FJ1200-4CC 整備資料
2018.05.09.FJ1200・フルパワーインシュレーターのひび割れ補修 と FJ1200-3SK
100 PS 規制の国内版・4CC を 130 PS ・フルパワー にするためには、
インシュレーター,エアクリーナー吸い込み口,イグナイター,キャブレターのジェット類,マフラーを海外用のものに交換しなければなりません。
この中でインシュレーター ( パーツリストの名称はキャブレタージョイント ) は
XJR 1200 ・ 1300 のフルパワー化にも利用できるので、中古価格は高くなっています。
普通の程度で6000円、亀裂なしの程度のよいもので7000円~8000円。
ここでは、安価で入手した亀裂のあるインシュレーターを修復して使えるものにします。
修復したインシュレーターの温度と耐熱性についても検証します。
FJ1200-3SKとFJ1200の形式についても説明します。
・599円で落札したフルパワーインシュレーターのひび割れ
★セメダインスーパーXを使った亀裂修復
★スーパーXで修復した部分の耐熱性
★1296円で落札したフルパワーインシュレーターのジョイントバンド部分の亀裂と修復
・3CVと3SKのフルパワーイグナイターを入手
★FJの形式 / FJ1200-3SK
1.新たに入手したインシュレーター ①
a.安かったけれど、このひび割れ
・落札価格 599円 ( 税込 ) + 送料 950円=1549円。
・XJR1200-4KG( 4KG-007×××・平成6年11月登録 ) から外したとのこと。
・もちろん、FJのインシュレーターです。XJRのフルパワーかのためにFJのものを流用しているのです。
解体業者さんは 「 なんでもかんでも宅配便 」 を使いますので送料がかさみます。
しかし、このひび割れは強烈。
ただし、FJのインシュレーターは二重になっています。
・内側コアは混合気の通る部分で硬いパイプとなっています。 外側コアは軟らかい材質でできています。 ・ひび割れは外側にできるので、内側にひび割れは達しません。 だから、外側にひび割れがあっても インシュレーターから二次空気を吸い込むことはありません。 |
・キャブレターが入る部分から奥が内側コアです。 ・キャブレターが入る部分は外側コアと同じ軟らかい素材です。 しかし、中にキャブレター筒が入り、上からバンドで締めつけるので、 この部分に少々のひびや割れがあっても問題は生じません。 |
使うのは、 ・① セメダインスーパーX ・② ラッカーうすめ液 ( ラッカーシンナー ) ・③ シンナー用平筆 方法は、 ・1.スーパーXをシンナーで薄めて液体状にし、筆で亀裂の中に塗り込む。 ・2.二日くらいおいて完全に乾かし、少し濃度を高くして塗り込む。 ・3.さらに二日くらいおいて完全に乾かし、濃度を高くして塗り込む。 ・4.また、二日くらいおいて、濃度をもっと高くしたものを塗る。 ・セメダインスーパーXを「シンナーで薄めて亀裂の奥深くまで入れる」ことがポイント。 シューズドクターやエポキシ接着剤を上から塗っても、 亀裂に入っていかないので亀裂を塞ぐことはできません。 ・セメダインスーパーX は「固まっても軟らかい」ので振動を吸収します。 ・しかも耐熱温度は 「 -40 ℃ ~ 120 ℃ 」。→→→こちら あとで、エンジン各部の温度に触れますが、耐熱性が120℃あれば充分です。 |
イ.塗り一回目
まず、筆で表面とひび割れにシンナーをたっぷりと塗り付けます。
シンナーで表面が僅かに溶けるので、脱脂と足付けをすることができます。
次に、スーパーXをシンナーで溶き、液体状にして筆でひび割れに塗り込みます。
写真は、一回目を塗り、二日おいて同じ濃度で二回目を塗り、さらに二日おいて乾かしたものです。
インシュレーターに曲げるような力を加えても、ひび割れが拡がることはありません。
スーパーX が ひび割れの奥まで入っていったと考えられます。
塗り込むときはひび割れを拡げて、筆先でひびの奥まで浸透させるようにします。
エアーホットガンで熱くしてやった方が浸透性や接着性がよさそうです。
但し、同じ濃度で何回塗っても同じですから、1~2回塗りで次に入ります。
ロ.塗り二回目
今度はドロドロにして塗ります。
さらに二日乾かします。
この段階でひび割れは完全に埋まります。
ハ.仕上げ塗り
表面の凸凹をならすための塗りです。
コーティングを厚くしてひび割れの進行をより防ぐという意味もあります。
スーパーX・1㎝ に対しシンナー・1~2滴、この場合のシンナーは「スーパーXを筆で塗りやすくする」ためのものです。
塗ったあとの凸凹をならすには、上からシンナーだけを筆につけならします。。
写真は「二~三日乾かした」状態です。
表面が軟らかいのでサンドペーパーなどで研磨して凸凹をなくし見栄えを良くすることばできません。
「 仕上げの見栄えをよくすること 」 が今後の課題です。
ニ.ひび割れ部の変化
画像を拡大して、ひび割れ部の変化を見てみましょう。
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まずは、プレスとスクワット。
ホームジムならこれで孫の代まで。
・a( シリンダーヘッド ) → 130 ℃
・b( ヘッドカバー ) → 130 ℃
・c( シリンダー側のインシュレーター接合部 ) → 130 ℃
・d( インシュレーターがシリンダーにはまっている部分の外側 ) → 113 ℃
・e( インシュレーターがシリンダーにはまっていない部分の外側 ) → 104 ℃
・f( インシュレーターのキャブレター接合部 / キャブレターバンド ) → 38 ℃
結局、インシュレーターは 120 ℃ 以下です。
※dの内部はcと同じ温度なので 130 ℃ になるが、スーパーXでコーティングしたのは外側なので、スーパーXは 130 ℃ にさらされるわけではない。
高回転が続けば上の部分の温度はもっと上がるでしょう。
しかし、走行時はエンジンに冷却風が当たるので、冷却風が当たっていない上記状態からそれほど高くはならないと考えられる。
また、スーパーX を塗ったインシュレーターの外側をエアーホットガンで「スーパーXの耐熱温度 120 ℃」を越えた 140 ℃ まで熱しましたが、
ベタベタしたり軟らかくなったりする表面変化はありませんでした。
以上のことから、「スーパーX をインシュレーターの補修に使うことについて耐熱性は問題なし」といえます。
恐るべし、セメダインスーパーX。
d.出来上がり
Yahooオークションに 「 開始価格2000円 」 で出品したら いくらで落札されるでしょうか?
※ 2018.6.23 追記 : 3300円で落札されました。
これがフルパワーの 大口径 インシュレーターです。標準インシュレーターは 「 鼻づまりインシュレーター 」。
★★21
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国産ではないけれど「いい味」。
※トライクの法的取り扱い
左から三番目のインシュレーターのキャブレター取り付け部に ひび割れ があります。
あとは、ひび割れなくきれいなインシュレーターです。
こちらがそのひび割れ。
・キャブレター取り付け部のひび割れです。 | ・ひび割れ部分に凹みがあります。 ・キャブレター取り付け部がインシュレーターに完全にはまらいまま バンドを締めつけたのでひび割れができたのでしょう。 |
・深い亀裂です。 ・円周部にも亀裂・はがれ があります。 |
・内側にキャブレターの差込み口、外側からキャブレターバンドで留めるので、 このままでも問題はありませんが、やはり修復。 |
b.亀裂修復
イ.塗り一回目
・亀裂部分にシンナーを塗布して脱脂と足付け。 ・亀裂が大きいので、スーパーX を やや濃いめにして、筆で塗り込む。 ・ホットエアガンで 亀裂部分を熱し小型バイスで軽く圧着。 ※ホットエアガンで亀裂部分を熱したのは、 「 インシュレーターのゴムとスーパーXがよりくっつくか 」と思ったからと、 「 液状になったスーパーXが亀裂により深く侵入する 」 と期待したから。 インシュレーターのゴムもスーパーXも140℃くらいには耐えられるので、 これが効果的かどうかははなはだ疑問です。 |
ロ.塗り二回目
これが上の状態から乾かしたもの。
・亀裂を拡げようとしても拡がりません。亀裂は塞がっています。 | ・この状態でも使用可能ですが、肉盛りして補強します。 |
・スーパーXをシンナーで薄めずにそのまま盛りつけました。 ・盛りつけが多すぎると、必要ない部分にまで流れて仕上がりが汚くなります。 これは盛りすぎ。この半分程度が適切。。 |
・スーパーXが接着しないポリエチレンテープ ( 紐にするテープ ) を巻いて キャブレターに差し込み、ジョイントバンドで締め付けて整形。 ・盛ったスーパーXがバンド部分からはみ出してくるので、 それをテープの上から薄く延ばします。やはり盛りすぎ。 |
これが乾燥後。
・「 ポリエチレンテープで押しつけたので、きれいな仕上がりになる 」 と期待したのですが期待外れ。 ・盛りすぎたこともあるが、やはり 「 仕上がり 」 が解決すべき点。 |
・「ジョイントバンドの凸部分にはまる凸」の両側に凸ができてしまいました。 これはバンド締め付けネジの下にある凸バンドの両側によってできたもの。 ・キャブレターが入る入口の外面にもスーパーXが流れてきています。 |
どちらも使用上の障害になりませんが、見栄えをよくしたいので不要な部分をカッターで切り取り。
・凸の両側の凸は切り取り。 ・入口外面に流れてきたものを切り取り。 |
・スーパーXは弾力があるので、 切り取ったり削り取ったりするのが難しく、仕上がりはきれいになりません。 ・自分で使うものだからほどほどに。 |
・左がいつもの Miyabiee さんから入手。 落札価格 1188円 ( 税込 ) の 3SK用。 同時落札の インシュレーター と同梱だから、送料はゼロ。 ・右は 落札価格 2809円 ( 税込 ) + 送料 980円 = 3789円 の 3CV用。 こちらが一個目で確実落札のため落札価格が高くなっています。 |
・「3SK用」も「3CV用」もまったく同じです。 |
b. 「 3SK 」 って 何?
FJ のモデルは 「1100」,「1TX」,「3CV」,「3XW」,「4CC / 国内版」で、「3SK」など聞いたことがありません。
イグナイターは 3CV,3XW 共通ですが 3SK のイグナイターはこれらとは異なるのでしょうか?
・こちらが現在付けてある3CV イグナイターと同じもの。 | ・こちらが 3SK イグナイターのラベル。 |
FJ の型式について詳しい記述がありました。→→→ こちら
これによると、「3SK」 は 「 3CV のアメリカモデル 」 ということになります。
だから、イグナイターも 3CV,3XW と同じで共通です。
予備のフルパワーイグナイターは二個も要らないので Yahoo に出品しようと思いましたが、
出品するには搭載してチェックしなければならないし、
人気がないので出品しても売れ残るだろから 「 FJ がレアバイクとなって希少性が高まるまで寝かせる 」 ことにしました。
それにしても、FJ の人気のなさには驚かせられます。
程度普通なら6~8万円程度、マフラーやブレーキに人気ブランドが使ってあっても15~18万円程度。
「 いいバイクなのに… 」 と思うのは全国で何人?
つづく