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・開業したばかりの警備業者にとって利益の出る公共調達はない
公共調達に零細警備業者が儲けられるものはありません。
前回「とりあえず公共調達でしのげる」と書きました。
しかし、入札参加を検討する内に「これが間違いだ」ということが分かりました。
総合評価方式、指名競争入札、契約保証金、資格者配置、再委託禁止。
利益の上がる調達は大手警備会社に、残った調達では価格切り下げ競争。
全国の警備業者9千のうち隊員5名以下の零細警備業者約24%
この零細警備業者は連合しなければ生き残れないでしょう。
・開業したばかりの警備業者に利益の出る公共調達はない
・実績がない-総合評価方式・指名競争入札など
・資金力がない-契約保証金が必要・支払い条件が悪い・残ったものは価格切り下げ競争
・人材が足りない-資格者配置・再委託禁止
・23.8%の零細警備業者は連合しなければ生き残れない
・ハローワークの「警備員請負雇用」の意味
1.開業したばかりの警備業者にとって、利益の出る公共調達はない
前回の「公的入札資格の取得」では次のように書きました。
『新規の警備業者は仕事をとるのに時間がかかります。
大きな警備会社を回って「仕事をください」と営業しても、回ってくるのは他の警備会社が受けないような「条件の悪い・突然の仕事」。
これは信用と実績がない以上仕方がありません。
しかし、公的な調達はほとんどが入札となり、信用と実績がなくても仕事をとれます。
病院内警備のような特殊なもの、大規模な警備では実績が必要ですが、小規模な警備では実績は必要ありません。
すべて値段勝負となります。
新しい警備会社にとって公的入札はありがたいものです。』
しかし、実際に入札参加を検討するうちにさまざまな障害があることが分かりました。
その障害とは「開業したばかりで実績がないこと」と「資金力がないこと」と「人材が不足していること」。
これらについて気がついたことを書きます。
結論を先に言っておきます。
資金力のない開業したばかりの警備業者にとって、利益の出る公共調達はありません。
2.開業したばかりで実績がない
入札参加に実績が必要とされるのは、病院内警備などの特殊な警備や大規模な警備だけではありません。
総合評価方式や指名競争入札方式では実績が必要となります。
これらのものでなくても入札参加に実績が要求されることがあります。
a.総合評価方式
総合評価方式とは「落札者を入札価格(価格評価)と会社規模・実績・信用度(技術評価)を総合して決める」ものです。
評価基準の一例です。
評価区分 | 評価項目 | 評価点 | ・「技術評価は調達物件実施に対する提案を入札者にさせて決める」とか。 ・左の評価基準では、落札者を決めるのは価格評価が半分、技術評価が半分。 ・技術評価の公平性・正当性を別にしても、 開業したばかりで「看板がない・実績がない」業者の技術評価はほとんど無いでしょう。 ・総合評価方式は都道府県の公共調達で多く使われています。 |
||
大項目 | 中項目 | 大項目 | 中項目 | ||
価格評価 | 価格評価 | 評価基準額との比較 | 300 | 300 | |
技術評価 | 技術要件 (清掃業務) |
研修体制 | 100 | 15 | |
履行体制および品質保証取組 | 55 | ||||
苦情処理 | 6 | ||||
検査体制 | 14 | ||||
顧客満足度向上への取組 | 10 | ||||
技術要件 (警備業務) |
研修体制 | 100 | 15 | ||
履行体制 | 55 | ||||
苦情処理 | 10 | ||||
検査体制 | 10 | ||||
顧客満足度向上への取組 | 10 | ||||
企業要件 | 契約実績 | 45 | 20 | ||
従業員の雇用 | 11 | ||||
ISO認証取得など | 14 | ||||
地域貢献要件 | 地域社会貢献度 | 15 | 15 | ||
全般 | 業務の取組姿勢 | 40 | 40 | ||
合計 | 600 | 600 |
b.指名競争入札方式
指名競争入札とは、「この業者なら入札に参加させてもよい・この業者は参加させない」と発注する側が決める(指名する)ものです。
指名に関する具体的な基準は明らかにされていません。
つまり、発注側の独断で入札に参加させる者を決めることになります。
指名されなければ入札に参加することすらできません。
この方式は市町村調達で多く使われています。
このような市町村に問い合わせをすると、
『まずは営業をしてください。たくさんの業者さんが来ていますがね‥。』
開業したばかりの警備業者が営業に行っても、鼻先であしらわれて終わりでしょう。
c.入札参加に実績を要求するもの
総合評価方式や指名競争入札方式でなくても、入札に参加する条件(要件)として実績を要求するものがあります。
たとえば、「過去10年間に、特定建築物(延べ3000平方m以上の規模を有する建築物)の人的警備を3年以上履行した実績を有するもの」
少し大きな施設の警備調達ではこのような実績要件がかかります。
d.清掃業務と警備業務を合体して調達するもの
県や市町村の庁舎・公共施設の公共調達では警備業務が建物管理業務や清掃業務と合体されているものがほとんどです。
警備だけをやっている業者ではこの入札に参加することはできません。
もちろん、総合評価方式や指名競争入札方式、入札参加に実績を要求するものでは建物管理業務・清掃業務についても実績が必要とされます。
単に、建物管理業務・清掃業務資格を手に入れて看板を上げれば入札に参加できるわけではありません。
★★03
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※参考 三重県会計規則
年度 | 落札者 | 落札金額 | 予定価格 | 落札金額/予定価格 |
23年度 | C社 | 399万円 | 514万円 | 77.6% |
22年度 | B社 | 547万円 | 659万円 | 83.1% |
21年度 | A社 | 583万円 | 593万円 | 98.2% |
20年度 | A社 | 585万円 | 未公表 | 未公表 |
年度 | 落札者 | 落札金額 | 予定価格 | 落札金額/予定価格 |
23年度 | D社 | 332万円 | 529万円 | 62.76% |
22年度 | D社 | 398万円 | 8190円/人・日 | 不明 |
21年度 | D社 | 443万円 | 12600円/人・日 | 不明 |
年度 | 落札者 | 落札金額 | 予定価格 | 落札金額/予定価格 |
23年度 | E社 | 390万円 | 1057万円 | 不明 |
22年度 | E社 | 1377万円 | 2015万円 | 不明 |
21年度 | 不明 | 不明 | 不明 | 不明 |
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