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・護身用具届出書の作成
   
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服装届と護身用具届はそれらを使用する前日までに届け出ればOKです。
服装届と護身用具届は基本は同じですが、服装届は制服・制帽・標章(ワッペン)など仕様書・写真が多くなります。
護身用具届の提出書類は三枚です。
まずは簡単な護身用具届出書を作成しましょう。
法律の根拠や警察庁の解釈・運用基準による指導などややこしい部分を読みたくない方は、
下記の小目次の★項目にそって記入すれば届出書が完成します。完成サンプルもあります。
今回届け出る護身用具は ASP-F26 エアウエイトです。※警備員の護身用具・警棒の制限


護身用具・服装届の根拠条文とその内容(警備業法・警備業法施行規則)
要するに何が必要か
届出用紙はこちらを使う(DWあり)
どんな写真を添付するか
制帽・キャップ・ヘルメット・防寒着・雨カッパ・発光ベストについて服装届は必要か?
雨カッパの透明ポケットにワッペンを入れる。これは違反なのか?
護身用具の写真について
護身用具届の作製
護身用具届出書 ①~⑥の記入
護身用具届出書「護身用具欄」の書き方についての警察庁の解釈・運用基準による指導
護身用具届出書「護身用具欄」はこう書く。(別紙のDWあり)
その他注意-別紙1と別紙2、届出書と変更届出書、コピーも一緒に提出


    
1.法律の定め


届出については警備業法と警備業施行規則に定められています。
まず、法律が何を求めているのかしっかりと理解しましょう。
服装届出と護身用具届出をまとめて説明します。


a.警備業法16条2項-服装の届出

・①.警備業者は警備業務を行う時に使う服装の色・形式・その他内閣布令で定める事項を記載した届出書を提出しなければならない。
・②.届出書には内閣布令で定める書類を添付しなければならない。
・③.届出先は警備業務を行う都道府県を管轄する公安委員会。

  ※条文原文
  「警備業者は、警備業務(内閣府令で定めるものを除く。以下この項及び次条第2項において同じ。)を行おうとする都道府県の区域を管轄する公安委員会に、
    当該公安委員会の管轄区域内において警備業務を行うに当たつて用いようとする
    服装の色、型式その他内閣府令で定める事項を記載した届出書を提出しなければならない。
    この場合において、当該届出書には、内閣府令で定める書類を添付しなければならない。」


b.警備業法17条2項-護身用具の届出

・①. 護身用具の届出は服装の届出と同じようにする。

  ※条文原文
  「前条第2項の規定は警備業務を行うに当たつて携帯しようとする護身用具の届出について、
    第11条第1項の規定は当該届出に係る事項の変更について準用する。
    この場合において、前条第2項中「用いようとする服装の色、型式」とあるのは「携帯しようとする護身用具の種類、規格」と、
    第11条第1項中「主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会」とあるのは「当該変更に係る公安委員会」と読み替えるものとする。」


ここで「内閣布令」というのは警備業法施行規則のことです。

つまり、警備業法はこう言っているのです
『警備業者は警備員が使う服装と護身用具について予め届けなさい。
  「届出書にどんなことを書くのか」・「届出書にどんな書類を添付するのか」は警備業法施行規則で定めておくからそれに従いなさい。』



それでは警備業法施行規則を見てみましょう。


c.「届出はどんな用紙に書いて、いつまでに、どこにするのか」-警備業法施行規則28条

・①.服装の届出書は「別記様式第9号」の通り。
・②.護身用具の届出書は「別記様式第10号」の通り。
・③.届出期日は服装・護身具を使用して警備業務を開始する日の前日まで。
・④.届出窓口は管轄警察署。

  ※条文原文
  「法第16条第2項 (法第17条第2項 において準用する場合を含む。次条から第31条までにおいて同じ。)に規定する届出書の様式は、
    服装の届出に係る届出書にあつては別記様式第9号のとおりとし、護身用具の届出に係る届出書にあつては別記様式第10号のとおりとする。」
  「前項の届出書は、第3条第2項又は第11条第2項の規定により経由すべきこととされる警察署長を経由して、
    当該警備業務の開始の日の前日までに提出しなければならない。」


d.「届出にはどんなことを書くのか」-警備業法施行規則29条

・①.服装の届出事項-a.標章を付ける位置、b.標章の形式、c.その服装を用いて行う警備業務の内容。
・②.護身用具の届出事項-a.護身用具の機能、b.使用基準、c.その護身用具を携帯して行う警備業務の内容。

  ※条文原文
  「法第16条第2項 の内閣府令で定める事項は、
    服装の届出にあつては当該服装に付ける標章の位置及び型式並びに当該服装を用いて行う警備業務の内容とし、
    護身用具の届出にあつては護身用具の機能及び使用基準並びに当該護身用具を携帯して行う警備業務の内容とする。」


e.「どんな書類を添付するのか」-警備業法施行規則30条

・①.服装届-写真
  a.その服装を着た警備員の正面全身と側面全身の写真各一枚。
  b.写真は縦12㎝×横8㎝。
  c.無背景・色か分かるもの。
  d.服装の種類ごとに写真を添付。

・②.護身用具
  a.護身用具の写真一枚。
  b.縦12㎝×横8㎝。
  c.色が分かるもの。
  d.護身用具の種類ごとに写真を添付。

  ※条文原文
  「法第16条第2項 の内閣府令で定める書類は、
    服装(制服でない服装にあつては、標章を付けるものに限る。)の届出に係る届出書にあつては、
    服装の種類ごとに、
    当該服装を用いた警備員の正面及び側面の全身の縦の長さ12センチメートル、横の長さ8センチメートルの写真(無背景で色彩を識別することのできるものに限る。)各一枚とし、
    護身用具の届出に係る届出書にあつては、
    護身用具の種類ごとに、
    護身用具の縦の長さ十二センチメートル、横の長さ八センチメートルの写真(色彩を識別することのできるものに限る。)一枚とする。」
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2.「要するに何が必要なの?」


「結局、何が必要なの?手っとり早く答え丈教えてよ!』

分かりました、次の三点になります。

・①.定められた届出用紙に、定められたことを書く。
・②.縦12㎝×横8㎝の写真を添付する。
・③.使用する前日までに所轄の警察署に届出書を提出する。

『はじめから、そう言ってくださいヨ!』

    
a.届出用紙は次のものを使う

・服装届→→→「別記様式第9号」「服装届 word 版」
・護身用具届→「別記様式第10号」「護身用具届 word 版」


お上が作った用紙が「別記様式第9号・第10号」です。
これは「pdf」で作ってあるので、この用紙に入力するためには特別な入力ソフトを買わなければなりません。

「服装届・護身用具届 word 版」は「別記様式第9号・第10号」の内容にそって word で作ってあります。
この用紙に入力するには特別なソフトは必要ありません。

しかし、文字入力中に文言がずれることがあります。
そうすると、「お上が作った用紙に手書きした場合とまったく同じ」ものにはなりません。

この点を担当警察官に指摘されることがありかもしれません。

そんな場合はこう言いましょう。

『警備業法施行規則28条は「届出書の様式は…別記様式第9号のとおりとし、…別記様式第10号のとおりとする。」と規定してるじゃないですか。
“とおり”だから少々文字がずれていても構わないンじゃないですか!』

このように食い下がれる方だけword版を使ってください。

     
b.縦12㎝×横8㎝の写真を添付する


服装届で添付する写真について

イ.正面・側面の写真各一枚必要

側面写真は「右側面でしょうか? 左側面でしょうか? それとも右側面と左側面の両方でしょうか?」

常識的に言えば、「正面と標章のついている側の側面」の写真でしょう。
しかし、『側面だから左側面と右側面だよ!』と文句を言われる可能性があります。

文句を言われないためには両方の側面写真がよいでしょう。

「後ろ姿の写真」まで添付することは必要ありません。
私は正面と標章の付いている側面の写真で届けました。


ロ.警備員の写真であること

制服屋さんのカタログから転用してはいけません。
事務員さんや警備員でない管理職の写真ではいけません。

警備業法上の警備員が制服を着た写真が必要です。


ハ.無背景・全身・カラー写真であること

警備員の後ろに重機が写っている現場での写真ではダメです。

「色彩が分かる」カラー写真が必要です。レトロな「セピア色」は不可です。

写真ですからイラストはもちろんダメ。


ハ.服装ごとの写真が必要

冬服・春秋服・夏服ごとに写真を添付しなければならないのは当然です。

それでは制帽はどうなるのでしょうか?

どの警備会社でも、施設警備ではお巡りさんのような制帽、イベントではアポロキャップ、土木・現送ではヘルメットを使います。
制帽・キャップ・ヘルメットは服装に入るのでしょうか?
服装に入るなら「各々の制帽を着用した正面と側面の写真が必要」になります。

防寒着・コートや雨カッパはどうなるのでしょうか?

交通誘導で使う 発光ベストも写真が必要なのでしょうか?

「服装とはどういうものか」が定められていないので迷います。


もう一度、上の「1-e.「どんな書類を添付するのか」-警備業法施行規則30条」を良く読んでみましょう。

次のように書いてあります。
「法第16条第2項 の内閣府令で定める書類は服装(制服でない服装にあつては、標章を付けるものに限る。)の届出に係る届出書にあつては…」

つまり、「標章(ワッペン)を付けない服装については写真を添付しなくてよい」ということです。

制帽・キャップ・ヘルメット・防寒着・発光ベストに自社のマークを付ける場合が問題になります。
「自社のマークが標章といえるかどうか」によって答えは異なるでしょう。

「警備会社のマークは制服に付けるワッペン(標章)ではない」と判断されれば、それを着けた警備員の正面・側面写真を添付する必要はないでしょう。
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※1.制帽・キャップ・ヘルメット・防寒着・雨カッパ・発光ベストについて服装届は必要か?


制帽・キャップ・ヘルメット・防寒着・雨カッパ・発光ベストに服装届けは必要なのでしょうか。

「服装届に写真を添付する必要がないこと」と「服装届をしなくてよいこと」とは別のことです。

この点につき、警察実務では「標章の付いていないものは服装届不要」としているようです。

理由は次のようなものです。

「警備員の制服の形式を制限したり届出させたりするのは、
  警察官と見間違うような格好をさせると、一般人が警備員を警察官と誤信し、
  それを利用して警備員が一般人の正当な活動に干渉する危険があるからであり、
  その危険がない場合は届出は不要。」

しかし、この理由から判断すると「自社のマークが付いているものは服装届をしなければならない」という解釈も成り立ちます。
ヘルメットや発光ベストに警察官のようなマークを付ければ、一般人が警察官と見間違うことになるからです。
警察官のような制帽、自社マークの付いているキャップ・ヘルメット・防寒着・雨カッパ・発光ベストなども服装届をしておくのが無難でしょう。

    
※2.雨カッパの透明ポケットにワッペンを入れる。これは違反なのか?


警備員の使う雨カッパには透明のポケットが胸と腕に付いています。
雨カッパを着る場合、制服からワッペンを外してこの透明ポケットに入れるのです。
雨カッパを着ても警備員であることが人目で分かります。

とても、便利です。
これを考え出した制服屋さんに拍手!

しかし、
・ワッペンを透明ポケットに入れた雨カッパは「標章を付けた服装」になります。
・「標章を付けた服装」は服装届に写真を添付する必要があります。
・「服装届に写真を添付しなければならない」のなら、服装届が必要なのは当然のことです。

「ワッペンを透明ポケットに入れた雨カッパ」の服装届がしてなかったら警備業法違反になりますね。

『質問があります!』

どうそ。

『制服からワッペンを外して雨カッパの透明ポケットに入れたら、雨カッパの下に着ている制服にはワッペンが付いていませんよ!
  ワッペンを付けていない制服を着ているのだから、届け出てある制服を着ていないことになりますよ。
  これも警備業法違反じゃないですか?』

手厳しいですね。あなたはどこの警備会社の警備員ですか。

その通りです。

ワッペンを付けていない制服を着ていることで警備業法違反、ワッペンを付けた雨カッパの服装届をしていないので警備業法違反。
ダブル警備業法違反です。

    
※3.護身用具届に添付する写真について

これは縦12㎝×横8㎝の写真一枚でOKです。

警備員が持っている写真ではありません。
護身用具自体の写真です。

と言うことは、制服屋さんのカタログから転用してもOKとなりますネ。


『質問です!』

どうぞ。

『縦12㎝×横8㎝ではなくて横12㎝×縦8㎝ではいけないのですか?』

警棒の写真なら、縦12㎝×横8㎝より横12㎝×縦8㎝の方が収まりがよいですね。

しかし、担当警察官にいじめられないように、警備業法施行規則どおり「縦12㎝×横8㎝」にした方がよいでしょう。

警棒は横になっていようが縦になっていようが構わないので、警棒を横にして横12㎝×縦8㎝の写真を作り、
これを届出用紙に縦にして貼りつければ「縦12㎝×横8㎝」の写真を添付したことになります。

もっとも、私は横12㎝×縦8㎝の写真をそのまま横にして添付しました。
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3.護身用具届出書の作成


それでは、実際に護身用具届出書を作成していきましょう。
これをマスターすれば服装届も簡単です。

まず、警棒の写真をデジカメで撮ってパソコンに入れてください。
そして、護身用具届出書(別記様式第9号)を印刷してください。
「 word 版」ではなくて、お上の作成した「pdf版」の方です。

今、パソコンを使っているでしょうから、この別記様式第9号に手書きしていきましょう。

     
a.護身用具届出書への記入①~⑥


・①.宛先

宛先はその護身用具を携帯して仕事をする場所を管轄する公安委員会です。

あなたが営業所・支社にいて、本社(主たる営業所)が別の県にある場合もあなたの所属する営業所・支社を管轄する公安委員会です。
本社(主たる営業所)を管轄する県の公安委員会ではありません。

「公安委員会殿」の前に「〇〇県」と書き入れます。


・②.提出年月日

記入しないでください。
実際の届出の際に記入します。


・③.届出者の氏名又は名称及び住所

本社(主たる営業所)の名称・住所・印鑑です。

つまり、あなたの会社の名称・所在地・社長の名前・会社の代表印です。
あなたが所属する営業所・支社の名称・所在地・営業所長の名前・印鑑ではありません。


・④.氏名または名称

本社(主たる営業所)の名称です。
フリガナはカタカナで濁音・吃音は二マスを使います。


・⑤.認定書を交付した公安委員会の名称

本社(主たる営業所)を管轄する公安委員会の名称です。
認定書に書いてある公安委員会です。


・⑥.認定書の番号

これも認定書に書いてあります。


⑦.護身用具欄

ここには「種類・規格・機能・使用基準・当該護身用具を携帯して行う警備業務の内容」の五つの欄があります。

・「種類」は「警戒棒・警杖・刺股・盾・防弾ベスト」など「護身用具の名称」です。
・「規格」は「各部寸法・重さ・材質・構造」などの「仕樣」です。
・「機能」とは「その護身用具をどのようにして使って、どのような効果を得るのか」ということです。
・「使用基準」とは「どんな場合に誰が誰に対して使用するのか」ということです。
・「当該護身用具を携帯して行う警備業務の内容」とは身辺警護とか現金輸送という警備業務の内容です。


これは下の方に「記載要領」として書かれています。
しかし、勝手に書いてはいけません。
書き方があって、その通りに書いてないと届を受理してくれません。

    
b.護身用具届出書「護身用具欄」の書き方についての警察庁の解釈・運用基準による指導


イ.第三の法律、「警察庁の警備業法解釈・運用基準」とは

警備業を規制するのは警備業法と警備業法施行規則だけではありません。

警察庁が各警察署長宛に出す「警備業法の解釈運用基準」というものがあります。

これは単なる警察庁の判断・解釈で強制力のある法律ではありません。
しかし、各警察署はこの判断・解釈に沿って実務を行いますから、一般庶民に対しては法律と同じくらい強制力を持っています。

たとえば、「警備員は60平方㎝以上の標章を上腕部と胸部に付けなければならない」というのはこの警察庁の判断・解釈基準に定められているものです。
法律で定められたものではないので強制力はないはずですが、みな当然のことのようにそれに従っているでしょう。

これに不服なら裁判で争うしかありません。
・60平方㎝未満のワッペンを付けた服装を届け出る。
・当然、服装届は受理されない。
・この服装届が受理されないことについて行政訴訟を起こす。
・裁判所が「やはり60平方㎝は必要だよ。」と判断すればあなたの負け。
・あなたは60平方㎝以上のワッペンを作り直してもう一度服装届をしなければならない。
・裁判所が「60平方㎝以上のワッペンを付ける必要はない」と判断すればあなたの勝ち。
  警察署はあなたの服装届を受理しなければなりません。
・そして、警察庁の解釈・運用基準が変わります。

たぶん、あなたが勝つことはないでしょう。
しかし、もし勝ったとしてもあなたは警察から目の敵にされます。
些細な警備業法違反を理由にあなたは警備業界から追放されるでしょう。

やめておきましょうネ。
お上には逆らわないのが一般庶民の知恵です。
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ロ.「護身用具届出」に関する警察庁の解釈・運用基準(平成20年度版)


1.解釈・運用基準・第15 護身用具(法第17条関係)


「法第17条第1項において、都道府県公安委員会規則により護身用具の携帯を禁止し、又は制限することができることとしたのは、
  地域の実情によりその内容を異にする必要があることを考慮したものである。
  護身用具の携帯については、
  警備業者及び警備員が警備業務を行うに当たつて携帯する護身用具に関する規則(昭和47年大分県公安委員会規則第7号。以下「護身用具規則」という。)に定めている。」

※説明

後半の「警備員の護身用具携帯は都道府県公安委員会規則で制限する」というのは警備員なら誰でも知っていることですね。
「長さ重さが決められた警戒棒・長さ重さが決められた警戒杖・警戒棒や警戒杖を使用できない警備業務・非金属の盾などなど。」です。

前半は「なぜ、全国一律ではなく各都道府県の公安委員会が別々に制限を定めるのか」という理由が書いてあります。
いわゆる「立法趣旨」です。

その理由とは次のようなものです。
・各都道府県では治安状況が違うから、警備員に持たせる護身用具の内容も違って当然だ。
・大都会と片田舎で警備員が必要とする護身用具が異なって当然だ。

ごもっともです。
ただ、今のところその制限は全国一律です。
各都道府県公安委員会は「右へならえ」で同じ制限をしています。

しかし、これも警備員なら誰でも知っています。
新任・現任教育や講習会などで必ず触れられますから。

こんな、当たり前のことを警察庁が各警察署長宛にわざわざ書くわけがありません。
別の意味があるのでしょう。

それを推測すると…。
・警備員の護身用具携帯の制限は、現在のところ各都道府県規則の制限内容が全国一律で同じだが、本来地域事情によって制限内容が異なって当然なのだ。
  それが各都道府県公安委員会規則で制限を定めるとした立法趣旨だ。
・今の全国一律の制限は治安状況が最悪の地域でも充分に通用するものなのだ。(これがマックスなのだ)
・それより治安状況が悪くない都道府県ではもっと制限しても構わないンだ。
・アンタの所の都道府県公安委員会規則でその護身用具携帯が認められていても、「はいそうですね」と簡単に認めてはいけないンだぞ!
・警察官ならしっかりせいッ!
・警備員に武器を持たせたらろくなことはないぞッ!

「あのう…。スリコギより少し長い棒なンですけど…。」

もちろん、以上のことは私の勝手な推測に過ぎません。


2.解釈・運用基準「護身用具制限に関する留意事項」


次に、警察庁の解釈・運用基準は「護身用具制限に関する留意事項」に移ります。

「護身用具規則の運用に当たっては、次の点に留意するものとする。
  (1) 護身用具の携帯については、護身用具規則により携帯が制限されていない場合であっても、昼間、携帯する必要性の乏しい場合などには携帯しないように指導すること。
  (2) 護身用具規則でその携帯を禁止していない護身用具であっても、特定の警備業者の警備員がそれを用いて法第15条の規定に違反する行為を行ったような場合には、
     法第48条の規定により、その警備業者に対しその護身用具の使用を一定期間禁止するなどの指示を行うなど適切な措置をとること。」

※説明

本心が出てきましたね。
次のように言っているのです。

護身用具の携帯が認められている場合でも、
(1) 昼間や「携帯する必要の少ない場合は」携帯しないように指導しなさい。
(2) その警備会社の警備員が護身用具を使って個人・団体の正当な活動に干渉したことがある場合は、その警備会社に護身用具を使わさないように指導しなさい。
   その根拠は警備業法48条の「指示処分」を使いなさい。

(2)は仕方がないでしょう。
自社の警備員に対する教育・監督ができていなかったのだから、そんな警備会社に護身用具を認めたらそこの警備員はまた問題を起こしますからネ。
これは「指示処分」ですから、これに従わないと「営業停止」となります。

しかし、(1)は少々厳しすぎるとは思いませんか?

・『明るい間は丸腰で大丈夫だよ。ハ・ハ・ハ…』
・だいたい「携帯する必要の少ない場合」とは誰がどんな基準で判断するのでしょうね。
・『あくまで、指導だよシ・ド・ウ。強制じゃないンだから!』

まあ、そうですけど…。

さらに解釈・運用基準は「届出を受理する時の留意事項」でとどめを刺します。


3. 届出に当たっての留意事項


府令別記様式第10号の「使用基準」欄には、例えば、次のように記載させるものとする。
  ア.夜間の巡回時に携帯する。
  イ.不審者に襲撃された場合に、専ら防御のために使用する。」

※説明

護身用具届出書の使用基準には「夜間の巡回時に携帯する・不審者に襲撃された場合に使用する」と「記載させよ」とのお達しです。
今度は「指導すること」ではなく「記載させるものとする」です。

つまり、「昼間の巡回時の携帯・夜間でも警備室で待機する場合の携帯・不審者に襲撃される前の使用を書かせてはいけない(認めてはいけない)」ということです。

警備会社の護身用具届出書に、この警察庁の解釈・運用基準どおりに「記載させられなかった担当警察官」はどうなるのでしょう?

警備会社の皆様、担当警察官の立場を分かってあげてください。
彼らには家族もあり将来もあるのです。
我々は「ただの警備員」にすぎません。
スリコギなんか持っていなくても顧客は護れます。
自分の体を盾にすれば済むじゃないですか!

『そう言うなよ…。あくまで、部内的な指示だよ。強制じゃないンだから…。ハ・ハ・ハ・ハ…。』
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c.護身用具届出書への記入「護身用具欄」の書き方の実際


イ.「護身用具欄」の全ての欄に「別紙のとおり」と書く

警察庁の解釈・運用基準はこのくらいにして、護身用具届出書の護身用具欄の記載の説明に戻ります。

えっ? 「もう書く気がなくなった」ですって?
そうですね。担当警察官に書いてもらった方がよいですかネ。

何を言っているのですか!
そんな弱気では護身用具届出を受け付けてくれませんヨ!
一般の警備員に認められた最強の護身用具「90㎝以下・460g以下のすりこぎ」が持てるように頑張りましょう。

護身用具はあなた自身を護るためだけではなく、顧客の安全を護るためにも必要なのですよ!

『 体を盾にするのじゃなかったの?』

護身用具欄の記載は10秒で済みます。

すべての欄に「別紙のとおり」と書いてください。

『えっ?』

警察庁の解釈・運用基準で書くことが多くなったので、別記様式第10号の届出用紙では書き切れないのです。
「記載要領」にも「7.所定の欄に記載し得ないときは、別紙に記載の上これを添付すること」と書いてあります。

届出書に一部を書いて「詳細は別紙による」と書くと、それを読む方(担当警察官や公安委員会)がやっかいです。
だから、届出用紙には「別紙による」と書いて別紙を添付することになっているのです。
これでは、何のための「別記様式第10号」なのか分かりませんが…。


『あのう…。別紙はどこで手に入れられるのですか…。』

書式の定めはありませんから、適当に作ってください。
記載要領の下の「備考」に「用紙の大きさは日本工業規格A4とする。」とありますから「A4」です。


『そんなの困ります!いままで小難しい能書きを読んできたのに…。』

そう言うだろうと思って準備しておきました。
これを使ってください。→→→護身用具届出書別紙1

まず、この別紙1を印刷してください。

OKですか?


ロ.別紙の記載

SPnetで届け出る警戒棒「ASP-F26・エアウエイト」を例にとります。

・①.種類

警戒棒

②.規格

(材質) 本体 / 7075 航空機用アルミ合金、 グリップ / スポンジ。
(寸法) 全長 / 64.2 ㎝、重量 / 300 g、収縮時 / 24.2 ㎝。
(形状) 円棒・エンドキャップ部分 / 26.6 ㎜Φ、先端キャップ部 / 15.7 ㎜Φ、鋭利な部分なし。
(機構) 三段伸縮・振り出し式(ストップピンなし)
(製作) 名称 / ASP-F26・ASP-F26・airweight、USA-ASP社 ※https://www.asp-usa.com/

③.機能

不審者の襲撃に際し、その腕・脚・腹部を打ち突くことにより、相手の攻撃を中止させ、あるいは凶器を払い落とす効果を有する。
※内容はだいたい決まっています。「不審者の襲撃に際し」がポイント。

・④.使用基準

屈強・凶暴な不審者、凶器を持った不審者に対し専ら護身の用に供する場合。
※「専ら護身の用に供する」を抜かさないように。

・⑤.当該護身用具を携帯して行う警備業務の内容

1.屈強・凶暴・凶器を所持している可能性の高い万引き犯人・窃盗団に対峙することが予想される私服保安業務・
2.依頼者に対する凶器での襲撃が予想される身辺警護業務。
3.夜間での巡回警備業務・店内保安業務。
4.夜間での単独施設常駐警備業務。
※具体的に書くことが必要。


あとは、担当警察官の「指導」と「記載させること」をいかにはねつけるかです。
なお、届出書の使用基準や当該護身用具を携帯して行う警備業務の内容に反した場合は警備業法違反となります。


d.護身用具の写真

あとは警棒の写真を一枚添付すれば終わりです。

警棒のカラー写真を縦12㎝×横8㎝に切って添付します。
写真そのものを添付するよりA4の用紙に貼り付けた方がよいでしょう。

『あのう…。そんな用紙はあるのですか…。』

ありませんが、必要ならこちらを使ってください。→→→護身用具届出書別紙2
この用紙にある長方形が12㎝×8㎝です。
この大きさに写真を切って貼り付ければよいでしょう。

※上の護身用具届出書別紙2を開くには「ラベルメーカーが無料で提供しているソフト」が必要です。
  こちらからダウンロードしてください。→→→A-one ラベル屋さん9
  ダウンロード後「護身用具届出書別紙2」をクリックすれば、ちゃんと用紙が開きます。
  この「ラベル屋さん」は身分証明章を作ったりステッカーを作ったりするのにとても重宝しますヨ。
  もちろん、デジカメで撮った写真を取り込むこともできます。
  ASPの別紙2はこうなりました→→→→護身用具届出書別紙2サンプル


『最後にもう一つ質問してもいいですか?』

構いませんよどうぞ。

『ASPの別紙2の写真にメジャーが写っていますね。メジャーも写真に入れなければならないのですか?』

写真が殺風景なのでメジャーを入れただけです。

警察庁の解釈・運用基準にも「メジャーを入れる」とは書いてありません。
ただ、警察庁の解釈・運用基準の他に、その警察署のやり方や解釈・運用基準があるでしょう。
これは明文化されているものではありませんが、先輩の指導・引き継ぎで受け継がれているものです。

警察署によってはメジャー入りの写真を要求するかもしれません。
逆に「メジャー入りの写真ではなく、警棒だけの写真が必要」と言われるかもしれません。

とにかく、お上の言うことには逆らわないようにしましょう。
文句を言われたら、出直しましょう。
それが庶民の知恵なのです。
    


e.その他の注意


・①.別紙1と別紙2

・仕様書(規格など)の別紙が「別紙1」。
・写真を貼り付けた別紙が「別紙2」。

これは服装届けでも同じです。


・②.届出書と変更届出書

・服装届でも護身用具届でも一番最初に届け出る場合に「届出書」を使う。
・次に届ける場合は「変更届出書」を使う。

たとえば、もう一本別の規格の警棒を追加する場合は「護身用具変更届」。

・変更届出書の「変更事項-新」欄に「警戒棒追加」と書く。
・「変更届-旧」欄には何も書かない。

警棒の使用基準や当該護身用具を携帯して行う警備業務の内容を変更する場合も変更届。

最初のものは「届出書」、二回目からは「変更届出書」と覚えておいてください。


・③.複写を一部作って同時に提出すること

届出書原本は警察署に提出、複写の方に受理日・受理番号を記入して渡してくれます。
これを警備業者が保管します。
警察でコピーはしてくれません。


この複写は営業所に備えつけなければならない書類ではありませんが、これがないと変更・追加する場合に困ります。
「どんなものが、どういう使用基準で届け出てあるのか」が分からないと変更届が書けません。

いい加減な選任から仕事を引き継ぐと大変な目にあいますね。

お疲れさまでした。

もうこれで護身用具届出書は作れますね。

次は服装届です。


最後に、今回作った護身用具届出書と別紙1をサンプルとして上げておきます。→護身用具届出書サンプル   護身用具届出書別紙1サンプル
これらと上にあげた護身用具届出書別紙2と合わせた三枚が届出に必要な書類になります。

しかし、これらはあくまで参考です。
このとおりに書いて、担当警察官に文句を言われても責任は持ちません。


つづく。


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バナー4  どの警備会社さんも警備員用の装備品を制服屋さんで一括調達していると思います。
 しかし、護身用具に関しては専門業者さんの方が安くて良い商品を扱っています。
 ここではボディガードさんと取り扱い商品を紹介します。


a.警備員用

凶器に対する防御には「相手の凶器より「長く・重い」ことが必要です。
しかし、警備員が業務上携帯できる警棒には長さ・重さ制限があります。
これに適合するのはアルミ合金の26インチ警棒です。

・ホワイトウルフ7075アルミ合金バランスウェイトバトン26 : 約25~65cm(26インチ),約286g → こちら
・ホワイトウルフ7075アルミ合金バランスウェイトバトン26・鍔付 : 約25~65cm(26インチ),約310g → こちら
・ユイル K-6 アルミ三段警棒26・シングルガード : 約26~68cm(26インチ),約318 → こちら
・モナドノック・ウッドノーグリップバトン26インチ : 約680mm(26インチ),約300g前後 → こちら
・ASP・A50・タロンロックバトン(CAP)エージェント・21 : 約23.5cm~約53cm,約254g前後 → こちら

ASP・F26バトン・エアーウェイト・フォームグリップ : 約24~65cm,約300g → こちら
※SPnetで使っています。軽いので打撃力は小さいでしょうが、あくまで護身具ですから打撃力の大きさは必要ありません。それより長いことが有利になります。

b.一般用

次のものは警備員の警棒制限に引っかかりますので業務上使うことはできません。
おすすめはやはりASPの「4140カスタムスチール」。FBIやニューヨーク市警で使っています。
長さは、片手で振り回せるF21(21インチ)がお勧めです。
F26(26インチ)ではよほどの腕力がないと自由に扱えません。両手で持つのならF31(31インチ)があります。

・ASP・T50KB・タロンディスクロックバトン・21 バトン : 約21cm~50.5cm, 約509g → こちら
・ASP・F21・ブラッククローム・WAVEグリップ : 約19.5~50cm,約472g → こちら
・ASP・F26バトン・ブラッククローム・フォームグリップ : 約24~65cm,約570g → こちら

c.警備員用のその他護身用具 ※下記以外については → こちら

刺股(サスマタ)に対しては突起部がなければ長さ・重さに制限はありません。
刺股は凶器を持つ者に対して、距離を取って牽制し時間を稼ぐためのものです。軽くて長いものが有利です。
楯には突起部がなければ大きさ・重さの制限はありません。
防刃ベスト・防刃グローブにも制限はありません。ぜひ装備に加えてやってください。

・伸縮式・軽量カーボン製  サスマタ・ブラック : 収納時:約120cm・使用時:約155cm~約185cm(10cm単位で4段式に調節可能),約690g → こちら
・軽量サスマタ・「こない手」・長さ固定タイプ : 全長/約206cm,幅/約52cm(棒状の部分:約183cm).約1kg → こちら

・ポリカーボネート防護盾・小・軽量タイプ : 直径/約530mm(53cm),厚さ/約3mm,重さ/約1,25㎏ → こちら
・ポリカーボネート防護盾 : 縦横/約900 x 465mm,厚さ/約3mm,重さ/約2kg → こちら
・防刃ベスト・ホワイトウルフ・ブラック・背面フラットタイプ : 約2.4kg → こちら
・防刃ジャケット・ネイビー・L : 約1.3kg → こちら
・防刃グローブ・ホワイトウルフ・ロングタイプ → こちら
・防刃グローブ・ホワイトウルフ・ホワイト → こちら
・防犯用カラーボール(65mm玉、2個入) → こちら

d.護身用具届けについて

護身用具については全て公安委員会に護身用具届を提出しなければなりません。
警棒,警杖,防弾・防刃ベスト,楯,刺股,カラーボール以外のものは「まず使用禁止」でしょう。
微妙な物は購入前に必ず公安委員会に問い合わせをしてください。




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