SPnet開業偏
・警備業とは何か
警備業務とは「お金をもらって他人の安全を護る仕事」です。
「しっかりとやってもらうため」に警備業法でいろいろと規制されています。
ここでは、「警備業法の規制をうける警備業務」、「警備業務の種類」、「警備業法制定の理由と度重なる改正」について説明します。
・警備業務は警備業法によって規制される
・警備業とはなにか
・警備業務は四種類ある
・警備業法の制定理由と度重なる改正
1. 警備業とは何か
a.警備業者と警備員は警備業法によって規制されている。
たとえば、
・警備員の着る制服は警察官や海上保安官と一見して異なるものでなければなりません。
・その制服の上腕と胸の部分に60平方センチ以上のワッペンを付けなけばなりません。
・業務上携帯できる警棒は「90センチ・460グラム以下」、警戒杖は「130センチ・690グラム以下」で、さらに特別な業務でしか使えません。
・一定の要件を満たしていなければ警備員になれません。
・警備員が警備業務をするためには30時間の教育(新任教育)と6カ月ごとに8時間の教育(現任教育)が必要です。
・警備業務を行うためには(警備業者になるためには)公安委員会の認定を受けなければなりません。
定められた書類を作成管理し、年に一度の立入検査でチエックされます。
・警備業者は警備員指導教育責任者を営業所ごとに置かなければならないし、一定の業務・場所では検定資格者を配置しなければなりません。
最近、中規模のスーパーマーケットでは警備員を自社で雇って店内の巡回や保安を担当させています。
厳密にはこれらの人は“警備員”ではありません。
警備員でないのだから、警備業法の規制は受けません。
・18歳未満であろうと、麻薬・アルコール中毒であろうと、刑務所を出たばかりであろうと、暴力団員であろうと構いません。
・新任教育も現任教育も必要ありません。
・警察官と同じ制服を着させても、90センチを超える警棒を持たせても、長い棒を持たせても構いません。(※警備業法以外の法律にはんすることは別)
・そのスーパーマーケットも公安委員会の認定を受ける必要もないし、指導教育責任者もいらないし、定められた書類を作成・管理する必要もありません。
b.警備業とは
警備業とは「他人の需要に応じて、人の生命・身体・財産に対する侵害の発生を警戒し防止することを業務を営業として行う」ことです。
※「…警備業務とは…他人の需要に応じて行うものをいう。」警備業法2条
※「…警備業とは、警備業務を行う営業をいう。」警備業法2条2項
※「…警備業者とは…警備業を営む者をいう。」警備業法2条3項
※「…警備員とは、警備業者の使用人その他の従業者で警備業務に従事るものをいう。」警備業法2条4項
・スーパーマーケットが「自分の店を守るために」自社で雇った従業員に店の警備をさせるのは「他人の需要に応じて」でないから警備業務ではありません。
・また、「他人の需要に応じて行う」ものであっても、それが営業(金儲け)でないのなら警備業にあたりません。
ボランティアで祭りの警備をすることや児童の通学の安全を守ることは警備業ではありません。
・なお、警備員とは「警備業者に雇われている者で警備業務に従事する者」ですから、現場に出ない事務員サンは警備員ではありません。
現場に出ない従業員には教育の必要はありません。
事務員さんが金属製の盾と2メートルの棒を背負って事務仕事をしていても構いません。
要するに「他人に頼まれて金儲けのために他人を守ること」が警備なのです。
「他人のためにする」から「金儲けのためにするから」いい加減なことをしないように法律で規制されているのです。
c.警備業務は4種類ある
これも警備業法で定められています。(警備業法2条・1号~4号)
・①.施設内の盗難や事故を警戒・防止する業務(施設警備・1号業務)
・②.人・車両の混雑する場所・通行に危険のある場所で事故を警戒・防止する業務(雑踏交通警備・2号業務)
・③.現金・貴金属・美術品などの運搬中の盗難・事故を警戒・防止する業務(運搬警備・3号業務)
・④.人に対する危害の発生をその身辺で警戒・防止する業務(身辺警備・4号業務)
簡単に言えば、施設の中を守るのが施設警備、人と車の交通を守るのが交通・雑踏警備、
貴重品を運ぶのを守るのが運搬警備、ボディガードが身辺警備です。
社会情勢の変化でさまざまな警備業態が生まれます。
それが1号~4号のどれにあたるかは公安委員会の判断によります。
・工場・事務所・家にセンサーを付けて、それが発報したときに警備員を向かわせて対処するのは施設警備、
・子供や老人に現在位置を知らせる端末を持たせてその所在を確認するのは身辺警備とされています。
・一人暮らしの老人の安否を確認するために訪問するのは身辺警備にあたるでしょう。
・ベビーシッターは身辺警備に該るはずですが、現在問題とされていません。プール監視と同様「なにか重大事件がおきれば」身辺警備業務となるでしょう。
・プール監視は誰が考えても施設警備業務ですがながらく「警備業務ではないと黙認」されてきました。
しかし、あるプールで事故が起こり、そのときの監視態勢が不充分で監視業者が警備業者でなかったため問題とされて「施設警備業務に該る」とされました。
※「 プール監視は警備業務にあたる-2012.06.25 警察庁通達 」
「それが警備業にあたるかどうか」は、「その仕事をするのに警備業法の適用・規制を受けるかとどうか」に関係します。
「それがどの警備種別にあたるかどうか」は、「その仕事に従事する警備員にどんな種別の教育をしなければならないか」に関係します。
また、これらは「どの種別の指導教育責任者を置かなければならないか」、「どの種別の業務届けをしなければならないか」にも関係してきます。
警備業を開業する場合、「自分のやろうとする警備業務が1~4号のどれにあたるか」を公安委員会に確かめておくことが必要になります。
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