FJ1200-4CC 整備資料



 2015.10.10. エア抜きの「レバーがスカスカ」からの脱出法-ピストン押し出し法





4ポット・キャリパーのエア抜きで「地道にコツコツ、ひたすら我慢のレバー握り」をする必要はありません。
ここで説明する「ピストン押し出し法」でやれば、作業開始から1時間程度でレバー圧が 50~60% になります。
あとは、「一晩縛り・エア抜き1回」で 80~90%。さらに「一晩縛り・エア抜き1回」で100% になります。
「オイルラインに気泡なし・レバー圧100%の基準」も説明してあります。
なお、「気泡吸い出し法」は「オイル経路が分かれる」4ポットキャリパーには通用しません。


「ひたすら我慢のレバー握り」は間違い
「気泡吸い出し法」は4ポットのフロントブレーキには通用しない
キャリパ内に空気が閉じ込められる理由
ピストン押し出し法
ピストン押し出し法の改善
ピストン押し出し法のベスト
その他の工夫
「オイルラインに気泡なし・レバー圧100%」の基準
部品調達メモ


     
0.「ひたすら我慢のレバー握り」は間違い


ブレーキラインのエア抜きで、キャリパの中を空にした場合、定番は「最初は上から」・「あとは下から」。

「上から」とは「 リザーバー ~ キャリパ入口 」までに溜まったエアを抜くもの。

水の中のエア(気泡)なら自然と上に浮かんでくるが、フルードは粘度が高いので気泡は簡単に浮き上がってこない。
そこで、レバーを握って圧をかけ気泡を押さえ込んでから、レバーを緩めて圧を抜き気泡を上に誘導する。

「下から」とはキャリパの中のエアを抜くもの。
レバーを握って圧をかけ、エアーをブリードバルブの方に移動させておいて、ブリードバルブを開けてフルード一緒に排出する。

メインとなるのが「下から」。
ところが、キャリパ内に閉じ込められたエアはチョットやそっとではブリードバルブの方に移動してくれない。


要はラインに圧をかけること。
しかし、気泡が出なければ圧はかからない。
圧がかからなければ気泡は出ない。
レバーはスカスカ。

さあどうする?

答えは「ひたすら我慢のレバー握り。必ずレバーは重くなる。」

そう思っていました。

しかし、これは間違いなのです。


FJについては、今までにブレーキとクラッチフルードのエア抜きを三度行っています。

一回目はフロントキャリパオイルシール交換・キャリパ分解のとき。
「レバースカスカ」からの脱出方法は「ひたすら我慢のレバー握り」→→→ こちら

二回目はブレーキオイル交換でキャリパのフルードを全部抜いたとき。
「レバースカスカ」からの脱出方法は「ひたすら我慢のレバー握り」。
このときは、3時間でレバー圧が70%に。
そして、レバーを縛って一晩放置で、ほぼ100%。

三回目はクラッチレリーズ分解でのエア抜き。
このときに気泡吸い出し法を見つけ、「レバースカスカ」から簡単に脱出。
以来、気泡吸い出し法に自信を持っていました。


この自信があったから、今回のブレーキホース交換でキャリパのフルードを全部抜きました。

しかし、「気泡吸い出し法」はフロントブレーキに通用せず、定番の「ひたすら我慢のレバー握り」。

今回はあまりにも時間がかかるので、「レバースカスカ状態の時間とレバー操作回数・吐出回数」を記録しました。

その結果は、

・所要時間合計:8時間15分
・上からのエア抜き:20分
・下からのエア抜き正味時間:6時間
・ブリードバルブからの吐出回数(片側キャリパ):467回
・レバー操作回数:1708回(片側キャリパ)
・ブレーキフルード消費量 1000㏄(オイルライン全容積 約70㏄)。※フルードは使い回し。

これは「レバーに圧がかかるまでの時間」ではありません。
「レバースカスカ状態の時間」です。

この間、下から出たのは「ニュ~ッ」と元気のないフルードだけで気泡は一個も出ていません。


そこで、方法を変えました。

そして、吐出回数10回程度(片側キャリパー)で、レバー圧を 40%~50% にすることができました。
所要時間は両側キャリパーで1時間程度。

あとは、「レバー一晩縛り+エア抜き1~2回」で80%~90%。もう一晩で「100%」になりました。

あの、8時間は何だったのでしょう。
レバー操作3400回は何のためだったのでしょう。

ここでは、「レバースカスカからの脱出法」を説明します。
   ●●     
選任のための法律知識・








1.「気泡も吸い出し法」は 4ポットのフロントブレーキには通用しない。


「気泡も吸い出し法」とは、ブリードバルブにシリンジ(注射器・浣腸器)をつなぎ、ブリードバルブを開けてキャリパ内の気泡を吸い出す方法です。

ブリードバルブからも空気を吸いますが、これと一緒にキャリパ内の気泡も吸い出せます。

吸い出した空気はシリンジの上に貯め、フルードだけを再びキャリパに注入。

これを繰り返せば、キャリパ内の気泡がなくなり、レバーに圧かかかるようになります。

レバーに圧がかかれば、通常の「下からエア抜き」がやれます。


しかし、これができるのは「キャリパの構造が簡単で、ラインが単純な」クラッチやリヤブレーキだけ。

クラッチはピストン室が一個で容積が小さく構造が簡単。

  リヤブレーキはピストン室が二個で構造が少し複雑になります。

  しかし、左右のピストン室に別々にブリードバルブがついています。

  だから、ピストン室が一個の場合と変わりません。


これに対し、フロントブレーキはピストン室が四個で、構造が複雑になっています。

  キャリパの構造が複雑だと、

・フルードを注入する場合に気泡が閉じ込められる場所が多く、それだけ気泡がたくさん閉じ込められます。

・さらに、内部に閉じ込められた気泡を吸い出すのに大きな吸引力が必要となります。
  つまり、シリンジで強く吸引しなければなりません。

  シリンジで強く吸引すると、ブリードバルブの周りからたくさんの空気が入ってきます。
  そして、出てくるのは「吸い込みやすいブリードバルブの周りの空気」だけ。
  吸い出しにくいキャリパ内の気泡は出てきません。

  シリンジをゆっくりと引っ張り弱い力で吸引すれば、
  ブリードバルブ周りの空気の吸い込みが少なくなりますが、
  吸引力が弱いので、出てくるのはフルードだけ。
 キャリパ内の気泡は出てきません。


『それでは、キャリパ内のフルードを気泡ごと全部吸い取って、そのあとフルードたけを注入すれば?』

それは、「フルードを全部抜いて、またフルードを注入すること」と同じです。
当然、フルードを再注入するときにキャリパ内に空気が残ってしまいます。

以上のように、気泡吸い出し法は 構造が複雑なフロントキャリパには通用しないのです。

     
2.「地道にコツコツ・ひたすら我慢」は間違い


今回、8時間の徒労のあとに方法を変えたので、レバー圧 40% ~ 50% になるまでに「下からエア抜き」で出た気泡は 合計6~7個 (片側キャリパ分 )

つまり、たった6~7個の気泡が出ればレバー圧は 40% ~ 50%になり、「一晩縛り」にもっていけるのです。

逆に言えば、6~7個の気泡を出さなければ「一晩縛り」ができないのです。

「 圧のかかっていないレバーを握って、ブリードバルブを開ける。ニュ~ と 力なく フルード だけが出てくる。」

「 上からも気泡が出ない。下からも出ない。、圧もかからない。」

これをどれだけ繰り返してもレバーに圧はかからないのです。

気泡を出さない限りレバーに圧はかからないのです。


ではどうすれば良いのでしょう。

その前に「なぜキャリパ内に空気が閉じ込められるのか」を考えてみなければなりません。

    
3.キャリパに空気が閉じ込められる理由


下の写真はFJの右フロントキャリパです。

・a:ユニオンボルト穴。リザーバからのフルードはここからキャリパ内に入る。
・b1:外側下ピストン室  b2:外側上ピストン室  c1:内側下ピストン室  c2:内側上ピストン室
・d:ブリードバルブ
・水色線:通路

  (ブリードバルブからフルードを注入する場合)

  ※ブリードバルブを開けてシリンジで注入、リザーバタンクが一杯になるまで。

  フルードの経路は二つ
・①. d → b1 → a
・②. d → c1 → c2 → b2 → a

  ① は経路が短く、入っている空気が少ないので必要注入圧が低い(簡単に入る)。
  ② は経路が長く、入っている空気が多いので必要注入圧が高い(なかなか入らない)。

・d から注入されたフルードはすぐに ① の経路を通り、a から出てリザーバに上がっていく。
  その結果、c1 ・ c2 ・ b2 に空気が残ってしまう。
 ※d から入ったフルードは ① / d → b1 → a と ② / d → c1 → c2 → b2 → a  に分かれる。
   ②で c1 を満たしているときに 、①では b1 を満たし aから出てリザーバを目指している。
   ①で a に達したフルードの一部は b2 に向かうので、②の経路は塞がれてしまう。
   そして、c1 ・ c2 ・ b2 にあった空気は全部キャリパ内に閉じ込められてしまう。
 


(リザーバタンクからフルードを注入する場合)

※リザーバタンクのフルードを、ブリードバルブを開けたままレバー操作で注入。ブリードバルブからフルードが出てくるまで。

フルードの経路は二つ。
・①. a → b1 → d
・②. a → b2 → c2 → c1 → d

ここでも、フルードは通りやすい ① を通ってブリードバルブに達し、さらに c1 に向かうので c1 ・ c2 ・ b2 にあった空気は全部キャリパ内に閉じ込められてしまう。


このようにキャリパ内に空気が閉じ込められるのは、フルードの流れる経路が二つに分かれているからです。

もし、経路が一つでフルードが各ピストン室を順番に満たしていくのであれば、
各ピストン室の空気も順番に押し出していくのでキャリパ内に空気は閉じ込められません。

しかし、フルードの流れる経路が一つだと、
ブレーキをかけたときにピストンが順番に出ることになりブレーキが効くまでに時間がかかります。

フルードの流れる経路を二つにしているのは制動時間を縮めるために必要なことで避けることはできないのです。


なお、リザーバから注入する場合もブリードバルブから注入する場合も、c1 ・ c2 ・ b2 の空気が残ってしまいます。

しかし、リザーバから注入する場合は「リザーバ~キャリパ」までの空気もキャリパの中に押し込んでしまいます。

これに対し、ブリードバルブから注入する場合は、
「キャリパ ~ リザーバ 」までの空気はフルードによってリザーバに向かって押し出されます。

だから、フルード注入はブリードバルブからやる方がよいのです。
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4.キャリパのピストンを押して気泡を押し出す/ピストン押し出し法


a.ピストン押し出し法

もう「地道にコツコツ、ひたすら我慢」からの脱出方法が分かりましたね。

そうです、ビストン室に閉じ込められた空気を「あらかじめ出してやればいい」のです。

方法は簡単。「キャリパを外してピストンを縮める」。

具体的には、
・ブリードバルブは閉じたまま。
・キャリパを外してブレーキパッドの間にマイナスドライバーを差し込み、こじるようにしてピストンを縮める。
※ピストンを押し込む順番は「ブリードバルブから入ったフルードがユニオンボルト穴へ向かう順番」つまり、「 c1 → c2 → b2 」と → b1 ( b1 は一番先に押し込んでもよい )

・フルードが押し上げられてくるので、リザーバタンクからフルードがあふれない様に注意。(一杯になったときはフルードを吸い取る)
・ピストンがある程度縮んだら、ウォータープライヤーを使ってピストンを完全に押し込む。
・キャリパを取り付けて、レバー操作。
・フルードがピストン室に入っていきピストンが出て、カタカタだったブレーキパッドがデスクにしっかりと食いつく。しっかりとした手応えがレバーに。
・下からエア抜き。

・下からエア抜きの一回目で必ず2~3個の気泡が出ます。(二回目は出ませんが念のために二回目も実施)。
※ピストン室から押し出された空気のほとんどは、下からエア抜きのレバー操作で元のピストン室に押し戻されますが、一部はブリードバルブの方に押し出されます。
  その空気が「2~3個」の気泡。
・気泡が2個出ればレバー圧は1割アップ。

「キャリパ取り外し → ピストン縮め → キャリパ取り付け → 下からエア抜き二回」
 これを3~4度繰り返すと、レバー圧が40%~50%になります。
 つまり、吐出片側8回でレバー圧が50%になるのです。

「ひたすら我慢のレバー握り」はまったく必要ないのです。

これを「ピストン押し出し法」と名付けます。

     
b.ピストン押し出し法を効果的にするために


イ.ピストンで押し出したあと、フルードで押し出す。


ピストン押し出し法を効果的にするためには次の方法が必要です。

ピストンを押し込み、キャリパー内の空気をユニオンボルト穴からホースに押し出す。

この押し出した空気がリザーバーの方に抜ければよいが、抜けなければ「次のフルード送り込み」でまたキャリパーに押し戻されてしまう。

これを防ぐために、ピストンを押し込みキャリパー内の空気をホースに押し出したあと、
ブリードバルブからフルードを注入してホース内に出た空気をリザーバーの方に強制的に送る。

フルードは通りやすい d→b1→a と流れるが、キャリパー内の空気はすでにa(ユニオンボルト穴)からホース内に出ているので問題はない。
もちろん、リザーバーのフルードは増えてくるので溢れないように時々吸い取る。

「ピストン押し込み」は2~3回行うが、一回毎にブリードバルブからフルードを注入してキャリパーからホース内に出た空気をリザーバーに送る。


ロ.フルード注入のときにピストンを縮めておく


『質問です!』

どうぞ。

『キャリパに閉じ込められる空気はピストン室にあったものなのですよねぇ?』

そうです。
オイル注入をするプリードバルブから遠い c2 や b2 はもちろん、
粘度の高いオイルが先を急ぐのでブリードバルブに近い c1 や b1にも空気が閉じ込められるでしょうね。.

『それなら、フルードを注入するときにピストンを縮めておいたらいいじゃないですか?
  ピストン室が狭ければ、それだけ閉じ込められる空気も少なくなり、あとあとのエア抜きが楽になりますよ。』

その通りなのです。

そこで、「ピストン押し出し法」を改善しました。

    
c.ピストン押し出し法 ベスト

・①. .左右キャリパを外して各ピストンを一杯に縮め、取り付ける。
     ※ピストン室を狭くして空気が閉じ込められるのを少なくする。

・②. ブリードバルブを開けてシリンジでフルードを注入
     ※リザーバタンクが開放されオイルラインは開かれているから、圧はかからずピストンは出ない。
     ※オイルライン全容積の半分ずつを左右のキャリパに入れる。(FJなら30㏄程度)
       片側キャリパのブリードバルブからリザーバが一杯になるまで注入すると、もう一方のキャリパから注入するときにリザーバのフルードを吸い取りながらやらなければならない。
       また、分岐からもう一方のキャリパーホースにフルードが流れ込んで、エアを閉じ込めることになる。

・③. リザーバタンクが一杯になったらブリードバルブを閉じる。

・④. 上からエア抜き。
     ※「キャリパ出口 ~ リザーバタンク」までに溜まった空気を上へ誘う。
     ※オイルラインが閉じられているので圧がかかり、ピストン室にフルードが流れ込みピストンが出る。
    ※リザーバのフルードを切らさない様に注ぎ足す。
    ※リザーバへの気泡上がりが一段落したら終了。もしレバー圧がかかっていれば試しに「下からエア抜き」。

・⑤. 「キャリパ取り外し → ピストン押し込み → キャリパ取り付け → ブリードバルブからフルード注入」
     ※ピストンを押し込んでピストン室に閉じ込められた空気をキャリパ出口に送る。
     ※ブリードバルブからフルードを入れて、キャリパ出口に送られた空気をさらにリザーバタンクの方へ押し出す。
     ※「 キャリパを外したままブリードバルブからフルード注入 」 は楽なようでやりにくい。キャリパを取り付けて行ったほうが楽。

・⑥. 上からエア抜き
     ※⑤で「キャリパ出口 ~ リザーバタンク」の方へ送られた空気をリザーバタンクの方へ誘う。

・⑦. 下からエア抜き二回
     ※一回目は気泡が出るが、二回目はまず出ない。三回目以降を何回繰り返しても気泡は出ないので意味がない。

・⑧. ⑤~⑦ レバー圧50%になるまで繰り返す。

※ここまでの目標時間は一時間程度。
  これ以上やってもエアは出てこないし、レバーは重くならない。さっさと、翌日回し。

・⑨. 「 レバー縛り一晩放置 → 下からエア抜き2回 」を気泡が出なくなるまで繰り返す。
     ※多分「一回目は気泡が出て、二回目には出ない」。三回目以降は意味がないのでさっさと翌日回し。

※ポイントは 「 膠着状態になったら時間を置く。つまり翌日回しにする 」。
  閉じ込められた気泡がマスターシリンダーの圧力に押されてブリードバルブ付近に来るのには時間がかかる。
  完全にエアを抜くのには三~四日かかる。

※完全にエアが抜けた目安は
「 レバーがマスターシリンダーに当たってから、精一杯握って、レバー先端の移動量が 25㎜~30㎜ 」※後述 6

※なお、マスターシリンダー内に磨耗があると、圧送力が弱くなるからエア抜きに時間がかかる。
   ★★04     
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5.その他の工夫

エア抜きを少しでも楽にする工夫です。


a.8Mメガネは二本用意する。

  エア抜きキャリパを変えるたびに、メガネとホース取り外しは面倒。
  作業時間短縮とブレーキフルード撒き散らし防止のために、もう一本のメガネを準備する。


b.ブレーキレバーの遊びは最小限にする

  弱いレバー圧を少しでも強くできる。
  レバー圧が100%に戻ったら通常の遊びに戻します。そうしないと「一晩縛り」でマスターシリンダーに過度な負担をかけることになります。


c.「不要・不急」を避ける

キャリパのフルードを抜くと、エア抜きをして圧を完全に元に戻すまでに4~5日かかります。
だから、キャリパのフルードを抜かないでできる作業は抜かないでやるのが得策です。


イ.ブレーキフルード交換

・①. ブリードバルブを開ける。
・②. フルードを注ぎ足しながら、レバー操作で新しいフルードを圧入。
・③. 古いフルードが追い出されたら(必要フルード量を継ぎ足したら)終了。

オイルラインに圧がかかっているので、フルード注入が楽にできます。
キャリパ内のフルードは切れ目なく流れ、キャリパ内は常にフルードで満たされているのキャリパ内に空気を閉じ込めることがありません。
キャリパ内のフルードを抜く必要はまったくありません。

古いフルードが新しいフルードに混ざることが懸念されますがブレーキ性能を損なうほどではありません。


ロ.ブレーキホース交換

・①. リザーバタンクのフタ(ダイヤフラム)を閉じたまま、キャリパからホースを外す。
     ※ホースの片側(リザーバタンク)が閉じられているのでフルードが流れ出ることはないが、念のためにホース口にウエスを当てる。

・②. リザーバタンクのフタを開けてフルードを排出。

・③. 古いホースをマスターシリンダから外し、新しいホースをマスターシリンダに取り付ける。
     ※キャリパには取り付けない。

・④. 新しいホースのキャリパ側に栓をする。

・⑤. リザーバをフルードで満たす。

・⑥. 新しいホースの栓を外し、レバー操作でフルードを新しいホースに入れる。フルードが出てきたらOK。

・⑦. 新しいホースをキャリパに取り付ける。

  ※④~⑥をしないと、ホース内の空気がキャリパに入ってしまう。

・⑧. ホースを交換した側のキャリパのブリードバルブを開けて下からフルードを注入。
     ※これは、ホース口付近にあった空気をリザーバータンクに押し出すため。
     ※キャリパ内のフルードは抜いていないのでキャリパピストンを縮める必要はない。

・⑨. リザーバタンクが一杯になったら、「上からエア抜き→下からエア抜き」
     ※キャリパ内に空気はほとんど入っていないので、レバー圧は充分にあるはず。「縛り・一晩放置」で充分。

なお、以上の方法はまだ試していませんので実効性がなくてもご容赦ください。
   ★★05      
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6.「オイルラインに気泡なし(レバー圧100%)」の基準


平成2年の「CR125・サービスマニュアル・P15-2 」に次のようなことが書いてありました。

・「フロントブレーキアジャスター(レバー遊び調整ネジ)の隙間を1㎜ 以下にして、
  レバーの(レバー先端の)遊びが 30㎜ 以上の場合、
  又は、ブレーキペダルのストロークが 30㎜ 以上の場合は、
  エアが入っている可能性があるためエア抜きを行う」※( ))内は加筆。

  つまり、
・「レバーがマスターシリンダに当たってからブレーキが完全に効くまで」に
  「レバー先端が30㎜以上動くときはエアが入っている(レバー圧100%ではない)」ということです。
  ※同マニュアルの P3-10 に「隙間とレバー先端の遊びの比率は1:7である」と記載されているので、
    厳密には上記の 30㎜ は「隙間1㎜ 分のレバー先端遊び7㎜」を差し引いた 23㎜ になります。

・これをFJについて「一晩縛り・気泡出し」のあとで調べてみると、
  レバーがマスターシリンダーに当たってから、精一杯握って25㎜~30㎜。30㎜がMAXです。
 ※写真ではレバーがスケール右側で100㎜で聞き始め、125㎜~130㎜でMAXになる。

・FJのブレーキレバーはCR125のブレーキレバーより長いことを考えると、
  この状態で「レバー圧100%になっている」と考えてよいでしょう。


     
7.部品調達メモ


  エア抜きでフロントホイールとずっと顔を突き合わせていました。

  ホイール表面の腐食や汚れが気になります。

  それらをサンドペーパーとスチールウールで落として、銀色ペコ缶を刷毛塗りしました。

  結構きれいになりました。

  出来ばえを喜んでいると、佐川急便さん。


先週の日曜日に落札したFJの前後ホイールが到着しました。

3CVから取り外した「振れなし」・「程度良し」です。

「タイヤはおまけ程度」とのことでしたが、8分程度あり硬化・劣化もしていません。

落札価格は フロント/1100円,リヤ/1100円,送料/1950円。→→おすすめ出品者:Miyabee さん

もちろん、このホイールは使いません。ストックします。

FJに特にこだわっているわけではありません。

しかし、「メインフレームを入手すれば、一台組めるくらいの部品」をストックしています。

始まりは、「リッターバイクで一番安いから」

しかし、年月を重ねるうちに愛着が出てきたようです。


つづく




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