FJ-4CC 整備資料




2016.09.07  スターターモーターの点検とバッテリー交換


※前回の続きです。6月下旬の暑い日の出来事です。
  7月・8月は多忙でバイクは車庫に入れっぱなし。
  9月になって、やっと時間が取れるようになったので、この頁を完成させるためにFJを触りました。


1.災難は突然やって来る


 「低速ターンをひと練習したから、軽く165号を走ってみよう」

 荷物を積んで出発。

 セルが『クッ』と引っかかって回らない。

 以前から「この引っかかり」が少し気になっていたけれど、
 何度がやっているとエンジンがかかるので問題視していませんでした。

 しかし、今回はかからない。
 『え~っ!たった今まで元気に走っていたじゃない?』
 と「クッ」,「クッ」を繰り返す。

 当然のことながら、そのうちに「クッ」とも言わなくなる。

 こんな巨体を押しかけするなどとても無理。

 そう言えば近くにガソリンスタンドがあった。

 覚悟を決めてスタンドまで押していくことに。

ガソリンスタンドまではたったの1500m。
バイクなら3分もかからない。

しかし、炎天下で260㎏を押すのは大変。
しかも、歩道にはゆるやかな段差がある。

50mで一休みが、20mで一休みになり、最後には5mで一休み。
やっとのことでスタンドへ。


スタンドの携帯バッテリースターターで簡単にエンジン始動。

『ありがとう。助かりました』、ヘルメットは? あっ!ホルダーに付けたままだ。

ホルダーを外すのにはイグニッションキーを抜かなければならない。いやな予感。

エンジンを止めてキーを抜き、ヘルメットを外す。

予感的中。エンジンがかからない。

今度は先程のバッテリースターターではかからない。

据え付けの大きな充電器で3~4回やってエンジンスタート。

スタンドの係員は『随分バッテリーが弱っていますね。』

いやいや、バッテリーだけが原因ではないみたい。


当然、「165号を軽く」は取りやめ。

信号待ちでエンジンストップの恐怖と戦い、やっと自宅まで戻る。


重量バイクについては低速ターンもさることながら、押し掛けの練習も必要なのです。


2.スターターモーターの点検


a.取り外し


 スターターモーターはジェネレーターの後に付いています。

 二本のボルトで留まっているだけですが、モーター自体がフレームに引っかかって手前に外れせません。

 キャブレターとエアクリーナーボックスを外して、モーターを上に外さなければなりません。


 キャブレターの取り付け取り外しが嫌なのは、
 エアフィルタージョイント(エアクリーナーとキャブレターをつないでいるゴムジョイント)を
 傷つけるから。
 取り付け、取り外しともこのジョイントを潰さなければなりません。
 この部品は一個3245円、四個で12980円!
キャブレターのケーブル類は外す必要はありません。

 モーターは簡単に外れます。



b.モーターの構成


 直流モーターですからマブチモーターの大きなものです。
 外側に永久磁石、内側にコイル、そしてブラシ。

 頭が7Mボルト二本を外せば簡単に分解できます。
 7Mのスパナが必要です。
 7Mスパナはメインジェット・ミクニ角大に使うものです。
ブラシ側のワッシャは、パーツリストでは5枚ですが、実際は4枚です。
 一枚が他の三枚より厚くなっています。
 ギヤ側のワッシャ三枚も一枚が厚くなっています。
 入れる順番は気にしないでよいでしょう。

 Oリングとガスケットは交換した方が良いでしょうが、
 キャブレターのような機密性を要する部品ではないので交換しなくてもOKでしょう。
 ガスケット(ケース両側の大きなゴムリング2個)は2171円もしますから。



c.点検


 ブラシの長さは新品で12.5㎜、使用限度が5㎜。

 マニュアルP7-13のイラストはブラシの巾を測定しているように見えます。
 しかし問題になるのはブラシの長さでしょう。

 測定値は11.3~11.7㎜で問題ありません。


 コンミュテーター外径(b) : 新品/28.0㎜Φ、使用限度/27.0㎜
 測定値 : 28.0㎜、問題なし。

 導通チェック
 ①-② : 導通あり(1Ωレンジで測定)→問題なし。
 ①-③ : 導通なし(1kΩレンジで測定)→問題なし。


 マイカアンダカット(コンミュテーターの溝) : 1.6㎜

 目視で1.6㎜あるかどうか疑問です。

 しかし、外径が新品と同じなのだから浅くなっていることはないでしょう。

 カーボンが詰まっていたので歯ブラシとパーツクリーナーできれいにしました。


 ジェネレーターは
 完全充電12.8V以上のバッテリーを使用し、
 バッテリー端子にテスター端子をつないで、エンジン2000rpmで14.2~14.8VでOK

 測定値は充電7時間/13.5Vのバッテリーで、14.0V/アイドリング・900rpm、15.0V/2000rpm。
 発電OK、ジェネレーターに問題なし。

 スターターリレーは青/白端子をバッテリーのマイナス端子に接続して
 イグニッションをOFFにした状態でモーターが回ればOK。
 これも問題なし。

結局、モーター,ジェネレーター,リレーに問題なし。

原因はやはりバッテリーの充電不足だったようです。

 ついでにストックのモーターもチェック。
 一目で「程度がよいなぁ~。」
 コンミュテータの溝がはっきり。
左がコンミュテーター部分をきれいにしたモーター。
 右がストックのモーター。
 ストックのモーターをこのまま(清掃しないで)使うことにしました。



d.取り付け


 四個のブラシをタイラップで留めるのがポイント

こうすればローターを簡単にはめられます。
 ワッシャはローターをはめてから入れます。
 ワッシャを予めローターにセットして、ローターをシリンダーにセットすると…。
 試してみてください。


 シリンダの刻印とブラシ側の刻印を合わせます。
 ここがボルト位置です。
ギヤ側カバーの刻印(突起)は端子の位置を示しています。

セルは簡単に回りました。

しかし、FJのスターター構造には問題があるとのこと。
特にスタータークラッチが問題を起こすとのこと。

走らせる前にはバッテリーを完全充電。

そして、押し掛け練習も必須項目。


e.最近、安くなりました。


スタータモーターの重要性を再認識し、中古部品を2点入手しました。

下の写真の②と③です。

 ①は今回取り外したスタータモーター( MITSUBA  SM13-12V )

 ②はFJ-3CVのスタータモーター( MITSUBA  SM13-12V )、432円(税込)

 ③はXJR1200・4KGのスタータモーター( MITSUBA  SM-229D  12V-0.6KW )、550円(税込)

 ③はギヤ歯数や寸法は同じ、XJRのものであることから流用できるでしょう。

 それにしても安くなりました。

 ストック部品は多いほどよいものです。
 安値落札できるときはドンドン入手しておきましょう。

 ※お勧めの入手先はいつものところです。→→→ こちら


ついでに、ジェネレーターも入手。

 ①はFJ-3CVのジェネレーター、1080円(税込)

 ②はFZR1000-2GHのジェネレーター、1188円(税込)

 型番は同じで「B3GA 100211-4940 NIPPONDENSO」
 2極カプラーもコードの長さも同じです。

 FJのジェネレーターにはXJR1200・1300のジェネレーターをカプラー変更して流用するのが一般。

 しかし、FZR1100のジェネレーターならそのまま流用できます。

 もっとも、XJRのジェネレーターの方が高性能のようですが。

 最近、FJ中古部品が安くなってきました。
 このジェネレーターも5000円~6000円していました。

 FJはよく売れたバイクなので、まだまだ中古部品が数多く出品されます。
 しかし、「FJ乗り」はそれほど多くはないでしょう。
 どの「FJ乗り」もすでに予備部品を充分にストックしているはずです。
 だから、最近では「供給過剰」となっているようです。



3.バッテリー交換


a.バッテリーも怪しい


7月・8月の多忙が終わり、9月3日、やっとFJを車庫から出しました。

セルモーターの交換後、初めての走行です。

バッテリーは一週間前に24時間充電。

始動は問題なし。
しかし、1時間くらい走ったあとエンジンを始動してみるとやはりひっかかる。

セル2回で始動したけれど、どうも心もとない。

「FJはエンジンが熱くなるとセルが回りにくくなる」と言われているけれど、バッテリーにも原因があるのではないのか?

不安要素は消していくに限ります。


b.古河のFTZ14-BS


FJの純正は「GSユアサのYTX14-BS、古河ならFTX14-BS。

海外物なら5000円くらいで入手できますが、セルが動かなくなったときの怖さを体験しているので、「安心の国内メーカー」を。

Webikeでユアサは1.5万円、古河は1.4万円。
※「台湾ユアサは日本のGSユアサとはまったく関係のないメーカー」ということを初めて知りました。→→→ こちら と こちら

いろいろ捜していると、古河のFTZ14-BSを見つけました。

VTX14-BSとFTX14-BSは出力電流が12A/10時間、FTZ14-BSは14A/10時間。
つまり、FTZ14-BSはVTX14-BS,FTX14-BSの容量アップ版なのです。→→→ こちら と こちら
定価は2.8万円、流通価格は1.2万円~1.6万円→→→ こちら


c.「電解液注入済み」か「電解液別」か


バッテリーの販売はほとんどが「電解液注入済み+補充電済み」。

しかし、バッテリーは電解液を入れたときから劣化が開始し、寿命が始まる。

「もし、電解液注入後の長期在庫を安く売っていたら?」
そう言えば、廃棄したはずのビーフカツが出回っていましたね。

やはり、「電解液注入済み」は安心できない。

自分の手で電解液注入をしたいので、「電解液別」を捜しました。

11500円+送料600円のFTZがありました。→→→ こちら


d.電解液注入作業は簡単


・内容物はバッテリー(端子ボルト付き),電解液,保証書,説明書。
・誇らしげに「 MADE IN JAPAN 」

左側が今まで使っていた安物バッテリー。交換時期や値段は忘れました。
 12A/10時間のYTX14-BS互換です。


 ①注入口のシールを剥がす。

注入口はただの穴ではなく、突起になっています。
 突起には二つの穴が開いています。
 多分、上の穴が空気抜き、下の穴が電解液注入孔でしょう。


 ②電解液容器のフタを取る。
 このフタは電解液を注入したあとにバッテリーの注入口突起にはめます。
 電解液容器出口はシールしてあります。このシールはバッテリー注入口の突起で破られます。
 このシールに穴を開けてはいけません。
③電解液容器を注入口の突起に差し込む。
 そのまま差し込むだけです。力は要りません。シールを破るだけですから。
 電解液容器に前後左右の方向はありません。
 差し込むと、勢いよく泡が出て、どんどん電解液が入っていきます。
 液が全部入らない筒は上から指で軽く「トン、トン」と叩けば入っていきます。


 ④電解液容器を外す。
 このくらいの気泡が残るのは仕方がありません。
 空になった電解液容器を外します。
 電解液を入れたときから「テン、テン」という反応音がします。
 ⑤バッテリー注入口の突起にフタをする。
説明書には「電解液注入後すぐに注入口にフタをする」と書いてあります。
 このバッテリーには排気口があるのですぐにフタをしても問題ないのでしょう。
 しかし、念のために「テン、テン」という反応音が止まってからフタをしました。


 ⑥補充電
 電解液注入後の電圧は12.76V。今まで使っていたバッテリーは12.87V。
 1時間充電したら、13.4Vになりました。
 「電解液注入済み+補充電済み」のバッテリーはこの状態で届くのでしょう。
 しかし、ここまでの作業は補充電も含めて1時間少々。
 電解液注入だけなら10分足らず。
 自分の手で寿命を開始させたい方は「電解液別」が良いでしょう。
ただし、メーカーは「電解液を注入してから販売するように」指示しています。
 「電解液注入済み販売」にはちゃんとした理由があったのです。
 電解液は硫酸です。(43%、0.72リットル)
 電解液の入っていた容器は不燃物としてゴミ分別しなければなりません。
 だから、「電解液注入済み」の方が便利だとも言えます。
 しかし、「長期在庫・安値販売」の疑いは晴れません。
 そんな方には「電解液別」をお勧めします。


もちろん、エンジン始動に問題なし。

ただし、これは以前のバッテリーでも同じ。

問題は「走行後のエンジン始動」、これは使ってみないと分かりません。

しかし、これで考えられる原因のうち「スターターモーターの不具合」と「バッテリーの不具合」は消えたことになります。



つづく。



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