SPnet  開業編

1. 警備業とは何か

警備業者と警備員は警備業法によって規制されている。

たとえば、
警備員の着る制服は警察官や海上保安官と一見して異なるものでなければなりません。
また、上腕と胸の部分に60平方センチ以上のワッペンを付けなけばなりません。
業務上携帯できる警棒は90センチ・460グラム以下、警戒杖は130センチ・690グラム以下で特別な業務でしか使えません。
また、一定の要件を満たしていなければ警備員になれません。
警備員が警備業務をするためには30時間の教育(新任教育)と6カ月ごとに8時間の教育(現任教育)が必要です。

警備業務を行うためには(警備業者になるためには)公安委員会の認定を受けなければなりません。
定められた書類を作成管理し、年に一度の立入検査でチエックされます。
警備員指導教育責任者を営業所ごとに置かなければならないし、一定の業務・場所では検定資格者を配置しなければなりません。

最近、中規模のスーパーマーケットでは警備員を自社で雇って店内の巡回や保安を担当させています。
厳密にはこれらの人は“警備員”ではありません。
警備員でないのだから、警備業法の規制は受けません。
18歳未満であろうと、麻薬・アルコール中毒であろうと、刑務所を出たばかりであろうと、暴力団員であろうと構いません。
新任教育も現任教育も必要ありません。
警察官と同じ制服を着させても、90センチを超える警棒を持たせても、長い棒を持たせても構いません。
もっとも警備業法以外の法律に反するかも知れませんが…。
そのスーパーマーケットも公安委員会の認定を受ける必要もないし、指導教育責任者もいらないし、定められた書類を作成・管理する必要もありません。

警備業とは

警備業とは「他人の需要に応じて、人の生命・身体・財産に対する侵害の発生を警戒し防止することを業務を営業として行う」ことです。

※「…警備業務とは…他人の需要に応じて行うものをいう。」警備業法2条
※「…警備業とは、警備業務を行う営業をいう。」警備業法2条2項
※「…警備業者とは…警備業を営む者をいう。」警備業法2条3項
※「…警備員とは、警備業者の使用人その他の従業者で警備業務に従事るものをいう。」警備業法2条4項

スーパーマーケットが「自分の店を守るために」自社で雇った従業員に店の警備をさせるのは「他人の需要に応じて」でないから警備業務ではありません。
また、「他人の需要に応じて行う」ものであっても、それが営業(金儲け)でないのなら警備業にあたりません。
ボランティアで祭りの警備をすることや児童の通学の安全を守ることは警備業ではありません。

なお、警備員とは「警備業者に雇われている者で警備業務に従事する者」ですから、現場に出ない事務員サンは警備員ではありません。
現場に出ない従業員には教育の必要はありません。
事務員さんが金属製の盾と2メートルの棒を背負って事務仕事をしていても構いません。

要するに「他人に頼まれて金儲けのために他人を守ること」が警備なのです。
「他人のためにする」から「金儲けのためにするから」いい加減なことをしないように法律で規制されているのです。
    
警備業務は4種類ある

これも警備業法で定められています。(警備業法2条・1号〜4号)
@施設内の盗難や事故を警戒・防止する業務(施設警備・1号業務)
A人・車両の混雑する場所・通行に危険のある場所で事故を警戒・防止する業務(雑踏交通警備・2号業務)
B現金・貴金属・美術品などの運搬中の盗難・事故を警戒・防止する業務(運搬警備・3号業務)
C人に対する危害の発生をその身辺で警戒・防止する業務(身辺警備・4号業務)

簡単に言えば、施設の中を守るのが施設警備、人と車の交通を守るのが交通・雑踏警備、
貴重品を運ぶのを守るのが運搬警備、ボディガードが身辺警備です。

社会情勢の変化でさまざまな警備業態が生まれます。
それが1号〜4号のどれにあたるかは公安委員会の判断によります。
工場・事務所・家にセンサーを付けて、それが発報したときに警備員を向かわせて対処するのは施設警備、
子供や老人に現在位置を知らせる端末を持たせてその所在を確認するのは身辺警備とされています。
一人暮らしの老人の安否を確認するために訪問するのは身辺警備にあたるでしょう。
プール監視は警備業務とされていませんが、厳密に言えば施設警備にあたるでしょう。

★「 プール監視は警備業務にあたる-2012.06.25 警察庁通達 」について ★


「それが警備業にあたるかどうか」は、その仕事をするのに警備業法の適用・規制を受けるかとどうかに関係します。
「それがどの警備種別にあたるかどうか」は、その仕事に従事する警備員にどんな種別の教育をしなければならないかに関係します。
どの種別の指導教育責任者を置かなければならないか、どの種別の業務届けをしなければならないかにも関係してきます。

警備業を開業する場合、「自分のやろうとする警備業が1〜4号のどれにあたるか」を公安委員会に確かめておくことが必要になります。

なぜ警備業法ができたのか

警備業法は昭和47年6月に成立し昭和47年11月より施行されました。
警備業が世間に知られたのは昭和39年の東京オリンピック選手村の警備です。
その後、昭和45年の大阪万博で成長産業になりました。
警備業法が施行される昭和47年11月には警備業者数は約7百5十、警備員数は約4万1千人になっていました。
ここまで、警備業に関してはなんの制約もなかったのです。
そういえば、私がガードマンのアルバイトをした時は教育なんか受けませんでした。

警備業法が施行されるまで警備業は野放しの状態だったのです。
警察官と同じような制服を着ているのですから警察官と間違えられます。
それを良いことに渡された落とし物を着服する。
警備している施設の鍵を預かったことを利用して施設から物を盗む。
労働組合活動を妨害する。
警備員の教育をしていないので簡単に盗まれる。
その当時は警備員の犯罪・違法行為・お粗末な仕事ぶりが世間にあふれていたのでしょう。

そこで、警備業法を作って警備業を適正な業務にしようとしたのです。

昭和47年の警備業法では次のことが定められました。
@禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から起算して3年経たない者は警備業者・警備員になることはできない。
※現在では5年。
A警備業を届出制にした。
※現在では認可制。
B「警備業務を行うときには他人の権利・自由を侵害し、または個人・団体の正当な活動に干渉してはならない」ことを警備業務実施の基本原則として明文化した。
※現在では「警備業者・警備員は、警備業務を行うに当たっては、この法律により特別の権限を与えられているものでないことに留意するとともに、
他人の権利・自由を侵害し、または個人・団体の正当な活動に干渉してはならない」(警備業法15条)とされている。
C服装・護身用具の規制をした。
D警備員に対する教育・指導・監督を義務づけた。
※単に義務づけただけで指導教育責任者などの制度的な担保はなかった。
E立ち入り検査・行政処分・罰則を定めた。

それから10年経過。
まだまだ、警備員の犯罪・お粗末な仕事ぶりがなくならない。
すでに、警備業者は3千2百、警備員は12万4千人になっていた。
また、このころから機械警備が発展してきた。
そこで、昭和57年に警備業法は改正され、さらに警備業に対する規制を強化した。

@警備業を認可制にした。
A警備員・警備業者の欠格事由を拡大した。
B警備員指導教育責任者制度を定め警備員の指導・教育を強化した。
C機械警備に関する規制を定めた。

平成14年改正では、
@暴力団と関係する者を警備員・警備業者から排除した。(警備業法3条5号)
A暴力団が警備業者を陰で操ることを排除した。(警備業法3条11号)
B認定後6カ月以上仕事をしない場合は認定を取り消すことにした。
※この頃の犯罪認知件数は369万件に増加していた。

平成17年の改正では、
@指導教育責任者を営業所ごとに置かなければならないことにした。
※今までは会社に一人置けばよかった。
A指導教育責任者資格を1号〜4号の4種類に分けた。
※今までは一つの資格で1号〜4号すべての指導教育責任者になれた。
B3年に一回、指導教育責任者に現任教育を受けさせることにした。
C検定資格者の配置基準を定めた。(交通・貴重品運搬)
D顧客保護のため契約前・契約後書面の交付を義務づけた。

これからますます規制が強くなるだろう

警備業はこれからもますます発展していくだろう。
道徳心の希薄化・地域社会の弱体化・多国籍民族への加速、犯罪の増加。
もはや「水と安全はタダではなくなった」。
警備業は現在の社会にとってますます必要なものになっていくだろう。

それに伴って、警備業に対する規制はますます強くなる。
配置基準ができてから5年が経過しようとしている。
この4月には施設警備にも配置基準が定められると予測されている。

資格はより細分化され、その取得はより難しくなるだろう。
警備業が許可制になるのはそれほど先のことではないかも知れない。

「警備業の開業と警備資格の取得はできるだけ早くした方がよい」と思うのだが。


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