警備業開業編
警備業とは「お金をもらって他人の生命・財産・安全を護る仕事」です。
「お金をもらう」ので「他人の」安全を護る」ので、「しっかりとした者に、しっかりとやってもらわなければ」なりません。
そのために「警備業法」によりコントロールされています。
ここでは、開業までの手続である「開業するための認可申請」と「装備品の制限・届け出」について説明します。
開業してからのことについては「選任業務偏」で説明します。
現在のところ警備業を開業することは簡単で費用はかかりません。
認定申請両は2万3千円です。
自身が指導教育責任者資格を持っていて、制服や装備品不要で自宅を事務所 ( 主たる営業所 ) にすれば、10万円で充分です。
ただし、開業することは簡単ですが、そのあと仕事を取るのは簡単ではありません。
警備業者は警備員ではありません。
いかに警備員としての名声と信用があっても、それは警備業者としての名声と信用にはなりません。
警備業者は相撲部屋の親方であり力士ではないのです。
仕事を取るための方策として公共調達があります。
値段勝負ですから確実に取れます。
開業したあとは、とりあえず公共調達で息をつなぐことができます。
公共調達参加の方法、公共調達の実際、公共調達時期などについて書いておきます。
- 目次 -
-警備業開業まで-
「普通の人」なら警備業を簡単に開業できます。
警備業とは何か、警備業者になれない人、申請書の書き方、申請のやり方について説明しています。
1.警備業とは何か
警備業務とは「お金をもらって他人の安全を護る仕事」です。
「しっかりとやってもらうため」に警備業法でいろいろと規制されています。
ここでは、「警備業法の規制をうける警備業務」、「警備業務の種類」、「警備業法制定の理由と度重なる改正」について説明します。
・警備業務は警備業法によって規制される
・警備業とはなにか
・警備業務は四種類ある
・警備業法の制定理由と度重なる改正
備業は警備業法によって規制されています。
この法律では「警備業のできない人・警備員になれない人」が定められています。
ここでは警備業者と警備員の欠格事由(警備業法3条・14条1項)を説明します。
「3歳の幼児は警備業者になれる?なれない?」。検定試験に出そうですね。
でも、安心してください「普通の人ならすべてクリアーできます」。
「普通じゃない人」はよく読んでください。
なお、「警備員募集」で面接にいくと、
まず「今までに刑務所に入ったことがありますか?」とか「警察のやっかいになったことがありますか?」と質問されます。
これは「採用する警備員が警備員になれない人でないか」確認しているだけです。
そして、「そう質問するように」公安委員会から指示されているからです。
気分を害しないでください。
・警備業のできない人・11個の欠格事由(警備業法3条)
・警備員になれない人・8個の欠格事由((警備業法14条1項)
★「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」により「成年被後見人・被補佐人」は欠格事由で無くなりました。※こちら
3.警備業は認定制
憲法の職業選択の事由は公共の福祉から制限を受けます。
制限の程度は届出制,認可制,許可制とだんだん重くなっていきます。
現在、警備業は届出制から認可制に変わりました。
その点を説明します。
・基本的人権(職業選択の自由)の制限
・自由放任・届出制・認可制・許可制
警備業者は開業すると「警備業法を守っているかどうか」公安委員会の監督下に置かれます。
警備業法を守っていなければ「営業停止・認定取り消し」となります。
また、警備業法違反で罰金となれば「その後5年間の警備業界からの追放」となります。
警備業は警備業法制定の昭和47年以前の「野放し・やりたい放題」ではありません。
警備業法をしっかりと遵守する必要があります。
・公安委員会による監督(指示・営業停止・認定取り消し)
・警備業法違反で罰金を受けると警備業界から5年間追放
・両罰規定(警備業法59条)
警備業務は四種類、その警備業務の各々について、各営業所毎に指導教育責任者が必要です。
一人の者が他の業務の指導教育責任者を兼ねたり、他の営業所の指導教育責任者を兼ねたりすることもできますが制限があります。
自身が指導教育責任者資格をもっていれば問題ありませんが、持っていない場合は資格者を雇う必要があります。
その場合の注意点も書いておきます。
・どんな警備業務をやるか決める
・警備業務に応じた指導教育責任者の確保
・指導教育責任者を雇う場合の注意
★6.認定申請に必要な書類・認定申請書の書き方・認定申請の実際・認定と認定更新
さあ、認定申請をしましょう。
申請書類は全部で五枚。個人申請で営業所が一つなら書類はたったの二枚です。
用紙もダウンロードできますが、古くなっているかもしれないので最新のものを各都道府県の公安委員会のHPよりダウンロードしてください。
書き方はあくまで当地(三重県)のものです。申請時に「記載間違い・書き直し」を指示されてもご容赦ください。
5年毎の認定更新も提出書類は同じです。
書類提出から認定までの実際も書いておきました。
・認定申請に必要な書類と申請書の書き方
・認定申請の実際
・認定と認定更新
制服に付けるワッペン(標章)を作成しました。
公安委員会が要求するものは「片方の上腕部に一枚、胸部に一枚」、「警備業者の名前が入っていること」、「一枚の面積が60平方センチ以上」。
これらを満たせばデザインは自由です。
もちろん、制服と同様「警察官・海上保安官」のワッペンと似ているものはダメです。
当初、自分でいろいろと考えましたが、結局はワッペン屋さんにデザインしてもらいました。
製作費用も書いてあります。
・自分で試作-形と面積、字体、デザイン
・ワッペン屋さんにデザイン依頼・作製費用
・8.警備業者賠償責任保険の加入・会社印の作成・個人装備とその値段・身分証明章の作製
警備員が仕事で使える護身用具の最強のものは「原子力発電所や国会の警備」での「130㎝以下・690g以下の棒」
通常の警備業務では「90センチ以下で460グラム以下の棒」
これで「テロを防げ」というのですから「警備員は自分の身体を盾にしなければならない」のです。
現代の警備員の護身用具は「江戸時代の岡っ引きの十手」と同じなのです。
ここでは、一般人に対する警棒についての制限と警備員に対する警棒についての制限を説明します。
また、警備員の護身用具については事前の届出が必要です。
この届出の場合に「所轄警察署はどう対応すべきか」についての指針もあります。
お勧めの警棒についても書いておきます。
・この中で警備員が使える警棒はどれ?
★一般人に対する警棒についての制限・軽犯罪法
★一般人に対する警棒についての制限・条例
★警備員に対する警棒についての制限・警備業法(公安委員会規則)
★事前の届出(警備業法)
・警備員が規制に反する警棒を使った場合
・どんな警棒が良いのか
★10.護身用具届出書の作成
服装届と護身用具届はそれらを使用する前日までに届け出ればOKです。
服装届と護身用具届は基本は同じですが、服装届は制服・制帽・標章(ワッペン)など仕様書・写真が多くなります。
護身用具届の提出書類は三枚です。
まずは簡単な護身用具届出書を作成しましょう。
法律の根拠や警察庁の解釈・運用基準による指導などややこしい部分を読みたくない方は、
下記の小目次の★項目にそって記入すれば届出書が完成します。完成サンプルもあります。
今回届け出る護身用具は ASP-F26 エアウエイトです。※警備員の護身用具・警棒の制限
・護身用具・服装届の根拠条文とその内容(警備業法・警備業法施行規則)
-要するに何が必要か-
★届出用紙はこちらを使う(DWあり)
★どんな写真を添付するか
・制帽・キャップ・ヘルメット・防寒着・雨カッパ・発光ベストについて服装届は必要か?
・雨カッパの透明ポケットにワッペンを入れる。これは違反なのか?
・護身用具の写真について
-護身用具届の作製-
★護身用具届出書 ①~⑥の記入
・護身用具届出書「護身用具欄」の書き方についての警察庁の解釈・運用基準による指導
★護身用具届出書「護身用具欄」はこう書く。(別紙のDWあり)
★その他注意-別紙1と別紙2、届出書と変更届出書、コピーも一緒に提出
★11.服装届出書の作成
ここでは服装届について説明します。
とにかく服装届を作って提出したい方は下から二つ目の「簡単に服装届を作りたい方に」を参考にしてください。
また「服装届サンプル」を参考にしても簡単に作製できます。
指導教育責任者の方は初めからじっくりと読んでください。
「警察官とまったく同じデザインの制服とワッペン。しかし色が黒」これはOKか?
「警備会社の名前の入っていないワッペンはOKか」
「警察官の出動服はOKか?」
警備員教育で話せる「ネタ」がありますよ。
・警備員の服装に対する制限(警備業法16条)
★警備員の服装に対する制限についての警察庁の解釈・運用基準
・服装届についての適用条文
・何を届け出るのか
・ワッペンを付けない作業服やジャージを制服にした場合服装届は必要か?
・私服保安や私服の身辺警護の私服に服装届罰費用か?
・どんな事項をどんな用紙を使って届け出るのか
・何を添付するのか
★服装届サンプル
★簡単に服装届を作りたい方に
・届け出の実際
-公共調達への参加-
開業して誰でも考えるのが公共調達への参加。国,都道府県,市町村の警備業務調達。
「仕事が順調に入ってくるまで、これでなんとかしのいでいこう」と考えないこと。
新規開業者や零細事業者は「もうかる公共調達に参加できない仕組み」になっています。
「参加できるような公共調達」では絶対に利益が出ません。
それでも公共調達に参加しようとする方はどうぞ。
-開業まで-
-警備以外の資格・装備・雇用-
・12.公的入札資格の取得 .
公共調達(入札)に参加するためには入札資格を得なければなりません。
入札資格は個人事業者でも開業したばかりでも資金力がなくても取得できます。
規模が大きな調達にはそれなりの会社規模が必要なので参加できませんが小さなものなら参加できます。
ここでは、当方の取得した市町村,県,国(各省庁統一)の入札資格申請のやり方を説明します。
・国の入札・都道府県の入札・市町村の入札
-入札資格の取得・個人事業者でもOK-
・電子調達での電子証明の入手
・電子調達システムの利用登録(三重県)
・三重県市町村統一資格申請
・各省庁統一入札資格申請
公共調達に零細警備業者が儲けられるものはありません。
前回「とりあえず公共調達でしのげる」と書きました。
しかし、入札参加を検討する内に「これが間違いだ」ということが分かりました。
総合評価方式、指名競争入札、契約保証金、資格者配置、再委託禁止。
利益の上がる調達は大手警備会社に、残った調達では価格切り下げ競争。
全国の警備業者9千のうち隊員5名以下の零細警備業者約24%
この零細警備業者は連合しなければ生き残れないでしょう。
・開業したばかりの警備業者に利益の出る公共調達はない
・実績がない-総合評価方式・指名競争入札など
・資金力がない-契約保証金が必要・支払い条件が悪い・残ったものは価格切り下げ競争
・人材が足りない-資格者配置・再委託禁止
・23.8%の零細警備業者は連合しなければ生き残れない
・ハローワークの「警備員請負雇用」の意味
・14.公告されなかった三年契約・2.5億円の公共調達・「もうかる公共調達」に絡むために必要なもの
三年契約の「SOIAS (ソーラス)条約に基づく重要国際埠頭警備」の調達。
毎回公告されていたのだけれど、今回は公告がない。
そこで発注側の港湾管理組合を尋ねたら、「既に参加締め切り」。
今回は「公告なしで港湾組合が参加業者を指名した」とか。
これが「もうかる公共調達」の仕組み。「公平性・透明性」を求めても「金のある者にしか金は集まらない」。
弱小警備業者さんは怒りの声を上げましょう。
・公告されなかった重要国際埠頭警備調達
・国外サイトで見つけた重要国際埠頭警備調達の入札説明書
・なぜか「私のした質問」が「指名参加者からの質問と回答」に掲載されている
・公共調達と公告の必要性-法律の規定
・「もうかる公共調達」に絡むためには「それなりのもの」が必要
・15.平成24年度公共調達- 例年のDランクを今年から排除、新規参入者の締め出し?
国の調達で「独立したら必ず落札しよう」と予定していたものがあります。
一つは前の会社で私の営業所で落札して業務を行ったもの。もう一つは前の会社で参加を見送ったもの。
どちらも「D等級OK」で前の会社も「D等級」。
しかし、今年は二つとも「D等級排除」。
いろいろと理由をつけて新規参入者や弱小事業者を締め出していくようです。
総務省の行政監視と勧告では「新規参入者のことを考えなさい」としいているけれど、
『代官さま…、ヘッ、ヘッ、ヘッ…』、『越後屋…、フッ、フッ、フッ…』は「ここにも、あそこにも」。
・総務省の行政監視と勧告
・新規参入者の締め出し・例年のDランクを今年から排除
・なんとか1件を落札
・警備業者の色を決めることが必要
・16.公共調達まとめ(参加制限,入札保証金・契約保証金,調達時期,落札金額)・新規開業と零細警備業者に利益の出る公共調達はない
ここでは国,都道府県,市町村の公共調達について「参加制限・保証金・調達時期・落札金額」をまとめておきます。
ただし、度々書いているように「もうかるような公共調達」は古参事業者・大手事業者だけしか参加できない仕組みになっています。
国の「等級制」、都道府県の「総合評価式」、市町村の「不透明な指名による指名競争入札」など、
全て「新規開業者・零細事業者を排除するための仕組み」です。
「市内業者は全部指名」という市町村調達がありますが、
これは「全業者に均等に機会を与える」ためではなく「安売り競争をさせて落札価格を低くする」ためのものです。
新規開業者・零細事業者は「利益を出そうと」公共調達に参加してはいけません。
「自社の宣伝のため」・「地域の皆様へのご恩返しのため」に参加しなければなりません。
・国の調達
・都道府県の調達
・市町村の調達
・「指名競争入札」の指名基準が不透明な市町村調達
・「市内業者全て指名」の市町村調達。本当の目的は?
・新規参入・零細警備業者が公共調達に参加する意味
-警備以外の資格・装備・雇用・その他-
ブール監視業務の現場で必要な資格、おすすめの装備、雇用関係などについて
・17.警察庁通達「プール監視は警備業務」-40年放置しておいて今になってなぜ?(2012.07.21)
警察庁は40年間黙認していた「警備業者でない者の行うプール監視業務」を突然「警備業者でなければダメ」としました。
一件の「市立小学校でのプール死亡事故」で突き上げられたのでしょう。
通常のプール営業開始は7月1日。その5日前に突然の方向転換。
現場は大変なことになっていたと思われます。
なお,学校のプール監視をその学校の先生がする場合やPTA・地域ボランティアが行う場合は警備業法の規制は受けません。
この点についても説明します。
・平成24年6月25日の警察庁通達
・現場の混乱は必至
★ボランティアのプール監視、学校プールで教師が行うプール監視はどうなるのか
・18.日本赤十字社の水上安全法講習-赤十字水上安全法救助員資格 (2012.07.11)
・19.開業する前にしておかなければならないこと(2012.08.11)
・21.警備用LEDハンドライト比較-仕様・構造・分解・照射パターン・総評(2013.01.12)
今回は4本のLEDハンドライトの構造・分解と不具合点の対策、そして照射パターンを比較します。
造りのよさではマグライトがダントツ。これは分解して初めて実感できます。
集光調整機構は電源を動かすもの。なるほどと感心させられます。
しかし、照射円が二重になり照射円の中心を近くに合わせると中心に黒い部分が現れる。
マグライトは20m先を照らす場合にしかその良さを発揮できません。
動物公園のレンジャー、市街パトロールのボリスにはピッタリでしょう。
20m以内を照らすのなら、やはり集光に凸レンズを使ったタイプ。照射円がひとつで明るさは同じ。
夜間の施設外巡回警備や施設内巡回警備にピッタリです。
韓国製のTITANはこの凸レンズ集光式ですが、ヘッド部分に機構を集中させたのでバランスが悪く、しかも単1×3本仕様なので照射円が小さい。
屋内の巡回ならマグライトより使いやすいでしょう。
一番評価の良かったのは、なんと「出所の分からない」〇〇モドキ。凸レンズ集光式で照射円が大きく、ボディが単1×4タイプで長い。
これをSPnetの標準装備としました。
・比較するLEDハンドライト4本
-マグライト・LED・3D-
・マグライト・LED・3D-仕様
★マグライト・LED・3D-部品構成
★マグライト・LED・3D-分解手順
★マグライト・LED・3D-調整機構
-TITAN・ZS50-
・仕様
・構造・分解
-無名A LONG-
・仕様
★構造・分解
★不具合対策
-無名B・SHORT-
・仕様
・構造・分解・調整機構
・不具合対策
★照射パターン比較-10m・5m・4m
★明るさ持続時間 ・ 使いやすさ ・ 総評
・警備用LEDハンドライト比較・番外(2020.03.11)
SPnetでは施設巡回用ライトとして前回と前々回に紹介した「無名ロング」を使っています。 → 無名A LONG
マグライト4Dの長さで、凸レンズ集光で照射円が一つ、しかも照射円が大きくて明るい。
しかし、これはたまたま、Yahooオークションで6本入手しただけであとがありません。
今回はYahooショッピングで「なにやら物々しいLEDハンドライト」を見つけ、どんなものかと入手しました。
野球バット型のLEDライトと警棒型伸縮タイプのLEDライトです。ともにCREEチップを使っています。
二本とも現在使っている「無名ロング」の代わりになるようなものではありませんでしたが、なかなか面白いハンドライトです。
警備業者さんでなくてもお読みください。
・ストレートタイプ(バット型)の構造・集光・仕上げ・評価
・警棒型伸縮タイプの構造・集光・仕上げ・欠点・評価
・総評と入手先
★22.1ポストの宿直・日直業務の日当 -断続的労働とその賃金
市町村の公共調達で「1ポストの宿直・日直業務」といものがあります。
この業務は断続的労働といって、労働基準法の原則は適用されず。賃金にも特別な計算方法があり最低賃金を減額できます。
ただし、労働基準法の適用除外となるためには労働基準局の許可が必要であり、最低賃金を減額するにはさらに労働基準局の許可が必要です。
これらの許可がないと労働基準法違反となったり、通常の最低賃金で計算された賃金を要求されます。
ここでは、どのような業務が断続的労働に該るのか、その賃金はどのように計算するのかについて説明します。
なお、市町村の公共調達ではこの計算で出た賃金よりはるかに安い価格で落札されています。
落札した警備業者さんは警備員にいったいいくらの賃金を支払っているのでしょう。
このような状態を黙認して「最低落札価格」を決めない発注側の市町村は「行政みずからが劣悪な労働環境を生み出している」ことに気付いてほしいものです。
・1ポストの宿直日直業務とは
・労働基準法の原則-1日8時間・週48時間・週1日の休日
★1ボストの宿日直業務に休憩は存在しない
-労働基準法の原則が適用されない断続的労働-
・法律の定め
★断続的労働の要件(労働省通達)
・労働基準法の例外となるには個別に労働基準局の許可が必要
★断続的労働の分かりやすい賃金計算方法
・最低賃金減額にも許可が必要
・恐ろしいほど安い公共調達
★2020.04.22.公契約条例の労働賃金下限額での入札とその実効性
毎年参加している「市内業者すべて指名・最低落札価格なし」の「津市警備業務調達」で、
仕様書に「津市公契約条例に係る労働報酬下限額の施行について」という頁がありました。
この調達では「労働者に支払う賃金の下限が決められている」とのこと。
公契約条例という言葉は初めてなので調べてみました。
公契約条例は「公共調達での安売り競争を防ぎ、受注者に法令を遵守させて労働環境を改善する」というもの。
そのために、労働賃金下限額の設定,労働基本台帳の提出,誓約書の提出,労働者への周知,立ち入り調査,是正命令
労働者からの違反申告,違反申告をした労働者の不利益取り扱いの禁止,法令違反に対する関係機関への通報などを定めています。
この労働賃金下限額で当方が参加する公共調達の必要経費を算出しました。
もちろん、法令順守なので有給休暇・厚生年金・健康保険も含めます。
さてさて、実際の落札価格はどうなったのでしょう?
そもそも、公共調達での安売り競争は「最低落札価格を設定していない」ことに起因しています。
最低落札価格を設定しなければ、公契約条例は単なる「責任逃れ」となってしまいます。
「補償のない休業要請」と同じです。
「仕事と賃金を保証されている行政の皆様」には「生きていくためにはどんなことをしても働かなければならない者」の痛みが分からないのでしょうか?
いやいや、分かっているからこそ「最低落札価格なし」なのでしょう。
★津市公契約条例の内容
★短期大学警備必要経費試算
★最低落札価格を導入しない公契約条例は「責任逃れ」?.s
★2021.07.28.断続的労働の適用除外許可申請・最低賃金の減額許可申請の実際
ある官公庁の宿日直業務を受注し2名を配置することになったので
断続的労働の除外許可申請と最低賃金の減額許可申請をしました。
必要書類やその書き方、許可が下りるまでの実際について書いておきます。
1.基礎知識
2.申請書類の書き方,添付文書
★2021.08.03.始めて人を雇う場合の手続き1-労働保険(労災保険・雇用保険)
労働者を一人雇ったら、加入手続きをしなくても保険料を払わなくても労災保険に入ったことになります。
雇用保険が適用される労働者を雇っても同じです。
使用者に届出義務、使用者と労働者に保険料の支払い義務が残るだけです。
届出をせず保険料を支払わなかった使用者には保険料の徴収,追徴金,労災補償給付の負担のペナルティがあります。
雇用保険では届け出なかったこと自体に刑事罰が課せられます。
何をいつまでに届け出なければならないのか、届出書はどのように書くのかについて説明します。
1.労働保険の基礎知識
2. 届出書,提出先,添付書類,期限
3.届出書の書き方
★2022.01.18.始めて人を雇う場合の手続き2-税務関係の手続
最低限次の届が必要です。
① 給与支払事務所等の開設届出書 → 税務署
② 給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書と源泉徴収の支払 → 税務署
③ 給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書)と合計表 → 税務署
④ 給与支払報告書(個人別明細書)と給与支払報告書(総括表) → 市町村
②~④の提出期限は毎年1月31日です。
これを説明します。
1.給与支払事務所等の開設届出書
2.給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書と源泉徴収の支払
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請
・所得税徴収高計算書と支払い
・給与所得の源泉徴収票と合計表の提出
3.給与支払い報告書の総括表と個人別明細書
4.乙欄適用について
・源泉徴収と甲欄,乙欄,丙欄
・年末調整の対象者
5.マイナンバーカード読み取りの注意
★2022.01.30.津市公契約条例は責任逃れ。「最低落札価格なし」で違法労働環境
津市では「公契約における事業者間の競争激化、落札価格の下落により労働賃金や労働環境が悪くなることを防ぐ」ために
公契約条例が定められています。(平成30年4月1日施行)
そして、津市の発注する業務についてはこの公契約条例が適用されます。
しかし、この条例は「底の抜けたバケツ」。
津市は「受注者の法令違反」に対し全く消極的。
「法令違反をしない誓約書が取ってある」,「労働者は違反申告ができる」。
まさに、津市にとって「受注者の法令違反はアンタッチャブル」。
津市は業務委託の公共調達で「最低落札価格なし」の「安い者勝ち」。
市内業者を全員指名し、毎年「安売り合戦」をさせる。
そんな津市だから「受注者の法令違反はアンタッチャブル」。
法令違反をとやかく言えば、入札価格が高くなる。
だから、公契約条例を作って「責任逃れ」。
こう言われても仕方がありませんね。
この点を詳しく説明します。市会議員諸氏の奮闘を期待しましょう。
1.津市公契約条例の内容
・目的
・公契約の基本方針
・津市の責務
・受注者の責務
・津市の権限
2.審議会
・審議会の構成
・労働報酬下限額の試行
3.審議会での答弁から見える津市の本音
・市長挨拶「最低賃金より高い労働報酬下限額で点数を稼ぐ」
・津市は受注者の関係法令違反を積極的に調べない
・労働状況台帳の賃金が「実際に支払われたかどうか」は確認しない
・「受注者の労働関係法令違反」はアンタッチャブル
・審議会ここまでの内容
・業務委託の入札結果は公表されない
・「最低賃金減額許可」の労働者は労働報酬下限額試行から除外?
試行マニュアルの記述
基礎知識-断続的労働と最低賃金の減額許可
「なぜ労働報酬下限額試行の対象から外すのか」不明
・「落札率が低い → 労働者にしわ寄せ」は当然なのに…。
・その他
・「断続的労働の除外許可や最低賃金減額許可」を予定していない仕様書
・「最低落札価格なし」と「公契約条例の目的を実現すること」を両立させる提案
★2022.02.13.断続的労働の適用除外許可,最低賃金の減額の特例許可の効力発生時期
許可書には「〇〇年〇月〇日をもって…許可する」※〇〇年〇月〇日は申請日。
そして、厚生労働省のHPには許可書の効力発生時期について説明はなし。
許可申請のときも許可書交付のときも一切説明なし。
ここで使用者は「申請時に遡って許可された」と誤解。
しかし、許可の効力発生時期は許可書の交付のとき。許可書交付までの賃金は減額なし。
それだけではありません。使用者は最低賃金法違反で罰金50万円、労基法違反で6箇月以下の懲役又は罰金30万円。
「知らなかった,誤解していた」は通用しません。
さらに、断続的労働の適用除外許可では許可申請をした者すべてが労基法違反をしなければなりません。
厚生労働省の作った手続ではそのようになっているのです。
当然、そのような手続で申請者に労基法違反をさせている厚生労働省は労基法違反の間接正犯。
断続的労働の適用除外許可を出すたびに労働基準監督署長は労基法違反を犯すことになるのです。
早急に改善されたし!
1.基礎知識
2.最低賃金の減額の特例許可の効力発生時期とその問題点
★2022.07.16.津市公契約条例は責任逃れ② 違法労働を前提にした予定価格
津市発注の業務について「津市の強力な監督権限」と受注業者の「労働法令順守」を定める津市公契約条例。
目的は「「公契約における事業者間の競争激化、落札価格の下落により労働賃金や労働環境の悪化を防ぐ」こと。
しかし、津市は自らの監督権限を封印し、「受注業者の労働法令違反」にアンタッチャブル。
入札では「最低落札価格なし」で一年ごとに安売り競争をさせる。
業者は自分と従業員を守るためにしかたなく安値落札。
当然、労働現場は「違法労働状態」。最低賃金など関係なし。
それでも、労働者は生きるために我慢する。
津市は「またまた安くなったぞ!」とニンマリ。
しかし、2022年度の入札で、津市の予定価格(落札価格の上限)が「必要賃金+4~5万円」であることが判明。
なんと、予定価格が労働保険料,社会保険料,有給休暇分,警備員教育費用などを算入していない。
つまり、予定価格が違法労働状態を前提にした価格。
それでは「受注者の労働法令違反にアンタッチャブル」なはず。
さらに、予定価格を公表しなければならないときは「+20万円」で取り繕っていた。
こんな行政を問いただせない審議会と市議会。
しっかりせんかいッ!
1.これまでの経緯
2.津市契約調達課への要望と回答
3.仕様書についての質問と回答
4.予定価格では労働法令違反
5.同業者と警備員への提言
-警備索引-
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