SPnet  開業編

3. 警備業は認定制(認可制)

基本的人権の制限

中学校の社会科でやりましたねぇ。
憲法の基本的人権のお話しです。
警備員になる時には必ずこのお話しが出てきます。

基本的人権とは「自分の思うように生活し行動する権利」です。
「一度限りの人生だから、自分の思うように生きる」ことは当たり前です。
他からとやかく言われる筋合いはありません。
どんなことを言おうが、どんな勉強をしようが、どんな格好をしようが、どんな仲間を集めようが、
どんな宗教を信じようが・宗教を信じまいが、どこに行こうが、どんな仕事をしようが勝手です。

しかし、無人島に一人で生活しているのならまだしも、他の人も生活しているのですから、お互いが勝手気ままにやりだしたら大変なことになります。
他の人の「思うように生きる権利」を害したり、社会全体の秩序を乱したりすることは避けねばなりません。
その点から「自分の思うように生きる権利」は制限されて当然のことなのです。

しかし、この「制限」は国民が選出した国会議員が国会で決めなければなりません。
国民の基本的人権を制限するには、国民の意思によるものでなければなりません。
また、その制限は「もっとも(合理的)」なものではなければならないし、憲法の精神に沿うものでなければなりません。


職業選択の自由に対する制限

我々は原則としてどんな仕事に就こうが勝手です。
江戸時代のように「士農工商」という身分制度があり、農民が武士になろうと思ってもなれなかった時代とは違います。
医者になって病院を開業しようが、薬局を開こうが、風呂屋をやろうが、銀行をやろうが自由です。

しかし、知識のない者が医者や薬剤師になったら死人が続出してしまいます。
設備の整っていないのに風呂屋をやらせたら入浴者に皮膚病や伝染病が広がります。
金の無いと者が銀行をやったらすぐに取り付け騒ぎが起こってしまいます。
そこで、他の人に危険が生じる恐れがあったり社会の安定を害する危険がある職業に対しては一定の制限があります。


放任・届出制・認可制・許可制

「放任」とは何の制限もないことです。

私は25年間学習塾をやっていました。
学習塾をやるのに教員免許は不要です。
教室はどんなものでもいいし、教室などなくてもいい。
教員免許不要・学歴不問、刑務所を出たばかりでも・アルコール中毒・麻薬中毒・精神錯乱でも構わない。
また授業料はどれだけ高くてもよい。
これが何の制限もない職業です。

昭和47年に警備業法が制定・施行されるまで警備業者も何の制限もない職業だったのです。

やんわり制限の届出制

届出制とは「私はこんな仕事をやります」とお上に申告しなければならない職業です。
申告するだけでOKです。申告すること以外に何の制限もありません。

『それなら、届け出てもなんの意味もないじゃない!』
いやいや、「お上が知っている」ということに意味があるのです。
何か問題が起これば、すぐにお上が事情を聞いたり、調べたり、指導したりすることができます。
また、届け出た者は「自分がやっているのをお上に知られている」ことで精神的圧力を感じヤバイことをしなくなります。

皆さんの中に「警察に指紋と顔写真・身体測定の結果」を登録されている人はいますか?
悪いことをして逮捕されたらこれらが登録されます。
悪いことをしなくても、任意取調べの警察官に騙されて指紋採取・顔写真撮影をされて登録されてしまう場合があります。
登録されている人が悪いことをしたらすぐにバレてしまいます。
『悪いことをしなければいいじゃない!』
しかし、心の中のどこかに「重〜い、何か」を感じませんか?
「お上に知られていること」はけっこう効果的なプレーキになるのです。

最近、探偵業がこの届出制になりました。
昭和47年の警備業法制定〜昭和57年の警備業改正までの10年間、警備業もこの届出制でした。

チョット厳しい認可制(認定制)

認可制とは「その職業をするために必要なものが定められていて、それが揃っていることをお上がチェックする」ものです。
その職業をやり始める前に、お上のチェックを受けなければならないし、やっている途中でもお上のチェックがあります。
やり始めた時は揃っていても、やっている途中で揃わない状態になれば認定が取り消されその職業ができなくなります。

ただし、「その職業をするために必要なもの」が揃っていれば、お上は必ずOKしなければなりません。

現在の警備業がこれにあたります。
警備業法3条の「警備業者の欠格事由」がなければ、お上(公安委員会)は必ず警備業をやることを認めなければなりません。
受注する仕事が決まっていなくても、隊員がいなくても、保険に入っていなくても、制服・ワッペンがなくても、事務所がなくても、お金がなくても構いません。
そんなことは、警備業法が定める「警備業をやるために必要なもの」ではないからです。

厳しい許可制

許可制とは「その職業をするために必要なものが定められていて、それが揃っていなければならないが、それが揃っていてもお上がダメを出せる」ものです。
『ええっ!それじゃお上の気分次第でOKが出たりダメが出るの? お上にそんな勝手を許していいの!』

「お上の気分次第・勝手気まま」ということはなく一定の基準があるでしょうが、許可申請をする者にとっては安心できませんネ。
職業ではありませんが、猟銃の所持がこの許可制です。
法律上必要とされる条件(正しくは要件)を揃えても、お上が『こいつに鉄砲を持たせたら危ない」と判断すれば所持許可は出ません。

そもそも許可の対象になる事柄・職業は「国民がやってはならないもの」なのです。
それを「特別に許す」のが許可だからこれは仕方がないですね。

なお、免許制も許可制の仲間です。
もちろん、自動車免許などは「実技・学科に合格し、適性検査にパスすれば」だれでも運転免許がもらえます。
しかし、これも許可制なのです。
道路交通法はどうなっているのか知りませんが、「お上がダメを出す」ことができる余地は充分にあるのです。

警備業は認定制だから、お上の嫌がらせに屈するな!

警備業法3条の「警備業者の欠格事由」をしっかりと覚えましょう。
ここに書いてある事柄に当たらなければあなたは警備業がやれるのです。
あなたが警備業者の欠格事由にあたらなければ、お上は必ずあなたに警備業認定書を渡して警備業開始をOKしなければならないのです。
警察署に認定申請にいくと、担当警察官がいろいろ嫌がらせをする場合があります。
そんな意地悪警察官にはこう言ってやりましょう。
『すいません!不勉強なもので…。警備業法3条の警備業者の欠格事由が改正されたのですね!』

それから、警備業を開始した後に認定を取り消されることがあります。(警備業法8条)

@認定申請に嘘があったことが判った場合
A警備業者の欠格事由が生じた場合
B認定をうけてから6カ月以内に営業を開始しなかった場合。
C認定をうけてから6カ月以上営業を休み、今現在営業をやっていない場合。
D3カ月以上所在不明になった場合。

@は当然のことです。
Bは「仕事がとれなくて営業をしていなくても、宣伝・入札参加・隊員教育など仕事を取る努力をしていれば」取り消しになりません。
C・Dは「仕事をする意思」がないので仕方がないでしょう。

Aに注意が必要です。
刑務所に入ったり、破産したり、物事の判断能力がなくなったり、精神錯乱・麻薬中毒・アルコール中毒になったり、暴力団員になったり、陰に暴力団が就いたりした場合は仕方がありませんネ。
しかし、警備業法で要求される届出を怠った場合は罰金が課せられます。
警備業法に関し罰金を受けたら警備業者の欠格事由にあたってしまいます。(警備業法3条3号)
警備業を始めたら、警備業法を隅から隅まで頭に入れて違反をしないようにしましょう。


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