FJ1200-4CC 整備資料
2011.08.31. FJ ユーザー車検に向けて その② あともう少し
初めてのユーザー車検を前に、ブレーキオイルの漏れを見つけて初めてのプレーキキャリパのシール交換をしています。
ピストン四個を外すのに苦労していますが、簡単に四個を外す方法があります→→→こちら
エア抜きも初めてなので苦労しています。
内容は「ブログ」の「夏休み絵日記」程度。サンデーメカニックに役に立つことは書いてありません。
1.プラグ点検とキャブ同調
久々にプラグを外しました。
トロトロ走っていたわけではないのに、“この黒さ”! プラグ番手は標準の 「DPR 8EA-9」。 「混合気が濃いのかな‥。」とエァスクリュー。 どこかのネットQ&Aで、質問者が『エァスクリューの位置を教えて』。 回答の中に、『そんなことも知らないのか!』。 「何でも人任せの安易な質問者」に腹が立つのは分かりますが、 質問者を馬鹿にしても始まらないでしょう。 |
エァスクリューはここにあります。
並列4気筒だから、「調整し易いよう」に上についているのですね。 もちろん、四個ありますよ。 三個の方は同調ネジですからね。 戻し量が各気筒バラバラだったので、標準の 「2回転戻し」に。 ただし、このスクリューはエアーを入れるのではなく底回転での燃料を入れるためのもの。 |
次は、二度目のキャブ同調。
今回は時間がかかりました。 とにかく、「カタカタ動く針の振り巾を小さくする」のが難しい。 針を止めるなど至難の技。 針の振り巾は負圧計下の調整ネジで行うのですが、ネジから手を離すとまた振り巾が大きくなる。 パイプを少し触っても振り巾が変わってしまう。 「そもそも、各負圧計までのパイプの曲がり方が違うので正確な値なの?」 「各気筒から各負圧計までのパイプを真っ直ぐにしなければ、正確な値が出ないのじゃないの?」 でも、そんなことは無理です。 もっと高価な負圧計なら、何か対策がしてあるでしょうか。 3番と4番 ( 右側二つ ) の同調に手こずりました。 キャブレターの開腹が必要でしょうね。 |
※キャブは次の写真の一番下です。
外観が汚れていますから、その中もそれなりに‥。 警備員は立ち姿でその資質が分かります。 キャブの構造が複雑で四個もありますから、部品代がかかります。 |
リザーバーはハンドルを左にいっぱい切った時に水平になります。 エア抜きではブレーキオイルをつぎ足さなければならないので、 もともとスクリーンは作業のじゃまだったのです。 リザーバーキャップを外すと、ゴムキャップの上にたくさんの白い粉。 これでは小ネジが簡単に緩んではくれない。 |
★教訓 その1
「あまり外してないようなネジ」を緩める時は、小ネジでもショックドライバーを使う。
b.失敗 その2
フロントブレーキのピストンは4個。
2個が一組で両側からブレーキパッドを押し、ブレーキデスクを挟みます。
左右合計でピストンは8個となります。
このピストンはブレーキレバーを握ると油圧で押し出されます。
通常はエアコンプレッサーで押し出して外すのですが、コンプレッサーがなければ油圧で押し出せばよい。
「簡単・簡単」
右キャリパをブレーキデスクから外し、プラスチック桶の中に入れてレバーを握る。
4個のピストンの内の一個がポロンと外れる。
「あっ、そうか!」
4個のピストンは油圧回路でつながっている。
一つでも外れれば、プレーキオイルが流れ出て油圧が働かなくなる。
残り3個のピストンは油圧で押し出すことができない。
こんな当たり前のことに初めて気がついたのです。
「ということは‥、左右キャリパーのピストンを一度に外さなければならないのか‥。」
もう一度、右キャリパーを組み直し、プレーキオイルをつぎ足して「ふりだしに戻る」。
人生は“すごろく”と同じ、「ふりだしに戻る」があるからおもしろい。
★教訓 その2
ピストンすべてを油圧で外す。
c.失敗 その3
右キャリパです。
今度はピストンの間に鉄板を挟みました。 油圧をかけても、各ピストンが均等に出てくれるわけではありません。 出すぎるピストンを押し戻し、出渋るピストンを押し出す。 ピストンの間に何かはさまないと、これができないのです。 ブレーキデスクを鉄板代わりにすると、怖いくらいデスクが歪んできますので度胸が必要です。 左右同時進行です。 左キャリパのピストンも鉄板を挟んで均等に出しました。 |
8個のピストンを均等に出しておいて、 鉄板を外し、キャリパを分解してピストンを手で取り外します。 左右キャリパの各2個は簡単に外れました。 この写真 ( 左キャリパ ) では下側の2個のピストン。 上の写真 ( 右キャリパ ) では上側の2個のピストン。 しかし、残りのピストン ( 左キャリパ上側の2個・右キャリパ下側の2個 ) がビクともしない。 「鉄板を一枚にして、もう少しピストンを出しておけばよかったのか‥。」 根本的な原因はそれではありません。 「出渋るピストンの方をたくさん出しておくべき」だったのです。 「ピストンが出やすい=ヒストンが取り外しよい」、 「ピストンが出にくい=ピストンが取り外しにくい」からです。 |
★教訓 その3
出渋るピストンは、取り外しにくい
d.「工具を使えば簡単だ」と思ったけれど‥
キャリパのピストンを取り外す工具があります。
ピストンを内側から挟んで引き抜く工具です。
ピストンの外側に傷を付けると、ブレーキオイルが漏れ出してしまう。
ピストンの内側はどこにも当たらないので、傷を付けてもかまわない。
工具は「ペンチを逆さまに組んで、先端に小さな半円柱形の金属部品を付けた」簡単なもの。
これが、3000円もする。
早速オートバイ部品屋さんへ走って入手。
しかし‥。この工具を使ってもピストンは動いてくれない。 「なんだ、見かけ倒しの工具か!」 いえいえ、そうではありません。 この工具で外せないピストンの方が悪いのです。 そんなピストンにしていた私が一番悪いのです。 気を取り直して、工具を強く握りピストンを回そうとすること数回。 やっと外れてくれました。 しかし、ピストン内側にはあちらこちらに深い傷。 上の写真の右側の2個が「やっと外れてくれたピストン」です。 もちろん、もう一方のキャリパピストン2個も同じです。 しっかりと“抵抗の跡”。 「苦境を打破するのには痛みが必要」です。 民主党サン!“嫌われ者”にならなければ日本は復興しませんよ。 ★もっと簡単に四個を外す方法があります→→→こちら |
e.「こんな状態でブレーキをかけていたのか‥。」
キャリパを分解して、ピストンが出にくかった原因が分かりました。
あっ!そうそう。下の二個のキャリパ部品を見てください。 左右に各三個穴がありますね。 両側の二個の穴はキャリパを組み立てるボルト穴。 真ん中の穴はブレーキオイルの通り道です。 ここに小さいOリングが入っています。 このOリングが劣化すると、ブレーキオイルが漏れることになります。 キャリパシール類を注文する時は、このOリングも注文しなければなりません。 今回は、このOリングを注文するのを忘れました。 キャリパを分解して、このOリングがあることを知ったからです。 「成長は失敗と経験から」ですね。 失敗を惜しんで、ネット質問箱に投稿すると叱られますよ。 ※2019.09追記 : ヤマハでは部品供給されていません。→→→こちら |
話を「ピストンが出にくかった原因」に戻しましょう。
写真を拡大しましょう
ダストシールとオイルシールを取り外した状態です。 手前に溝が二つあります。 前の溝に入るのが、「泥・ホコリの進入を防ぐ」ダストシール。 次の溝に入るのが、「ブレーキオイルが外に漏れるのを防ぐ」オイルシール。 この穴 ( シリンダー ) にピストンが入ります。 ピストンはブレーキレバーを握れば油圧で外に押し出され、 ブレーキレバーを離せば油圧が抜けて中に引っ込みます。 ピストンの外側がダストシールとオイルシールの内側に当たりますから、 ピストンの外側に傷が付くとオイルが漏れることになります。 ダストシールとオイルシールの付近にも、溝にもブレーキオイルが固まってこびりついていました。 これではピストンがスムーズに出入りするわけがありません。 こんな状態でフロントブレーキを使っていたのですね。 次回の尾鷲・熊野峠では、ブレーキ・キャリパ分解整備の効果を期待しましょう。 |
★★04
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電動トライクです。
シニアカーの代わりに。
孫には こちら
一番汚いのがこんな状態。 | 一番きれいなのがこんな状態。シールを組み込むから大丈夫でしょう。 |
b.シール組み付け
ネットで注文した純正部品です。→→→注文先
土日を挟んだので、注文から受取まで5日弱。
部品店に見積もり依頼→見積もり回答→部品店へ注文・カード決済→部品店がメーカーへ注文→部品はメーカーから部品店へ→部品店から発送。
「オートバイ店へ部品番号リストを持参し先払いする」のに比べて手続が煩雑となります。
ネット注文だから仕方がないでしょう。
HONDAのWING店なら、純正部品だけの注文を受けてくれますが‥。
・①.フロントブレーキ・ピストンシールセット ( 1NL-W0047-00) 1set=オイルシール×2 +ダストシール×2 +組み付け用グリス=2520円。 ピストン2個(一組)で 1set 必要→フロントには4set必要→シールだけで10080円。 「YAMAHAの部品は高い」と聞いていたけれど‥。 しかし、20年前のオートバイ部品を揃えていてくれることには敬礼! ・②.リアブレーキ・ピストンシールセット ( 31A-W0047-00 ) 1set=オイルシール×2 +ダストシール×2 +組み付け用グリス=2350円。 リアブレーキのピストンは一組 ( 2個 ) しかありませんから1setでOK。 今回は使いませんが予備パーツとして注文。 |
c.キャリパ組み立て
付属の赤いグリスを溝とシールに塗ってはめれば終わり。
シールは断面が長方形でシールの前後はありません。
※2019.09.12 追記
FJ純正のスミトモ製キャリパのオイルシール溝は二つあって、手前の溝が深く奥の溝が浅くなっています。※測定値で0.4㎜違います。
ピストンがシリンダーに入るとオイルシールを圧迫してオイルシールは溝に押しつけられ変形します。
オイルシール溝は手前が深くなっているので、変形したオイルシールはやや前方に傾きます。
これによって、オイルシールの下側のの角がピストンに密着します。
オイルシールの断面が長方形でリップ部がなくても、オイルシール溝がこの形をしているのでオイルシールの角がピストンに当たりリップの役割をします。
だから、オイルシールに前後(裏表)はありません。
なお、ダストシールは中央が凹んで両端が出っ張っている形をしています。
こちらは両端がリップ部の働きをするのでシール溝断面は長方形です。
シール形状も対称なのでダストシールにも前後(裏表)はありません。
写真左は「左キャリパの外側下」のピストン室。
手前がダストシール溝、奥がオイルシール溝。
二つの溝があります。
写真右は「左キャリパの外側上」のピストン室。
二つあるオイルシール溝の手前が深くなっています。
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こちらはリヤキャリパの奥半分(ブリードバルブ側)。
オイルシール溝が二段になっています。
ピストンにブレーキオイルを塗ってシリンダーに挿入。
けっこう力が要ります。
「グキッ」と入ると、「シールは大丈夫かな?」と少々心配。
レスポンスのよさそうな顔だちになりました。
フロントホークに取り付けてオイルラインをつなげば完成。
あとはリザーバーからブレーキオイルを注いで、エア抜きをすればよい。
20年前のDOT-3 があったので、これを使いました。
4.新たな問題発生
a.いつまでたっても圧がかからない
キャリパのシリンダーとオイルラインのオイルは空っぽ。
けっこうたくさん入ります。
しかし、なかなか圧がかからない。
8個のピストンは顔を出し、プレーキデスクを噛んでいる。
ブリーダーボルトを緩めるとオイルだけ出てくる。
だから、オイルラインは詰まっていない。
オイルはどこからも漏れていない。
リザーバーへ気泡は浮かんでこない。
オイルを圧送できないのかな‥。
ということは、マスターシリンダーが原因?
リザーバーキャップの小ネジをなめた時に、ガンガン叩いたから?
いやいや寿命だったのでしょう。
ツーリングでスカスカになったら大変です。
壊れてくれて良かったのです。
風吹けば風吹け、雨降れば雨降れ。一休み一休み。
手のかかる子供ほどいとおしいものです。
できの悪い警備員ほど可愛いものです。
『そんなわけないだろう!』
なお、シール組み付け時に塗った赤いグリスが、顔を出したピストンにベッタリ付いていました。
あの溝に固着していたのは、このグリスが固化したものかもしれません。
「赤いグリスは少なめに塗った方がよい」のかな?
b.備えあれば憂いなし
フロント・マスターシリンダーがダメでも大丈夫なのです。
そろそろ、Yahooオークションで手に入れた中古部品が届きます。
予備にストックしようと落札したものです。
この中にマスターシリンダーも入っています。
助っ人の到着を待つことにしましょう。
つづく。
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