RMX250-SJ13 整備資料
2015.05.17 もう一台のSJ13 その①
不思議なご縁で「SJ13の書付き+おまけ/17インチフロントホイール」を「配達料込みの4万円」で入手しました。
欲しかったのは「17インチフロントホイール」の方で、車体が「おまけ」になってしまいました。
1.なにかのご縁でもう一台
SJ13 がもう一台増えました。
「増やそう」という気はなかったのですが、不思議なご縁で「増えてしまった」のです。
ここで、三台の SJ13をもう一度紹介しておきます。
自分でも、「どれがどうなっているのか」分からなくなるので整理しておきます。
整理番号はエンジンを基準にしています。
以前の分類と異なる場合は、今回の分類を優先させます。
・RMX②
・一番右側の黄色いSJ13がナンバー付きです。これが現役RMX。
・もとは5万円の書なし・レース用・混合仕様のN型。
これを書類付きのフレームに載せ換えてナンバーを取得。/RMX①。
・RMX①は尾鷲峠でエンジントラブル(右クランクベアリング損傷)。
当初は「シリンダ・ピストンに問題あり」と思っていたので、
エンジン換装のため、書付き・分離給油のR型を6万円で入手。
・エンジン,オイルポンプ,キャブレターと、リヤショックを MX①に載せ換え。
これが RMX②。エンジン,キャブレター,リヤショックは R型になっています。
・その後、RMX②のクランクケースオーバーホールで
左クランクベアリング損傷が見つかり、クランクケース内のベアリング・オイルシールを交換。
RMX③
左から二つ目、NSR-MC21の隣の黄色いSJ13です。
もとは、RMX①のエンジン換装のために 6万円で入手した書付きのR型。
これに、『車体番号:SJ13A-1036***、型式:SJ13A、走行:17030キロ、エンジン:問題なく始動し、吹け上がりも好調でした。敷地内で軽く走行しましたがこちらもストレス無く走行できました!』
という触れ込みの N型エンジン(オイルポンプなし)を Yahooオークション・17300円で入手。
これをストックしていたオイルポンプなどの中古部品を使って組み上げ。
キャブレターは同時落札・3100円のN型用。
エンジン・キャブレターはN型ですが、フロントフォークは R・S型の伸側減衰力調整付き。
この1万7千円のエンジン、確かに「問題なく始動・吹け上が好調・走行にストレスなし」ですがギヤオイルの減りが著しい。
当然、クランクケースを分解。
なんと、右クランクケース内はドロドロ・サビサビ・ガリガリのとんでもない状況。
推定される原因は「右クランクオイルシールを逆向きに組んだため、右クランクケース内に生ガスが流れ込んだ」こと。
ベアリング・オイルシールは全て交換必要。クラッチハウジング使用不能。右クランクケースも使用不能。
使えたのは「左クランクケース,ジェネレーター,クランク,トランスミッション、クラッチカバー」だけ、あとば全てRMX①/エンジン①から移植。
その結果、エンジンはすこぶる好調。
クランクケース分解の経験と工具も増えました。
バランサーのついた R・S型より、バランサーなしのN型の方が回転がシャープです。
現在の不具合は「フロントフォークのオイル滲み,RMX② と交換されたリヤショックの抜け、ガソリンコックの漏れ、リヤウインカーなし」。
書類ありますから、すぐにナンバー取得できます。
そして、右から二番目のオレンジ色が今回のSJ13 。
これをRMX④ とします。
※最新の状態については→→→こちら
2.RMXにしては結構きれい
もちろん入手先はYahooオークション。
しかし、落札でも即決による早期終了でもありません。
隣の隣の市から出品されていたので、現車確認に出かけました。
書類付きのナンバー返納車。
フレーム№ 103×××のN型です。
出品者さんは塗装業。KTM をイメージして塗装したとか。
シートに破れやヘタレなし。
ハンドル周りの部品がきれいです。
メーター距離数は驚きの4041㎞。メーターとイグニッションは新品でしょう。
RMXで これだけきれいなスイッチボックスは見たことない。
ハンドガード(レバーガード)もついています。
これをつけると、飛び石や枝から拳を護ることができます。転倒してもレバーが折れません。
しかし、ハンドル周りが重くなりレバー操作の邪魔になります。
ブッシュの中を走るのなら別ですが峠道では必要なし。「転倒・レバー折れ」が心配なら予備レバーを持っていけば済みます。
私は「装飾的要素が強い用品」と評価しています。
このハンドガードは高価なので、取り外してYahooオークションで売りましょうかネ。
ライトもきれいです。
フロントフォークにオイル漏れ少しあり。オイルシールは消耗品だから問題の内に入らない。
フロントホイールもきれいです。
リヤショックに点サビ・オイル漏れなし。
スイングアームきれいです。
タイヤは新同。
3.重要なのはエンジン
RMXを探している者はそのエンジンが欲しいから。
RMXの落札価格はエンジンの状態で決まるのです。
・それにしてもエンジンの外観が悪いです。
動かしているエンジンならもっときれいです。
・『今回の出品は二度目』と出品者さん。
前回は8万1000円で落札されたが、落札者が車両を引き取ったあとクレーム返品。
『ジェネレーター取付けボルトがダメになっている。
エンジンが焼き付いているとしか考えられない』と。
・エンジンが焼き付くとなぜジェネレーター取付ボルトがダメになるのでしょう?。
回っているのはコイルではなくてローターです。
それとも「ジェネレーター取り付けボルト」とはローターとクランクシャフトの接合部のこと?
どうも、クレーム自体がよく分かりません。
・そもそも、一旦車両を引き取って、
しかもエンジンを開けたらクレームなんか通らないでしょう。
「部品取り替え」が疑われますからね。
・問題個所を見せてもらったけれど、コイル取付ビスの+溝が潰れているだけ。
・前回の落札者はYahooオークションのRMXに、8万円で何を期待したのでしょう。
・『このバイクを入手したときは問題なく動いていた。』と出品者さん。
・焼き付きなら、「走っていて止まる」のですぐに分かる。
・しかし、プラグを外してキックを踏んでもらったら、キックが降りない。
出品者さんは 『あれ?今までスムーズに動いていたのだけど…。』
・少し前までキックが降りていたのなら焼き付きではない。
・焼き付きでなければクランクケース内に問題がある。
キックギヤとプライマリードリブンギヤ(クラッチハウジングギヤ)のロック?
ということは、
「クラッチハウジングのガタ→右クランクケース内ドロドロ・ガビガビ・サビサビ→使用不能」?
・しかし、オイルポンプ使用の分離給油だからそんなにエンジンに負担はかかっていないはず。
もし このエンジンのクランクケース(腰下)に問題があっても、
シリンダー(腰上)には問題がないだろう。ということは、シリンダー関係は使える…。
・期待すればきりがない。
まあここは、「エンジンはダメ」と考えておくのが無難。
●●
この出品には“おまけ”がついていました。
そのおまけがこちら。
・右がポン付けの17インチフロントホイール。
エクセル17インチリム+バリ山のダンロップ Arrowmax GT501F M/C 54S 110/70-17。
・左が18インチのバリ山ダンロップ Arrowmax GT501 M/C 63H 130/70-18。
・このモタードフロントホイールが欲しい。
ポン付けのモタードホイールは中古前後セットで6万~10万円。
フロントだけでも欲しい!
・さてさてオークション、この「おまけ付きのSJ13」の開始価格は3万円。
すでに3万円で入札者あり。
「フロントホイールが2万円、車体が1万円+α」と考えて、3万1千円で入札。それ以上は追わない。
・結局、4万7千円で誰かが落札。
『ご縁がなかったのでしょう。』
次の日、出品者さんから電話がかかる。
出『フロントホイールとリヤタイヤを2万円で引き取ってくれませんか?』
私『オークションは4万7千円で落札されたのでしょう?』
出『あれは、友達に頼んで落札してもらったのです。思ったように値段が上がらなかったから…。』
私『車体の方はどうするの?』
出『もうオークションはメンドウです。車体も買ってくれたらすっきりします。』
私『車体とホイールでいくらで売ってくれるの?』
出『全部で4万円でいいです。配達もします。RMXをよく知っている人に買ってもらえたらそれで満足です。』
これが“ご縁”というものです。
5.まずはモタードホイールから
RMX②には イノウエの GP-210 を履かせています。
フロント21インチ・リヤ18インチにGP-210を履かせただけの「タイヤだけモタード」です。
オフロードバイクには乗り馴れているからコーナーリングに問題はありません。
しかし、足つき性が悪い。
・信号待ちのたびに片足爪先は気をつかいます。
「250で軽い」といっても、いったん傾いたら持ちこたえられません。
ダートでは倒れても起こせば済みます。
しかし、公道では隣にピカピカの乗用車がいるので倒れるわけにはいかないのです。
フロントが17インチなら足付き性は大幅に改善するはず。
・「フロント17+リヤ18」では少々前のめり。
本当は「フロント17+リヤ17」だけど、とにかく試してみましょう。
・GP-210 のフロント21インチとリヤ18インチは RMX③へ。
RMX③ のフロントデスクを17インチに付けて、RMX③のリヤ18インチをダンロップに付け替え。
いつでも GP-210 の21インチ+18インチに戻せます。
※Fデスク厚 3.1㎜/使用限度 2.5㎜,皿ビスは M6×15,指定ネジロック/スリーポンド1322(中強度)
※スズキの指定ネジロックはスリーボンド1322 と 1303。1322が中強度で 1303が高強度。
※締め付けトルク/70~100㎏・㎝。
フロントはポン付けだから問題なし。
しかし、リヤタイヤ装着に二苦労。
リヤのダンロップがチューブレスタイヤだったのです。
RMXのホイールはチューブタイヤ用、チューブレスタイヤを装着するにはチューブを入れなければなりません。
しかし、チューブレスタイヤのビート部分はチューブタイヤよりも厚くて頑丈。
これに、チューブが入るのだからタイヤをはめるのに一苦労。
しかも入れるのはハードチューブ。
チューブタイヤのGP-210 とは大違い。
そして、ビートを出すのに もう一苦労。
ガソリンスタンドに持ち込んで 6㎏/㎝2 でやっと『グリッ、グリッ』
チューブレスタイヤのビートが出るときの『バン、バン』はありません。
係員に『タイヤは爆発しますよ。』と脅かされてビクビク。
「エア抜き→6㎏」を繰り返してやっと少しだけビートが出る。
『チューブレスタイヤにハードチューブ入りだからこんなもんでしょう…。』と無理やり納得。
※2019.10.追記・解説
このタイヤは130/70-18 で標準のリム巾に適合しない(巾が大きすぎる)ものだったのでタイヤ装着やビート出しに苦労したのでしょう。→→→こちら
6.前だけモタードに進化
・RMX②は「タイヤだけモタード」から「前だけモタード」に。
・実際は「フロント17+リヤ18」 だけど、
パット見は「フロント17+リヤ17」 。
・これは走りの予感!
・それから、bBがインプレッサに換わりました。
昨年6月からです。
・インプレッサといっても
「2000ターボ・300PS」の WRX ではありません。
平成18年の「1500・OHC・NA・100PS」スポーツワゴンです。
・Yahooオークションで隣の隣の市から出品されていました。
・走行10万7千㎞。Tベルト交換済み。車検残り9カ月。
・実質女性ワンオーナー,禁煙車。スバルブルーの塗装艶しっかり。
・イグニッションコイル不良で1気筒が不完全燃焼。
コイル交換で驚くほどスムーズになりました。
・同じ1500㏄でも bBよりも200㎏重くて10PSアンダー。
・しかし、MTなので4000~5500rpmで走れば問題なし。
・回しているから燃費は7~8㎞。しかし常時スバルサウンド満喫。
・なによりもフルタイム4WDのしっかりとした足回り。
スニーカーと登山靴の差があります。
100㎞/時からの安定性はbBとは段違い。
・こだわりの水平対向。時代に逆らう縦置きエンジン。
「使いにくさ・無駄=おもしろさ」というスバルの主張。
・ナビ・DVD,ETC,キセノン,盗難防止装置付きで
15万円なら当たりでしょう。
・インプレッサではなく
「マニュアルの1500㏄スバル」として楽しんでいます。
・しかし、本当は『300PSのSTIかランサーエボリューション…。』。
ハイエースからドンドン離れていきます。
・bBは 今年3月の税金前に、
Yahooオークションに出品。
「車体3万7千円+リサイクル券1万円」で隣の県の方に。
本日 いつもの試乗コース「163→422→165→青山高原道路」を走ってみました。
足つき性は「片足爪先」から「片足ベッタリ」へ。これは助かります。
走りの第一印象は「フロントが落ち着かない」。チョットよそ見をしているとどこへ行くか分からない。
コーナリングはロードバイクのように体を傾けるだけ。膝でバイクを押さえつける必要はなし。
ただし、フロント21インチに乗り馴れた者には馴れるまでに時間が必要。
・Fスプロケットは現在の14枚から標準の15枚に上げてもよさそう。
・フロントが安定しないので、Fフォークの突き出し量を
フォークアルミ上端部まで6㎜に。211インチのときより10㎜減。
これで少しは落ち着くかな?
・ここまで来ると、リヤ17インチも試してみたい。
・しかし、RMXをロードバイクにして
「RMXらしさ」を発揮できるのでしょうか?
・ロードバイクなら長いサスストロークは不要だし
ホイルベースも短い方がよい。
車体剛性や制動力がもっと必要だし、
ポジションも低くしなければならない。
・結局、RMXモタードの売りは
「軽い車体と回転の速い2stエンジン」。
それなら NSR250 の方がいいでしょう。
・『KTMの690は値段が高いから…。』
・『RMXをダートで走らせる技量がないから…。』
・それでは RMXがかわいそう。
そんな疑問を感じました。
次回は今回入手したRMX④のエンジンとクランクケース分解です。
・エンジンは使えるものだったのか?
・キックがロックした原因は何だったのか?
もちろん、もう分解は終わっていますから答えは判っています。
しかし、それは次回のお楽しみ。
つづく。
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