RMX250-SJ13 整備資料



 2014.08.17  SJ13-エンジン③のクランクシャフトに残ったベアリングを外す





RMXのエンジン③のクランクケースOHでクランクケースを外したら、クランクシャフトのベアリングが左右ともクランクシャフトに残ってしまいました。
ここでは、クランクシャフトに残ったベアリングを外します。
ベアリングは68㎜Φですが、50㎜~70㎜Φ対応のストレート19-615は使えませんでした。
結局、75~105㎜Φ対応のストレートの19-625を加工して外しました。

50㎜~70㎜Φ適合のストレート19-615では68㎜Φのベアリングが外せない。
75㎜~105㎜Φ適合のストレート19-625で68㎜Φのベアリングを外すには加工が必要。
ベストは19-625+加工+150㎜以上の2本爪プーラー
ベアリング引き抜きでの注意

        


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整整備工具のSTRAIGHT
19-680/ユニバーサルホルダー19-691/クラッチホルダー
19-508/ クランクケースセパレーター19-8000/ベアリングプーラー
19-625/セパレーター19-509/クランクインストーラー

※注文前に、「工具サイズと対象物との適合」を必ず確認してください。不適合に関して当方は責任を負いません。


1.役に立たなかったストレートの19-615



a.N型のクランクシャフト右の小さいベアリングにはそのまま使える。


・クランクケースを分割したらこの通り。
・こうなった場合の方策を確立しておきましょう。
・隙間はこれだけしかありません。
・この隙間に何かを引っかけなければ
  ベアリングは外れません。
・ベアリング外輪に溝を切って、
  二本爪・三本爪で引っかける方法もあります。
・思いつくのはこのツール。
・ストレートの 19-615 です。
・適応ベアリング径は 30~50㎜Φ,50~70㎜Φ
・あっ!焦って買わないように。
  見かけのわりにはあまり役に立ちませんから…。


・セパレータープレートを
  ベアリングとフライホイールの隙間に差し込みます。
・叩いたり、ボルトで締めつけたりして差し込みます。
・右側ベアリング( 62㎜Φ) に
  大きい方のセパレータープレートを打ち込むと、
  ベアリングは簡単に浮き上がりました。
・両方のセパレータープレートをつなぎ
  ベアリングを引き抜きます。
・センターボルトの先で
  クランクシャフトメスネジを痛めないように
  ブライマリードライブギヤのボルトを付ける。
・手回しでもベアリングが抜けてきました。
  少し拍子抜け。



b.左側の68㎜Φベアリングには使えない。※R・S型では右側も68㎜Φのベアリングになっているので右側も外せない


では、左側の 68㎜Φ ベアリングを引き抜きましょう。

しかし、今度はセパレータープレートがペアリングの隙間に入り込みません。

『えっ? 50~70㎜Φのベアリング適合ではなかったの!』

セパレータープレートの刃の部分は 32㎜。もう少し長くないとベアリングの隙間に入り込まない。

・セパレーターを締め込むのを止めて、
  ベアリング引抜きのために
  センターボルトを回していくと
  全ネジボルトが曲がってしまいます。

・セパレータープレートの締め付けボルトが
  もっと太くて頑丈でなくてはダメなのです。
・ベアリングの隙間に入れるには、段差を削れば済むことです。
・焼き入れしてある割には簡単にヤスリで削れます。
・上が削ったあと、下が削る前。
・ベアリングの隙間に食い込みましたが、
   食い込みが少ないので標準のボルトが使えません。
・ステンレス全ネジボルトとナットで締めつけたけれど…。
・もっと食い込ませようと全ネジボルトを締め込むと
   曲がってしまいます。

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選任のための法律知識・








2.75~105㎜Φ対応の大型セパレーター 19-625 は削れば役に立つ→ 19-625


a.大きいけれど食い込みは小さいので、加工が必要


作業が行き詰まるたびにストレートさん。

ネット注文で翌日に到着だから助かりますが…。

要するに、セパレータープレートがもっと大きければよい。

今度は、ベアリング適応サイズ 75~105㎜Φ の 19-625

・シャフトは 16㎜Φ。
・これなら そう簡単には曲がらない。
・もともとはベアリングをプレスで抜くときの
  台座として使うものです。
・図体が大きい割には食い込む刃の部分が長くない。
・上が 50~70㎜Φ 適合のセパレータープレート、下が今回の75~105㎜Φ適合のセパレータープレート。
・寸法を測ってみると…。


・食い込む刃の長さは、
  50~70㎜Φ適合が 32㎜、75~105㎜Φ適合が 36㎜。
・たったの 4㎜しか違わない。
・この 4㎜ が力を発揮するかも!
・しかし、食い込み刃の形を見ると、
  食い込み刃の両端が厚くなっている。(36㎜の両端)
・これでは 4㎜ 長くても食い込みには意味がない。
・ベアリング外輪のテーパー部にも引っかからない。
・一回り小さい 50~70㎜Φ適合の刃は
  中心と端が同じ厚さ(32㎜のどこでも薄い)なので、
  食い込みに関してはこちらが上。



b.強みは頑丈な取り付けボルト

・こちらもヤスリで食い込み刃の部分を拡張。
・もっとアールを付けた方がよいのだけれど、
  平やすりではこの程度。
・とにかく食い込ませることに成功。
・セパレータープレート取り付けボルトも
  ギリギリでセットできました。
・16㎜Φボルトをグイ~ッ、グッグッと締め込むと、
  少し食い込み。
・これで外せるめどがつきました。


       
c.食い込ませたが150㎜以上のプーラーが必要。/75~105㎜Φセパレーターに  19-615 セットのプーラーが使えない


75~105㎜Φ セパレーターを食い込ませても、セパレーターを引っかけてベアリングを引き抜かなければなりません。

19-615 セットの 引抜きヤグラ部品は小さいので 75~105㎜Φプレートには使えません。

手持ちの 100㎜ 二本爪,150㎜ 三本爪 プーラーも小さくてプレートを引っかけることができません。

そこで、途中から 「 19-615 セット+ ステンレス全ネジボルト 」 にバトンタッチしてベアリングを引き抜きました。

固くはまったベアリングも、少し外れればあとは簡単、ステンレス全ネジボルトも曲がることはありませんでした。


今回の方法は
①「75~105㎜Φ適合」の 19-625 の刃部分を削って食い込みやすくする。
②  19-625 でベアリングに食い込ませる。(頑丈な締め付けボルトが〇)
③「19-615+汎用の長い締め付けボルト+19-615の引き抜きプーラー」で引き抜く。

お勧めの方法は
①「75~105㎜Φ適合」の 19-625 の刃部分を削って食い込みやすくする。
②  19-625 でベアリングに食い込ませる。(頑丈な締め付けボルトが〇)
③  150㎜以上の二本爪プーラー(19-1126)  でベアリングを引き抜く。

結局、19-615のプーラーセットは不要です。
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3.ベアリング引き抜きの注意


a.ドライヤーを使うと外しやすい


・19-615 でベアリングを引き抜けなかったのは 19-615 に全責任があるのではありません。
・問題はベアリングが固くはまっていたことにあります。

・今回のベアリング引抜きで効果的だったのがドライヤー。

・少し温めていればシャフトやベアリングの内輪は熱くなります。
  ベアリング内輪とクランクシャフトにほんの少しだけ緩みができればいいのです。

・家庭用のドライヤーで充分です。
・ドライヤーを使えば 19-625 でもベアリングを引き抜けたかもしれません。


なお、「クランクケースのベアリングを引き抜くときにバーナーであぶるのはやってはいけない」そうです。
「クランクケースが熱変形をして使えなくなる」とのこと。 ( 古い CR125 のサービスマニュアルより)


b.締めつけるのはいいけれど叩くのはダメ


19-615 のセパレータープレートが隙間に入らないので角度をつけて叩き入れようとしたり、マイナスドライバー てこじろうとしたりしたときの傷です。

フライホイールの回転には影響しないでしょうが、気持ちの良いものではありません。

注意してください。

・ささくれ,トゲトゲ。みんな 19-615 のせい。
・責任転嫁はやめましょう。無理強いをした自分が悪いのです。
・ペーパーでささくれを取っておきました。


・右側ベアリングは簡単に外れたので傷はありません。 ・ここも軽くペーパーをかけておきました。
・そんなことをする必要はまったくないのですが、
  自分がきれいにしたフライホイールが回っていると思うと嬉しくなりません?



つづく




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