FJ1200-4CC 整備資料
2011.11.16. FJ1200・プッシュレバーCOMP-その2 と 気泡吸い出し法
前回取り付けたクラッチレリーズ(プッシュレバーCOMP)はシリンダーの程度が悪かったので、程度のよいXJR1200のものに交換しました。
今回は「クラッチレリーズのピストンとスプロケットカバーの関係」を説明しています。
こんなことも理解しておくとクラッチレリーズが身近なものに感じられます。
エア抜きの方法として“気泡も吸い出し法”が有効であることに気がつきました。
ただし、これはクラッチラインのような単純なラインに有効なもので、ブレーキラインのような複雑なラインに通用するものではありません。
クラッチレリーズのオイルシールを交換し、オイル抜けがなくなり、油圧クラッチが正常に働くようになってその軽さに驚きました。
・FJとXJRのプッシュレバーCOMPの互換性
・XJR1200 の クラッチレリーズ(プッシュレバーCOMP)のシリンダーを取り付け
★クラッチレリーズのピストンとスプロケットカバーの関係
★エア抜き / 気泡吸い出し法
・“気泡吸い出し法”は“気泡も吸い出し法”
★“気泡も吸い出し法”はブレーキラインには通用しない
・油圧クラッチの軽さに戸惑う
1.XJR1200 のプッシュレバーCOMP・シリンダーを取付
a.FJ1200 とXJR1200・1300の プッシュレバーCOMP 互換性
FJ1200 と XJR1200・1300 との間には多くの部品に互換性があります。
ブッシュロッドCOMP はどうでしょうか?
部品番号で調べると、
・FJ1200 ( 4CC・1991~)→ 36Y-16381-00。
・XJR1200 → 36Y-16381-10 (4KG-1・ 4 KG-2 )・ 36Y-16381-11(4KG-3 )。
・XJR 1300 → 5EA-16381-00( 5EA-1・1998~ )・ 36Y-16381-11(
5UX-3・2003~ )。
部品番号の真ん中「16381」はブッシュロッドCOMP のことだから、FJ に適合するのは 36Y-16381-×× でしょう。
XJR1300 が 2003年から 36Y-16381-11を使っていることから考えると、XJR1300(1998~)の
5EA-16381-00 も互換性があるかもしれません。
平成9年登録のXJR 1200 ( 4KG ) 取外しのブッシュロッド COMPを 100円で入手したので互換性をチェックしてみました。
結果はOK。
ホースの付いている方(写真の右側)が FJの36Y-16381-00 です。 取り付けてある方(写真の左側)がXJR1200のものです。 FJ より XJR の方が製造が若いので中古部品の程度がよくなります。 ブッシュロッドCOMP を入手するなら、XJR1200のものがお勧めです。 |
表側の程度からして違います。 | ダストシールもしっかり付いています。オイル漏れの形跡なし。 |
b.XJR1200 のプッシュレバーCOMPシリンダー(クラッチレリーズ)を取り付ける
一カ月前に(前回)シリンダーのオイルシールを交換していますが、
100円で入手したXJR1200のものの程度がよいので、シリンダーだけ交換します。
ピストン前部にサビジャックで錆止めをしました。 ダストシールとシリンダー前部を傷つけないように ピストン前端の縁を1500番のペーパーで面取りしました。 これから8年半・11200㎞走行後はこんな状態になりますす。 → こちら |
これがダストシールの正しい取り付け位置です。 | 横から見るとこうなります。詳しくは → こちら |
ピストンを押し込むとこうなります。 このダストシールはオイルシールからの液漏れも防いでくれるでしょうから、 案外大切な部品かもしれません。 もっとも、液漏れがあればピストンが錆びて内部でシリンダーを傷つけています。 ピストンが錆びていなければ別ですが、 錆びていればシリンダーをセットで交換した方が良いでしょう。 ピストンだけ・シリンダーだけは売られていません。 品番/ 36Y-16381-00・プッシュレバーコンプリート・11130円・在庫あり |
2.クラッチレリーズ(プッシュレバーCOMP)とスプロケットカバーの関係
これがスプロケットカバー。 これにクラッチレリーズが取り付けられます。 |
・①がクラッチレリーズケース(プッシュレバーCOMPシリンダー)、②がスプロケットカバー。 ・①のピストンは A方向 に出ますが ②に当たります。 だから、ピストンが動くのはA矢印とB矢印の間だけになります。 |
これを内側からみるとこうなります。
・Bに当たるのはピストン前部の金属部分です。ダストシールはBに当たりません。 ・クラッチレリーズのピストンは「A~B」だけしか動かないのです。 |
もう少し詳しく説明すると、
・① 30㏄浣腸器に八分目くらいブレーキオイルを入れ、ビニールホースをつなげプリードバルブからオイルを注入。
浣腸器にオイルを吸い込む時に空気が入ってきます。
オイル容器にビニールパイプを入れたまま浣腸器の先を上げると、吸い込んだ空気が浣腸器の先に溜まります。
この状態で浣腸器のピストンを押せば、ビニールパイプからオイル容器にブクブクと空気が排出されます。
空気を出したあと浣腸器のピストンを引けば、ビニールパイプと浣腸器にはオイルだけが満たされます。
・② オイル注入を二回するとリザーバータンクにオイルが出てくる。
リザーバータンク内へのオイルは半分くらいにしておきます。
・③ ブリードバルブを締めて、浣腸器に六分目くらいオイルを吸い込む。
①の要領です。
今度は六分目です。
この六分目のオイルを注入したり吸い込んだりします。
八分目だと吸い込む量が少なくなり作業がやりにくくなります。
・④ ホースをブリードバルブにつなげ、バルブを開けてオイルを少し注入、そのあと吸い込み。
バルブを閉じる必要はありません。
オイルを吸い込むときに気泡も吸い込みます。
パイプをつなげたまま浣腸器の後ろを上げて ( 浣腸器の先は下を向きます ) 、吸い込んだ気泡を浣腸器のピストン側に集めます。
そして、そのまま浣腸器のピストンを押してオイルだけをブリードバルブから注入します。
吸い込んだ空気が多くなったら、ブリードバルブを締めてホースを外し、①の要領で浣腸器に溜まった空気を捨てる。
・⑤ の④作業を四~五回すれば、もうクラッチレバーは重くなっています。
浣腸器を押したり引いたりするだけでレバーが重くなるのです。
しかも、オイルを無駄にしていません。
・⑥ 通常のエア抜き作業を開始。
通常のエア抜き作業は三~四回やれば充分です。もう気泡は出てきません。
・無駄にするオイルは通常のエア抜き作業で排出される分だけ。40㏄くらいです。
時間とブレーキオイルが大幅に節約できます。
エア抜きで苦労するのは「レバーに圧をかける」こと。
そのために、何回レバーを握らなければならないか。
この方法では、レバーに圧がかかるまで、レバーを操作する必要はありません。
浣腸器を押したり引いたりするだけです。
しかも、すぐにレバーに圧がかかるようになります。
ということで、これからのブレーキオイル交換セットは、次の通り。
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