NSRに「片肺 → 休むと復活 → また片肺」の症状が出て原因調べ。
その途中に「センターシール抜け」が発覚。
そのため「永久放置」を決めたのが昨年9月。 → こちら
しかし、この名車をこのまま朽ちさせるのは忍びがたい。
なんとか「もう一度あの甲高い排気音を復活させてやりたい」。
井上ボーリングが「クランクを送ればセンターシール交換をしてくれる」ようになったので依頼することに。
そのためにはクランクを取り出さなければなりません。
まずは、エンジンを降ろしてクランクを取り出すまで。
●井上ボーリングのラビリについて
・井上ボーリングが開発したNSR用の金属製のラビリンスシールです。
・ゴムシールのように磨耗の心配がありません。商品名はラビリ。
・クランクを送れば、OHしてベアリングもすべて新しくしてくれます。
・以前は「エンジンを送っての作業」だったので「〇十万円」でしたが、
「クランクだけを送っての作業」になったので「十〇万円」になりました。
・当然のことながら、純正部品は廃番で入手できません。
●MC21・MC28用ラビリと作業
●MC16・MC18用ラビリと作業
●井上ボーリング製品と作業
★★★★★
- エンジンにつながっているものを外す
- フライホイール取外しの注意
- エンジンを降ろす・ハンガアジャスタボルトの役割
- クランクの取外し
1.エンジンにつながっているものを外す
NSRはエンジンを下ろさなくてもクランクの取外し取り付けができるようになっています。
しかし、「それがエンジンを降ろしてやるよりも面倒くさいこと」は直感的に分かります。
エンジンを触るのが初めてだから、その構造を知るためにも「エンジンを降ろしてクランクを外す」ことにしました。
手順は「エンジンにつながっているものを全て外す」 → 「エンジンマウントボルトを外す」
a.冷却水とギヤオイルを抜く
まずは、冷却水とギヤオイルを抜くことから。
案外戸惑うのがドレンボルトの位置。
こちらが冷却水のドレンボルト。(8Mソケット)
リヤシリンダーにもありますが、フロントシリンダーのドレンから全てが抜けます。
ウォーターポンプの付近を探してもありません。
こちらがミッションオイルのドレンボルト。(14Mソケット)
クランクケースの底を探してもありません。
b. オイルポンプ関係
チャンバー,燃料タンク,エアクリーナーボックス,キャブレター,インテークマニホールド,リードバルブ,クラッチケーブル(エンジン側),リザーバータンク,スプロケットカバー,スプロケットを外すのは問題ないでしょう。
ラジエター取り付けボルトは左側だけ。右側と下側は差込になっています。
組立のときにラジエターホースの取り付け方向で迷うに決まっています。
いろいろな方向から写真を撮っておきましょう。
白マジックで番号と方向を書いておくのも一法です。
●オイルボンプは取り外さない
オイルポンプへつながっているホースにM6ボルトで栓をすればOK。
●ケーブル取外し時に「アジャスターの目盛り」をメモしておく
オイルポンプの流量調整はそれほど細かい作業ではありません。
しかし、以前の状態を知っておけばそれだけ楽です。
●オイルポンプソレノイドカプラーを外す
オイルポンプからコードが出ています。
オイルポンプの流量をコントロールするソレノイドです。
カプラーボックスの「ピンク-茶/黒」コードのカプラーを外して、エンジン付近まで持ってきます。
c.排気バルブガイドの取外し
●アジャスターを動かさないで、ガイドごと取り外す。
排気バルブの調整はオイルポンプの調整のように簡単ではありません。
エンジン組み付け後の細かい調整は必要でしょうが、「以前の状態」からスタートした方が楽です。
そのためには、ケーブルを取り付けたまま(アジャスターをそのままにして)取り外します。
アジャスターのある方(シリンダー側)が「ガイドベース」。
動く方(外側)が「ケーブルガイド」。
ガイドベースは二本のボルトb でシリンダーに取り付けられています。
このボルトの一方がケーブルガイドの下になっているので、
ガイドベースを外すためにケーブルガイドを外さなければなりません。
ボルトaを外してケーブルガイドを外す → 2本のボルトbを外す → ガイドペースを外す。
Cはケーブルガイドを動かないようにするための穴です。
ここに、何かを差し込めばOK。
●aは逆ネジ
「時計回り(右回り)で弛み、反時計回り(左回り)で締まる」ようになっています。
外すのは右回りです。
・取外しトルク(トルクレンチの指示値) → 150㎏・㎝
・シリンダー側から「ガイドペース → 楕円ワッシャ → ガイド → 大ワッシャ → 小ワッシャ → ナット」
・ガイドペース取り付けボルト → M6×首下12㎜
・ガイドペースボルト取外しトルク(トルクレンチ指示値) → 120㎏・㎝+α
このようにケーブルガイドを外してからガイドベースの取り付けボルトbを外します。
この後、ガイドベース,ガイド,ワッシャ類を取り付け順にタイラップで留めておきます。
d.バルスジェネレーターとギヤポジションセンサーの取外し
どちらもワイヤハーネスのカプラーを外せば済みますが、
ケーブルが他のものと一体になっていたり、カプラーを捜すのが面倒だったりするので、
エンジンから取り外す方が簡単です。
二つのパルスジェネレーターの上の方にはステーがはまっているので注意。
ギヤポジションセンサーは白○印の部分です。
これを外すのですが、右下の取り付けボルトを外してからどうすればよいのでしょう。
下から見ると
差し込んであるだけです。
隙間にマイナスドライバーを差し入れてこじれば外れます。
★★★★
- エンジンにつながっているものを外す
- フライホイール取外しの注意
- エンジンを降ろす・ハンガアジャスタボルトの役割
- クランクの取外し
2.フライホイール取外しの注意
エンジンを取り外すのにはフライホイール(ジェネレーターローター)の取外しは不要。
ジェネレーターコイル(ステーター)のコードのカプラーを外せばよい。
しかし、クランク取り出しのときに外さなければならないのでこの段階で取外します。
a.ユニバーサルホルダーが入らない!
フライホイールの外側に「ホイールプーラー用のネジが切ってある板」が取り付けてあります。
この板がフライホイールから5㎜ 出っ張っています。
そのためユニバーサルホルダーの突起が短いとフライホイールを止めることができません。
このユニバーサルホルダーの突起の長さは「長い方が13㎜,短い方が6㎜」。
なんとか、差し込んで取り付けボルトを取外し。
○ネジロック塗布の可能性あり、ホットガンでネジロック解除(※マニュアルにはネジロック指定なし)
○正ネジだから取外しは「心配なく左回し」
b.アストロプロダクトのプーラーに要注意
このフライホイールを取り外すのには「それ用のプーラー」が必要です。
RMXのようにクランクケースセパレーター(ストレート 19-508)は使えません。 → こちら,こちら
三本爪(ストレート19-1128),二本爪のプーラーは爪が引っかからないので使えません。
近くのアストロプロダクト店に出向いて買ったのがこちら。
アストロプロダクトの AP070441です。 → こちら
●仕組みは簡単
左がアダプターでこれをフライホイールに取り付けます。
右がプーラー(押し出しボルト)でこれをアダプターにねじ込みます。
アダプターをフライホイールに取り付けると、フライホイールとアダプターが一体になります。
アダプターにプーラー(押し出しボルト)をねじ込むと、
ボルトが出っ張ってきてクランクシャフトを押します。
その結果、フライホイールが引っ張られて外れます。
●アダプターは「M27/1.0の逆ネジ」が必要
NSR250のアダプター取り付け♀ネジは「M27・ピッチ1.0(細目)・逆ネジ」です。
ネットでいろいろなアダプターやフライホイールプーラーが売られていますが、
この「ネジの寸法・規格」が書いてないものがたくさんあります。
どんな商売をしているのでしょうネ。
その商品レビューで「○○のフライホイールを簡単に外せました!」
よくネジサイズが分かりましたネ。
逆ネジは進行方向に向かって「山のラインが右下がり」なので、写真から分かりますが、ピッチまでは分かりません。
なお、アストロプロダクト・AP070441のアダプターは
「M27・ピッチ1.0・逆ネジ」と「M24・ピッチ1.0・正ネジ」です。
●「押し出しシャフト」のサイズに注意
注意しなければならないのが「押し出しシャフト」。
押し出しボルトのサイズは「M10・ピッチ1.25(細目)・正ネジ」
なんと、フライホイール取り付けボルトのクランクシャフト♀ネジと同じなのです。
その結果、
そのまま押し出しボルトをアダプターにねじ込むと、クランクシャフトにねじ込まれてしまいます。
押し出しボルトがクランクシャフトにねじ込まれると、
フライホイールとクランクシャフトを「強く接合している状態」になり、クランクシャフトを押すことはできません。
当然、押し出しボルトを締めれば締めるほどフライホイールをクランクシャフトに押し付けることになります。
「押し出しボルトがアダプターの根元まで入ってもフライホイールが外れない」のがその場合です。
この状態でハンドルにパイプを繋いで長くし、力をかけて締めると押し出しボルトが折れてしまうことにもなります。
YahooオークションのNSR250のクランクシャフトで「シャフト内にボルトが折れ込んでいるもの」が出品されていましたが、もしかしてこのような状況だったのかもしれません。
●対策はシャフトに詰め物をすること
対策は「押し出しボルトがクランクシャフト内に入っていかないようにする」こと。
クランクシャフトに詰め物をすればよいのです。
シャフトは
・先端外径 : 17.2㎜Φ
・ネジ穴内径 : 10.5㎜Φ
・ネジ深さ : 先端より21㎜
・穴深さ : 60㎜
詰め物として選んだのは
①M10・ピッチ1.25キャップボルトをピッチ1.0ダイスでネジを切ったもの。
キャップ外径15.8㎜Φ,首下20㎜と25㎜
②M10・ピッチ1.0のキャップボルト
キャップ外径15.8㎜Φ,首下20㎜と25㎜
③M8キャップボルト
キャップ外径13.7㎜Φ,首下20㎜と25㎜
④M8ボルト
頂点長14.8㎜,首下20㎜と25㎜
・①と②はそのままねじ込めるから。
・①は「M10・ピッチ1.0(細目)」が入手できない場合を考えて。
・①と②の首下20㎜と25㎜は「ボルトを最後までねじ込んだ場合とそうでない場合」試したいから。
シャフトのネジ深さが先端から21㎜だから
首下20㎜では最後までねじ込めない、首下25㎜では最後までねじ込める。
・③と④は「M10.ピッチ1.0のキャップボルト」が入手できない場合や「M10・ピッチ1.0のダイス」がない場合のため。
●使えるのは
予想は①か②。
しかし、①と②は使えませんでした。
このようにシャフトにピッタリはまるのだけれど、
キャップ厚が厚いのでフライホイールにアダプターが1山くらいしかねじ込めない。
アダプターがしっかりとフライホイールに取り付けられていないと、
しっかりと力がかからないし取り付けネジを損傷する危険がある。
④のM8キャップボルトはキャップ径が小さいのでシャフト外端に当たらない。
M8ボルトはシャフト外端に引っかかるし、頭の厚さも小さいのでフライホイールにアダプターをしっかりとねじ込める。
この場合は「シャフト外端に当たっているだけ」だけ。
シャフト穴深さは61.5㎜なので、首下61.5㎜なら穴の底に突き当たってしっかりと押せることになる。
(しかし、センターが狂うなと別の問題が起きそう)
外すのには「やはり力が必要」。
どこかのユーチューブで「クルクルクル」と回して『はい!外れました。』
ウソです。
ハンドルをパイプで延長して、思いっきり回して…、『パキッ!』
●お勧めプーラーはこちら
NSR250のフライホイールだけを外すのなら「M27・ピッチ1.0・逆ネジ」のアダプターがあればよい。
アストロプロダクトのように「M24.ピッチ1.0・正ネジ」アダプターなんか不要。
押し出しボルトは汎用のものを使えばよい。
アストロプロダクトのプーラーのように4種類も要らない。
もっと、安い方がよい。
お勧めはストレートの19-686 → こちら
アストロの1/3の値段だし、押し出しボルトも太そうです。
但し、押し出しボルトが太い場合でもクランクシャフト穴に詰め物は必要です。
★★★★
- エンジンにつながっているものを外す
- フライホイール取外しの注意
- エンジンを降ろす・ハンガアジャスタボルトの役割
- クランクの取外し
3.エンジンを降ろす
a.マウント(ハンガ)ボルト
エンジンマウント(ハンガ)ボルトは4本
①フロントマウントボルト(10×291)
②リヤマウントボルト(10×285)
③リヤマウントボルト上(10×80)
④リヤマウントボルト下
ゴムブッシュは全て共通です。
b.「リヤマウントボルト上」の取外し
③「リヤマウントボルト上」はソケットボルトで、左側が頭で右側がナット側です。
外す場合はヘキサレンチで回り止めをして右側のナット(ソケットM14)を外します。
しかし、隙間が小さいのでメガネレンチでは真っ直ぐに入らず山を舐めてしまいます。
M14のストレートレンチが必要です。 → こちら
ラチェットなら便利です。 → こちら
ボルトは左側へ抜いて
フレームのこの穴から出てきます。
回り止めの六角レンチ/8㎜はこの穴から差し込むとよいでしょう。
但しこの穴は18.5㎜Φ。差込角の小さなソケットレンチか長い六角レンが必要です。 → こちら
c.エンジンハンガアジャスタの役割
●これを外さないとエンジンが降ろせない
これら①~④のボルトを外してもエンジンがどこかに引っかかって外れません。
もう一カ所のボルトを外さなければなりません。
外側のロックナットを外したあと、アジャスタボルトを外します。
工具箱に12㎜のヘキサレンチ(ソケット)がありますか?
急いでホームセンターまで走りましょう。
そんなに高価なものは要りません。 → こちら
こだわりたければ → こちら
このアジャスタボルトを外せば「引っかかり」ばウソのように解消します。
●アジャスタボルトの役割
②のリヤマウントボルトはこのような構成になっています。
a.10×285 ボルト
b.ボルトケース
c.アジャスタボルト
d.ロックナット(アジャスタボルトの位置を固定する)
e.ナット(ボルトaを留める)
このアジャスタボルトはどんな働きをしているのでしょう?
「アジャスタ」というのだから「何かを調整する」のでしょう。
ロックナットがあるのだから、アジャスタボルトで位置決めをして固定するのでしょう。
サービスマニュアルにも書いてありません。
ネットにも触れられていません。
皆さん「疑問」を持たないようです。
●私の推測●
結局、分かりませんでした。
私の「現在の推測」を書いておきます。
「アジャスト」とは「調整」ではなく「取り付け隙間をなくする」という意味のようです。
エンジンはこのフレームの間に入って、リヤマウントボルトaで固定されます。
フレーム間は170㎜弱あります。
エンジンを下から見ています。
リヤマウントボルトでフレームに固定される部分は
「ボルトケース+ゴムブッシュ」bをはめて165㎜。
フレームにエンジンを取り付けると「170㎜弱-165㎜≒4.5㎜」の隙間ができます。
この「4.5㎜の隙間」をアジャスタボルトCが埋めるのです。
アジャスタボルトC で「左右のエンジン位置を調整する」ことはできません。
ただ、「フレームとエンジンの間にできた隙間を埋める」だけです。
「エンジンの左右位置を調整するもの」ならこの状態でも可能なはずです。
しかし、この状態ならエンジンが左右に動いてしまいます。
なお、「ボルトケースbに入っているボルトaを抜いても
アジャスタボルトを外さないとエンジンが外れない」のは、
アジャスターボルトがボルトケースbを押しているからです。
もし、上の写真のような状態ならアジャスタボルトを外さないでもエンジンが外れます。
結局、アジャスタボルトの役割はエンジン取り付け部の「その時々の隙間を埋める」こと。
ゴムブッシュの劣化による痩せ,エンジン取り付け部やフレームの痩せなどで、
エンジン取り付け部の寸法(165㎜)とフレームの取り付け部の寸法(170㎜弱)が設計値と違ってくるのでしょう。
その違いを解消するためのものでしょう。
そういう意味では「アジャスタ」になります。
そのため、このボルトは「しっかりと締めればよい」だけです。
何も調整する必要はありません。
・アジャスタボルトの規定締めつけトルク : 100~200㎏・㎝
・ロックナットの規定締めつけトルク : 600~400㎏・㎝
・リヤマウントボルトナットの規定締めつけトルク : 350~450㎏・㎝
d.エンジンジャッキは必要
エンジンジャッキがないのでモトクロススタンドの下にパンダジャッキを当てて代用しました。
しかし、これでは問題が生じます。
モトクロススタンドは「下まで下がりきらない」ので
エンジンを「そのまま下に降ろして」外すことができないのです。
いろいろやっている内にエンジンが斜めになってしまいました。
結局、そのまま後に振って外しました。
RMXのようにフレームにエンジンが載せてある場合はエンジンジャッキは不要ですが、
フレームがエンジンを吊っている場合はエンジンをそのまま下に降ろせるエンジンジャッキが必要になります。
エンジン取り付けのときまでに入手しておきます。
車体を上げるのではないから安いもので充分でしょう。
耐加重量より「下まで下りきること」が必要です。
●エンジンジャッキ → こちら
★★★★
4.クランクの取り出し
a.プライマリードライブギヤの取外し
●クランクケースカバーのボルトは3種類
まずはクランクケースカバー取外し。
取り付けボルトは3種類。
・L/首下60㎜
・M/首下40㎜
・S/首下32㎜
「どこにどのボルトが入るか」はパーツリストに記載されています。
●プライマリードライブギヤ取外し
『すごい!ヘリカルギヤ(はす歯歯車)だ!」と喜んでいてはいけません。
この段階で、プライマリドライブギヤの取り付けボルトを緩めておきます。
通常通り、クラッチ(プライマリドリブンギヤ)を外してから、
プライマリドライブギヤを外そうとすると、
ユニバーサルホルダ(クラッチセンタホルダ)がギヤの歯に引っかからないのです。
「コンロッド小端に棒を差し込んで回り止めにする」という方法もあります。
※RMXのスズキ特殊工具はこれです。
試しに写真のように「キリの木製の柄」を差し込みましたが、かんたんに「メシッ」
スチールパイプなら止められるでしょうが、クランクシャフトのセンターが狂わないかと心配になります。
だから、この段階で緩めます。
ブライマリードリブンギヤとドライブギヤの間にウエスを挟めばOKです。
それで不足ならクラッチアウターの爪にホルダーを引っかけましょう。
専用の特殊工具があります。
07HMB-KV30100 → こちら
しかし、自分でも造れそうなただの歯車止めです。
どうしてもドライブギヤの方を止めたければユニバーサルホルダーを工夫しましょう。
片方の爪を外側へ曲げて、
もう片側の爪を内側へ曲げれば使えそうです。
但し、試していませんので「できるかどうか」分かりません。
プライマリドリブンギヤとドライブギヤの間にウエスを挟んだら緩みました。
・プライマリドライブギヤの取り付けボルト締め付け規定トルク : 900~1000㎏・㎝
・ネジロック塗布不要ですが、前の組立者が使ったかどうか分からないので、念のためにネジロック解除。
●クラッチ取外し
通常通りですが、ロックワッシャが見当たりません。
カシメてあるのがロックワッシャなのだろうけど、パーツリストにそのワッシャがありません。
ナット自他にツバが付いていて、そのツバを曲げてシャフトの溝に入れてロックするのです。
部品点数が少なくて済みますが、ユーザーとしてはロックワッシャの方が安上がりです。
b.クランクケースの分割
RMXのような「左右分割」の場合はクランクケースセパレーターで引っ張らなければなりません。
クランクケース組立のときにはクランクシャフトを引き込まなければなりません。
さらに、クランクケースを分割するとトランスミッションやシフトカムもバラケてしまいます。
当然、これらを組み直さなければなりません。 → 分解手順,組立手順
また、クランクケース接合のときに微妙な調整があります。 → こちら,こちら
これに対しNSRのクランクケースは上下分割式で、クランクケースの上下ボルトを外せば簡単に外れます。
クランクケースを分割すればクランクはそのまま取り出せます。
トランスミッションは別の部屋に入っていますからバラケてきません。
しかも、この作業がエンジンを降ろさないで可能です。
整備性に関して言えばNSRは非常にすぐれていると言えます。
①クランクケース上部のボルト取外し
外すのは5本。
・M6×首下25㎜が3本とM6×首下30㎜が1本。
・差し込むと4本すべてが同じ高さになります。
・この4本には全て銅製のシーリングワッシャ(6㎜)が入っています。
・5本目はオイルポンプ後のボルト。M8×首下105㎜。
・ここにもワッシャが入っています。パーツリストにサイズ記載なし。(90555-283-000)
②クランクケース下部のボルト取外し
・M8ボルトでS/首下80㎜,M/首下85㎜,L/首下90㎜。
・写真上左端にだけワッシャ(オイルポンプ手前の接合ボルトと同じ)が入っています。
③トランスミッションミッションオイルポンプを取り外す。
NSR250はJ型からトランスミッションオイルポンプが追加されています。
これがクランクケースの接合部にかかっているので取り外さなければなりません。
・M6/首下16㎜とM6/首下18㎜のキャップボルト。
・裏側にOリング(8×1.5)取付。
・プレートを留めるノックピン5×8が2本。なくさないように注意。
これで引っ張れば外れます。
プラスチックハンマーで軽く「コン、コン」と。
そんな程度では外れません。
「液体ガスケットがしっかりとくっついているから」とエアホットガンで接合部を熱してもダメです。
サービスマニュアルには「クランクケース合わせ面をトライバーなどでこじらないこと」と書いてありますが、こじらないと外れません。
後側の左端に隙間があるのでここにドライバーを差し込んで「こじる」と、簡単に外れます。
c.クランクの状態
●クランクベアリング
ベアリングには突起があって、それがクランクケースの凹みに当たって固定される。
これで回転方向へのベアリングを固定。
「突起のあるベアリング」など汎用ではないので汎用ベアリングは使えないでしょう。
なお、サービスマニュアルに「ベアリングセットリング」というものが出てくることがあります。
※V550.2000.10.G~N 頁11-3
「クランクケースの右側端部のベアリングホルダ部にベアリングセットリングを取り付ける」
もちろん、そんな溝はないし、MC21のパーツリストにもセットリングはありません。
多分、MC16くらいのモデルでは「右端のベアリング突起を止める凹部にだけ溝があった」のでしょう。
それが、MC21では何らかの理由でそれが無くなったのでしょう。
「前所有者が入れ忘れたのかもしれない」との心配は無用です。
プライマリードライブギヤ側(写真では左側)のベアリングに68㎜のスナップリング。
クランクケースにはこのスナップリングが入る溝。
これで左右方向を固定。
●ベアリング状態
〇ブライマリードライブ側
・回すと「ザー」という音。内輪にガタつきあり。
〇中央
・回すと「チャラチャラ」という音。
〇ジェネレーター側
・スムーズに回って異音なし。
・内輪のガタ正常。
●オイルシール
〇取付方向を間違うことはない
オイルシールにはツバが付いています。
それがクランクケースの溝にはまります。
だから、RMXのように「取付方向を間違って大惨事になる」ことはありません。 → こちら
しかし、汎用品が使えないので純正部品のなくならない内に確保が必要。
〇オイルシールの状態
左がプライマリードライブギヤ側のオイルシール。
・内側にリップ欠け。
・オイルシールとしての役割は果たしていない。
右がジェネレーター側のオイルシール。
・リップが磨耗してなくなっている。
・クランクケースにガソリンを入れたら「ダダ漏り」は当然。 → こちら
RMXでは「クランクケースを分割せずに、オイルシールを外側から交換」できました。 → こちら
しかし、NSRではここまでやらないとオイルシールが交換できません。
〇センターシールの状態
「この辺りにセンターシールというものがあるらしい」けどそれらしきものがない。
細いスプリングのようなものがちぎれてくっついていました。
センターベアリングにはOリング(60.7×1)がはまっているけど、ペッチャンコ。
〇井上ボーリングへ送付
・プライマリードライブギヤ側ベアリングのスナップリングを取外し。
・ジェネレーター側クランクシャフトのウッドラフキー取外し。
ゆうパック60サイズは25㎏までOK。
2022.12.12、いつもは嫌いなゆうパックで送りました。
d.速報
2022.12.24 井上ボーリングからクランクが戻ってきました。
オーバーホールしてラビリ組み付けです。
磨きもかかっています。
「3月くらいだろう」と覚悟していましたが、2週間もかかりませんでした。
「コンロッドが2本とも大端内径部が酷く変形している」とのことでコンロッドを交換してもらっています。
1本7000円×2=14000円で工賃込みです。
これが交換してもらった部品です。
多分、真ん中の「割れた金属製の輪」がセンターシールの一部だったのでしょう。
このオーバーホールは「サンデーメカニック」には無理です。
「コンロッドが使用限界を超えている」など素人が見つけるのは無理でしょう。
「餅は餅屋」という言葉がピッタリです。
シリアルナンバー刻印済みです。
別に「エンジンに貼る”ラビリ装着済み・シリアルナンバー“の耐熱シール」が附属します。
当方は年末年始と多忙です。
組付けは1月下旬から、出来上がり・試走は春になります。
以上、速報まで。
