赤十字水上安全法講習2012年-救助員T実技テスト内容と対策



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 20.日本赤十字社の水上安全法講習 - 赤十字水上安全法救助員資格



赤十字の水上安全法講習を受けてきました。

警備関係者で、この講習について知らない方もいるかと思います。

「 どのような講習なのか、どのような資格がもらえるのか、どのような利点があるのか 」 を説明します。


平成21年に制度が変わりましたので、取っておいて損はない資格となっています。


1.赤十字水上安全法救助員資格とは


a.公的な資格ではないが公的に通用する


この資格は警備員指導教育責任者資格や警備員検定資格のように公的なものではありません。

日本赤十字社という民間団体が認定する資格です。


日本赤十字社が認定する資格には、他に救急法・雪上安全法・幼児安全法などがあります。→→→赤十字社の講習

この中で、水上安全法救助員資格は公的に通用する資格となっています。


たとえば、プール監視業務発注では、現場責任者がこの資格を持っていることが要件とされます。

現在のところ、プール監視は警備業務として捉えられていません。  
★警察庁通達でプール監視は警備業務( 2012.07.21)★

夏場のプール監視の公共調達で、施設警備検定2級資格者の配置は要求されませんが、赤十字水上安全法救助員資格者の配置は要求されます。

なお、一年中開いている屋内プールの監視業務は、施設管理者として施設運営全体をまとめて発注します。
これには施設管理の資格などいろいろな資格や同種業務の受注実績が必要になります。
通常の警備会社では受注することはできないでしょう。

もっとも、施設管理者からプール監視業務を受注する場合は、現場責任者がこの資格を持っていればOKです。


b.平成21年の制度改正で更新が可能に


従来この資格に更新はありませんでした。

有効期間は3年。

3年経ったら、また講習を受けテストに合格して資格を取得。


救助員の資格ですから 「 実際に救助すること 」 ができなければなりません。

3年毎に 「 実際に救助することができるかどうか、その体力があるかどうか 」 がチェックされるのです。


私は警備員になる前 と 警備員になってからしばらくの間、 プール監視のアルバイトをしていました。

赤十字水上安全法救助員資格は平成11年と平成14年に取っています。


平成14年の資格は平成17年8月5日で期限切れ。
その頃はプール監視のアルバイトをやめていましたので、三度目の取り直しをしませんでした。


ところが、平成21年からこの資格が更新できるようになりました。

4時間の更新講習でさらに3年間有効期限が伸ばされます。

プールでの泳力・救助力検定もありません。→→→赤十字救急法救助員資格継続研修


ただし、更新の対象となるのは平成19年4月以降に取得した救助員資格。

私の資格は平成17年8月に切れていますので、もう一度取り直さなければならないのです。


しかし、ここでもう一度資格を取っておけば、後は更新講習だけで100歳になっても資格者でいられます。


本業がずいぶんヒマなので、10年ぶりにこの資格を取ることにしました。


2.赤十字水上安全法救助員講習会


a.救助員資格は二種類


赤十字の水上安全法救助員資格にはTとUの二種類があります。

Tはプールでの救助、Uは海・河川での救助が対象です。

UはTの上位にある資格で、Tの資格を取得した者が講習を受けテストに合格して取得します。


プール監視業務で要求されるのは救助員Tの資格です。

海水浴場の遊泳監視業務では救助員Uの資格が必要になるでしょう。

救助員Uはライフセーバー資格と同じようなものです。

※ライフセーバー資格は日本ライフセービング協会という民間団体の資格で赤十字救助員Uとは別のものです。→→→ライフセーバー資格


b.講習は無料、四日間


講習費用は無料です。

テキスト代の2100円だけです。

講習はTが四日間、Uが二日間、最終日にテストがあります。

講習開催は年一回、夏前 ( 6月中旬〜7月初旬 )か夏過ぎ ( 9月〜10月 ) 。

申込は赤十字各県支部でインターネット申込可能。


テキストは平成19年に大幅改訂されました。
救急法基礎講習と水上安全法講習教本の二冊に分かれ、内容の濃いものになっています。

以前のテキストです。


新しいテキストです。



c.一定の泳力が必要


救助員Tの講習を受けるためには一定の泳力が必要です。

@平泳ぎ100m以上・クロール100m以上を泳げること
A平泳ぎかクロールのどちらかで、泳法を変えずに500m以上泳げること
B横泳ぎで25m以上泳げること
C潜行が25m以上できること
D両手を水上に出して、5分以上立ち泳ぎができること
E1mの高さからの飛び込み ( 足から ) ができること


A・C・Dは検定に含まれます。
500m泳でタイムは関係ありません。


d.講習日程・内容


( 一日目・6月30日)  @救急法学科講習・テスト A心肺蘇生法実技講習・実技テスト B逆あおり・巻き足練習 ( プール )
( 二日目・7月 1日 )  C水上安全法学科講習 ( 午前 ) D 溺者への接近・確保・運搬 ( プール )
( 三日目・7月 7日 )  E溺者への接近・確保・運搬、溺者からの離脱、潜行、溺者の体位変換、スカーリング ( プール )
( 四日目・7月 8日 )  F水上安全法学科テスト G 泳力・救助法実技テスト


e.雨にも負けず、風にも負けず


当地には国際公認の屋内プール( 25m・水深1.3m、50m・水深2.6m、飛び込み・水深5.2m)があります。→→→鈴鹿スポーツガーデン水泳場

以前にここで講習が開かれたこともあります。
しかし、今回は四日市緑地公園の屋外プールで行われました。→→→緑地公園水泳場
多分、専用使用の予約が取れなかったのでしょう。


屋外プールですから、雨や風にさらされます。

二日目の講習はどしゃぶり。
水温は低く、水から上がるとさらに寒い。
休憩中は雨カッパを着込み、熱いお茶を飲んで体を温める。

「 水難事故は天候の悪い時に発生する 」 とはいうものの、相当こたえました。

夏用のウエットスーツがあれば助かりますね。


3.水難救助員T資格のテスト


a.赤十字救急法基礎講習修了認定証 と 赤十字水上安全法救助員認定証


この講習を受けテストに合格するとこの二つの資格がもらえます。

前者は講習一日目の救急法学科テストと実技テストに合格するともらえます。


今回の講習でもらった救急法基礎講習修了認定証です。



消防署の認定する普通救命講習修了証に該るものです。


こちらが消防署の普通救命講習修了証です。



たぶん期限切れになっているでしょう。


赤十字の救急法講習修了証がどれくらい通用するかは分かりません。


この講習の本命は水上安全法救助員認定証です。

これが救助員認定証です。



もちろん期限切れの認定証です。

今回合格すれば新しい認定証がもらえます。


b.実技考査は9種類、合格点は80点


実技考査は次の9種類です。

@500mを平泳ぎかクロールで泳ぐ ( 50mプール )
Aヘッドファーストダイブから潜行25m ( 50mプール )
B頸椎損傷者の体位変換 ( プールの足のつく場所で )
C溺者に顔上げクロールで後方から接近し、チンプル→リヤキャリーで搬送 ( 飛び込みプール )
D溺者に顔上げ平泳ぎで前方から接近し、チンプル→クロスチェストキャリーで搬送 ( 飛び込みプール )
Eレスキューチューブを持って、溺者に後方から接近し、レスキューチューブを使ってリヤキャリー ( 飛び込みプール )
F離脱 ( 前から抱きつかれた場合・後から抱きつかれた場合・片手を両手で掴まれた場合のうち一つ・飛び込みプール )
Gスカーリング15m ( 飛び込みプール )
H両手を水上に出して立ち泳ぎ5分間 ( 飛び込みプール )


一種目10点とすると、8割で合格ですから許される減点合計は2点×9種目=18点。


次のような場合に減点されるでしょう。

@は500m泳げば減点なし。
Aはヘッドファーストダイブができていないと減点
Bは簡単なので減点はされません。
Cの減点対象はたくさんあります。
   ・ 順下で頭(目)が沈む
   ・ 顔上げクロールで顔を左右に振る
   ・ 防御の姿勢が遠いor近い
   ・ チンプルが甘い
   ・ 逆あおりがしっかりできていない
   ・ リヤキャリーで上体が立っていない
Dの減点対象は
   ・ 順下で頭(目)が沈む
   ・ 防御の姿勢が遠いor近い
   ・ チンプルが甘い
    ・ 逆あおりがしっかりできていない
    ・ クロスチェストが甘い
Eの減点対象は
    ・ レスキューチューブを取るときに溺者から目を離す
    ・ リヤキャリーで上体が立っていない
Fの減点対象は
     ・ 救助者自身の顎の確保
     ・ フィートファーストダイブができていない
     ・ 離脱が不確実
Gはまず減点なし
Hは5分間がんばれば減点なし


以上の減点をすべて合計しても17点、まだ1点余裕があります。
※減点を一個1点とした場合ですが‥。

500m泳げなかったり、5分間立ち泳ぎができなかったり、潜行25mの途中で浮き上がったり、
C・D・Eで溺者を運んでこれなかったりした場合に不合格になるのかどうかは分かりません。


しかし、 500m泳・立ち泳ぎ5分・潜行25mをこなし、
C・D・Eで溺者をなんとかプールサイドまで運んでくれば、実技は合格することになります。

安心して実技考査を受けてください。


c学科テストを甘く見るな


学科テストも80点で合格です。

テスト形式は 虫食い穴埋め・正誤〇×・要件列挙。
問題用紙はA3一枚。

テキストには大切な部分がピンクの枠で囲ってあります。
ここの単語を覚えておけば大丈夫です。


しかし、この試験を甘く見てはいけません。
問題数が少ないので、一問  2点〜4点。
一問 4点の要件列挙を 5問と、一個2点の虫食い・穴埋めを一カ所間違ったらアウトです。

学科テストで不合格なら、実技が満点でも不合格。
再度、四日間の 「 雨にも負けず、風にも負けず 」 の講習を受けなければなりません。


難しい学科テストに不合格なら諦めもつきます。
しかし、「 少しテキストを読み込めば、誰でも簡単に合格できる 」 学科テストに不合格になたっら悔やんでも悔やみきれないでしょう。

今回の講習にも 『 学科で落ちて、講習を受け直し』 という參加者がいました。


私も学科をチョット甘くみて冷や汗をかきました。

合格・不合格が分かるのは講習受講後2週間〜1カ月後です。

多分、80点は超えていると思いますが‥。


d.講習で苦労したくなければ “ 巻き脚 ” と “ 逆あおり ” のマスター


上で、『 500m泳げて、25m潜れて、水面に5分間両手と顔を出せて、溺者をなんとか引っ張ってくれば、実技は合格する 』 と書きました。

しかし、時間的余裕があるなら “ 巻き脚 ” と “ 逆あおり ” をマスターしておくことです。
講習と考査で苦労しなくて済みます。


“ 巻き脚 ” とはシンクロ選手でおなじみのキック法です。

両脚を開き、膝から下を 交互にまわして推力を作る方法です。
膝から下を回してスクリューにするのです。

このスクリューを下に向ければ上体が浮き、前に向ければ後へ進むことができます。
今問題となっているオスプレイと同じです。


上体が安定しているので水上作業をするときに便利です。
異なる搬送方法のつなぎや、後に下がる搬送 ( ヘッドキャリー・リヤキャリー ) に用います。

“ 5分の立ち泳ぎ ” も楽にこなせます。


“ カエル脚 ” でも巻き脚の代わりになります。

溺者の顔を 「 ボコン ボコン 」 と水中に沈めることになりますが、プールサイドまで引っ張ってくることはできます。
頭が上下し、プールの中を動き回ることになりますが、5分くらいなら立ち泳ぎができます。

しかし、見た目にも格好が悪いし、何より体力の消耗が激しくなります。


巻き脚の練習は 「 膝から下を回すこと 」 から始めます。

プールに背を向けてプールサイドにつかまり、膝から下を回す練習をします。
ある程度回せるようになったら、深いプールで両手を水面に出して脚を巻いてください。
浮けるはずです。

浮けるようになったら、脚の回し方・巻き方をいろいろ工夫してください。
浅いプールでできなければ本当の巻き脚とは言えませんが、そこまでにならなくても講習や考査では随分と楽になります。


なお、研究熱心のあまり、水中からシンクロ選手の脚の動きを観察することはやめましょう。
確実に “ 変質者 ” と見られてしまいます。


もう一つマスターしておきたいのが “ 逆あおり ” です。

“ 逆あおり ” とは横泳ぎの脚を上下逆にしたキック法です。

“ 逆あおり ” のやり方は、
@足を上下に揃えて曲げる。
A上側の脚を後へ引いて足の甲を伸ばし、下側の脚を前へ出して足裏を出す。
B上側の脚と下側の脚で水を挟む ( 上側の脚はスネと足の甲で水をとらえる )

上側の脚を後へ引くのは、 「 脚が溺者に当たらないようにするため 」 ・ 「 体を溺者の方に開きやすくするため 」 です。


“ 逆あおり ” は巻き脚より推進力が大きく、チンプル・クロスチェスト・ヘッドキャリー・ヘァキャリーなどほとんどの搬送方法に使います。

講習を受けるために必要な泳力の中に 、“ 横泳ぎ25m ” があるのは、この “ 逆あおり ” を講習で教えて使えるようにするからです。


講師は 『 簡単ですよ。横泳ぎの脚を上下反対にしただけです。
             “ イチ ” で両脚を曲げる、 “ ニッ ” で上の脚を後へ引いて両脚を開く、 “ サン ” で両脚を閉じる。』

器用な者はこれでマスターします。
しかし、不器用な者は一日や二日でできるようになりません。

あらかじめ練習しておいた方がよいでしょう。


練習のポイントは、
・ 後へ引いた上側の足の甲を伸ばし、足の甲・スネ・大腿部で水をとらえる
・ 上体を垂直に立てる ( 上体と脚は腰の部分で直角に曲がる )
・ 右脚が上の場合と左脚が上の場合の両方できるようにする

逆あおりは特殊な泳ぎできすから指導してくれる人が少ないと思います。
やり方を教えてもらう場合はプール監視をしている者に頼みましょう。


e..年配の方もぜひチャレンジ


今回の講習參加者は18名。
30歳代・40歳代が二〜三名、私と同年代らしい參加者が二名、あとは20歳代。

同年代の參加者に年齢を尋ねると 『 57歳と58歳 』

やはり “ 最高齢者 ” でした。

しかし、 『 前回の講習では71歳の參加者がいた 』 とか。


51歳のときにライフセーバー講習を受けて珍しがられましたが、日赤の救助員講習では61歳なんかまだまだ。

年配の方もぜひチャレンジしてください。


こちらが 「 珍しがられて講習を受けて 」 取得したライフセーバー資格証です。

f.おまけ動画


・ ビデオテープ ( VHS ) からのコピーですから画質が非常に悪くなっています。
・ 「年配者が頑張ってやっと講習をうけている」という構成になっています。
・ 実際はそうではありません。成績は中位です。
・ 警備員になったばかりなので、職業はアルバイトの 「 プール監視 」 としました。

※動画アップロードがうまくできません。
   観たい方は、ビデオファイルをダウンロードして再生してください。
   ファイルは圧縮してあります。
   保存 ( ダウンロード ) 後、ダブルクリックで解凍してください。



  

   再掲・転用はしないで
ください。

期限切れになっています。
もう取り直しをする体力はありません。



ここからは、講習を受けている方・これから受けようとする方のための説明です。

4.救助法実技テストの内容とポイント


この講習は三度目なので実技テストの内容とポイントは心得ています。
しかし体力はこの10年で確実に衰えています。

しかも、準備期間は一カ月。
ここ五年ばかりプールにご無沙汰でしたので少々苦労しました。

実技テスト各種目の内容と練習ポイントを書いておきます。
これから、この講習を受ける方は参考にしてください。


a.500m泳


テストではクロールか平泳ぎのどちらかで泳ぎます。

しかし、講習では 『 まず、アップをやりましょう。 クロールで500m泳いでください!』

クロールの苦手な方は練習しておきましょう。


また、受講者は大半がクロールで泳ぎます。

平泳ぎだと後から出発した者に追い抜かれ、500mを泳いだ時には 皆から 「 よく頑張りましたネ 」 の拍手をしてもらえます。
この “ 屈辱の拍手 ” を受けたくなければクロールで泳ぎましょう。


b.潜行25m


年齢とともに衰えるのが持久力。
今回はちょっと苦労しました。


イ.息苦しさに耐えるには


人間の脳は肺の中の二酸化炭素が増えると 『 呼吸しなさい 』 という指令を出します。
これが “ 息苦しさ ” です。

息苦しさは、「酸素が減ってきている 」 という信号に過ぎません。
この信号にすぐに従わなくても脳が酸欠になることはありません。


潜行25mはたかだか1分。
1分くらい息を止めていても失神することはありません。
まずは、この “ 息苦しさ ” に耐えることです。


・ 「 この息苦しさは単なる信号だ。無視していても大丈夫だ。」 と言い聞かせる。
・ 「 息苦しくて当たり前だ 」 と覚悟する。
・ まったく別のことを考える。

このように、「 息苦しさを忘れよう 」 と思ってはいけません。
「 息苦しさを忘れよう 」 と思うこと自体が 「 息苦しさにとらわれている 」 ことなのです。


「 息苦しさに耐える」 のではなく 「 息苦しくなるだろうことを忘れる 」 のです。
自分を魚だと思ってください。


自分の番がきたら、二〜三回深呼吸をしてそのまま潜行を開始。
途中で 「 息を止めていること 」 に気がつきます。
息苦しさを少し感じますが、もう残りは5mになっています。


ロ.練習のポイント


@ 「 平泳ぎの手のかき・脚のけり 」 を使う場合のポイント


バタ足だけ・ドルフィンキックだけでも25m潜行はできます。
しかし、一番多用されるのは平泳ぎのストロークです。

私は一回目の講習ではドルフィンキックだけ、二回目の講習と今回は平泳ぎのストロークを使いました。


ポイントは、

・ 脚を曲げたらすぐに蹴る→曲げた脚が抵抗になる
・ 蹴ったら斜め下に両手を伸ばして伸びる→斜め下でないと浮き上がる
・ 体が止まる前に大きくかく→肩を入れて両手を一伸びさせ、そこから180度を一気に太股までかく
   →両手は太股につけて “ きおつけ ” → このときの姿勢は顎を引いて “ たこ ” になる
・ 蹴りで進むのは 1 、かきで進むのは 9 。蹴りでストリームラインを作って、かきで一気に進む
・ スピードが落ちないうちに次の動作に移る→体が止まるまで伸びていてはいけない
・ プールの底スレスレに進む


A 25mプールで、「 何ストロークで向こうまで潜行できるか 」 を数えておく

・ これを知っておかないとプールの向こうの壁に頭をぶつけてしまう
・ 私の場合は8ストローク、8ストローク終わるまでは絶対に前を見ない
・ 不用意に前を見て、プールの向こう側がずっと先にあると一気に息苦しくなる


B本番は頭から垂直に潜ってから潜行

・ テストではヘッドファーストダイブ ( ジャックナイフ ) で頭から垂直に潜ったあと25mを潜行
・ ヘッドファーストダイブで労力を使うとすぐに息苦しくなる
・ 立ち泳ぎから腕を前に伸ばして伸びる→伸ばした腕を太股までかいて、 “ きおつけ ”
  →上体を90度折り曲げる→腕を伸ばして真下に潜る ( 脚を真上にはね上げなくても体は沈む )
  →潜ったら腕を前に出して一蹴りで体を水平にする→通常の潜行開始
・ この一連の動作をスムーズに行えるようにしておく


C練習では必ず成功させる

・ 練習では確実に成功させる→「 できる 」 という自信が息苦しさを忘れさせる
・ 「 失敗するかもしれない 」 という不安は息苦しさを倍加する
・ 潜行フォーム・ストローク練習やヘッドファーストダイブの練習は何度も必要だが、本番を想定しての練習は一日一回・必ず成功させる


※テストは50mブールの中央水深1.9mの所からスタートでした。
   水深2.5mの50mプールの場合はプールの底に沿って進むと、水圧でストロークに力が必要となります。
   この場合はどのくらいの深さで潜行するかがポイントとなります。
   講習が開催されるプールの深さを調べて対策を立てておくことが必要です。


c.溺者の搬送 ( キャリー ) 三種類



@順下→顔上げクロール→溺者の後から接近→防御の姿勢→チンプル→逆あおりで搬送→リヤキャリーに変更→巻き脚で搬送→プールサイドへ

A順下→顔上げ平泳ぎ→溺者の前から接近→防御の姿勢→溺者の対角線上の手を取る→自分の方向に引っ張る→チンプル→逆あおりで搬送
   →チンプルと反対の手でクロスチェスト→逆あおりで搬送→プールサイドへ

Bレスキューチューブを持って順下→顔上げクロール→溺者の後から接近→チューブを溺者の腰に当てる→リヤキャリーで搬送→プールサイドへ


次のような点に注意します。


( 防御の姿勢 )

・ 防御の姿勢は溺者の1.5m手前→遠すぎては意味がない


( チンプル・リヤキャリー・クロスチェストキャリーの関係 )

・ 搬送方法は変わっても、溺者の体位は変わりません。溺者は仰向けに浮いた状態です。
・ 溺者との位置を変えるのは救助者の方です。

・ 左手でチンプルなら、救助者は左手で溺者の顎を確保して、左前腕・左肘・左上腕で溺者の頭 ( 首 ) を固定し、顔 ( 左 ) を溺者の顔 ( 右 ) に付ける。
・ リヤキャリーなら、溺者の後頭部 ( 首 ) に救助者の鎖骨部を当て、顔 ( 左 ) を溺者の顔 ( 右 ) に付ける。
・ 右手でクロスチェストなら、右腕を溺者の左脇に差し込み溺者を固定し、右上胸部を溺者の顔 ( 右 ) に付ける。

・ 進行方向は、逆あおりを使うチンプル・クロスチェストでは救助者の両肩を結んだ線の方向。
・ 巻き脚・踏み脚で後退するリヤキャリーでは、救助者の背後 ( 溺者の中心線の方向 )

この点を注意して、この三つの搬送方法を検討していきましょう。


( チンプル )

・ チンプルは 「 手・前腕・上腕 」 の三角形で溺者の顎 ( 顔・首 ) を固定→溺者の首は救助者の上腕に乗る
  →左手でチンプルすれば、 「 溺者の頭→救助者の左肩→救助者の頭 」の順になる
・ チンプルの目的は 「溺者の顎を上げて気道を確保すること 」 と 「溺者が暴れないように溺者の首を固定すること 」
  →チンプルが緩むと溺者に抱きつかれる→溺者が動けるようではダメ
 ・ チンプルで搬送する時に、チンプルが緩まないように気をつける


( チンプルでの搬送 )

・ 溺者をチンプル→溺者と救助者の体の方向が一致→逆あおりは救助者の肩の方向に進む
  →左手チンプルなら、救助者の右肩の方向に進む→溺者は横になったまま搬送されることになる
  →溺者を背後に引っ張ろうとするとチンプルが緩んでしまう。

・ チンプルしたあとすぐに逆あおりを使わない→巻き脚でゆっくりとスタートしたあと逆あおりにスイッチ
  →すぐに逆あおりでダッシュすると溺者は目一杯水を飲まされる


( リヤキャリー・クロスチェストへの変更 )

・ 溺者の体位は変わらない→溺者は仰向けになったまま→救助者が体位を変える

・ 「 左手チンプル→リヤキャリー 」 なら→左手チンプルで溺者の頭は救助者の左肩口にある
  →リヤキャリーになると溺者の頭は救助者の左肩にくる→この分だけ救助者が左に動くことになる

・ 「 左手チンプル→右手クロスチェスト 」なら→左手チンプルで溺者の頭は救助者の左肩口
  →救助者は左手チンプルのまま右腕を溺者の左脇に差し込む→左手チンプルを外す
  →溺者の右側頭部は救助者の右胸上部 ( 右肩下部 ) に当たるようにする
  →救助者は 「 浮いている丸太を右腕で抱えて運ぶ 」 ような感じとなる
  →溺者の体の縦方向と救助者の肩の方向が一致→溺者は頭の方向に進むことになる


( リヤキャリーの巻き脚 )

・ 巻き脚後退は逆あおりより推力が小さい→チンプル・逆あおりでスピードを充分乗せてからリヤキャリー・巻き脚にスイッチする
  →巻き脚が苦手なら、チンプル・逆あおりで半分以上運んでからリヤキャリー・巻き脚にスイッチする

・ 巻き脚後退では救助者は上体を立てる→推力を得ようと体を寝かすと、溺者が上に乗っかかってくるので余計推力が落ちる


( 逆あおり・巻き脚 )

・ 「 キャリーがしんどい 」 ・ 「 溺者役に水を飲ませる 」 →逆あおりと巻き脚が下手だから→しっかり練習しておきましょう


d. 離脱


テストは 「 前から抱きつかれた場合・後から抱きつかれた場合・片手を両手で掴まれた場合 」 の中から一つ
今回は受講者の多数決で決めました。
前から抱きつかれた場合 ( 前首 ) が簡単なので、挙手前に大きな声で 『 前首!』
それにつられてか前首に半数以上が挙手。


( 前首 のポイント )

動作は二つ。
水上での動作 ( 前半 ) と 水中での動作 ( 後半 ) 。

前半は、

溺者が前から救助者のクビにしがみつく→救助者は顎を引いて自分の首を締められないようにする
→息を整える→両腕を体側に付けてきおつけをする→体側に付けた両腕を180度かいてバンザイをする→溺者と一緒に水中に沈む

後半は、

水中で救助者は、上に上げた右手を自分顔と溺者の顔 ( 右ほほ ) に差し込む→左手は溺者の右肘を下から掴む
→救助者は右手で溺者の顔を押して溺者を遠ざける→者の右肘を掴んでいる左手を上に押して、溺者を水面に押し上げる


前半で救助者は溺者と一緒に沈まなければなりません。
一緒に沈まないと、 『 フィートファーストダイブができていない 』 と減点されます。

溺者役が救助者にしがみつくのが弱いと、二人で沈むのに大きな力が必要です。

また、しがみつきが緩いと、救助者だけが沈んで後半の離脱動作ができません。

溺者と一緒に沈むことができても、離脱動作が甘くなります。


溺者役は救助者にしっかりと抱きつくこと。
抱きついたら、上から体重をかけて救助者を水中に沈めるようにすることが必要です。

溺者役がよかれと思って抱きつくのを緩くすると、救助者役の者が減点されます。


なお、キャリーで溺者役がスカーリングやキックをして、救助者役の搬送を手助けすると救助者役は大きく減点されます。

溺者役の協力は、 「 水平に浮くこと 」 ・ 「 チンプルでの搬送開始時に少し勢いをつけてやること 」 に止めておきましょう。
あとは救助者役のために、プールサイドまで息をとめて 「 顔水没 」 に耐えること。

講習ではたっぷりと水を飲まされます。

“ お互いさま ” ですね。

2012.07.11


2012.07.26 付記



救助員Tの認定証が届きました。


定年退職後、プールデビューをしたお兄様方。

マスターズ出場は定番ですが、こちらの資格講習もお勧めします。

『 まだまだ、若いモンには‥。 』 という気力のある方には、救助員Uの資格講習もあります。


救助員Uの上には講師の資格講習もありますよ!



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