SPnet  開業編

 15.公的入札資格の取得


1.国の入札・都道府県の入札・市町村の入札


新規の警備業者は仕事をとるのに時間がかかります。
大きな警備会社を回って「仕事をください」と営業しても、回ってくるのは他の警備会社が受けないような「条件の悪い・突然の仕事」。
これは信用と実績がない以上仕方がありません。

しかし、公的な調達はほとんどが入札となり、信用と実績がなくても仕事をとれます。
病院内警備のような特殊なもの、大規模な警備では実績が必要ですが、小規模な警備では実績は必要ありません。
すべて値段勝負となります。
新しい警備会社にとって公的入札はありがたいものです。

公的調達・入札は大きく分けて三種類。
@国が行うもの A都道府県が行うもの B市町村が行うもの。

この公的入札に参加するためには入札資格審査申請をしなければなりません。
入札資格の欠格事由は「公的入札で不正行為・契約不履行などをして入札資格停止の者」・「契約ができない者・制限されている者」・「税を滞納している者」など。
「税の滞納」を除けば、警備員の欠格事由より甘いものです。
普通の者なら入札資格を得ることができます。。

@国とA市町村は「統一資格」となっています。
国の統一入札資格を取れば各省庁の行う公的入札に参加できます。
市町村の統一入札資格をとれば各市町村の行う公的入札に参加できます。
都道府県の入札は統一資格ではなく、各都道府県ごとに入札資格を取らなければなりません。

国・各省庁の調達・入札というと“恐れ多い”と感じますが、“ハローワーク駐車場警備・2ポスト”や“裁判所支部の駐車場警備・1ポスト”も厚生労働省・法務省が行う入札です。

一般に公的入札では落札価格が極端に低くなります。
どこかの市役所警備では8時間・1ポストが8000円だと聞きました。
しかし、根気よく捜せば「案外利益の出る仕事」もあります。

いろいろな入札に参加すればそれだけ名前を知ってもらえます。
利益がでなくても公的施設の仕事をしていることが信用につながっていきます。
また、隊員の士気を上げることもできます。

その入札に参加するかどうかは別にして、入札資格をとっておいて損はないでしょう。


2.入札資格取得に必要なもの


個人事業者でもOK

入札資格は会社組織でなくても取れます。
株式会社など1円の資本金ですぐにでも始められます。
個人事業者でも堂々と申請しましょう。
もちろん商業登記をしていない個人事業者でもOKです。

都道府県・市町村の入札資格には「ランク付け」がありませんが、国の入札資格には「ランク付け」があります。
このランクにより「参加できる入札」が決まります。

ランクはA〜Dの四つあり、売上・利益・資本比率・資産内容・従業員数などで決められます。
隊員150名程度の自称中堅警備会社でもDランクです。
隊員一人の零細個人警備業者でも同じDランクです。
これ以下のランクはないからです。

Dランクではサミットの警備入札には参加できませんが、「小さい規模の警備入札」には参加できます。
※ランクについて→→こちら

もちろん、公的入札には各場合について仕様書があり、必要ランク以外にもクリアーしなければならない要件があります。


入札資格は3年〜5年有効

国の入札資格は3年ごと。
今なら平成22年度・23年度・24年度分です。

23年度とは23年4月1日〜24年3月31日のことです。
調達は1年契約が多く、入札は1月〜3月に集中します。
24年度の仕事をとるのなら23年度有効の資格が必要です。

都道府県・市町村の入札資格は国より長いようです。

三重県の場合は5年間。
今なら平成27年2月28日 まで有効

三重県の市町村統一資格は4年間。
今なら、22年〜25年度です。

国・都道府県・市町村とも随時受け付けています。

なお、資格申請に登録料・保証金などの費用はかかりません。


国の統一資格・都道府県の入札資格は電子調達システムを採用している-電子証明書が必要

国の入札と都道府県の入札では電子調達システムを導入しています。
正確には「電子調達コアシステム」といいます。
調達情報や入札をインターネットで行うものです。

ただし、これは原則で紙入札を行う場合もあります。
しかし、入札資格を取るためには電子調達システムを利用できることが条件になります。
※国の場合は申請時には不要。

電子調達システムを利用するには電子証明書が必要です。

電子証明書とは住基カードのようにICチップを組み込んだカードです。
このカードをパソコンに読み取らせて
、本人であることを証明して電子調達システムに入り入札を行うのです。

電子調達システムに使用する電子証明書は特別なものです。
住基カードでは行えません。
このカードは「電子入札コアシステム用電子認証サービス」を行っている業者から入手しなければなりません。

これがそのカードです。



カードだけでなく「カードを読み取る専用のカードリーダー」も必要です。

費用はどの業者でもだいたい同じ、1年有効で10000円程度、カードリーダーは買い取りで7000円程度。
ただし、カードリーダーはその業者の認証するカードしか使えません。
カード入手先を変える場合はカードリーダーも新たに購入しなければなりません。

今回の入手先は→→こちら  他の入手先は→→こちら


電子証明書入手方法

商業登記をしていない個人事業者で、本人がこのカードを使用する場合について説明します。
その他の場合は各業者のホームページを見てください。

@本人の印鑑登録証明書→カード申請書・入札資格申請書に押印する実印
A本人の住民票
B事業を営んでいることを証明する書類→警備業認定書のコピー
CICカードリーダーセット申込書
D電子入札コアシステム用電子証明書利用申込書


CとDは業者のホームページの用紙に入力してプリントアウトすれば簡単に作れます。

C・Dで注意しなければならない点

・Cの申込欄の会社名・会社住所・氏名・部署名は個人名を書く。

Bの証明書類が警備業認定書で、それが個人名だからです。
Bの証明書類が団体名になっている場合はその団体名が使えます。

SPnetではなくて私個人の名前になります。

・Dの企業等欄には商業登記していない会社名・団体名を書いてもよい。

商業登記されていない団体名はICカードにはインプットされません。
個人警備業者の場合はどうでしょうか?
Bの証明書類(個人名での警備業認定書)の関係で団体名にしない方がよいでしょう。
ここもSPnetではなく私の個人名にしました。

@〜Dの書類を送れば1週間程度でカードは本人限定受取郵便物で、カードリーダーは別便で送られてきます。
本人限定受取郵便物は自宅で受け取ることはできません。
自宅に送られてくるのは本人限定受取郵便物到着通知書です。
これを郵便局へ持参して受け取らなければなりません。

カードを受け取ったら同封されている「受領書」に実印を押して30日以内に返送します。
これでカードが使えるようになります。

代金請求書はこのあと送られてきます。


都道府県物件等電子調達システム利用登録申込

ICカードが使えるようになっても、入札に参加できるわけではありません。
国・都道府県に入札資格審査を申請しなければなりません。

申請書類と記載方法、添付書類は国と都道府県によって違いますが似たようなものです。

国の統一資格申請はまだしていませんので、三重県の場合を紹介します。
ホームページの書式に入力してプリントすればOKです。

※三重県資格申請については→→こちら

ここでは、「商業登記をしていない個人事業主が申請する場合」の注意点を説明します。

・「商号又は名称」に商業登記していない名称・団体名を使ってもよい。

SPnetを使いました。

・「資本金額又は出資総額」は何も書かない。

個人事業だから書きようがありませんネ。

・使用印鑑届の「使用印(会社印)」と「使用印(代表者印)」は印鑑登録していない団体印・団体代表者印でもよい。

使用印とは紙入札や契約書・代金請求受領書に使うものです。
「警備保障SPnet」という会社印と「警備保障SPnet代表者印」という代表者印を使いました。

・「実印」とはICカード申込のときに押印した実印

同じものでないといけません。印鑑登録は一つしかできないので実印を変えた場合は要注意。

・添付書類

a.身分証明書
b.登記されていないことの証明書(成年被後見人・被補佐人について)
c.印鑑登録証明書

※納税証明書不要
※警備業認定書コピー不要

なお、他府県所在の事業者でも入札資格を取得できます。
三重県に営業所がなくてもOKです。
ただし、県外業者が入札できるのは3500万円以上の物件です。

申請書類を郵送。
一週間程度でOKとなり、すぐに入札に参加できます。


三重県市町村統一資格申請

申請用紙はほとんど同じです。
ホームページの直接入力用申請用紙もよくできています。
記載要領も三重県の場合と同じです。

ここでも、商業登記をしていない個人警備業者について説明します。

・「商号又は名称」に商業登記していない名称・団体名を使ってもよい。
・使用印鑑届の「使用印(会社印)」と「使用印(代表者印)」は印鑑登録していない団体印・団体代表者印でもよい。

注意しなければならないのは、
使用印鑑届の「使用印(会社印・代表者印)」と「商号または名称」が一致していなければならないこと。
使用印鑑届に「警備保障SPnet印」・「警備保障SPnet代表者印」を使えば、「商号または名称」を「警備保障SPnet」にしなければならず「個人名」は使えません。
「商号または名称」に個人名を使おうと思えば、「使用印鑑届」に個人名の印鑑を使わなければなりません。

使用印鑑届には□(会社印)・〇(代表者印)の二つの押印欄があります。
「商号または名称」を個人名にした場合、ここに異なる個人印を押すのでしょうか?
どちらかに個人印を押せばよいのでしょうか?

この点、県の入札資格申請では「使用印鑑届の印影」と「商号または名称」は一致させる必要はありません。
使用印鑑届が団体印でも「商号または名称」は個人名でもかまいません。

市町村統一資格申請には警備業の認定書のコピーを添付しなければなりません。
警備業の認定書にはSPnetではなく私の個人名が書かれています。
その関係と県のやり方で使用印鑑届を「警備保障SPnet印・警備保障SPnet代表者印」を使い、「商号または名称」を私の個人名にしました。

その結果、要再提出。
「商号または名称」を「警備保障SPnet」に訂正しました。

SPnetの正式名称は「SPnet」で「警備保障SPnet」ではありません。
会社印・代表者印に「警備保障」を入れたのは印影がもの足らないからです。
しかし、また「要再提出」では面倒なので「商号または名称」を「警備保障SPnet」にしておきました。

別に好き好んで「個人名」を使うわけではありません。
警備業の認定書が個人名だから、認定書のコピーを添付しなければならない場合は仕方なく個人名を使っているだけです。

結局、商業登記をしていない個人警備業者は、
電子証明書入手・都道府県入札資格申請・市町村統一資格申請のどの場合でも、「名称・商号」に団体名を使うことができ、使った方がよいことになります。

・「資本金額又は出資総額」には「0」と書く

「資本金額・出資総額ゼロ」とはどこか情けないですね。
やはり、株式会社組織にした方がいいかな‥。
「いやいや、警備の値打ちは「株式会社という名称」で決まるのではなく隊員の質と仕事内容で決まるンだ!
」と思いながらも‥。

・添付書類

a.身分証明書
b.国税完納証明書(納税証明書その3の2-申告所得税と消費税及び地方税に未納の税額がないこと)
c.市町村税完納証明書
d.警備業認定書コピー
e.印鑑登録証明書

※申請書類と添付書類を黄色系のA4-S型ファイルに左綴じし、表紙に「商号または名称」を書いて送付。

・審査が通っても、すぐには入札に参加できない

審査は書類に不備がなければ当日・翌日にOK(審査完了)となります。
ただし、すぐに入札に参加できるわけではありません。
審査完了が各市町村に通知され、各市町村で入札資格者名簿に登録されなければなりません。
その市町村で名簿に登録されればその市町村の入札に参加できるのです。

この名簿登録に手続や審査はありません。
ただ、登録される時期が各市町村に7よって異なります。
「随時」・「毎月20日までの分をその月に」・「毎月末までの分をその月に」・「年に6回」・「年に4回」・「年に2回」など。

「年2回登録」の市町村ではでは9月25日までの審査完了が10月登録。
9月25日を過ぎると4月登録となります。
「4月登録」では入札シーズンの1月〜3月に入札に参加できません。
市町村の入札に参加しようとするのならできるだけ早く資格申請をしましょう。

※三重県市町村統一資格申請については→→→こちら


2011.09.22追記   各省庁統一入札資格申請


国の入札資格申請が終わりましたので報告します。

県や市町村の入札資格申請よりずっと簡単です。
添付書類も二枚だけでした。
印鑑登録証明書・住民票・身分証明書・登記されていないことの証明書は不要です。


a.申請書類取得

ホームページからダウンロードできます。→→→こちら

記入方法や記入例もダウンロードできます。


ここでは、「商業登記をしていない、個人事業者、開業1年以内」で説明します。


b.記載注意点

・第1頁

商業登記をしていない団体名が使えます。
警備業の認定が個人名でも団体名が使えます。

「代表印」は個人の印鑑です。
印鑑登録証明書は不要なので「実印でなくてもよい」ことになります。

押印はこの一カ所だけです。
県・市町村のように「契約に使う団体印・団体代表印・受任者印」の届出はありません。
※これらの印鑑は実際の個々の入札に参加する前に届けます。

・第2頁〜3頁

称号・名称は商業登記をしていない団体名が使えます。
あとは所在地・電話番号など。

・第4頁

警備は「役務の提供等」の「309・建物管理等各種保守管理」ですが、「315・その他」にも〇をしておきましょう。

・第5頁

ここが、開業したばかりの個人事業者は一番の問題です。
次の項目を記入しなければなりません。

・製造・販売等の実績→前年決算額、前々年の決算額、2カ年の平均実績高。
・自己資本額→振込資本金・準備金・積み立て金・繰り越し利益(欠損金)について決算後の増減額。
・外資状況
・経営状況→流動比率

そもそも、言葉の意味が分かりません。

しかし、開業したばかりで決算や確定申告(収支報告)をしていません。
書きようがありません。
すべて「0」と書けばOKです。


・営業年数→一年以内なら「0」
・常勤職員の人数→「1名」でも構いません。従業員が少なくても審査不合格とはなりません。


c.添付書類

@申告所得税・消費税・地方消費税について未納税額のない証明書(納税証明書その3の2)
※税務署でもらった証明書をコピーしてもOKです。但し3カ月以内のもの。

A営業経歴書
沿革・組織内容・活動内容・営業品目・営業実績・営業所所在地・従業員数を記載したものです。
会社案内のようなものをA4で作ればOK。

B財務諸表類(個人の場合は収支計算書)
開業したばかりではそんなものはありません。
だから、添付不要。


d.提出先

申請書をダウンロードしたホームページでその都道府県の受付部局が検索できます。
各省庁の出先機関です。

記載不明箇所があれば、ここに申請書を持って行って教えてもらいましょう。
そして、そのまま提出しましょう。

申請書を提出すると「一般競争参加資格審査申請書等受付票」を渡してくれます。
申請書類は総務省に回され審査されるそうです。
一カ月程度で、審査結果通知書が送られてくるとか。


e.審査合格基準

欠格事由(過去の不正入札行為・入札妨害など)がなければ合格するそうです。
実績がなくても、隊員数が少なくても、金がなくても、どんなに小規模でもOKだそうです。

ランクは「少し名前の知られた警備会社」と同じDランク。
これより低いランクはありませんから、一人親方でもDランクです。

Dランクなら、そこそこの入札に参加できます。
地方の出先機関の常駐警備や駐車場警備ならDランクでOKです。

申請書提出先の警備もこの入札で行われています。
申請手続に行った時に、警備員がいるかチェックしましょう。


開業したばかりで個人事業の場合は、『国の入札はもう少し実績を積んでから‥。』と考えがちです。
しかし、開業したばかりの方が、申請書の記載が簡単で添付書類も少なくて済みます。

バイクのユーザー車検もお勧めですが、各省庁入札統一資格申請もお勧めです。

入札時期は1月〜3月31日。
そろそろ、情報収集に取りかからなければなりません。
入札資格申請はお早めに。


2011.10.08  追記


総務省より全省庁統一資格をいただきました。

日付は平成23年10月5日
有効期間 平成23年10月5日〜平成25年3月31日
東海・北陸地区
役務の提供等(建物管理等各種保守管理・その他)
Dランク

入札資格を得た者は公開されます。→→→こちら ※「東海・北陸→ 役務の提供等→ケ→平成22.23.24年度→0000100000以上」で検索してください。 

申請から一カ月もかかりません。

個人事業者や零細警備業者の皆様、堂々と資格申請をしてDランクをもらいましょう。

年明けから4月まで、どこかの入札説明会・入札会場でお会いしましょう。


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