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●津市公契約条例は責任逃れ、「最低落札価格なし」で違法労働状態

津市公契約条例

津市会議員諸氏は全く関心なし !



※その目的はご立派な公契約条例

津市では「公契約における事業者間の競争激化、落札価格の下落により労働賃金や労働環境が悪くなることを防ぐ」ために
公契約条例が定められています。(平成30年4月1日施行)
そして、津市の発注する業務についてはこの公契約条例が適用されます。

この条例では

発注者である津市に対しては
「受注者が労働法令に反していないか」の立ち入り検査権限,是正措置命令,契約解除権を認め、
労働者からの違反申告のために窓口を設置させています。

また、受注者に対しては
労働法令を順守すること、報告・立ち入り検査に協力すること,違反申告をした労働者の不利益取扱をしないことを義務づけています。

さらに、公契約の適正な運用を図るために審議会を設置しています。

要するに 『社会保険なんて当然ないよ。有休の「ゆ」を口にしたらクビになるよ』という
イクストラブラック事業者に津市の業務を受注させないようにするものです。

税金で業務を発注する地方公共団体が自らの姿勢を正し、「違法労働環境を造らないようにする」のは当然ですが、
「津市は受注者をどれだけコントロールしているのか?」,「公契約条例の実効性はあるのか?」が疑問でした。
それを知るために2021年度に津市から業務を一件受注しました。

結果は「津市からのコントロールはまったくなし」。
公契約条例はザルではなく「底の抜けたバケツ」になっているようです。

それどころか、津市は業務委託の公共調達で最低落札価格を設定していません。
つまり、「一番安く入札した者に落札させる」。
これではイクストラブラック事業者が落札し、
「落札価格の下落により労働賃金や労働環境が悪くなることを防ぐ」という公契約条例の目的に反します。

これらのことから、津市にとっての公契約条例は
「最低落札価格なしの公共調達が違法労働状態や劣悪労働環境を造っている」という批判を逃れるためのもの、
つまり、「単なる責任逃れの方策でしかない」という事になります。

それは、公契約条例を上手く機能させるよう設置された審議会での津市の答弁に見え隠れします。

この公契約条例を作ったのは津市の市会議員です。
責任を持ってこの条例の実効性を担保してもらいたいものです。
それには、「津市が最低落札価格なしで安売り競争をさせていること」から論じなければならないでしょう。

★★★

1.津市公契約条例の内容

まずは、津市公契約条例の内容から。
「ご立派な文言」が続きますが、内容は「要するに」に書いたようなものです。
以下では「〇赤字」を読んでください。
条文は読み飛ばして、後で疑問が出たときに読み返せばよいでしょう。
※津市公契約条例,津市公契約条例施行規則

a.目的

〇目的(1条)
「この条例は、公契約における業者間の競争の激化、落札価格の下落等による
労働者の賃金その他の労働環境の悪化が懸念されることに鑑み、

公契約に係る基本方針並びに本市及び受注者等の責務を定め、
並びにこれらに基づく施策を実施することにより、
労働者の労働環境の確保、優良な事業者の育成及び地域経済の健全な発展を図り、
もって労働者が労働意欲にあふれ、かつ、住民が豊かで安心して暮らすことのできる地域社会を実現することを目的とする。」

〇要するに、
・公共調達を業者間の競争に任せていると落札価格が下落する。
・落札価格が下落するとそのしわ寄せが労働者に及び労働環境が悪化する。
・公共調達による労働環境の悪化を防ぐために、津市と受注者の責務を定める。

b.公契約の基本方針

〇基本方針(3条)
「公契約に係る基本方針は、次のとおりとする。
1.労働者の適正な労働環境を確保する
2.品質及び適正な履行を確保する
3.入札及び契約の公正性、透明性及び競争性を確保する
4.不正行為を防止する
5.地域経済及び地域社会の健全な発展を図る

〇ハ、ハ、ハ…。津市の現在の状況は?
・「最低落札価格なしの安い者勝ち」 → 「労働者の適正な労働環境の確保」より「安さ」
・「過去の予定価格,落札価格,落札率は公表しない」 → 「入札・契約の透明性」はなし
・「安さだけの追及」では「地域経済と地域社会の健全な発展」は望めません。
津市のやり方は「公契約条例の基本方針」とは逆のものです。

c.津市の責務

〇本市の責務(4条)
「本市は、前条に定める基本方針に基づき、この条例の目的を達成するために必要な施策を講じなければならない。
2 本市は、労働報酬下限額(受注者等が労働者に支払う報酬の下限とすべき額。附則第2項において同じ。)を
   定めることについて検討しなければならない。
   この場合において、市長は、第15条第1項に規定する 津市公契約審議会(以下「審議会」)
   その他 市長が必要と 認める者の意見を聴 かなければならない。
3 本市は、受注者等が労働者の適正な労働環境を確保し、及び公契約を適正に履行するために
   必要な措置を講じなければならない。

4 本市は、公契約に関し説明責任を果たすとともに、不正行為を未然に防止し、
   並びに適正な契約行為及び履行が行われていることを明らかにするために、
   公契約に関する情報の公表に努めなければならない。
5 本市は、公契約の性質及び目的を踏まえた適正な契約方法を選択しなければならない。
6 本市は、公契約の適正な履行及び良好な品質を確保するため、取引の実例価格、需給の状況等を考慮し、
   予定価格、納期その他の契約条件が適切なものとなるよう努めなければならない。
7 本市は、予算の適正かつ合理的な執行に留意するとともに、地域経済の健全な発展のため、
   公契約に係る業務等の重要性、緊急性及び効率性を考慮し、公契約の適正な発注に努めなければならない。

〇要するに、
・公契約条例の目的を達成するために必要な施策を講じなければならない。
そのために、
・「労働報酬下限額」の検討する。
・「受注者が適正な労働環境を確保する」ために必要な措置を講じる。
・「契約履行が適正に行われているかを明らかにするために」、公契約に関する情報を公表する。
・「適正な契約方法」を選択する。
・「公契約の適正な履行と良好な品質を確保するため」予定価格などの契約条件が適切なものとなるように努める。

「努める」で逃げているような気がしますが、
罰則がない以上「しなければならない」も「努めなければならない」も「努める」も同じです。

d.津市の権限

公契約条例は津市がこの責務を果たせるよう津市に次のような権限を与えています。
さらに、労働者に違反申告ができることを明記しています。

〇報告及び立入検査(7条)
「市長等は、この条例の規定又は誓約事項の遵守状況を確認するために必要があると認めるときは、
   受注者等に必要な報告を求め、
又はその職員に当該受注者等の事務所、事業所等に立ち入り、
   関係書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。」

〇是正措置(8条)
「市長等は、受注者等がこの条例の規定又は誓約事項に違反していると認めるときは、
   当該違反を速やかに是正するために必要な措置を講ずることを命じなければならない
。
2 受注者等は、前項の規定により違反を是正するために必要な措置を講ずることを命じられたときは、
   速やかに是正の措置を講じ、市長等に当該措置の内容を報告しなければならない。」

〇労働者の申出等(9条)
「特定公契約に係る労働者は、
   受注者等がこの条例の規定又は誓約事項に違反している疑いがあると思料するときは、
   市長等にその旨を申し出ることができる
。
2 市長等は、前項の規定による申出(以下「違反申出」)の内容が、
   規則で定める関係法令に関する違反情報であるときは、必要に応じて関係機関へ通報する
ものとする。

特定公契約については次項で説明しますが、通常の公契約はほとんど入ります。
清掃業務や警備業務は当然入ります。

〇相談窓口の設置(10条)
「市長等は、違反申出に応じるため、相談窓口を設置するものとする。」

〇公契約の解除等(13条)
「市長等は、受注者等が次の各号のいずれかに該当するときは、
   当該公契約の解除、受注者等の指名停止等必要な措置を採ることができる。
⑴ 第7条第1項の規定による報告を怠り、若しくは虚偽の報告をし、
   又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、
   若しくは質問に対して応答せず、若しくは虚偽の回答をしたとき。
⑵ 第8条第1項の規定による命令に従わないとき。
⑶ 第8条第2項の規定による報告を怠り、又は虚偽の報告をしたとき。
⑷ 前3号に掲げるもののほか、この条例の規定に違反したとき。
⑸ 誓約事項に違反したとき。
2 前項の規定により公契約を解除した場合において、受注者等に損害が生じても、
   本市はその損害を賠償する責任を負わない。

〇損害賠償(14条)
「 受注者等は、前条第1項の規定による公契約の解除によって本市に損害が生じたときは、
   その損害を賠償しなければならない。
   ただし、市長等がやむを得ない事由があると認めるときは、この限りでない。」

〇要するに
・公契約条例が守られていないと思える場合は、報告を求めたり立ち入り検査を行う。
・公契約条例が守られていないときは、是正措置を命じる。
・労働者は受注者が公契約条例を守っていないときは申告できる。その窓口を作る。
・労働者から「違法労働の申告」があったときは関係機関へ通報する。
・受注者が公契約条例に反した場合は契約を解除し、津市に損害が生じた場合は受注者が賠償する。

この「違法労働の申告があったときは関係機関へ通報する」も
「違法労働状態を積極的に調査することを逃げる」ための条項になっています。
つまり「違法労働状態を是正するのは関係機関。違法労働状態が解消されなくても責任は津市にない」。
津市にとって「受注者の労働関係法令違反」はアンタッチャブルなのです。


〇審議会の設置等(15条)
「公契約の適切な運用を図るため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、
   審議会を置く。
2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。
⑴ この条例の施行状況に関する事項
⑵ この条例の目的を達成するための施策に関する事項
⑶ その他市長が必要と認める事項
3 審議会は、前項の規定による調査審議を行うほか、
   同項に規定する事項について、市長に意見を述べることができる。」

〇要するに
市長の諮問機関を置くということです。
いわゆる「第三者機関」ではありません。「市長の求めに応じて答申するだけの機関」です。
どのような審議が行われているかは次に紹介していきます。

e.受注者の責務

〇受注者等の責務(5条)
「 受注者等は、関係法令及びこの条例の規定を遵守しなければならない。
2 受注者等は、労働者の適正な労働環境の確保に努めなければならない。
3 受注者等は、労働者と対等な労使関係を構築するとともに、下請契約等を締結しようとするときは、
   下請契約等の相手方と対等な立場における合意に基づいた適正な契約を行わなければならない。
4 受注者等は、下請契約等の相手方を選定するとき、又は資材等を調達するときは、
   地域経済の発展に配慮し、本市の区域内に主たる事務所を有する事業者又は本市の区域内で生産された資材等を
   活用するよう努めなければならない。
5 受注者等は、公契約に携わる者として、社会的な責任を自覚し、公契約を適正に履行しなければならない。
6 受注者等は、第7条第1項の規定に基づき市長又は上下水道事業管理者(以下「市長等」)が行う
   報告の求め及び立入検査その他本市が実施する公契約に関する施策に協力
しなければならない。

〇要するに
・関係法令と公契約条例の順守
・適正な労働環境の確保
・労働者との対等な労使関係を作る
・公契約の適正な履行
・報告・立入検査に協力する。


ここで「順守するべき関係法令」として津市公契約条例施行規則でわざわざ次のものをあげています。

〇関係法令(施行規則8条)
「条例第9条第2項の規則で定める関係法令は、次に掲げる法令とする。
⑴ 健康保険法(大正11年法律第70号)
⑵ 労働基準法(昭和22年法律第49号)
⑶ 厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)
⑷ 下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号)
⑸ 最低賃金法(昭和34年法律第137号)
⑹ 中小企業退職金共済法(昭和34年法律第160号)
⑺ 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)
⑻ 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)
⑼ 雇用保険法(昭和49年法律第116号)
⑽ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)
⑾ 労働契約法(平成19年法律第128号)
⑿ 建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律(平成28年法律第111号)
⒀ 前各号に掲げる法律に基づく命令」

〇このような労働関係法令を順守するのは当たり前のことです。
しかし、世間では『労基を守れば会社が潰れる』,『健康保険や厚生年金は正社員だけ』,
『有休のゆを口にしたらクビになる』,『最低賃金なんか関係なし月額〇万円でよければ雇うよ』。
津市はこんな状態を充分に知っているようです。

だから、わざわざ列挙したのでしょう。

〇不利益取扱いの禁止(11条)
「受注者等は、労働者が違反申出をしたことを理由として、当該労働者に対し不利益な取扱いをしてはならない。」

〇労働者への周知(12条)
「受注者等は、特定公契約に係る労働者に対し、次に掲げる事項を業務等が実施される現場の見やすい場所に
   掲示し、又は書面を交付する方法により周知しなければならない
。
⑴ 当該特定公契約の名称
⑵ 受注者等の責務及び誓約事項
⑶ 違反申出に係る制度の概要及び第10条に規定する相談窓口の連絡先」

※この周知義務も特定公契約の場合です。

〇誓約(5条)
「受注者等は、自らが締結し、又は携わる公契約が規則で定める契約(以下「特定公契約」)に該当するときは、
市長等に対し、労働者の適正な労働環境の確保に関し規則で定める事項(以下「誓約事項」)について
誓約しなければならない。


※この誓約義務も特定公契約の場合です。

ここで「特定公契約」とは

〇特定公契約(施行規則3条)
「条例第6条の規則で定める契約は、次に掲げる契約とする。
⑴ 工事の請負契約
⑵ 次に掲げる業務の委託契約
ア 清掃業務
イ 人的警備業務
ウ 施設の管理業務
エ 設備の運転管理 業務 又は保守業務
オ 工事に付随する 設計等 業務
カ その 他 市長が指定する 業務」

まあ、ほとんどの業務委託がこの特定公契約に該るでしょう。

誓約する事項も定められています。

〇誓約事項(施行規則4条)
「条例第6条の規則で定める事項は、次に掲げる事項とする。
⑴第8条に 掲げる 関係法令 (次号において単に「関係法令」) を遵守すること。
⑵関係法令に違反し、関係機関 から是正勧告 等 があった場合 は 、直ちに 市長 へ報告すること。
⑶条例第7条 第1項の規定による 報告 の求め 及び立入検査 に対し、誠実に対応 すること 。
⑷労働者が 条例第9条第 1項の規定による 申出 (以下「違反申出」)をしたことを理由に、
当該労働者に対し、 解雇その他 の 不利益な取扱いをしないこと 。
⑸労働者 に対し、条例の内容について周知 する こと。
⑹労働者の賃金水準の引上 げに関する 措置が講じられる場合は、下請 契約等の 請負契約金額の見直し、
労働者の賃金の引上げ等について適切に対応すること。
⑺市長が行う施策に協力すること。」

結局、「公契約条例で受注者の責務を定めるだけでは心もとないから、誓約書をとっておこう」というもの。

しかし、「2021年度の受注契約でそんな誓約書なんか提出しなかったけど…。」
なんと、この誓約内容が契約書に特記事項として印刷してあり、「契約した者は誓約したとみなす」とのこと。
そう言えば仕様書にも同じような特記事項があり「入札した者は了解したものとみなす」とのこと。
受注者に「誓約したこと」をあまり知られたくないみたいです。

〇要するに
・労働者が違法労働をチクッても報復してはいけないよ。
・公契約条例で定める受注者の責務を労働者に知らせなさい。
・違法労働をチクる窓口を労働者に知らせなさい。

あとで出てきますが、津市の態度は
「誓約書を取ったから受注者は法令違反ができない。」
「労働者は違反申告ができるし、それによる不利益取扱は禁止している。」
だから、受注者の法令違反は積極的に調査する必要はない。

だれが違反申告なんかするものですか。
不利益取扱の禁止などなんの役にもたたない。
他にもっと若い者はいるし、もっとキツイ現場はどれだけでもある。
それどころか、違反申告をして雇用主が契約解除となったらその労働者自身も働く場所をなくしてしまう。
「誓約書?」。ハ、ハ、ハ、ハ。

もちろん、こんなことは津市は百も承知。
これらは「違法労働状態を積極的に調査することを逃げる」ための条項なのです。
受注者が労基を守りだしたら超安値落札がなくなり、
「最低落札価格なし」でも安売り競争をさせることができませんからネ。

2.審議会

a.審議会の構成

〇審議会の設置等(15条)
「公契約の適切な運用を図るため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、
   審議会を置く。
2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。
⑴ この条例の施行状況に関する事項
⑵ この条例の目的を達成するための施策に関する事項
⑶ その他市長が必要と認める事項
3 審議会は、前項の規定による調査審議を行うほか、
   同項に規定する事項について、市長に意見を述べることができる。

※地方自治法138条の4
「普通地方公共団体にその執行機関として普通地方公共団体の長の外、
   法律の定めるところにより、委員会又は委員を置く。
②普通地方公共団体の委員会は、法律の定めるところにより、
   法令又は普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて、
   その権限に属する事務に関し、規則その他の規程を定めることができる。
③普通地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより、執行機関の附属機関として
   自治紛争処理委員、審査会、審議会、調査会その他の調停、審査、諮問又は調査のための機関を
   置くことができる。ただし、政令で定める執行機関については、この限りでない。

〇組織(16条)
「審議会は、委員6人以内で組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから、市長が委嘱する。
⑴ 事業者団体関係者
⑵ 労働者団体関係者
⑶ 識見を有する者

〇委員の任期(17条)
「委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。

〇会長及び副会長(18条)
「審議会に会長及び副会長1人を置き、委員の互選により定める。
2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

〇会議等(19条)
「審議会の会議は、必要に応じて会長が招集し、会長が議長となる。
2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。
3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
4 審議会は、必要があると認めるときは、
   委員以外の者の出席を求め、その意見若しくは説明を聴き、又は資料の提出を求めることができる。
5 審議会の庶務は、総務部において処理する。
6 第15条から前項までに定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。

〇要するに
・委員は6人以内。事業者団体関係者,労働団体関係者,その他の有識者の中から市長が選ぶ。
・市長の諮問(意見を求めること)に応じて、条例の施行状況,条例の達成するための施策,
   その他市長が必要と認める事項を審議する。
・結局は「市長が選び,市長の疑問に答える」だけの市長のお助け機関です。

   しかし、「検証機関,チェック機関」のように聞こえますから、
   津市が公契約条例を適正に実施しているように見えますね。

現在、審議会は一回2時間程度で年に二回開かれているようです。 → こちら

b.労働報酬下限額の試行

津市では公契約受注者が最低賃金より高い賃金を労働者に支払わせることを目指し
・その額をいくらにするか(労働報酬下限額設定)
・受注者がその額を支払ったことをチェックするためにどうしたらよいか
について、2018年(平成30年)より取り組んでいます。(公契約条例4条2項)

そのために「労働報酬下限額試行マニュアル」を作り、
2019年(平成31年/令和元年)より、発注する案件から3~5件を選んで試行しています。

試行マニュアルの内容は少しずつ改善されていますが、次のことは同じです。
・清掃,人的警備,施設管理,設備の運転・管理・保守,工事の設計業務,その他市長が指定する業務について
   予定価格1000万円以上の中から3件~5件を選ぶ。
・受注者は津市の定めた労働報酬下限額を労働者に支払う。
・受注者がその額を支払ったことを確かめるための書類(労働状況台帳)を提出する。
・受注者と労働者はアンケートに答える。

もちろん、受注者の法令順守,誓約や労働者への周知,違反申告をした労働者への不利益取扱の禁止や
発注者の立入検査権限,是正措置命令,契約解除権などは試行以外の通常の受注と同じです。
※2019年度(平成31年度)試行マニュアル
※2020年度(令和2年度)試行マニュアル
※2021年度(令和3年度)試行マニュアル

審議会ではこの試行マニュアルについての報告や検討が中心になっています。
しかし、この審議の中で津市の公契約条例に対する本音が見え隠れします。
審議会議事録の中からそれを探っていきましょう。

〇要するに
市長は「津市は公契約で最低賃金より高い賃金下限額を設定して受注者に支払わせている」ということで
ポイントを稼ぎたいようです。
しかし、いくら高い下限額を設定しても、それが支払われたかどうかのチェック無し。
さらに、受注者の労働法令違反にはアンタッチャブル。
笑ってしまいますね。


この点は次頁で詳しく。

選任のための法律知識・

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※試行案件で受注者が提出する労働状況台帳。支払った賃金だけ記載。それを津市は鵜呑みするだけ。

★★★

3.審議会での答弁から見える津市の本音

審議会の議事録は公開されています。 → こちら
この議事録の中から今回受注した「1ポストの宿直・日直業務」に関するものについて抽出します。
下請がからむ場合や一人親方の取扱については省きます。

( 平成30年第一回審議会)

a.市長挨拶「最低賃金より高い労働報酬下限額で点数を稼ぐ」

〇市長の期待

公契約条例は「津市が発注者として受注者にこういうことを守っていただきたいといったことをお願いしていく」という条例です。

調達契約課の職員は自分たちの契約についてはプロフェッショナルですが、その相手方の企業さんがどういうふうに労使関係を結んでいるかということについてはほとんど素人です。
では、労使関係そのものを所管する部署はないかというと、津市においては商工観光部なんです。
そこに労政関係を担当している部局がありますが、その職員たちも、津市が契約を結ぶ相手方の労使関係というような個別の話にまでは入っていっていません。

従って、この条例を作るにあたって、我々が一番戸惑ったのは、どんなふうに企業さん方とそこで働く方々との関係があるのか、あるいは一人親方的な働き方をしている方々でどの部分が経営者でどの部分が労働者なのかといったところに入っていく部分については、慣れない分野であります。

そのような中で、津市入札等監視委員会のところでも色々とお話を聞いてまいりました。
それで、概ねこういう形で公契約条例を作っていこうという形は見えてきまして、労働報酬下限額という仕組みを作るかどうかという所まで来ましたが、そこからがわからない。
市長コラムにも条例制定の経緯を書いておりますので、ご覧いただきたいと思います。

その労と使のところで労働報酬下限額を設定することについて、職員は、労使両方の意見の板挟みになってしまったわけです。
そのような中で、労働報酬下限額を決めてしまった自治体と、決めないとする自治体とに分かれているわけです。

この状況でどちらを選択するかという時に我々としては労働者の側も経営者の側もプラスになるような労働報酬下限額の作り方はないだろうかと、労働者のことも経営者のことも両方プラスになるように物事を裁いておられる方々はいないだろうかと、こういう投げかけを職員にしたわけです。
答えは社会保険労務士さんでした。

中略

そのような中で職員が御意見を伺ってきたところ、「社会保険労務士さんは、企業からお金をいただいて企業のために仕事をしながら、かつそこの企業さんで働く労働者さんの権利をどう実現するかという部分の両方を追及されているということがわかった」ということでした。
では、津市も労使双方がプラスになるような労働報酬下限額の仕組みを作れるのではないかと結論づけました。

しかし、どういうふうに作っていけばいいかがわからない。
公契約条例は待ったなしなので、条例は作るけれども、実際に労働報酬下限額を設定してみたらどうなるのかをやりながら、もうひとつはどういう方々に適用するべきかを一緒になって考えながら物事を決めようではないかということにしました。

この条例は先送りしたのではないかと言われることもありますが、私たちとしては決して先送りしたのではなくて、労働報酬下限額の制度は作るんだということを宣言した上で、労使ともに納得感のある形で作り上げるということを最高5年かけてやってみようじゃないかということを条例で宣言したという条例であります。

そこで、そのことも含めてですが審議会を設置して、労働報酬下限額を定めることについて審議をお願いしながら、その他にもこの条例の全体に関わることで、条例の施行状況であるとか、条例の目的を達成するための施策に関する事項、その他市長が必要と認める事項について諮問をしていくという形になります。

従いまして経済会からお二人、労働会からお二人、中立の機関からお二人としたのは決して審議会は労使がそれぞれ
の意見をぶつけ合うための場所ではなくて、一緒になってこの公契約条例を良いものにしていくということが、市長としての審議会設置の意図でございます。何卒、大変お世話になりますがよろしくお願い申し上げます。

〇要するに、
・公契約条例は津市が発注者として受注者に「こういうことは守ってもらいたいとお願いする」もの。
・市役所の職員は「実際の労使関係・労働環境」についてよく知らない。
・労働報酬下限額を設定した公契約条例を作りたい。
・労働者も経営者もプラスになるような労働報酬下限額を作りたい。
・そのような労働報酬下限額について審議してほしい。


〇考察
・実際の労使関係や労働環境を知らない職員と「受注者にお願いするもの」と弱気な市長。
・「労使双方がプラスになる労働報酬下限額」などあるはずがない。
・「最低賃金より高い労働報酬下限額」を設定すれば違法労働状態や劣悪な労働環境はなくなるのか?
・「公契約における事業者間の競争激化、落札価格の下落により労働賃金や労働環境が悪くなることを防ぐ」という
   公契約条例の目的を忘れて「最低賃金より高い労働報酬下限額を設定したこと」で点数を稼ぎたいらしい。

※公契約条例を制定している自治体は35。そのうち賃金条項を定めているのが18、定めていないのが17。
   県内で公契約条例を制定しているのは津市と四日市市だけ。四日市市は賃金条項を定めていない。(議事録P6)

b.津市は受注者の関係法令違反を積極的に調べない

〇審議会で(議事録P7~P8)

委員
「津市公契約条例に関する特記仕様書には「公契約の解除等」という記載がありますが、
   条例に違反があれば罰則があるということでしょうか?」

津市
「事業者は、津市公契約条例に関する特記仕様書の内容、
   特定公契約についてはさらに労働環境の確保に係る誓約事項の内容も了知した上で入札等に参加しているので、
   関係法令や津市公契約条例に違反があった場合は、罰則の対象となります。」

委員
「受注者に関係法令違反があるかどうかの確認は行っていますか?」

津市
「労働者から違反があるという客観的な情報を提供された場合は
   調査や立入検査を行うことができることとしています。」

委員
「労働者は弱い立場にいるので、違反申告をしにくいのではありませんか?」

津市
「条例には違反申告をした労働者の不利益取扱を禁止しています。
労働者が違反申告をしにくいということは考えられますが、
津市は労働関係法令違反について判断できる立場にはないため、
客観的な事実が得られないと立ち入れません。」

委員
「労働者からの通報を待つよりも津市から積極的に調査を行った方が良いのではありませんか?
単に事業者が社会保険関係法令等を十分理解していないだけで悪質ではない場合もあるので、
津市が事業者を調査・指導することにより、事業者を育成することも必要です。
毎年いくつかの業者を抽出して調査する方法というのもあるのではないでしょうか?」

津市
「そういった調査については審議会の御意見もいただきながら検討していきたいと思います。」

〇考察
公契約条例の目的は受注者に労働関係法令を順守させること。
そのためには津市が積極的に動かなければなりません。

「条例で労働者の違反申告を認めているからその申告を待てばよい。」
「違反申告をした労働者の不利益取扱も禁止しているから、労働者は違反申告をしてくるはずだ。」
こんな「絵に描いた餅」で労働者が救われるとでも思っているのでしょうか?
「有給の “ゆ” を口にしたらクビになる」という現実の労使関係を本当に知らないのでしょうか?
それとも「知らないふりをしている」のでしょうか?

委員の言う通り「違反摘発ではなく調査・指導のため」にならやれるはずです。
公契約条例で受注者の労働関係法令順守を定めても、
それを「あなた任せ」にしていたのでは意味がありません。

津市は「審議会の御意見もいただきながら検討していきたい」と答えました。
さてさて、どうなるのでしょうか?
ただし「受注者にお願いする」という弱腰市長では結果は見えていますが。

(平成30年第二回審議会)

c.労働状況台帳の賃金が「実際に支払われたかどうか」は確認しない

津市が決めた労働報酬下限額が実際に支払われているかどうか確認するために
労働報酬下限額試行契約では受注者に「労働状況台帳」の提出を求めています。
※様式と記載例(様式1,様式2)
・様式1では「労働者氏名,労働報酬下限額,公契約分の労働時間,公契約分の支払賃金」を記載。
・様式2では様式1の重要部分だけ抽出したチェックシート。
・要するに「試行契約で津市が定めた労働報酬下限額を受注者が支払ったこと」を確かめるものです。
・提出回数2回は初回の賃金支払時に初回の分、最終の賃金支払時に残りの分。
・平成31年,令和2年,令和3年の書式がありますが、内容は変わっていません。
・平成31年様式1,平成31年様式2,令和2年様式1,令和2年様式2,令和3年様式1,令和3年様式2

この労働状況台帳について質疑がされました。(議事録P4~)

委員
「提出された労働状況台帳に記載された金額と実際に支払われた賃金が一致しているかどうかの確認を
   していく予定ですか?」

津市
「 発注者側が直ちにそこまでの確認を行うことは考えていません。
   賃金が労働報酬下限額を下回った場合、
   労働者は津市が設置する相談窓口へ申し出ることができる制度があります。」

〇考察
またまた出てきました「労働者の違反申告制度」。
そんなものが役に立つはずがない。
「受注者の提出した報告書は労働者の違反申告がないから信用できる。」
お人好しで世間に疎い津市。
いやいや、実情を知っていて知らぬふりをしているのかも。


続けて、提出回数についての質疑

委員
「 労働状況台帳は2回提出すれば良いのでしょうか?」

津市
「 毎月の提出となると事業者の負担が大変大きくなりますので、
   最初の賃金支払い時点と業務完了後の最終賃金支払い時点の2回を考えています。
   ただし、建設工事については下請業者分の台帳の提出も必要となってくるので
   提出時期や回数については今後の検討が必要かと思います。」

〇考察
・2回だろうと毎月だろうと「実際に支払われたことの確認」がなければ何の意味もありません。
・そもそも、「津市が定めた労働報酬下限額が支払われていれば公契約条例の目的が達せられる」と考えているのが
   間違いなのです。
   公契約条例の目的は
   「安売り競争の負担が労働者に押し付けられないように、受注者に労働法令を順守させること」。
   それには賃金だけでなく雇用・労災保険,健康保険,厚生年金の加入や有給休暇チェックしなければなりません。
・これらをチェックするためには給与ソフトの賃金台帳を提出させればよいじゃありませんか?
   ここには、雇用保険,健康保険,厚生年金の控除や有給休暇残り日数が記載されています。
   事業者は該当労働者の分をプリントアウトすれば済みまったく負担になりません。
   ついでに、、契約開始前に労働者の雇用保険資格者証,健康保険証,年金証書も提出させれば完璧でしょう。


〇その他

・設定した労働報酬下限額 → 時間当たり860円に設定
・労働報酬下限額試行案件について2件を試行案件として抽出
・受注者が今後提出する資料の様式及び提出時期について
① 初回の賃金支払い月の末日から7営業日以内に提出 → 労働状況台帳(初回)、アンケート(受注者等が回答)
② 最終の賃金支払い月の末日から7営業日以内に提出 → 労働状況台帳(2回目~最終分)、アンケート(受注者等及び労働者が回答)

〇平成30年度労働報酬下限額試行案件契約の基本情報

① 契約件名 平成30年度津市クリーンセンターくもずし尿処理施設点検・整備業務委託
・受注者 三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社中部支店
・業務内容 受入貯留設備及び汚泥脱水処理設備等の保守点検整備
・履行期間 契約締結日から平成31年3月31日まで
・契約方法 地方自治法施行令第167条の2第1項第2号による随意契約
・契約締結日 平成30年10月12日
・契約金額 121,500,000円(うち消費税及び地方消費税額9,000,000円)
・予定価格 121,683,600円(うち消費税及び地方消費税額9,013,600円)
・落札率 約99.8%
※ 昨年度落札率 約99.3%
※昨年度契約金額 291,600,000円(税込)
※昨年度予定価格 293,652,000円(税込)

② 契約件名 平成30年度津市西部クリーンセンター2号炉焼却施設点検・整備業務委託
・受注者 荏原環境プラント株式会社中部支店
・業務内容 受入供給設備、燃焼設備、燃焼ガス冷却設備等焼却施設各機器の点検及び整備
・履行期間 契約締結日から平成31年3月31日まで
・契約方法 地方自治法施行令第167条の2第1項第2号による随意契約
・契約締結日 平成30年10月18日
・契約金額 138,240,000円(うち消費税及び地方消費税額10,240,000円)
・予定価格 139,320,000円(うち消費税及び地方消費税額10,320,000円)
・落札率 約99.2%
※昨年度落札率 約99.3%
※昨年度契約金額 154,440,000円(税込)
※昨年度予定価格 155,469,240円(税込)

(平成30年第三回審議会)

d.「受注者の労働関係法令違反」はアンタッチャブル

委員から「労働報酬下限額の審議だけでなく受注者等に対し労働状況を確保するよう周知・徹底することもも必要」
という意見。これに対し津市はどう答えたか?(議事録P9~)

委員
「 労働報酬下限額を議論するために審議会を開催していますが、
   それだけではなく受注者等に対し、労働状況を確保するよう周知・徹底を行っていただきたいと思います。
   ある程度の規模の会社は労働環境の確保はされていることかと思いますが、
   すべての事業者が労働環境の確保ができるよう、発注者として指導するのが公契約条例の趣旨だと思います。」

津市
「委員の御意見のとおり、公契約というと労働報酬下限額が注目されがちですが、
   本来は労働者の労働環境を良くしていこうというものであります。
   例えば、賃金が比較的安くても福利厚生が充実していて、労働者が労働環境に満足している場合もある し、
   逆に賃金が高くても業務内容が過酷で労働環境に満足していない場合も考えられます。
   労働報酬下限額だけではなく、労働者がより良い環境で働いてもらい、事業者も競争した上で受注し適正な利益を
   確保していただくと、それが結果として地域が潤うということにつながると考えています。」

審議会の最後に議長から「何かありますか?」と問われ、津市が追加説明(議事録P11~)

津市
「先ほど委員から労働報酬下限額の議論だけではなく、適切な労働環境の確保も必要との意見がありました。
   しかし、公契約条例では労働者から「賃金が支払われていない」等の労働環境についての申出を津市に行えます。
   その申出内容が法令に違反するようだと法令を所管する関係機関に通報するといった制度があります。
   最低賃金を下回る賃金が支払われているという情報が津市に寄せられた場合、津市は三重労働局に通報しますが、
   この度、三重労働局から通報について協定を結んで制度化していこうという提案がありました。
   この提案は大変有意義な提案であると考えていますので、
   津市としても協定を結ぶことについて、前向きに検討していきたいと考えております。
   協議内容等について具体的に決まり次第改めて報告させていただきます。

委員
「労働者からの通報ということでしたが、津市から事業者に対し、指導することはありますか?」

津市
「公契約を締結する際には、
   関係法令を遵守すること等が記載された誓約書を契約書内に綴じ込んで契約していますので、
   受注者は当然関係法令を遵守を約束した上で契約しているものです。
   しかし、万が一賃金の未払い等の法令違反があれば、労働者は津市に対して申出をすることができますので、
   申出があれば津市は関係機関へ通報するという制度があります。

委員
「受注者の中には雇用保険や社会保険の未加入の事業者もありますので、
   今後そういった事業者への指導も必要なのかと思います。」

津市
「…」

会長が「ほかに事務局から何かありますか。」と議論を打ち切り、次回の開催日を決めて閉会

〇考察
・委員の言う「労働環境の確保」とは「労働関係法令の順守」ということです。
   要は「津市の定めた労働報酬下限額の支払だけではなく、
   それ以前に労働関係法令を順守させることが必要」と言っているのです。
   津市はそれを「労働環境の確保=福利厚生」だとして答弁しています。
   「お人好し・世間知らず」なのか、「議論のすり替え」なのか。

・毎回の答弁で分かるように、津市は受注者の労働関係法令違反について積極的に動こうとしません。
   委員から「労働者からの通報だけでなく津市が受注者を指導しないのか?」については
   「関係法令に反しないという誓約書を交わしている」,「労働者からの違反申告制度がある」,
   「違反申告があれば関係機関へ通報できる」,
   「労働局から通報の制度化について提案があった」ので期待できる。
   このように答弁はいつも「他人任せ」。
  
・もしかして…、
   「受注者が労働関係法令違反をしていること」は充分に知っている。
   「労働環境を改善するためには受注者の労働関係法令違反を止めさせることが必要」ということも分かっている。

   しかし、津市が受注者の労働関係法令違反をチェックすればどんどん出てくる。
   それが問題となって受注者が労働関係法令を守りだしたら入札価格がどんどん上がっていく。
   それでは「最低落札価格なし」で「安売り競争」をさせることができない。

   だから、「受注者の労働法令違反」に対して積極的には動かない。
   ひたすら「立ち入る権限がない」,「誓約書をとっている」,「労働者の違反申告制度がある」で逃げきろう。
   津市にとって「受注者の労働関係法令違反」はアンタッチャブル。

   だって、最低落札設定せず、安売り競争をさせて違法労働環境の元凶を造り出している津市が、
   自ら「越後屋さん」を取り締まれませんからネェ。
   このように思えて仕方がないのですが…。


あっ!
津市の設定する予定価格(落札上限価格)自体が違法労働を前提にするものでしたね。
予定価格を公表しなければならないときは「一気に20万円アップ」でしたね。
だから、「受注者の法令違反にはアンタッチャブル」?
そう思われても仕方がないでしょう。→ こちら

(平成30年第四回審議会)

審議内容は、
・一人親方を試行の労働者に入れるかどうか
・労働状況台帳の提出月
・元請け・下請関係の労働状況台帳の取扱について
業務委託に関連する審議なし。

(令和元年第一回審議会)

●平成30年度労働報酬下限額試行案件2件についての報告
①平成30年度津市クリーンセンターくもずし尿処理施設点検・整備業務委託
・労働状況台帳により労働報酬下限額以上の賃金が支払われていることを確認
②平成30年度津市西部クリーンセンター2号炉焼却施設点検・整備業務委託
・受注者が労働状況台帳の作成に時間を要しているためいまだに未提出。結果確認できず。

その他、労働報酬下限額の決め方や労働状況台帳の事務処理等。

●令和元年度労働報酬下限額試行案件の基本情報

①契約件名 津市芸濃庁舎日常清掃等管理業務委託
・受注者 有限会社三重伸明(津市野田21‐638)
・業務内容 日常的に芸濃庁舎内の床面、トイレ等の清掃を実施
・履行期間 契約締結日から令和2年3月31日まで
・契約方法 地方自治法施行令第167条第1号による指名競争入札
・入札者 21
・契約締結日 平成31年4月25日
・契約金額 4,896,000円(うち消費税及び地方消費税額408,000円)
・予定価格 4,945,090円(うち消費税及び地方消費税額412,090円)
・落札率 約99.0% / 昨年度落札率 約97.0%
※昨年度契約金額 4,431,240円(税込)
※昨年度予定価格 4,568,400円(税込)

※落札率=落札価格÷予定価格×100
※津市の指名競争入札は市内業者全部指名。
※物品購入で落札率が高くなるのは頷けるけど、業務委託で落札率が99%!
※さらに、次の年度(令和2年度)では同じ業者が落札して落札率は100%!

②契約件名 令和元年度津市安芸・津衛生センターし尿処理施設点検整備業務委託
・受注者 クボタ環境サービス株式会社中部支店(名古屋市中村区名駅3丁目22番8号)
・業務内容 安芸・津衛生センターのし尿処理設備の点検及び整備
・履行期間 令和元年7月12日(契約締結日)から令和2年3月27日まで
・契約金額 99,990,000円(うち消費税及び地方消費税額9,090,000円)
・予定価格 100,090,100円(うち消費税及び地方消費税額9,099,100円)
・落札率 約99.9%
・入札者 17

③契約件名 令和元年度津市西部クリーンセンター2号炉焼却施設点検整備業務委託
・ 受注者 荏原環境プラント株式会社中部支店(名古屋市中区新栄2丁目1番9号)
・ 業務内容 西部クリーンセンター2号炉の焼却設備の点検及び整備
・ 履行期間 令和元年10月28日(契約締結日)から令和2年3月31日まで
・ 契約金額 133,100,000円(うち消費税及び地方消費税額12,100,000円)
・予定価格 133,208,900円(うち消費税及び地方消費税額12,109,900円)
・ 落札率 約99.9%
・入札者 1

※②と③は次の令和元年第二回審議会で報告されたもの。
※①,②,③の入札者数は令和2年第一回審議会で報告されたもの。(令和2年第一回審議会議事録P5)
※②,③の予定価格と落札率は令和2年第一回審議会での資料第一家対
※指名競争入札かどうか不明。落札率の記載もなし。

(令和元年第二回審議会)

・前回提出されていなかった平成30年度試行案件②について、労働報酬下限額以上の支払があったことを確認。
・令和元年度試行案件(上記①,②,③)の労働状況台帳の第一回提出分について労働報酬下限額以上の支払を確認。

後は、下請の労働状況台帳の提出について、回数,元請けの関与,個人事業者や一人親方の取扱など。

〇こんな質疑も(P7) ※下請が絡む場合です。

委員
「今回の試行案件で現場作業に当たった労働者全員の労働状況台帳が提出されていたか確認していますか?」

津市
「受注者から提出された労働状況台帳で確認しているだけです。」

委員
「提出された労働状況台帳については、労働報酬下限額を下回っていないか等の確認をするものの、
   労働者の数や支払われた報酬額については、虚偽の記載はないものと判断されているということですね。」

津市
「そのとおりです。
   また、施工体系図に記載があるものの労働状況台帳の提出がない業者については、
   その業者が提出対象であるかどうかは確認をしています。」

委員
「今回の労働状況台帳提出対象業者の中には、公契約条例の主旨は単に最低賃金以上の報酬を支払えばいい
   と認識している業者もいると聞いたことがあります。」

委員
「元請業者が提出を依頼しても、労働状況台帳を提出してくれない業者がいた場合、
   封筒に入れた状態で提出を依頼することになるかもしれませんが、
   それでさえ拒否された場合、元請業者が下請業者に対してそこまで強く指導できるのかという問題があります。
   非常に難しい部分があるのではないかと思います。
   今後については、そういった未提出業者に対してペナルティを課すことも検討する必要がありますね。」

委員
「最近の建設業界は売り手市場ということもあり、雇用主側より労働者側の方が強い立場になることもあります。
   人件費も徐々に上がってきている最近の状況では、労働報酬下限額が三重県の最低賃金の120%であったとして
   も、それを下回る業者は存在しないのではないかと思います。
   また、下請業者が労働報酬下限額を下回った場合、ペナルティが元請業者にまで及ぶとなると
   大変なことになると思いますので、なるべく簡単な方法でやっていかないといけないと思います。
   下請業者に対する労働状況台帳の提出依頼については、現場の監督員に任せるのではなく、
   経営者自らが下請業者に説明して依頼することになると思いますので、
   あまりにも複雑な方法だと、経営者側が大変です。
   できるだけ事業者の負担とならない方法を検討していただくようお願いします。」

〇考察
どの発言をどの委員がしたのか分からないので「流れ」がハッキリしないけど、
話がスリ変わっているように思えます。
ある委員の「労働状況台帳提出対象業者の中には、公契約条例の主旨は単に最低賃金以上の報酬を支払えばいいと認識している業者もいるのではないか」の発言意図は、
今までの審議会の発言から考えると
「最低賃金以上の労働報酬下限額を支払えばよい。厚生年金・健康保険・有給休暇などの労働関係法令順守は関係ないと思っている業者がいるのではないか?」ということ。
それが次の委員の発言で、「下請に労働状況台帳をどのようにして提出させるか」の問題に変わっています。

他人の発言をしっかり聞いていないのか、他人の発言意図を理解する能力がないのか、
それとも「事業者の労働関係法令違反はアンタッチャブル」の津市側の委員なのか?

事業者が提出した「これだけの賃金を支払いました」という報告書を鵜呑みにしていたのでは違反など起こらない。
津市に「公契約条例が守られていることをしっかりと確認した」という言い訳を与えるだけ。
こういうところが「公契約条例は底の抜けたバケツ」。

しかし、問題は「津市の定めた労働報酬下限額が支払われること」ではありません。
重要なのは「受注者に労働関係法令を守らせること」なのです。
審議会でそのような質問が出ると、話をすり替える。
そして最後には「誓約書がある,労働者からの違反申告がある」で逃げる。
お粗末な審議会ですね。

e.審議会ここまでの内容

・試行案件で最低賃金より高い労働報酬下限額をいくらにするか
・労働報酬下限額を支払ったかどうかは受注者の提出する労働状況台帳だけでチェックする。
・労働状況台帳にはその労働者に支払った賃金の単価,労働時間,支払総額だけを書く。
・受注者の労働関係法令違反について津市は積極的に調査しない。
・受注者に対しては誓約書、労働者に対しては違反申告と違反申告による不利益取扱の禁止があるから充分。
・試行案件すべてについて、労働報酬下限額以上が支払われていることを確認した。
・受注者の提出する労働状況台帳の提出回数,提出時期については改善の余地がある。
・労働報酬下限額をいくらにするかも検討の余地がある。

要するに
「津市が定める労働報酬下限額が支払われていれば公契約条例の目的が達せられる」との前提。
しかも、「支払われたかどうか」のチェックは受注者の提出する「賃金支払報告」を鵜呑みにする。
そして、毎回「試行案件すべてについて労働報酬下限額以上の賃金が支払われていました」という報告。
賃金支払報告(労働状況台帳)の提出回数を何回にしようが、提出時期をいつにしようが無意味です。
「市長の集めた委員と津市の職員が不毛な審議を繰り返している」と思えます。
まあ、この審議会は市長の諮問機関だからこの程度でしょう。

「落札価格の下落により労働賃金や労働環境が悪くなることを防ぐ」という公契約条例の目的を達するためには
「受注者の労働法令違反をなくする」こと。
これを見て見ぬふりをする津市に任せていたのでは公契約条例は「底の抜けたバケツ」。
公契約条例を意味あるものにするのは議会なのです。
市議会議員諸兄!目を覚ましてくださいネ。

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※過去の予定価格や落札率は一切公開されない。分かっているのは「最低落札価格なし」だけ。

今までの審議では、「受注者の労働関係法令違反にはアンタッチャブル」。
今度の審議では「的外れ答弁」が出てきます。
本当に知らないのか?知っていてはぐらかしているのか?
委員が「最低落札価格を設定していないこと」にも言及します。

★★★


(令和2年度第一回審議会)

〇令和2年度労働報酬下限額試行案件の基本情報

①契約件名 三重短期大学警備業務委託
・受注者 株式会社丸元(市内本店業者)
・業務内容 三重短期大学及びこれに付随する物件の警備
・履行期間 令和2年5月1日から令和3年3月31日まで
・契約方法 地方自治法施行令第167条第1号による指名競争入札
・契約締結日 令和2年4月30日
・契約金額 月額412,500円(うち消費税及び地方消費税額37,500円)
・予定価格 月額684,200円(うち消費税及び地方消費税額62,200円)
・落札率 約60.28%
※昨年度落札率 約58.57%
※昨年度契約金額 月額394,200円(税込)
※予定価格 月額669,600円(税込)
・入札者 6 (当方も参加していました → こちら)

②契約件名 津市芸濃庁舎日常清掃等管理業務委託
・受注者 有限会社三重伸明(市内本店業者)
・業務内容 日常的に芸濃庁舎内の床面、トイレ等の清掃を実施
・履行期間 令和2年5月1日から令和3年3月31日まで
・契約方法 地方自治法施行令第167条第1号による指名競争入札
・契約締結日 令和2年4月28日
・契約金額 4,936,800円(うち消費税及び地方消費税額448,800円)
・予定価格 4,936,800円(うち消費税及び地方消費税額448,800円)
・落札率 100%
・入札者 4
※昨年度落札業者 本年度と同じ
※昨年度落札率 落札率 約99.0%
※昨年度契約金額 4,896,000円(税込)
※昨年度予定価格 4,945,090円(税込)

f.業務委託の入札結果は公表されない

津市では業務委託の入札結果は公表されません。 → こちら
四日市市や鈴鹿市では落札価格だけではなく予定価格や最低落札価格が公表されます。 → 鈴鹿市,四日市市

例えば庁舎の宿・日直業務や清掃業務。
前年度の入札者数、落札価格,落札者は公表されません。
当年の入札に参加するために仕様書を取りにいくと「前年度の落札者と落札価格」を教えてくれます。
もちろん、予定価格や落札率などまったく分かりません。
分かっているのは「最低落札価格なし」だけ。

今回、試行案件についてだけ予定価格,落札率が開示されました。

当方が参加しているのが上記試行案件①
同様の「1ポスト・宿日直業務」は久居,河芸,芸濃,美里,安濃,香良洲,一志,白山の8総合支所。
毎年、同業者が情報収集のために入札に集まります。

指名は市内業者全員指名。
談合・連合はできない、予定価格は分からない,最低落札価格なしの「安い者勝ち」。
しかも、契約は1年限りで来年は「さらに安い者勝ち」。
今回偶然に予定価格が分かりましたが、その額の高さに驚いています。
同じような指名競争入札の清掃業務で落札率100%にはビックリ!

g.「最低賃金減額許可」の労働者は労働報酬下限額試行から除外?

・試行マニュアルの記述

津市
「昨年度の3件の試行案件の試行結果の報告。
   全労働者に対し、労働報酬下限額以上の労働報酬が支払われていることを確認。
   また、アンケートからは労働状況台帳の作成回数を減らしてほしいとの意見あり。

・令和2年度については、労働報酬下限額を880円に設定し、2件発注し、今後2件を発注予定。

・昨年度のアンケート結果に基づき、清掃等単純作業による業務に限って労働状況台帳の作成を
   毎月から履行期間中に報酬が支払われる初回及び最終回の2月分(2回の提出)に変更し、
   発注済みの2件に適用。発注予定の2件については、業務内容を精査し、適用するか決定。

・令和2年度の試行案件のうち三重短期大学における警備業務については、
   受注者から従事する労働者に対し最低賃金の減額の特例(断続的に従事する者に対する適用除外許可書)の許可を
   労働局から受けたとの申出があったため、
   試行マニュアルに基づき当該労働者は本試行の対象となる労働者から除外。

〇該当の試行マニュアル(平成31年試行マニュアル)を見ると
「※対象とならない者について
・ 家事使用人、同居親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者
・ 最低賃金法第7条の規定により最低賃金の減額の特例を受ける者
   (使用者が都道府県労働局長の許可を受けている者に限る。)
・ 公契約に係る業務に直接従事しない者(一般事務員、材料の製造に従事する者)
・ 労働基準法第9条に規定する労働者でない者(ボランティア、会社役員)
・ 対象契約への従事時間が1か月あたり30分未満の者
・ 個人事業主(一人親方)及び指定管理」
※令和2年,令和3年の試行マニュアルも同じ。

これはチョットおかしい。

・基礎知識-断続的労働と最低賃金の減額許可

〇断続的労働

宿直日直業務のように「巡回などの実際業務」と「緊急対応のための待機」が繰り返される業務です。
拘束時間は長いけれど「実際の労働時間が短く待機時間の方が圧倒的に長い」業務です。
また、拘束時間中は常に緊急対応の可能性があるので、1ポストの場合は休憩時間が存在しません。→ こちら

そのため、基準法の「1日に8時間・週に40時間、8時間を超えたら休憩1時間、休日は週に1日」に反します。

そこで、労働局に申し出て「その業務について労働基準法の適用を除外してもらいます」。
※労基法41条,施行規則34条

これを断続的労働の適用除外許可といいます。
この適用除外許可をうけないで、業務を行わせると「8時間を超えた時点」で労働基準法違反となります。
※8時間/日,40時間/週は36協定で逃げられるけれど、「8時間超えたら休憩1時間」が逃げられません。

ただし、許可されるには次のことを満たさなければなりません(労働省通達)
・巡回回数は 6回以内、一巡回の所要時間は1時間以内で合計4時間以内。
・精神的緊張の大きい場所はダメ。
・危険な場所、環境(温度,湿度,騒音,粉塵濃度など)が有害な場所はダメ。
・拘束時間は12時間以内(但し勤務中の夜間に継続して4時間以上の睡眠ができるときは 16時間以内)。
・勤務と勤務の間に10時間以上の休息期間が必要。
(但し、勤務中の夜間に継続して4時間以上の睡眠が与えられるときは8時間以上の休息期間が必要)。
・休日は一カ月に2日以上。その代替要員が確保されていること。
   休日は休息期間に24時間を加えた継続したものであること。
・勤務場所が一つで、そこに常駐する(1カ月以上)場合であること。
・夜間に睡眠を与えるときは充分な睡眠ができるような場所と寝具が備えつけられていること。

〇断続的労働に従事する者の最低賃金の減額の特例許可

断続的労働は待機時間が長く実労働時間が短いので全体として考えると労働強度が低くなります。
そこで、実労働時間を100%,待機時間を60%と評価します。
その結果、時間当たりの賃金は最低賃金より安くなります。
これも、労働局へ申請して許可をもらわなければなりません。
これを「最低賃金の減額の特例許可」といいます。(最低賃金法7条4号)

断続的労働の適用除外許可はその業務についてのものですが、最低賃金の減額許可は労働者個人に対するものです。労働者一人一人について許可をもらわなければなりません。

例えば、
・1ポスト,17:00~翌8:30,平日の宿直業務
・巡回回数6回(1巡回60分以内)
・A/所定定労働時間 → 15.5時間/930分(休憩なし)
・B/実労働時間 → 185分、C/手待ち時間 → 745分
・最低賃金 → 902円(2022年三重県)

減額できる上限は
・(手待ち時間×0.4)÷所定労働時間×100=745×0.4÷930×100≒32.04% → 32.0%(減額率)
※減額率は「%の小数点第第2位以下を切り捨て小数点第1位まで」。
※手待ち時間は60%評価 → 40%を減額 → 所定労働時間1時間あたり何%減額したか。

賃金の下限は
・最低賃金×(1-減額率)
・上の例なら 902円×(1-0.32)=613.36≒614円 ※1円未満の端数を切り上げ

支払わなければならない日当の下限は
・賃金の下限額×(所定労働時間+深夜労働時間×0.25)=614円×(15.5時間+7時間×0.25)=10591.5円
・つまり、日当は10592円以上でなければならない。

・「なぜ労働報酬下限額試行の対象から外すのか」不明

最低賃金減額許可は
「最低賃金で支払うのなら 最低賃金を減額率だけ下げてもいいよ」ということ。

津市の労働報酬下限額試行は「最低賃金より高い額を労働報酬下限額」を設定しているのだから
労働報酬下限額を減額率の分だけ下げて論じなければなりません。

具体的に言えば、
・この年の最低賃金は873円。
・許可を得た減額率は33.8%
・この労働者に適用される最低賃金は 873円×(1-0.338)=577.926円≒578円 ※1円未満の端数を切り上げ

・この年に設定した労働報酬下限額は880円
・労働者に支払わなければならない賃金=労働報酬下限額×(1-減額率)
   =「880×(1-0.338)=582.56 → 583円」※1円未満の端数を切り上げ

この583円が支払われたかどうかチェックしなければならないのです。
もちろん、22時~翌5時の深夜割増も必要です。

しかし、審議会ではこの労働者を試行から外し、578円でチェックしているのです。

〇この点についての質疑は次の通り(※議事録P2~)

委員
「減額後の賃金はいくらですか。」

津市
「現在の最低賃金が873円、減額率が33.8%、減額後の最低賃金額は578円以上となっています。」

委員
「時間給としては873円支払わなくてもいいということですね。」
※「最低賃金の873円は支払わなくてもいい → 578円以上を支払えばいい。」という意味。
   しかし、違う、チガウ!583円以上払わなければならないの!

-中略-

津市
「最低賃金法の適用を受ける労働者を労働報酬下限額の対象者としています。
   特例措置を受ける労働者の場合は、対象外となります。」

お笑いですね。
多分、どこかの市の試行マニュアルを「コピペ」したのでしょうが、
その市は「最低賃金を労働報酬下限額」にしていたのではありませんか?
労働報酬下限額が最低賃金と同じなら
「最低賃金の減額許可を受けた労働者は試行対象から外しても問題ない」ですからね。
津市は最低賃金より高い額を労働報酬下限額としていることを忘れていませんか?

津市もお笑いですけど、委員も不甲斐ないですね。

「最低賃金の減額許可があった場合なら、労働報酬下限額×(1-減額率)の賃金を支払わなければなりませんよ。」「最低賃金の減額許可があった場合に、なぜ労働報酬下限額試行の対象からはずれるのですか?」
「試行マニュアルが間違っているのではありませんか?」

こんな質問がでなければなりませんよ。
しっかりしてくださいよ委員さん!

(令和2年第二回審議会)

今回の審議会では「お馬鹿さん!」という質疑はありません。
内容を拾い上げると、

・公契約の対象に指定管理を加える。
・労働者性の高い個人事業主及び指定管理者が直接雇用し常駐する労働者を条例の対象労働者とする。

・業務委託における労働報酬下限額の対象案件は
   予定価格が1000万円以上で、かつ、競争により契約している特定公契約とする。
※これで市庁舎の宿日直業務や日常的な清掃業務は試行から外れる、予定価格や落札率はまた闇の中。

・労働報酬下限額は津市職員高卒初任給を勘案した額とする(業務委託、指定管理、工事共通)。

・労働状況台帳は受注者に加え、受注関係者(再委託業者、下請業者)に対しても作成及び提出を義務付ける。
・業務委託及び指定管理の労働状況台帳は、原則初回及び最終回の労働に係る労働報酬を提出対象とする。
・工事の労働状況台帳は、原則中間月と履行完了月の労働に係る労働報酬を提出対象とする。
※支払った賃金だけの報告。しかもそれを鵜呑み。対象を拡げても提出回数を検討しても意味はない。

その他いろいろ。
興味のある方は議事録を読んでください。

(令和3年第一回審議会)

h.「落札率が低い → 労働者にしわ寄せ」は当然なのに…。

「令和2年度の労働報酬下限額試行案件一覧」から「指名競争入札」の「業務委託」を抜粋しました。
令和2年第一回審議会の項で紹介した2例も入っています。
すべて、「市内業者全員指名」・「最低落札価格なし」・「毎年入札」の案件です。
もちろん、前年の予定価格や落札率は公表されません。
※審議会議事録P19の次にある資料
※金額はすべて10%消費税込み

番号件名予定金額落札金額落札率入札数指名数
①津市芸濃庁舎日常清掃等管理業務委託4,936,8004,936,800100.00%417
②三重短期大学警備業務委託月額684,200月額412,50060.29%630
③津リージョンプラザ清掃業務及び
環境衛生管理業務委託
月額1,452,000月額1,169,85080.57%612
④津市モーターボート競走場
場内清掃業務委託
25,942,84018,568,00071.57%326
⑤津市モーターボート競走場
施設清掃業務委託
33,275,00011,587,95034.82%326
⑥津市モーターボート競走場
駐車場等警備業務委託
1名当たり
日額11,000
1名当たり
日額10,800
98.18%530
⑦津市モーターボート競走場
場内警備業務委託
29,367,00029,267,70099.66%339
⑧津リージョンプラザお城ホール
舞台設備管理操作業務委託
月額1,430,000月額1,430,000100.00%124
⑨令和3年度北道維担第1-38号
津地区街路樹維持管理業務委託
16,318,50011,000,00067.41%618

〇これを見て委員が質問します。(P3~)

委員
「業務委託は、業務に対する人員の数が把握できている中で、
   予定価格と落札金額との差が開いたという結果となっているため、
   労働者に十分な労働報酬が支払われているのかが気になりました。」

★「必要人員が大体分かっていて予定価格を計算 → 落札率が低い → 労働者の待遇や賃金が下がる」という意味。

委員
「事務局からの説明にもありましたが、
   落札率は低かったものの、結果としては、労働報酬下限額以上の報酬は支払われたということですね。」

★「労働報酬下限額以上を支払った → 労働者の待遇や賃金は下がっていない → 問題なし」という意味。
   下限額以上を支払っても健康保険・厚生年金未加入などの法令違反で経費は下げられる。
   そもそも、「下限額以上を支払ったかどうか」は受注者の報告だけで、それを津市は鵜呑みにしている。

津市
「業務委託の予定価格積算時においても業務を行うのに、
   労働者は何人必要というのを想定して積算していますが、
   業務を何人で行わなければならないというものを決めているものではありませんので、
   双方の積算の差が予定価格との差になったものと考えます。
   落札率が極端に低い案件については履行体制調査を行うなどの方法も検討したいと考えています。」

委員
「市が5人で積算していても事業者が3人で積算して入札した結果、
   落札率が下がるということも有り得るということですね。」

委員
「今の例の場合、市が5人で積算した業務を3人で行ったとすると、
   その3人に残業が発生する等のしわ寄せがいくことは考えられませんか。」

津市
「市は標準的な人数で積算しています。
   その積算に対し、事業者は積算より少数の熟練労働者を配置する等して事業費を圧縮しているという場合には
   問題はないものと考えています。」

★ここで、落札率の低いのは「②の警備業務の60.29%」と「⑤の清掃業務 34.82%」。
   確かに、「⑤の清掃業務/落札率34.82%」なら津市の説明するように
   「通常人の3倍働く作業員」を配置すれば作業員数を減らせ経費を1/3にすることができます。
   しかし、「②の警備業務/落札率60.29%」は「1ポストの宿日直業務」で作業員の数が決まっています。
   「通常人の2倍働くスーパー警備員」を配置しても作業員を減らして経費を半分にすることはできないのです。

   津市の答弁はこの点をはぐらかしています。質問した委員もこの「はぐらかし」に引っかかっています。
   「この審議会ではまともな議論ができているのだろうか?」と心配になります。

   津市の見積もった予定価格から落札価格が大きく離れている場合は「それでやれる理由」が必ずあります。
   その理由が「受注者のボランティア・持ち出し」なら問題はありませんが、労働法令違反なら大問題。
   「積算の違い」で議論を終わらせる問題ではないでしょう。
   答弁する津市が「ずれている」のか「はぐらかしている」のか。
   どちらにしても、審議会の委員さんがしっかりしてくれなければ!

★それにしても、
前年の予定価格・落札率は非公開、競争入札で最低落札価格なし。
これで、落札率が98%,99%,100%!
落札率が低いのも問題ですが、落札率が100%に近いのも別の意味で問題なのではないでしょうか?

〇その後、委員がさらに落札率の低い案件について質問します。(議事録P8~)

委員
「今回の話とは直接関係ないかもしれませんが、落札率が34.8%の案件がありましたので、
   この契約金額で業務をやっていけるのかどうかと心配になります。」

委員
「予定価格と契約金額に大きな差が出るということは
   予定価格自体が正しいのかということにもなると思うのですが、市はどのようにお考えでしょうか。」

★ある委員が津市に批判的な質問をすると、必ずある委員が議論の方向をすり替える。
   初めの委員は「津市の予定価格は適正 → 落札金額が低い → 労働者にしわ寄せ → 法令違反」のつもり。
   次の委員が「津市の予定価格が高すぎる → 落札金額が低い → 労働者にしわ寄せばない」とすり替える。

津市
「業務委託の予定価格の積算方法は参考見積もりを勘案して設定する場合や、
   工事のように積算する場合もありますので、
   統一した積算基準がある工事とは異なりますが、予定価格の設定については適正に行われているものと考えます。
   また、当該業務については、
   落札率が低かったとしても今のところ報酬の支払や業務の履行は適正に行われています。
   今後、仕様どおりの業務が履行できていない場合は必要な措置を講じます。」

★津市は当然「予定価格は適正」と答える。

委員
「同じような業務であれば予定価格も同程度になるのでしょうか。」

津市
「同程度になると思われます。」

委員
「当該業務は最低制限価格が設定されていないことから34.8%の落札率になったものだと思いますが、
   低い落札率であっても業務を適正に履行できるということであれば、
   この予定価格自体が正しいのかという話になると思います。
   そうならないように市は、落札率の低い案件について業務の履行確認をしっかり行っておくべきだと思います。」

★ついに「最低落札価格なし → 安売り競争 → 落札率34.8% → 違法労働環境」に議論が進むぞ!
   しかし議論は「最低落札価格なし → 安売り競争 → 落札率34.8% → 履行確認が必要」という方向に。

津市
「御意見いただいたことについては、しっかり履行確認を行っていきます。
   また、本市には履行体制調査という制度があり、
   契約に当たって履行ができる体制が整っているかどうかを確認してから契約をするというものですが、
   低い落札率が続くような場合は当該制度の活用も考えております。」

★「低い落札率 → 履行が不適正な可能性 → 履行確認が必要」で収まり、「違法労働」はまた闇の中に。

委員
「落札した事業者はこの金額で契約しなければならない事情もあったのかと思いますが、
   無理をして低い金額で落札した結果、業務の履行に支障が出た際に発注者の責任が問われる可能性もあります。
   工事の場合は低価格で落札した業者に対して、余分に技術者を配置させる等といった制度がありますが、
   業務委託についても低価格での落札について歯止めをかける方法を考えた方がいいかと思います。」

★それを委員が追認して議論を終わらせる。

★もう一度論評すると、
   津市の説明は、
   予定価格は適正,落札率34.8%のこの業務はちゃんと履行されている,賃金支払も適正に行われている。
   だから落札率が低くても問題なし。
   その後に発言した委員さんも「業務が履行されているかどうかしっかりと確認してほしい」。

   いつのまにか、問題が「落札率が低い → 労働者にしわ寄せがいくのでは?」から
   「落札率が低い → 業務はちゃんと履行されているのか?」に変わってしまいました。
   委員さん!津市のペースに巻き込まれてはいけませんよ。それとも、津市に協力する側の委員さん?

   「業務が適正に行われている」から「労働者にしわ寄せがない」は言えません。
   「設定した下限額以上の賃金が支払われていること」と「労働者にしわ寄せがないこと」ば同じではありません。
   津市の答弁はいつも「ずれて」います。

   それとも「ずれたふり」をして、「受注者の労働法令違反にはアンタッチャブル」?
   それを問題にすると、落札価格が上で上がってしまう。
   それでは「最低落札価格なし・毎年入札」で「安売り競争」をさせられなくなる。
   安く受注させればそれだけ税金は節約できます。
   しかし、「ブラック事業者の法令違反,憲法で保障する人権侵害」の片棒を担ぐことになります。
   公契約条例はどこに行ってしまったのでしょう?
   そろそろ「目を覚まさなければならない」のでは?

   最後に発言した委員さんが「つい本音を漏らして」しまいました。
   「業務委託についても低価格での落札について歯止めをかける方法を考えた方がいいかと思います。」

   最低落札価格を設定すれば「歯止め」がかかり、すべて解決なのですがネェ。

i.その他

〇労働報酬下限額の変更(議事録P6~)
令和3年の労働報酬下限額は890円に設定していたが、
令和3年10月より三重県の最低賃金が902円になったので労働報酬下限額も902円とした。

委員から「最低賃金よりも高い労働報酬下限額を設定することではなかったのか?」

津市の答弁は「上がった巾が大きかったから」とかいろいろ言い訳。

いつになってもこの審議会は「支払われる賃金」のことだけ。
「受注者の労働関係法令違反はアンタッヂャブル」
「最低落札価格なし」による労働環境の悪化など議論される気配はない。

j.「 断続的労働の除外許可や最低賃金減額許可」を予定していない仕様書

以上のように、審議会の津市答弁から分かるのは「受注者の労働法令違反はアンタッチャブル」。
「労働法令違反なんかとやかく言わないから、安くしてよ!」
それが、仕様書からも分かります。

先に説明した「総合支所の1ポストの宿日直業務」。
これらの仕様書には「1ポストであること,就業時間,大雑把な業務内容」が書いてあるだけで、
細かい業務内容や巡回回数、その必要時間が書いてありません。

g で説明したように「1ポストの宿日直業務」は
断続的労働の除外許可を得なければ 8時間を超えた時点で違法になります。

そして「断続的労働の適用除外許可」が認められるには
「巡回回数は 6回以内、一巡回の所要時間は1時間以内で合計4時間以内」他の基準(労働省通達)があります。
※平成5年2月24日 基発110号

そのため、細かな巡回回数や巡回時間が分からなければ
「断続的労働の適用除外許可が出るかどうか」分からないのです。
つまり、この仕様書では「その業務を警備員に行わせた場合に違法になるかどうか」が分からないのです。

また、その業務が断続的労働の適用除外許可が得られるようなものであるとしても、
「手待ち時間と実労働時間」が分からなければ「最低賃金の減額率」が計算できず、日当が算定できません。
そのため、入札価格を決められないのです。

さらに、これらの許可は申請から許可書が出るまでに一カ月くらいかかります。
そして、許可の効力は許可書が交付されたときから発生します。 → こちら
申請はその業務を受注しなければできません。

しかし、入札は業務開始の1~2週間前。
そのため、落札してすぐに申請してもその業務開始までに許可を得ることができません。、
そのため、許可を得ないで業務を行うという違法状態が生じてしまいます。
※注意
現に受注している業者が再度受注した場合は間に合いますが、新たに受注した場合は間に合いません。

これらの点から考えると、この業務を発注する津市自身が
「断続的労働の適用除外許可や最低賃金の減額許可を前提にしていない」と言えるのです。

従来からずっと行われてきた宿日直業務です。
受注した警備業者が「断続的労働の適用除外許可や最低賃金の減額許可を得ていない」はずがありません。
この許可がなければ労働基準法違反や最低賃金法違反です。
この許可申請のペースとなった「細かい作業内容や所要時間,実労働時間数と手待ち時間数」はすぐに分かります。
それを仕様書に記載しないのはなぜなのでしょう。

『昔ながらの宿直日直業務だよ。断続的労働とか最低賃金の減額とか細かいことは言わないよ。
   そんなことはそちらで上手くやってよ。ウチとしては安ければそれでいいのだから。ヘッ、ヘッ、へ。』
これが本音なのでしょうか?

『公契約条例?「落札価格の下落により労働賃金や労働環境が悪くなることを防ぐ」というアレ?
   あれはちゃんと守ってよ。法令違反はしないという誓約書もあるよ。
   しかし、労働者が違反申告をしてこなければ津市は積極的に動かないからネ。

   労働報酬下限額? 試行案件でやっているアレね。
   あれは受注者に支払った賃金だけを書いてもらうだけだよ。
   「ウラを取る」ことなんかしないで、それをそのまま信じるから本当のことを書いてネ。
   そうそう、支払った賃金だけ書けばいいの。雇用保険や健康保険や厚生年金などは書かなくてもいいの。

   以前の予定価格や落札率?
   そんなものを教えるわけがないじゃない。
   「最低落札価格なし」だから頑張って入札してよ。このご時世、仕事がないよりましでしょう?
   ウチとしては「安ければ安いほど税金を節約できる」のだから。』

どこか間違っていません?
社員の給料を上げるために、非正規雇用や下請に負担を押し付けている大企業と似ていませんか?


〇同業者の方へのご注意

断続的労働の適用除外許可も最低賃金の減額許可も「その業務を実際に警備員に行わせてから審査が始まり、許可が出るまでに1カ月くらいかかります。」
そして、許可が出た日から適用除外や最低賃金の減額が認められます。
つまり、落札が決まり、実際に業務を開始してから許可が出るまで1カ月間は警備員に仕事をさせることができません。
許可が出るまでは使用者がその業務をやらなければなりません。
ここで使用者とは労基法10条の使用者ですが、少なくとも役職者でなければならないでしょう。
※労基法10条
「この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、
   事業主のために行為をするすべての者をいう。」

これは、新たに受注する場合だけでなく、前年度受注してい者が今年度も受注する場合も同じです。
新しい許可が出るまでの一カ月は社長さんの出番となります。
この点については「厚生労働省の定めた手続の欠陥」です。 → こちらは必読です!

k.「最低落札価格なし」と「公契約条例の目的実現」を両立させる提案

・「最低落札価格なし」でも「労働関係法令に反しない価格以上」は当然

津市の業務委託の公共調達は市内業者全員指名です。
そして、最低落札価格を設定していません。
零細事業者は自分と従業員を護るため安売り競争をします。
労働者は分の生存を護るために文句を言いません。
その結果、「違法労働状態・劣悪な労働環境」が造り出されることになります。

一方、津市は公契約条例を制定し、受注者に労働関係法令順守の義務を負わせ、
津市に立ち入り調査権,是正措置命令権,契約解除権を与えています。

しかし、受注者の法令違反を是正するのには消極的。
「受注者から法令違反をしないという誓約書が取ってある。労働者は違反申告ができる」と他人任せ。

これでは、公契約条例は
「最低落札価格なし が違法労働状態を造り出している」という批判を避けるためのもの、
「単なる責任逃れ」と言われても仕方がないでしょう。

できるだけ安く落札させて「税金を節約したい」。
しかし、安売り競争をさせれば「違法労働状態を造り出してしまう」。

もし、「税金の節約」を優先させて「最低落札価格なし」を続けるのなら、
それに「労働関係法令に違反しない価格」という制限を加えるべきでしょう。

現在のように「安ければ安いほどいい。1円でもいい。」という無制限なものではなく、
労働保険,健康保険・厚生年金,有給休暇,最低限の交通費,法定教育,制服装備品消耗分などを含め
「その価格なら違法労働状態や劣悪労働環境が起こらない入札価格」にしなければなりません。
それは「最低落札価格なし」に内包される「制限」だと言えるでしょう。

・入札者は入札書に内訳書を添付

例えば、
「その入札価格で受注しても違法労働状態は起こらない」ことを示す内訳書を添付させる。

総合支所の1ポストの宿日直業務なら「内訳書の内容」は、
①許可されるであろう最低賃金の減額率から計算した労働者の日当
②その日当から算出される雇用保険料(事業主負担分),労災保険料
③その日当から算出される健康保険料,厚生年金保険料(事業主負担分)
④年間の有給休暇に相当する日当
⑤新任教育20時間 または 現任教育10時間分の手当
⑥年間に消費する制服・装備品の費用
⑦労働者の交通費
⑧寝具
⑨就業場所で消費する消耗品費
⑩警備業者責任賠償保険増加分
⑪標準的利益(入札額の〇〇%)

このうち、⑪は違法労働状態や劣悪労働環境を直接的には生み出さないので項目から外してもよいでしょう。
この利益のをいくらにするかが「最低落札価格なし」の部分です。
この部分が「0円でも1円」でもいいのです。

当方が現在受注している宿日直業務ならこのようになります。

〇平日 : 17時~翌8時30分の15.5時間
・拘束時間/930分,実労働時間(巡回6回)/185分,手待ち時間/745分,減額率/32.0%
〇休日 : 8時30分~翌8時30分の24時間
・拘束時間/1440分,実労働時間(巡回6回)/165分,手待ち時間/1275分,減額率/35.4%
〇2021年5月~2022年3月(11カ月分) : 平日/221日,休日/114日

「j. 断続的労働の除外許可や最低賃金減額許可を予定していない仕様書」で説明したように、
以上のことが仕様書に明示されていなければなりません。

次は内訳書

①最低賃金で計算した労働者の日当(2021年/902円)

〇平日日当
・減額した時間給 =最低賃金×(1-減額率)=902円×0.32)=613.36円 → 614円
※1円未満切り上げ
・日当=減額した時間給×(所定労働時間+深夜労働時間×0.25)
=614円×(15.5+7×0.25) =614円×17.25=10591.5円以上 → 10600円

〇休日日当
・減額した時間給=最低賃金×(1-減額率)=902円×(1-0.354)=582.694円 → 583円
※1円未満切り上げ
・日当= 減額した時間給×(所定労働時間+深夜労働時間×0.25)
=583円×(24+7×0.25)=583×25.75=15012.25円 → 15100円

〇月額賃金 : (平日×221+休日×114)÷11月=(10600円×221+15100円×114)÷11≒369454円

②労働保険事業主負担分(6.5/1000+9/1000=15.5/1000)

・369454円×15.5/1000≒5727円/月

③健康保険料・厚生年金事業主負担分 → こちら

・3名で業務を行う → 1名分の月給 → 369454円÷3=123151円
・厚生年金5等級+健康保険(40歳以上/介護保険2号)8等級 → 10797円+6849円=17646円/名×3名 → 52938円/月

④有給休暇負担分

・1名につき10労働日/年 → 宿日直5回分 → 15100円×5回×3名÷12月=18875円/月

⑤新任教育

・1名につき20時間/年 → 902円×20時間×3名÷12月=4510円/月

⑥制服装備品消耗

・1名につき1年で10000円 → 10000円×3名÷12月=2500円/月

⑦交通費

・日額500円 → 500円×335日÷11月≒15227円/月

⑧寝具

・10000円×3名 → 30000円÷12=2500円/月

⑨警備室などで消費する消耗品

・2000円/月

⑩警備業者責任賠償保険料増加分

・24000円/年 → 2000円/月

⑪利益 0円

※地域への恩返しのため利益なしで行わせてもらいます。

①~⑪の合計(税抜き)=475731円/月

これが「労働法令違反を行わない場合の最低限」です。

この内訳書で入札額(税抜き)が47万円/月なら入札無効。
入札額(税抜き)が47万5731円/月以上なら入札有効になります。

実際は10%~20%の利益を見込むから52万~57万円、消費税10%込みでは57万円~63万円になるでしょう。
令和2年度の予定低価格684200円(税込)は最低賃金が今より20円以上安かったときのものですが、
「利益35%」くらいに予定しているということになりますね。

このような入札方法にすると、今までのように入札者全員を集めて、
『さあさあ、今年の仕事だよ!一本で頼むよ!安い者勝ちだからネ!はい!アンタが落札!』
と5分で終了することはできません。
しかし、内訳書のチェックや、入札書と内訳書の突き合わせにそれほど時間はかかりません。
入札の翌日に落札者を発表する事ができるでしょう。
「商店街の年末ガラガラ福引」ではないのだから、これくらいの時間をかけてもよいでしょう。

なお、ブラック事業者なら健康保険料・厚生年金保険料を算入しても実際には保険に入らなかったり、
有給休暇分の日当を算入しても有給休暇を与えなかったりすることも考えられます。
しかし、そのような場合にこそ「労働者の違反申告」の出番でしょう。

もちろん、このような内訳を添付させても「受注者が違法労働状態を造り出すこと」は完全に防げません。
しかし少なくとも、「津市自らが違法労働状態を造り出している」という批判は避ける事はできます。

このあたりが「落とし所」ではないでしょうか?
市議会議員諸氏の健闘に期待しましょう。

・2022.02.03.追記

ちょうど2022年1月23日に津市会議員選挙があり34名の議員が選出されました。
各議員に上記内容の提言書を送付しておきました。 → こちら
次の入札まで3カ月を切りました。
さてさて、どのような反応があるでしょう。
このページで紹介していきます。

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