SPnet  選任業務編





教育資料 - 自動火災報知設備 ( 自火報 ) の基礎の基礎


※初めに

ここでは自動火災報知設備 ( 以下では自火報 ) の仕組みについて基礎的なことを説明します。

自火報についてまったく知らない警備員を対象にしています。

作動説明を簡単にするために、機器を省略したり代表的な機器に他の機器の機能を含めたりしています。

システムは学校などの小規模建物に使われる次のようなものを取り上げました。
スプリンクラーは参考です。

・受信機/P型1級
・中継器/なし
・発信機/P型1級
・屋内消火栓/1号
・スプリンクラー/湿式
・防火シャッター/受信機の制御なし

受信機の機能については日信防災・BFAP128A /能美・FAP128Aのものを取り上げています。
同じP型1級であっても各種機能は同じではありませんのでご注意ください。


また、消防法など法的規制・基準については言及していません。

以上のような内容なので、消防関係の資格取得については役に立ちません。

なお、これはSPnetの教育資料です。内容の正確性は保証しません。
あくまで参考資料としてください。


※参考文献
・絵とぎ-消防設備のしくみ ・ 第1版第1刷 ・オーム社出版局
・消防設備アタック講座上下・5訂版 ・ 高木任之著 ・ 近代消防社
・個々の画像は消防設備メーカーサイトより拝借しました。



1.自火報設備の仕組み


a.感知器が知らせ、受信機が教える


・感知器は自動スイッチ ( 図のB2・B3 )

感知器は異常な熱・煙・炎を感じるとスイッチが入るようになっています。
感知器のスイッチが入ると電流が流れ、受信機へ知らせます。
感知器の仕組み


・発信機は手動スイッチ ( 図のB1 )

一般に非常ベルと呼ばれているものです。
これは異常を発見した人がスイッチを押して受信機に知らせます。


・受信機のすること その 1

受信機が感知器・発信機から知らせを受ける ( ①) と次のことをします。、

・受信機のベル ( A1/主ベル ) を鳴らす。
・どこの区域からの通報か表示する ( A2/地区窓 )。
・発信機が押された場合はそのことを表示する。
・その地区のベル ( C1/地区ベル ) を鳴らす。( ③ )

受信機はこのようにして、「どこで異常が発生したのか」を教えます。

ただ、受信機は教えるだけです。目覚まし時計と同じです。
現場に行って、異常の有無を調べたり消火活動や消防連絡をしたりするのは人間です。


b.消火栓連動


・受信機のすること その 2 - 教えるだけでなく準備する

受信機が発信機からの異常信号を受けると、ポンプのスイッチを入れて「消火栓がいつでも使えるよう」にします。( ②・④・⑤ )
これで消火栓 ( C4 ) はいつでも使える状態になり、バルブを開けば放水することができます。

受信機がポンプを起動させるのは発信機が押された場合です。
感知器の異常信号ではポンプを起動させません。

感知器の発報で現場に向かい火災であった場合は、発信機のボタンを押してポンプを起動しなければなりません。

※上図では「感知器の異常信号を受けてもポンプが起動する」ように思えますので注意してください。


・発信機と地区ベルと消火栓はワンセット

通常、B1発信機,C1地区ベル,C4消火栓は一つになっています。

  右側のボタンが発信機です。
 これを押すと、受信機がポンプのスイッチを入れ、ランプが点滅して「消火栓準備OK」を知らせます。
 地区ベルは左端にあります。

このタイプの消火栓を使用するには二人必要です。
一人は、ホースを 引き出して火災地点に走り、放水銃を構えます。
もう一人が、消火栓のところにあるコックを開きます。

 ホースを伸ばしながら放水して火災地点に行けるタイプもあります。
※2号消火栓/1号消火栓より少しパワーが低い。
簡易操作1号消火栓/1号消火栓と同じパワー 

・その他の協力

高性能な受信機ほどいろいろな協力機能を持っています。

受信機がどのような協力機能を持っているのか、どのような付属設備をに連動しているのかを知っておく必要があります。


c.独断行動の防火シャッター


・教えても、人間が対処してくれなければ意味がない

煙感知器が異常を感知し受信機に知らせて受信機が異常を教えても、そこに人がいないかも知れません。
受信機が故障して異常を教えないかもしれません。
受信機の近くに人がいても、対処が遅れるかもしれません。

重要な防火設備は受信機を経由せず、独断で即座に作動します。
受信機への連絡は事後報告です。

防火シャッターやスプリンクラーがそれです。

防火シャッターなら、
感知器 ( B3 ) が異常を感知→受信機に知らせる ( ① ) と同時に連動制御器 ( D1 ) に知らせる→連動制御器の命令でシャッターが降りる。( ⑥・⑦)


d.警戒区域とは回線とは


・警戒区域

通常、一つの区域に発信機、地区ベル,消火栓,各種感知器,防火シャッターが設置されます。

たとえば、4階建てのビルの場合、地区を1F西側,1F東側,2F西側,2F東側,3F西側,3F東側,4F西側,4F東側の 8地区に分けます。

そして、1F西側の各部屋に感知器、1F西階段に防火シャッター,1F西側通路に発信機・地区ベル・消火栓を設置します。

他の 7地区にも同様の設置をします。

これらの地区を警戒区域といいます。
このビルの場合、警戒区域は8個となります。

図のピンク枠が一つの警戒区域です。


・回線

一つの警戒区域から受信機に一本の電線が引かれます。

上の例では警戒区域が8個ですから受信機へ8本の電線が引かれます。

一つの警戒区域と受信機で一つの回線が出来上がることになります。

そこで、警戒区域のことを回線とも言います。


警戒区域 ( 回線 ) 内の感知器や発信機からの異常信号はこの電線を伝って受信機に送られます。

だから、受信機は「どの区域 ( 回線 ) からの異常信号か」 は分かりますが、「 どの感知器からの異常信号か」は分かりません。

たとえば、4F西側の44号室の熱感知器が作動しても、4F西側区域で感知器が作動したことしか分かりません。

「それが44号室だ」ということは人間が現場で判断しなければならないのです。


受信機に入る電線の数を多くすれば警戒区域を細分できますが、受信機の処理能力や施行に限界があります。


e.P型受信機とR型受信機

以上はP型受信機の場合です。

この欠点をなくしたのがR型受信機です。

R型受信機では各感知器に番号(アドレス・コード)を与え、それを受信機が読み取って 「 どの感知器からの異常信号か 」 を判断します。

R型では「どの区域に異常があったのか」でばなく「どの部屋に異常があったのか」をピンポイントで教えてくれます。
感知器をつけたところが警戒区域になるのです。


しかも、R型ではどれだけ感知器( 警戒区域 ) を増やしても受信機に入る電線は一本です。
信号がいくつあっても、それが通る道は一本でよいからですす。
電話線が一本なのと同じです。

R型を電話にたとえるなら、P型は糸電話になるでしょうか。

新しい施設ではR型が設置されているでしょうが、まだまだP型は現役です。


もちろん、R型でも異常を教えるだけです。
そこから先はやはり人力です。

「太陽に吠えろ」のように、警備員は走らなければならないのです。


2.自火報操作のしくみ


a.主音響と地区音響


・主音響と地区音響、どっちが重要?


2級検定の実技試験でやりましたねぇ。

『二階西側で自火報発報!主音響停止!』

しかし、ふと思いませんでした?

「主音響はメインなんだろう?それを止めてもいいの?」

常識で考えれば、主音響と地区音響なら、主音響がメインで地区音響がサブですよねぇ。


主音響とは受信機のベルの音です。

受信機が異常信号を受けたことを人に知らせるものです。

受信機が『感知器が異常を感知!感知器が異常を感知!』と叫んでいるのです。

警備員がそれを分かれば止めても構いません。


これに対し地区音響とは異常を感知した区域で鳴っているベルです。

このベルは、その区域にいる人に 「そこで異常が発生した」ことを知らせて避難させるものです。

だから、簡単に止めてはいけないのです。

その異常信号が火災によるものでないことが分かり、その区域が安全であることが分かるまで鳴らし続けなければならないのです。


主音響という言葉は誤解を与えます。
受信機音響とか受信機ベルと言った方がよいでしょう。

『二階西側で自火報発報! 受信機音響停止!』ですね。

 そういえば、受信機に主音響という表示がありません。
 左側のボタンが「主音響」です。

 「音響」としか表示されていません。
※日信防災・BFAP128A 火災受信機


 検定試験の「主音響」とはいつの時代の受信機のことでしょうね。 



・主音響停止は「受信機のベルを鳴らなくする」ことではない

ある回線(警戒区域)からの異常信号を受けて、受信機の主音響が鳴った。
警備員が主音響を停止した。
次に別の回線から異常信号を受けた。

さて、受信機の主音響は鳴るでしょうか?

鳴らないと大変ですね。

警備員は 「別の回線からあらたな異常信号を受けたこと」 をまだ知らないのですから。

ご心配なく、ちゃんと鳴ります。( 後続再鳴動機能)

主音響停止は「受信機のベルを鳴らさないようにする」のではなく、
「その回線からの異常信号に対してベルを鳴らさないようにする」ことなのです。

だから、ベル表示が 「音響の一時停止」になっているのです。(上の写真)


・地区音響は停止してもまた鳴る

地区音響を停止しても6分経つとまた鳴り始めます。(逐次鳴動機能)
目覚まし時計のスヌーズと同じです。

あらかじめ地区音響を止めておいても、異常信号受信後6分経つと地区音響が鳴り出します。
この点は目覚まし時計が「ベルを鳴らさないようにすることができる」のと異なります。

慌てて止めてしまうことがあるからでしょう。

また、
複数の回線から火災警報を受けるとすべての地区音響が鳴り出します。
発信機が押されるとすべての地区音響が鳴り出します。
ある回線から火災警報を受けて8分経つとすべての地区音響が鳴り出します。
(拡大警報機能)

※逐次鳴動時間(6分),拡大警報時間(8分)は変更することができます。


・主音響停止,地区音響停止は音を止めるだけ

主音響はもちろんですが、地区音響を停止しても受信機の地区窓表示は消えません。

ポンプ始動やその他の協力機能もストップされません。

ベルが止まるだけです。

地区音響停止はその回線と受信機の接続を遮断することではありません。


b.復旧でリセット


復旧とは「今までの情報をオールクリアにして、受信機を元の監視状態に戻すこと」です。

受信機の復旧ボタンを押すと地区窓表示が消えます。
また、感知器に付いている「作動したことを示すランプ」も消えてしまいます。

もちろん、復旧後さらに感知器が作動した場合は受信機は通常の作動をします。


感知器発報が火災の場合は、感知器は作動しっぱなしになっているので、受信機を復旧させてもすぐにまた受信機が作動します。

しかし、感知器発報が誤報・非火災の場合は、受信機を復旧させると問題が生じます。

受信機を復旧させると、今までの情報がすべて消えてしまい 「どの回線のどの発信機が発報したのか」が分からなくなり、
発報原因を突き止めることができなくなるからです。

だから、「その異常信号がどこから出たのか、それは誤報かどうか、そこは非火災かどうか」が分かるまで復旧させてはいけません。

復旧ボタンを押すのは最後の最後なのです。


・復旧前に発信機のボタンを戻す

なお、発信機が押された場合は
受信機を復旧させる前に発信機のボタンを元に戻して発信機自体を復旧させなければなりません。

発信機のボタンを戻さないで受信機を復旧させると、新たに発信機を押したことになり受信機が作動します。
当然、再びすべての地区ベルが鳴り出し、消火栓ポンプが起動します。
※受信機によっては発信機のボタンを戻さないと受信機の復旧ができないものもあります。

発信機のボタンは、押しボタンの上にある戻し用ボタンを押せば戻ります。
戻し用ボタンがない発信機では、押し込まれたスイッチを引っ張って戻します。


※参考 - 素朴な疑問

教育中にこんなことを質問されるかもしれません。


イ.復旧させなくても元の監視状態になる


『先生!質問があります!』

どうぞ

『感知器って自動で入るスイッチですよねぇ。』

そうだよ。「異常な熱や煙を感知するとスイッチが入って電流が流れる。それを受信機が感知して受信機が作動する」のだったね。

『そうですよねぇ。
  ・定温式は熱でバイメタルが曲がりスイッチの接点がつながる。
  ・差動式はダイヤフラムが膨張してスイッチの接点がつながる。
  ・煙感知器は煙が入ってきて光を拡散させたりイオン電流を変化させたりする。それを検知して受信機に知らせる。
  ・炎感知器は炎の出す赤外線や紫外線、炎のゆらぎを検知して受信機に知らせる。』

よく聴いていたんだね。警備員にしておくのはもったいないよ!

『先生…、警備員を馬鹿にしていません?』

冗談だよ、冗談。ところで君の質問ってなんだい?


『感知器は異常な熱や煙や炎によって自動でスイッチが入ったのなら、その原因がなくなればまた自動でスイッチが切れますよねぇ…。』

そうだね。
 熱が下がればバイメタルやダイヤフラムは元の状態に戻る。
 煙が入ってこなくなれば光を拡散させたりイオン電流を変化させたりはしない。
 炎が消えてしまえば、炎の出す赤外線や紫外線、炎のゆらぎはなくなる。

 異常な熱や煙、炎がなくなれば感知器のスイッチは切れてしまうよねぇ。

 定温式や作動式は機械的にスイッチの接点が閉じたり開いたりするので、スイッチが入る・スイッチが切れるという表現はそのままだけど、
 煙感知器や炎感知器は機械的に接点が閉じたり開いたりするのではないので、スイッチが入る・スイッチが切れるという表現はしっくりこない。
 しかし、煙や炎を感知してそれを電気信号に換えて受信機に知らせるのだから、やはりスイッチが入る・切れるということになるね。


『とにかく、感知器は異常な熱・煙・炎で受信機に異常信号を送り、それらがなくなれば異常信号を送るのを止めるのですよねぇ。
  
 だったら、異常な熱・煙・炎がなくなれば、感知器が元に戻り、システムは元の監視状態に戻っているンじゃないのですか?
 
 元の監視状態に戻っているのに、なぜ受信機で復旧させなければならないのですか?

 そもそも、受信機の復旧とは何をどのようにすることなのですか?』


なかなかきついところを聞いてくるじゃないか…。


ロ.どのサイトにも説明はない


本日の講義でそんな質問が出るだろうと思って、昨夜ネットで調べたんだよ。

『先生も同じ疑問を持ったのですね。それで、どのように説明されていました?』

それがねぇ、どのサイトも復旧についてのありきたりの説明で、この点を説明したものはなかったよ。
ただ、同じ疑問に悩んでいるサイトはあったけどね。→→→こちら   

『先生!それでは答えは分からないのですか?』

検定講習や指導責講習でもそんなことは説明されなかったから、分からなくてもいいんじゃない?

『先生!逃げないでくださいよ!』

冗談、じょうだん。まあ、一応の答えは考えておいたから

『では、説明をお願いします。』

あくまでも、私の素人考えだから鵜呑みにしないでね。○○質問箱や△△知恵袋でそのまま回答しないでね。

『そんなことしませんよ。僕たちは知ったかぶりのカタログ人間ではないですから。』


ハ.受信機には自己保持機能がある


受信機には自己保持機能があります。
感知器から異常信号を受けるとそれを記憶しておく機能です。

この機能がないと、異常が一過性のものであった場合に感知器が元の状態に戻ってしまい(スイッチが切れてしまい)、
地区窓表示が消えるので  「どこから異常信号が来たか」分かりません。
 
「どこから異常信号が来たか」がわからなければ、異常信号の原因を究明することができません。

異常信号の原因が感知器の故障ならそれを取り替えなければならないし、
その原因が火災につながるも可能性があるものなら取り除いておかなければならないのです。


この 受信機の自己保持機能により、感知器が元の状態になっても受信機は元の状態に戻りません。

受信機の復旧とは「受信機の自己保持機能により記憶された情報を消して元の状態にすること」だと思います。


『「元の状態にする」とはそういうことなのか!』


ニ.自己保持機能を持つ感知器の記憶も消去する


感知器には自己保持機能を持ったものがあります。

『受信機だけでなく感知器にも自己保持機能があるのですか…。』


一般の感知器には赤ランプが付いていて、感知器が作動しているときはこの赤ランプが点灯します。

 しかし、異常原因がなくなり、感知器が作動しなくなるとこの赤ランプは消えてしまいます。


『感知器のスイッチが切れると赤ランプが消えるのですね。』


そういうことです。

 P型受信機では「どの警戒区域(回線)の感知器が作動したか」は分かりますが「どの感知器が作動したのか」は分かりません。

 P型受信機では、感知器の赤ランプが消えてしまうと、どの感知器が異常信号を送ったのかがわからなくなります。

そこで、感知器に「いったん作動したら、ずっと赤ランプをつけておく機能」を持たせたのです。

これが自己保持機能を持った感知器です。→→→メーカー説明 


『先生!その感知器は「自分が作動したこと」を記憶しているのですね。』

そうですね。受信機が「感知器からの異常信号を受けたこと」を記憶しているのと同じように、
感知器自身も「自分が異常信号を送ったこと」を記憶しているのです。


受信機の復旧をするとこの感知器の記憶も消去してしまうようになっています。

 自己保持機能を持った感知器と受信機との関係がどうなっているのかは知りません。

受信機で感知器を遠隔操作するのか、感知器から出た何らかの信号を受信機が記憶しておきそれを消去するのか、
どのようにして受信機が感知器の記憶を消すのかは知りません。

 しかし、受信機の復旧で感知器のランプも消えるようになっているのです。


『先生!つまり受信機の復旧とは
  「感知器作動によって残された自火報システム内の記憶を消去して、自火報システムを感知器作動前の状態に戻すこと」  ということになりますね。』

 これを現時点での“取り敢えずの答え”としておきましょう。


日信防災・BFAP128A 火災受信機の取扱説明書より

「自動復旧
  ・この機能は、感知器の作動試験に使用します。
  ・保守点検時に、火災信号を自己保持した感知器の電源を約8秒後に遮断させて感知器を復旧します。
  ・連続した火災信号を受信中に、8秒ごとに1秒間感知器の復旧を繰り返します。」


→受信機で自己保持機能のある感知器の記憶を消去できる(感知器を復旧できる)。

「試験復旧→
  ・この機能は感知器を作動させている場合のみ火災警報となるもので、主に差動分布感知器の作動継続時間測定に用います。
  ・受信機の自己保持回路を解除するので、手動で火災復旧せずに順次火災 試験ができます。
  ・自己復旧タイプの感知器が復旧するまで火災表示をします。」


・受信機は自己保持機能を持っている。
・受信機の自己保持機能を止めておくと、感知器を作動させるたびに手動で受信機の復旧をする必要がない。
  →自己保持機能とは感知器が作動したことを記憶する機能
・自己復旧タイプの感知器とは「異常原因がなくなれば異常信号を送らなくなる感知器」、つまり自己保持機能を持たない感知器。

※R型受信機の取扱説明書も参考にしたい方は→→→こちら



3.ポンプ,防火シャッター,スプリンクラーは現場の復旧が必要


受信機の復旧ボタンを押すと、自火報システム内の記憶が消されシステムが感知器作動前の状態に戻りますが、まだ完全ではありません。

発信機のボタンを戻さなければならないことは説明しましたが、
消火栓ポンプ,防火シャッター,スプリンクラーもそれぞれに復旧作業が必要です。


a.いったん動いたポンプは受信機では止められない。


発信機のボタンが押されると、受信機はポンプを起動させ消火栓をいつでも使える状態にします。

しかし、ポンプがいったん起動すると、発信機のボタンや受信機の操作でポンプを停止させることはできません。

消火活動中に間違ってポンプを停止させないように、ポンプ起動盤内に保持回路があるからです。

この保持回路によって、ポンプはいったん受けた「運転指令」を守り続けるのです。

ポンプを停止させるにはポンプ起動盤の復旧スイッチでポンプ保持回路の記憶を消さなければなりません。

 
 屋外ポンプ室のカギを持って走りましょう。

 「ポンプ室がどこにあるか」,「ポンプ室の鍵がどこにあるか」
 知らない警備員が案外います。



 そして、消火栓ポンプスイッチ盤の復旧ボタンを押しましょう。

 「どのランプがついたらどういう状態なのか」、
 「どのボタンを押すとどういう状態になり、どのランプが点灯するのか」
 消火栓ポンプ取扱説明書で確認しておきましょう。

 通常、ポンプ作動中は赤ランプが点灯します。

  法定の消防設備点検のときに消防設備士に同行して教えてもらいましょう。

 ポンプを停止(復旧)させると、受信機の消火栓始動ランプが消えます。

 受信機に消火栓遮断ボタンがありますが、
 これは、受信機テストで発信機を作動させた場合に
 ポンプを起動させないためのボタンです。
 このボタンを押してもいったん動いたポンプは止まりません。


 なお、ポンプが作動していても
 消火栓バルブを閉めれば消火栓の放水は止まります。
 スプリンクラーのように、
 ポンプを止めても高架水槽が空になるまで放水することはありません。



b.防火シャッターは独立部隊



防火シャッターは次のように作動します。

 ・感知器が異常を感知して連動制御器に知らせる。

 ・連動制御器が自動閉鎖装置に閉鎖を指令する。

 ・自動閉鎖装置がシャッターのロックを外す。

 ・シャッターが自重で降下する。


このように、防火シャッターに指令を出しているのは連動制御器で受信機ではありません。

受信機へは感知器が異常を感知したことしか知らされないのです。

防火シャッターは受信機の命令下にはない独立部隊といえます。


防火シャッターを復旧させるには、連動制御器を復旧させなければなりません。

連動制御器は防火シャッターの近くにあります。

 これが連動制御器です。

 この制御器での復旧方法は、
  ①音響スイッチを停止にする。
  ②火災復旧スイッチを復旧にする。(これでシャッターへの指令が消える。)
  ③音響スイッチを定位に

 感知器の誤報でシャッターが作動した場合は
 誤報原因を取り除かなければ③で音響スイッチを定位にするとまた鳴り出します。

次にシャッターを巻き上げて元の状態にします。

巻き上げ部は天井部にあります。
シャッター近くの天井点検窓を開けて操作します。

  
 シャッターの巻き上げは電動のものと手動のものがあります。写真のものは手動です。

 ハンドルを差し込んで回したり、チェーンを引っ張って巻き上げたりします。

 巻き上げる前に自動閉鎖装置を復旧(解除)させなければなりません。
 このタイプはヒモ(復帰リング)を引っ張って復旧させます。


 防火シャッターの復旧・巻き上げリセットは完全でなければなりません。
 警備員がいい加減な知識で行ってはいけません。
 消防設備を保守するメンテナンス会社に任せなければなりません。

※防火シャッターの復帰方法→→こちら 

※防火シャッター取扱説明書→→
こちら



c.スプリンクラーはアンタッチャブル


スプリンクラー設備があるような施設にはメンテナンス係がいます。
メンテナンス係がいなくて警備員だけしかいないような施設にはスプリンクラー設備はありません。

だから、警備員がスプリンクラーの復旧に直接関わることはないでしょう。
一応の知識としてその仕組みを理解しておけばよいでしょう。


スプリンクラー作動の仕組みは次のようなものです。

 ・スプリンクラー配管はヘッドまで常に圧力水で満たされている。

 ・火災発生

 ・ヘッド感熱部が熱で溶解/⑧

 ・ヘッド開放,放水/⑧

 ・配管内圧力が低下

 ・起動用水圧開閉装置 (圧力スイッチ) ON

 ・加圧送水装置 (ポンプ) 起動/⑩

 ・高架水槽へくみ上げ/⑪

 ・放水が続く/⑫

 ・流水検知器(自動警報弁)がヘッド開放,放水による流水を検知/⑨

 ・受信機にスプリンクラー作動を知らせる/⑩


 ※図では起動用水圧開閉装置を省略して、
     流水検知器がポンプのスイッチを入れるようにしてあります。

 ・スプリンクラー設備の特徴は
  
   スプリンクラーヘッドが開放されたままで閉じられない。
    (ヘッドのシールは熱で溶けています。)

   ヘッドから放水されている限りポンプのスイッチが入り続ける。
   (ポンプ室でポンプを止めても、すぐにまた起動します。)

  何らかの方法でポンプを停止しても高架水槽が空になるまで放水し続ける。


 放水を止めるためには「水の流れを止める」こと。

  消火栓で開閉バルブを閉めたように、
  スプリンクラーでも流水バルブ ( 流水検知器のバルブ)を閉めなければなりません。

  消火栓は手動でバルブを開けて放水するので、
  手動でバルブを閉めて放水を止めることに気づきます。

  しかしスプリンクラーは自動で放水するので、
  手動でバルブを閉めて放水を止めることに気づきません。

  火災鎮火後、
  受信機のスイッチを操作したりポンプ室のスイッチを操作したりしているうちに
  現場の放水が続き、現場は水没してしまうのです。
 
 ※スプリンクラー設備について①   スプリンクラー設備について②


4.P型1級受信機のその他の機能


a.蓄積機能

・感知器から作動信号を受けてもすぐには火災警報を出さない機能
・感知器の作動信号を受けてから一定時間内に再び作動信号を受けたときに火災警報を出す。

この機能は調理,排気,たばこなど一過性の熱や煙によって感知器が作動してしまうことを防ぐためのものです。

もちろん、感知器から第一報があったこと、蓄積中(第二報待ち)であることは表示されます。


具体的には次のように作動します。

 ・感知器から火災信号(第一報)を受ける→音響/ピンポン、ランプ/蓄積中(緑)、表示/回線番号

 ・10秒後、蓄積中ランプが緑色から赤色に変わる→受信機が自動的に復旧し第二報待ちとなる。

 ・蓄積中ランプが赤色に変わってから50秒以内に第二報が入らなければ、蓄積中ランプが消えて平常の監視状態に戻る。
 ・50秒以内に第二報が入れば実火災と判断して火災警報を発する。

 ・発信機のボタンが押された場合はこの蓄積機能は働きません。(解除されます)
   手動で押されたのですから実火災と判断するのです。


※蓄積解除スイッチは火災試験のためのものです。
   感知器の作動を試験するときに、受信機ですぐに火災警報が出るように蓄積機能を解除するのです。
    警備員が触ってはいけません。


※二信号式受信機

これも、誤報・非火災報を少なくするためのものです。

 ・感知器から火災信号(第一報)を受ける→主音響/鳴る、表示/回線番号・地区窓

・その区域の他の感知器からの火災信号 (第二報)→火災灯/点灯・地区音響/鳴る

・発信機のボタンが押された場合は第二報を待たずにすぐに火災警報を出す。


b.電話機能


『えっ?電話? 119番通報を自動でしてくれるの?』

感知器が発報しただけで勝手に119番通報されては消防署がダウンしてしまいます。
119番通報するのは火災であることを確認してから人間がしなければなりません。

ここでの電話機能とは、発報した感知器の警戒区域内にあるP型1級発信機と通話できる機能です。
※P型1級発信機には受話器を差し込むジャックがあります。


『それで、電話の受話器はどこにあるのですか?』

 受信機のドアを開けると、ドアの内部に受話器が二つ収納されています。

 『では、この受話器を持って火災警報を発した警戒区域へ走るのですね。』

 そうです。
 その警戒区域の発信機のジャックに、持ってきた受話器をセットするのです。
  もちろん、受信機のジャックにもこの受話器がセットされていなければなりませんよ。

 『そんな面倒くさいことをするのですか…。携帯電話ではだめなのですか?』

 まったく問題はありません。無線機でもOKですよ。
 携帯電話や無線機ならあちらこちら移動して話せますからね。

 もちろん、この電話は受信機と通話できるだけです。
 119番通報はできませんからね。

 『あまり役に立たない機能ですね。』

 それは素人考えでしょう。
  防災機器には今までの経験や失敗で積み重ねてきたノウハウがあります。
  この電話機能も実際に役に立つからあるのでしょうネ。


 なお、受信機のドアを開けるのに一苦労します。

 ドアは写真左のネジを回して開けます。
 このネジは10円玉や100円玉で回せるようになっています。

 ところが非常に固くて左に回りません。
 このネジは左に回すのではなく右に回すのです。

 逆ネジ?
 そんな手の込んだものではありません。

 写真右の金具がドアと本体を留めています。
 ネジを左に回していたのではこの金具は本体から外れないのです。

 それはともかく、ドアを開くためには10円玉かマイナスドライバーが必要です。
  受信機が火災警報を発したら、
  10円玉を探しているより携帯電話を持ってすぐに発報地区へ向かいましょう。

 一人勤務のときは受話器を持って現場についても、話す相手はいないのですから。



c.自己診断機能・異常警報機能



・断線チェック

感知器との配線が切れると感知器が異常信号を出しても受信機が発報しません。
断線は自火報システムにとって命取りとなります。

受信機は回路に微弱な電流を流して常に断線をチェックしています。


『先生!質問です。』

どうぞ。


『感知器はスイッチでしたよねぇ。
  異常な熱,煙,炎で感知器のスイッチが入り、回路に電流が流れて受信機に知らせるのでしたよねぇ。
  それなのに、常時回路に電流が流れているのですか?』

あなたは本当によく講義を聴いていますね。
みな眠そうだから、ここの説明は省略しようと思っていたのですが、説明しましょう。


これは感知器の配線例です。

感知器はこのように並列につなげます。

並列だと、一つの感知器の接点が閉じると回路に電流が流れます。
直列だと、すべての感知器の接点が閉じなければ回路に電流が流れません。
図の場合、Aの接点が閉じてもBの接点が閉じても回路に電流が流れます。


実際には終端抵抗器をつけて回路に微弱な電流を流しています。
10KΩの抵抗だと24Vで電流は2.4mA。
この程度の微弱な電流では受信機は作動しません。

感知器が異常を感知して接点が閉じると回路に流れる電流が増えます。
受信機はこの電流増加を感知して感知器の異常を知るのです。


次ぎに断線チェックの話です。

回路に微弱な電流が流れていると断線があった場合に電流が流れません。
いつも流れている微弱な電流が流れないので、断線していることが分かるのです。

上の図の場合、Bに断線があったとしましょう。(×が断線)
しかし、回路に電流が流れます。
並列配線でもこのような配線 (枝出し配線) では回路の断線をチェックできません。

次のような配線 (送り配線) にしなければなりません。
感知器は同じく並列につながっています。

このように配線すると、Bに断線があると回路に電流が流れなくなり、断線をチェックすることができます。


・予備電源切換

受信機は停電に備えて予備電源 (ニカド蓄電池) を持っています。

停電時は電源が自動的に予備電源に切り替わります。

この予備電池で全回線を1時間監視後、2回線を10分間同時作動させることができます。

今では停電が何時間も続くことはありません。
だから、予備電源は1時間分でよいのでしょう。
しかし、1時間しかもたないことも覚えておくべきでしょう。


・異常チェック機能

自己診断機能は断線チェックだけではありません。
受信機を構成するさまざまな部品の異常をチェックして、その異常を知らせます。


・予備電源異常 (コネクタ外れ,ヒューズ切れ)
・回路電圧の異常
・受信機内のヒューズ切れ
・配線コネクタ異常・基盤異常
・非常放送設備の配線断線
・メモリー異常
・制御回路異常
・スピーカ脱落
・全回線の火災警報機能のチェック(1回/週、試験時間1.5秒)

異常を感知した場合は、
・異常警報/『ブー、ブー、異常が発生しました』
・異常灯/点灯
・異常種類表示 (エラー表示)
・断線の場合はその回線の地区表示 ( 地区窓点灯,回線表示)


d.受信機のベルが鳴るのは火災警報のときだけではない


ある施設2級検定者が一人勤務の宿直をしました。

仮眠で眠りに入った午前3時、けたたましい警報音で起こされます。

『ブ~ッ、   ブ~ッ 、   ブ~ッ、』 

慌てて部屋の照明をつけようとするが真っ暗のまま。

懐中電灯で受信機を照らし、とにかく『主音響停止!』

地区窓を見ると、点灯箇所なし。

『えっ、今、押したのは主音響ボタンだったよなぁ?
  地区音響を停止しても地区表示は消えないんだったよなあ…。もしかして復旧ボタンを押したの?』

警備室の外へ出て耳を済ましても地区ベルが鳴っている様子はない。

彼はそれから、すべての警戒区域を点検して回りましたが、異常なし。


他人には言えないけれど、こんな経験をしたことあるでしょう?

このベルは何だったのでしょう?

そうです。停電のときに予備電源に切り換えることを知らせる警報音だったのです。

停電だから部屋の照明はつきません。
感知器の発報でないので地区音響は鳴らないし地区表示もありません。


・警報音のいろいろ

・火災警報→→ 『ビ~~~(連続鳴動)   火災発生、現場を確認してください。(音声) 』
・蓄積時→→『ピンポ~ン』
・異常時→→『ブ~ッ、ブ~ッ  異常が発生しました。(音声)』
・予備電源作動時→→『ブ~ッ、ブ~ッ (10秒に一回)』
・電話呼び出し時→→『プルルル、プルルル』

主音響鳴動は火災警報の場合だけではありません。
落ち着いて対処してください。

『そんなこと言ったって、本当にけたたましい音だったよ。

  そうそう、エイリアン 1 で、リプリーが宇宙船自爆装置を起動させたときに鳴り響いたあの警告音、

  「ブ~ッ、ブ~ッ、自爆装置起動、自爆装置起動、あと10分で爆発します。ブ~ッ、ブ~ッ」

  緊迫感満点だったよ。』


なお、この予備電源動作時の警報音は予め「off」にできます。

また、予備電源に切り替わったあと復旧などの操作は不要です。
そのまま放置しておけばOKです。


5.受信機ランプ・ボタンの例


日信防災・BFAP128A 火災受信機のランプ・ボタンです。


 (ランプ)

・A/交流電源灯
 →正常な監視状態ではこのランプだけ点灯
・B/スイッチ注意灯
  →通常時に押してはいけないスイッチが入っている。
・C/発信機灯→発信機が押された
・D/異常灯→システムに異常がある
  →②の回線窓にエラーコードが表示される。
・E/ 蓄積灯→感知器の第二報待ち
・F/電話灯→電話使用中
・G/非常放送中
・H/消火栓始動灯→消火栓ポンプ始動

 (ボタン等)

・I/電話ジャック差込み口
・J/地区音響一斉鳴動スイッチ
・K/表示器呼び出しスイッチ→電話連絡呼び出し

※他のランプやボタンは機器試験のためのものです。
   警備員には関係ありません。
  


警報が鳴ったら

 ・火災警報か?→①火災灯が点灯→火災信号だ!

 ・場所は?②回線表示窓の数字と地区窓の表示を確認→2階西側だ!

③主音響停止→ ここを押しても警備室のベルが止まるだけ、他に一切影響なし!自信を持ってボタンを押しましょう。

 ・現場で誤報・非火災を確認、その原因を排除。

④地区音響停止

 ・現場での復旧→発信機のボタンを戻す,防火シャッターを復旧させる、ポンプ室のボタンでポンプを止める。

⑤復旧→このボタンを押すのは最後の最後。


・警報が鳴ったら、それがどんな警報でも①②③を行う。

・①火災灯が点灯しなければ、蓄積中かシステム異常か予備電源切換。

・蓄積中なら回線表示と地区窓が点灯→第二報で火災警報となる。
・システム異常ならエラーコードが回線表示窓に出る

・押して良いのは③主音響スイッチ、④地区音響スイッチ、⑤復旧スイッチ。

・④は現場で誤報・非火災報を確認してから。一人勤務なら警備室に帰って来てから。

・⑤はすべて終わって一段落してから。


正常な監視状態は、緑枠のA/交流電流灯だけがついています。
この状態を常に確認するようにしましょう。



2013.10.27


選任編目次にもどる    top    万引きGメン実戦教本