NSR 250-MC21 整備資料
2011.04.19. NSR試走前点検1-ガソリンコック交換・ブレーキパッド交換
長期放置のNSRを走らせるために点検をしています。
サンデーメカニックの参考になるようなことは書いてありません。
今回はガソリンコックを交換,エアフィルター点検,フロントブレーキのパッドを交換しました。
トルクレンチについても書いてあります。
・ガソリンコックの交換
・エァフィルター点検
・フロントブレーキパッド交換
1.ガソリンコックの交換
以前にガソリンコックからの漏れがあり、そのままにしておいたNSRは一応走れるようになりました。
・燃料漏れは取付部からではなく、コック切り替え部からでした。 ・コック部分がが外せれば、パッキンを交換してOKです。 しかし、ネジ締めではなく“かしめ”てあります。 カシメ部分を抜いてネジ山を立てることも可能ですが少々やっかい。 コックの切り替えも固いので部品を交換することにしました。 ・Yahooオークションで捜すと、中古で2000円程度、新品だと5000円以上。 15年以上も前の絶版名車だから純正部品も高いのでしょう。 ・そこで、ホンダショップで「純正部品があるかどうか」調べてもらいました。 ありました!注文して二日後に届きました。 値段は4378円! Yahooオークションより安いのです。 ノークレーム・ノーリターンではないし、送料も要らない。 「オークション=安い」の神話が崩れてしまいました。 ・商品名:コックASSY・フューエル / 品番:16950KV3682 |
・左が新品です。真ん中にある切り替えハンドルは含まれません。切り換えハンドルは古いものを使いました。 ・燃料「オン・オフ・リザーブ」の切り替えも軽く、やはり新品はいいです。取付は簡単、すぐに終了。 |
2.エァフィルター点検
タンクを外したついでに、エァフィルターカバーを外して見ました。
フィルターがボロボロで半分程度崩れています。また、純正部品か!
取り敢えず応急処置。
・①.フィルターボックスに落ち込んだエァフィルターのカスを取り除く。 エァフィルターのカスはキャブの空気入り口の中まで侵入。 もしかして、キャブの中まで入り込んでいるかもしれない。 キャブをオーバーホールするのも面倒だから、 キャブクリーナーをこれでもかこれでもかと吹き込む。「カスが解けてしまうこと」を期待。 |
・②手製エァフィルター ・この格子の上にフィルターを置いてカバーを付けます。 |
・クッションスポンジを薄く切って代用。 あくまで応急処置です。 |
・新品はこれだけ厚さがあります。 ・車のタイヤを新品に変えた時に溝の深さに驚くのと同じ。 |
・ブレーキパッド交換なんか30分もあればやれますが、 時間は充分にあるのでサービスマニュアルの手順通りにやってみました。 |
・フロントフォークからキャリパ(キャリパブラケット)取り外し。 ※取り付けトルク → 2.4 ㎏・m ~ 3.0 ㎏・m。 ・ボルトは「強く締めれば締めるほど強く固定される」わけではありません 強く締めすぎるとボルト自体にストレスがかかりボルトの強度を弱めます。 また、ボルトで固定する相手を変形させてしまいます。 フロントフォークやクラッチハウジング、シリンダーなどではアルミ合金が使われています。 これを鉄製のボルトでグイグイ締めつければ簡単に変形してしまいます。 だいたい、手で締めてから 1/4 ~ 1/2 でOKなのです。 ・その締め付けトルクを見ながらボルトを締める道具があります。トルクレンチです。 ・トルクの単位に ㎏f・m とか ㎏・m があります。 「f」は force (力) の意味で「 ㎏f・m」と「㎏・m」は同じです。 ・「2㎏f・m」とは 「1mの長さの棒の先に 2㎏ の力を加えた時」に棒の根元に生じる力を表しています。 ※詳しくは→→→こちら。 『チョット質問です!』 どうぞ。 『Aのトルクレンチはメチャクチャ可愛いですね。バイクのどんなボルトに使うのですか?』 単位を見てください。「㎏f・㎝」です。 Aの最大測定値は 0.4 ㎏f・㎝。 つまり、「1㎝ の棒の先に 0.4 ㎏ の力を加えた時に棒の根元に生じる力」で 締めるボルトに使うのです。 そんな弱いボルトはバイクに使われていません。 これと私が「0.4 ㎏f・m」と勘違いして、Bの1ランク下のトルクレンチとして買ったものです。 「0.4 ㎏f・㎝ = 0.004 ㎏・m」ですから、Bとのつながりが二桁食い違ったのです。 |
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なお、トルクレンチがない場合は、ボルトを緩めるときに「合わせ位置」を付けておいて、締めるときにはその「合わせ位置」まで締めればOKです。
キャリ取り付けボルトはCのトルクレンチで「3㎏f・m+α」で締め付けました。この「+α」が楽しいのです。
・ブレーキパッドは四個のピストンで押されブレーキディスクを締めつけます。 このピストンは油圧で動きます。 ブレーキレバーを握ると油圧が作動してピストンを押し出します。 ・油圧作動ですから、一つのピストンを押すと他のピストンが出てきます。 ピストンの汚れがひどかったのでピストンを出してきれいにしました。 ・しかし…。ピストンの一つを出しすぎてはそれが外れてしまいました。 そして、中からプレーキオイルがこぼれ出す。 結局、「プレーキオイル交換 → エア抜き」で時間がかかってしまいました。 「過ぎたるは及ばざるのごとし」です。 |
・なお、ブレーキパッドが減ってくるとブレーキオイルを貯めているタンクのオイルが減ってきます。 ・オイルをタンク上限線までつぎ足すと、 ピストンが引っ込みません。オイルの逃げ場がなくなるからです。 ・「なぜピストンが引っ込まないのかなぁ~。」と作業が行き詰まり、これに気がつきました。 |
このNSRはまだまだ手を加えなければなりません。 チェーンは「これ以上引きようがない程度」に伸びています。 チェーン交換・前後スプロケ交換は必須。 前後タイヤも用交換。 バイクいじりはやり出したらきりがないのです。 バイク整備の鉄則。 「調子の悪い部分だけ修理すること」 |
4.試乗
さあ、試運転です。ブレーキパッドを交換したら「当たり」を付けなければなりません。
久しぶりの「2st」です。
12000 回転などあっと言う間。もちろん2速です。
ただ、吹け上がりが少々もたつく。
手製のクッションスポンジ・エァフィルターのせいか、キャブレターのせいか?
しかし、NSRは楽しいバイクです。
排気量を 二倍の 500 ㏄ くらいにしてモタードを作ってくれませんかねぇ。
つづく。
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