●「片肺 → 休むと復活 → また片肺」の原因は?

nsr250センターシール抜け
選任のための法律知識・



5.センターシールのチェック

a.センターシールとは

nsr250センターシール抜け

クランク室には機密性を保つためにクランクベアリングの外側ににシールが取り付けられています。こちら
NSRは二気筒なので真ん中のクランクベアリングの横にもシールが取り付けられています。
これがセンターシールと呼ばれているものです。

NSRのクランクケースを分解したことがないので実物を見たことはありませんが、
MC18以前ではシールがベアリングと別々、MC21以降ではシールとベアリングが一体となっているとのこと。
どちらのセンターシールもベアリングの右側にあります。※こちらのサイトに画像があります。

このシールが損傷するとどうなるでしょうか?

2サイクルではピストンの上とピストンの下で別々の動作をします

〇ピストンが上がる
・ピストンの下 : ピストンが上がりピストン下が広がり負圧になる → 混合気をリードバルブから吸い込む
・ピストンの上 : 前行程で入ってきた混合気を圧縮する

〇爆発してピストンが下がる
・ピストンの下 : 前行程で吸い込んだ混合気をピストンの下がる力でピストンの上に圧送する
・ピストンの上 : 燃焼ガスの排気、ピストンの下から圧送された混合気が流れ込む
もう一度2サイクル

このときにシールが損傷していると、

ピストンが上がるとき

・ピストン下 : 混合気以外のものを吸い込む。
※クランクケース室 → エアー
※隣のクランク室 → 混合気。(隣のピストンは下がり工程で混合気を正圧で圧送している)

・ピストン上 : ピストンが吸入孔を過ぎるまではクランク室とつながっているので圧縮圧が抜ける。
※クランクケース室へ → 圧縮中の混合気
※隣のクランク室へ → ピストンは下がり工程でピストン下のクランク室は正圧 → それほど圧縮は抜けない。

ピストンが下がるとき

・ピストン下 : ピストンの上へ圧送する混合気が外へ抜ける。圧送圧が下がる。
※クランクケース室へ → 圧送している混合気。
※隣のクランク室へ → 圧送している混合気(隣ピストンは上がり工程でクランク室は負圧になっている)

・ピストン上 : 排気工程なのであまり関係なし。

この中でセンターシール損傷が原因で出てくる不具合は

ピストンが下がるときのピストン上への混合気圧送が弱くなる → 吸い込んだ混合気が他へ抜けて薄くなる。
これが「一次圧縮が抜ける」と説明されているものです。
混合気が薄いので爆発が弱くなります。

b.センターシールのチェック

●チェック方法

いろいろなサイトで説明されています。

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①右チャンバーと左プラグを外す。(シリンダーやピストンを外す必要はありません。)
②左クランク室(後エンジン)にガソリンを入れる。
③センターシール損傷なら右クランク室にガソリンが入ってくる。
④また、キックをすると右シリンダーの排気孔からガソリンが飛び出す。

〇右チャンバーは必ず外す

・排気孔はプラグ孔よりクランク室に近いので、シリンダーに送られたガソリンはまず排気孔から出ます。
   プラグを外しただけだとチャンバーの中にガソリンが溜まります。

・左チャンバーを外す必要はありません。
   左シリンダーはクランク室の上にあるので
   マニホールドオープンでキックをしてもシリンダーにガソリンは送られません。
   だから、排気口にガソリンが流れ込むこともありません。
   ただし、左チャンバーを外さない場合は「圧抜き」のために左プラグを外してください。

〇右プラグは外す必要はありません

・外しても別に問題はありません。ガソリンがプラグ孔からも出てくるだけです。

・もちろんプラグを付けたままの場合は安全のためにプラグキャップを外してください。

〇マニホールドを塞ぐ必要はありません。

・クランク室に入っているのは圧縮性のある混合気ではなく圧縮性のない液体のガソリンです。
   マニホールドを塞がなくても下がってくるピストンに押されてシリンダーに送られまず。
   もっとも「ウエスを詰めたくらい」では気密性を保てないので何の効果もありません。

〇左クランク室にガソリンを入れる理由

・右エンジンと左エンジンのクランク室は水平位置にありますが、
   右シリンダーはクランク室の下部にあり、左シリンダーはクランク室の上部にあります。
   そのため、右クランク室に入ったガソリンは右シリンダーの排気孔から簡単に出てきますが、
   左クランク室に入ったガソリンは左シリンダーの排気孔から簡単には出てきません。

・センターシール損傷の場合ガソリンを右に入れても左に入れても隣のクランク室にガソリンが流れ込みます。
   しかし、右に入れるとキックした場合ガソリンが右シリンダーの排気孔から流れ出てしまいます。
   さらに、右クランク室から左クランク室に流れ込んだガソリンが左シリンダーの排気孔から出てこないので
   左クランク室に流れ込んだかどうかが分からずセンターシール損傷の有無が分かりません。

   これに対し、左に入れると左クランク室のガソリンは左シリンダーの排気孔から流れ出ません。
   そして、左クランク室から右クランク室に流れ込んだガソリンは右シリンダーの排気孔から簡単に出てくるので
   センターシール損傷の有無が分かります。

・なお、左クランク室のガソリンはキックだけでは左シリンダーに送られず左排気孔から出てきません。
   シリンダーを外さない場合は、ホースで吸い取ったあと蒸発させなければなりません。

〇「50:50の混合油」を入れる必要はない

・多くのサイトでこう説明されています。多分「ベアリングの潤滑不足」を心配するからでしょう。

・しかし、一度目に500㏄、確認のために500㏄、驚いてもう一度、「そんなはずはない」ともう一度。
   50:50なら1ℓのエンジンオイル缶が空になります。
   もったいないし、いちいち作るのも面倒なので。生ガソリンで大丈夫です。
   ベアリングが心配なら最後の最後に濃いめの混合油を使えば良いでしょう。

   もっとも、「センターシール抜け」ならエンジンOHで「ペアリングも交換」ですから
   ベアリングを心配する必要はありません。

●チェックの実際

〇クランクケース左側から勢いよく漏れる

左にガソリンを500㏄入れたら、すぐにクランクケース左側から漏れてきました。
追加で500㏄入れてもすぐに漏れ出て左クランク室にガソリンが溜まりません。

nsr250センターシール抜け

漏れ出ている場所はジェネレーター付近。
ここから漏れるのは「左クランクオイルシールか左ベアリングの損傷」。
写真を撮ろうとするときには全部漏れ出てしまう程度だから損傷は大きいでしょう。
もっとも、クランク左右のオイルシールは通常は外から交換でき、クランクケースを悪割る必要はありません。

〇右クランク室はすぐに床上浸水

左からの漏れを少なくするために車体を立て、左クランク室へ一気にガソリンを入れる。。
左マニホールドの上部までガソリン面が上がってくる。
そして、「スー」とガソリン面が下がっていく。
同時に右マニホールドにガソリン面が上がってくる。
これではセンターシールなど「ないのと同じ」。

右排気孔からはガソリンが漏れ出ている。
キックをしてピストンを動かすと右排気孔から「バシャッ、バシャッ」とガソリン。
プラグ孔からは「ビシュッ、ビシュッ」。

完全にセンターシールが損傷しています。
シール付きセンターベアリングの部品供給はありませんから、自分で修理することはできません。
井上ボーリングでの 20万円~30万円 の エンジンオーバーホール となります。 → こちら井上ボーリング

それにしても、あれだけ好調に走っていたのにセンターシールと左オイルシールの損傷。
狐につままれたようで信じられません。
しかし、これが「センターシール抜け」の実際です。
試乗しただけでは絶対に分からないでしょう。
そう言えば、フルオープンで元気に走り回っていたRMX②も左クランクベアリングが何個かなくなっていました。
こちら

なお、センターシール抜けのチェックはキャブレターを外さないでもできるはずです。
要は左クランク室にガソリンを入れればよいだけです。

例えば、
右チャンバーと左プラグを外す。
エアクリーナーボックスのフタを取り、アクセルを開けスロットルバルブを上げて左側にガソリンを入れる。
リードバルブが閉じているのでガソリンは左クランク室に入っていかない。
キックをして左クランク室を負圧にしてガソリンを入れる。
ガソリンが入っていかなければ左プラグをはめ機密性を高めてキックする。
ガソリンが入ったら、(左プラグを外して)キック。
右排気孔からガソリンが出てきたらセンターシール抜け。

または、
左右のチャンバーと左プラグを外す。
左排気孔をウエスでふさいで、左プラグ孔からガソリンを入れる。
ガソリンは左シリンダーの吸気孔から左クランク室に入る。
キックをして右排気孔からガソリンが出てきたらセンターシール抜け。

後の方はタンクを外したりキックでガソリンを送ったりする必要がないので簡単です。
しかし、実際にやっていないのでできるかどうか分かりません。
NSRのキャブレターは外すのに手間がかかるので「外さないでやる方法」を考えただけです。

「センターシール抜けが NSR の持病」ということは周知の事実です。
そして、「センターシール抜け」でも元気に走ります。
NSRを手放そうとする者は「このチェック」を「手放す者の責任として」やっておくべきでしょう。
このチェックをしないで『元気に走っていますが、ノークレーム、ノーリターン』では無責任でしょう。
センターシール抜けなら「+30万円」はかかりますから。

c.「片肺 → 復活 → また片肺」の原因は不明

センターシール損傷なら両方のシリンダーに不具合が生じるはずです。
今回の不具合は前シリンダーだけ。
センターシール損傷は片肺の原因でないような気がします。

また、シール損傷なら「しばらく休むと復活」ということはありません。

本当の原因を知るためにはセンターシールを直してから色々検証しなければなりません。
しかし、センターシール修理に費用がかかるのでこれで終了。
結局、今回の不具合の原因は「不明」ということになりました。

ただ、今までの状況から推測すると原因は
「キャブレターソレノイド ~ 右キャブレターの詰まり」か「右エアクリーナーダクトの取り付け不良」。
同じような症状で困っている方は参考にしてください。

d.別れは突然やって来る

nsr250センターシール抜け

形あるものには「終わり」があります。
そして、その「別れ」は突然やって来ます。
しかし、後から考えると「その前触れ」があります。

年配者なら「ケガ か 病気」。
そこから快復し元気になるのだけど、じきに「終わり」がやって来る。
本人と回りにそれとなく「別れ」を知らせているのかも知れません。

NSRの「前触れ」は「PGM故障」だったのでしょう。
PGMを修理し元気一杯に戻ったと思いましたが、
その時からセンターシール損傷が確実に進行していたのでしょう。

結局「バーハンドルで尾鷲・熊野の峠を思いっきり走らせる」ことはかないませんでした。
しかし、この一年間 バーハンドル化PGM修理スプロケット変更ステアリングダンパー,テスト走行と
最後に楽しい想い出を作ることができました。

nsr250センターシール抜け

もっとも、NSRは人間ではなく機械ですから井上ボーリングに持ち込めばエンジンOHで生き返ります。
しかし、「長男の放置バイクを自主管理」にこれ以上の費用と時間をかける気は起こりません。
私のお世話もここまで、これからは「完全放置」となります。

私は70歳を超えましたが、まだ「それらしき前触れ」がありません。
しかし、そう遠くない日に「自分との別れ」が突然やって来るでしょう。
それまでの限られた時間をメインのモタードに使うことにしました。

RMX② (手前の17インチ)
『やっと戻ってきましたネ。予備車両が2台、予備エンジンが2機。最後の最後まで付き合えますよ!』

RMXモタード

まあ、RMXのエンジンは自分でOHできるからネ。
しかし…、予備車両は一台あれば充分だなぁ…。そろそろ…。

RMX③ (一番奥)
『えっ?ボクのこと?』

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電動自転車 ( 原動機付き自転車 )
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公道では「登録,ナンバー,免許など」が必要。登録できないものもあります。販売店に確認必要。

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