています。


前回の耐熱塗装でも、このベタベタに気がついていました。

そしてそれは耐熱塗料の下に塗ったサビジャック(黒サビ転換材・それ自身も塗料)が熱で溶けたものだと思っていました。

しかし、ベタベタになったのは耐熱塗料自体だったのです。

耐熱塗料は「硬化させないと高温に耐えられない」だけではなく、「硬化させないと塗装面が熱くなったときに柔らかくなりベタベタになる」ということなのです。

それでは、空焼き硬化をしなければ!


3.試した方法はすべて失敗


a.まずは、もう一度耐熱塗装


 240番ペーパーで凸凹を平坦にしたあと、800番ペーパーで足付け。
 塗装は「乾燥しているが硬化していない」ので柔らかい状態。
 ペーパーがけは重くなります。
 800番のあと、スチールウールで表面をきれい増します。
 ペーパーがけでは凹部に削り取られた塗料が溜まってしまいます。
 スチールウールはこれをきれいに取り去ります。
 また、800番より細かいので表面をきれいに整えられます。


 溶けて流れた跡は地金が露出しました。  スチールウールで磨いたあとは少しだけ鏡面になりました。
 


 耐熱塗料はラッカーのように「乾けば硬くなる」ものではありません。

 空焼き硬化をさせない状態では「熱くなるとベタベタになり、冷めると乾いてサラサラになる」のですが、
 サラサラになっても「ベタベタでなくなっただけで、まだ軟らかい状態」です。

 乾いたあとに重ね塗りをする場合、
 乾いた塗装面がどこかに当たるとすぐ擦れたり凹んだりします。

 耐熱塗料をスプレーする場合は、
 両方に棒を差し込んで「串刺し丸焼き」のようにしなければなりません。



b.ホットヒートガンってこの程度のものか!


空焼き硬化の方法で思いつくのが「ホットヒートガン」。
熱風温度が 50℃~550℃ だから、軽く「200℃で1時間」はクリアーできるでしょう。

2000円で充分使えるヒートガン 」もあるようですが、「道具はある程度のもの」が必要なのでRYOBIにしました。

 温度調節ダイヤルのついたRYOBI/HAG-1551 です。7000円の追加出費となりました。
  
 12A/1200Wの大型ドライヤーです。
 シール剥がしやネジロック剤解除にも使えるとか。
 ベアリングを圧入するときにも使えそう。
 以前から興味を持っていました。



「これで、一気に解決!、200℃の熱風を当てればモウモウと白い煙が立って空焼き硬化完成!」

と期待していましたが…。

 まず、吹き出す風量が少ない!ドライヤーの半分くらい。

 何よりも、熱風の当たる部分が小さい。

 近づけてずっと持っているのが疲れるので、このようにしました。
 対象物との距離は5㎜程度。

 熱風温度/MAXの550℃で一時間、白い煙は出てきません。
 熱風の当たるところが少しべベタつくだけ。
 熱風が550℃でもそれに当たる部分が550℃になるわけではない。

 そもそも、もしこの方法で熱風の当たる場所が空焼きできたとしても、
 「一カ所に一時間」ではマフラー全体を空焼きするのに時間がかかりすぎる。

 このヒートガンはすぐに棚に納められました。

 7000円の出費を補うために、
 コレクションの 「ORCHARD BRANDED GARMENTS ・ シカゴ ポリスジャケット ・ 稀少 34サイズ」を
 好きなのは自分だけで、あまり人気がなく、開始価格の14800円で落札されました。→→→ こちら




※2017.12.20 追記

年末の大掃除で 「 20年以上放置した換気扇とレンジフード 」 を取り外しました。

予想通り、20年分の油がコケのように盛り上がって張りついていました。

このコケ油を取るのにヒートガンが役立ちました。

「 ヒートガンで軟らかくしてウエスで拭き取ると、おもしろいほど取れる。 」 と喜んでいましたが、
ヒートガンで軟らかくしないでも、そのままスクレーパーを当てればもっと簡単にもっとたくさん取れました。

なお、温度調節機能は必要ありません。
MAX 550℃ といっても、「 いったいどこが 550℃ になるの?」 とがっかりするような温度にしかなりません。
MAX固定で不足はあっても余ることはないし、対象物との距離を調整すれば温度調節ができます。

「 ヒートガンというのは強力ドライヤー程度のものであること 」を初めて知りました。

ヒートガンを購入しようと思っている方への助言は 「 2000円程度の安物で充分 」。


※2018.04.16 追記--やっと役立ちました。


ブレーキデスク取付にはネジロックを使います。

取付はM6×16㎜の皿ネジ。

インパクトドライバーでガンガンたたくとベアリングが緩んでしまいます。

 ネジロットを解除するには 150℃~200℃にしなければなりません。

 スリーボンドの中強度ネジロック ( TB1322N ) も 固定用強強度ネジロック ( TB1305N ) も
  100℃で80%、150℃で55%、200℃で20%の強度となります。→→→こちら  と  こちら

 バーナーであぶればすぐに解除できる来旨けれどエアーホットガンで試してみました。
 ダイヤルは 「 熱風温度 550℃ 」 とのMAX。
 ネジロックは取り外し可能の中強度。
 温度測定は下に出てくる赤外線温度計で放射率は0.95。

  ・ ホットガンに細口ノズルを付けて、ビスの頭にかぶせるようにしてくっつける。
  ・ 5分経過。ビス頭の温度は125℃、しかしホットガンを離すと70℃。
  ・ 10分 経過、吹き出し温度は150℃、ガンを離すと100℃。
  ・ 「 やっぱりダメだ…。」 とドライパーで回してみると、回ります!
  ・ 10分も当てていないでも外れるようです。5分くらいで良いみたい。
  ・ 多分150℃以上になっていたのでしょうが、温度が正確に測れなかったのでしょう。

 まあ、バーナーならすぐらしいけれど、炎を当てるのは少し抵抗がありますからネ。

 それにしても、値段の割には役に立たない道具です。





c.電気ストーブも効果なし


 「そう言えば、電気ストーブがあったはず…」

 ありました。上下で 600W ・ 加湿器付きです。

 ガードを外し、対象からギリギリ 5㎜ に近づけてスイッチオン。

 2時間経過。

 近づけた部分がベタつくだけ。

 あっけなく、リタイア。

 やはり、マフラーを直接加熱しなければならないようです。



d.石油ストーブには期待したが…


いろいろ調べると「石油ストーブの天板に置いて焼くのがよい」との情報。

 倉庫には何でも残っています。
 昭和20年代生まれまでは「捨てる」ということを知らないのです。

 ストーブ天板が充分熱くなったところで、
 天板の中心にマフラー後部を置き直接加熱。

 45分経過。
 何の変化も起こらない。

 マフラーの「天板に接している部分」の上側は「安全に手で触れる」熱さで、
 少しベタつくが。指にくっつくほどではない。

 マフラー中央部は少し暖かいがマフラー前部は冷たい。

 これは「電気ストーブ5㎜」より効果がない。

 ヤカンは底がベッタリとストーブの天板にくっつくので湯が沸くようです。
 アルミ箔に包んださつまいもは、ベッタリと天板に接触していないけど、
 それほど高温にならなくても焼けるのです。

 ストーブも登場してから1時間でリタイア。



e.効果のあったのは IH


ストーブでの直接加熱が効果的ならIH  でもやれるかもしれない。

IHは磁力線を使うのだからベッタリとくっついていなくても加熱できるだろう。

結論を先に言っておきます。

① 裏側(車体側)のサイレンサー部はきれいに焼けます。
② 丸みのある表側・下側・上側・前部表側は焼けることは焼けますが、ハゲ・ムラ・溶け痕が残ります。
③裏側前部は焼けません。



(焼き方)


まずは裏側。

 裏側は凹んでいますが両側が平坦なので、コンロの上で安定します。
 火力は中火。
 すぐに、コンロニ触れている部分から白い煙が立ち始めます。
 強火にするともっとたくさん出ますが部分的に焼きすぎになります。
 5分くらいで煙がでなくなります。これでこの部分は空焼き完了。


 煙は裏の凹んだところから出ています。
 裏側が焼けていることが分かります。

 IHコンロは「底が2㎝以上反っていると使えない」とのことですが、凹んだところが焼けています。
 左側部分が接しているから使えるのでしょうか?
 マフラーをずらせてマフラー中央部を焼きます。
 マフラー前部はそれほ熱くなっていません。革手袋かナベつかみで持てます。
 ここでも「中火で5分」。


 マフラー穴からも煙が出てきます。

 強火だともっと太くて乳白色の煙が出てきます。
 多分、たまったタールが燃えているのでしょう。
 まさかグラスウールが燃えているのではないと思いますが、
 延々と出てきますので心配になります。


次に丸みをもった部分を焼きます。

マフラーの上,横,下になる部分です。上側と横側は見える部分ですから上手く焼きたいものです。

 要領は裏側を焼いたときと同じです。

 左のコンロでサイレンサー後部、右のコンロでサイレンサー前部。

 右に引っ張って右コンロでサイレンサー中央部。

 マフラー前部を持って回し、焼く面を変えていきます。


最後にマフラー前部です。

 マフラーに何らかのつっかいをして、固定した方がよいでしょう。
 サイレンサーの丸い部分をやく要領です。回して焼く位置を変えた方がよいでしょう。
 マフラー前部の裏側は、コンロ面にうまく当たらないので直接焼けません。
 丸い部分を焼くとき「ついでに」焼けることを期待するしかありません。



(一回目の結果-左マフラー)


一回目は「焼けるかどうか分からない」状態で「試しに焼いて」みました。

いろいろやりましたので、汚い状態になっています。

下の写真は焼いたあと、軍手で表面のコゲをぬぐった状態です。

強火(最強)で焼いたので、焼けすぎの部分が多くありました。ハゲて金属面がでている部分です。

なお、この写真の段階ではマフラー前部は(写真の左側)は焼いていません。







次は裏側の状態です。

強火で焼いたにも関わらず、裏側は焼きすぎでハゲた部分はありません。

サイレンサー後部の丸い部分(写真左端)はコンロに直接当たるので溶け痕が付いています。

マフラー前部の裏側(写真右側)は焼けないので焼いていません。




マフラー前部は二回目の右マフラーを焼くときに焼きました。

二回目ですから中火で焼いています。

 右側に焼きすぎた部分がありました。  裏側は焼けたかどうか分かりません。
 しかし、この部分は外部から見えないので
 焼けていなくてベタベタになったりシマシマに流れたりしても問題はありません。



(二回目の結果-右マフラー)


二回目は一回目の失敗を踏まえて、中火で焼きました。

上にあげた「焼き方」の写真は二回目に右マフラーを焼いたときのものです。

中火で焼いたので、焼きすぎて地金が見える部分はありませんでした。



 しかし、焼けすぎはあります。
 溶けた痕は焼き面を変えるのに引っ張ったり回したりしたときに、
 コンロ面で擦られてできるものでしょう。
 
 耐熱塗料の硬化は 「熱せられる→軟らかくなる→溶ける→焼ける→硬くなる」 という順を経ます。
 だからある部分を焼き終えても、
 隣の部分は焼き終えていず軟らかくなっていたり、溶けていたりしています。
 その部分がコンロ面と擦れてこのような痕になるのでしょう。
 マフラーを浮かせて焼くことができればこのような溶け痕は残らないでしょう。


 マフラー前部には焼きすぎて金属面が出ているところがありました。
 この部分は面積が小さくて火が通りやすいので、
 火力を落とすか時間を短くする工夫が必要です。
 裏側にはあの溶けて流れたシマがあります。



マフラー裏側はきれいに焼けています。





(IHを使う場合に解決しなければならない点)


次の写真は「ステンレスたわし→240番→800番→スチールウール」と磨いたものです。

写真上が一回目に強火で焼いた左マフラー、写真下が二回目に中火で焼いた右マフラーです。

地金が出ていない部分が「空焼き硬化」した部分です。


IHで空焼きする場合に解決しなければならないのは、

①焼き面をコンロニ接触しないで焼く

・ 「加熱対象物がコンロニ接触しないと、IHコンロが加熱物を認識しない」とのことです。
・ 金属の固定台でマフラーをコンロ面に接触させずに固定台をIHコンロに接触させて、コンロニ加熱対象物を認識させることはできないのか?
・ この場合、コンロ面から離れているマフラーにコンロの磁力線が達するか?

②火加減

・ 火加減が強いほど焼けムラができる。
・ 中火で5分だから、弱火でゆっくりやいたらどうか?

IHや電磁誘導の知識を持ち合わせていないので分かりません。




裏側は強火でも焼けますので問題はありません。




(結局、上からアクリルラッカーで塗装しました)


今回は、この上から艶消し黒のラッカーを吹きつけました。



遠目にはきれいに仕上がっていますが、近づいてみると

 地金が露出した部分とそうでない部分に段差があるので、それが現れます。
 こちらは二回目に焼いた右マフラー。
 こちらは一回目に焼いた左マフラー。
 地金が露出した部分が広いので、却って目立たなくなっています。



裏側はハゲている部分だけをラッカーで吹いておきました。





4.マフラー部分に耐熱塗装は必要か?


次の写真は今回取り外した4CCマフラーです。

2011.9に「サビジャック(黒サビ転換剤、自身もアクリル塗料)を塗ったあとに耐熱塗装し、空焼きをしなかった」マフラーです。

その後、8年間・9000㎞ 使っていたものです。


a.左マフラー横に溶けた痕がある


軽く汚れを除いた状態です。




こちらは右マフラー。
※ホワイトバランスの取り方の違いで色合いが変わっています。

擦り傷はありますが耐熱塗料が溶けた痕はありません。

傷は「立ちゴケ」によるものです。









次は左マフラー。

右マフラーと違って大きな溶け痕があります。



 ケロイド状になっています。  ステンレスたわしで擦ると、きれいに取れます。
 だから、これは耐熱塗料が溶けてできたものと言えます。

この左マフラーの溶け痕は、走行後マフラーガ熱くなって耐熱塗料が軟らかくなりメインスタンドをかけるときにブーツが当たって塗装面を乱してできたものでしょう。

このような溶け痕があるので「6年間9000㎞ を走ってもマフラー自身の熱では耐熱塗料の空焼き硬化ができない」ということになります。


b.マフラーの上側、下側、裏側には溶け痕がない


 マフラー上部に溶けた痕はありません。
 擦れない部分だから傷がないのは当然です。
 マフラー下部も同様です。


マフラーの裏も同様です。




しかし、これは耐熱塗料が硬化したからではありません。

マフラー自身の熱で硬化できないのは表側と同じです。

溶け痕がないのは、

まず、マフラー温度が「溶けて流れるほど」の高さではなかったこと。
次に、マフラーの熱で耐熱塗料が軟らかくなっても、その面と接触するものがなかったから塗装面を乱されなかったこと。

耐熱塗料は単に乾燥してベタベタでなくなっているだけで硬化していないはずです。

試しにこのマフラーをIHで焼いてみました。
案の定、すぐに白い煙が立ち上がりました。


なお、耐熱塗料の下に塗ったサビジャック(アクリル塗料)は溶けていません。

もし、溶けているのならブツブツとハガれてくるはずです。


以上を総合すると、

・ 耐熱塗料はマフラーの温度では軟らかくなっても硬化しない。
・ 耐熱塗料は硬化させないと意味がないだけでなく、外部からの摩擦で塗装面が乱れる。
・ アクリル塗料はマフラーの熱に耐えられる。


結局、

・ マフラーに耐熱塗装をするのなら、空焼きして硬化させなければならない。
・ マフラー塗装はアクリル塗料で充分で、耐熱塗料は必要ない。



これらはあくまでも私の推測に過ぎません。


今回、3XWマフラーにはアクリル塗装をしました。
※正確には「部分的に硬化させた耐熱塗料の上にアクリル塗装をした」

このアクリル塗装面がこれからどうなるのかでこの推測は変わってきます。
アクリル塗料がマフラーの温度に耐えられなければ何らかの変化が起きるはずです。
※アクリル塗料の耐熱温度は80℃くらいです。→→→ こちら


さらに、情報をふやすためにマフラー各部の温度を調べてみようと思います。
高温測定計を入手しなければなりません。→→→ こちら  こちら 


また、空焼き硬化がなしにくいのは「KURE 耐熱ベイントコート 艶消しブラック」自体にあるのかもしれません。
別メーカーの耐熱塗料ならストーブ焼きで空焼きができるかもしれません。


適宜、調べて追記していきます。




2017.12.02 追記 赤外線温度計による温度測定


a.赤外線放射温度計


 対象物から出る赤外線を感知して温度測定ができる赤外線放射温度計です。
 測定対象物に接触する必要がないので、赤ちゃんの体温を測るのにも使われています。

 これは -50℃~550℃ まで計れるとのこと。→→→ こちら
 最大測定温度が高いものは値段が高く、名の通ったメーカーのものはかけ離れた値段になります。

 製造国不明。
 英語の取扱説明書と 「 まどろっこしい日本語に翻訳した取扱説明書 」 が付属。
 Made in Chinaの単4乾電池×2付属。

 ①測定対象物により放射率が異なるから、対象物によって正確な放射率を設定する必要あり。
 ※放射率/0.80 で手の甲の温度を測ると36.9℃。
 ②持っている手の角度が少し異なると、とんでもない所にレザー光線が当たる。
 ③放射率を変えることができるがそれを固定できず、トリガーを引くたびに0.95に戻る。
   放射率が0.95以外の対象物の場合は、トリガーを引くたびに放射率を変えなくてはならない。
 ④トリガーを引いてもレザー光線が出なかったり出るのが遅れたりすることがある。
 ※③と④については 「 この値段 」 だから仕方がないでしょう。

 正確に温度を測定するのなら接触式の熱電対温度計が必要です。→→→  こちら  と こちら
 今回は参考のための測定なので、放射率/0.95 ですべて測定しました。



b.エアーホットガンは問題外


 まずは、RYOBI の ホットエアーガン。

 「 最大熱風温度 : 550℃ 」 との触れ込みです。
 しかし、吹き出し口とマフラーの間の熱風温度は たったの 130℃ 。

 写真のノズルではなく、一番細いノズルを付けても同じです。

 「 ホットエアーガンの熱風温度 」 とは一体どの部分の温度なのでしょうか?

 それとも、このホットエアーガンが欠陥品なのでしょうか?

 10分後、吹き出し口とマフラーガ接する部分の温度は 96℃、少し離れると 60℃。

 これでは、耐熱塗料の空焼きにはまったく効果がありません。



c.頑張った電気ストーブだが効果なし


 次は、電気ストーブ。

 この状態で 10分間 熱する。

 熱しているマフラーは 以前使っていたもので 空焼き硬化 ができていないもの。

 ・a ( マフラーと電気ストーブが一番近いところ ) : 260℃。
 ・b ( 少し離れたところ) : 157℃。
 ・c ( 一番近いところから90度はなれたところ ) : 122℃。

 200℃を超えるのは a の部分だけ。
 しかし、a~b の部分は 少しツヤ が出た程度。白い煙などまったく出ない。

 この耐熱塗料の空焼き硬化は 「 200℃ ・ 1時間 」 でできるはずなのだけど…。

 耐熱塗料自体の問題なのでしょうか?



d.石油ストーブは電気ストーブより温度が低い


一番温度が上がりそうな石油ストーブの天板に直置き

 石油ストーブの天板の温度測定です。
 a : 225℃、 b : 200℃、 c : 180℃、 d : 145℃。
 空焼き硬化に必要な200℃になるのは a~b の部分です。
 これで 30分間 熱しました。
 a : 192℃、 b : 127℃、 c : 209℃、 d : 185℃、 e : 127℃、 f : 209℃。
  ※ c ・ f はストーブの天板です。
 結局、石油ストーブは天板が 200℃ になることはあっても、
 その上に置いたマフラーガ 200℃ を超えることはないということです。
 つまり、石油ストーブで 空焼き硬化はできないということ。



e.さすがはIH


 マフラーはコンロニ直接接するように置く。

 a : コンロの中央、 b : a から90度離れたところ、 d : コンロの端、 e : d から90度離れたところ

 ・中火 ・ 20秒くらいで白煙が出始める / a : 214℃、 b : 93℃、 d : 102℃、 e : 20℃

 ・中火で 60秒経過 / a : 288℃、 b : 191℃、 d : 127℃、 e : 42℃

 コンロの中心部分では、上に置いた対象物はすぐに200℃を超えてしまいます。

 これなら、すぐに白煙が上がるはずです。


 



f.エンジンのアイドリング


では、エンジンをかけたら 「 すぐにモクモクと白煙が上がる 」 エクゾーストパイプの温度はどれくらいなのでしょうか?

エンジンをかけてアイドリング、すぐに、250℃~260℃。※5分間くらいアイドリングと何回かのレーシングでも温度は変わらない。

これなら、白煙が上がるはず。

しかもIHと違い、排気ガスが中から均等に全体を熱するのでムラ焼けなし。

また、熱源と耐熱塗装面とが接していないから、硬化途中で塗装面が乱されることはない。


なお、他の部分は、

・チャンバー(イグゾーストジョイント)の下中央部 : 164℃。
・チャンバーの出口 : 140℃。
・チャンバーとマフラーの継ぎ目 : 88℃。
・マフラー入口 : 76℃。


これは5分程度のアイドリングの結果なので、連続走行の場合とは異なるでしょう。

しかし、どうもマフラー部分が 「 100℃を超える 」 ことはないように思えます。
これなら、耐熱塗料ではなくアクリルラッカーでも耐えられます。

結論としては、やはり 「 マフラー部分に耐熱塗装は必要ない 」 ということになりそうです。

言葉を変えれば、「 耐熱塗料の空焼き硬化は対象物の発する熱で行う。それができないような対象物には耐熱塗装は不要 」 ということになります。





つづく



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