FJ1200-4CC 整備資料



・2012.11.06.二度目のオイルシール交換と三度目のオイルシール交換(2018.07.01)


初めてのオイルシール交換から1年・1600㎞走行で左フロントフォークからオイル漏れ。二度目のオイルシール交換。
FJの「41㎜Φ」フォークのオイルシール打ち込み具に必要な要件を考えました。
それにあった、200㎜ロングニップルを加工した打ち込み具②を作りました。現在のベストです。
二度目のオイルシール交換から、6年・5700㎞走行で右フロントフォークからオイル漏れ。三度目のオイルシール交換。排出オイルは強烈なアンモニア臭。
右フォークは程度のよいインナーチューブに交換しました。


オイルシール打ち込み具① と不具合
41㎜Φチューブのオイルシール打ち込み具に必要な要件
オイルシール打ち込み具②
ヘキサゴンボルトへのネジロックは少なめに
油面調整前のフォークオイルの注入は少なめに
三度目のオイルシール交換(2018.07.01)
強烈なアンモニア臭
インナーチューブの状態
油面調整器具の改良


1.一年でオイル漏れ


RMXのエンジンが手に入らないので、チョイ乗りに 重い FJ を使っています。

しかし、左フォークに不気味なオイル跡。

前回のオイルシール交換から、1年足らず。走ったのは たったの 1600㎞。(※走行距離 23651㎞)

オイルシールの打ち込みが乱暴だったのか?
インナーチューブに傷があったのか?
オイルシール自体に問題があったのか?
夏場に乗らなかったので、オイルシールが張りついてしまったのか?

原因は何であれ、治しておかなければなりません。寒くなってからでは億劫です。

フォークオイルとオイルシール ・ ヘキサゴンボルトガスケット ×3 を入手。
暖かい日を待って、オイルシール交換。


作業手順を確認するのに、前の頁を印刷しようとしましたが余計なことがたくさん書いてある。

もっと簡単に手順だけが欲しい。「 どのソケットなのかな‥。」 とソケットをボルトに当ててみるのも面倒。
いちいち、サービスマニュアルで締め付けトルクを確認するのも時間がかかる。

今回の教訓も含めて 「 FJ 4CC ・フロントフォークオイルシール交換手順 」 を作成しました。→→→ こちら


2.オイルシール打ち込み具の完成

    
a.オイルシール打ち込み工具 ①


今回はこれを使いました。

・名称  ロングニップル 1.5インチ Φ。

・本体部 ( ネジのない部分 ) 48.8㎜
・本体部 厚さ 3.4㎜
・内径 41.8㎜
・全長 100㎜ ( 本体部 50㎜ )
・重さ 300g
・値段 358円

  ※水道官をつなぐのに使う部品です。
  ※長いものもあります。全長 150㎜→445円、 200㎜→535円
  ※48.6㎜Φの鉄管→全長 100㎝、厚さ 2.2㎜、428円


打ち込み工具として使えるものを捜すためにはオイルシールの寸法を知らなければなりません。

・オイルシール → 内径 約 40㎜Φ ・ 外径 53.4㎜Φ。
・硬い部分 → 46㎜Φ ~ 53.4㎜Φ。柔らかいリップ部分の外径 →  43.5㎜Φ。
・リップ部分に打ち込み工具が当たってはいけません。

・打ち込み工具に必要な条件 →  内径 43.5㎜Φ 以上 ・ 外径 53.4㎜Φ以下
  理想は 内径 46㎜Φ ・ 外径 50㎜Φ。

・48.6㎜Φ鉄管 → 内径 44.2 ㎜・外径 48.6㎜ → 必要な条件をクリアー。
・ロングニップル → 内径 41.8㎜Φ・外径 48.8㎜Φ
  → 外径はOKでも、内径が小さいのでオイルシールのリップ部分に当たる。。
     さらに、ネジが切ってあるため先端部分が尖っています。
 
・このロングニップルを選んだのは、48.6㎜Φ鉄管より厚さがあること。切断の必要がないこと。
  しかし、厚みがあることがマイナスになっています。
  外径が同じくらいで厚ければ、それだけ内径が小さくなります。
  内径が小さくなればそれだけオイルシールのリップ部を傷つける危険が高くなります。

・さらに、実際に打ち込んでみると重さが足りません。
  やはり、巷で使われている 48.8㎜Φ×1m の鉄管をそのまま使った方が良いでしょう。 


しかし、今回はこのロングニップルを使います。

・重さの不足はCR の打ち込み工具でロングニップルの上から叩けばよい。

・オイルシールのリップ部を傷つけることを防止するためには、
  オイルシールの上にオイルシールワッシャを当てて打ち込めばよい。

・この段階では “ 次に起こる失敗 ” にまったく気づいていないのです。



b. 予期せぬ失敗

オイルシールにワッシャを乗せる。
ワッシャの上にロングニップルを当て、打ち込み工具でガツン ・ ガツン と叩く。

前回はオイルシールの上にオイルシールワッシャを当てて、マイナスドライバーで根気よく打ち込み。今回は簡単に打ち込み終了。


しかし‥。

ワッシャがアウターチューブから 外れな~いッ!

当たり前です。

「オイルシールワッシャはアウターチューブにビッタリはまる」ようになっているからです。


しかし、前回はワッシャの上から打ち込んでワッシャは簡単に外れたけど‥。

それは、ワッシャをマイナスドライバーで叩いているうちに、ワッシャが反ってしまったからです。

前回とは状況が違っているのです。


このオイルシールワッシャを外すために、もう一度フォークを分解。

念のために「新しいオイルシール」を使い、オイルシールにロングニップルを直接当てて打ち込みました。

「ロングニップルがオイルシールのリップ部分を傷つけていないか」少々心配。これはリップ部分の柔軟性に期待しましょう。
再々度のオイルシール交換が近いうちにくるかもしれません。

なお、外したオイルシールは「 組み込み ・ 取外し に一度使用 」 という名前をつけられて、非常用の予備部品となってしまいました。

    
c.41㎜Φチューブのオイルシール打ち込み具に必要な要件

・① オイルシールを直接叩くのなら、ロングニップルは × で、 48.8㎜Φ 鉄管は 〇。

・② 48.8㎜Φ 鉄管 で直接叩く場合は、真っ直ぐに打ち込んでリップ部分を傷つけないように注意する。
  ※ 鉄管の内径は 44.2㎜Φ 、インナーチューブの外径は 41㎜Φ。鉄管とインナーチューブの間にの隙間は 3.2㎜あります。
     よほど注意して打ち込まないと、鉄管がずれてリップ部を直接叩くことになります。

・③オイルシールのリップ部分を傷つけないために、何かを乗せて叩くことが必要。

  何を乗せるか? やはりオイルシールワッシャが一番。

・オイルシールワッシャは 外径 52.8㎜Φ ・ 内径 42.8㎜Φ・ 厚さ 2.3㎜ 。 
・ワッシャをオイルシールに重ねると、オイルシール上面外径より、ほんの少しだけ大きく、オイルシールの硬い部分を完全に覆う。
※オイルシール外径は 53.4㎜Φだが、上面に少しすぼまっていて、上面外径は 53.4㎜Φより小さくなっている(52.5㎜Φ程度)。
・オイルシールリップ部分は水平方向 ・ 垂直方向(リップ高さ)とも ワッシャの内径部分に完全に納まる。(オイルシールワッシャはリップにかからない)
  一枚で垂直方向のガードも完全ですが、心配なら二枚重ねれば完全以上。

もちろん、そのままだとオイルシールを打ち込んだあとアウターチューブから取り出せなくなるので、あとで取り出せるようにオイルシールワッシャの外周を 1㎜程度削ればよい。

・④オイルシールの上に オイルシールワッシャを乗せて叩くのなら、ロングニップルでも 48.8㎜Φ 鉄管でもよい。

しかし、
・ロングニップルの方が 48㎜Φ・ 100㎝鉄管 より内径が小さく短いので使いやすい。
・ 100㎜長のロングニップルでは重さが足りないので、200㎜長のロングニップルの方がよい。
・ロングニップルはネジ部先端が尖っているので、先端を平らに削って打ち込み力がオイルシールワッシャに均等にかかるようにする。

・以上より、代用打ち込み工具のベストは「200㎜長のロングニップルの先端を平らに削ったもの ( 535円 ) +オイルシールワッシャの外周を 1㎜くらい削ったもの ( 357円 )

次回までに準備しておきましょう。

    
d. オイルシール打ち込み具 ② (2012.12.03 追記)


面倒くさいことはなかなかやりません。
いろいろな事案が 「 最後の仕上げ未了 」 で残ってしまいます。
これがたまってくると、理由の分からない焦りになります。

焦ってきたとき、どこか気分が重いときはこれが原因です。
身の回りの細かなことを片づけていきましょう。

  ( ロングニップル )
・200㎜ ロングニップルのネジ部の一方を切り取り、切断面を平らにする。
  ※サンダーを地面に置いて左手で押さえ、ディスク面で切断面を削る。
  ※切断面をニップル縦方向に対し直角に削るのは難しい。

・ネジ部の方も同様に平らにする。
  ※ネジが切ってあるので、一点が剥がれてくる。いつまでやっていても同じだから気にしない。
  ※ハンマーで剥がれてくる部分を叩けばOK。

・これで当て金 ( ワッシャ ) を均等に叩くことができる。

  (オイルシールワッシャ)
・外周を 1㎜ 程度削る。
  ※サンダーを地面に置いて左手で押さえ、右手でワッシャを持って削る。
  ※目視で太い部分を見つけて部分的に削る。
  ※「オイルシールを打ち込んだあとに取り外せればよい」だけだから、真円にならなくてもよい。
・二枚とも 50.5㎜~51.5㎜Φ に収める。
  ※オイルシールの上に二枚重ねればリップ部は完全に保護される。
  ※ニップルのネジ部を切り取ると軽くなる。
    ニップルだけで打ち込む場合は、200㎜長のロングニップルを使うこと。 


    
3.今回に得た教訓


a.ネジロックの塗りすぎは禁物


締め付けトルクのことではありません。ネジロックのことです。

フォーク分解で底部ヘキサゴンボルトを緩めます。

前回はそんなに力が必要なかったが、今回はビクともしない。
アウターチューブのキャリパ取り付け穴に差し込んだ、回り止めのTレンチが曲がってしまう。

これは、ヘキサゴンボルト取付時に塗ったネジロックのせい。
ネジロックを塗りすぎたので、しっかり過ぎるほどボルトがロックされているのです。

8M Tレンチの柄の両方 と 10M・Tレンチの柄の両方を曲げて、ヘキサゴンボルトは緩んでくれました。


しかし、本番はここから。

ボルトは緩んで回るようになったが、抜くことができない。ネジ山が潰れたような状態でボルトが空回りしてしまう。

インナーチューブに細いパイプを差し込んで、ヘキサゴンボルトを押したり叩いたりしても効果なし。

ボルトを斜めに引っ張るようにして回してやっと取外し。


原因は、ネジロック剤がボルト先端に固着し、ボルト先端が太くなり頭のようになっていたこと。

取付時にネジロック剤をボルトネジ部全体にタップリと塗ったのが災いしたのです。

ボルト締め付けで押し出されたネジロック剤は シリンダー COMPp の底部付近にもこびりついていました。


ネジロック剤は 雄ネジ と雌ネジ の隙間を詰めるもの。必要な量はごくわずか。

塗りすぎると、取外すときに苦労します。

雄ネジの先端から1/2程度に塗れば、必要にして十分。これ以上塗るのは御法度です。

   
b.フォークオイルは規定量より少なく入れて、追加する。


※2019.11.追記追記.解説

このときの油面調整は「フォークを垂直に立てて、油面までの距離を定規で測る」というもの。
「油面高さと同じ長さの細いパイプを上から入れて、余分のオイルを吸い取る」という方法を使っていません。
後者の方法なら、当然「規定量より多く入れて、吸い取る」ということになります。


前回の “ コツ ” は 「 メスシリンダーに入れたオイルはすべて入らず、1%くらい残る。オイル注入は規定量の “ + 1% ” を入れる。」

今回はそれに従って余分に入れました。

しかし、オイルレベルが高すぎる。

オイルを少し抜くと、今度はオイルレベルが低すぎる。

考えてみれば、オイルを10㏄入れるのは簡単だけど、10㏄を抜くのは難しい。入れる場合は計ることができるけれど、計って抜くことができないからです。


そこで今回の “ コツ ” は、オイルを規定量より少なめに入れて、オイルレベルを計測し、不足分を追加する 」 こと。

・インナーチューブの厚さは 2㎜弱、外径は 41㎜だから、インナーチューブの内径は 37㎜ で 半径 18.5㎜。
・オイルレベルを 1 ㎜ 上げるために必要なオイル量は、1.85㎝×1.85㎝×3.14×0.1㎝ = 1.074665㏄ ≒ 1 ㏄

オイルレベルの不足分だけのオイルを計量して追加注入すればよいのです。

・たとえば、オイルレベルが 150㎜なら、規定値 の142㎜にするのに 12㎜ 上げなければならない。→ 追加注入するオイル量は 12㎜ → 12㏄ 。
・これに、メスシリンダーに残る 1%をプラスすすればOK。
・結局、12㏄×1.01= 12.12㏄ → 12㏄よりやや多めに入れればよいのです。

もちろん、計算通りにはいきません。しかし、これでオイルレベルは合格点内にあるはずです。

追加注入後にオイルレベルを再計測してはいけません。数字がでれば標準値と比較してしまいます。

「 標準値になっている 」 と思い込むのが精神衛生上よろしいのです。

    
4.三度目のオイルシール交換(2018.07.01追記)


FJはフルパワー化して尾鷲・熊野を走ったあと全く乗っていません。

RMXを前後17インチにしたのでそちらばかり触っていたからですが、あの巨体はバランス感覚の衰えたシニアには億劫です。

最近リヤタイヤ交換のために持ち出したところ右フロントフォークからオイル漏れ。
なぜか、夏場に動かさないとフロントフォークからオイル漏れがしてくるようです。

オイルシールのストックもあるし、RMXのフロントフォークオイルシール交換でスズキG10も残っているので久しぶりにオイルシールを交換しました。

    
a.オイルシール交換 / 強烈なアンモニア臭


・第一回交換は 「 2011.年9月 ・ 22050㎞ 」で左右、
・第二回交換は 「 2012年11月 ・ 23651㎞ 」 で左だけ。

・それから6年弱経ち、現在 29320㎞ で 5669㎞ 走行。 右オイル漏れ。

・当初はオイル漏れをしている右フォークのオイルシール交換だけで、
  左フォークはオイルもそのままにして手をつけない予定。

・車庫が狭いので、SJ13を二台出しFJを方向転換して作業スペースを確保。

・パンダジャッキはお勧めです。→→→こちら


右フォークのオイルを排出してみると、強烈な臭い。

※右が右フォークの排出オイル、左が左フォークの排出オイル

 「 何年も掃除しないで使い続けた小便器の臭い」
  フォークキャップを外したときからこのアンモニア臭が鼻につきます。
  色は黒。

・7年・7300㎞走行でこれだけ劣化!
  「 これは左フォークもオイル交換をしなければ 」。

・左フォークの排出オイルはそれほどの異臭はなく、
  色もかろうじてもとの赤色が残っていました。
  こちらは 6年・5700㎞走行。

・マニュアルにフォークオイル交換時期は記載されていませんが、
  この色と臭いから5000㎞~6000㎞を目安にした方が良いようです。


・こちらは、ストックの程度の良い右フォークから排出したオイル。

・小豆色で、元の赤色が充分残っています。


    
b.インナーチューブの状態


・上から、ストックの程度の良い右、 使用中オイル漏れの右、 使用中オイル漏れなしの左、 ストックの程度の良い左。
・使用中の右も左も 「 摺動部には点サビはないが、それ以外の所には点サビがたくさん 」。
・ストックのものは 「 摺動部はもちろん、それ以外の所にも点サビなし 」 の程度良。
・今回は「ストックの程度の良い右」と「使用中の左」を使いますが、今度左にオイル漏れがあったら「ストックの左」と交換するつもりです。
・使用中の左は点サビを2000番ペーパーがけ、しかし点サビ痕まで取り去ることはできません。
  ※ もう少し大きい写真は→→→こちら


    
c.油面調整器具の改良



油面調整具はRMXの倒立フォークオイルシール交換より少し進歩しました。

・パイプを垂直に下ろすために L アングルを使用。
・アングルの中心に垂直線を引いて、これにパイプを合わせる。
  まず、輪ゴムでパイプを仮止めし、垂直と長さを調整。次にガムテープで固定。
・「 フォークを垂直に立てる 」 のがまだまだ未解決。
・しかし、正立フォークは中心にパイプを下ろせるので、
  フォークの垂直はそれほど厳密でなくて良い。取り敢えず、清酒箱に縛りつける。


・油面高さ : 142㎜ ( スプリングなし、インナーチューブを下まで降ろして ) / 全量 446㏄
・使用オイル : スズキフォークオイルG10


つづく。

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