FJ1200-4CC 整備資料



 2019.08.08.ハリケーン「150アップ2型」・「Z2タイプ」とカウルの切除





現在、ABMのアップハンドルキットで「ハリケーン・150アップ2型」を取り付け標準マスターを使用。
標準マスターがカウリングと干渉するので、干渉部分を切除。
切除部分がスクリーンに達しているので、車検合格が危ぶまれる。

スクリーンを切除しないで150アップ2型を使えるように、別体マスターと交換。
別体マスターでのカウルと干渉するのはマスタータング取り付けボルトの頭。
干渉をできるだけ少なくしようと、150アップ2型より高さが10㎜低い「ハリケーン・Z2タイプ」を入手。
なんと、ハンドル高の低いZ2タイプの方がカウリングとの干渉が大きい。
現物合わせでカウリング角部を切除したが、あとから検証してみると少々削りすぎ。
「どこをどれだけ削ればよいか」を説明します。

ニッシン横型別体マスターのクラッチスイッチは3極でFJハーネスの2極カプラーが使えません。
そこで3極カプラーを2極用に改造。材料はアルミホイール2㎝×2㎝だけ。所要時間5分。
そのまま、FJの2極カプラーが使えます。

その他、メッシュホースのフィッティングの角度変更、マスタータンクステーの作成、
ニッシン横型別体マスターに適合す汎用レバーについても書いてあります。
なお、車検は合格しました。


「ヨーロピアン3型+標準マスター」での干渉
「150アップ2型+標準マスター」での干渉
「150アップ2型+別体クラッチマスター」での干渉
「150アップ2型」と「Z2タイプ」の比較
「Z2タイプ+標準マスター」での干渉
「Z2タイプ+別体クラッチマスター」での干渉
Z2タイプのインプレッション
カウル角部の補強と切除切除
カウル切除後の実際の干渉と必要だった切除量
車検は合格
左スイッチコードの延長
マスタータンクのステー作成
メッシュホースフィッティングの角度調整
3極クラッチスイッチを2極用に改造
マスタータンクを新品に交換
ニッシン横型別体マスターに適合するレバー



1.スクリーンに割れや削れがあると車検が危ない?


今年は車検の年。

前回の車検はヨーロピアン3型で通している。→→→こちら ・ こちら

その後、150アップ2型に変更。ハンドルと干渉するカウリング部分を切除している。→→→こちら

問題はこの切除。それがスクリーンにまで達していること。

もう一度、ハンドルとカウルの干渉を復習。

        
a.「 ヨーロピアン3型 + 標準マスター 」 では、カウルを削らなくても 「 なんとかフルロック 」


「 ヨーロピアン3型+標準マスター 」 ではカウリングと干渉するのはスイッチボックス。
ここからフルロックまではあと少し。カウリングが少しゆがむけとフルロック可能。

※ヨーロピアン3型 : 引き / 175 ㎜、立ち上がり / 70度、高さ / 145 ㎜、絞り / 25度、巾 / 740㎜ 

・ハンドルを精一杯寝かせて、マスタータンクがカウリングとと干渉しないようする。
・レバー取り付け角度はOKだが、レバー引き代が減ったためレバーを外側へ曲げる。
・これがフルロック状態。
・カウルの「角(ツノ)」が外側へ押されて、
  角(ツノ)とスクリーンとの間に隙間ができる。


・右側も同様。
・当たるのはスイッチボックス。
・これがフルロック状態。
・レバー取り付けをもう少し上げると今度はレバー取り付け部が当たる。


カウリングはまったく切除していないし、
車検項目に「ハンドルを左右にいっぱい切ったときにハンドルとカウリングが干渉するかどうか」という項目はないので、今までの車検では問題とされなかったのでしょう。

     

b.「150アップ2型+標準マスター」ではスクリーンを切除しなければならない。


「 150アップ゚2型+標準マスター 」 でカウルと干渉するのはマスターシリンダー。

そこで、干渉するカウル部分を現物合わせで切除。

※150アップ2型 (ヨーロピアン3型と比べて): 引き / 245 ㎜(+70 ㎜)、立ち上がり / 70 度(同じ)、高さ / 145 ㎜(同じ)、絞り / 46度(+11 度)、巾 / 720 ㎜(-20 ㎜)
※150アップ2型はヨーロピアン3型をそのまま手前に絞ったハンドル。絞った分だけ引きが 70 ㎜ 増え、巾が 20 ㎜ 減少。
※手前に絞ったので干渉部分がスイッチボックスから内側のマスタータンクに移った。



問題は、カウル切除にとどまらず「スクリーンまで切除している」こと。。

しかも、スクリーンのカウル取り付けビス六個のうち四個しか取り付けていない。

「スクリーンに割れがあると車検が通らない」とどこかに書いてありました。
いかに「温和な」伊勢地方でも、これはチョット「危ない状態」。
     ★★32       
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2.別体マスターならスクリーンを切除しなくてもよい


マスタータンクが干渉するのだから別体マスターにすればどうなるだろうか?
取り敢えず、「5/8の別体クラッチマスター」を入手して干渉をチェック。

      

a「 150アップ2型 + 別体クラッチマスター 」 ではスクリーン下 10㎜ が残る。


切除していないスクリーンを取り付けて、「スクリーンを切除しないでもよいか」をチェック。

「150アップ2型+別体マスター」だと、

・スクリーンとの隙間が一番小さくなるのが、マスタータンクのパイプ部分。
  この隙間が10㎜くらい。
・カウルの角部分は切除しなければならないが、スクリーンは切除しなくてもよい。
・スクリーンのビス留め穴も残るから、スクリーンのビス留めもOK。
・写真ではマスタータンクが干渉するように見えますが、
  タンク位置を調整すればタンクはスクリーンに当たらずに動きます。


「別体マスターを使えば、150アップ2型でもスクリーンを切除しないくてもよい」との結論。

      

b.「 150アップ2型より 10㎜ 低い 」 ZⅡタイプの検討


150アップ2型で別体マスターを使えば、スクリーンを切除しなくてもよいがカウルは切除しなくてはならない。

それなら、もう少し低いハンドルに変えたらどうか。
ハンドルが低い分だけカウル切除が少なくてすむ。

150アップ2型と「引き」が同じくらいで、「高さ」が少し低いものを探すと、ハリケーンでは次の二本。。

・①.Police3型(150アップ2との比較) : 引き / 235 ㎜(-10 ㎜)、立ち上がり / 60度(-10 度)、高さ / 130 ㎜(-15 ㎜)、絞り / 40度(-6 度)、巾 / 685 ㎜(-35 ㎜)→こちら

  ※FJは「全巾 780 ㎜」。車検では ± 20 ㎜までOKだから、合格ハンドル巾は「760 ㎜ ~ 800 ㎜」
  ※Police3型では不足しているハンドル巾は「760 - 685 = 75 ㎜」。車検合格のためには、両端に 40 ㎜ くらいのバーエンドを付けなければならない。

・②.Z2type (150アップ2との比較) : 引き / 225 ㎜(-20 ㎜)、立ち上がり / 70 度(同じ)、高さ / 135 ㎜(-10 ㎜)、絞り / 34 度(-12 度)、巾 / 785 ㎜(+65 ㎜)
     →→→こちら

高さが「-10  ㎜」だからカウル切除が 10 ㎜少なくなる。

ハンドル巾自体が785㎜あるから、現在のバーエンドを付けると 「許容巾800㎜」を超えるかもしれない。
しかし、それなら車検場で両側のバーエンドを外せばよい。

・上がZ2、下が150アップ2。
 Z2は150アップ2を外側へひろげたようなもの。
 拡がった分だけ「引き」が少なくなり、「巾」が大きくなる。
 もちろん、高さ少し低くして巾も少し拡げている。
・上が150アップ2、下がZ2。
 「引き」が 20 ㎜ 少なくなったことが少し心配。

     

・ハリケーン・ヨーロピアン3型 → こちら
・ハリケーン150アップ2型 → こちら
・ハリケーンZⅡタイプ → 
こちら
・ハリケーンウエイトバランサー → こちら

       
c.Z2タイプとスクリーンとの干渉


イ.「 Z2タイプ + 標準マスター 」での干渉


参考のために「 Z2タイプ + 標準マスター 」 で干渉チェック。

ハンドル巾が広くなっているので、マスタータンク取り付け位置が外側になりカウルと干渉しやすくなる。

マスタータンクがスクリーンと干渉しなくなる位置を探さなければならない。

・スクリーンとマスタータンクの最短距離は 5㎜ くらい。
・高さが 150アップ2型 より 10 ㎜ 低いのだからこれは当たり前。
・ただし、「150アップ2型+別体マスター」の場合の隙間 10 ㎜ より少なくなる。
・ブレーキの方もマスタータンとカウルの最短距離は 5 ㎜。
・しかし、フルロックでマスタータンクがカウル切断部の根元ぎりぎりまでくる。
・「Z2タイプ+標準マスター」ではカウルを根元まで切除しなければならない。


結論は、
・「Z2タイプ+標準マスター」は「150アップ2型+別体マスター」よりカウルとの干渉が大きくなる。
・「Z2タイプ+標準マスター」ではスクリーン下5㎜ が残る。

    
ロ.「 Z2タイプ + 別体マスター 」 での干渉


次に、「Z2タイプ+別体マスター」での干渉をチェック。

・スイッチボックスはカウルと干渉しないところを通るので問題なし。

・カウルと干渉するところを通るのはレバーだけ。
  このレバーとスクリーンとの最短距離は 約 20 ㎜。

・結局、別体マスターを使えば、
・150アップ2型 → スクリーン下 10 ㎜ が残る。、
・Z2タイプ → スクリーン下 20 ㎜ が残る。

・150アップ2型でもZ2タイプでも、スクリーンを切除する必要はなく、
  スクリーン取り付けビス穴も残るので車検は通るでしょう。

・今回の車検は別体マスターで受けることにし、
  5/8 別体プレーキマスターを Yahoo オークションで。

・「ピストンキット交換済み」の左右セットを 16000円で落札。→こちらの出品者さん
  先に4000円で入手した 「良品 5/8 別体クラッチマスター」 は出品予定となりました。
 


     

d.Z2タイプの試乗-肩が凝る


150アップ2型からZ2タイプにすれば、ハンドルとカウルとの干渉は少なくなるが問題は操安性。

気になるのは「引きの10㎜減」。

別体マスターの到着が待ちきれないので標準マスターで試乗。

・見ただけで「ハンドル巾が広い」!
・今までのバーエンドを付けた状態で「ハンドル巾 = 820 ㎜」
  ※今までの 150アップ2型にこのバーエンドを付けると「ハンドル巾 = 755 ㎜」。
  150アップ2型では車検合格基準の 760㎜ にするために何らかの対策が必要。
・ハンドル巾が広くなったので、肘が上がる。
・肘を楽にするためにはハンドルをこれだけ寝かせなければならない。


ハンドル巾が広くなり、ハンドルを寝かせてハンドル高はさらに低く。

もう「白バイFJ」ではなくなりました。


肝心の乗車感は?

・①.150アップ2型では「殿様乗り」でハンドルは無重力状態 → Z2タイプでは「殿様乗りから体を5度くらい前傾」してハンドルが無重力状態になる。

  理由は、
・ハンドルの引き自体が少なくなった。
・ハンドル巾が増えたので両腕が開き、その分ハンドルが遠くなった。

・②.ハンドル高が低くなったことは気にならない。状態が前傾するからその分だけハンドル高は低くてもよい。

・③.体の重心がリヤタイヤから前に移動したので、コーナーの倒し込みが楽になった。

  殿様乗りだとコーナーは「腰から」、前傾すると「肩から」。一言で言うなら「スポーティになった」。

・④.違和感は「ハンドル巾が広い!」

  ・小旋回やフルロックターンではハンドル巾が広いので外側の送りが遅れる。
  ・肘が上がって肩が疲れる。
  ・グリップやアクセルは内側へ移動できるので、実質上の「ハンドル巾」は小さくできる。しかし、それだけ「ハンドルの引き」が少なくなってしまう。

  ・ただし、これらは「馴れ」で解決できるかもしれません。
    RMXに取り付けているトラッカースペシャルのハンドル巾も同じ 785㎜ ですから。


とにかく、Z2タイプなら「マラソンを先導する白バイ」から「Z2」に変わることは確か。

しかし、 「 白バイの殿様乗り 」 は楽ちん。

 150アップ2型 でも Z2タイプ でも両方取り付けられるように、カウルを切除することにしました。
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3.カウル補強と切除


a.カウル角(ツノ)部分の補強


カウルを切除する部分はフレームのあるミラー取り付け部から先。
ここはインナーパネルで補強されています。

この部分を切除するのだから補強しなければなりません。

※以下ではアルミフラットバーを接着剤で固定していますが、ハンドリベッターを使った方が作業がしやすくて強度も出るでしょう。 → カウル修復にハンドリベッターを使う

・補強に使うのは アルミフラットバー。
  巾 × 厚さ × 長さ = 10 ㎜ × 2.0 ㎜ × 100 ㎝ で 118円。
  ホームセンターにあります。

・これをエポキシ接着剤で接着。

・固定に小さなCクランプを使用。

・固定するときにあちらこちらにエポキシが付くので、
  「 付いてはいけない 」 表側をビニールテープでマスキング。

・Cクランプの留め部も接着されてしまうので、
  Cクランプが補強板に接する部分にセロテープを貼るか、生乾きのときにCクランプを外すこと。


・ヌルヌルと動くので位置決めに一苦労。
・予め、位置決めラインを書いておくこと。
・これなら、カウル角部を 20 ㎜ 切除しても補強板は半分くらい残るでしょう。



b.現物合わせでカウル切除


※注意
このバイクには「ABMのアップハンドルキット」が取り付けてあります。→→→こちら
このキットは純正トップブリッジの上に土台を取り付け、その上にハンドルをクランプするもので、ハンドル位置が純正トップブリッジから15 ㎜ 高くなります。
ハンドルクランプを純正トップブリッジに直接取り付けたり、アップハンドル用のトップブリッジに取り替えたりする場合はハンドル高が 15 ㎜ 下がります。

あとで(3-d-イ・ロ)述べるようにABMキットの場合、ハンドルとカウリングが干渉する部分は
・Z2タイプ → クラッチ側 / スクリーン下端から 17 ㎜ 下、ブレーキ側 / スクリーン下端から 10 ㎜ 下。
・150アップ2型 → クラッチ側 / スクリーン下端から 17 ㎜ 下、ブレーキ側 / スクリーン下端から 16 ㎜下。
・さらに、マスタータンク取り付けボルトを皿ネジにすればさらに「+5㎜」稼げます。
・ABMキットを使わない場合は、ハンドル高が15 低くなります。

このことから、ABMキットを使わない場合でマスター取り付けボルトを皿ネジにすれば、バンドルとカウリングが干渉する部分は、上の値より 5 + 15 = 20 ㎜ 増えるので、
・Z2タイプ → クラッチ側 / スクリーン下端から 37 ㎜ 下、ブレーキ側 / スクリーン下端から 30 ㎜ 下。
・150アップ2型 → クラッチ側 / スクリーン下端から 37 ㎜ 下、ブレーキ側 / スクリーン下端から 36 ㎜下。

カウリングのスクリーン下端 ~ 角部下端 = 35 ㎜ なので、
150アップ2型ならカウリング角部の切除なしでOKです。
Z2タイプはブレーキ側の角部をを5㎜程度削ればOK。またレバー取り付け位置すれば干渉しない位置があるかもしれません。

150アップ2型は「引きはよいが高さが少し高い」のでABMハンドルキット以外ではベストマッチになるかもしれません。



カウルを取り付け、「150アップ2型 + 別体マスター」、「Z2タイプ + 別体マスター」との干渉部分を調べて切除。

干渉部分は、ハンドルの寝かせ具合,レバーの位置・角度( マスターシリンダーの位置・角度 ) によって違ってくるので、
実際にライディングポジションを取って「ハンドル位置・レバー位置」を決めてから現物合わせをすることが必要。

下のようになりました。

150アップ2型では高さがあるので上下の切除部分が大きくなり、
Z2タイプではハンドル巾が広くマスターシリンダーが外側に付くので前後の切除部分が大きくなります。

そのどちらもクリアーするように切除したので切除部分は大きくなります。

・こちらがクラッチ側。
・先端部はスクリーン下端から 2㎜下だけ残る。
・しかし、後()で述べますがもう少し残してもOK。
  ブレーキ側と同じでもまったく問題ありません
・こちらがブレーキ側。
・干渉隙間はギリギリになりますが、どこにも当たりません。


・カウル外側を切除すれば、裏側についているインナーパネルも切除しなければなりません。

・ただし、切除する部分は表側と同じではありません。
  これは干渉するマスタータンクホースや取り付けネジ頭が水平に動かないためです。
  これらは内側に行くほどせり上がってきます。
  だから、現物合わせが必要です。

・少し大目に切除しました。
  左右では干渉部分が異なり切除部分と切除量が違いますが、
  見栄えをよくするために同じにしておきました。
 


干渉部分の切除のあとは形を整えます。

形を整えるのは表側だけ。インナーパネルは外からは見えませんのでそのままです。

・こちらがクラッチ側。
・重ねて言いますが、「これはちょっと切除しすぎ」。
  右のブレーキ側と同じでよかったのです。
・こちらがブレーキ側。
  なかなかきれいなラインになりました。


・整形にはこちらの回転ヤスリを使用。

・電動ドリルに直接付けて削ると、微妙な押しつけができません。
  回転ヤスリが躍って凸凹になります。
  電動ドリルからフレキシブルシャフトを伸ばしてC使います。

・最後の仕上げは平やすりを使います。

   ★★33      
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d.出来上がり--Z2タイプと150アップ2型との比較



左側が「Z2タイプ」、右側が「150アップ2型」。


イ. クラッチ側

・フルロックでマスタータンクボルト上の隙間が 15 ㎜。
  ※スクリーン下端との隙間は残っているカウル厚2㎜を加えて 17 ㎜。
・ホースがカウリング下を通過するときの隙間は 50 ㎜。干渉の心配なし。
・Z2タイプは150アップ2型より高さが 10 ㎜ 低いのだからこの余裕は当然。
・150アップ2型ではハンドル高が 10 ㎜ 高いので
  隙間は「15 - 10 = 5 ㎜ 」 のはず。
 しかし、タンク取り付けボルトとカウルの隙間は 15 ㎜ ( スクリーン下端より 17㎜ )。
  なんと、Z2タイプと同じなのです。
  これはハンドルの引きが大きくなったのでマスターシリンダーが後退したため。
・ホースがカウリング下を通過するときの隙間は 25 ㎜。


・クラッチ側については、干渉するのは「Z2タイプ」も~150アップ2型」も「タンク取り付けボルトとホース」。
・タンク自体はカウルの内側を通るのでまったく干渉しません。

・Z2タイプでの隙間 → タンク取り付けボルト / 15 ㎜、ホース / 50 ㎜。
・150アップ2型での隙間→ タンク取り付けボルト / 15 ㎜、ホース / 25㎜。
  だから、150アップ2型でカウル切除部分をあと10㎜下げても問題なし。
  多分、150アップ2型での現物合わせで読み違いをしたのでしょう。

★以上のことからクラッチ側のカウル切除部分は 「 スクリーン下端より 12 ㎜ 残す 」でOK
★左右のデザインバランスを考えればブレーキ側と同じにした方がよいでしょう。


ロ. ブレーキ側


どちらもギリギリです。

干渉するのはどちらもマスタータンク取り付けボルト。

タンク自体はカウルの内側を通るのでまったく干渉しないのはクラッチ側と同じ。

・Z2タイプではタンクボルト頭の上の隙間は「1㎜」。
  ※残っているカウル部分の厚さが9㎜くらいあるので、
    干渉する部分はスクリーン下端から10㎜下。

・隙間が1㎜でも、ハンドルを「コツン」とフルロックさせた場合、
  カウルは動かないので隙間は充分なようです。

・ホースがカウル下を通過するときの隙間は 25 ㎜。
・150アップ2型でもタンク取り付けボルトとの隙間は同じようにギリギリですが、
  フルロックで 5 ㎜、ボルト頭がカウルを通過するときは10 ㎜ くらいあります。
  ※残っているカウル部分の厚さが6㎜あるので、干渉はスクリーン下端から16 ㎜下。
  なんと、Z2タイプより隙間が大きくなっています。
・Z2タイプよりハンドル高が高いのになぜこうなるのか?
  それはカウルとの干渉位置が違うから。
  150アップ2型ではハンドルの引きが大きいので、
  Z2タイプよりカウルの先で干渉します。
・カウルは先端に行くほど切り上がっていくので、ボルト頭との隙間が大きくなります。
  そのためZ2タイプより隙間が大きくなるのです。
・ホースがカウル下を通過するときの隙間は 15 ㎜。


マスタータンク取り付けボルトは M10・細目(P1.25 )・首下 15 ㎜。

今回はキャップボルトタイプを使いましたが、皿ネジタイプであればボルト頭の高さが低くなります。

皿ネジタイプを使うためにはプレートと取り付けネジ部のテーパー加工が必要となりますが、皿ネジタイプも使ってみる価値があるでしょう。

・Z2タイプに防振バランサーを取り付けるとハンドル巾は 820 ㎜。
・車検合格基準 / 780 ㎜ ± 20 ㎜ の 800 ㎜以内にするためには
  バランサーを外さなければなりませんが、これは車検場で簡単にできます。
・150アップ2型では防振バランサーを取り付けてもハンドル巾は 745 ㎜。
・車検合格基準 / 780 ㎜ ± 20 ㎜ の 760 ㎜以上にするためには、
  両方に15 ㎜ ~ 20 ㎜ のスペーサを挟んでハンドル巾を大きくしなければなりません。
  これも車検場で簡単にできますが、「見るからにかさあげ」となります。


Z2タイプで乗り込んでいませんが、乗りやすいのは 引きの大きい150アップ2型。
Z2タイプは引きが小さく巾が広いので肩が凝ります。

そもそも、Z2タイプの検討は 「 カウリングとの干渉をできるだけ少なくして、カウリング切除を少なくするため 」のもの。
しかし、実際のカウリングとの干渉は 
・クラッチ側では Z2タイプ と 150アップ2型 との 干渉度合いは同じ。
・ブレーキ側では Z2タイプ の方が 150アップ2型 より干渉度合いが強くなる。


それなら、やはり 150アップ2型。

車検は、「150アップ2型 + スペーサ 」で受けることにしました。

    
e.車検合格


車検ではカウルが切除してあること、別体マスターであることから 
「 標準ではないから要注意 」 と、『 ハンドルを左に精一杯切ってください。』とのチェック。
こんなことをさせられたのは初めてです。

いつもは省略される、ハンドル巾もしっかり測られました。

しかし、カウル切除については何も言われませんでした。
スクリーンが切断してあれば突っ込まれたかもしれません。

とにかく、この程度のカウル切除は「車検OK」です。

なお、車検ラインのドラムが地下埋め込み式から地上設置式に変わっていました。
ここで、なんとバイクを転倒させてしまいました。
※五回目のユーザー車検終了


4.別体マスターに関するその他の処置
   ★★34     
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a.クラッチホースと左スイッチコードの延長


イ.クラッチホース

・現在のパイピングはフロントフォークの後からフレームに沿ってクラッチまで。
  左スイッチコードもフロントフォークの後を通しているので、
  クラッチホースと左スイッチコードが重なってタンクに挟まり、フルロックができない。

  別体マスターの取り付けでオイルを抜くので、クラッチホースを長いものに検討。
・a : FJ純正クラッチホース
・b : XJR1200 純正の中古クラッチホース。
・c : XJR1200 で使っていたという中古のメッシュホース。

  a と b ではbの方が「前クランプ ~ マスターシリンダー」が長いだけ。
  「後クランプ~クラッチレリーズ」の長さは同じ。
  しかし、後クランプがなく、ホースの程度も悪いので b はパス。

  c はメッシュでフレームにホースを取り付けるクランプの代用品が付いているが取付方法不明。
  また、レリーズ付近の熱対策がされていないので外皮が劣化している。

・次に述べるように左スイッチコードを延長しフロントフォークの前を通すようにしたら、
  クラッチホースがフロントフォークの後にあってもタンクに挟まることはない。
  程度の良いXJR1200 ・ 1300 のクラッチホースが手に入るまで
  FJ純正ホース a を使うことにしました。
 


ロ.左スイッチボックスコート

・コードは10本。
・一本のコートの外径は 2.5 ㎜Φ。
・カプラーを使うのなら10極カプラーが2セット必要。→こちらこちらこちら
  しかし、取り外すことはないので単純な圧着接続端子を使うことにしました。
・エーモンのM728 / 適合コードAV0.50~1.25 / 7個入り 198円。

・コードは AV 0.75 × 5m と 少し太いAV 1.25 × 5m を準備。

・10本のコードの内の1本 ( 赤/黄 ) が他より太かったので
  これだけに太い「AV 1.25」を使いましたが、
  10本すべてに「AV 1.25」を使えば「AV 0.75」は必要ありません。

・コード保護のために、内径 12 ㎜Φ のスパイラルチューブ ( TS-12W×1m / 128円 )


・接続は簡単。コードの被服を剥いて接続端子に差し込み圧着するだけ。
・カプラーから 20 ㎝ の所で切断し、これに 20 ㎝ のコートをつなげる。
・もともとのコード長が 73 ㎝。20 ㎝ 延長したので 93 ㎝ に。
・長すぎてコードを収めるのに一苦労。延長は 15 ㎝ でよい。


    

b.マスタータンクのステー作成


別体マスターはタンク位置を自由に変えられます。

付属のステーが短いので 長い 80 ㎜ のステーを作りました。
使用したのはカウル角部の補強で登場した「アルミフラットバー / 巾20㎜×厚さ3ミリ×長さ100㎝ ・ 278円」。

・取り付け穴はマスタータンクに当たる側を中心より2~3㎜外側にした方がよい。 ・ステーをバイスに挟んで手で押せば簡単に曲がります。
・自分で作れば長さも自由でお金もかからない。


・マスターシリンダーから出ている口の方向を変えるには、
  「クリップを外して口を取り外し、必要な方向で差し込むの」が簡単。
  口をそのまま回しても、古くなってゴム部が劣化していないと回りません。
・シリンダーの口とタンク出口は細い部分が8㎜Φ。
・内径6㎜Φのホースでは入りません。
  内径7㎜Φホースが必要です。→こちらこちらこちら


     
c.メッシュホース・フィッティングの角度変更


標準マスターの出口は正面向き、別体マスターの出口は横向き。
標準マスターで使用していたブレーキホースの角度を90度曲げなければなりません。
汎用のメッシュホースではこの角度調整ができます。

・a と b がネジ止め。
・a と b は逆ネジ。
・a を固定し、b を外側から見て時計方向 / 右 に回せば緩む。
・a を固定し、b を外側から見て反時計方向 / 左に回せば締まる。
・b はどれだけ緩めても a から離れないようになっている。
・c は正ネジ。外側から見て時計方向 / 右に回せば締まる。
  b から見ると、b を 外側から見て反時計方向 / 左に回せば b と c が締まる。
  つまり、 b を外側から見て反時計方向に回すと b と a、 b と c が締まる。
・b を緩めておいてフィッティングcを仮止めし、c角度を決めてから、
  b を締めて c を a に固定する。
  例えて言うなら、b は c を a に引き寄せる雌ネジ。

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d.3極クラッチスイッチの改造


イ.クラッチスイッチについて


昔のバイクにクラッチスイッチというものは付いていません。

セルモーターはギヤが入った状態でクラッチを切らないでも回ります。これは自動車でも同じ。

昔の運転教本には 「 踏切内でエンストしたときは、セルモーターを回して車を移動させて脱出する。」という記述。

セルモーターの付いていないキックバイクでは 「 ギヤが入っていてもクラッチを切ればキックができる 」 という便利なプライマリーキックができましたが、
これはあくまで 「 それが便利だから 」。

現在のクラッチスイッチは 「 ギヤが入っていても入っていなくても、クラッチを切らなければセルモーターが回らない 」。
これは 「 サイドスタンドが出ていると、クラッチを切ってギヤを入れたとたんにエンジンが止まってしまう」のと同じく安全性を考えたもの。
昔人から言わせてもらえば 「 うっとうしいお節介 」


ロ.FJのクラッチスイッチ


FJのクラッチスイッチは 「 ギヤが入っているときでもクラッチを切ればセルモーターが回る 」 といシンプルなもの。
昔人は 「 ギヤをニュートラルにしてからセルを回す 」 という習慣なので、今まで 「 こんな便利な機能 」 があることに気づきませんでした。

クラッチスイッチ出力端子は2極。
・ レバーを握ればスイッチ突起が出て ON ( 導通 )。
・ レバーを離せばスイッチ突起が押されて OFF ( 遮断 )。

このクラッチスイッチを取り外せば 「 常に遮断 」 となり、ギヤが入っているときはクラッチを切ってもセルモーターは回りませんが、ニュートラルにすれば回ります。
だから、昔人には不要のもの。
しかし、「 付いている機能は働かせてやりたい。」

問題は、別体マスターに付いているクラッチスイッチの端子が3極であること。
多分、ニュートラルでもクラッチを切らないとセルモーターが回らないようになっているのでしょう。


ハ.2極スイッチと3極スイッチの互換性


ありません。

・上がFJの2極クラッチスイッチ。
・下が別体マスターに付いている3極クラッチスイッチ。

  スイッチの形状も違えば取り付けのビス位置も違う。

  ステーを作って別体マスターにFJの2極スイッチを付けられないことはないがこれは少し厄介。

  なんとか、別体マスターに付いている3極スイッチを2極用に改造できないか?



ニ.3極スイッチの構造


  こちらがスイッチ部分。
・クラッチレバーが離されてスイッチ突起がレバーの根元で押されると左に動く。
・クラッチレバーを握ってスイッチ突起がレバーの根元から開放されると右に動く。
  実際にはこのスイッチの左側にスプリングが入ります。
  ※画像は左右反転しています。
・レバーを握ってスイッチ突起が戻されると、スイッチが ● と接触して「a と c が導通」。
・レバーを離すとスイッチ突起が押されて、スイッチが白丸と接触し、
  「a と b が導通」し、「a と c が遮断」。
・つまり、3極スイッチは「両側の a と c 」が「2極スイッチ」と同じ働きをしているのです。



ホ.3極スイッチを2極スイッチ用に改造


・まず考えるのが「真ん中の b を取り外す」こと。
  しかし、端子間が広すぎて2極のメスカプラーがはまりません。
・2極メスカプラーをはめるためには
  c を 真ん中の b の位置に取り付けなければなりません。
  c を 真ん中の b 溝に取り付けるためには、
・まず、 b 溝を c 溝まで延長 ( ハンダこて使用 )
・c 端子は b 端子より4㎜長いので、4㎜分切除。
・短くした c 端子を b 端子溝に取り付け。


次にやらなければならないのは「切断した c 端子同士の接続」。

・すぐに考えつくのがハンダ盛り。
  しかし、これではスイッチ突起が動くことができません。
・スイッチ突起が動くためには 
   b 位置に取り付けた c 端子の水平方向に出っ張りがあってはならないのです。
  要は 「 c 端子を 余計な出っ張りなしで接続すること 」。
  アルミホイルで簡単にできます。
・アルミホイルを 15 ㎜ 程度に切り取り三回くらい折り曲げ。
・これを c 端子を取り付ける溝にセット。
・この溝に切断した c 端子の両方を押し込む。
  テスターの導通チェックをお忘れなく。


答えは 「 いたってシンプル。身近な所にあります。」

それを見つけるために回り道をしなければなりません。

しかし、その回り道が楽しい。

・外装は3極スイッチだから当然取り付けられます。
・FJの2極メスカプラーは 少し斜めになりますが、ロックもきます。
・但し、カプラー間に隙間ができるので防水対策が必要です。
・なお、 a,b,c の三つの端子を外すときには
  コチラの「曲がり・爪」を伸ばさなければなりません。
・爪の順番は内部の端子の順番と異なります。(内部では左端にある a 端子の爪が真ん中にある)
・この爪は一旦伸ばすと曲げることに手こずります。90度に曲げなくても問題ないので程々に。


このクラッチスイッチを装着して指導チェック。

・メスカプラーを接続しないときは 「 ニュートラルではセルモーターが回るが、ギヤが入った状態ではクラッチを切ってもセルモーターは回らない。」
・メスカプラーを接続すれは 「 ギヤが入っていてもクラッチを切ればセルモーターが回る。」

クラッチスイッチは完動です。
   ★★35      
選任のための法律知識・

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e.ブレーキマスタータンクを新品に交換



ニッシンの別体マスター左右セットは 「 信頼できるプロショップの出品 」 を落札。

当初は 「 未使用左右セット 」 を落札しようと待っていたけれど、なかなか出品されないので 「 ピストンキット交換済み済み 良品」 を落札。

ところが、ブレーキタンクに upper を超えてオイルを入れると、ジンワリと漏れ出し。

これはダイヤフラムの劣化。

タンクを新品に交換しました。

・別体マスターはステーを曲げることでタンクを水平にすることができます。
  しかしし、タンクは 「常に水平 」 ではありません。
  ダイヤフラムの劣化 ・ 磨耗があればオイル漏れが起こります。
・リザーバータンク №36205 / 2084円
・ホース内径 / 7.0㎜Φ、外径 / 12.0㎜Φ、厚さ / 2.5㎜  → こちら


タンクの取り外しは、タンク内のオイルを抜いて、ホース先にウエスを当ててホースから漏れるオイルをしみこませる。
取り付け後のエア抜きは、ホースを指で下へ押してやればボコボコとエアーが出てきます。( レバー操作の上抜きでは気泡一個だけしか出ませんでした )

    
5.ニッシン横型別体マスターシリンダーに適合するレバー


転倒はいつ起こるか分からない。
転倒してレバーが折れたら帰って来られない。
レバーの予備は車載必須。

ニッシンの横型別体マスターに公開したおでそれに適合するレバーが必要です。。

ヤフーオークションでは送料が高くつくので、Amazonで「新品・送料無料」で入手。

入手したのは次の b,f,g。

・a : FJの標準クラッチレバー
・b : キジマ 202-327SL ( レバー刻印/JY-623 ) 1642円
・c : XJR1200の標準クラッチレバー
・d : ニッシン横型別体クラッチマスターのクラッチレバー

・e : FJの標準ブレーキレバー
・f : キジマ 202-330SR ( レバー刻印/378 ) 617円
・g : ナンカイ NK-321SR ( レバー刻印/JY-1880 ※キジママーク ) 978円
・h : ニッシン横型別体ブレーキマスターのブレーキレバー
  ※入手後すぐに随分と値上がりしています。

・FJ標準の a/ クラッチレバー は、
  厚さがニッシン横型別体クラッチマスターのレバー取り付け部間隔より薄いので
  取り付けられますが隙間ができてスムーズに作動しません。

・FJ標準の e / ブレーキレバーは
  厚さがニッシン横型別体ブレーキマスターのレバー取り付け部間隔より厚いので取り付けられません。


クラッチレバーの適合は?

・d がニッシン横型別体クラッチマスターのレバーです。
・c / XJR1200のクラッチレバーと
  d / ニッシン横型別体マスターのクラッチレバーはまったく同じものです。
  当然適合します。

・b / キジマ 202-327S はレバー突起がクラッチスイッチ突起に当たりません。
  このまま装着できますが、クラッチスイッチが使用できなくなります。


ブレーキレバーの適合は、

・h がニッシン横型別体ブレーキマスターのレバーです。
・g / ナンカイ NK-321SR は シリンダを押す突起の形状が同じなので適合。
・f / キジマ 202-330SR はシリンダーを押す突起の形状が凹んでいるので不適合。
・f はこのままではシリンダーを押すことができません。
  シリンダーを押す突起に出っ張りを付けなければなりません。


・シリンダーを押す突起にM6のネジを切り、
  FJのブレーキレバーに付いていたアジャスターボルトを取り付けました。
・これでシリンダーを押すことができるようになりました。
・アジャスターボルトを長いものに取り替えれば引き代を増やすことができます。
  アジャスターボルト穴の方向は要検討です。


結局、予備レバーはc / XJR1200のクラッチレバー と g : ナンカイ NK-321SR を車載することにしました。

結局、ニッシン横型別体マスターに適合するクラッチレバーとブレーキレバーは 「 XJR1200 ・ 1300 のクラッチレバーとブレーキレバー 」ということになりました。
※「 適合する 」 というより 「 まったく同じもの 」 です。


つづく




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