時計・自動巻き 資料
・2012.09.07・ 初めての歩度調整
「青春のSEIKO5」への思い入れで自動巻きを「集めている」だけです。
それでは時計に失礼なので「歩度調整のまねごと」をしてみました。
自動巻きの寿命は個体差や使用状態にもよりますが「大体10年」。
「時を刻む頭脳」に機械を使っており、機械部品点数が多いので
経年により油脂の蒸発・変質・固着により狂いだし、「ある日ある時」突然止まってしまいます。
このような時計は「分解整備」が必要なのですが、歩度調整(進み・遅れの調整)で「一時しのぎ」ができます。
今回は「狂いだしたSEIKOの7S-26・オレンジモンスター」の調整を初めてしました。
「これから歩度調整をやってみよう」と思っている方は参考にしてください。
★歩度調整の初歩(歩度調整初めての方へ)
-タイムグラファーによる調整-
・びぶ朗
・スターグラフ
★実際の調整(SEIKO 7S-26)
★調整結果・歩度グラフ
★初心者のする歩度調整の程度
1.壊れた時計は気にならない
a. 壊れた時計は気にならない
私は 『 キミの若~さが ネジを巻くッ! リューズの見えない 自動~巻きッ!』 の世代です。
「SEIKO5 VS Auto Dater」 の高校時代でした。
歳をとると若い頃を懐かしむようで、ここ10年くらい国産自動巻きが集まっています。
〇十万円もするようなプランド時計や国産機械時計のトップ機種ではありません。
SEIKO、CITIZEN、ORIENT の普及・廉価モデルです。
やってきた時計は、ワインディングマシーンに装着保管。
実際に使用するのはせいぜい10個ぐらい、残りは何年間もワインディングマシーン任せ。
機械式なので壊れます。
なぜか、「巻けなくなる・振ってもすぐ止まる」ようになります。
新しい・古いは関係ありません。
XENLON に保管しているとよく故障するような気がします。
時計をよく知っている方なら 『 あっ、あそこの不具合だな!』 と修理できるでしょう。
しかし、私にはそんな技術はありません。
不具合が出た時計はすべて 「 故障ケース 」 へ。
バイクに乗れなくなった時の “ 暇つぶし用 ” に残してあります。
安い時計だから壊れても気にならない、数があるからダメになっても支障がない。
b. 進んだり遅れたりする時計は気になる
壊れた時計については、それを修理する技術がないので気になりません。
しかし、進んだり遅れたりする時計は、自分でも何とかなりそうなので気になります。
自動巻きの精度はクォーツとは比較にならないくらい悪いものです。
12時間腕につけて、±10秒なら 『 おっ!なかなかやるな!』、±2~3秒なら自慢したくなります。
だいたい、24時間で±30秒で合格、±60秒なら許容範囲。
そもそも、秒針停止装置 ( ハック機能 ) のない機種は秒針を合わせることができません。
長針を戻して秒針を停止させることもできますが、巻き量が多いと秒針は停止しません。
時刻合わせのときに既に最大30秒の誤差を覚悟しなければならないのです。
ここで、進む時計は遅らせて時刻を合わせ、遅れる時計は進ませて時刻を合わせます。
こうすると “ 体感進み遅れ ” が少なくなります。
進み遅れが±30秒/24時間なら、帰宅した時に±0秒という場合も起こります。
ただ、12時間で1分、24時間で2分の進み遅れがあると時計の役目を果たしません。
進み遅れの調整は裏蓋を開けることさえできれば、あとは簡単です。
そこで、『 やってみようかな?』 と思うのです。
※ここからは、自動巻き時計の裏蓋を開けたことがない方だけ読んでください。そうでない方は こちら に飛んでください。
a.1秒を刻む
時計は時を刻むものです。1秒を刻まなければなりません。 1秒を刻むために、柱時計では振り子の往復時間を利用し、 腕時計ではヒゲゼンマイの伸び縮み時間を利用します。 一般の腕時計で、ヒゲゼンマイは1秒間に3伸縮。 伸縮を往復で表現すれば、1秒間に「往① → 復① → 往② → 復② → 往③ → 復③」の3往復。 ヒゲゼンマイは中心でテンプ ( C ) に固定されています。 テンプはヒゲゼンマイの往復の通りに往復し、その動きを秒針に伝えます。 「往① = 復① = 往② = 復② = 往③ = 復③ = 1/6秒」 なら、 秒針は正確に1秒を刻むことになり、時計は正確な時刻を示します。 往や復が1/6秒より少ないと時計は進み、1/6 秒より多いと時計は遅れます。 時計の進み遅れの調整は、この往と復にかかる時間を 1/6 秒に近づける作業になります。 ※写真は 7S36 |
b.“ ヒゲ持ち ”と“ 緩急針 ”
ヒゲゼンマイは一番外側でBに固定されています。Bを “ ヒゲ持ち ” と呼びます。
ヒゲ持ちがヒゲゼンマイのスタート地点になります。
ヒゲゼンマイのスタート地点から少し先にAがあります。ヒゲゼンマイはAに当たるようになっています。
Aを “ 緩急針 ” と呼びます。
・ヒゲゼンマイのスタート地点はBですが、Aに当たるのでAが実質上のスタート地点となります。
つまり、ヒゲゼンマイの長さは 「 A ~ 中心 」 までとなります。
・ヒゲゼンマイの長さが長くなれば、往や復にかかる時間は多くなり、時計は遅れることになります。
ヒゲゼンマイの長さが短くなれば、往や復にかかる時間は少なくなり、時計は進むことになります。。
・「 A ~ 中心 」 の長さは、AをBに近づけると長くなり、AをBから遠ざけると短くなります。
・つまり、進む時計を遅らせるためには、AをBに近づけ、
遅れる時計を進ませるためには、AをBから遠ざければ良いのです。
・この作業はAを動かすことによって行います。
c. “ ヒゲ持ち ” の調整
・テンプを裏から見た写真です。※写真は SEIKO 63494・23石 ・Bが ヒゲ持ち です。 ・テンプの中心近くにある ● が “ 振り石 ” です。 ● に 錨の形をした部品 ( アンクル ) がはまります。 ・テンプが左右に振れると、● も左右に振れ、アンクルが左右に振れます。 ・この左右の振れが均等になっていないのが “ 片振り ” です。 柱時計の振り子の振れが左右同じでないような状態です。 ・写真の赤線をアンクルの中心位置 ( 中心線 ) とします。 左右にある赤矢印が左右の振れです。 写真では 「 左の振れ < 右の振れ 」 になっています。 この左右の振れを同じにするためには ヒゲ持ち ( B ) を動かします。 ※以下の説明は現時点での理解です。正しいかどうか不明です。 |
・Bを右に b1 だけ動かすと、ヒゲゼンマイは時計回りに b1 だけ動きます。
・テンプはヒゲゼンマイの中心で固定されていますから、テンプも時計回りに動くことになります。
ここではテンプが時計回り に b2 だけ動いたとします。。
・テンプが時計回りに b2 だけ動けば、アンクルの中心線も時計回りに b2 だけ動きます。 青線がアンクルの新しい中心線です。
・アンクルの中心線が 時計回りにb2 だけ動いたので、その分だけアンクルの時計回りの振れが少なくなります。
その結果、、アンクルの左右の振れが同じになります。※青線の左右にある赤矢印が同じ長さになっている。
・調整は ヒゲ持ち を動かせば、、テンプ ( アンクル ) の振れはその方向に大きくなります。
テンプ ( アンクル ) の左右の振れのどちらが大きいか分かれば、ヒゲ持ち ( B ) を動かす方向が分かります。
しかし、目視では分かるはずがありません。
実際の調整は、あとで説明するタイムグラファーのグラフを見ながら、片振りがなくなる方向に動かすことになります。
また、ヒゲ持ち を動かせば、 「 緩急針~ヒゲゼンマイ中心 」 の長さが変わります。
ヒゲ持ちを動かしたあとは、もう一度 緩急針位置を調整しなければなりません。
調整順番は、① ヒゲ持ち位置 ( 片振り調整 ) → ② 緩急針位置 ( 進み遅れの調整 ) となります。
d.微妙な調整
緩急針 ( A ) と ヒゲ持ち ( B ) を動かすには、A と B を先の尖ったもので突つきます。
A と B は小さな力では動きません。しかし、チョット力を入れすぎると大きく動いてしまいます。
1/6 秒 を調整するのですから、動かす量は僅かです。微妙な調整になります。
・ここで、注意しなければならないのは、AとBを動かす時にAやBを歪ませないことです。 ・AとBの垂直方向 (文字盤-裏蓋の方向) が狂えば、ヒゲゼンマイが水平に往復しません。 ヒゲゼンマイが水平に伸縮 往復しないと、往復にかかる時間の狂いはもっと複雑なものになります。 ・ヒゲゼンマイの取付部や緩急針に当たる位置を狂わせたり、 ヒゲゼンマイ自体を変形させても同様です。 A と B を動かすときには細心の注意を払わなければなりません。 ・先の尖ったものでAとBを突つくときには、 それをヒゲゼンマイとテンプ ( C ) に当てないこと肝要です。 そのために、先の尖ったものをAとBの上から当てるようにした方が良いでしょう。 ・ただし、上から当てると A と B の垂直方向を変えてしまう危険があるので、 強く押しつけてはなりません。 ・私はAを動かすときには先の尖ったものをa に当て、 Bを動かすときにはbの部分に当てるようにしました。 ・先の尖ったものは、千枚通し・目打ちの先をヤスリで鋭く尖らせて使いました。 細い精密ドライバーではドライバーシャフトが撓んで AとBを動かすだけの力を伝えられません。 |
時計機種によってはもっと安全にAとBを動かせるものがあります。
故障ケースに入っている ブローバです。 これなら、緩急針は安全に動かせます。 |
滅多に使わないルミノックスの自動巻きです。ご存じの ETA です。 緩急針の微調整は「+・-」にあるネジで調整できるようになっています。 なお、 “ ヒゲ持ち ” を動かせない機種もあるそうなのでご注意ください |
e.三姿勢の調整
“ 三姿勢 ” といってもライフル射撃の話ではありません。
腕時計は手首にはめて使います。
そこで、次の三つの場合があることになります。
・文字盤 ・ 裏蓋 が水平なとき。
・3時 ・ 9時位置が下のとき。
・12時 ・ 6時位置が下のとき。
ヒゲゼンマイ と それにつながるテンプの動きは重力による影響を受けます。
そこで、時計がどの方向にあるのかによって、往と復にかかる時間が変わります。
三姿勢によって時計の進み遅れは異なってくるのです。( 厳密には 六姿勢 です。)
三姿勢のすべてを満足させることはできません。
腕時計の進み遅れの調整は、自分のライフスタイルによって行わなければなりません。
・歩くことが長いのなら、「3時 ・ 9時位置下」を中心に、
・車の運転が長いのなら、「12時 ・ 6時位置下」を中心に、
・パソコン入力が長いのなら、「文字盤上」を中心に調整します。
そして、実際に使ってみて調整を詰めることになります。。
f.季節による調整
ヒゲゼンマイは金属で作られています。金属は温度により伸び縮みします。
だから、ヒゲゼンマイの伸縮 ・ 往復にかかる時間は温度による影響を受けます。
進み遅れの調整は季節によっても行わなければならなくなります。
ただし、ヒゲゼンマイの材質は改良されていますので、そこまで調整する必要はないでしょう。
そもそも、機械式時計に精度を要求することが間違っているのです。
機械式時計の良さは環境の影響を受けることなのです。
そこに、人間的な温かさを感じさせることなのです。
g.進みに合わせるか、遅れに合わせるか
腕時計を進む方向に合わせていれば、予定時刻に遅れることはありません。
遅れる方向に合わせていれば、終了時刻前に仕事を終えることはありません。
これも自分のライフスタイルと考え方によって決めます。
進む方向に合わせるのが一般的です。
遅れる時計には 『 元気がないなぁ‥、どこか具合が悪いの? 』 と言いたくなります。
精神的にも進む方向に合わせた方が良いでしょう。
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※トライクの法的取り扱い
・電源はUSBから取ります。 ・ジャックをパソコンのマイクにつなぎます。 ・イヤホンで時計の振動音を聞くこともできます。 ・音だけではなく、振動 ( パルス ) を検知することができます。 ・腕時計をセットしたまま、ピックアップ自体の方向を変えることができます。 ・写真では文字盤上位置です。 ・このままピックアップを手前に回せば、6時位置下、 ・向こうに回せば、12時位置下になります。 ・また、左側に倒せば、9時位置下になり、 ・実際は、裏蓋を開けた状態でセットして、緩急針やヒゲ持ちを動かします。 |
びぶ朗 を起動するとこうなります。潰れたRMXのエンジンが寂しそうです。 |
・調整第一弾は右側の時計です。 SEIKO のダイバー時計・オレンジモンスターです。 ムーブメントは廉価版の 7S-26。 5スポーツやスーペリアの 7S-36 の一段下です。 ・左にあるのは同じオレンジモンスターです。撮影位置の違いで大きさが違って見えます。 ・5年くらい前に、右の時計が狂い出し、調整をしようと スターグラフを手に入れました。 しかし、仕事が忙しくて調整は先送り。 お気に入りの時計が使えないので、同じものを買ったのです。 この時計も比較のためにチェックします。 |
b.グラフ説明-6個の点と直線の傾き
まず、左の正常モンスターを見てみましょう。
( グラフ 1 - 正常モンスター・文字盤上 )
文字盤上です。 ・ピックアップで拾った時計の振動がグラフに表されます。 ※アンクルが振れてガンギ車を動かす振動・音 ・7S-26 は 、往①,復①,往②,復②,往③,復③ の 6振動。 この6振動の一つ一つにかかった時間がグラフに表されます。 ・横軸の一目盛りは1秒。この一目盛りに6個の点が記録されていきます。 ・往① = 復① = 往② = 復② = 往③ = 復③ = 1/6 秒なら、 6個の点は一直線で水平になります。 これが理想。 |
・往① = 復① = 往② = 復② = 往③ = 復③ < 1/6 秒
なら、グラフは「一直線で右上がり」、「 進む 」 ことを表します。
・往① = 復① = 往② = 復② = 往③ = 復③ > 1/6 秒
なら、グラフは「一直線・右下がり」、「 遅れる 」 ことを表します。
c.片振り
往と復の時間が違えばどうなるか?
・往① = 往② = 往③ = y1
・復① = 復② = 復③ = y2 とします。
・y1=y2 の場合が、往① = 復① = 往② = 復② = 往③ = 復③
です。
・y1≠y2 なら、平行な二直線になります。
今回調整する左の時計・文字盤上のグラフです。
( グラフ 2 - 異状モンスター・文字盤上 - 文字盤上平置き 3分/12時間・6分/日 )
・片振りです。 ヒゲゼンマイの往の時間と復の時間が異なることによって起こります。 ・片振り の調整は 2-c で説明したように、 ヒゲ持ち を動かして、アンクルの中心線をずらすことにより行います。 ・グラフの二本の直線が近づくように ヒゲ持ちを動かします。重なれば “ 片振りなし ” です。 ・なお、往① ≠ 往② ≠ 往③、復① ≠ 復② ≠ 復③ の場合は、 点がバラバラになり一直線になりません。 こうなると、調整ではなくオーバーホールが必要になります。 |
d.三姿勢の状態
グラフ1は正常モンスターの文字盤下の状態です。
他の姿勢の状態を見てみましょう。
( グラフ 3 - 正常モンスター・6時下 ) | ( グラフ4 - 正常モンスター・9時下 ) |
・文字盤上 よりも 片振りが出ている。 ・文字盤上よりも少し進む。 ・しかし、文字盤上と 6時下ではよく似た状態。 |
・文字盤上よりも片振りが出ている。 ・文字盤上、6時下よりも大きく進む。 |
e.別の 7S26 三姿勢
ついでに腕につけている7S26 も計ってみました。
オレンジモンスターよりケースの形がシンプルで、二本のパルス検知棒にピッタリと接触します。
遅れる傾向の時計です。ムーブメントはオレンジモンスターと同じ 7S-26 です。
( グラフ 5 -別の 7S26・文字盤上 ) | |
・パルス検知棒にうまく接触しているので、点がまとまります。 ・綺麗な直線です。片振りはありません。 ・やはり遅れ気味です。 |
( グラフ 6 - 別の 7S26・6時下 ) | ( グラフ 7 - 別の 7S26・9時下 ) |
・ずいぶん右下がりになりました。 ・しかし、片振りは出ていません。 ・この 7S-26 では文字盤上と 6時下では似ていません。 |
・これも右下がりです。 ・片振りは出ていません。 ・三姿勢とも右下がりです。 やはり、遅れ気味の時計なのです。 |
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原動機付き自転車扱いです。
( グラフ 8 - 異状モンスター ・ 文字盤上 ・調整後 ) | ( グラフ 9 - 異状モンスター・6時下・調整後 ) |
・裏蓋を開けてセットしていますから、本当は “ 文字盤下 ” です。 ・ケース形状により、パルス検知棒との接触がよくありません。 ところどころに狂った点が出ています。接触が悪いのだから気にしません。 ・片振り少ない。+30~40 秒/日 程度。 |
・これも裏蓋を開けてセットしていますから、本当は ” 12時下 ” です。 ・片振りは少ない。 ・-20秒/日 程度。 |
( グラフ10 - 異状モンスター・9時下・調整後 ) | |
・片振りは一番少ない。「なし」と言っても良いくらい。 ・+ 35 ~ 40 秒/日 程度。 |
b.実際は大変
ご推測の通り、ここに至るまでには何度も調整し直しています。
緩急針とヒゲ持ちは20回以上動かしています。
良い調整結果がでたあと、一日程度動かして安定させ更に調整をしました。
c.実際に使ってみて調整を確認
グラフだけでは本当の精度は分かりません。平置き,3姿勢使用,日常使用で精度をチェックしました。。
・文字盤上平置き → +32 秒 / 12時間
・final test に装着して3姿勢合計 → -15 秒 / 12 時間, -23 秒 / 日
・室内での日常使用 → +11 秒 / 12時間,+16 秒 / 日
日常使用で「+20 秒 / 日 以内」ですから、「使えるようになった」と言えるでしょう。
あとは、もう少し使ってみて再度調整します。
6.初心者のする歩度調整の程度
a.調整はこの程度でよい
今回はびぶ朗 と スターグラフを初めて使ったのでいろいろ試してみました。
しかし、実際はもっと簡単に調整できるでしょう。
①.三姿勢の測定・調整は不要
・時計の精度は日常使用の値が一番大切です。
・文字盤上で進み気味に調整して日常使用する。
・日常使用での「進み・遅れ」を計って、再度調整する。
これでOKでしょう。
もちろん、その時計の三姿勢による進み遅れの傾向を知っておくことは必要です。
日常使用で進む時計なら、外したときに一番進まない姿勢に置けば、進み具合は少なくなります。
しかし、自動巻きは腕に付けるときに時刻合わせをしなければなりません。
また、手巻き機能がなければワインディングマシーンで稼動保管することになります。
適切な姿勢で保管することはできないのです。
だから、一姿勢の調整で充分なのです。
②.片振りを気にするな
三姿勢すべてで片振りをなくすることはできません。
片振りがあっても、トータルで進み遅れがなくなればいいのです。
ヒゲ持ちをあちらこちらに動かしていると、振動部のどこかを壊してしまいます。
文字盤上で片振りがなくなれば良しとしましょう。
b.進み遅れは病気の危険信号
時計はメーカー出荷の段階で調整されています。
普通に使っていれば、この調整が狂うことはないのです。
進み遅れが出るのは、各部の磨耗・変形、オイル切れ・オイル固着が原因しています。
特に片振りにはこのことが当てはまります。
三姿勢で片振りが出たり出なかったり、片振り量が異なったりするのは、振動部の部品に不具合が出ているからでしょう。
進み遅れの調整は 「 熱を下げるためのもの 」 と考えなければなりません。
熱は病気の症状であり、熱を下げたら病気が治るものではありません。
緩急針やヒゲ持ちを動かして、進み遅れを調整してもそれは一時的なものです。
根本治療をしていないのですから、また進み遅れが出てきます。
こうなったら、次の三つの方法しかありません。
・①.〇万円かけてオーバーホールする
・②.故障ケースに放り込む
・③.自分でオーバーホールする
これは機械式時計を楽しむ方法と重なります。
その方法も三つ。
・①.〇十万・〇百万円する時計を買って、定期的に〇万円かけてオーバーホールする。
この充分に手入れされた年代物の時計を代々伝える。
・②.1万円前後の時計を買って、調子が悪くなったら新しい時計を買う。
調子の悪くなった時計は、Yahooオークションに出品して1000円くらいで落札してもらう。
・③.1万円前後の時計を買って、調子が悪くなったらいじり回してまた使う。
必要な部品は②の方から手に入れる。
趣味としては③が一番良いでしょう。今回の調整は③への第一歩です。
しかし、時計の部品は小さすぎます。バイクの部品とまでは言いませんが。
やはり、時計をいじり回すのはバイクに乗れなくなってからでしょう。
とにかく、今回のオレンジモンスター調整は合格点。
これで、三つのモンスターが使えるようになりました。
・2012.09.08 追記 調整したオレンジモンスターはすこぶる調子が良くなりました。 本日は「24時間・日常使用で +14秒」。 こうなると、他の時計もドンドン調整したくなります。 今までは、二カ月に一度の日付合わせをするだけ。 これでは楽しくありません。。 やはり、機械物は 「 使ってナンボ 」 。 |
つづく。
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