FJ1200-4CC 整備資料
2014.03.08_2. FJ キャブレター清掃 / 取り付け方法と取付時の注意
四連キャブレターは取付では、どうしてもエアクリーナーとキャブレターをつないでいるゴムジョイントを押しつぶさなければなりません。
このジョイントは一個が3400円、四個で13600円。高価です。
キャブレター取付ではこのジョイントにできるだけ負担をかけずに、できるだけ負担のかかる時間を短くして作業しなければなりません。
そのための方法と注意を説明しました。
また、フロートピンの曲がりがオーバーフローの原因になること、突然のオーバーフローへの対処も書いてあります。
・油面の簡易測定
・キャブレター取付前にオーバーフローのチェック
★ブローバイパイプのネジクランプ留め
-キャブレターの取付-
★キャブレター取付方法 ①
★キャブレター取付方法 ②
★キャブレターをインマニへ完全挿入する前にチェックすること
★キャブレターをインマニへ完全挿入した後にチェックすること
・できそうでできない取付方法
・少しずつガソリンが漏れる
★フロートピンの曲がりに注意
★突然の「元気なオーバーフロー」への処置
1..油面の簡易測定
a.初めての油面簡易測定
FJ-4CC の簡易測定 ( H寸法 ) での 基準値 は 21.3㎜ ~ 23.3㎜ です。
測定は次のようにします。
・①.キャブレターを逆さまにしてフロートバルブを沈み込ませる。 ※この位置でフロートバルブが燃料を止める。 ・②フロートアームの突起 ( リップ ) をフロートバルブの突起に触れさせる。 ※フロートバルブの突起はバネで上下に動く。当たり始めにする。 ・③キャブレター本体 ( ミキシングボディ ) と フロートチャンバの合わせ面から、フロートの上端 ( 一番高い点 ) までの高さを測る。 ※写真では水平部分までのように見えますが、水平部分の右端が一番高い点です。 ※実油面では外側に見えている合わせ面(赤線の上)から測りますが、 簡易測定では フロートチャンバの上端 がミキシングボディに当たる面から測ります。 ※マニュアル P5-6 の図が不明瞭なので一般的なH寸法測定法で説明しました。 間違っていたらご容赦ください。 |
実際には、
・キャブレターを逆さまにして左手で持つ。
・左手の中指をフロートの向こう側に当て、フロートアームリップがバルブ突起に触れる位置で止める。
・右手で持ったノギスの穴深さ測定部分で、ミキシングボディ上面からフロート最高点までの高さを測る。
・ | 高さの目安は、 ・ピン穴の上端までが 22㎜、 ・ピンにかぶさっているアームの回転部の上端までが 23.3㎜、 ・ピンの上部 1/4 弱までが 21.3㎜ 。 ・なお、ピン外径は 2.45㎜Φ、ピン穴内径は 2.5㎜Φ。 アームを水平にすると、その上端面の延長線が ピン上部 1/4弱を通る。 この時、フロート上端はアーム上端面と一致。 つまり、フロートアームを水平にしたときに、 ・リップがバルブ突起の先端に触れた瞬間なら H寸法は 21.3㎜ で調整不要。 ・まだ触れていなければ H寸法は 21.3㎜より小さいので、リップを出して調整。 ・すでに触れていれば、 触れ始めるところまでアームを上げてフロートの最高位置が23.3㎜までならOK。 それ以上なら、H寸法は23.3㎜より大きいので、リップを引っ込めて調整。 |
アームのリップは頑丈なので通常使用で曲がることはないでしょう。
フロートバルブやニードルバルブの磨耗、ニードルバルブOリング交換による取り付け位置の変化などでも油面高さは変わります。
しかし、それらは微小なもので、油面高さ許容巾の2㎜以内に収まるでしょう。
だから、エンジンの調子が悪くなければ油面高さは気にしなくてもよいし、油面測定はする必要はないでしょう。
今回は、2番キャブレターのフロートピン挿入の最後にマイナスドライバーを当てて叩き、そのドライバーが滑ってフロートアームを反らせてしまいました。
そこで、アーム修正 ・ 油面測定が必要になったのです。
1番,3番,4番キャブレターは どれもピン穴より少し上、ノギスで測ると 22.3㎜。 規定値の中間となっていました。
アーム部分から出ているリップの状態はその上面が少し隠れるくらいになっていました。
2番キャブレターのフロートアームとリップの隙間にマイナスドライバーを差し込んで調整し、2番の油面も22.3㎜に調整しました。
・実油面規定値は、ドレンに透明パイプをつなげてドレンボルトを緩めて測定します。 ・規定値は外側の合わせ面を基準にして下へ 4.5㎜~5.5㎜。 ・今回は測定していません。 |
・実油面測定をキャブレターだけでする場合は、 バイクを水平にしたとき ( メインスタンドを立てたとき ) のキャブレター角度で、キャブレターを固定する必要があります。 この角度αは 前傾13度くらいです。 ( 非常に不確かな測定です )。 ・マニュアルではキャブレターをエンジンに取り付けて測定するようになっています。 エアクリーナーは取り付ける必要はありませんので、 キャブレターの取り付け取外しは、それほど面倒ではありません。 ・フロート調整もキャブレターを分離せず四個を連結したままでやれます。 ・キャブレターを あやふやな方法であやふやな13度に固定して測定するより、 エンジンに取り付けて測定した方が確実でしょう。 |
・簡易測定油面と実油面では測定基準面が異なります。 このことが少し引っかかりますが、この違いを含めての基準値なのでしょう。 |
b.二回目の油面簡易測定(2017.11)
FJをフルパワー化するときに 3XWのキャブレターをOHして取り付けました。
そのときに油面の簡易測定をやりました。そのときの状況です。
・ フロートアームの突起 ( リップ ) をフロートバルブの突起に触れさせる。(フロートバルブの突起の当たり始め)。
・ キャブレター本体 ( ミキシングボディ ) と フロートチャンバの合わせ面からフロートの上端 ( 一番高い点 ) までの高さを測る。
・ 基準値 : 21.3㎜ ~ 23.3㎜
結構図りにくいものです。ノギスが真っ直ぐかどうか分かりにくく、ノギスが当たったときにフロートが下がってしまいます。 ・四回測定 → ① / 22.75 ~ 23㎜、 ② / 22.8 ~ 23㎜、 ③ / 22.6 ~ 22.7㎜、 ④ / 22.0 ~ 22.8㎜ ・なお、完全に下がった状態では → ① / 22.1㎜、 ② / 22.3㎜、 ③ / 22.0㎜ ④ / 22.0㎜ ・油面の測定値が少し高いようですが、測定誤差と21.3~23.3㎜に入っているということでこのまま調整なし。 ・フロートピンはひっくり返した状態でフロート側(シリンダー側)から見て左から差し込む。固い場合は交換(※注意) |
※注意.
フロートピンの挿入・取り外しがかたいときはフロートピンを新しくする。
真っ直ぐなフロートピンは無理をしなくても「スッ」と入り、すなおに抜けます。
ピンの頭をマイナスドライバーでこじったり、プライヤーで挟んだりしなければ外れないピンは曲がっています。
ウォータープライヤーで挟んで押し込まなければならないピンも曲がっています。
曲がったピンはオーバーフローの原因になります。
フロートピンは安い部品なので、キャブレターOHのときは新品にすることをお勧めします。(下記の 7-b 参照 )
2.キャブレター取り付けの前にやっておくこと
●●
キャブレターを取り付けて同調調整をしていたら、3番からポタポタとオーバーフロー。 再度取り外してニードルバルブを新品交換。 ニードルバルブ交換は簡単だけれど、取り外したキャブレターは取り付けなければならない。 取り付けるときにはエアクリーナージョイントをグイグイ・グリグリ。 ジョイントが破れたら、一個3245円。 無駄な経費と時間をかけないために、取り付け前にオーバーフローをチェックします。 このチェックは燃料パイプからガソリンを注入すればすぐに済みます。 ただ今回は、このチェックのあと、キャブレター組み付け、同調調整をして、 試乗しようとしたら、4番からポタポタ。 4番もニードルバルブ交換となりました。 ※キャブレターを外してのチェックは「大きなオーバーフロー」だけに有効で「小さなオーバーフロー」はチェックできません。 |
必要なゴムパイプは、
・オーバーフローパイプ/内径4㎜Φ×50㎝ ・4本
・プラスチックT燃料コネクタパイプ/内径6㎜×30~40㎝・2本
・燃料パイプ/内径5㎜Φ×30㎝
パイピングはマニュアルに書いてありませんので次のようにしました。
( オーバーフローパイプ・4本)) ・ブローバイパイプ(写真ではエアクリーナーboxパイプ)の入口 ( 赤矢印 ) を通し、クランクケース右側の後ろに沿わせる。 ・キャブレター位置によって、パイプ長さが違ってくるので先端を切り揃える。 ・1番が50㎝、4番が45㎝ 程度。※オーバーフローしたときにどのキャブレターからか分かるようにキャブレター番号の印を付ける。 ( プラスチックTコネクタからのパイプ・2本)) ・エアクリーナーケース下のフレームパイプにはさむ。 ・フレームパイプにはさまず、エアクリーナーケース下に置いておくなら30㎝でOK。 フレームパイプにはさむのなら40㎝必要。 ※2019.11.追記・解説 現在は、オーバーフローしていることがすぐに分かるように、 エアクリーナーケースの下(ゴムマットの上)を通して、6本をまとめて右側に出しています。 |
※ エアクリーナーケースからのパイプについて
エアクリーナーケースから細いパイプと太いパイプが出ています。
細い方は水抜きパイプでしょうから、べつになくても構いません。
太い方はクランクケースからエアクリーナーケースに入っています。
これはクランクケースに入った不完全燃焼ガスをもう一度シリンダシーに送るためのブローバイパイプです。
これは「なくても構わない」というパイプではありません。
このパイプは内径12㎜Φ・厚さ2㎜。
この内径でこの薄さのパイプは汎用で見つけることはできませんので、大切に扱ってください。
b. ブローバイパイプはネジ式クランプでしっかりと取り付けておく(2019.01.17)
キャブレターを取り付けるときに、エアクリーナーボックスの後退量が少ないので、これを補うためにエアクリーナーボックスを持ち上げます。
するとプローバイパイプが簡単に外れてしまいます。長さがギリギリになっているからです。
あとから、プローバイパイプを取り付けることはできないので、このパイプを抜けないようにしておくことが必要になります。
・純正のクリップでは、エアクリーナー側が簡単に外れてしまいます。 ・プローバイパイプ : 外径 / 15㎜Φ、内径 / 12㎜Φ、厚さ / 2㎜。 この寸法の汎用パイプが見つからないので、長いものに交換できません。 ・ブローバイパイプ差し込み口 : エアクリ側/12.5㎜Φ、エンジン側/13.0㎜Φ ・エアクリーナーのドレンパイプ差し込み口 : 7.5㎜Φ |
準備したのはホースバンド各種。 ・ホースバンド : 8~12㎜Φ/108円、10~16㎜Φ/118円。 ・ワイヤーバンド : 7~10㎜Φ/38円、10~12㎜Φ/48円、13~16㎜Φ/48円 ・小さいのはエアクリーナーボックスのドレンパイプ用。 |
この中でよかったのは 10~16㎜Φのホースバンド。
ホースバンドよりも安いワイヤーバンドは13~16㎜Φでも入りませんでした。
・ホースバンドの取り付けにドライバーは使えません。 ・7Mのレンチが必要です。※メインジェット三国角大のレンチです。 |
・これだけしっかり取り付けておけば、少々持ち上げても外れることはありません。 |
なお、ドレンパイプの方は純正のクリップで問題なく、わざわざホースバンドできつく取り付ける必要がないことが分かりました。
なぜなら、ドレンパイプはその先をどこにも取り付けていないので、エアクリーナーボックスを持ち上げてもパイプ取り付け部分に大きな引っ張り力がかからないからです。
また、もし、外れてもドレンパイプなので大きな問題は生じません。
もっとも、プローバイパイプをホースバンドでしっかり取り付けると、
プローバイパイプの余裕の分だけしかエアクリーナーボックスを持ち上げることができず、ドレンパイプの取り付け部に引っ張り力がかかることはないのでドレンパイプは抜けません。。
以上より、お勧めは ホースバンド/10~16㎜Φ/118円 ×2 でプローバイパイプ締めつけ。
★★33
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どちらも「立ちごけ」しません。
今回は 3番と4番のオーバーフローのため、キャブレターを三度取り付けています。 ・一度目と二度目はシリコンオイルスプレーを使用。175円の安物です。 ・三度目は右下のシリコングリス/20g・886円を使用。 シリコンスプレーは 表面がツルツルになりますが、ヌルヌルになりません。 ヌルヌルの方が作業がしやすくなり、ゴム製ジョイントにもやさしくなります。 シリコングリスのかわりにビートクリーム ( 左下・40g・498円 ) ではダメでしょうか? 四度目の組み付けがありませんでしたので試していません。 ちょっとサラサラしすぎていますかね。 |
では、後ろからはめていきます。
・インマニにキャブレター前部を乗せる。 ↓ ・エアクリーナーケースを少し持ち上げる。 ↓ ・キャブレター後下側をエアクリーナージョイントに押し込む。 ・エアクリーナーケースを少し持ち上げるのがポイント。 これで、エアクリーナーケース後退量の少なさを補います。 キャブレター後部の接合部で “への字” になります。 ・“ への字 ” の頂部を下に押し込んで、キャブレター後下側をエアクリーナージョイントに押し込んでいき、 ジョイント下側をキャブレター後下側にはめ込みます。(ジョイント上側は押しつぶされている状態) このとき、シリコングリスが塗ってあると、キャブレター後部でエアクリーナージョイントが傷つくのが防げます。 |
・キャブレター後部下側がはまったら、押しつぶされているジョイントをめくってキャブレター後部上側にはめます。 「 はめる 」 というより 「 かぶせる」 といった感覚です。 シリコングリスを塗っているかいないかで、苦労度がまったく違います。 ・二度目の取り付けでは、シリコンスプレーをするのを忘れ、エアクリーナーケースを少し持ち上げることをしなかったので苦労しました。 ゴムジョイントの薄いリブに切れ目が入って、あわててシリコンスプレーをしました。 ・三度目はシリコングリスを使ったので、 作業がもう少しスムーズになりました。 |
・ゴムジョイントをめくるのに、スプリングフックを使いました。 先がとがっているので先を丸くするか、無理をしないことが必要です。 ・自転車用のタイヤレバーを削れば、めくるのに適した道具が作れるかもしれません。 ・なお、三度目はシリコングリスのおかげで、このフックを使わずに指ではめることができました。 |
ロ. エアクリーナージョイントを変形させて前をはめる
キャブレター後部にエアクリーナージョイントがはまれば、残りの必要スペースは前後に 5㎜。
思いっきりキャブレターを後ろに引けば、この 5㎜をクリアーできます
・写真の状態でキャブレターを両手で持ち、 キャブレターを後ろへ押しつけながらキャブレター前部下側をインマニ上部に差し入れます。 ・キャブレター前部下側がインマニ上部に入ったら、キャブレター前部を下に押し込んでインマニに入れます。 ・キャブレター後部がエアクリーナージョイントにうまく入らないときは、 入らないままで、エアクリーナージョイントを押しつぶしてキャブレター前部をはめます。 キャブレター前部がインマニに入ったら、それだけ前後に余裕ができますから後部ジョイントを楽にはめられます。 ・シリコングリスにより、 ジョイントを押しつぶしているときに自然とはまることもあります。 |
以上、要するに、
エアクリーナーボックスとキャブレターで「への字」を作って、キャブレター後下側をエアクリーナージョイントの上から押し込む。
押しつぶされているジョイントをフックなどで引っかけてキャブレター後上側にかぶせる。
キャブレター後部にジョイントがはまったら、キャブレターを後にずらせジョイントを縮めて(潰して)キャブレター前部をインマニにはめる。
★★34
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電動トライクです。
シニアカーの代わりに。
孫には こちら
・まず、キャブレターをエアクリーナーボックスダクトとインテークマニホールドに載せます。 ここは 方法① と同じ。 ・方法 ①ではエアクリーナーボックスを後退させるとともに上に持ち上げ、 キャブレターと「への字」を作って、キャブレター後下側をダクトに押し込みました。 |
・方法 ② では、キャブレターの前部を上げて「逆への字」を作って、 キャブレター後下部をジョイントに押し当てます。 ・キャブレター後下部をジョイントに押し込むのは方法 ① と同じですが、次が違います。 |
・次に、ジョイントを押しつぶしながらキャブレターをマニホールド下部にずらせて、 ジョイントの上側をキャブレター後上側にかぶせます。 このとき、ダクトが完全にかぶさっている必要はありません。 「キャブレターを下にずらせて、キャブレター後部の上側からジョイントはめる」のがポイント。 |
・次に、キャブレターを上にずらせて前部をインマニに挿入。 ・キャブレターがインマニに入ったら、 押しつぶされているジョイント下部をキャブレター後下側にかぶせる。 |
キャブレター後下側をジョイントの上から押し込むのは同じです。
その後が少し違います。
方法①では
「そのまま押し込んで、ジョイント下部にキャブレター後下側をはめてから、押しつぶされているジョイント上部をフックを使ってキャブレター後上側にかぶせる」
そして、キャブレター後側にジョイントがはまってから、キャブレターを後退させ(ジョイントを潰して)インマニにはめる。
方法②では
「キャブレターを下にずらせて、ジョイント上部にキャブレター後上側をはめる」
そして、「キャブレター後部にジョイントがはまっていない状態で」、キャブレターを後退させて(ジョイントを潰して)インマニにはめる。
最後にジョイントをキャブレター後部に完全にかぶせる。
どちらも、よく似たものです。
方法①の「フックでジョイントをめくってかぶせる」のも、、方法②の「キャブレターを下にずらせてジョイントをかぶせる」のも、
キャブレター後下側をジョイントに押し込んでからアレコレやっている内に自然とやっていることです。
どのような方法をとっても、エアクリーナージョイントが押しつぶされるのは避けられません。
だから、考えなければならないのは「いかにジョイントへの負担を減らし、ジョイントの損傷を防ぐか」です。
その点ではシリコングリスは必須となります。
●●
やっと、キャブレター前部がインマニに入りました。
しかし、インマニに簡単に入れられるのは半分程度。
あと半分を入れるのには力が必要です。
しかし、キャブレター前部をインマニに完全挿入する前にやっておかなければならないことがあります。
・インマニクランプには凹部があり、インマニの凸部に合わせて(はめてから)ネジ締めをします。 ・これは、四つのクランプネジを締めやすい所に位置決めするためのもので、その位置について神経質になる必要はありません。 ・クランプを回していって「スコン 」 と感じれば、凹部と凸部が合わさっています。 ・キャブレター前部を完全挿入するまえにチェックしておかなければならないのは、2番クランプです。 |
・必ず、2番クランプがこの位置にあることを確認してください。 ここで大切なのは「クランプのネジ部が上側にきている」こと。 インマニの凸部にクランプの凹部がはまるとこの状態になります。 ・2番クランプのネジ部が、写真左側に落ち込んだ状態でキャブレターをインマニに完全挿入すると クランプを回そうとしてもクランプのネジ部が「 2・3同調ネジ」に当たって、ネジ部を上に持ってくることができません。 ・2番クランプをこの状態にするためには再度キャブレターをインマニから外さなければなりません。 |
5.キャブレターをインマニに完全挿入してからやらなければならないこと
a.インマニ完全挿入には力が必要
・四連だから、こちらをはめればあちらが外れる、あちらをはめればこちらが外れる。 ・キャブレターを上下に揺すって押し込みます。 それでも入らないときは、タイヤレバーをキャブレター後部に当ててこじるようにして押し込みます。 エアクリーナーケース取付部とキャブレターフロート連結部にタイヤレバーを当ててキャブレターを前にこじるようにします。 ・キャブレターをインマニから外すときも、キャブレター前部のフロート連結部にタイヤレバーを当ててこじると楽です。 しかし、支点になる部分がないので、木片を当てて支点にします。 |
b.ジョイントの合わせマークを合わせて適正位置にする
・キャブレター前部がインマニに入っても、エアクリーナージョイントはキャブレター後部に完全にはまっていません。 キャブレター後部の下側がジョイントからはみ出ているでしょう。 これを、エアクリーナーケース位置を調整して、完全にはめます。 ・エアクリーナージョイントには正規位置があります。 エアクリーナーケースの二つの突起の間に、ジョイントの突起を合わせてジョイントを正規位置にしなければなりません。 ジョイントがこの位置になったときに、ジョイントはキャブレター後部に完全にはまるようになっているのです。 |
6.その他の注意
a. エアクリーナージョイントは新品を使う
どれだけ慎重に取り扱っても、どれだけシリコングリスを塗ってもエアクリーナージョイントには大きな負担がかかります。
キャブレターを取り外すときには無傷でも、キャブレターを取り付けるときに亀裂が入ったり破れたりするかもしれません。
キャブレター取り付け時にジョイントが損傷した場合はその部位によっては気づかないことがあります。
損傷に気づかなければ 、エンジンが不調になってもその原因が分かりません。
FJ は20年前のバイクです。
ゴム製品は完全に劣化しています。
「 キャブレターを取り外すときには、ガスケット,Oリングとともにエアクリーナージョイントも新品に交換 」
これを覚悟しましょう。
b.「 前をはめる → 後ろをはめる 」 はできそうでできない
「キャブレターの取り付け方法でもっと楽な方法はないのか…。」いろいろ試してみました。
どれもやれそうですが、全て失敗しています。試しても無駄ですヨ。
イ. キャブレターを先にインマニに挿入、その後でエアクリーナージョイントをキャブレターに取り付ける
・キャブレターをインマニに取り付ける。
・エアクリーナーケースからエアクリーナージョイントの頭だけを出して、エアクリーナーケースを車体にセットする。
・エアクリーナージョイントをエアクリーナーケースから引き出して、キャブレターに取り付ける。
実際にやるとエアクリーナージョイントに力を加えるのが難しく、ジョイントをキャブレターにはめ込むことができない。
ロ. キャブレターにエアクリーナージョイントを取り付けて、あとからエアクリーナーケースに入れる
・キャブレターにエアクリーナージョイントを取り付ける
・キャブレターをインマニに取り付ける
・エアクリーナーケースの後部を車体にはめ込む。
・エアクリーナーケース前部を下に押しつけながら、エアクリーナージョイントを曲げてケースに入れ込む。
エアクリーナージョイントはケースに入っている部分が長く、ジョイントはそんなに曲がらないので、ケースに入れることができない。
ハ. 先にエアクリーナージョイントをエアクリーナーに取り付け、あとからエアクリーナージョイントをキャブレターにはめ込む
イ.では、ジョイントをケースから引っ張りだしてキャブレターに押し込むのに力が入らなかった。
ロ. では、ジョイントをケースに入れ込む部分が長かった。
そこで、
・エアクリーナージョイントをエアクリーナーケースに取り付ける。
・キャブレターをインマニに取り付ける。
・エアクリーナーケースの後部を車体にはめ込む。
・エアクリーナーケースに取り付けたジョイントを、上からキャブレターに押しつけて、ジョイントを曲げてキャブレターに取り付ける。
今度は、キャブレター後部のジョイント取り付け巾だけジョイントを曲げればよいだけです。
しかし、エアクリーナーケースがそんなに持ち上がらないので、ジョイントを曲げることができない。
●●
・キャブレターを取り付けたまま、燃料パイプからガソリンを注入。 どこからも漏れてきません。 ・エンジン下のガソリン痕はドレンを開けてフロート室のガソリンを抜いたときのものです。 |
・しかし、エンジンをかけるとアイドリングで「ボタ、…、ポタ、…」 ガソリン滴がハッキリ分かるくらいゆっくりと。 ・今まではエンジンをかけても漏れなかったのに、今回はSOS発信 ・ 点検要求。 |
・キャブレターを外して、もう一度燃料パイプからガソリン注入。 どこからも漏れてきません。 ・どうもこの方法はオーバーフローのチェックとしてあまり役に立たないようです。 以前、4CCキャブレターでこの方法を使ってオーバーフローなし。 エンジンに取り付けて同調調整をして乗ろうとしたら四番からオーバーフロー。※上記2-a ・この方法で「オーバーフローなし」でも、 「キャブレターを取り付けるときにあちらこちらに傾けるので、 フロートバルブが引っかかり、オーバーフローする」ということも考えられますが、 キャブレターが実際に稼働している状態でなければ 「実際のオーバーフロー」はチェックできないようです。 オーバーフローの原因は ・フロートバルブの不具合(ニードル段付き、バルブシート削れ、汚れやゴミ) ・ フロートの不具合I(破れてガソリンが入る、歪み) ・ フロートバルブOリングの劣化(フロートバルブが傾く) まずはフロートバルブを見てみないと始まりません。 |
b.四番のフロート室を開けてみると…
フロート室はきれいそのもの。2017.11のフルパワー化のときにオーバーホールしているから当然。→→→こちら
フロートの破れや歪みなし。 | Oリングはミクニ純正を使っています。 ニードルに段付きはありません。 |
汚れが堆積していたりゴミが詰まっていることもありません。 | キャブレター側も全く問題はありません。 |
ただし、気になったことが一つ。
それはフロートピンが固くて抜くのに苦労したこと。
ピンにはツバがあり、ツバのない方から入れて二つ目の穴に入るときにきつくなります。
そのあとは、ツバの方を叩くかウォータープライヤーで挟んでツバ元まで挿入します。
ピンを外すときは二つ目の穴のピン先を尖ったもので叩いて少し頭を出してから、ツバを挟んで抜きます。
しかし、ピン先を叩いても固くてなかなか頭が出ない。
頭が出ても固くてなかなか抜くことができない。
ストックの元4CCキャブレターも、ストックの4CCキャブレターも、苦労しないでピンが抜けます。
多分、このキャブレターのピンが曲がっているのでしょう。
なぜ、ピンが曲がったのでしょう。
ピン先が二番目の穴にしっかりと入っていないのに、ツバを叩いたりウォータープライヤーで挟んだりしたので曲がってしまったのかも知れません。
フロートのピン穴はピン外径より大きく余裕があるので、少しくらいピンが曲がっていてもフロートの動きは邪魔されず、ニードルが傾くことはないでしょう。
しかし、何かの拍子で少し傾くことがあるかもしれない。
そんなときにオーバーフローするのでは?
ピンが楽に抜けなかった場合はピンが曲がっている可能性があるので、ピンを新しくした方が良いでしょう。
キャブレターOHのときに必要な部品はOリングやガスケットの他にフロートピンを付け加えなければならないようです。→→→こちら
c.対処
取り敢えず、ストックのキャブレターからフロート、ピン、フロートバルブ、ニードルを移植しました。
左が移植するフロートバルブ回り。 フルパワー化する前に問題なく使用していた4CCキャブレターのものです。 このキャブレターでは三番と四番に新しいフロートバルブセットが組んであります。(2014.03) その三番から取り外しました。 もちろん、Oリングはミクニ純正の新しいものに。 右が3XWの四番から取り外したフロートバルブ回り。 ピンはストックの4CCキャブレターから(簡単に抜けたピン) Oリングをミクニ純正の新しいものにして、これを上の4CCキャブレターの三番に取り付けました。 |
こちらが移植した4CCキャブレターのフロートバルブ。 | こちらがオーバーフローした3XWキャブレターのフロートバルブ。 こちらの方がきれいです。 |
「これでまだ漏れるようなら、問題のなかった4CCキャブレターに 3XWの MJ / ♯110 と PAJ / ♯155 を取り付けよう」と覚悟していました。 しかし結果は「漏れなし」。 アイドリングでも6000~7000回転でも問題なし。 「今回の“時々、少しずつオーバーフロー”の原因はフロートピンの曲がり”だった」と結論づけ。 ところが…。 |
なお、キャブレターOH時のOリングや各部品についてはミクニから部品供給されています。
ヤマハ純正より安いのでミクニ純正をお勧めします。→→→キャブレターのOリングは「ミクニ純正部品」が安い・BS36のミクニ品番
以下で、入手できます。
・エアスクリュー (パイロットスクリュー) Oリング ・N133037 63円/個 |
・エアスクリュー (パイロットスクリュー) ワッシャ・VM12/33 63円/個 |
・エアスクリュー (パイロットスクリュー) スプリング・N133206 158円/個 |
・燃料コネクタOリング 616-23002・63円/個 |
・ニードルバルブOリング KV/10・63円/個 |
・ニードルバルブフィルター MRT-VM18/233 420円/個 |
Mikuni・39.Oリング パイロットスクリュー TMRキャブレター |
Mikuni・38.ワッシャー パイロットスクリュー TMRキャブレター |
Mikuni・スプリング パイロットスクリュー |
Mikuni・Oリング フューエルジョイント |
Mikuni・41.Oリング ニードルバルブ TDMRキャブレター |
Mikuni・42.フィルタ ニードルバルブ TMRキャブレター |
※キャブレターの図1 ・ キャブレターの図2 ・キャブレターの図はBS36と異なりますが、ミクニ品番が同じなら当然使えます。 ・ミクニの純正Oリングは 63円均一だから、すべて交換しても、63円×24=1512円。 ヤマハ純正部品の ガスケット4枚/4368円を入れても、5880円。4気筒のキャブレターで 6000円なら常識の範囲内です。 |
・ニードルバルブセットは(ミクニ・TMRキャブレターパーツリスト・№40)は リストにありませんが、こちらちが適合するでしょう。ミクニ品番 : 786-35003 これにフィルター(MRT-VM18/233)とOリング(KV/10)が必要になりますが、合計で2200円程度 ヤマハ純正では3800円しますからこちらの方が安上がりでしょう。 ・ただし、当方はこのニードルバルブセットを使ったことがありませんので、 適合と品質については責任を負いません。 |
・フロートピン VM20/315 |
・ニードルバルブ セット/786-35003 |
・ニードルバルブ セット/786-35003 |
|||
Mikuni・45.ピン TMRキャブレター |
Mikuni ニードルバルブ TDMRキャブレター |
YOSHIMURA ニードルバルブ TDMRキャブレター |
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これで「もの」になるようなら
「65 か 85」にステップアップ。
どこからも漏れなし。 一番初めにあった四番からのオーバーフローも、次に起こった二番からのオーバーフローもなし。 「小旋回の練習でバイクを左右に傾けたときに何かの拍子で少しオーバーフロー」ということは起こらないようです。 いったい、「あの、尿漏れのような四番からのオーバーフロー」の原因は何だったのでしょう? 先に述べたように「フロートピンの曲がり」も考えられますが、 案外、小さなゴミが詰まっていたのかも知れません。 |
元気なオーバーフロー、突然のオーバーフローは「フロートバルブにゴミが詰まったから」
対処方法は「ニードルの洗浄」。
・① フロート室のドレンボルトを開け、ガソリンを抜いてニードルを下げる。
・② ドレンボルトを開けたまま、 ポンプONでガソリンを流す。(ニードルについているゴミを洗い流す)
※ドレンボルトを締めてはいけない。ドレンを締めてガソリンを流すと、ニードルが上がってバルブの中に入ってしまい、ニードルについているゴミが洗い流せない。
・③ ドレンボルトを閉めて、ポンプON→エンジンをかける。
・④ まだ、漏れるようなら、もう一度 ①~③ 。
・⑤ それでもだめなら、少し走らせる。
※「ガソリンが流れてゴミが取れるかもしれない」と期待
・⑥ まだだめなら、キャブレター開腹。
つづく。
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