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2011.03.06 XENLON を修理しました

またまた、ワィンディングマシーンの修理です。
今回は、XENLON(シェンロン)です。
部品取りの6台から生きている部品を移植して2台を完成しました。
自動巻きファンは必見ですよ。


  左の角形はスイッチ回路とモーターが生きています。
  しかし、回転ドラムとドラム外箱・軸受けが壊れています。

  右の丸形は回転ドラムとドラム外箱・軸受けが正常です。
  しかし、スイッチ回路とモーターが死んでいます。

  形は違いますが内部の部品・構造は同じです。
  手術は右の丸形から回転ドラム・ドラム外箱を取り外し、
  左の角形に移植することです。

  「回転ドラム・ドラム外箱・軸受け」???
   適宜説明していきますからご心配なく。



 角形のドアを開くと白い粉が出ています。
  これは、回転ドラムがドラム外箱と擦り合って出ます。
  この白い粉が出たらドラム交換です。

 
  裏蓋を開けてみると、白い粉が積もっています。
 
   ベルト、プーリー、モーター板を取り外します。
  
  『チョ、チョ、チョット待ってください!  手順を省かないでください。』

   気づきましたか…。
   実は、その写真を撮るのを忘れたのです。
   組み立て手順と逆ですので、後で分かりますよ。
   では、勝手に進めさせてもらいます。



   やはり、割れていますね。
   
   『質問です!』
   はい、何ですか?
   『右側の丸い部品に着いている黒いものは何ですか?』

   よく見ているじゃないですか!
   これはネジが固着して外せなかったから半田ごてで焼き切ったのです。
   どうせ、新しい部品を移植するのだから構わないのです。
   
   

   これが、丸形の部品です。
    白い粉などどこにもありません。
    この二つの部品を角形に移植します。



  この部品を取り外すには、
   茶色いワッカを本体から取り外します。
   ワッカは4本の木ねじで留められています。

   このワッカを上にずらして丸い部品を取り外します。




  左が角形から取り外したもの。
  右が丸形から取り外した正常なものです。

  そろそろ、XENLONの構造を説明しましょう。


 Aの回転ドラムに時計ホルダーに着けた時計をはめます。
  Aの回転ドラムはBのドラム外箱にビス留めされます。
  BはEの二カ所で本体に固定されます。
  Dのプーリーにベルトでモーターの回転が伝えられます。
  そして、Aの回転ドラムが回されて、時計が回転するのです。

  XENLONの構造上の弱点は、
 「Cの軸受けが本体に固定されていない」ことです。
  
  Cの軸受けは中が金属のベアリングハウスで外側がプラスチックです。
  このプラスチックの部分が弱いのです。
  プラスチック部分の品質が悪いと、強い回転力に耐えられず割れが生じます。
  軸受けのプラスチック部分が割れると回転が振られます。
  すると、Aの回転ドラムがBのドラム外箱に当たってこすれ合います。
  白い粉はAとBがこすれ合って生じるものなのです。
  こすれ合っている内にBのドラム外箱が割れてきます。
  Aの材質がBの材質より強いようです。
  Aが割れることはありません。

  最後には、Aの回転ドラムがガタガタになって回転しなくなります。
     XENLONの程度は回転ドラムのガタつきで判断します。
  白い粉が出ていたら必ず回転ドラムにガタつきがあります。

  これが角形から取り外したものです。
   末期症状ですね。



  茶色いワッカを潜らせて回転ドラム外箱をセットしました。
  回転ドラムの上に茶色いワッカが乗ります。
  そして、ワッカの上から4本の木ねじで本体に取り付けられます。

  次に、モーターのついた板を取り付けます。

  ①~④は回転ドラム外箱にネジ留めします。
  ⑤~⑧は本体に取り付けられた支柱にネジ留めします。

  ドラム外箱は茶色いワッカの上から四カ所ネジ留め。
  そして、モーター板に二カ所ネジ留め。
   軸受け部分が何ら固定されていないことがお分かりでしょうか。
  どこか不安定でしょう?

  ドラム外箱を四カ所ネジ留めすれば軸受け部分がより固定されるでしょう。
  そうすれば軸受けのプラスチック部分が割れることも少なくなるでしょうネ。


  回転外箱には四カ所のネジ留め部分があります。
  ①と②でネジ留めするのではなく、
  さらに⑨と⑩の二カ所のネジ留めを付け足せば済みます。

  なお、ネジ留め個所が①と②だけの製品もあります。
  このネジ留め部分も弱くて割れてしまう時があります。
  そんな場合は他の二カ所を使うことができます。


  
  回転ドラム外箱にプーリーを取り付けます。
  表側から長いネジで留めます。


  表側から見たものです。
  中心の+ネジで留めます。

  黒い円盤に四カ所のネジ穴がありますネ。
  ここに回転ドラムがネジ留めされます。


  回転ドラムを取り付けます。
  小さな皿ネジ四本で留めます。



  回転ドラムを取り付けました。


  時計ホルダーはこのようにはまります。



   ベルトを着けて裏蓋を閉めればでき上がり。

ドラムアッセン交換は馴れれば30分程度でできます。

  XENLONの“売り”は図体がでかいので部品の移植が簡単なこと。
  今回はもう一台移植手術をしました。



  この二台が稼働するようになまりした。



角形XENLONはお互いをコード接続できます。
一つのアダプターから入力した電気を他のXENLONに流すことができます。
三台つなげることができます。
それだけアダプターが少なくて済みます。


もう一つ利点があります。
それは「積み上げることができる」ことです。
二連巻きとしては大柄なXENLONですから省スペースになりますネ。



  XENLONには二連巻きのほかに四連巻きもあります。
  構造は同じですが、四個の回転ドラムを一個のモーターで回します。
  その分、モーターに負担がかかり、モーターがダメになります。

  しかし、この四連巻きはドラム部分・軸受け部分が壊れることはありません。
  丸形二連もそうです。
  最新型が角形二連ですので、ドラム部分の製造が荒くなったのでしょう。

  XENLONは回転力が強いので時計自身にはあまり良くないでしょう。
  現在のSEIKO5系(7S26・36・25
など)は頑丈なのでビクともしませんが、
  緻密で高性能・高価な時計はXENLONにかけるのはやめた方がよいでしょう。

  ヨーロッパ産のMTE・SPI・EILUX・LUHW “ソフト巻き上げ“をお勧めします。


  今回新たに四個分のワィンディングマシーンを確保しました。
  もちろん、このあと、自動巻きを四個手に入れました。
  時計の増殖はいつになったら止まるのでしょうか?



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