FJ1200-4CC 整備資料
2014.03.08 FJ キャブレター清掃・組み付け/その 2 - 初心者でもよく分かるキャブレター同調
四気筒キャブレターの同調作業を簡単に言うと、
「 まず、① と ② の調整ネジで、① を ② に合わせる、次に③ と ④ の調整ネジで、④ を ② に合わせる。最後に ② と ③ の調整ネジで、② を ③ に合わせる。
調整ネジは締めると負圧が下がり、緩めると負圧が上がる。」
これで、同調作業ができるのは「同調作業を何度もやった者」だけ。
初めて同調を行う者にはいろいろな障害が出てきます。それを解決するには「なぜそうなるか」を理解していなければなりません。
「なぜ、調整ネジを締めると負圧が上がるのか、緩めると下がるのか」、「なぜ、 ① を ② に合わせるのか」、「なぜ、 ①・② → ③・④ → ②・③ なのか」に始まり、
「なぜ、同調ネジを動かすとアイドリングが変わるのか」や「なぜ、同調ネジを動かすと関係ない他のキャブレターの負圧が変わるのか」などの理解が必要です。
四連負圧計を入手し、四連キャブレターの同調をはじめて行おうとしている方は「まず“なぜ”から」習得してください。
演習問題ができたら実際に作業を行っても大丈夫です。
★油面の簡易測定(H測定)
-初心者でもできるキャブレター同調-
★同調の基礎知識/同調・バタフライ開度・負圧測定・負圧計
★3番と4番の関係/3・4調整ネジによる動き
★3番と2番と1番の関係/2・3調整ネジ,1・2調整ネジによる動き
★アイドリング調整ネジの動きと同調ネジの関係
★2・3ネジを締めるとアイドリングが上がり、緩めるとアイドリングが下がるのはなぜか?
★同調ネジを動かすと、 関係のないキャブレターの負圧が変わる
★調整の順番/一般的な順番への疑問
★演習問題
★同調調整の座右の名
1..油面の簡易測定
FJ-4CC の簡易測定 ( H寸法 ) での 基準値 は 21.3㎜ ~ 23.3㎜ です。
測定は次のようにします。
・①.キャブレターを逆さまにしてフロートバルブを沈み込ませる。 ※この位置でフロートバルブが燃料を止める。 ・②フロートアームの突起 ( リップ ) をフロートバルブの突起に触れさせる。 ※フロートバルブの突起はバネで上下に動く。当たり始めにする。 ・③キャブレター本体 ( ミキシングボディ ) と フロートチャンバの合わせ面から、フロートの上端 ( 一番高い点 ) までの高さを測る。 ※写真では水平部分までのように見えますが、水平部分の右端が一番高い点です。 ※実油面では外側に見えている合わせ面(赤線の上)から測りますが、 簡易測定では フロートチャンバの上端 がミキシングボディに当たる面から測ります。 ※マニュアル P5-6 の図が不明瞭なので一般的なH寸法測定法で説明しました。 間違っていたらご容赦ください。 |
実際には、
・キャブレターを逆さまにして左手で持つ。
・左手の中指をフロートの向こう側に当て、フロートアームリップがバルブ突起に触れる位置で止める。
・右手で持ったノギスの穴深さ測定部分で、ミキシングボディ上面からフロート最高点までの高さを測る。
高さの目安は、 ・ピン穴の上端までが 22㎜、 ・ピンにかぶさっているアームの回転部の上端までが 23.3㎜、 ・ピンの上部 1/4 弱までが 21.3㎜ 。 ・なお、ピン外径は 2.45㎜Φ、ピン穴内径は 2.5㎜Φ。 アームを水平にすると、その上端面の延長線が ピン上部 1/4弱を通る。 この時、フロート上端はアーム上端面と一致。 つまり、フロートアームを水平にしたときに、 ・リップがバルブ突起の先端に触れた瞬間なら H寸法は 21.3㎜ で調整不要。 ・まだ触れていなければ H寸法は 21.3㎜より小さいので、リップを出して調整。 ・すでに触れていれば、 触れ始めるところまでアームを上げてフロートの最高位置が23.3㎜までならOK。 それ以上なら、H寸法は23.3㎜より大きいので、リップを引っ込めて調整。 |
アームのリップは頑丈なので通常使用で曲がることはないでしょう。
フロートバルブやニードルバルブの磨耗、ニードルバルブOリング交換による取り付け位置の変化などでも油面高さは変わります。
しかし、それらは微小なもので、油面高さ許容巾の2㎜以内に収まるでしょう。
だから、エンジンの調子が悪くなければ油面高さは気にしなくてもよいし、油面測定はする必要はないでしょう。
今回は、2番キャブレターのフロートピン挿入の最後にマイナスドライバーを当てて叩き、そのドライバーが滑ってフロートアームを反らせてしまいました。
そこで、アーム修正 ・ 油面測定が必要になったのです。
1番,3番,4番キャブレターは どれもピン穴より少し上、ノギスで測ると 22.3㎜。 規定値の中間となっていました。
アーム部分から出ているリップの状態はその上面が少し隠れるくらいになっていました。
2番キャブレターのフロートアームとリップの隙間にマイナスドライバーを差し込んで調整し、2番の油面も22.3㎜に調整しました。
・実油面規定値は、ドレンに透明パイプをつなげてドレンボルトを緩めて測定します。 ・規定値は外側の合わせ面を基準にして下へ 4.5㎜~5.5㎜。 ・今回は測定していません。 |
・実油面測定をキャブレターだけでする場合は、 バイクを水平にしたとき ( メインスタンドを立てたとき ) のキャブレター角度で、キャブレターを固定する必要があります。 この角度αは 前傾13度くらいです。 ( 非常に不確かな測定です )。 ・マニュアルではキャブレターをエンジンに取り付けて測定するようになっています。 エアクリーナーは取り付ける必要はありませんので、 キャブレターの取り付け取外しは、それほど面倒ではありません。 ・フロート調整もキャブレターを分離せず四個を連結したままでやれます。 ・キャブレターを あやふやな方法であやふやな13度に固定して測定するより、 エンジンに取り付けて測定した方が確実でしょう。 |
・簡易測定油面と実油面では測定基準面が異なります。 このことが少し引っかかりますが、この違いを含めての基準値なのでしょう。 |
2.初心者でもできるキャブレターの同調
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これで「もの」になるようなら
「65 か 85」にステップアップ。
・各キャブレターにはバタフライに直結されたシャフトが通っています。 各々のシャフトは両端で 「 コの字形ジョイント 」 によってつながっています。 ・スロットルワイヤーは 3番につながっています。 スロットルワイヤーが引っ張られると 3番のシャフトが回り、 それが 「 コの字形ジョイント 」 を介して 他のキャブレターのシャフトを回します。 ・写真は 3番と4番です。 ・スロットルワイヤーが引っ張られると 3番シャフトが回転し3番バタフライが開きます。 それと同時に、3Rと4L を介して 4番シャフトが回転し、4番バタフライが開きます。 ・3Rが動けば 3番バタフライが開き、4L が動けば4番バタフライが開きます。 だから、3Rと4Lの当たり具合を変えれば、3番バタフライ開度と4番のバタフライ開度が変わることになります。 |
ロ. 同調ネジを締め込むとどうなるか
①.同調ネジが 3Rに触れた状態
・同調ネジを締めて、3Rとの隙間をなくした状態です。 ・スロットルワイヤーが引っ張られると、3Rは反時計回りに回転します。 3Rと 同調ネジの間に隙間はありませんから、3Rが回転すると同時に4Lも回転します。 つまり、3番バタフライと4番バタフライが同時に開き始めることになります。 ・この場合を「3番バタフライ開度=4番バタフライ開度 」 と仮定します。 ・今、3Rは 「4Lにあいている穴」の真ん中の位置にあります。 同調ネジをさらに締めるとこの位置が変わります。 |
②.同調ネジをさらに締め込んだ状態
・同調ネジをさらに締め込んだ状態です。3R が 「4L にあいている穴」よりも後ろにずれています。 ・これは 「 3R が後ろにずれた 」 のではなく、 「4L が前にずれた 」 のです。 ・3R は 3番シャフトに固定されて動きません。この固定されている 3Rに 4L がバネと同調ネジでくっついているのです。 だから、同調ネジを締め込んだときに動くのは 4L の方なのです。 ・ただし、4L も 4番シャフトに固定されていますから 水平方向には動きません。 4L は写真の反時計回りに動きます。 ・写真では 4L が 3R より前下りになっています。この角度だけ、4L は 3R よりも 反時計回りに送られたのです。 写真の反時計回りはバタフライが開く方向です。 つまり、4番バタフライは3番バタフライより早く開き始めるのです。(その結果、バタフライ開度は4番 > 3番となる)。 |
ハ. 4番バタフライ開度を3番バタフライ開度より小さくするには
『 質問です!』
どうぞ。
『 同調ネジを締めて3Rに触れた状態が 「 4番バタフライ開度=3番バタフライ開度 」 で、それより締め込んだ状態が
「 4番バタフライ開度>3番バタフライ開度 」 ですよねぇ。』
そうですよ。「 同調ネジが3Rに触れた状態 で バタフライ開度が同じになる 」と仮定していますけどネ。
『 それなら、 「 4番バタフライ開度 < 3番バタフライ開度 」 にするにはどうしたらいいのですか?』
細かいことを突いてきますね…。
『こんな写真を見つけたのですが、同調ネジと3Rがこういう状態のときバタフライ開度はどうなっているのですか?』
③..同調ネジと3Rに隙間がある状態
これはボツにした写真じゃないですか! 仕方がないので説明しましょう。
・この場合は、スロットルワイヤーが引かれて 3Rが写真の反時計回りに回転し、3Rが同調ネジに触れるまで 4Lは動きません。 3番バタフライが開いているのに、4番バタフライは全閉で、4番負圧は max です。 ・だから、こんな状態 ( 同調ネジと 3Rに隙間がある状態 ) で同調していることはありません。 ここから、アイドリンク調整ネジで 3Rを反時計回りに回転させ、※注意 3Rが同調ネジに触れた状態ではじめて同調しているかどうかが問題となります。 ・今、3Rは4Lの穴の真ん中の位置ですが、 アイドリング調整ネジを回して3Rが同調ネジに触れるようになると、3Rは4Lの穴より前にずれることになります。 この回転角の分だけ、 3番バタフライ開度が4番バタフライより大きくなっています。 このようにすれば 「 4番バタフライ開度を 3番より小さくすること 」 ができます。 |
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※注意
・アイドリング調整ネジは3番シャフトを直接動かす。(コの字ジョイントを介して4番と2番シャフトを動かし、2番シャフトがコの字ジョイントを介して1番シャフトを動かす)
・アイドリング調整ネジを締めれば(アイドリングを高くすれば)3番シャフト(3R)が写真の反時計回りに送られ3番バタフライが開かれる。
『 ややこしい説明ですね。 何か騙されたような気がするのですが…。』
私も 「 騙しているような気がする 」 ので、説明を省いたのです。
だから、この説明の正しさは保証しません。
結局、3・4ネジと3番バタフライ,4番バタフライの関係は、
「 3・4ネジを締めれば4番バタフライの開度が大きくなり(4番が早く開く)、 3・4ネジを緩めれば 4番バタフライの開度が小さくなる(4番が遅く開く)。」
これを負圧で言い換えれば、
「 3・4ネジを締めれば、4番の負圧が下がり、 3・4ネジを緩めれば、4番の負圧が上がる 」
これが、3番と4番の動きです。
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c.3番,2番,1番の動き
2・3ネジを締めたり緩めたりするとどうなるか?
1・2ネジを締めたり緩めたりするとどうなるか?
もう、分かりますね。下の写真を見て考えてください。
(2番と3番の関係) ・2・3ネジを締める → 2Rがスロットルの開く方向(写真の前方)へ送られる → 2番バタフライ開度が大きくなる。 ・2・3ネジを緩める → 2Rが反対方向(写真の後方)へ戻される → 2番バタフライ開度が小さくなる。 ※厳密には、 ・2・3ネジを緩める → 2Rと3Lとの間に隙間ができる → アイドリングネジで3Lをスロットル方向(前方)へ送る → 3番バタフライ開度が大きくなる → 2番バタフライ開度が3番より小さくなる。 ・つまり、2・3ネジを締めれば 2番の負圧が下がり、緩めれば2番の負圧が上がる。 (2番と1番の関係) ・1・2ネジを締める → 1Rがスロットルの開く方向へ送られる → 1番バタフライ開度が大きくなる。 ・1・2ネジを緩める → 1Rが反対方向へ戻される → 1番バタフライ開度が小さくなる。 ・つまり、1・2ネジを締めれば 1番の負圧が下がり、緩めれば1番の負圧が上がる。 |
d.同調ネジで 3番負圧は調整できない
以上をまとめてみましょう。
初めて同調をする方はしっかりと頭に刻み込んでください。
・3・4ネジを締めれば、4番負圧が下がる。3・4ネジを緩めれば4番負圧が上がる。 ・2・3ネジを締めれば2番負圧が下がる。 2・3ネジを緩めれば 2番負圧が上がる。 ・1・2ネジを締めれば 1番負圧が下がる。1・2ネジを緩めれば1番負圧が上がる。 ・3番負圧はどの調整ネジでも調整できません。これは3番が基準になっているからです。 ・3番を基準にして、3番に4番と2番を合わせる、そのあとに2番に1番を合わせる。その結果、4番,3番,2番,1番の四個の負圧が同じになります。 |
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イ. アイドリング調整ネジの動き
・アイドリング調整ネジを締めると、 スロットルワイヤードラムを押し上げ、ドラムをスロットルの開く方向に回します。 スロットルワイヤードラムは3番シャフトに固定されています。 ドラムがスロットルの開く方向に回れば、3番バタフライ開度はその分だけ大きくなります。 ・これと同時に 3番シャフトの動きは コの字ジョイント(3Rと4L)を介して4番に、コの字ジョイント(3Lと2R)を介して 2番に伝わり、 さらにコの字ジョイント(2Lと1R)を介して1番に伝わります。 ・その結果、4番,3番,2番,1番のバタフライ開度がアイドリングネジを締め込んだ分だけ大きくなります。 このようにして、アイドリング調整ネジはすべてのバタフライ開度を同じ量だけ変化させる働きをしているのです。 |
アイドリング調整ネジでアイドリングを上げた場合、すべてのキャブレターの負圧が同じだけ下がります。
これは、アイドリング調整ネジがすべてのバタフライ開度を同じ分だけ大きくしたからです。
逆に、アイドリング調整ネジでアイドリングを下げれば、すべてのキャブレターの負圧が同じだけ上がります。
ロ. 2・3ネジを締めるとアイドリングが上がり、緩めるとアイドリングが下がるのはなぜか?
これは同調作業中に経験することですが、その理由を考えてみましょう。
まず、思いつくのが
「 2・3ネジを締めると、スロットルワイヤードラムがアイドリング調整ネジの方向に押し下げられる。
このため、アイドリング調整ネジの締め込み量は変わらなくても、アイドリング調整ネジを締めたのと同じ結果になる。
だから、2・3ネジを締めるとアイドリングが上がる。 」
これは間違いです。
上の写真をよく見てください。
2・3ネジを締めて動くのは2Rで 3Lではありません。
3Lが動かなければ、スロットルワイヤードラムは動きません。(※3Lはスロットルワイヤードラムの一部です)
だから、2・3ネジを締め込んでも、スロットルワイヤードラムがアイドリング調整ネジの方向に押し下げられることはありません。
では、なぜ2・3ネジを締めるとアイドリングが上がるのでしょう?
それは、「 2・3ネジを締めれば、2番バタフライと1番バタフライの開度が大きくなるから」 です。
2番バタフライと1番バタフライの開度が大きくなれば、2番エンジンと1番エンジンの回転が上がります。
四個のエンジンは同じクランクシャフトにつながっていますので、2番と1番が回転を上げれば 3番と4番も無理やり回転を上げさせられます。
逆に 2・3ネジを緩めれば、2番バタフライと1番バタフライの開度が小さくなり、2番エンジンと1番エンジンの回転が下がります。
2番と1番の回転が下がれば、それがブレーキとなって3番と4番も回転が下がります。
もちろん、3番と4番の回転は自分の意に反したものなので、その回転はギクシャクしたものになります。
そのため、2・3ネジを緩めてアイドリングが下がる場合は簡単にエンストしてしまいます。
だから、2・3ネジを緩める場合は、あらかじめアイドリング調整ネジでアイドリングを上げておくことが必要です。
このことは、2・3ネジだけでなく、3・4ネジや1.2ネジについても当てはまります。
3.4ネジを締めれば4番バタフライ開度が大きくなり、4番エンジンの回転が上がって、3番,2番,1番エンジンが引っ張られる。
3・4ネジを緩めれば4番バタフライの開度が小さくなり、4番エンジンの回転が下がって、3番,2番,1番エンジンにブレーキがかかる。
1・2ネジを締めれば1番バタフライ開度が大きくなり、1番エンジンの回転が上がって、4番,3番,2番エンジンが引っ張られる。
1・2ネジを緩めれば1番バタフライ開度が小さくなり、1番エンジンの回転が下がって、4番,3番,2番エンジンにブレーキがかかる。
ただ、この場合は 2・3ネジと異なり一個のエンジンが他の三個のエンジンに影響を与える場合です。
だから、アイドリング変化はそれほど顕著なものにはなりません。
以上をまとめると、
・同調ネジを締めればアイドリングが上がる。同調ネジを緩めればアイドリングが下がる。
・アイドリングが下がるとエンストする。
・同調ネジを緩める場合は、あらかじめアイドリングを上げておく。 」
★★28
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アシスト自転車にも該当しません。
・3・4調整 : 3・4ネジで動くのは④。③は動かない → ④を③に合わせる → ④の負圧が高い → ④を下げる → 3・4ネジを締めて、④のバタフライ開度を大きくする → ④の負圧を 20にする。
・1・2調整 : 1・2ネジで動くのは①、②は動かない → ①を②に合わせる → ①の負圧か高い → ①を下げる → 1・2ネジを締めて、①のバタフライ開度を大きくする → ①の負圧を 12にする。
この段階で、① / 12,② / 12,③ / 20,④ / 20 になっています。
・2・3調整 : 2・3ネジで動くのは②、③は動かない → ②を③に合わせる → ②の負圧が低い → ②を上げる → 2・3ネジを緩めて、②のバタフライ開度を小さくする → ②の負圧を 20にする。
※負圧を上げると、その気筒回転数が下がり、他の気筒も引っ張られて回転数が下がるから、あらかじめアイドリングを上げておく。
①と②の同調はできていますから、②が20になれば①も20になります。
その結果、①20,②20,③20,④20となります。
ロ. 演習問題 2
では、次の問題です。
①,②,④は揃っていますが、③だけ高くなっています。
③はどの同調ネジを動かしても動きません。
だから、③を同調ネジで下げることはできません。
この場合は、①,②,④をいったん③に合わせて負圧を大きくし、全体の負圧を50に揃えてからアイドリングネジで全体の負圧を下げます。
・3・4調整 : 3・4ネジで動くのは④。③は動かない → ④を③に合わせる → ④の負圧が低い → ④を上げる → 3・4ネジを緩めて、④のバタフライ開度を小さくする → ④ を50にする。
※負圧を高くする調整では回転数が下がるから、あらかじめアイドリングを上げておく。
・1・2調整 : ①と②は揃っているから調整不要。
・この段階で、①25,②25,③50,④50になっています。
・2・3調整 : 2・3ネジで動くのは②、③は動かない → ②を③に合わせる → ②の負圧が低い → ②を上げる → 2・3ネジを緩めて、②のバタフライ開度を小さくする → ② を50にする。
※負圧を高くする調整だから回転数が下がる。→ あらかじめアイドリングを上げておく。
①と②の同調はできていますから、②が50になれば①も50になります。
その結果、①50,②50,③50,④50となります。
・あとは、アイドリングを上げれば、全体の負圧が下がります。
※FJ1200/4CC の負圧規定値は 22cmHg以上/1000rpm。
アイドリングネジを締めてアイドリングを 1000rpm にしてみます。
きれいに、30cmHgに揃っています。
写真では負圧計のダンパーを効かせて針を止めています。
実際の調整では、小刻みに針が動くくらい ( 値が少し低くなる ) にして、針の中間点で目盛りを読みます。
あとは、『 1番が2番より少し低いな…、1番を少し高くしようか…。 』、『 4番が3番より少し高いな…、4番を少し下げてみるか…。』と気の済むまでやればいいでしょう。
i.座右の銘
同調作業を何度もやれば作業中に迷うことはありません。
しかし、馴れないうちはうっかり間違って、迷路に入り込んでしまうことがあります。
上の演習問題で、問題1は今回の同調作業のスタート。
途中で迷路に入り込んでもがいた結果が問題2。
そして、一晩頭を冷やして迷路から抜け出しました。
迷路に入り込まないために、また、迷路から抜け出すために、次の四つを常に自分に言い聞かせましょう。
・4番と3番を合わせる、1番と2番を合わせる、2番と3番を合わせる。途中はバラバラでも最後には同じになる。
・1・2ネジを締めれば1番が下がる。3・4ネジを締めれば 4番が下がる、( 両側にある調整ネジを締めれば、外側が下がる )
・3番は動かない。2・3ネジを締めれば2番が下がる。( 真ん中の調整ネジを締めれば2番が下がる)
・調整ネジと負圧は「締めれば下がる、緩めれば上がる」(アイドリングネジとは逆)
負圧計の針はラジオのボリュームを回すように敏感に反応しません。
調整ネジの動きに負圧計が反応するまでに時間がかかったり、反応しなかったりすることもあります。
針がいったん逆の方向に動いてから、しはらくして正しい方向に動くこともあります。
これに焦ってジタバタしてはいけません。
ジグザグに進みながらも正しい方向に進んでいます。
少しずつ何度も調整していれば、ジグザグが一本になります。
また、このように何度も調整しなければならないので、調整順番はあまり問題にならないのでしょう。
なお、負圧計の品質・精度によって測定のしやすさに差が出るでしょう。
“四連バキュームゲージ” と言っても、真空計を四つ並べて固定しただけのもの。真空計は国内専門メーカーのものでも、2000円くらいから入手できます。→→→その①,その②
専門メーカーの真空計を四個固定して使った方が良いように思えます。
・手持ちの負圧計は6980円の安価品。 ダンパーの効きが悪く、針の振れ小さくしそれを持続させるのに苦労します。 ・「値段が高ければよい」ということはありませんが、 右の 興和精機のバキュームゲージには触手を動かされます。 ・右は Webike のラインアップです。 |
DAYTONA 4連バキュームゲージ |
KOWA 興和精機 バキュームゲージ (MADE IN JAPAN) |
IRON-ROCK アイアンロック バキュームゲージキット |
つづく。
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