FJ1200-4CC 整備資料
2019.09.16 4ポットキャリパの「四個のピストン」を足踏みポンプで外す方法
キャリパピストンはフルード入口から空気圧をかければ簡単に外れます。
しかし、外れるのは1個だけ。4ポットキャリパでは残り3個を外さなければなりません。
方法は簡単、外したピストンのシリンダーをふさいでやればよいのです。その方法を説明します。
足踏みポンプのエアチャックの代替品は百均のポンプについています。
エアチャックに取り付けるノズルは49円の「管用ホースニップル 1/8-8.0」に「M10・細目 / P 1.25 」のネジを切ればOK。
また、キャリパのシール類の代用品・汎用品を探すときのために、シールの寸法を実測しました。
★方法1.パイプ用ゴムキャップを使う
★方法2.ゴムマットを使う
★リヤキャリパの二個のピストンを外す場合
★キャリパ連結シールの寸法と代替品
・フロントキャリパのオイルシール・ダストシールの実測値
・オイルシール外径がオイルシール溝内径より大きいのはなぜか
・リヤキャリパのオイルシール・ダストシールの実測値
★足踏みポンプのエアチャック交換とエアチャックに取り付けるノズルの作成
1.キャリパ四個のピストンを外す
タンク付きポンプやコンプレッサーを使えば、四個ピストンのうちの一個は簡単に外れます。
しかし、残り三個をどうやって外すのでしょう。
これを紹介したサイトを見かけません。
キャリパのピストンを外さなければならない場合はピストンが固着しているときです。
ピストンはそう簡単には外れてくれません。
ピストン取り外しツールではビクともしません。
a.方法1・パイプ用ゴムキャップを使う
一番簡単な方法です。
材料費は1000円未満、「高価で役に立たない取り外しツール」を使うより格段に楽です。
・a : パイプ用ゴムキャップ/24㎜/78円×3個 ・c : 巾30~35㎜/厚10㎜程度の木片×1個 ・d : 巾30~35㎜×長さ100㎜くらいのしっかりとしたプレートに M6ボルト用の穴を開ける。 ※写真は既成の巾32㎜×長さ100㎜×厚さ3㎜のパワープレート/248円×2枚 ・e : (M6×首下60㎜のボルト+M6の蝶ナット)×2 |
・ポンプは足踏み式の Made IN China。 ・この手のポンプはいろいろな国産メーカーから販売されていますが、 中国の下請けメーカーが造っているのでみな同じ。造りがチャチなのですぐに壊れます。 値段が5倍くらいになってもいいからもっとしっかりとしたものを造ってほしいものです。 ・これはシリンダーを押すアームが太いので好評な大橋産業の№1920 → 大橋産業/BAL No.1920 ・タンク付きの手押しポンプでもよいでしょう。 |
以下では分かりやすいように、① → ② → ③ → ④ の順でピストンを外します。
順番に外さないで、抜けやすいピストンから外しても同じ要領で外せます。
・右キャリパです。 ・ピストンを外側から反時計回りに①,②,③,④とします。 ・この状態で空気を入れれば一番外れやすいピストンが外れますが、①から外します。 |
・③ と ④ の間に木片を挟んで、空気圧をかけても ③ と ④ が外れないようにします。 ・② をプレートで締め付けて外れないようにします。 ネジを締め付けていけば ② はギリギリまで引っ込みます。 ・これで空気を入れれば「パキン」という音とともに ① が外れます。 |
あらかじめキャリパに残ったフルードは抜いてあってもピストン室にはフルードが少し残っています。
ピストンが外れるとこのフルードが飛び散るので、ウエスでキャリパを包んでおきます。
またポンプを何回もかけるより、「ポンプが固くなったところで圧をかけ続ける」方がピストンが出やすいようです。
① のピストンが外れました。
次に ② のピストンを外します。
・① のピストン室にa(パイプ用ゴムキャップ)を入れて、ステーで固定します。 ・③ と ④ は木片を挟んだまま。 |
・プレートの下側のボルトはキャリパ取り付け穴に通します。 こうしないとプレートが真っ直ぐになりません。 |
これで空気圧をかければ ② のピストンが外れます。
次に ③ のピストンを外します。
・② のピストン室にも a(パイプ用ゴムキャップ)を入れます。 ゴムキャップが長いので入れるのに少々苦労しますが、変形させて押し込みます。 ・① と ② にゴムキャップを入れたら、 ③ と ④ の間に挟んであった木片を、① と ② のゴムキャップの間に挟みます。 ・④ のピストンをステーで押さえて押し込みます。 ・この状態で空気圧をかければ ③ のピストンが出てきます。 |
③ のピストンが外れました。
最後の ④ のピストンを外します。
・③のピストン室に a(パイプ用ゴムキャップ)を入れて、ステーで固定します。 ・① と ② は木片を挟んだままです。 ・写真では ③ のゴムキャップが ①・② のゴムキャップより圧迫されて潰れていますが、 ①・② のゴムキャップの状態で空気は漏れません。 ③を圧迫しているのは ④ のピストンが外れる空間を作るためです。 ・これで四個すべてのピストンが外れました。 |
なお、「ピストンを一つずつ外して磨き、シリンダーに戻す」場合は上記 「 ①のピストンを外す場合 」 を ②,③,④に繰り返します。
・① のピストンを外して磨き、シリコングリスかフルードを塗ってピストン室にセット。(写真) ・② のステーを外して、① に取り付けて ① ピストンを一杯に縮める。 ③ と ④ はそのまま。 空気圧をかけて ② ピストンを外し、磨いてピストン室にセット。 ・③ と ④ の木片を外して、① と ② の間に挟む。 ④ をステーで縮めて ③ ピストンを外す。 ③ ピストンを磨いてピストン室にセット。 ・③ ピストンをステーで縮めて ④ ピストンを外す。 ④ ピストンを磨いてピストン室にセットする。 ・この場合はゴムキャップを使いません。 だから、次に述べるように 「 ゴムキャップがピストン室のシールを損傷するのではないか 」 との心配はいりません。 |
・実物をカットしました。 ・上の溝がダストシール溝、下の溝がオイルシール溝。 ・ダストシール・オイルシールの厚さは溝巾よりも薄く、 溝とシールとの間に隙間ができます。 |
・シリンダーにゴムキャップを入れると、 キャップの出っ張り(頭の元の部分)がシリンダー上端面で止まります。 ・キャップの出っ張り外径 = 32.5㎜Φ、シリンダー内径 = 32.2㎜Φ この状態ではダストシールはやや圧迫されますが、オイルシールは圧迫されていません。 |
・シリンダーを塞ぐためにゴムキャップをプレートで押さえつけて潰した状態です。 ・ゴムキャップの出っ張り(頭の元の部分)はオイルシール溝の上で止まります。 ・ゴムキャップは膨張してオイルシールを押しつぶしています。 オイルシールは溝に押しつけられて溝の形に変形しています。 ・ただし、これはオイルシールを横方向(円周方向)に押しつけるもので、 ゴムキャップとオイルシールが縦方向に擦れ合うものではありません。 ・これに対し、ダストシールはゴムキャップの出っ張りが通過するので、 ゴムキャップとダストシール面が縦方向に擦れあうことになります。 ・以上のことから、ゴムキャップを使うと「ダストシールシール面を損傷するが、 オイルシール面を損傷する可能性は低い」と言えます。 もっとも、キャリパピストンを外すような場合は、 シール類の交換を予定しているのでシール類が損傷されても問題はないでしょう。 |
シール類を損傷したくない場合、ゴムキャップが入手できない場合には次の方法を使います。
・ピストン室をふさぐのはゴムキャップではなくゴム板。 ・このゴム板を固定するためにプレートが三組必要です。 ・木片は使いません。 ・b:巾 35 ㎜ ~ 40 ㎜ × 長さ 50 ㎜ ~ 60 ㎜ のゴム板×3 ※巾は二枚を並べてキャリパにセットできる長さ、長さは長い方がピストン室をうまくふさげる。 ※厚さはプレートで締め付けてピストン室をふさげる程度。 ※今回は厚さ6㎜ の軽トラ用のゴムマットを使用。 ※ホー センターには もっと上質で柔軟性のある 150 ㎜ × 150 ㎜ × 5.0 ㎜ のゴムマット・168円があります。 ・d:方法1で使ったパワープレートでよいが、手持ちに二組しかなかったので、 Tプレートを切断して三組目を作成。 ・外すのは左キャリパです。 |
今度は、① → ② → ③ → ④ と順番に外すのではなく、外れやすいものから外します。
・左キャリパです。 キャリパ内側からピストン室を反時計回りに ①,②,③,④ とします。 ・ピストンをすべてフリーにして空気圧をかければ一番外れやすいピストンが外れます。 ・ここでは④が外れました。 |
・④のピストン室をゴムマットとプレートでふさぎます。 ・ピストン室はキャリパ内側ギリギリまで開いているので、 ゴムマットがピストン室を完全にふさぐように、 真っ直ぐにそして垂直に切断しておかなければなりません。 ・但し、ゴムマットはプレートで圧迫されて横方向に伸びるので、 それほど気にする必要はありません。空気が漏れるようなら整形してください。 ・この状態で空気圧をかければ 残りの ①,②,③のうちで一番外れやすいピストンが外れます。 |
・空気圧をかけたら、① と ② が出てくる前に、③ が外れてしまいました。 |
・④ ピストンと ③ ピストンが外れたあと、方法1でやったように 「④ と ③ の間にゴムマットと木片を挟んで」ピストン室をふさいでみました。 ・しかし、ゴムマットをプレートで圧迫する場合のようにゴムマットが伸びないので空気が漏れます。 また、写真の状態( ④ と ③ の間にゴムマットと木片を強く挟む状態)にするのにも時間がかかります。 ・このような方法で ④ と ③ のピストン室をふさぐより、 次のように、④ と ③ を別々にゴムマットとプレートでふさぐ方が確実です。 |
・④ と ③ をゴムマットとプレートでふさぎます。 ・この状態で空気圧をかければ ① と ② で外れやすい方が外れます。 ここでは ① ピストンが外れました。 ・結局、このキャリパで外れやすかった順番は「 ④ → ③ → ① → ② 」 の順。 ・次に、残った ② ピストンを外します。 |
・① のピストン室もゴムマットとプレートでふさぎます。 ・最後に残るのは「一番外れにくいピストン」ですから、覚悟して空気圧をかけましょう。 ・エアチャックや差し込んだノズルからの空気漏れに注意。 |
c.リヤキャリパの二個のピストンを外す場合
リヤキャリパのヒストン室をふさぐ大きさのゴムキャップをホームセンターで捜しましたが見当たりませんでした。
方法2のようにゴムマットを使います。
・c・d:フロントキャリパで使ったプレートとボルト二組。 ・e:横 50 ㎜ × 縦 65 ㎜ のゴムマット(ピストン室をふさぐに充分な大きさのもの) ・まず、そのまま空気圧をかければ外れやすいピストンが外れます。 |
・外れた方のピストン室をゴムマットとプレートでふさぎます。 巾 30 ㎜ のステー二枚がピッタリとはまりました。 ・この状態で空気圧をかければもう一つのピストンが外れます。 |
なお、ピストンだけを外して磨く場合は、このステーでピストンを縮めて固定し、もう一方のピストンを外してピストンを磨いてピストン室にセット。
次に、そのピストンをステーで縮めて固定しもう一方のピストンを外し、磨いてセット。
2.オイルシールの代替品はないのか?
オイルシールは断面が長方形の単純なもの、ダストシールは両側が出っ張って、中央が凹んでいるだけ。
スプリングもリップもないこんな単純なシールがなぜ 一組(ダストシール2個+オイルシール2個) で 2520円もするのでしょう。
安い代替汎用シールがあるはずです。
★★09
・シール穴寸法 : 外径×内径×深さ= 11.0 ㎜Φ × 6.0 ㎜Φ × 1.5 ㎜。 ・シールの実測値 : 外径×内径×厚さ= 11.0 ㎜Φ × 6.0 ㎜Φ × 1.8 ㎜。 ・シール形状 : 断面長方形の平シール ・シール許容寸法 : 外径×内径×厚さ= 11.0 ㎜Φ × 6.0 ㎜Φ × (1.8 ~ 1.9 ㎜) |
次にリヤキャリパの連結シール
・シール穴寸法 : 外径×内径×深さ= 14.0 ㎜Φ × 9.0 ㎜Φ × 2.0 ㎜。 ・シールの実測値 : 外径×内径×厚さ= 14.0 ㎜Φ × 8.0 ㎜Φ × 2.4 ㎜。 ・シール形状 : 断面長方形の平シール ・シール許容寸法 : 外径×内径×厚さ= 14.0 ㎜Φ×(8.0 ~ 9.0 ㎜Φ)×(2.4 ~ 2.5 ㎜) ・材質は耐油性のあるニトリルゴム(NBR)かフッ素(FKM) ・断面が円のOリングではなく、断面が長方形のゴムワッシャ→→→こちら ・モノタロウでざっと捜したところサイズが合うものはありませんでした。 |
既製品がなければゴム板を穴開けポンチで抜いて作らなければなりません。
・厚さ 2.0 ㎜ のゴムシート→→→こちら
・厚さ 3.0 ㎜ のゴムシート→→→こちら ※厚さ2.5㎜のゴムシートはありませんので、少々厚くなるけど3.0㎜で作るしかないでしょう。。
・穴開けポンチ/11.0㎜Φ,14.0㎜Φ,6.0㎜Φ,8.0㎜Φ,9.0㎜Φ→→→こちら と こちら と こちら と こちら
案外、キャリパ補修パーツとして販売されているかもしれません。
b.フロントキャリパのシール実測値
・①シール新品交換後走行1.0万㎞のオイルシール : 外径 × 横方向厚さ × 縦方向(前後方向)厚さ = 37.8 ㎜Φ × 2.9 ㎜ × 3.2㎜、断面長方形の平シール。
・②シール新品交換後走行1.0万㎞のダストシール : 外径 × 横方向厚さ × 縦方向(前後方向)厚さ = 36.6 ㎜Φ × 2.1 ~ 2.2 ㎜ × 1.8 ㎜、両端が出っ張り中央が凹んでいるシール。
後述のように、シールは圧迫されるので使っていると「横方向の厚さが減り、縦方向(前後方向)の厚さが増える」ので、
汎用品を探す場合はそのことを考慮しなければなりません。
★★10
【広告】
まずは、プレスとスクワット。
ホームジムならこれで孫の代まで。
・ダストシール溝深さ : 2.0 ㎜ ・ダストシール溝巾 : 2.2 ㎜ ・オイルシール溝深さ : 上段 / 2.8 ㎜、下段 / 2.4 ㎜ ・オイルシール溝巾 : 4.0 ㎜ |
・シールをはめるとこうなります。 ・シールの溝巾はシールの縦(前後)巾より大きいので、シールと溝の間には隙間ができます。 |
疑問は
・オイルシール外径 = シリンダ内径 + オイルシール溝深さ × 2 = 32.2 ㎜ + 2.4 ㎜ × 2 = 37.0 ㎜Φ なのに、オイルシール外径の測定値が 37.8 ㎜ もある。
・ダストシール外径 = シリンダ内径 + ダストシール溝深さ × 2 = 32.2 ㎜ + 2.2 ㎜ × 2 = 36.4 ㎜Φ なのに、ダストシールの外径の測定値が 36.6 ㎜ もある。
・シール溝より大きな外径のシールがなぜシール溝に入るのか?
・なぜ、シール溝外径よりシール外径の方が大きいのか?
ロ.現段階での答えは
・ピストン室にピストンを入れた状態です。 ・ピストン外径は 32.0 ㎜Φ、シリンダー内径は 32.2 ㎜Φ 。 オイルシールとダストシールはピストンによって 外径が 32.0 ㎜Φ になるまで横方向に押しつぶされ(圧縮され)シール溝に密着します。 このときに「シール外径 = シリンダ内径 + シール溝深さ」となるのです。 ・「シール外径 > シリンダ内径 + シール溝深さ」にしているのは、 ピストンを入れたときにシールを圧縮して溝に密着させるため。 ・なお、ピストンを入れない状態では「シール外径 > シリンダ内径 + シール溝深さ」なので、 シールは「やや反った状態」になります。 しかし、シール厚さよりシール溝巾の方が大きいのでシール溝にはまることができるのでしょう。 ・ちなみに、ピストンにオイルシールとダストシールをはめると オイルシールは新品でも軽く入ってピストンとの間に隙間ができます。 ダストシールはピストンに密着します。 |
また、オイルシール溝断面が台形を上下逆にしたような形になっています。
これは既に述べたようにオイルシール溝が二段になっているからです。(キャリパシリンダーをもっと精密に切断すれば 0.4 ㎜ の段差が現れます)
オイルシールがピストンによって圧縮されオイルシール二段溝に押しつけられると、オイルシールは少し前方に傾いた形になります。
それにより、オイルシールの下側の角がピストンに当たりフルードの漏出を防ぐとともに、ピストンとの摺動抵抗を減らしているのです。
c.リヤキャリパのシール実測値
・①新品のオイルシール : 外径 × 横方向厚さ × 縦方向(前後方向)厚さ = 49.4 ㎜Φ × 3.0 ㎜ × 3.2 ㎜、断面長方形の平シール。
・②走行距離不明のオイルシール : 外径 × 横方向厚さ × 縦方向(前後方向)厚さ = 49.0 ㎜Φ × 2.8 ㎜ × 3.4 ㎜
・※使用により横横方向に圧縮されるので変形し、横方向の厚さが減り(当然外径が減る)、その分縦方向(前後方向)の厚さが増える。
・③新品のダストシール : 外径 × 横方向厚さ × 縦方向(前後方向)厚さ = 47.2 ㎜Φ × 2.2 ㎜ × 1.6 ㎜、両端が出っ張り中央が凹んでいるシール。
・※シリンダ内径 : 43.0 ㎜Φ、ピストン外径 : 42.8 ㎜Φ
●●
・エアーチャックを何度も取り付けたり取り外したりしていると、 内部のゴムが磨耗してノズルへの食いつきが悪くなります。 ・そのような場合はエアチャックを新しいものにしなければなりません。 足踏みポンプに付いているエアチャックは簡単に取り外せます。 そして、そのエアチャックは百均のポンプに付いているものと同じです。 エアチャックの交換は「一個110円」で解決です。 ・問題は、キャリパのフルード入口に差し込むノズル。 写真のノズルは足踏みポンプの交換ノズルとして付属しているゴムボート用のもの。 軟らかいプラスチック製で、すぐに変形して使い物にならなくなります。 ・エアチャックの内径は開いているときが 7.5 ㎜Φ、閉じているときが 6.0 ㎜Φ。 ・ フルード入口は。 |
b.ノズルは「一個54円」で解決
フルード入口が「M10 の 細目 / P 1.25 」のメスネジなら、10 ㎜Φ の管に M10・細目 / P 1.25 のオスネジを切ればよい。
チャックを取り付ける側は 8.0 ㎜Φ の管がよい。
ノズルの材料になるのは「8㎜Φ → 10 ㎜Φ の異径接続ニップル」
イ.ノズルを作るのに入手したもの
・a : モノタロウホースニップル(税抜き49円)→→→こちら ・b : プラスチック製の異形ニップル(税抜き169円)→→→こちら ・c : キジマのアルミ製ホース変換ジョイント(税抜き429円)→→→こちら ・d : ライト精機のM10・細目/P1.25 外径25の丸(税抜き1690円)→→→こちら ・e : モノタロウの25径丸ダイスハンドル(税抜き319円)→→→こちら ・f : フルード入口がM10細目メスネジのキャリパ |
・aには「管(くだ)用・1/8 」のオスネジが切ってあります。 ・bとcにはネジが切ってありません。 ・作業要領は aはもとのネジの上から「M10・細目 / P 1.25 のネジ」を切る。 bとcは直接「M10・細目 / P 1.25 のネジ」を切る。 |
※Yahooショッピング(モノタロウ)では
・ホースニップル アソー HN-1108(1/8-8)※ホース口外径8㎜×ネジ1/8
・ピスコ 違径ニップルPIG10-8(外径8㎜×10㎜)
・ホース変換ジョイント KIJIMA,
・外径25ダイス・ライト精機 M10×1.25,
・ダイスハンドル ライト精機 25
ロ.高価なcはネジが切れない
・cのキジマ・ホース変換ジョイントには「8 → 10 」としかサイズが書いてありません。 ・「8 → 10 」だから「細い方の外径が8 ㎜Φ で太い方の外径が 10 ㎜Φ」だと思ってはいけません。 ・外径8㎜Φのニップルに内径8㎜Φのホースでは抜けてしまいます。 だからニップルの外径は「細い方が8㎜Φより大きく、太い方が10㎜Φより大きく」なっています。 ・左は実測した値。 ・写真左側の太い方にM10のダイスを当てましたが食い付きません。 最初は 9.2 ㎜Φ でもすぐに太くなっていくからです。 ・429円のアルミニップルはあっけなく脱落。 もちろん、これはキジマのせいではありません。 |
ハ.期待したプラスチック製は大失敗
・こちらは「シール剤が塗布してある」ので、 ニップル外径とホース内径が同じでも抜けないらしい。 ・ニップルサイズはピッタリの 8 ㎜Φと10 ㎜Φ。 ・材質は少し軟らかいプラスチックだからネジ切りも楽なはず。 ・しかし、ネジを切るためにニップルを万力で挟むと潰れてしまう。 ニップルの中に竹箸を入れて潰れないようにしても、ニップルが回るので万力に固定できない。 細い方からダイスを入れて、細い方をプライヤーで挟んでネジ切り。 ・一旦、ダイスが食いついたらプラスチックなのでネジ切りは楽です。 |
しかし、
・材質が軟らかいのでネジが均等に切れていません。 ・最初の食い付きが真っ直ぐでなかったのでネジが斜めになっています。 ・しかし、取り付けられればそれでよい。 |
・まず、取り付けに苦労します。 ・ネジが均等に切れていないので、指でつまんで回すことはできません。 ・細い方をプライヤーで挟めば滑ります。 ・結局、ネジ部をプライヤーで挟んで取り付け。 |
しかし、問題はこれから先。
ニップルが取り外せないのです。
均等に切れていないオスネジ、軟らかい材質のオスネジとアルミのメスネジ。
オスネジがメスネジにしっかりと食いついて離れない。
出ているネジ部をプライヤーで挟んで回すと、ニップルはあっけなく元からちぎれてしまいました。
結局、バーナーでで食いついているオスネジ部分を溶かしました。
もはり、金属のメスネジには金属のオスネジが必要。
★★11
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国産ではないけれど「いい味」。
※トライクの法的取り扱い
・管用1/8オスネジは「外径9.728㎜Φ・谷径8.566㎜Φ・ピッチ0.9071㎜」※注1 ・M10・細目/P1.25のオスネジは「外径10.0㎜Φ・谷径8.647㎜Φ・ピッチ1.25㎜」※注2 ・ピッチが小さいネジにピッチが大きいネジを切るのだから問題はないだろう。 |
・なんと、そのままでも「1山少々」ねじ込めます。 ・「1山少々」でも、しっかりはまっていますから、このままでも使用できます。 |
ネジ切り作業は簡単。
まず、ダイスに「1山+α」が食いついてくれる。テーパーがかかって先が少し細くなっているようです。
次に、根元がナット状になっているで、万力に止めやすいし、M10スパナで回せる。
そして、材質が真鍮なのでネジ切りが楽。
・最初はニップルを万力に挟んで作業。
・ダイスがニップルに完全に食いついたら、ダイスをつけたままニップルを万力から外す。
・ニップルの根元ナット部にM10スパナをはめる。
・左手でダイスを固定し、右手でニップルの根元ナット部に当てたM10スパナを回す。
作業は仕上げやバリ取りを含めて5分程度。
・上が加工後、下が加工前。 | ・ネジ山がきれいに仕上がっていませんが、元のネジとピッチや谷径が違うので仕方のないこと。 |
問題は「ねじ込めるかどうか」。
・根元までしっかりとねじ込めます。 ・根元部分になるとネジ込みが少し固くなりますが、スパナを使えばOK。 ・取り外しもスパナが使えるので簡単。 |
・「開いているときが 7.5 ㎜Φ、閉じているときが 6.0 ㎜Φ」のチャックゴムに、 「8.0 ㎜Φ / 6.6 ㎜Φ」のタケノコは「チョットきつい」がはめられます。 ・きつくはまればそれだけ空気漏れが少ないし、ゴムが少し磨耗しても大丈夫。 |
大満足の結果となりました。
つづく
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