RMX-SJ13 整備資料
2018.03.15 念願の RMX「 前後 17インチ化 」②/ホイールの組立
前回準備したDR250 の17インチモタードホイールにSJハブを取り付けます。
スポークはZ-WheelのSJ用17インチ対応のスポーク。
ハブの取り付け手順、SJのオフセット量、振れ取り、ニップルの締め付けトルクなどについて説明します。
・SJ13ハブの取り外し
・DRホイールからのホイール取り外しとホイールの状態
★DRホイールのニップル頭が削られていた理由/ニップルサイズに注意
-ホイールの組立-
★ハブの取り付け手順
★SJ13のオフセット量の測定
★組み上げたホイールのオフセット量の測定
★振れ取り調整
★ニップル締め付けトルク・トルクレンチについて
さあ、このゴールドホイールに SJ ハブを組み付けます。
1.SJ 13 のハブ取り外し
使用するハブは、フロントがスペアーのフロントホイールから、リヤがRMX④ ( 多気RMX ) の GP2-10 を履いたリヤホイールから。
スペーアーのフロントホイールはもともとRMX③ ( 岸和田RMX ) のものでホイール自体は程度が悪い。
RMX④ のリヤハブは、スポーク全交換、ベアリングとオイルシール交換済み。
a.SJのフロントハブ取り外し
( スポークが外しにくければ切断した方がよい )
ニップルがサビついてスパナでは回らない。
パイスプライヤーでニップルを挟んで回すと、スボークも供回り。
これでは、スポークの頭でハブのスボーク穴が削られてしまうので、スポークをサンダーで切断。
古いスボークを生かすより、ハブを健全なまま取り出すのを優先。
( ベアリング交換 )
フロントハブのベアリングとオイルシールは二台分ストックしてあったので、久しぶりのベアリング交換。
ベアリング交換の頁は自分で読んでもややこしいので、作業手順をまとめておきました。→→→ ハブのベアリング交換まとめ
b.SJのリヤハブ取り外し
このホイールはスポークを全交換してあります。→→→ こちら
ニップルはサビ付いていず、スムーズに取り外せます。
ただし、スプロケットを取り外すときに、ショックドライバーをガンガン使ったのでベアリングが緩んでしまい、スペーサがガタガタ動くようになりました。
もう一度ベアリングを打ち込み直しましたが、スプロケット側だけ打ち込み増しをすれば済んだようでした。
★★06
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流行りの特定小型原動機付自転車。
バランス能力が鍛えられるかも。
・タイヤレバーを直に差し込むとホイールに傷がつくので、プロテクターをはめる ・そのままでははまらないので、クランプでタイヤを押し下げて隙間を作る。 ・クランプの下側には木片と段ボールを当ててホイールを保護。 |
・レバーを二本差し込む。 ・右レバー ( 赤 ) 下に押して、ビートをリムから離し、 左レバー ( 銀 ) を上げて、ビートを前下に落としこむようにする。 ・クランプの位置を変えて同じことをやる。プロテクターは引っ張れば外せる。 ・ある程度ビートが落ちたら、プロテクターをそのまま進めることができる。 ・非常に手間がかかるが、リムに傷をつけないために我慢ガマン。 |
・全周のビートが落ちたら、プロテクターをはめてレバーを差し込み、 下へ押し下げて ( タイヤを潰して ) 完全にビートを落とす。 |
・時間はかかりましたがリムは無傷です。 ・これで終わりではありません。反対側のビート落としが残っています。 |
ロ.タイヤからホイールの取り外し/ホイールをタイヤの中に入れて外す方法
タイヤの片側をめくったあと、どのようにしてホイールを取り外すか。
二つの方法があります。
※ホイールが置いてあるものとして、タイヤの上側をホイールの上側からめくった ( 外した )。タイヤの下側はホイールの下側から外れていない。
①タイヤの下側をホイールの上側から外す。
・ホイールを立てて、タイヤの下側とホイールの上側にレバーを当てて、タイヤの下側をめくり、ハンマーでその付近を叩いてホイールを取り出す。
②タイヤの反対側もホイールから外して、タイヤの中にホイールを入れてホイールを取り出す。
・タイヤの下側をホイールの下側の外に出す。→→→ こちら
いつもは①でやっていますが、②をGP210タイヤ ( 18インチ・120・チューブタイヤ )を外すときに試してみました。
まず、下側のタイヤをめくって、ホイールをタイヤの中に入れます。
これは簡単、・上側のタイヤをめくってあるので、タイヤがとホイールの間に隙間があり下側のタイヤをめくるのは楽です。
次は、タイヤの中に入っているホイールをタイヤから取り出すこと。
・ホイールを手で引っ張り出すのは力が要ります。 力任せにやると、外れたときに勢い余ってホイールが飛んで行きます。 ホイールを飛ばさないように注意していると外れたホイールに右手首を叩かれます。 ・ホイールを引っ張りだそうとせず、この方法を紹介しているサイトのように、 タイヤを立てて、ホイールを足で押し下げるのがよいでしょう。 ・GP210でこの方法を使ってやったら成功したので、17インチ前輪でもやってみました。 ・しかし、どうやっても外れませんでした。 タイヤ巾が110で狭いこと、タイヤが17インチで小さいこと、 チューブレスタイヤでビートが厚いことで、タイヤが変形しにくかったのでしょう。 ・タイヤの片側をリムに戻して、いつもの①の方法ではずしました。 ・②の方法はタイヤ巾とタイヤ径が大きくて、タイヤが変形しやすい場合に使えるようです。 |
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なお、17インチのチュブレスタイヤは最初の 「 めくり 」 がとてつもなく固い!
長いタイヤレバーを二本引っかけて、「 グギッ 」 と力任せに押し下げなければめくれません。
薄いおしとやかなレバーは役に立ちませんので、長いレバーを準備しておいてください。
めくるのはバルブ位置の反対側/対面側からです。
★★07
1000Wモーターで最高40km/h
ZonDoo には最高108km/hもあります※購入
250㏄扱いでしょう。※要問合せ
ハ.ホイール頭が削られていた理由/ニップルサイズに注意
ホイールを無傷で外せました。 | もちろん、タイヤレバーの当たるホイール内側には傷が付いています。 しかし、タイヤレバーの当たらないホイール中央にも傷が付いている…? |
ホイール中央の傷はニップル頭をサンダーで削ったときについたもの。 スポークのネジ長に対してニップルが短かかったのでスボークが突き出したのでしょう。 突き出したスボークをサンダーで削り取るときにホイールに傷がついたのでしょう。 |
写真の左側はリヤホイール。ホイール中央に傷はありません。 スポークのネジ長にニップルが適合していたので、 ニップルからスポークが突き出すことはなかったのでしょう。 これらの点については次に述べます。 |
下が、DR250ホイールから取り外したフロントスポークの寸法です。
・線径 : 3.5㎜Φ、材質は純正と同じくスチール。
・計測中心長 : 14度 / 175㎜、23度 / 175㎜
・DACHI 計測法による長さ : 14度 / 176.8㎜ ( 角度166度、外側首下13㎜、長さ176㎜ ) 23度 / 175.5㎜ ( 角度157度、外側首下11㎜、長さ174㎜ )
・以上より、ブランクスポーク長は両方とも176㎜が適当。
※「プランクスポークの長さ算出」については→→→こちら
問題は使われていたニップル。
・3.5㎜Φのスポークに対応するニップルは胴体径が5.8㎜Φ、6.6㎜Φ、7.1㎜Φの三種類。→→→ こちら
・フロントに使われていたニップルは、リヤのニップル / 胴体径 7.1㎜Φより1ランク小さい胴体径6.6㎜Φで、ニップルネジ長が13.5㎜。
・スポークネジ長はリヤと同じ15㎜で、スポークが1㎜ほど突き出し、ニップルを取り付けたままグラインダーで削ったのでしょう。
このためスポークのネジ長も14㎜となって、1㎜短くなっています。
左がリヤのニップル / 胴体径7.1㎜Φ、右がフロントのニップル / 胴体径6.6㎜Φ。 左のニップルが 「 一回り大きい 」 ことがわかるでしょうか? ホイールを組む場合、このニップルを使っても問題はありませんが、 ニップル頭が削られているのでドライバーが使えません。 リヤと同じ7.1㎜Φのもの( DACHI-DC436-10F3S-983円/10個 )にした方がよいでしょう。 もちろん、今回のホイール組みに使うスポークセットには対応するニップルが入っているので このニップルを使う必要はありません。 |
・フロントスポークのほとんどに曲がりがあります。もっとも、スポークを張ればなくなるような曲がりで実際には問題はありません。
・フロントスポークの転造ネジがきれいに切れていません。リヤスポークのように山が尖っていません。
もちろん、ニップルはちゃんと噛み、スポークは問題なく張れます。
・以上のことから推測すると、このスポークは純正スポークを短くして転造ネジを切ったものだと考えられます。
※取り外したDR250のハブとスポークについての詳細は→→→こちら
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不要になった、旧型 DR250 の 「 ハブ+スポーク+ニップル 」 は、「 SUZUKI DR250 ( SJ44A ) 17インチモタード化セット 」 としてYahooオークションに出品します。
オレンジサムライのような 「 大化け 」 はないでしょうが、5000円程度なら誰かが落札してくれるでしょう。
a.ハブの取り付け
・ハブの左側の穴は外側に9個、内側に9個の合計18個。これに対応するホイールの左側の穴は18個。
・ハブの右側の穴は外側に9個、内側に9個の合計18個。これに対応するホイールの右側の穴は18個。
・ハブの左側に通したスポークはホイールの左側の穴に入る。
・ハブの右側に通したスポークはホイールの右側の穴に入る。
・ハブの外側に通したスポークはハブの内側に通したスポークの外側を通る。
ハブ取り付けには、
・「片側の外側と内側のスポーク18本をハブに入れる→スポークをホイールにはめる→もう片側のスポーク18本をはめる→スポークをホイールにはめる」という方法がありますが、
入れる穴を間違ったり戸惑ったりするので、
・「片側の外側スポーク9本をハブにはめる→これをホイールにはめる→内側スポーク9本をハブにはめる→これをホイールにはめる→もう一方の側も同じようにする」と、
ひとつひとつ完成させていく方法が確実です。
なお、ホイールに矢印など回転方向を示すマークがない限り、ホイールの右左はありません。
しかし、通常、「 ホイール刻印が左側になるようにする 」 らしいので、そのようにしました。
①外側スポークを取り付ける ・ハブ外側穴にスポークを通し、同じ側のホイール穴に入れて、ニップルを軽く締める。 ・ニップルが締めにくいときは、 スポークをホイール穴から突き出すとニップルが食い付きやすい。 ・ニップルが軽く締まらないときは無理をせずにやり直す。 ・スポークはホイール穴は四個おきにセットされる。 ※内側スポークを先に取り付けると外側スポークを取り付けることができない。 |
②内側スポークを取り付ける ・ハブ内側穴にスポークを通し、同じ側のホイール穴に入れてニップルを軽く締める。 これで同じ側のホイール穴 全部にスポークがはまる。 ・内側スポークは外側スポークの下を通る。両隣の外側スポークの下を通る。 自然とそうなるが、念のために確認。 |
③反対側の外側スポークを取り付ける ・ホイールを裏返して、ハブの外側穴にスポークを通す。 ・相手のホイール穴は、 「時計回りに少し進んだところにあるホイール穴から、時計周りに5番目の穴 」 この穴にはスポークがすんなりと入る。 スポークに力を入れなければ入らないような穴は間違い穴。 ・スポークを入れてニップルを軽く締める。 ・ホイールの穴四個おきにスポークを取り付けていく。 |
④内側スポークを取り付ける ・ハブの内側穴にスポークを通してニップルを軽く締める。 ・残っている穴が相手の穴だから、相手の穴を探す必要はない。 ・内側スポークは両隣の外側スポークの下を通る。 ・スポークを全部セットしたら、外側スポークが内側スポークの上になっているか両側を確認。 ・ニップルをスポークのネジ山が隠れるまで締める ( 仮締め① )。 ・スポークに同じテンションがかかるように、ニップルを同じ強さで締める ( 仮締め② ) 甘いニップルは締め込み、きついニップルはいったん緩めてから同じ強さで締め込む。 |
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特定小型原動機付自転車にも
アシスト自転車にも該当しません。
・デスク外側面に市販のTプレート(厚さ3.0㎜)をタイラップで留める。 ・同じTブレートをその端がホイールの外端に当たるようにして、 スポークにタイラップで留める。 ・この二枚のプレートの距離を測定する。 ・フロントはデスク側のプレートがホイール外端まで届かないので、 同じプレートをボルト留め。 |
・外側プレートの外側~内側プレートの外側(a)をを測定。※ノギスで測定 ・「デスク内側~ホイール外端」=「a-デスク厚」 ・しかし、外側プレートに対して垂直、内側プレートに対しても垂直にすることが難しく、 何度測っても同じ値が出ないだけでなく、測定値は最大1㎜の巾がありました。 |
ロ.オフセットの測定値
・a=外側プレートの外側~内側プレートの外側
・b=デスク厚
・c=デスク内側面~ホイール外端=a-b
・d=ホイール巾
・e=デスク内側面~ホイール中心=c+d/2
※aの値は「一番信頼できそうな測定値」で、測定値の中で真ん中の値や一番多く出た値や平均値でばありません。
※ホイール巾(d)は取り外してある純正ホイールを測定。
・RMX③のリヤ : a=32.6(※測定値=32.4~32.6)、b=4.6、c=32.6-4.6=28、d=71.8、e=28+71.8/2=63.9㎜
・RMX④のリヤ : a=32.4、b=4.4、c=32.4-4.4=28、d=71.8、e=28+71.8/2=63.9㎜
・RMX③のフロント : a=31.2、b=3、c=31.2-3-重ねたプレート厚(3)=25.2、d=55.7、e=25.2+55.7/2=53.05㎜
※aの測定値=一回目/34.6~35. 二回目/31.1~31.2、 三回目/31.4~32、二回目と三回目はRMX④の測定のあと同様のやりかたで測定したもの。
・RMX④のフロント : a=34、bは3.1、c=34-3.1-3=27.9、d=55.7、e=27.9+55.7/2=55.75
※aの測定値=33~34、RMX③フロントの二回目・三回目と同様のやりかたなのに、2.8㎜の差が出た。どちらかのオフセットが正しくないのか?測定ミスか?
※RMX④のフロントはRMX①レース仕様に付いていたもので、スポークの組み替えをやっているかも知れない。
それに比べRMX③のフロントはもともとRMX④についていたもので、持ち主がメカに詳しくなかったのでスポーク張り替えはやっていなと思われる。
標準に近いと思われるのはRMX③のフロントなので、こちらを採用する。
以上により、SJ13のオフセットは
・リヤ :c/デスク内側面~ホイール外端=28㎜、d/ホイール巾=71.8㎜、e/デスク内側面~ホイール中心=63.9㎜
・フロント :c/デスク内側面~ホイール外端=25.2㎜、d/ホイール巾=55.7㎜、e/デスク内側面~ホイール中心=53.05㎜
※±1.0㎜の誤差はあります。
★★09
ハ.組み上げたホイールのオフセット量
「 デスク外側面~ホイール外端 」 は以下のようにして測りました。
デスクに対し垂直に曲尺を置く。 曲尺がデスク外側面から浮き上がっていないかを確認。 |
曲尺の上端からデスク外端までをノギスで測定。 曲尺巾 / 15.2㎜。 |
(第一回測定)
・a=デスク外側面~ホイール外端
・b=デスク厚
・c=デスク内側面~ホイール外端
・d=ホイール巾
・e=デスク内側面~ホイールの中心=c+d/2 ( 標準ホイールの採用値リヤ/63.9㎜・フロント/53.05㎜)、
・リヤ : a=16、b=3.5、c=16-3.5=12.5、d=107、e=66㎜→ずれている量=63.9-66=-2.1㎜→スプロケット側に2.1㎜ずれている。
※全ての測定値に1㎜くらいの巾があるから、上のずれている量の半分を修正すればよい。→ 1㎜くらいデスク側に引っ張る。
・フロント : a=10.5、b=4.2、c=10.5-4.2=6.3、d=95.5、e=54.05㎜→ずれている量=54.05-53.05=+1㎜→デスク側に1.0㎜ずれている
※測定値に1㎜の巾があるからこのままでもよいが、0.5㎜くらいデスク側に引っ張る。
(第二回測定)
(測定方法の見直し)
・「デスクの外縁とデスク面に段差があること」に気づきました。ブレーキパッドはデスク外縁に当たらないからです。
・今まで、曲尺がデスク面にピッタリ当たるように、曲尺の後部デスク面に押しつけていました。
曲尺の後部をデスク面に押しつければ、デスク外縁がデスク面より高くなっているので曲尺の測定部分が持ち上がります。
これでは、「デスク面~ホイールが外端」が実際より大きくなってしまいます。
・第二回測定では曲尺の前部をデスク外縁から離さないように押しつけて測定。
※「 デスク外側面~ホイール外端 」 は曲尺の上からノギスで測定し曲尺巾(15.0㎜)を差し引く。
※デスク厚はデスク外縁の厚さを測定。
・リヤ : a=16、b=4.5、c=16-4.5=11.5、d=107、e=65㎜ → ずれている量=63.9-65=-1.19㎜ → スプロケット側へ1.1㎜ずれている。
・フロント : a=8.4、b=3.4、c=8.4-3.4=5、d=95.5、e=52.75㎜ → ずれている量=53.05-52.75=0.3㎜ → デスク側へ0.3㎜ずれている。
フロントとリヤともに基準値からのずれが 1㎜ 程度であるし、フロントとリヤのずれ巾は 0.8㎜ だから走行に影響はしないだろうこと。
さらに、基準値を算出した測定値も確実ではないし、振れ取り調整をしたら少しはかわるだろうことからオフセット修正はしないことにしました。
(振れ取り調整後の測定)
(測定方法の見直し)
・L金具二枚で曲尺を挟み、これをホイールの外端に立てる。
・ノギスの深さ測定尺で「デスク外側面~ホイール外端」/aを測定する。
・曲尺がホイールに垂直に立っているので、曲尺にノギスの深さ測定尺を当てれば垂直に測れる。
・測定部は90度づつ四カ所 ( ①~④ )
・リヤ : ① 32.0、②31.6~32、③31.2~31.3、④31.8~32.0
※測定値の巾 0.8㎜は、振れ取り調整後の許容ヨコ振れ巾,測定誤差,ホイール外端のゆがみが関係してくる。
・最小測定値の31.2㎜の場合 : a=31.2-15.0=16.2、b=4.5、c=16.2-4.5=11.7、d=107 →e=11.7+107/2=65.2㎜ → ずれている量=63.9-65.2=-1.3㎜
・最大測定値の32.0㎜の場合 : a=32.0-15.0=17.0、b=4.5、c=17.0-4.5=12.5、d=107 →e=12.5+107/2=66.0㎜ → ずれている量=63.9-66.0=-2.1㎜
・振れ取り前の第二回測定では、e=65 で「スプロケット側へ1.1㎜ずれていた」から振れ取り調整でセンターが、さらにスプロケット側へ0.3㎜~1.0㎜ ずれたことになる。
・フロント : ①22.6~22.8、②23.2~23.4、③23.0~23.3、④22.8~23.0
※測定値の巾は23.4-22.6=0.8㎜
・最小測定値の22.6㎜の場合 : a=22.6-15.0=7.6、b=3.4、c=7.6-3.4=4.2、d=95.5 →e=4.2+95.5/2=51.95㎜ → ずれている量=53.05-51.95=+1.1㎜
・最大測定値の23.4㎜の場合 : a=23.4-15.0=8.4、b=3.4、c=8.4-3.4=5.0、d=95.5 →e=5.0+95.5/2=52.75㎜ → ずれている量=53.05-52.75=+0.3㎜
・振れ取り前の第二回測定では、e=52.75 で「デスク側へ0.3㎜ずれていた」から振れ取り調整でセンターがさらにデスク側へ 0.0㎜~0.8㎜ ずれたことになる。
二.総括
・まず、オフセットの基準値自体が測定値で正確なものではない。
・振れ取り調整後のオフセットの基準値との差は「リヤ : -2.1㎜~-1.3㎜」・「フロント : +0.3㎜~+1.1㎜」、センター前後のずれは「1.6㎜~3.2㎜」。
・各測定値に誤差がある。
・ホイールの横振れ巾の許容値が 3.0㎜。
以上を底号的に判断すれば「 新しいスポークを取り付けて、通常の振れ取りをすればオフセットは許容範囲内に収まる」ということになります。
結局、「 オフセット量はあまり気にしないでよい 」 という乱暴な結果に。。
参考としてSJ13ハブの「 デスク内側面~ハブの中心 」 の測定値を上げておきます。
リヤハブでは、デスク内側面~ハブの中心=65㎜。 上で述べたように、デスク内側面~ホイールの中心=63.9㎜ ホイールはデスク側に 1.1㎜ だけ寄っていることになります。 |
フロントハブでは、デスク内側面~ハブの中心=56㎜。 上で述べたように、デスク内側面~ホイールの中心=53.05 ホイールはデスク側に 2.95㎜ だけ寄っていることになります。 これで前後ホイールの中心が一致するように設計されているのです。 |
・直線状のものをホイールに当て、出っ張る部分 ( 区域 ) にマーカーで印をつける。 ※目盛りは必要ない。 ・マーカーで印をつけた部分の両側のスポークのニップルを同じだけ締める。 ・調整したら、調整の効果があったかどうか確認。 効果がなければ再度調整。 ニップル回転が45度 ( 1/8回転 ) では効果が出ない、90度 ( 1/4回転 ) を目安にする。 ・調整は 「 締める・締める 」 で行うが、 すでに固くなって 「 これ以上締めるとオーバートルクになる 」 ニップルがある。 こんな場合は、反対側 ( 18個目 ) を緩める。 ・判断が偏るのを避けるため、二度やったら反対側を二度やる。 |
ロ.リヤヨコ振れ
・出っ張っている部分を探す。 ・その部分にマーカーを当てて、テープで留める。 ・マーカーを押さえて固定し、ホイールを回すと出っ張っている部分に印がつく。 ・マーカーの印が付いている部分の「 反対側 」 のニップルを締め、 「 こらち側 」 のニップルを緩める。 ※タテ振り調整の余韻があるので、マーカーが付いている部分のニップルを締めてしまうのに注意。 ・このように両側で「締める・緩める」の調整をやるとオフセットを狂わせることはない。 ・ヨコ振れを調整するとタテ振れが出てくるので、タテ振りを調整する。 ・面白いので夢中になってしまうが、振れの許容範囲 ( 振れ巾 ) は 3㎜ なのでほどほどに。 |
ハ.仕上げ調整
床に曲尺を垂直に立て、タテ振りとヨコ振りの最終調整をする。
タテ振り最終調整。 出っ張った部分を締める。 |
ヨコ振りの最終調整。 離れる部分の 「 こちら側 」 を締めて、「 反対側 」 を緩める。 |
最終調整の結果、タテ振りもヨコ振りも 「 1.0㎜弱の巾 」 になった。
ニ.ニップルの増締め
タテ振れ・ヨコ振れの調整が済んだら、ニップルを増締めする。
各ニップルを45度ずつ締めていく。
固いニップルは少しだけ、緩いニップルは45度だけ。
緩いニップルを大きく締めると、今までの調整が狂ってしまう。
「 調整した状態 」 を 「 できるだけ保って 」 全体を締め上げるのが目的。
ニップルの増締めをすると、タテ振れやヨコ振れが出てきます。
しかし、それを調整していてはきりがありません。
ホイールを回して、振れが増締め前より大きくなっていても気にしない・気にしない。
フレ巾の許容範囲は 「 3.0㎜ 」 なのですから。
ホ.ニップルを締める規定トルク/150㎏・㎝
「 オーバートルクはスポークの柔軟性を損なうので禁物 」 とか。
スズキのサービスマニュアルにその記載はありません。
「 カワサキなら書いてありそうだ…。」 と KX125 のサービスマニュアルを取り出す。
やはり、ありました。
「 トルク - スポーク : 1.5Nm ( 0.15㎏f・m ) 以上。」 P8-6
150㎏・㎝ はそれほど大きなトルクではないが、それを測る器具がありません。 → あります! → TGR TECHNIX ( インプレッション ),エクセル(TWS-210ANS)
そこで、150㎏・㎝の強さを手に覚えさせることにしました。
・SJ13 のハンドルクランプフォークの締めつけトルクは 200~300㎏・㎝。 ・ここを使ってトルクレンチ ( 力点~ハンドルの中心=250㎜ )で 200㎏・㎝ を体感します。 ・150㎏・㎝ はハンドルに指を三本 ( 人指し指~薬指 ) をかけ親指をハンドルにかけて 「 クラッチを切る 」程度。 200㎏・㎝ になると、手の甲や手首にストレスがかかり、 「 グッ 」 と我慢して力を入れなければならない。 ・親指を引っかけずに三本指だけで引っ張れば、 「 グッ 」 で 150㎏・㎝、 「 グッ~ 」 で 200㎏・㎝。 ・次に、バイスプライヤーで 6Mスパナ ( 全長 90㎜ ) を掴み、腕の長さを250㎜にして スポークニップルを 「 グッ 」 と 「 グッ~ 」 で締める。 ・その締めたニップルを6Mスパナだけで固さを体感すると、 「人指し指と中指をかけて、強く引っ張る」 くらい。 ・6Mスパナを「人指し指と親指で握って締める場合」は「グッ、グッ~」ときつく締める程度。 ・スポーク締め用トルクレンチが欲しいものです。 |
★2020.05.15.追記-トルクレンチについて
上記カワサキのマニュアルは「1Nm≒1㎏f・m」を使っています。
厳密には「1㎏f・m=9.81Nm」です。
ニップル締め付けトルクは「1.5Nm=1/9.81≒1.53㎏f・m=153㎏f・㎝」となります。
また、プリセットトルクレンチにはヘッド交換式のものがあります。そして、交換ヘッドにはモンキーレンチ型もあります。
ヘッド巾が少し大きいので実際の作業ができるかどうか分かりませんが検討の余地はあるでしょう。
・東日CL25NX10D-MH と AH10D×13(3㎜~13㎜ )→ こちら・こちら と こちら・こちら
・東日CL50NX12D-MH と AH12D×13(3㎜~13㎜) → こちら・こちら と こちら・こちら
※東日ヘッド交換式トルクレンチ → こちら、東日交換ヘッド → こちら・こちら
トルクレンチは「30~140Nm」or「40~200Nm」 と 「5~25Nm」or「10~50Nm」 の大小二種類が必要なので小さい方をヘッド交換式にするのも一法です。
また、シリンダースタッドボルトのナットは「対面長が14㎜」で締め付けトルクが「360~400㎏f・㎝」。右前だけソケットが入りません。
この場合、CL50NX12D-MH(10Nm~50Nm)に RH12D×14( こちら )を使えばよいことになります。
※一般的なプリセットトルクレンチ
・「30~140Nm」 → 東日QL140N-MH(こちら),中村N140QLK/40~140Nm(こちら)
・「40~200Nm」 → 東日QL200N4-MH(こちら),中村N200QLK(こちら)
・「 5~ 25Nm」 → 東日QL25N-MH(こちら),中村N25QLK(こちら)
・「 10~50Nm」 → 東日QL50N-MH(こちら),中村N50QLK(こちら)
トルクレンチで有名なのは 東日製作所 と 中村製作所(KANON) 。
当然、中村製作所にもヘッド交換式のトルクレンチと交換ヘッドがあります。
当方が30年使っているのは中村製作所のブレート型のN23FKとN130FKです。 → こちら と こちら
ブレート型は「耐久性は高い」けれど、
「どうしてもトルクオーバーになる」ことと「上向きに使う場合(オイルドレン・フォークヘキサゴンボルト)は表示が見えない」ことから、プリセット型に憧れています。
なお、FJとRMXの最大締め付けトルクは
・FJ : リヤアクスル/1550㎏f・㎝ → 152Nm。
・RMX : リヤアクスル/「850~1150㎏f・㎝」 → 「83.4~112.8Nm」
・大型バイクの場合の大きい方のトルクレンチは「40~200Nm」
・250㏄バイクの場合の大きい方のトルクレンチは「30~140Nm」
・小さい方のトルクレンチは厳密なトルク管理が必要なシリンダー,フォークブラケットなど「対アルミ」に使用。これが「200~400㎏f・㎝」程度。
トルクレンチは下限付近と上限付近では正確な値を示さないから、「 10~50Nm」が適正。
・結局、FJとRMXをカバーするトルクレンチは「10~50Nm」と「40~200Nm」の二本。
そして、「10~50Nm」をヘッド交換式にする。
もっとも、RMXのエンジン整備やFJのフォーク整備は一段落しています。ブレート式でも鏡を使ったり裏に印をつけたりすれば表示は見えます。
「不要不急の工具」のため入手は未定です。
「顎が出る小さな布マスク二枚」と「国民一人に〇〇万円の申請書」はまだ届きません。
国会では「内閣の判断で検察官の役職定年を延長できる法案」が強行採決されようとしています。
「モリカケ問題」や「桜を見る会」、「検察庁法改悪」に「憲法改正」。そして「アベノミクスの失敗」
長期政権で「王様になった」と勘違い。「国民なんかマスク二枚と〇〇万円でごまかせる。」
しかし、それを許しているのは選挙民である我々なのです。
ヘ.フロントの調整
フロントを固定するためにNSRの整備のときに入手したスタンドを使いました。
・タテ振調整では、曲尺を垂直に置いて、ホイールの上下変化を見て出っ張る部分を捜す。 ・寝ころんで曲尺と同じ位置に視線を合わせる。結構、しんどい作業です。 |
・ヨコ振れはホイールの左右変化を見て、離れる部分を捜す。 ・これもしんどい作業です。調整スタンドも「欲しいものリスト」です。 |
「 タテ振れ調整 → ヨコ振れ調整 → タテ振れ調整 → ヨコ振れ調整 → 増締め 」、だんだん集中力と意欲が無くなってきました。
リヤの調整にかけた時間は4時間、フロントの調整にかけたのは2時間。
「 振れ巾が1㎜くらいだからこれでいいだろう。」と勝手に切り上げ。
タイヤを付けた後でもスポーク張りはできます。
「 やる気がなくなったらスポーク張りは終了 」 これでいいのです。
なにせ、「 ホイールの振れの許容範囲は 3.0㎜ 」 なのですから。
つづく
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