RMX250-SJ13 整備資料



・2011.12.21  RMX 高回転不調対策  ①電子部品の抵抗値測定


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★再測定して測定値を更新しています。(2018.03)→→→ こちら
・レース用イグナイターの各抵抗値は標準イグナイターとほとんど同じ。ゼロのところはゼロ。
・イグニッションコイルの一次側も基準値でOK。
・イグニッションコイルの二次側はプラグキャップを外して測定し基準値に。



1.回転不調は、まず電子部品から


RMXは高回転が不調です。

アクセル開度80%で「ボコボコ」と回転上昇が行き詰まります。

構わずにアクセルを全開にしていると、思い出したかのように回転上昇を再開。
しかし、それは「イヤイヤ・無理やり」という感じのするもの。
「レーサーでない」ことを割り引いても、2サイクル本来のものではありません。
2サイクルは矢のように飛んで行かなければならないのです。


考えられる主な原因は  ①点火時期の狂い  ②キャブレター不調  ③排気バルブ ( 排気ディバイス ) 不調。

排気バルブの作動点検はエンジンを下ろさなければならないので手間がかかります。
まずは、簡単な点火時期とキャブレターから。

点火時期を決めるのは CDI ユニット。
私が高校生のころは機械式でしたが‥。

その他、いろいろな電子部品が付いています。
これらの抵抗値を計ることで 「 それらが正常に作動しているかどうか 」 が分かるとか。

キャブレターの不調は高回転についてはメインジェットの適合性。
これは次回にやります。


なお、RMXは公道仕様の SJ 13 A。
混合給油以外はすべて標準。

キャブレター  MIKUNI - TM 30 SS ・刻印 29 E 0。
メインジェット  195 、ジェットニードル位置  最上段、 エァスクリュー  2回転戻し※ 標準は1+3/4回転戻し、プラグ  BR 9 ES 。


2.電子部品の抵抗値測定


a.測定する部品


次のものです。

・CDI ユニット
  ①ストックの中古部品
  ②現在使っているもの
   ③もともと付いていたコンペ用。

・レクチファイア
  ④現在使っているもの
  ⑤もともと付いていたもの。

・イグニッションコイル
  ⑥ストックの中古部品
   ⑦もともと付いていたもので現在使っているもの。

  ①と⑥はメーター読み 7200㎞走行からの取外し部品。
  ※①は320円、⑥は280円でした。→→→こちらで紹介

  このRMXはもともとエンデュロー仕様で
  「③-⑤-⑦」が付いていました。

  「②と④」は中古メインハーネスに付属していたもので、
  書付きフレームへ載せ変えの時に「③・⑤」から変更しました。

  つまり、現在は「②-④-⑦」が付いています。
  なお、コンペ用 CDI をつけると ( ③-④-⑦ ) 、
  高回転がさらに不調になり、アイドリングではモウモウと白煙。



b.使用するテスター


秋月電子の安価モデルです。

・秋月電子→→→こちら
・テスター仕様→→→こちら

  このテスターはYahooオークションで手に入れたもので、
  秋月電子から直接購入したものではありません。

  Yahooオークションで「安く手に入った!」と喜んでいたのですが、もともと定価も安いのですね。
  しかし、この程度のテスターはホームセンターで2000円以上しますヨ。

  写真右の鰐(ワニ)口コードは付属しません。
  これがあると便利です。

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c.CDI ユニットの測定


マニュアル記載の標準値
※単位  kΩ、赤字は+、黒字は-

   白・青 黒・白 黒・黄
白・青 × 9~38 1~6 7~30 1~6 1~6 3~15
× 5~20 10~45 5~20 5~20 7~30
黒・白 5~25 × 3~15 0 0 1~7
黒・黄 10~45 6~25 × 6~25 6~25 8~32
5~25 0 3~15 × 0 1~7
5~25 0 3~15 0 × 1~7
7~30 1~7 5~25 1~7 1~7 ×


①のCDI ユニット ( ストック )

   白・青 黒・白 黒・黄
白・青 × 40mΩ 40mΩ 39mΩ 39mΩ 39mΩ 39mΩ
6.4mΩ × 10.4 21.4 10.4 10.4 13.4
黒・白 6.4mΩ 8.6 × 11.2 0 0 3.1
黒・黄 6.4mΩ 20.0 11.2 × 11.2 11.2 14.4
6.4mΩ 10.8 0 11.2 × 0 3.1
6.4mΩ 10.6 0 11.2 0 × 3.1
6.4mΩ 14.0 3.1 14.4 3.1 3.1 ×


②のCDI ユニット ( 使用中 )

   白・青 黒・白 黒・黄
白・青 × 40mΩ 39mΩ 39mΩ 39mΩ 40mΩ 39mΩ
6.0mΩ × 9.8 20.7 9.8 9.8 12.8
黒・白 6.0mΩ 11.0 × 11.3 0 0 3.1
黒・黄 6.0mΩ 18.0 11.3 × 11.3 11.3 14.4
6.0mΩ 10.8 0 11.3 × 0 3.1
6.0mΩ 10.8 0 11.3 0 × 3.1
6.0mΩ 13.9 3.1 14.4 3.1 3.1 ×


③のCDI ユニット ( コンペ用 )

   白・青 黒・白 黒・黄
白・青 × 40mΩ 40mΩ 40mΩ 39mΩ 39mΩ 40mΩ
6.0mΩ × 11.0 24.0 11.0 11.0 14.0
黒・白 6.0mΩ 11.0 × 13.2 0~0.5Ω 0~0.5Ω 3.0
黒・黄 6.0mΩ 24.2 13.2 × 13.2 13.2 16.3
6.0mΩ 10.9 0 13.2 × 0~0.3Ω 3.1
6.0mΩ 10.9 0~0.5Ω 13.2 0~0.5Ω × 3.1
6.0mΩ 14.0 3.0 16.3 3.1 3.1 ×



『mΩって何だ?』

  写真は ①のCDI ユニット、橙 ( + ) ・ 白青 ( - ) の抵抗値です。
  39.96mΩの値が出ています。

  mΩ( メグオーム ) とは 、ミリオームではありません。
  1mΩ(メグオーム)=1000kΩ=1000000Ωとなります。

  知りませんでした。



『測定値が間違っているのか、CDIがダメなのか?』

①・②・③とも白青に関する部分以外はすべて標準値内に収まっています。

白青 ( + ) については、測定値が6.0mΩ~6.4mΩ=6000kΩ~6400kΩなので、標準値の∞に近いとも考えられます。
しかし、白青 ( - ) については、標準値と大きくかけ離れています。

「テスターの測定値が間違っているのか、CDI がダメになっているのか」のどちらかです。

しかし、「 CDI が三個ともダメになっている 」 とは考えにくいので、テスターの方に問題があるように思えます。
また、白青に関しては一度測定すると続けて測定できません。
10分ほどテスターを切っておかなければなりません。
どうもテスターが 「 ? 」 のようです。

新しいテスターを手に入れるのも面倒です。
CDI ユニットは新品で4万円くらいします。

安価な中古のCDI ユニットを手に入れるまで、①のCDI ユニットを使うことにしました。


なお、③コンペ用 CDI の測定値は①・②とほとんど同じです。

「 0 」 の部分が 「 0~0.3Ω・0~0.5Ω 」 となるところがコンペ用なのでしょうか?
抵抗値が高めの部分があるところがコンペ用なのでしょうか?

それとも、抵抗値以外の何かがあるのでしょうか?

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d.レクチファイアの測定


マニュアル記載の標準値 ( 赤字が+・黒字が-、単位 kΩ )

     黄( 3点 ) 黒・白
黄( 3点 ) 30~150 1~6 20~100
20~100 × 10~60
黒・白 1~6 2~10 ×



『 黄 ( 3点 ) って何?』


黄色線のカプラーには三個の端子があります。
黄 ( 3点 ) とは「三個の端子を一まとめにして測定する」のか、「三個の端子を別々にして測定する」のか?
黄 ( 3点 ) 同士の抵抗値が上げてあるので後者なのでしょうか。

④の現在使用中のレクチファイアー ( 単位 kΩ、カッコの値は三個の端子を一まとめにして測定 )。

     黄( 3点 ) 黒・白
黄( 3点 ) 31.6、32.3、36.8mΩ 8.2、8.3、8.6 ( 5.9 )mΩ 8.2、8.3、8.5 ( 5.9 )mΩ
7.1、7.7、8.8 ( 5.3 )mΩ × 31
黒・白 7.2、7.7、8.8 ( 5.4 )mΩ 31 ×


⑤のコンペ用 ( ? ) レクチファイアー

     黄( 3点 ) 黒・白
黄( 3点 ) 32.3、33.4、34.3mΩ 7.8、8.0、8.7( 5.6 )mΩ 7.7、7.9、8.7( 5.6 )mΩ
8.2、8.4、8.6( 5.7 )mΩ × 31
黒・白 8.2、8.4、8.6( 5.7 )mΩ 31 ×

またまた、mΩが出てきました。

こうなると、テスターにさらなる疑いが。

測定値は気にしないで、現在使用中の④を引き続き使うことにしました。

なお、測定値からみると④も⑤も同じなので、⑤はコンペ用ではなく普通のレクチファイアなのでしょう。


e.イグニッションコイルの測定


マニュアル記載の標準値

測定端子
一次側 0.25~0.35Ω
二次側 5.0~7.6kΩ


『一次側・二次側って何?』


電気のことはチンプンカンプン。
多分、こういうことでしょう。

  電気はAから入って、Cのプラグから出る。
  Bに取り付けるのは黒色のコードだからアースでしょう。

  つまり、A ( + ) ・B ( - ) が一次側、
  C ( + ) ・B ( - ) が二次側なのでしょう。
  間違っていてもご容赦。



⑥のストック  イグニッションコイル

測定端子
一次側 0.6Ω
二次側 17.8kΩ


⑦の現在使用中  イグニッションコイル

測定端子
一次側 0.8Ω
二次側 220kΩ

mΩは出ませんでした。

一次側も二次側も標準値をはみ出しているけれど、テスターに疑いがあるから気にしない。
また、点火時期に直接関係するのはCDI ユニットですからね。

しかし、現在付いている⑦イグニッションコイルの二次側抵抗値は、ストックしている⑥イグニッションコイルの10倍以上です。

イグニッションコイルは、⑦から標準値に近い⑥に交換しましょう。

結局、取り付ける電子部品は 一番上の写真の ①-④-⑥ となります。
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シニアカーの代わりに。
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3.走行チェック


a.ワイヤリングを間違うと時間が取られる


三個の部品を取り付けるのに時間はかかりません。
さっさと取り付けて試乗してみよう。

あとはタンクを載せてシートとシュラウド・サイドカバーで終わり。

あれっ? キャブレターのアクセルワイヤーが窮屈そうだゾ‥。

えっ? アクセルワイヤーがラジェターの間を通っている!

マニュアルで確認すると 「 ラジェターの上からフレーム上部を通る 」 。

フレーム載せ変えの時にマニュアル通りにやらなかったのだな‥。

結局、ラジェター液を抜いてラジェターホースを取り外すことに。

これが正常のワイヤリングです。

  思わぬことに時間をとられ、走れるようになったのは 17時過ぎ。
  もう暗くなっていました。

  明日は冬至だから仕方がありません。
  まあ、それだけ夜が長いのですから。



b.試乗



CDI ユニットの抵抗値は今まで付けていたものと変わりなし。
コンデンサーを変えたことに少々期待。

しかし‥。

「全開前のもたつき 」 が解消されているじゃないですか!

もちろんレーサーに比べて回転上昇はやや重い。
これは耐久性重視の公道仕様だから仕方がないこと。

それでも 『 ビィ~ン~ 』 と限界まで回転を上げていく。

そうです。これが RM公道バージョンの RMX なのです。

20分程度の試乗なので手放しで喜べませんが、あとはメインジェットを詰めれば何とかなりそう。


c.不調原因は何だったのか


抵抗値から考えるとイグニッションコイル。

しかし、CDI ユニットを変えたのも良かったのではないでしょうか。

もしかして、CDI ユニットの正常作動は抵抗値だけでチェックできないのでは。
コンペ用 CDI も抵抗値では標準 CDI と同じような値でしたからネ。

電子部品は安い中古部品をドンドン集め、バイクの調子が悪くなったら付け替える。

各端子間の抵抗値に悩んでいるよりも,付け替えて調子が良くなればそれでOK。
そもそも、抵抗値など端子が汚れていれば大きくなるでしょう。


人生も同じ。

あれやこれや悩んでいるより、いろいろやってみること。
頭で考えたように人生は動かない。
現状が好転すればそれで良し。

そんなことを感じさせられました。


※2019.9追記
あとで、上記の電子部品を再度測定した結果、全て標準値に入っていました。
つまり、高回転不調の原因はこれらの電子部品ではなかったことになります。
当時の状況をよく覚えていませんが、「高回転不調が治った」というのはあまり信用できません。



つづく




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