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「電動キックボードの迷惑走行・違法走行」がマスコミで問題になっています。
2号の指教責から「その法的取り扱い」を新任教育で取り上げたいとの要望がありました。
現在のところ電動キックボードや電動スケートボードを公道で走らせるためには登録や運転免許の他に
道路運送車両法の定める保安基準(保安装備)を備えていなければなりません。
ワイドショーで取り上げられている「迷惑走行」は「違法走行」です。
ただ、「15㎞/h以下のものを自転車並に扱う」という法改正の動きがあります。
この法改正の動きがあるので警察は取り締まりや摘発を控えていることと思います。
教育で眠そうな新人警備員の興味を引くのにはよい題材です。
原付登録できるものかミニカー登録できるものを入手しておいて運転させるのもよいでしょう。
以下では道交法と運送車両法の定義がこみ入っています。
教える方は理解が必要ですが、講義では適当に割愛してください。
- 電動キックボードの法律的取り扱い
- トライクの法律的取り扱い
1.原動機付き自転車とミニカー
自動車に関する法令には道路交通法と道路運送車両法があります。
道路交通法は交通ルールや免許について定め、
道路運送車両法は登録,装備,検査について定めています。
※道路交通法第1条(目的)
「この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、
及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。」
※道路運送車両法第1条(この法律の目的)
「この法律は、道路運送車両に関し、所有権についての公証等を行い、
並びに安全性の確保及び公害の防止その他の環境の保全並びに整備についての技術の向上を図り、
併せて自動車の整備事業の健全な発達に資することにより、公共の福祉を増進することを目的とする。」
この目的の違いから同じものに対しても定める内容や範囲が異なります。
そこで道交法と車両運送法で別々に取り扱われるものが出てきます。
a. 道路交通法での原動機付き自転車と自動車
●道交法での原動機付き自転車
〇原動機付き自転車とは
「内閣府令で定める大きさ以下の総排気量又は定格出力を有する原動機を用い、
かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、
軽車両、身体障害者用の車椅子及び歩行補助車等以外のものをいう。」(2条10号)
〇内閣布令で定める排気量と出力(道交法施行規則1条の2)
「道路交通法 第二条第一項第十号 の内閣府令で定める大きさは、
二輪のもの及び内閣総理大臣が指定する三輪以上のものにあつては、
総排気量については0.05リツトル、定格出力については0.60キロワツトとし、
その他のものにあつては、総排気量については0.020リツトル、定格出力については0.25キロワツトとする。」
つまり原動機付き自転車とは、
①排気量50㏄以下・定格出力0.6kw 以下の二輪
②排気量50㏄以下・定格出力0.6kw 以下で内閣総理大臣が指定する三輪以上のもの
③排気量20㏄以下・定格出力0.25kw以下で①②以外のもの
〇「 内閣総理大臣が指定する三輪以上のもの 」(平成2年12月総理府告示48号)
※原文が見つからないためこちら
②a
・車室がない
・輪距50㎝以下( 輪距が二つ以上ある場合はその輪矩の中で最大のもの)
・三輪以上
②b
・車室があるが側面が構造上開放されている
・輪矩が50㎝以下
・三輪
結局、道交法での原動機付き自転車とは
・原動機を用い、レールや架線を使って走らず
・「自転車・身障者用車椅子・歩行補助車で政令の定めるもの」以外のもので
・次の規格を持つもの
①排気量50㏄以下・定格出力0.6kw 以下の二輪
②a排気量50㏄以下・定格出力0.6kw 以下で車室がなく、輪距50㎝以下の三輪以上
②b排気量50㏄以下・定格出力0.6kw 以下で車室があるが側面が開放され、輪距50㎝以下の三輪
③排気量20㏄以下・定格出力0.25kw以下で①,②a,②b以外のもの.
・③をもう少し説明すると
①以外 → 20㏄以下・0.25kw以下の一輪車
②a・b以外 → 20㏄以下・0.25kw以下で車室があり、輪距50㎝以下の三輪・三輪以上
②a・b以外
→ 車室の有無・形状に関わらず、輪距が50㎝を超える20㏄以下・0.25kw以下の三輪・三輪以上
●道交法での自動車
・ 原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、
・原動機付自転車、軽車両及び身体障害者用の車椅子並びに歩行補助車、
小児用の車その他の小型の車で政令で定めるもの以外のもの(2条9号)
このように道交法では、
原動機を用いる車で「原動機付き自転車,シニアカーやアシスト自転車など(※)以外」を自動車といいます。
※道路交通法施行規則1条,1条の2の2,1条の3,1条の4
50㏄を超える二輪車(オートバイ)も自動車となります。
この自動車に含まれる二輪車の分類は
・400㏄~,20kw~ → 大型自動二輪車・側車付き含む(道交法施行規則2条)
・125㏄~400㏄,1.0kw~20kw → 普通自動二輪車・側車付き含む(道交法施行規則2条)
※「二輪の自動車で…大型自動二輪車…以外のもの」
・50㏄~125㏄,0.6kw~1.0kw → 小型自動二輪車(道交法施行規則別表第2)
※普通自動二輪車の中に小型自動二輪車を定めている。
※原動機付き自転車の出力が「~50㏄,~0.6kw」である。
b.道路運送車両法での原動機付き自転車と自動車
●運送車両法での原動機付き自転車
〇原動機付き自転車とは
「国土交通省令で定める総排気量又は定格出力を有する原動機により
陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌条若しくは架線を用いないもの
又はこれにより牽引して陸上を移動させることを目的として製作した用具をいう。」(2条3項)
※道交法のように「車」という要件がないことに注意。
※運送車両法では自動車,軽車両についても定めているがいずれも「車」という要件がない。(2条1項・2項)
※「陸上を移動させることを目的として作られた用具で軌道や架線を用いないもの」だから
キャタピラやプロペラを付けたソリでもOKとなる。
〇国土交通省令で定める総排気量と定格出力(道路運送車両法施行規則1条1項)
・内燃機関125㏄以下の二輪・側車付きを除く(1号) → ~50㏄の二輪,50~125㏄の二輪
・内燃機関50㏄以下の二輪以外(1号)
・内燃機関以外の原動機で1.0kw以下の二輪(2号) → ~0.6kwの二輪,0.6~1.0kwの二輪
・内燃機関以外の原動機で0.6kw以下の二輪以外(2号)
※二輪以外 → 一輪車,三輪以上車。
〇原動機付き自転車の種別 (道路運送車両法施行規則1条2項)
・第一種原動機付き自転車 → 50㏄以下・0.6kw以下のもの → ~50㏄,~0.6kwの二輪・二輪以外
・第二種原動機付き自転車 → 50㏄~125㏄・0.6kw~1.0kwのもの → 二輪
※第二種原動機付き自転車は道交法では小型二輪車で原動機付き自転車ではない。
結局、運送車両法での第一種原動機付き自転車とは
① 排気量50㏄以下,定格出力0.6kw以下 の二輪
② 排気量50㏄以下,定格出力0.6kw以下 の二輪以外のもの
●運送車両方での自動車
原動機により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌条若しくは架線を用いないもの
又はこれにより牽引して陸上を移動させることを目的として製作した用具であつて、
次項に規定する原動機付自転車以外のものをいう。(2条2項)
cミニカー
以上のように「道交法の原動機付き自転車」と「運送車両法の第一種原動機付き自転車」の範囲が重なります。
そして、前者より後者の方が広くなっています。
そこで、運送車両法では「第一種原動機付き自転車に該る」が
道交法では「原動機付き自転車には該らず自動車に該る」ものが出てきます。
具体的に言えば、20㏄<排気量≦50㏄,0.25kw<出力≦0.6kw の
・一輪車
・ 車室があり、輪距50㎝以下の三輪・三輪以上
・ 車室の有無・形状に関わらず、輪距が50㎝を超える三輪・三輪以上
よく見られるもので言えば
・輪距60㎝を超える,20~50㏄,0.25~0.6kwの ゴーカート,三輪バギー,車室のある四輪車
・電動一輪車というのもありますが出力オーバーでここに該当しません。 → こちら(出力6.7kw)
これらは車両運送法では自動車ではなく第一種原動機付き自転車に該るので登録は原付と同じ扱い。
・水色ナンバー登録
しかし、道交法では原動機付き自転車には該らず自動車に該るので
・制限速度は60㎞/h
・普通免許が必要
・ヘルメット不要
・シートベルト着用 → またがり式は不要,座席式は必要
※説明
・シートベルト着用義務は運送車両法で定められたシートベルトについて(道路交通法71条の3)
・運送車両法では自動車についてシートベルトの装置が必要(運送車両法41条)とされていますが
道路運送車両の保安基準では
「原動機付き自転車も二輪,またがり式の場合を除きシートベルトが必要」とされています。(保安基準66条の2)
これが、いわゆる「ミニカー登録車両」です。 → こちら
なお、「超小型モビリティ」というものありますがこれは軽自動車の中の種別です。 → こちら
※以上については一部 こちらを参考にしました。
2.電動キックボードやセグウエイの原付登録
電動キックボードやセグウエイは原付登録やミニカー登録をすれば公道を走れるのでしょうか?
以上から私なりの解釈をします。
実際に登録できなかったり違反キップを切られたりしても責任は負いません。
必ず、入手前に登録先や警察署に問い合わせてください。
a.出力,構造の制限
〇二輪の電動キックボード
・ 50㏄以下,0.6kw以下 → 原付登録
※ 排気量50㏄以下・定格出力0.6kw 以下の二輪
・セグウエイもここに入るはずです。
〇三輪以上の電動キックボート・電動スケートボード
・ 50㏄以下,0.6kw以下、輪距60㎝以下 → 原付登録
※ 排気量50㏄以下・定格出力0.6kw 以下で車室がなく、輪距50㎝以下の三輪以上
・20㏄以下,0.25kw以下で輪距60㎝超え → 原付登録
※ 車室の有無・形状に関わらず、輪距が50㎝を超える20㏄以下・0.25kw以下の三輪・三輪以上
・20㏄~50㏄,0.25kw~0.6kwで輪距60㎝超え → ミニカー登録
※ 車室の有無・形状に関わらず、輪距が50㎝を超える三輪・三輪以上
b.登録の制限
登録には「型式,原動機の型式,型式認定番号」の記載が必要です。
これらが実際の登録において「どこまで厳格に要求されるのか」は分かりませんが、
正規のメーカーの製品でない場合は登録できない可能性があります。
c.運送車両法の装備が必要
原付登録やミニカー登録をしてナンバーがもらえても
道路を走らせるためには運送車両法の求める装備(ライト,ウインカー,ホーン,ブレーキなど)が必要です。
(運送車両法44条,道路運送車両の保安基準59条~)
ブレーキのないセグウエイや電動スケートボードはここではねられることになります。
※課税標識(ナンバー)の意味は、
地方税の「課税登録済」であり、「道路走行可」の許可証ではありません。
公道を走行するためには、道路運送車両法の保安基準を満たす必要があります。 → 新初田市HP,神奈川県警
d.出力0.6kwを超えるもの
運送車両法では「50㏄~125㏄,0.6kw~1.0kwの二輪」は第二種原動機付き自転車で 自動車ではありません。
登録は125㏄バイクと同じです。
また、、道交法では 「50㏄~125㏄,0.6kw~1.0kwの二輪」 は原動機付き自転車でなく自動車に該りますが
自動車の中の小型自動二輪なので二輪免許が必要です。
125㏄~,1.0kw~の二輪については
運送車両方では自動車ですが 250㏄バイク,250㏄超えバイクの登録。
道交法では自動車の中の普通二輪,大型二輪として普通二輪免許,大型二輪免許が必要です。
50㏄超え,0.6kw超えの四輪については運送車両法も道交法も四輪です。
結局、0.6kw超えの電動キックボードやスケートボードは二輪なら二輪車としての登録と免許、
四輪なら四輪車としての登録と免許が必要です。
※三輪については後述のトライクという分類があります。
ただし、登録に認定型式が必要であり保安基準を満たしていなければなりません。
ネットで売られているような「0.6kwを超える電動キックボード」は登録できないでしょうし、
登録できたとしても公道走行は違法となるでしょう。
3.ネットショップの商品から具体例
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a.高速電動キックボード
●85㎞/hの電動キックボード
モーター出力が5.6kwだから、出力だけで考えれば第二種原動機付き自転車の上の普通二輪です。
250㏄バイクとして登録が必要で、運転には自動二輪免許が必要です。
もっとも、型式で登録できず、登録できたとしても保安基準を満たせず公道走行はできないでしょう。
それより、このホイール径で85㎞/hでは「怖い恐い体験」となるでしょうネ。
●65㎞/hの電動キックボード
出力 2.0kw で 連続走行距離 80㎞だとか。
ライトやミラーなどの保安部品がついていませんからかえってすっきり。
どうせ、公道は走れませんからね。
●45㎞/hの電動キックボード
45㎞/hに下がりますが、出力1.0Kwですから第二種原動機付き自転車で125㏄バイク扱いです。
こちらは陸運局ではなく市役所での登録ですが、型式で登録できないでしょう。
登録できたとしても保安基準を満たさず公道を走ると違反キップを切られます。
●原付登録できる電動キックボード
0.5kwで保安部品も揃っているから「説明文」通り原付登録・公道走行できるでしょう。
ただし、最大速度が38㎞/hだから法律が変わっても自転車扱いとはなりません。
●こちらも原付登録できます。
0.5kw,40㎞/h
ただし、原付登録をしてナンバーを付けたら絶対に歩道は走れません。
警察は摘発しやすい電動キックボードを捕まえるのでその餌食になります。
もっとも、同じ原付なら走行性能,操安性,快適性,整備性の高い50㏄スクーターの方がよいでしょう。
その他の電動キックボードは → こちら
b.三輪電動キックボード
●ミニカー登録の三輪電動キックボード
モーター出力0.5kw,輪距51.5㎝。
保安部品も揃っているので多分「説明文通り」ミニカー登録できるでしょう。
普通免許が必要だけど「ヘルメットなし」が魅力です。
ただし、最高25㎞/hでは後からクラクションの嵐になります。
●どうせクラクションの嵐なら「4st・50㏄」のこちらを
ミニカー登録できます。
●こちらはどうですか?
0.4kwで輪距は多分50㎝超え。ミニカー登録できるでしょう。
しかし、だんだんと若さがなくなってきましたネ。
これなら歩道を走れるシニアカーの方がいい。
●こちらは「若さ」だけど2.1kwで四輪だから自動車扱い。
保安部品なしだから、絶対に登録も公道走行もできません。
c.セグウェイ
※その他セグウエイ
二輪ですから
「出力0.6kw以下」で
「運送車両法の保安基準(道路運送車両の保安基準59条~ )満たせば原付登録が可能な筈です。
ただし、不安定な乗車姿勢が「何らかの基準」引っかかるかもしれません。
また、二輪といっても横幅があるので輪距の制限がかかるかもしれません。
新しい乗り物であるので現行法が追いついていけません。
現在、最高速度を基準として小型電動車を分けようとする動きがあります。 → こちら, こちら
ここでは最高速度15㎞/h以下なら
・運転免許不要,ヘルメット不要
・車道,路側帯,自転車専用レーンが走れる。
とほとんど自転車並の扱いになるようです。
セグウエイで公道を走るのはそれまで待ちましょう。
●この動きに合わせたのか「15㎞/h以下」という電動キックボードも売られています。
出力が明示されていないので原付登録できるかどうか不明です。
15㎞/h以下の電動キックボードが自転車扱いになれば必要な装備も決まります。
また、色々な車種が発売されるだろうからそれまで待った方がよいでしょう。
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※トライクの法的取り扱い
- 電動キックボードの法律的取り扱い
- トライクの法律的取り扱い
4.トライクの法律的取り扱い
a.トライクとは
上で運送車両法では原動機付き自転車に該り道交法では自動車に該るミニカーを説明しましたが、
同じようなことがトライクという三輪にも生じています。
トライクというのは二輪のオートバイを三輪に改造したものです。
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このトライクは道交法では自動車,車両運送法では「側車付き二輪」として二輪車になります。
そのため免許や交通ルールは自動車、登録は二輪車となります。
b.道交法でのトライク
●トライクは二輪車でも側車付き二輪車でもない
道交法3条
自動車は、内閣府令で定める車体の大きさ及び構造並びに原動機の大きさを基準として、大型自動車、中型自動車、準中型自動車、普通自動車、大型特殊自動車、大型自動二輪車(側車付きのものを含む。以下同じ。)、普通自動二輪車(側車付きのものを含む。以下同じ。)及び小型特殊自動車に区分する。
道交法施行規則2条
・大型自動二輪車 → 総排気量が〇・四〇〇リットルを超え、又は定格出力が二〇・〇〇キロワットを超える原動機を有する二輪の自動車(側車付きのものを含む。)で、大型特殊自動車及び小型特殊自動車以外のもの
・普通自動二輪車 → 二輪の自動車(側車付きのものを含む。)で、大型特殊自動車、大型自動二輪車及び小型特殊自動車以外のもの
〇トライクは「二輪」ではない
では、トライクは「大型自動車,中型自動車,順中型自動車,普通自動車」に該るのか、
二輪の自動車(側車付きのものを含む)に該るのか?
ここで、「二輪」の自動車と表記されているので、
「三輪」であるトライクは「オート三輪」と同じく「二輪の自動車ではない」とされています。こちら
道交法施行規則2条は備考として
「車体の構造上その運転に係る走行の特性が二輪の自動車の運転に係る走行の特性に類似するものとして内閣総理大臣が指定する三輪の自動車については、二輪の自動車とみなして、この表を適用する。」
として、次に述べる「特定三輪車」を二輪の自動車とみなすとしています。
この反対解釈から「特定三輪車でないトライク」は「二輪の自動車ではないとしている」と解釈されます。
〇トライクは側車付き二輪車ではない
それではトライクは「側車付きの二輪の自動車」に該らないのでしょうか?
後述しますが、運送車両法では「トライクは側車付きオートバイ」に該るとしています。
道交法にこれを定めたものは見当たりません。
道交法は交通ルールを定めるものなので
「横に側車が付いたものが側車付き二輪車」これが二輪の限界。
「トライクはオート三輪と同じ」で「側車付き二輪車」ではない。
これで、解釈の問題が生じなかったのでしょう。
当時はトライクなどが出現していなかったのかもしれません。
〇トライクは二輪車として扱われない
このように道交法ではトライクは二輪車として扱われず、
その大きさに応じて「 大型自動車,中型自動車,準中型自動車,普通自動車 」として扱われます。
そのため
・ヘルメット着用義務なし。
・二輪免許ではなく該当の自動車免許が必要。
・またがり式のため運送車両法の保安基準でシートベルト不要 → シートベルト着用義務なし。
●特定三輪車-道交法で二輪車とみなされる三輪車
ヤマハが開発した多輪オートバイに「LMW=Leaning Multi Wheel」というものがあります。
「ころばないバイク」で「傾けてコーナーリングができるバイク」です。 → こちら,こちら
この中で実際に発売されているのがトリシティとNIKEN。「前二輪+後一輪」の三輪です。
走行性・操縦性から、これを「トライクと同じ」と考えるのは無理があります。
そこで、道路運送車両法施行規則が改正され、道交法施行規則2条に「備考」が追加されました。
・道交法施行規則2条備考
「車体の構造上その運転に係る走行の特性が二輪の自動車の運転に係る走行の特性に類似するものとして
内閣総理大臣が指定する三輪の自動車については、二輪の自動車とみなして、この表を適用する。」
・内閣府告示第二百四十九号(平成21年6月22日)
「道路交通法施行規則第二条の表備考の規定に基づき、
車体の構造上その運転に係る走行の特性が二輪の自動車の運転に係る走行の特性に類似するものとして
内閣総理大臣が指定する三輪の自動車を次のように定める。
道路交通法施行規則第二条の表備考の内閣総理大臣が指定する三輪の自動車は
次に掲げるすべての要件を満たすものとする。
一、三個の車輪を備えていること。
二、車輪が車両中心線に対して左右対称の位置に配置されていること。
三、同一線上の車軸における車輪の接地中心点を通る直線の距離が四百六十ミリメートル未満であること。
四、車輪及び車体の一部又は全部を傾斜して旋回する構造を有すること。」
これらは道交法では二輪車となります。
この要件に満たさない次のようなもの二輪車として扱われません。
・前二輪+後二輪の四輪の LMW
・二輪の接地中心巾が460 ㎜以上のもの。
もっともヤマハは LMW を二輪車として開発しているので、
この基準を逃れる「自動車として扱われる LMW」を発売することはないでしょう。
しかし、「二輪接地中心巾460 ㎜以上」など軽くクリアーできるので
「普通免許で乗れて、ヘルメット不要」の「845㏄・NIKEN」を出せばおもしろいですね。
b.道路運送車両法でのトライク
●トライクは「側車付き二輪車」に該る
運送車両法でトライクは二輪車,側車付き二輪車,それ以外の自動車のどれに該るのでしょう?
この点は「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示・2005.06.01(こちら)」が定めています。
・2条
三.「三輪自動車」とは3個の車輪を備える自動車であって、次号のいずれかに該当する以外のもの
四.「側車付き二輪自動車」とは次のいずれかに該当するものをいう。
イ.直進状態において、同一直線上にある2個の車輪及びその側方に配置された1個(覆輪を含む)又は2個
(二輪自動車の片側の側方に備えたものに限る)の車輪(以下「側車輪」という)を備えた自動車
ロ.またがり式の座席、ハンドルバー方式のかじ取装置及び3個の車輪を備え、
かつ運転者席の側方が開放された自動車
この要件を満たすトライクは「三輪自動車」ではなく「側車付き二輪車」に該ります。
「またがり式」,「ハンドルバー方式」,「運転席の側方が開放」のどれかを書けば「三輪自動車」となります。
●側車付き二輪車の分類
このトライク(側車付き二輪車)は運送車両法でどのように取り扱われているのでしょう。
・運送車両法3条
この法律に規定する普通自動車、小型自動車、軽自動車、大型特殊自動車及び小型特殊自動車の別は、自動車の大きさ及び構造並びに原動機の種類及び総排気量又は定格出力を基準として国土交通省令で定める。
・運送車両法施行規則2条
法第三条の普通自動車、小型自動車、軽自動車、大型特殊自動車及び小型特殊自動車の別は、別表第一に定めるところによる。
・別表第一
〇軽自動車
①二輪自動車(側車付二輪自動車を含む。)以外の自動車及び被けん引自動車で自動車の大きさが下欄に該当するもののうち大型特殊自動車及び小型特殊自動車以外のもの(内燃機関を原動機とする自動車にあつては、その総排気量が〇・六六〇リットル以下のものに限る。)
※例 : 660㏄以下の四輪自動車,三輪自動車
②二輪自動車(側車付二輪自動車を含む。)で自動車の大きさが下欄に該当するもののうち大型特殊自動車及び小型特殊自動車以外のもの(内燃機関を原動機とする自動車にあつては、その総排気量が〇・二五〇リットル以下のものに限る。)
※例 : 250㏄以下の二輪車,側車付き二輪自動車・トライク
〇小型自動車
①四輪以上の自動車及び被けん引自動車で自動車の大きさが下欄に該当するもののうち軽自動車、大型特殊自動車及び小型特殊自動車以外のもの(内燃機関を原動機とする自動車(軽油を燃料とする自動車及び天然ガスのみを燃料とする自動車を除く。)にあつては、その総排気量が二・〇〇リットル以下のものに限る。)
※例 : 660~2000㏄の四輪自動車
②二輪自動車(側車付二輪自動車を含む)及び三輪自動車で
軽自動車、大型特殊自動車及び小型特殊自動車以外のもの
※例 : 660~2000㏄ の三輪 ← 660㏄以下の三輪は軽自動車に入る
※例 : 250~2000㏄の二輪,側車付き二輪・トライク
←250㏄以下の二輪は軽自動車に入り、2000㏄超えの二輪車は普通自動車に入る。
〇普通自動車
小型自動車、軽自動車、大型特殊自動車及び小型特殊自動車以外の自動車
※例 : 2000㏄超えの四輪,三輪,二輪 → 2000㏄超えのトライクは普通自動車
← 車輪の数に言及無し。
つまり、トライクはその排気量により次のものとして登録されます。
・250㏄以下 → 軽二輪
・250㏄~2000㏄ → 小型二輪
・2000㏄超え → 普通自動車
●50㏄~125㏄のトライクはどうなるのか
運送車両法施行規則では原動機が125㏄以下,1.0kw以下のものを原動機付き自転車としています。
・1条
「道路運送車両法第二条第三項の総排気量又は定格出力は、左のとおりとする。
一.内燃機関を原動機とするものであつて、二輪を有するもの(側車付のものを除く)にあつては、
その総排気量は〇・一二五リツトル以下、その他のものにあつては〇・〇五〇リツトル以下
二.内燃機関以外のものを原動機とするものであつて、二輪を有するもの(側車付のものを除く)にあつては、
その定格出力は一・〇〇キロワツト以下、その他のものにあつては〇・六〇キロワツト以下
2.前項に規定する総排気量又は定格出力を有する原動機付自転車のうち、
総排気量が〇・〇五〇リツトル以下又は定格出力が〇・六〇キロワツト以下のものを第一種原動機付自転車とし、
その他のものを第二種原動機付自転車とする。」
この規定の中で50~125㏄,0.6~1.0kwのトライクはどれに該当するのでしょう?
運送車両法でトライクは「側車付き二輪車」として扱われていますから
「二輪を有するもの(側車付きのものを除く)」に該りません。
それなら、「その他のもの」に該るのでしょうか?
そうだとすると「50㏄以下,0.6kw以下」でなくてはならず
「50~125㏄,0.6~1.0kw のトライク」は認められないことになります。
しかし、実際に125㏄トライクは登録されています。
多分、次のように解釈されているのでしょう。
・「側車付のものを除く」の「側車」とは「サイドカー」のことで、
「側車付き二輪車」として分類されるトライクのことではない。
・「50~125㏄,0.6~1.0kw のサイドカー付き二輪車」は第二種原動機付き自転車ではないが、
「50~125㏄,0.6~1.0kw のトライク」は第二種原動機付き自転車に該る。
車両運送法施行規則が昭和26年。
「トライクが側車付き二輪車として二輪車に該る」と定めたのが2005年です。
当時の側車付き二輪車とは
「サイドカー付き陸王」や「材木屋さんのベンリイの横に付けた荷物車」だったのでしょう。
江戸川区も「サイドカー付きは二輪の軽自動車になります」と説明しています。 → こちら
ここでもう一度トライクを分類してみると次のようになります(車体寸法の制限除く)
①50㏄以下,0.6kw以下 → 第一種原動機付き自転車
②50~125㏄ ,0.6~ 1.0kw → 第二種原動機付き自転車
③250㏄以下 → 軽二輪自動車
④250㏄~2000㏄ → 小型二輪自動車
➄2000㏄超え → 普通自動車
●ミニカーとの区別
ミニカーとは
運送車両法では第一種原動機付き自転車に該るが、道交法では原動機付き自転車ではなく「自動車」に該るもの。
具体的に言えば、20㏄<排気量≦50㏄,0.25kw<出力≦0.6kw の
・一輪車
・ 車室があり、輪距50㎝以下の三輪・三輪以上
・ 車室の有無・形状に関わらず、輪距が50㎝を超える三輪・三輪以上
トライクとは運送車両法で二輪車に該るが、道交法では二輪車ではなく「自動車」に該るもの。
そこで、「 50㏄以下,0.6kw以下のトライク」とミニカーの範囲が重なります。
そして、「 50㏄以下,0.6kw以下のトライク の範囲」が「ミニカーの範囲」より広くなります。
「 50㏄以下,0.6kw以下のトライク」 でミニカーでないものを例示すればば
・「20㏄以下,0.25kw以下」のトライク
・車室がなく 輪距50㎝以下のトライク
・車室があるが左右が開放されている 輪距50㎝以下のトライク
しかし、これらは道交法で原動機付き自転車として「二輪」の扱いを受けます。
( 道交法2条10号,道交法施行規則1条の2 ,こちら)
そのためトライクについて次のように説明しなければなりません。
・トライクは運送車両法では「側車付き二輪」として「二輪車」に該る。
・トライクは道交法では「二輪車」には該らない。
・ただし、道交法2条10号で原動機付き自転車とされるものについては道交法でも「二輪車」に該る。
※以上は私の解釈ですからその真偽は不明です。
c.トライクまとめ
トライクは道交法では二輪車ではなく四輪車と同じ扱いなので、
・免許は四輪車と同じ
・ヘルメット不要。
・またがり式のものはシートベルト不要。
・制限速度は60㎞/h
・125㏄以下,1.0kw以下でも高速道路通行可。
しかし、運送車両法では二輪車と同じ扱いなので、
・二輪車登録で税金,強制保険料は二輪と同じ。
・車庫証明不要。
・250㏄以下は車検無し。
※こちら
上のサイトが言うようにトライクは「バイクと車のいいとこ取り」と思えますが「悪いとこ取り」とも言えます。
・雨,風にさらされる。
・エアコンが効かない。
・積載量が少ない。
・事故のとき無防備。
という二輪車の悪いところと
・傾けられないのでコーナーがおもしろくない。
・切り返しが遅い。
・加速が悪い。
・場所をとる
という四輪車の悪いところ
さらに、
・四輪でなく三輪であるために走行安定性や旋回安定性が悪い
という三輪ならではの悪いところ。
これなら「ホンダのS660」か「ダイハツのCOPEN」の方がよいでしょう。
利点はただ一つ
「二輪免許がなくてもオートバイらしきものに乗れる」こと。
オートバイに乗っている者からはあまり魅力のあるものではありません。
試走コースの165号青山峠でもトライク集団を見かけますが「異質な光景」です。
まあ、250㏄以下なら車検がなく250㏄バイクと同じ維持費だし、車両価格も安いので
車庫に余裕があれば「面白半分で」程度でしょう。
ただし、注目されることは確かです。
※トライクメーカー①,トライクメーカー②,トライクメーカー③,おすすめトライク販売店
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50ccでミニカー
原動機付き自転車扱いです。
