FJ1200-4CC  整備資料



 2011.03.23 FJカウル修復・取付完了





このFJのカウルは取り付け部のあちらこちらが欠けていました。
「素人修繕」でなんとか修復しました。
当時は、サービスマニュアルを持っていなかったので、手順無視でカウルの取り外し取り付けをしました。
「8年前はこんなだったんだなぁ…」と懐かしく読み返しました。
あまり、役に立つことは書いてありません。完全なカウル取り外し・取り付け手順はこちら → FJカウル取り外し手順(印刷用)(2019.10.28)




暖かくなってきたし、「どこかへツーリングでも行こうかな?」
その前にFJのカウルを修復して取り付けなければ!
取り外す時に手順を無視して強引に取り外したから、あちらこちらが折れてしまった。

ネットで調べたら「プラリペアー」というFRP修復剤があった。
これが、メチャクチャ高い。
ホームセンターで別の修復剤を手に入れる。

  ①手積み用ポリエステル樹脂
  ②タルク
  ③硬化剤
  ④ファイバー布

  ①+③+④で割れの補強。
  ①+②+③でパテ盛り。

  しかし、ネジ受け部は強度がかかるので、
  接着しても簡単に折れてしまう。

  結局、エポキシ接着剤の上から④のファイバー布を載せた。

  ⑤がエポキシ接着剤。

  ★教訓★
  FRP修復剤は小さい部品に使えない。

修復した部分は次の通り。
その前にでき上がったカウルを見てください。

  記号は「カウル取り外し手順」のものです。

  ※6-cはメーターカバー取り付け穴。
  ※2-aはスクリーン取り付け部。
  ※10-aはカウルをフロントフレームに取り付ける穴。

カウルを裏から見てみましょう。

  ※6-bはメーターカバーの足部を取り付ける雌ネジ部。
    左側が折れたので、薄い鉄板を加工してネジ留めしてあります。
    念のためにFRP修復剤で補強。

  ※7-aはカウルをフレームに取り付けるネジ穴。
    左右各二カ所。
    これと上の写真の10-aでフレームに取り付けます。
    結局、カウルとフレームのネジ留めは左右各三カ所となります。

  ※10-bはカウルにヘッドライトを取り付けるメスネジです。

修復は三カ所。
まず、上で説明した6-b左側。
次に、メーターカバー。

  メーターカバーは左右各三カ所で留められています。

  カウル前側からビス留め。
  ※「カウル表画像」の2-a

  6-aはアッパー部とビス留めします。
  ※「アッパー部」はこれから出てきます。お楽しみに。

  6-bは「カウル裏画像」に出てきました。

・6-aの修復
  小さい鉄片を台座にして、雌ネジ部分を取り付け。FRPで補強。

・6-bの修復
  市販の薄い鉄板を加工して、タップネジでメーターカバーに直付け。
  右の画素はカウルに取り付けたところです。
  長さは大体合っていれば良し。
  薄い鉄板を曲げて長さを調節。

最後の修復は一苦労ありました。

  4はカウルにエアダクトカバーを取り付ける台座(雌ネジ)部分。

  ※この部分が割れていたので、台座(雌ネジ)を直接FRPで厚盛り。
  厚く盛りすぎて、ドリルで穴を開け直しました。

  7-aは何だったでしょう?

  そうです!
  カウルをフレームに取り付ける穴でした。
  左右三カ所の内の一つです。

今度は、カウルをフレームに取り付ける部分の修復です。

  またまた、出てきました。
  カウルをフレームに取り付ける左右三カ所の内の一つです。

  4は何だか分かりますか?

  そうです!
  カウルにエアダクトカバーを取り付ける台座です。

  ちなみに、エアダクトカバーは左右各三カ所でビス留めします。
  既に左右各二カ所出てきました。
  あと、一カ所はもう出てきません。
  FJを手に入れて探してください。

・7-a・左後の修復
  1㎜厚のアルミ板を切り取って内側から貼り付けました。
  タップネジで四カ所留め、アルミ板とカウルの隙間にFRPを詰めましだ。
  タップネジは外してもよいけれど、
  FRPの強度を信じていないのでそのままにしました。

・丸印に穴を開けて台座を埋め込みます。
  これは大変な作業になりました。

この作業に活躍したのがフレキシブルドリルシャフトです。

  フレキシブルシャフト。
  これをドリルに取り付けて細かい作業をするのです。

  模型用のルーター(小型ドリル)ではトルクがないので作業が進みません。
  フレキシブルシャフト2980円。
  切削先端工具480円。

  ドリル本体を固定する器具も必要になります。
  アルミ製の弱そうな固定具980円。

  まず、ドリルで小さい穴を開けて、
  それをフレキシブルシャフトに取り付けた切削先端工具で穴を拡げていきます。
  少々穴が歪んでいても、ゴム台座を取り付けますから気にしない。
   
さてカウルの取付です。
その前に、カウルアッパー部を取り外さなければなりません。
カウルアッパー部を外さないと、メーターカバーの6-bのビス留めができません。

カウルアッパー部とはこの部分です。

  右側は簡単に外れます。
  タンク右側「YAMAHA」の最後の「A」の先にあるビスと
  もう一カ所のビスを外せばOKです。

  もう一カ所が分かりますか?
  「…。」
  もう一カ所はメーターカバーの6-aです。

  左側を外す方法を知らないと立ち往生します。
  左側アッパー部は三カ所でビス留めされています。
  一つはメーターカバーの6-a。
  もう一つはカウル内側にあります。
  写真を撮るのを忘れました。
  FJを手に入れて探してください。

  三つ目はチョークカバーの下にあります。
  これはバーツリストの図を見れば気がつきます。

オードバイの部品を取り外したり組み付けたりする時には各部品の組み立て図が必要です。
「どこに何がどの順番で組み付けられるのか」が分かっていれば楽です。
部品をなくしたり、部品が壊れたときはパーツリストで部品番号を調べて注文します。

  なお、バーツリストには取り外し・組み付け手順が書かれていません。

  これが書いてあるのはサービスマニュアルです。
  サービスマニュアルには締め付けトルクやセッティング数値も書いてあります。

  しかし、サービスマニュアルは高い!
  5千円程度です。

  モトクローサーなどのレーサーは、
  自分でエンジンをバラしたりクラッチ板交換をしなければならないので、
  サービスマニュアルは必要です。

  しかし、外装パーツを外したり取り付けたりするくらいでは必要ありません。
  本当はあった方がよいけれど5千円がもったいない。


話を左側アッパー部の取り外しに戻しましょう。

5-dがチョークカバーの下にある三カ所目のネジです。


  しかし、これを外してもチョークノブが引っかかってアッパー部が外れない。

  なんと、チョークノブとチョークシャフトが
  小さいネジで留められているのです。
  これが5-b。

  ※M2.6×首下6㎜(頭から7.5㎜)の♂ネジ
  ※M2.5×首下6㎜の♂ネジでもOKです。
  ※M2.6は旧規格、M2.5は新規格。ともにピッチは0.45㎜。
    M2.6の♂ネジが入るのでネジ穴は2.6㎜でしょう。
    M2.6もM2.5もホーセンターで入手できます。

  パーツリストにはここまで書いてありませんでした。
  やっぱり、5千円のサービスマニュアルか…。

いま、カウル取り付けのどの部分かわかりますか?
話があちらこちらに行くので、本筋を確認しなければなりません。
「目先の売上に捕らわれてハイエナ営業に奔走する警備会社」と同じになってはFJに面目が立ちません。

カウル取付手順はメーターカバーを取り付けるところで止まっています。
「メーターカバーを取り付けるためにはカウルアッパー部を外さなければならない」で止まっているのです。
アッパー部を外さなければ6-bが取り付けられないのです。

やっと、メーターカバーを取り付けましたネ。

『質問です!』
ハイどうぞ。
『あの…、メーターをまだ取り付けていませんが…。』

やっと気づきましたネ。
メーターを取り付けないで、カバーだけ取り付けてもネェ。

実は、メーター取り付け写真を撮るのを忘れたので、ついつい書き忘れてしまいました。


メーターの取り付け(写真無し)

メーターはフレームに二カ所でボルト留めされています。
しかし、カウルが邪魔して工具を入れる隙間がない。
Tレンチを入れてもボルト頭に真っ直ぐ入らない。
もう少し隙間をあけて設計してくれればいいのに…。
それとも、フレキシブルドライバーのような専用道具があるのかな?

ネットで調べると、恐ろしいことに「フレーム本体から、カウル取り付けフレームを外さなければならない」とか。
以前のハイエースでは、ヘッドライトのバルブ(電球)を交換するのに、フロントグリルとフロントバンパーを外さなければならなかったけれど。
世界のトヨタさんがそうだから、YAMAHAさんもそうなのかなぁ…。

しかし、私は大雑把な性格です。
カウルを無理やり拡げてTレンチを差し込む隙間を作る。
そして、Tレンチをボルト頭に斜めに差し込んでボルトを締める。
ボルト頭の角は丸くなったけれど、とにかくメーター取り付け完了。

なお、メーターのボルト締めをする前に、メーターケーブルと配線カプラーを取り付けておきましょう。
これを忘れると、またメーターを外して取り付けなければならない。
「無理やりカウルを拡げたり、ボルト頭を丸くする」のは一回だけにしておきましょう。、

結構苦労したのだから、写真を撮っておけばよかったなぁ…。

さあ、あとはカウルを取り付けるだけ。

復習しましょう。
カウル取り付け個所はいくつありましたか?
『ハイッ!』
どこかの警備員と違って元気がいいですネ。

『カウル取り付けは左右各三カ所です。
フレームに取り付けるのが左右各二カ所、これは7-aです。
もう一カ所は10-bです。
10-bはヘッドライト取り付け部分です!』

凄いですね!
その通りです。
では、その部分を見てみましょう。

  画像が暗くて見にくいでしょうが、注視してください。

  10-bがヘッドライト取り付けボルトです。

  もう少しズームアップ!

  これはヘッドライト取り付けボルトを前から見たものです。

  このボルトがねじ込む相手(雌ネジ)は、
  カウル内側に取り付けてある台座です。

  その通り!
  10-bです!


なにも説明する必要はないですネ。

カウルは取り付け完了。

なお、今回は右ミラーに欠損がありましたのでFRP修復剤で修復しました。
ヘッドライト配線カプラーに欠損がありましたが、自己融着テープを巻くだけにしました。

  結構、FRP修復剤を使ってます。

  ヘッドライトの配線カプラーだけの部品はないので
  (YAMAHAさん単品でありますか?)、
  これを交換しようとすると配線ハーネス全体を交換しなければなりません。

  メチャクチャ高くつくので今回はテープを巻くだけ。

最後に便利道具を一つ紹介

  左から順に

・アルミ板

・タップ
  ※ビス留め台座(雌ネジ)をビスやボルトが舐めて噛まない時があります。
    このような時にネジ山を建て直す用具です。
    よく使われる径のタップを3~4種類用意しておくと助かります。
    今回も活躍しました。

・ヘッドライトのバルブ(電球)
  ついでに交換しておきました。
  「オートバイ用耐震仕樣」とか。
  マイカーでおなじみのH4です。
  980円。

・接着テープ付きゴム剤。
  カウルとヘッドライトの間の緩衝材です。

・自己融着テープ
  テープとテープがくっつきます。
  配線接続部にはこれ!

ここで、カウル取り外し手順(上に述べた取付手順の逆)をまとめておきます。


FJ1200カウル取り外し要領

※マニュアル通りのカウル取り外し手順をアップしました。→→こちら

1.ミラー取り外し

2.スクリーン取り外し
プラスティクネジ×6

3.カウル鹿角部の内側板取り外し
ボルト留め×2左右

4.カウルエァダクト部分左右取り外し
ビス留め×3
差し込み雄引っかかる。無理に引っ張ると割れる。

5.カウルアッパー部左右取り外し
(左側)→4カ所
a.カウル一カ所ビス留め((エァダクト部分を取り外すと見える)
b.チョークノブ取り外し→ノブに小さいネジあり。チョークシャフトにネジ留めされている。
c.チョーク部分蓋取り外し、二カ所で引っかかっているだけ。
d.蓋を外すと見えるビスを外す。(一カ所のみ)
e.メーターカバービス留め一カ所取り外し(先端)

(右側)
f.メーターカバービス留め一カ所取り外し

6.メーターカバー取り外し→左右各3カ所
a.アッパー(コンソール部)ビス留めは5-eで取り外されている。
b.メーターカバー足部ビス留め取り外し(左右各一カ所)
c.メーターカバーフロント部取り付けビス(カウル正面より)取り外し(左右一カ所)
※メーターカバーはハンドルを動かして取り外し空間を作って取り外す。

7.カウル取り外し前半
a.フレーム取り付けネジ左右各二カ所取り外し

8.メーター取り外し
a.フレームに左右各一カ所ボルト留め(カラーあり)取り外し。
※本来の手順はカウルステー(カウルフレーム)を取り外すのだろうが、少々無理をすれば取り外さなくても良い。
※カウルを開きながら、カウルフロント側よりボックスレンチ(10㎜)を無理やり差し込んで取り外す。
※フレキシブルシャフトがあれば楽だろう。
※メーター取り付け部はゴムマウントされているので少しなら動く。
b.配線コネクタ取り外し。
c.メーターケーブル取り外し。

9.ウインカーコネクタ取り外し

10..カウル取り外し後半
a.フロントフレーム取り付けボルト二カ所取り外し。
カウルフロント部分より取り外す。カラーあり。
b.ヘッドライト取り付けボルト二カ所取り外し。
※ヘッドライトはフロントフレームに取り付けられているが雌ねじ部分がカウルにある。
※ヘッドライト部分のボルト取り外しを知らないと、カウルは動いてくれない。
※カウルを取り外したあと、ヘッドライト外れを防止するために、ナットで仮止め。
※カウル取り付けの際にこの仮止めナットを外すのを忘れ、仮止めナットを付けたままカウルを取り付けようとすると当然カウルははまらない。

★ヘッドライトバルブ交換は、2・4・5・6・7・8-a(メーター取り外し)までの手順が必要。

・要はメーター取り付けボルトを外して、メーターをずらせばよい。
  メーター取り付けボルトを外すためには、メーターカバーを外さなければならない。
  メーターカバーを外すためには、両側のアッパーカバーを外さなければならない。(メーターカバー脚部のネジが隠れている)
  アッパーカバーを外すためには、エァダクトを外さなければならない。(アッパーカバーの取付ネジが隠れている)。
・スクリーンを取り外す必要はないが、作業がし易くなる。
・メーターの取り付けボルトは外すのは簡単だがはめるのが一苦労。
・必要工具は「①+ドライバー中  ②+ドライバー極細  ③10㎜ソケットレンチ」
②はチョークノブ取付ネジ用。③はフレキシブルのものがよい。


2011.09.30  追記

最近FJのサービスマニュアルを手に入れたので、マニュアルのカウル取外し方法を追記します。

1~6までは同じです。

メーターカバーを取り外してからが異なります。

・メーターカバーを取り外して、ヘッドライト取り付けボルト( 10-b )を内側から外す。

・ウインカーコネクタを外す。( 上記9 )

・カウル取り付けネジを外す( 上記7 )

・ヘッドライトごとカウルを外す。

実際にやってみていないので作業効率がどれくらい上がるかわかりません。

参考にしてください。




やっとFJのカウル修復・取付が終了。
還暦ライダー走ります!




つづく。




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