FJ-4CC整備資料



 2016.10.04  燃料センサーの交換と抵抗値測定





燃料計が実際より随分少ない値を示すので、中古の燃料センサーに取り替えました。
参考のために、外した燃料センサーやストックのセンサーの摺動抵抗とリザーブセンサーの抵抗を測定しました。
取り替えた燃料センサーもあまり正確ではありませんが、今回は燃料センサーの仕組みやを知っただけで充分としました。


燃料センサーの仕組み
燃料センサーとリザーブセンサーの抵抗値測定
コイルと端子の接触不良の修正/ 分解時の注意
交換した燃料センサーの正確性の検証
案外戸惑う燃料コック



1.燃料センサーの交換


前々から気になっていた燃料センサーを交換しました。

症状は「満タンにしても針が7分目くらいを示す。」、「リザーブランプがついて給油すると、6Lしか入らない。(※本来なら17L入る)」

ただし、タンク内のガソリンを「リザーブ以下」にしておくと、次に給油したときに針は正確な値を示す。


a.燃料センサーの取り外し

  燃料センサーの取り付け部はタンクの右前。

  両面テープで留めてある断熱シートを剥がさなければなりません。


・上が外した燃料センサー。とてもきれいです。

・下が今年の1月3日に入手した 3XWの燃料センサー(1100円)。
  取り敢えずこちらに交換します。

・本体から出ている触覚(筒)がリザーブランプのセンサー。
ちなみに、左がXJR1300の燃料センサー(552円)。
  XJRはリザーブセンサーが付いていないのでカプラーは2極、FJは3極。
・タンク形状が違うのでフロートアームの曲がりも違います。
  センサー部の形も違うので部品流用もできません。
・互換性があるのはガスケットだけ。
・今回は新品のガスケットを使わず、XJRのガスケットを使いました。


    
 
b.燃料センサーの構造

・燃料センサーは摺動抵抗によって燃料残量を表示します。

・燃料センサーについては→→→ こちら
右側がFULL、左側がEMPTYです。
・コイルや接触手(端子)に汚れや腐食はありません。
・右側(FULL側)の巻きが粗く、左側(EMPTY側)が密になっています。
  これは、燃料が少なくなったときに細かい値を検知しなければならないからでしょう。
・コイルと端子に異常がないので、「燃料計がなぜ70%少なく表示するのか」分かりません。
  もっとも、リザーブランプが早く点灯するのはリザーブセンサーの不調とも考えられます。


・左は、フロートを一杯に下げた場合のものです。
  このとき、リザーブランプセンサーの下端とフロートの下端が一致しています。

・リザーブランプセンサーは燃料面から露出するとリザーブランプを点灯させるので、
  フロートが一杯に下がったときにリザーブランプが点灯することになります。
  つまり、燃料計がゼロになったときにリザーブランプが点灯することになります。



c.交換した結果は

・これで、タンク内にはリザーブを含め「6L弱」入っています。

・FJのタンク容量は22L(予備が5L)
・リザーブランプが点灯するのは燃料計の針がEを示してからだから、
  F~E = 22-5 = 17 L。

・F~Eの目盛りは18 → 1目盛り = 17 ÷ 18 = 0.944 L

・燃料計の針は2目盛り = 0.944 × 2 ≒ 1.9 L

・実際にタンク内にあったのは6L弱で、リザーブまで 1.0L弱残り。

・メーターは「1.0L残り」を「1.9L残り」と表示していることになり、
  表示誤差=1.9 ÷1.0 = 190%

・燃料計は燃料が少なくなると正確でなくなるのでこの値を信じるわけにはいかないが、
  今度は「メーターが実際より大きい値を表示する」ようになったとことになる。

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2.燃料センサーのチェック


取り外した「少なく表示する」センサーを点検してみました。

a.燃料センサーの追加入手

前にも書きましたが、FJ部品の相場が下がってきています。
今回交換したものとは別に2個入手しました。

・① 少なく表示するので取り外した燃料センサー : 旧4CC

・②3XWの燃料センサー(550円) : 新3XW

・③3CVの燃料センサー(108円) : 新3CV

  ※① と交換した 3XW燃料センサーは「④ 旧3XW」と呼びます。


        

b.摺動抵抗の測定

イ.どこを測定するのか

・aはコイルから取り出されています。
・cはリザーブランプセンサーにつながっています。
  裏から見るとこうなります。
・aからは緑色のリード線、cからは 緑 / 赤のリード線が出ています。
  bはアースで黒のリード線が出ています。
・燃料センサーの摺動抵抗値は「 a / 緑線-b / 黒線 」で測定すれば良いことになります。


・カプラーの端子で言えば、
  ロック爪を上にして、左からa(緑)、c(緑/赤),b(黒)。
摺動抵抗はカプラーの両側で測定すれば良いことになります。 
・e / コイルの左端(empty)、m / コイルの中央、f / コイルの右端(full)を測定しました。
・mは 接触端子が垂直になったところです。目視ですから正確ではありません。


ロ.測定結果

FJ1200燃料センサーの摺動抵抗測定値 FJ1200リザーブセンサー抵抗測定値
番号 センサー名称 e(empty) m(中間) f(full) そのまま ガソリンに漬ける
旧4CC※ 140Ω 60Ω 20Ω 0.8KΩ 1.0KΩ
新3XW 120Ω 50Ω 18Ω 1.3KΩ 1.5KΩ
新3CV※ 160Ω 80Ω 20Ω 1.0KΩ 1.4KΩ

※③ / 新3CV はコイルと端子が接触不良で測定値が定まらなかったので、次に述べるように端子を曲げて(カリ、カリと噛み合うようにして)測定したものです。
※測定は端子とコイルの接触具合で変動します。
※① / 旧4CC は最初、測定値が定まりませんでしたが、何度がやっている内に定まった値を取るようになりました。
  測定値が他の二つに近いところから考えると、「実際より少なく表示する」①の不具合はコイルと端子の接触不良が原因だったのかもしれません。

※搭載している ④ / 旧3XWのリザーブセンサー (タンク内装着で): リザーブランプ点灯 / 0.4KΩ、リザーブランプ消灯 / 0.7KΩ
※リザーブセンサーについては「センサーがガソリンに漬かると 0.2KΩ~0.3KΩ 抵抗値が増える。これは、
  「センサーがガソリンに浸かっていると、冷やされてサーミスタの抵抗値が高くなり、電流が流れにくくなることから、ランプは点灯しない。
    ガソリンが減りセンサーが露出すると、ガソリンで冷やされなくなると同時に、自己加熱現象により温度が上がり、抵抗値が減少する。
    今度は電流が流れやすくなっているので、ランプが点灯する。」という説明と一致するので正常なのだろう。→→→こちら
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c.端子の構造-コイルと端子の接触不良の修正方法


③ / 新3CV はコイルと端子の接触が悪く抵抗値がばらつくので、端子を曲げてコイルと強く接触するようにしようと色々触っているうちに、端子が「ブラブラ」になってしまいました。

そこで、「端子の取付はどうなっているのだろう?」と外してみました。

六角形のナットのような物はフロートシャフトに打ち込んであるだけです
  ネジではありません。
・プライヤーがバイスプライヤーで挟んで引き抜けば取れます。ねじってはいけません
  バイスプライヤーで挟んで、ブライヤーを叩いて引き抜きます。
・d: 端子留め、 e: 端子、 f: バネ
・eがdにはまって、それをfが外れないように押しつけています。
・e(端子)は途中から曲がっていますが、これはコイルと強く接触させるために曲げたものです。
  本来のe(端子)は真っ直ぐです。


・dの内側には突起があります。
  この突起にはまるようにeに切り込みがあります。(eの穴の3時・9時位置)
  この突起と切り込みが噛み合って、eはdに円周方向(回転方向)で固定されます。
  fはeをdの方に押しつけて、eを垂直方向に固定します。

・dやeを無理やり動かすと、dの突起やeの切り込みが削られて、
  eがdと噛み合わなくなります。
  「dを外すときに無理やり回してはいけない」のはこのためです。

 なお、上の画像でeは裏返っています。
今回はdを外すときに無理やり回したこと、
  eを折り曲げようとコイルの外まで無理やり回したことから、
  dの突起とeの切り込みがしっかり噛み合わなくなりました。

・そこで、eをdに重ねて上からハンダで固定しました。


・dは上に細いカラーを当てて小さいハンマーで軽く打ち込めばOK。
・dとeはハンダで固定されているので、バネは不要ですが一応入れておきました。
端子とコイルの接触が悪い場合、端子を取り付けたまま先を曲げようとしても無駄です。
  端子がコイルに当たって、端子が反り返るだけです。
  端子を外してから、端子だけを折り曲げる必要があります

コイルと端子の接触は一応修正できました。
ちょときつめで「カリカリ・コリコリ」と当たっています。
抵抗値もばらつきません。(20~160Ω)

ただし、この燃料センサーを使うつもりはありません。
108円でしたので、研究用にしました。


d.XJRの燃料センサーの抵抗値は?


ついでに上で出てきたXJR1300の燃料センサーの抵抗値も測ってみました。

  リザーブセンサーがないので、FJとの互換性はありません。   2極ですから、カプラー端子ではなく、リード線の取り付け部で測定すればOKです。


測定値 : e(empty) / 140Ω、f(full) / 36Ω でした。
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e.交換した燃料センサー( ④/ 旧3XW センサー)の検証


交換した④/ 旧3XW センサーの抵抗値はどれだけなのか?

取り外して測定したい気持ちを抑えて、取り付けたままの抵抗値を測定しました。

・燃料センサーのカプラーはバッテリー横にあります。

・このカプラーを外して、両側の端子で抵抗値を測定すればよいのです。

※画像ではカプラーがフレームの上になっていますが、
  実際はフレームの下にしなければいけません。(マニュアルP2-16のI)



イ.その①

燃料計の針は 2.5 目盛り、抵抗値 = 80 Ω。
・上の測定値では「m ~ e = 50 or 60 ~ 120 or 140 Ω」。
・これから計算すると、80Ωで針は「5.14 or 6.75 目盛り」を示すはず。
・mとeの中間は 85Ω or100Ω であることから考えても、
  針はmとEの中間近くを示さなければならないことになる。
・どうも燃料計が小さい値を示すようだ
これを満タンにしたら、13L入りました。
・燃料計によると「2.5目盛り = 0.944 × 2.5 + 5(リザーブ) = 7.36L 」入っている。
・しかし、タンクに入ったのは13Lだから、入っていたのは 22-13=9L。
・9Lあるのに 7.36Lと表示したのだから、やはり燃料計が小さい値を示している※注意


※注意
タンクを22Lの満タンにするのは難しいので、上の「その①」の場合、満タンまでにはもっと入ったかもしれない。
例えばあと1.5L入ったとすれば、満タンまでに入ったのは 13 + 1.5 = 14.5L。
タンクに入っていたのは 22-14.5=7.5L となり、メーター表示の 7.36Lは正しい値となる。

次の「その②」で「ギリギリ満タン」にした場合の燃料計の針はFを通り越しているが、「その①」での「満タン」では燃料計の針はFを指している。
同じ燃料計だから「満タンまでもっと入った」と言えそうだ。

もっとも、この ④/ 旧3XW センサーは、初めの検証(上記1-c)では「燃料計が実際より大きい値を表示する」という結論だったので矛盾することになる。


ロ.その②

・熊野まで162㎞を走行。

・燃料計の針は6目盛り、抵抗値 65 Ω。
・燃料計の示すタンク内燃料 = 0.944 × 6+5(リザーブ)≒10.7L。

・ギリギリの満タンで入った燃料は 11.34L。
  実際にタンクに入っていたのは 22-11.34= 10.66 L。

・だから、燃料計は正確な値を示していたことになる。

・しかし、満タンにしたら針がFを2目盛りオーバーしているからやはり正確ではない。

「満タン / F 表示」では、「燃料計が実際より大きな値を示す」と言える。



ハ.その③

・リザーブランプが点灯するまで走りました。
  走っていると油面が水平でなくなるので、燃料計が1目盛りでランプが点灯します。
・メインスタンドを立ててリザーブランプが点灯するのは、燃料計がEを示すときです。
  ゼロ目盛り(E)で抵抗値 = 100 Ω。
・タンクに残っているのはリザーブの5Lのはず。
・ギリギリに満タンにして入ったのは 18.18L。実際に入っていたのは 22-18.8=3.2L
「リザーブ / E 表示」では「燃料計は実際より大きな値を示す」と言える。
・なお満タンで燃料計の針は3目盛りオーバー。 これで抵抗値=15Ω。


結局、交換した「④ 旧3XW センサー」は
・タンク内装着で「E~F=100Ω~15Ω」、
・燃料計は「F近くでは実際より大きく」、「E近くでは実際より小さく」示す。。
・リザーブランプは点灯しても残っているのは「リザーブの5Lより少ない」


我々は燃料計にそれほどの正確性を期待してはいません。
満タンにしたら燃料計の針がFを超えようと、残り1/4からすぐにリザーブランプが点灯しようと気にしません。
しかし、「リザーブになったら必ずリザーブランプが点灯すること」は絶対に必要です。
そうでないと、ガス欠で立ち往生してしまうからです。

しかし、リザーブセンサーに不具合があればリザーブランプが点灯する前にガス欠ということも起こります。
この点、ガス欠するまで走っても、燃料コックをリザーブに切り換えれば「必ずリザーブ分の燃料が残っている」という「安心のアナログタンク」と違うのです。
「FJの燃料タンクの中は“センサー”という“信用できない物”が仕切っている」ということを忘れずに、燃料計を気にかけていなければなりません。


なお、測定抵抗値は「カプラー端子にテスター端子を直接当てるか」、「カプラー端子からワニ口リード線をつないでテスター端子に当てるか」によって異なります。
テスター端子をどれだけ強く当てるかによっても異なります。
※抵抗値はリード線をつないだ方が高い値を示し、テスター端子を強く当てれば低い値を示す。

また、燃料計の指し示す目盛りは、「バイクに跨がってバイクを垂直にするか」、「メインスタンドを立てるか」によって異なります。
※跨がる方が燃料計の針が1目盛りくらい大きい値を示す。

もちろん、メインスタンドを立てるときは地面の水平性によって燃料計の指し示す目盛りが異なります。

さらに、測定するテスターも同じにしなければなりません。

要するに、「測定条件を同じにしなければならない」のです。

今回の測定では「車庫内でメインスタンドを立てる」、「カプラーより二つのワニ口リード線を取り出してテスター端子につなげる」、「アナログテスターを使う」としました。

また、燃料センサーの摺動抵抗はガソリンに触れているときと触れていないときでは微妙に異なるでしょう。
だから、タンク内にある燃料センサーの摺動抵抗と取り出した燃料センサーの摺動抵抗は同じではないでしょう。

以上のことから、今回測定したいろいろな抵抗値は参考にとどめなければならないのです。

    
3.案外戸惑うガソリンコック


  いつも、このガソリンコックには戸惑います。
  とにかく小さい。タンクの内側にあるので老眼には「タテになっているのかヨコになっているのか」よく見えない。
  普通の長さのマイナスドライバーなど入らないのでフライヤーではさんで回すしかない。

  ミゾがタテになっていればON、ミゾがヨコになっていればOFF。
  タテミゾのONから右に回してOFF。ヨコミゾのOFFから左に回してON。
  ネジと同じ。締める方向に回せば「止まる」、緩める方向に回せば「開く」。

  このガソリンコックが痛んでいれば、それだけタンクを外したということ。
  同調を取ったり、エアスクリューを調整するときはタンクをずらせるだけで、タンクを外す必要はありません。

  タンクを外すのは、キャブレターを外したり、エンジンを開けたりするときです。
  このコックが痛んでいればいるほど、キャブレターやエンジンの調子が悪くてそれらを修理しているのです。

なお、FJの燃料コックに「リザーブ切り換え」はありません。
FJのタンクは満タンで22L、そのうち予備が5L。

タンク内にあるリザーブセンサーが「残り5Lだ」と判断すると、警告ランプを点灯させたあと、しばらくして燃料ポンプを止めてしまいます。
これを解除するには、リザーブスイッチをONにしなければなりません。

リザーブセンサーが狂っていると「燃料がたくさん残っていても」、「残り5Lだ」と判断して警告ランプを点灯させて燃料ポンプを止めてしまいます。
だから、ライダーは「警告ランプが点灯したら」、必ず「リザーブスイッチをON」にしなければなりません。

『赤ランプがついたぞ? 今、満タンにしたばかりじゃない! また、燃料センサーが狂ったな。』
そう思って、リザーブスイッチをONにしないままでいると、信号待ちでエンストして焦ってしまいます。

また、リザーブスイッチをONにしたら、もう「リザーブになったことを知らせるもの」はありません。
次にエンジンが停止するのはタンクの中が空になったときです。
上に述べたように「エンジンが停止するまで走っても、コックをリザーブに切り換えればかならず予備の燃料が残っている」という旧式バイクではないことを注意しておいてください。


つづく。




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