プール監視は警備業務-2012.6.25警察庁通達


SPnet  開業編




 21.警察庁通達 「 プール監視は警備業務 」 -- 9月の立ち入りでは指示処分・営業停止・認定取消しが続出?



読者の方より 「 プール監視は警備業務となった 」 という情報をいただきました。

調べてみると、警察庁が6月25日付けで通達を出していました。→→→警察庁通達  と   7月11日付け毎日新聞記事


夏休みも始まり、あちらこちらのプールがオープンしています。

6月25日の通達ですから、 「 現在プール監視業務を請け負っている業者さんはすべて警備業者でなければならない 」 ということになります。

警備業の認定を受けていない業者がプール監視業務を請け負っている場合は警備業法違反となります。

公共入札等で 発注者が 「 警備業者であることを受注要件としていない場合 」 は発注者の責任も問われます。



『 大丈夫!うちはちゃんと警備業の認定を受けているから!』


しかし‥、プール監視員の新任教育や現任教育は済ませていますか?
心肺蘇生法やAEDの使い方ではなく、警備員としての新任教育30時間と現任教育8時間のことですよ。


プール監視者のユニホームの服装届けはしてありますか?


契約前書面と後書面は交付してありますか?


警備員名簿・誓約書・欠格事由確認措置書面・教育計画書・教育実施確認書・指導計画書は備えつけてありますか?


18歳未満の高校生にプール監視をさせてはいないでしょうね?


細かいところまでつつけば、どれだけでも警備業法違反が出てきます。



『 警備業法違反は罰金だけだ 』 と軽く考えていませんか?

警備業法違反で罰金刑を受ければ、認定取消し・5年間の警備業界からの追放が待っています。
今後、5年間はプール監視業務を受注できなくなりますよ。


9月の “ 立ち入り ” では行政処分の大盤振る舞いになる可能性大。


『 うちは6月の立ち入りで何もいわれなかったから‥。』

もっと怖いですね。

通達は6月25日。
所轄警察は6月の立ち入りでこの通達を知りません。

『 立ち入りOKだったから 』 とそのままにしておいたら、来年6月の立ち入りで 「 一年分まとめて警備業法違反 」。


もしかして、狙いは 「 警備業認定を受けているプール業者 」 なのでは‥。

いわゆる 「 副業警備業者潰し 」なのでは?


ここでは、警備業の認定を受けていない業者さんも含めて、注意する点を書いていきます。



1.プール監視が警備業法の適用を受ける場合と受けない場合


a.プール監視 は 施設警備業務 か雑踏警備業務のどちらか


警備業務とは次の四つのものです ( 警備業法2条1項)


事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務 ( 施設警備-1号業務 )
人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務 ( 交通・雑踏警備-2号業務 )
運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務 ( 運搬警備-3号業務 )
人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務 ( 身辺警備-4号業務 )

プール監視は施設警備か雑踏警備に該ります。
普通のプール監視が施設警備、たくさんの人が集まる遊園地のプールでは雑踏警備でしょう。

身辺警備は特定の人を対象にしていますから、一般人を対象とするプール監視には該りません。


※今回の通達でも、1号業務・2号業務に該るとしています。
「‥当該プール施設内における事故の発生を未然に防止するために必要な措置をとること(雑踏整理、遊泳秩序維持、盗難防止等)を主な任務とし、
  事故が発生した場合には人命救助等をも行うものとして、警備業法第2条第1項第1号又は第2号に該当し、警備業務に当たると解される‥」


b.「自分のために行う」場合は警備業務ではない


ただし、警備業務は 「 他人の需要に応じて行うもの 」 です。( 警備業法2条1項本文 )

「他人の需要に応じて行う 」のではなく、 「自分の必要なために行う 」 ものは警備業務ではありません。


たとえば、スポーツクラブのプールをスポーツクラブの従業員に監視させる場合、
市営プールをその市が雇った監視員に監視させる場合は 「 自分のために行うもの 」ですから警備業務に該りません。

プールの指定施設管理者が監視員を直接雇ってプール監視する場合も 「 自分のために行う もの 」であり警備業務に該りません。

しかし、スポーツクラブ・市・指定管理者からプール監視業務を受注(請負)した場合は、「 他人の需要に応じて行うもの 」 ですから警備業務に該ります。


c.「 営業 」でなければ警備業法の適用をうけない


a と b の要件を満たせば警備業法に定める警備業務になります。

つまり、「 他人の需要に応じてするプール監視 」は警備業務です。

それが有償か無償かは関係ありません。


しかし、警備業法がいろいろな制約や義務を課す相手は、警備業者と警備業者に雇われている警備員です。

警備業者と警備員について警備業法は次のように定めています。

@ 「警備業」とは、警備業務を行なう営業をいう。( 警備業法2条2項 )
A「警備業者」とは、第四条の認定を受けて警備業を営む者をいう。 ( 警備業法2条3項 )
B「警備員」とは、警備業者の使用人その他の従業者で警備業務に従事するものをいう。 ( 警備業法2条4項 )


これを説明しましょう。


@について

「 営業 」 とは 「それによって お金をもらうこと 」 です。

※「営業」とは、営利の目的で同種の行為を反復継続して行うことをいう ( 警察庁解釈・運用基準 )

有償で警備業務を行う場合が警備業、無償で警備業務を行う場合は警備業ではありません。

「 他人の需要に応じてするプール監視 」は有償であろうと無償であろうと警備業務です。
しかし、有償で行う場合にだけ警備業となり警備業法の適用を受けます。

ただ、上の警察庁解釈では「営業とは‥同種行為を反復継続して行うこと」としていますから、
有償であっても、突発的に臨時に行う場合は警備業とはされず警備業法の適用を受けないでしょう。

たとえば、あるプールで地域の水泳大会がある。

この日だけプール監視を行う場合は、それが有償であっても警備業とはいえず警備業法の適用を受けないでしょう。

ただし、そのような短期・臨時のプール監視をいろいろなプールから受注している場合は営業に該ることになります。

なお、警察庁の解釈運用基準は「単なる警察庁の解釈」に過ぎませんので、
裁判で争いになったときに、警察庁の解釈通りの判決がでるかどうかは別問題です。


無償で行うプール監視は臨時であれ反復継続であれ、営業ではないので警備業には該りません。
もちろん、警備業法の適用は受けません。

学校のプールを生徒の父兄がボランティアで監視する場合は警備業法の適用を受けません。
ライフセーバーの海水浴場監視もはボランティアなので警備業法の適用は受けません。


Aについて

「 他人の求めに応じて、お金をもらって警備業務をする 」 ためには公安委員会の認定を受けなければなりません。
この警備業の認定を受けた者が警備業者です。


Bについて

警備業者が雇っている者のうち警備業務に従事する者が警備員です。
正社員であろうとアルバイトであろうと同じです。

警備業者の指揮命令に服していれば警備員です。
雇用関係があるかどうか、給料をもらっているかどうかも関係ありません。

プール監視業者が有償でプール監視を請け負い、ボランティアの監視員だけを使ってプール監視をした場合、
そのプール監視業者だけでなく、ボランティアの監視員も警備業法の適用を受けます。
( このあたりを指導教育責任者資格の試験問題にしたらおもしろいですね。)


d.要するに何がOKで、何がNOなのか


問題は、 「 どのような者がプール監視をした場合に警備業法の適用を受けるか 」 です。

警備業法の適用を受ける者

・ プール監視を有償で請け負ってその業務を行う者 ( 警備業を行う者 )
・ その者の指揮命令下でプール監視を行う監視員 ( 警備員 ) ※有給・無給は関係なし・・ボランティアでも

警備業法の適用を受けない者

・ 自社のプールを監視する者 ( 自分のためにプール監視をする者 )
・ この者の指揮命令下でプール監視を行う監視員 ※有給・無給は関係なし

・ プール監視を無償で請け負ってその業務を行う者
・ その者の指揮命令下でプール監視を行う監視員 ※有給・無給は関係なし


警備業法の対象は、

まず、「 他人の求めに応じて、営業として警備業務を行う者 ( 警備業者 ) 」 です。

「 他人のために、お金をもらってするのだから、いい加減なことをしてはいけないぞ! 」 と法律 ( 警備業法 ) で規制しているのです。


次に、「 その警備業者の指揮命令下で実際に警備業務を行う者 ( 警備員 ) 」です。

その警備員がお金をもらっているかどうかは関係ありません。



※警備業については→→→こちらも参照



2.警備業法の適用を受けるとどうなるのか


警備業者と警備員は警備業法によりいろいろな制約と義務を課せられています。

しかし、その制約と義務のほとんどは警備業者に課せられるものです。

警備員に対する制約と義務は警備業者に対する制約と義務を通じて行われています。

たとえば、

警備員の欠格事由は 「警備業者は このような者に警備業務をさせてはならない 」 という義務や、
「 採用時に欠格事由に該るかどうかを確認した書面 ( 欠格事由確認措置書面 ) を作成し備えつけなければならない 」 義務。

「 警備員が定められた服装や護身用具を用いなければならない 」 という義務は、
「 警備業者がそれをあらかじめ公安委員会に届けなければならない 」 という義務。

これらに漏れた警備員の義務は 「 両罰規定により警備業者も罰する 」 ことで担保しています。
警備員が警備業法に反した場合、警備業者も警備業法違反になるのです。


警備業法の規制はがんじがらめで非常に強いものです。

「 罰金=認定取消し・追放 5 年 」 です。
罰則規定がない場合でも、営業停止だけでなく認定取消し・追放 5 年までもっていける余地を残しています。


警備業が認可制で、 「 一定の要件を満たせば認可しなければならない 」 ことと関係しているのかもしれません。

警備業法が制定される昭和47年以前、警備業には何の制約もありませんでした。
警備業法が制定されて警備業が届出制になり、昭和57年の改正で認可制になりました。

警備業が認可制になってからすでに30年。
この先、警備業が許可制になるのは時間の問題でしょう。


「 既存警備業者の利益を守り、過当競争を廢し警備業者と警備員の質を向上させること 」 は社会の利益にもつながります。
‥という大義名分があります。

当局としては、 「 これから先、できるだけ警備業者の数を増やさない・今ある警備業者の数をできるだけ減らす 」 ことを目指しているものと考えられます。

これから警備業者になり、これからも警備業者であり続けるためには、 「 どんな小さな違反も起こさない 」 という強い自覚が必要でしょう。



a.警備業を行うには公安委員会の認定を受けなければならない


警備業法は警備業を行えない者 ( 警備業者の欠格事由 ) を定めています ( 警備業法3条 )。

また、警備業を行う者 ( 警備業者 )に警備員を教育・指導する義務を課しています ( 警備業法21条〜)。


警備業を行う者は 「 自分が警備業者として欠格事由のないこと 」 と 「 警備員を教育する者を確保していること 」 について、
あらかじめ公安委員会にチェックしてもらわなければなりません。( 警備業法4条 - 警備業の認定 )


この認定を受けないで警備業をやると警備業法違反となり100万円以下の罰金 ( 警備業法57条1号 )となります。


問題は罰金だけでは収まりません。

警備業法違反で罰金刑を受けた場合は、 「 警備業者・警備員の欠格事由 」 に該り 警備業界から 5 年間追放されます ( 警備業法3条2号 )

認定が下りていればその認定は取り消され ( 警備業法8条 ) 、認定が下りていなければ 5年間認定は下りません。


プール監視業務を受注した業者が 「 警備業の認定を受ける前にプール監視業務を一日でもしたら 」 100万円以下の罰金と追放 5 年です。

以後 5 年間は警備業の認定を受けられませんから、 5 年間はプール監視業務を受注できなくなります。


( もうすでに警備業法違反 - 警察はスタンバイ )


公共プールのオープンはだいたい7月1日から。

警備業の認定は1カ月くらいかかります。
6月25日通達では間に合うわけはありません。


しかも、「 プール監視が警備業務に該る 」 という警察庁の解釈は全国警備業協会NPO法人日本プール安全管理振興協会に知らせただけ。


警備業協会って単なる民間団体ですよ。

警備業協会に入っていない警備業者はたくさんいます。

ましてや、警備業の認定を受けていない業者は警備業協会など無縁でしょう。


NPO法人日本プール安全管理振興協会って知ってます?

警察OBと関係ある協会ですか?

日本水泳連盟日本スイミングクラブ協会はよく知られていますがねぇ。

プール監視を請け負っている業者さん、このNPO法人から連絡はありました?



警察庁のこの通達を知らないプール業者はたくさんいるでしょう。


現段階で警備業の認定を受けずにプール監視業務を行っている業者さんはたくさんいるでしょうね。

もう、あなたは警備業法違反をしてしまったのです。
後戻りはできません。

警察はそんなあなたを、明日にでも 警備業法違反で摘発し、 罰金100万円 ・ 警備業界から追放 5年 を行えるのです。


( 法律が変わったわけではない )


ここで一つ注意しておいてほしいことがあります。


6月25日に新しい法律ができたわけでも警備業法が改正されたわけでもありません。


警備業法は昭和47年に制定され、昭和57年の大改正で警備業が認可制となりました。

それ以来、警備業務・警備業・警備業者・警備員の定義規定 ( 2条 ) ・ 警備業の認定 ( 4条 ) などは変わっていません。


つまり、 「 プール監視業務が警備業務に該ること 」 は昭和47年から、
「 プール監視を有償で請け負う場合は警備業の認定が必要なこと 」 は昭和57年から変わっていないのです。

今回の警察庁の通達が出ようと出まいと、
警備業の認定を受けずに有償でプール監視を請け負って業務を行えば、警備業法違反で 「 罰金100万円と追放 5 年 」 なのです。


( 警察庁の通達ってなに? )


警察庁の通達は単なる警察庁の警備業法解釈です。

警察庁が全国の警察署に 「 こういう解釈で警備業法を運用せよ 」 と意思統一をしているだけです。

それは法令でも裁判例でもありません。

警察庁の通達は全国の警察署の行動を規制するもので、国民を規制するものではありません。


警備業の認定をうけないでプール監視業務をして警備業法違反を問われた場合、裁判で争うことができます。

しかし、どう解釈してもプール監視は警備業務です。

争っても勝ち目はありません。


( 6月25日 通達の意味するもの )


警察庁はなぜ、わざわざこんな通達を出したのでしょう

今まで警察がプール監視業務を大目に見てきたからです。


警備業法 2 条を見れば、プール監視が警備業務に該ることは明白です。

そして、警備業法が有償のプール監視業務を規制対象にしているのは誰にでも分かります。

どんな経緯があったのか分かりませんが、なぜか警察はプール監視業務に対して警備業法を適用してこなかったのです。
「 適用しなかった 」 というより 「 現場の警察署に適用を強く指示しなかった 」 のです。


ところが昨年、公立小学校のプールで死亡事故が発生しました。

このプール監視業務を請け負っていた業者は警備業の認定を受けていませんでした。
しかも、その業者の仕事はずさんなものでした。

そして、プール監視業務を大目に見てきた警察に批判が集まったのです。


ここになって、警察はやっと 腰を上げたのです。

昭和 47年から40年間 大目に見てきたプール監視に対し、
「 警備業務に該るので警備業法を適用せよ 」 と全国の警察署に強く指示したのです。


つまり、今回の通達は 「 警察による取締開始の宣言  」 なのです。


そして、すでに全国のプールではあちらでもこちらで警備業法違反が続出。

「 違反になることを知らない 」のだから歯止めがかからない。

そして警察はいつでも摘発できる準備を整えたのです。


( すぐに警備業の認定申請をしましょう )


警備業認定を受けていない業者さんはすぐに認定申請をしましょう。

「今まで認定を受けないでプール監視をしていたこと 」 を問題にするかしないかは警察の胸三寸。

今までの警備業法違反は警察に任せて、これから先に警備業法違反をしないことが大切です。


まず、1号指導教育責任者資格者証保持者を1名雇いましょう。
できれば、1号と2号の資格者証保持者がよいですね。

15万円〜20万円で雇えるのではないでしょうか?

そして、認定申請をしてください。
警備業務区分 1 号での認定申請です。
一カ月くらいで認定が下ります。

認定申請に必要なのは、申請書のほか会社役員の誓約書と診断書。
指導教育責任者の資格者証・誓約書・診断書。

申請費用は2万3千円。
申請先は所轄警察署の生活安全課警備業係。

とても簡単です。
申請手続、警備員教育、書類作成は指導教育責任者がすべてやります。

手続のやり方や書式については当ホームページに詳しく説明してあります。


※認定申請については→→→こちらも参照
※警備業認定については→→→こちらも参照




警備業法の制約は認定だけではありません。

認定を受けた後もいろいろな制約や義務を課せられます。

これらに反すると、罰金・営業停止・認定取消し・追放 5 年が待っています。

ここから先は、警備業の認定を受けているプール業者さんも必読です。



b.警備業者は、警備員になれない者に警備業務をやらせてはいけない


プール監視が警備業務なら、プール監視員は警備員です。
プール監視員は警備員として警備業法の規制を受けます。


警備員になれない人がいます。( 警備業法14条・3条1号〜7号 - 警備員の欠格事由 )

主なものは、
・ 18歳未満の者
・ 禁固刑以上・警備業法違反で罰金刑を受けて無罪放免とはなってから5年以内の者
・ アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者


警備業者は警備員の欠格事由に該る者に警備業務をさせてはいけません ( 警備業法14条2項 )


18歳にならない高校生にプール監視をさせると警備業法違反となります。


警備員の欠格事由に該る者に警備業務をさせた場合、罰則はありませんが警備業法に反したとして行政処分を受けます ( 指示処分・営業停止-警備業法48条・49条 )。

さらに、この違反が警備業者の欠格事由 ( 警備業法3条1項3号 ) に該れば、認定取消し ( 警備業法8条1項2号 ) と警備業界追放 5年となります。


※警備業者・警備員の欠格事由については→→→こちらも参照


c.警備業者は、警備員教育をしなければならない


プール監視をする者には事前に警備員教育をしなければなりません。 ( 警備業法21条 )

採用時に30時間 ( 新任教育 ) 、6カ月毎に8時間 ( 現任教育 ) が必要です。


教える内容・教える方法は警備業法施行規則で事細かく決められています。

新任教育と現任教育で何を何時間教えるかという計画 ( 教育計画 ) を3月1日以前と9月1日以前に書類で作成しなければなりません。

新任教育と現任教育を誰がどこで何を何時間教えたかという確認書 ( 教育実施確認書 ) も作成しなければなりません。


警備員教育を行わなかったこと自体には罰則はありません。

しかし、警備業法違反をしたことになり行政処分・認定取り消し・追放5年が問題になります。


教育をしても教育計画書や教育実施確認書を作成してない場合は30万円以下の罰金となります。

教育を行わなかった場合は教育計画書や教育実施確認書は作成していないでしょうから、書類作成不備で30万円以下の罰金です。

教育をしないのにしたように書類を作った場合も同様です。

警備業法違反で罰金を受ければ、認定取消し・追放5年となります。


※警備業法違反については→→→こちらも参照


d.警備業者は、教育担当者を置かなければならない


警備員教育の計画を立て教育を実施する責任者を 「 警備員指導教育責任者 」 といいます。

警備業者は警備員指導教育責任者を 「 各営業所に一名 」 置かなければなりません ( 警備業法22条1項 )。


警備員指導教育責任者は 「 警備員指導教育責任者資格者証を持っている者 」 しかなれません。

この資格は1号・2号・3号・4号の四種類あり、資格取得には各々の警備業務実績3年が必要です。


この指導教育責任者を確保していないと警備業の認定は下りません。

認定が下りた後も指導教育責任者は必要です。

指導教育責任者を欠いた場合は100万円以下の罰金・認定取消し・追放5年。

資格だけ借りてくることも御法度です。
警察庁の解釈運用基準は 「 常勤でなければならない 」 としています。

当然、別の警備会社で指導教育責任者をしている者を指導教育責任者とすることはできません。


通常のプール監視は1号業務ですから、この業務をやるためには1号指導教育責任者資格者証保持者を雇わなければなりません。


※指導教育責任者については→→→こちらも参照


e.警備業者は、服装届けをしなければならない


警備業者は警備業務を行う警備員の服装を、それを使用する前日までに公安委員会に届け出なければなりません ( 警備業法16条 )。

届出をしないで ・ 届出をする前に、警備員にその服装を使わせた場合は30万円以下の罰金・認定取消し・追放 5 年。


プール監視者の服装 ( Tシャツ・短パン・キャップ ) は写真入りで届け出ならないのです。

届け出た服装以外のものを身につけてプール監視をした警備員は警備業法違反となります。
この場合、両罰規定で警備業者も警備業法違反となります。


※服装届については→→→こちらも参照


f.警備業者は、契約の相手方に契約前書面・契約後書面を交付しなければならない


警備業者が契約を行う前と後には、 「 その契約の概要を記載した書面 」 を契約相手に渡さなければなりません ( 警備業法19条 )。

口約束によって顧客が騙されないようにするためのものです。

契約書を作るばあいでも、契約前書面と契約後書面を交付しなければなりません。


交付しなかった場合は100万円以下の罰金・認定取消し・追放5年。


最近、この書面交付違反チェックが厳しくなってきています。

プール監視業務を受注したときに契約前書面と契約後書面を交付していますか?


※契約前書面・契約後書面については→→→こちらも参照


g.警備業者に対する、書類作成義務・備えつけ義務・届け出義務・立入検査受任義務


営業所毎に備えつけなければならない書類があります。

書類に不備があると30万円以下の罰金・認定取消し・追放5年。


「 何を、いつまでに、どのようにして届けなければならないか 」 も定められています。

届け出なかったり嘘の届出をしたら30万円以下の罰金・認定取消し・追放5年


一年に一度、警察の立入検査があります。
これを拒むことはできません。



※立ち入りについては→→→こちらも参照


h.警備業者は、一定の警備には検定資格者を配置しなければならない


重要な警備業務には検定資格者を配置しなければなりません ( 警備業法18条-配置義務 )

高速道路・国道・主要道の交通誘導、雑踏警備、貴重品運搬、核燃料運搬などがこれに該ります。


人が集まる公園のプール監視は雑踏警備ですから、一区画に雑踏警備検定2級資格者が一人必要になります。

複数区画ある場合は、各区画を統括する責任者として、さらに雑踏警備検定1級資格者が必要となります。


配置義務違反に対しては罰則がありませんが、警備業法違反として営業停止・認定取消し・追放5年の対象になります。


なお、公共調達では法律上は配置義務がなくても業務受注要件として検定資格者を要求するのが一般です。
一般のプール監視は施設警備業務ですから、監視責任者には施設警備検定2級資格者が要求されるでしょう。


検定資格は指導教育責任者資格とは別のものです。

※警備員の資格については→→→こちらを参照



3.警備業の認定を受けていても すでに警備業法違反


( 生かすも殺すも警察次第 )


今、プール監視をしているアルバイトに30時間の警備員新任教育がしてありますか?

服装届なんかしてないでしょう?

契約前書面と後書面渡しました?


警備員名簿や教育計画書・指導計画書・実施確認書などは後から作ってごまかせるけれど、
新任教育と服装届と契約前書面は今からでは絶対に無理ですね。

プール監視業務を開始した時点で警備業法違反となっています。


警察はいつでも警備業法違反で営業停止・罰金・認定取消し・追放 5 年ができますね。

教育懈怠は罰則がないけれど、服装届と契約前後書面には罰則があります。
しかも、契約前書面・後書面の不交付は罰金100万円。
一気に認定取消しまで持っていけますよ。


もう 「 生かすも殺すも警察次第 」 なのです。


( 警察は “ ずるく ” はない )


『 ひとこと言わせてください!』

どうぞ。

『 警察は “ ずるく ” ないですか? 』

なぜですか?

『 だって、6月25日に通達を出したのでしょう? 7月1日のプール監視業務開始までに新任教育なんかできないじゃないですか!』

そんなことはないでしょう。
 7月1日からプール監視業務が始まるとして、 6月25日を含めないでも、7月1日まで5日間ありますよ。
  新任教育は30時間、4日間あればできますよ。
  教育は1000人集めても一度にできますからね。

『 しかし警察庁が通達をしたのは各警察署、通知をしたのは全国警備業協会とNPO法人日本プール安全管理振興協会だけでしょう?

  私がこの通達を知ったのは知ったのは 7月11日の新聞ですよ!

  7月1日までに5日間あるといっても、実際にはないのと同じじゃないですか!

 契約なんか6月25日以前にやってますよ!

 契約前書面なんか渡せるわけがないじゃないですか!

  こんなの “ だまし討ち ” ですよ。 どこかから圧力が掛かっていません?

  警察は警備業法違反を持ち出す前に、今回の通達を一般に周知させるべきでしょう ? 』


警察が今回の通達を周知しなかったのは “ ずるい ” というのですね?

『 そうです! 警察はずるいです。わざと警備業法違反をさせてそれを摘発しようとしているのです! ネズミ捕りや万引きGメンと同じじゃないですか!』


まあまあ、落ち着いて。

警察には 「 この通達を一般に周知させられない理由 」 があるのです。


警察庁の通達は法令ではありません。
一つの行政機関の解釈にすぎません。

『 警察はこの解釈で警備業法を運用するぞ。警察官は同じ取扱をするんだぞ!』 と警察内部の意思統一をしているだけです。


法令でもない単なる警察内部の解釈を国民に周知させたら、国民はそれに従ってしまうでしょう。
それに従わなければ警察に捕まるのだから当然ですね。

警察がそんなことをしたら、警察による実質的立法行為となってしまいます。
国民の権利を不当に制限するものとして憲法違反になります。

だから、警察は今回の通達を周知させることができないのです。


『 なにか、言いくるめられているような気がするなぁ‥。だって、警察は今まで見逃していたのでしょう? それを今になって‥。』


上記7月11日付け毎日新聞の記事によると、「 警察庁は2005年に “ プールの監視業務は警備業の一部と解釈できる ” との考えを示していた 」 とか。

それに 「 警察が今まで大目に見ていたこと 」 は警備業法違反をしたことの言い訳にはなりませんよ。

我々国民が従うのは国会で成立した法律であり、その解釈の正誤を判断するのは裁判所です。


しかも今回の警察庁通達は 「 誰が考えても正しい警備業法の解釈 」 ですよ。


( どうすればいいの? )


『 それではどうすればいいのですか? 』

既に警備業法違反をしてしまったのだから、それはもうどうしようもないですね。

『 そんな ‥、突き放さないでくださいよ‥。』


しかし、警察が実際に摘発に乗り出したら大変なことになります。

全国のプール監視業者の多くが 5 年間プール監視業務をできなくなりますからね。

これはプール業者の死活問題になりますね。


警察はそこまでやるつもりなのでしょうか?

単に昨年のプール死亡事故の非難をかわすためではないでしょうか?

それなら、『 今までの違反は大目に見るが、今後は警備業法違反で取り締まるぞ!』 ということでしょう。


もっとも、政府の不祥事があった場合に、 「 警察が全国的に取締を強化して国民の興味をそらせる 」 ことは時々ありますが‥。

民主党のシロアリ分裂や三党談合消費税増税、原発再稼動と関係しているのでしょうか?



とにかく、所轄の警察署に相談した方が良いでしょう。


新任教育をしないでプール監視業務をさせていても、すぐに警備員教育をすれば大目に見てくれるかもしれません。

18歳未満の者にプール監視をさせたり、服装届がまだだったりしても、それをやめたりすぐに届を出したりすれば許してくれるかもしれません。

契約前書面も何とか抜け道があるかもしれません。


警察も鬼ではありません。
自分を頼ってきた者に縄を打つことはしないでしょう。


しかし、所轄警察署も外部から密告があった場合は、心を鬼にして金棒を振り下ろさなければなりません。

早めの対策が肝要かと思います。


2012.07.21



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