NSR 250-MC21 整備資料



 2011.06.06.NSR試走前点検4-十字ジョント,3Wayジョイント取り付け時の注意他





長期放置NSRの試走前点検の最後です。キャブレター取り付けのワイヤリングで戸惑いました。
十字ジョイントをマニュアル通りにやらないと3Way ジョイントがエアクリーナーに上手くはまりません。
また、3Way ジョイントをパイピングするのにもコツがあります。
キャブレターの同調には「10 ㎜Hg」が測定できる負圧計が必要です。通常の負圧計では測定できませんのでご注意。
オイルポンプのブリーダーボルトと同調ネジには7Mレンチが必要ですので準備してください。
「まずは標準仕様」。リミッターカットを外しました。2極カプラーの相手方はブレーキスイッチです。
NSRは最低限の点検後、元気に走りました。これから先は「現状維持・動態保管」となります。


キャブレターの取り付け前の小技
キャブレターの取り付け/4本のケーブルの取り付け順番
十字ジョイントのパイピングに注意
3Wayジョイントの取り付け注意
「オイルポンプ~キャブレター」のエア抜き
キャブレター同調/「10 ㎜Hg」が測れる「2サイクル用負圧計」が必要
同調ネジは7Mレンチが必要
リミッターカットの2極カプラーの相手


   
6.キャブレター組み立て


組み立ては簡単ですが、どうしてもていねいになります。
後々の整備が楽なように小細工をしました。


a.エァスクリューにマーク

・左と右で一杯に締め込んだ位置が違います。
・特に左は回すのに苦労しますからマークがあれば便利です。
・右側(№2)戻し量 → 1+1/2 (回転)
・左側(№1)の戻し量 → 1+5/8(回転)
・右側の 1+1/2 よりさらに 1/8回転。1/8回転は45度。
・こんなところにマークを付けても、ドライバーは届きませんが…。



b.左キャブレターに同調ノズルを付ける。

・前回に苦労した左側です。

・ホームセンターでノズルにピッタリな耐油ホースを入手。
  ホースの先をリベットでフタ。


     
c.4本のケーブル

キャブレターには5本のケーブルが付いています。

・①アクセル引側
・②アクセル押側
・③オイルポンプコントロール
・④チョーク
・⑤アイドル調整

⑤ は外していませんから、取り付けるのは ① ~④の4本です。

・④ のチョークケーブルは後からでも取り付けられます。

・しかし、①,②,③ はキャブレターを取り付ける前に取り付けておかないと苦労します。
  作業がやりにくいので先に取り付けておきましょう。
  今回は後から取り付けたのでチョット苦労しました。

・調整ネジがあるのは ① アクセル引き側 だけです。
  ② アクセル押し側 と ③ オイルポンプコントロール には調整ネジはありません。
  『落としてしまったのかな?』とネジを探さないでください。

・④ チョークケーブル は ① アクセル引き側,② アクセル押し側 と ③ オイルコントロール の間を通ります。
  しかし、どこか窮屈そうです。
  ①,②,③ の 外側(左側) を通した方がよさそうですが、マニュアルは ①,② と ③ の間です。
  何か意味があるのでしょう。

・チューブはオイルチューブとドレンチューブをキャブレターを取り付ける前に取り付けておきます。
  曲がっているニップルの根元まで差し込んでおきましょう。
  オイルチューブはあとからでも付けられますが、「これでもかこれでもか」としっかり差し込んでおかなければ心配です。
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7.パイピングはマニュアル通りに


a.十字ジョイントのパイピングに注意

まずこの写真を見てください。

  ジョイントは三つあります。
・① 十字ジョイント
・② Y字ジョイント
・③ 3way ジョイント。

・十字ジョイントは四つに分かれていますが、
  その中の一つにエアジェットが付いています。
・このエアジェットの付いている方につないだパイプは
  ③ 3way ジョイントにつなぎます。
・もう一つは ② Y字ジョイントとつなげます。

・写真の「エアクリーナー底部へ」の部分が
  エアクリーナーボックスの底に挿入されます。

・写真のつなぎ方はこれらを満たしています。間違っていません。
  しかし、③ 3wayジョイントが
  エアクリーナーボックスの底の穴に挿入できない。
  挿入してもエアクリーナーボックスを所定の位置に設定すると、
  変な力がかかって斜めになって抜けてしまう。
  いろいろやっている内に「ポロン」と折れてしまいました。

・もう一度マニュアルをチェック。
  マニュアルの図では
  十字ジョイントのエアジェット側が上になっている。
もちろん「エアジェット側が3wayジョイントにつながり、そうでない方がY字ジョイントにつながる」のは同じ。
十字ジョイントのパイプを全部抜いて、その通りに装着。


すると…。

・3way ジョイントのエアクリーナー底部へ挿入する部分が上を向く。

・「エアジェット側が 3way ジョイント につながり、
    そうでない方がY字ジョイントにつながる」のは同じでも、
    前の写真は「十字ジョイントのエアジェット側が右を向き」
    この写真では「十字ジョイントのエアジェット側が上を向いて」いる。

・3way ジョイントを接着剤で留め、
  ビニールテープでグルグル巻きにしてその上をタイラップで留める。
  部品が来るまでの応急処置です。

パイピングはマニュアルに書いてありますが、その通りにすると「ナルホド」と感心することがあります。

たとえば、タンク左のコックからキャブ右に燃料パイプが通っています。
この燃料パイプがチョット短い。そしてタンクコックの方向とずれている。

しかし、マニュアル通りに「キャブの前にある各種パイプの下を潜らせる」ようにすると、タンクコックの方向と一致し長さはピッタリ。
しかも、右側からパイプをガソリンコックに差し込むと簡単に差し込めます。

     
b.2011.10.18  追記.3way ジョイント 取付時の注意


エァクリーナーボックスを外すついでがありましたので3wayjoint を新しいものに交換しました。

取付時に少し手こずりましたので追記します。

・1.エァクリーナーボックス底部差込み口へ挿入される方(A)が
    上を向くように取り付ける。

・2.Aはエァクリーナーボックス底部に 2/3 くらい差し込めるが、
    無理に差し込もうとすると折れてしまうので注意。

・3.パイプBが少々長く、エァクリーナーボックスが
    すんなりとキャブレターに収まらないので注意。
    パイプBが曲がって押し返すので、
    エァクリーナーボックスのコネクティングチューブが
    キャブレターの入り口に収まりません。
    ここで、無理にキャブレターに取り付けようとすると
    3 wayジョイントのA部に力がかかり折れる危険性があります。

  次のようにします。
・まず、ソレノイド(C)のステー取り付けボルトを外し、
  パイプBが自由に動けるようにして、
  パイプBが押し返さないようにする。

・次にエァクリーナーボックスをキャブレターに取り付け、
  コネクティングチューブバンドをしっかりと締める。

・そして、エァクリーナーボックス底部に
  Aが真っ直ぐに深く入っているかを確認する。

・最後に、ソレノイド取り付けステーをボルト留めする。

エァクリーナーボックス底部から出ている太いドレンチューブもエァクリナーボックス取り付けに抵抗になります。

無理をしないで、エァクリーナーボックスを少し沈めてドレンチューブを少し引っ張るようにして、徐々にエァクリーナーボックスをキャブレターにセットします。

3 wayジョイントは折れやすいので、無理をしないことが大切です。

取付時に折れることを考えて、余分に発注しておくのも一法です。※ 36191-KV3-831  ジョイント・エァフィルター  490円
   ★★1     
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8「オイルポンプ~キャブレター」のエア抜き


オイルポンプからキャブへのオイルパイプを外していますから、エア抜きが必要。
そのままエンジンをかければオイル無しで焼きついてしまう。

ごもっとも。

なになに、「オイルポンプのプリーダーボルトを緩めて、気泡が出なくなるまでオイルを流す。」

・このブリーダーボルトの頭は7㎜。
  7㎜のレンチやソケットを持っている人は少ないでしょうね。
  あちらこちらの工具箱を探してみましたがありません。6 ㎜はありましたが…。

・なぜ、8㎜頭を使わないのでしょう。
  今はどうか知りませんが、以前の自転車の車輪取り付けボルトは前と後ろで違っていました。
  前が後ろより少し小さいのです。
  前を少し小さくしてどんな利点があるのでしょう。
  違う部品を使えば製造コストもかかるし、修理にも時間がかかる。
  ライフルなんか、薬莢一つで分解できるようになっていますよ。

・「ブリーダーボルトを 8㎜頭にすると、間違って緩めてしまうから」との親心でしょうか。

7㎜レンチはあとで入手するとして、ブリーダーボルトからのエア抜きは省略、混合油で始動しましょう。

ブリーダーボルトからのエア抜きは「オイルタンク~オイルポンプ」のエアを抜く作業。
今回取り外したのは「オイルポンプ~キャブレター」のオイルパイプだから「ブリーダーからのエア抜き」は関係ありません。

「オイルポンプから先のチューブのエア抜き」についてマニュアルは
「混合油でエンジンをかけて、オイルコントロールレバーを全開にして、10分ほどアイドリングさせる。」

アイドリングではオイル吐出量が少なく、チューブにたまったエアを抜くのに時間がかかります。
そこで、オイルコントロールレバーを全開にしてオイル吐出量を最大にするのです。

オイルコントロールレバーを全開にするには、ドライバーでコントロールレバーを押していなければなりません。
10分って長いですよ。

オイルポンプからキャブレターまでのパイプ゚はそんなに長くありません。
「オイルポンプ全開で10分もオイルを圧送しないでもエアは抜けるのじゃないの?」と思うけれどちゃんと10分間続けましょう。
2サイクルはオイル切れが一番重大ですからね。

なお、アクセル全開でオイルコントロールレバー全開となるので、フルスロットルで10分くらい走れば同じです。
しかし、いかに混合油が入れてあるからといえ、これはチョット危険でしょう。


9エンジン始動


・エンジンをかけて点検する場合、タンクをいちいち取り付けるはめんどうくさい。
  今回は長いガソリンパイプをタンクに取り付けて、タンクを別の場所に置いて給油。

・エンジは問題なくかかりました。
・アイドリングから狂いだすこともありません。
・アイドリングもスクリューをチョット締めれば上がり、チョット緩めればすぐに下がります。
・高回転からもアクセルを戻してもスムーズに回転が下がります。

  あれほどキャブレターの中がドロドロだったのだから、今までの回転不調は当然でしょう。

  ※注意.タンクを乗せている軽車両について


※注意

これは当地では「オンバ」と呼ばれているものです。
若いママが赤ちゃんを乗せるのはベビーカー。
この“オンバ”を押すのはオバアチャン。

オバアチャンが孫の守りをする時に使います。
頑丈で深いので幼稚園くらいまで使えます。
孫の世話を卒業すると、オバアチャンがクワや肥料を積んで畑に行きます。
ごみ捨てのときにも使います。

オジイチャンは“オンバ”を使いません。
リヤカーか一輪車を使います。

“オンバ”はオバアチャンと共にあります。
孫もこの頃の元気で優しいオバアチャンを覚えているはずです。
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10.キャブレターの同調②


a.一般の負圧計では「10 ㎜Hg」 が測れないので「2サイクル用負圧計」が必要



「ついでに、キャブレターのの同調をやろう」

FJの同調をやったので気をよくしています。

早速、負圧計を取り付けて針を調整。

しかし、

・針はゼロに近いところでピクピクするだけ。
  なんとか読めるようにしたのが左の写真です。
※真ん中の二つで測定しています。同調後のものです。
  キャブレター組み立て時に「目視で調整」したのですが、左が少々サボっていました。

・マニュアルには、
  「アイドリング回転数 1200±100 rpm で、 各シリンダー間のバキューム差を点検する。
     規定バキューム差:10 ㎜Hg 以下」  

・㎜Hg ?
  たしか、大気圧が水銀柱76㎝を押し上げる力で 76cmHg。

  負圧計の目盛りを見ると、最大が76cmHg。


・負圧は大気圧より低い圧力。
  負圧のところへは空気が大気圧に押されて流れ込む。これが空気を吸い込む力。

・キャブレターの負圧を同じにして、各キャブレターの空気吸い込み力を同じにするのが同調。

・負圧計は「そこが大気圧よりどれだけ低いか」を計るものだから最大が 「-76 cmHg」。
  「-76 cmHg 」なら大気圧ゼロで真空状態。
   だから、負圧計をバキュームゲージ(真空計)というのか…。※よく分かる説明→こちら

・ところで、10 ㎜Hg はこの負圧計目盛りでどのくらいなのでしょうか?
  1cmHg = 10 ㎜Hg
  目盛り ① が10 cmHg で、 ② が 5cmHg → ① と ② の間が 5cmHg = 50 ㎜Hg。
  結局、10 ㎜Hg とは「 ① と ② の間の 1/5」。

・針がカタカタ動くのに、  そんな値なんか読み取れるはずがない。
  このゲージでは、「シリンダー間の負圧差 が 10 ㎜Hg以下になっているかどうか」を
  読み取ることはできないのです。     


しかし、負圧計・真空計の測定範囲はほとんどが 0気圧 ~ -1気圧(0 ~ -75 cmHg,0 ~ -0.1 MPa )。

それなら、だいたいの負圧計がこの負圧計と同じで、10 ㎜Hg は読み取れないことになります。
このゲージの性能が悪いわけではないのです。

測定範囲が狭くて、小さい負圧を読み取れる特殊な負圧計があるのでしょうね。

マニュアルには「市販の2サイクル用バキュームゲージを使用し…」と書いてあります。※専用工具 /  07404-0030000

なお、 2サイクルの負圧は一般の負圧計では測定しにくいので、負圧計を使わないで同調するようです。→→→こちら 
また、シンクロメーターという測定器具があるとのことです。 → こちら 
このメーターは入手できます。 → ドイツ STE/キャブレター シンクロメーター・ SK


    
b.同調ネジは7㎜頭


同調ネジはこんな所にあります。

・なぜ、ボルトの頭が上を向いていないのでしょう。
  ドライバーで調整することができません。

・「レンチを使えばいいじゃない!」

・ここも7㎜。
  間違って回してしまうといけないから…。
  ということにしておきましょう。

   

11.リミッターカットの相手方


・これはリミッターカットでしょうね。
  まずはノーマルに戻したいのですが…。

・① を外して ② とつなげるのは分かる。
・④ は PGM の方で元の線を切って入っているからこれも戻せる。
・しかし、③とつなげるカプラーがない。
  マニュアルにも③は見当たらない。

  あとで判りました。
・③ (2カプラー) の相手は「リヤブレーキのストップランプコード」です。
  このコードが取り外されていたので見つからなかったのです。。

・リミッターカットは取り外し
  まずは「ノーマルから」。




12.試走


・オイルラインを一度取り外しているので、念のために30:1の混合油。

・恐ろしい加速です。
  FJ1200のトルクで持っていく加速ではなく、
  回転で持っていく加速です。
  不用意に高めの回転でクラッチを合わせると、
  フロントが軽々と浮いてしまいます。

・2サイクルでも
  モトクロッサーの単気筒とはチョットイメージが違います。
  なめらかに回転が上がります。

  これは確かにおもしろいバイクです。
  人気があるのがうなづけます。
  これでトルクがもう少しあれば、加速がもっと楽しくなるのでしょう。

・今のところリミッターカットは不要です。
  タイヤとチェーンを新しくして峠に持ち込んでみたいものです。

・ただ、このバイクは長男の放置バイクです。
  私のバイクではないので、
  時間と金をかけてもあまり意味がありません。
  動態保管・調子維持だけに止めています。



つづく。




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