RMX-SJ13 整備資料



 2016.04.13  エンジン②の排気バルブ点検


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エンジン⑤の実走テストのため、RMX②から下ろしたエンジン②の排気バルブを点検しました。
3年間・5000㎞ 程度の使用ですが、ガンガン走らせていました。
なんと、排気バルブのスペーサが割れ、バルブが「分解一歩手前」まで削られていました。
そして、実はその徴候がエンジンを組んだときに現れていました。当時はそれに気付かなかったのです。
今回は、「バルブが削られる原因と対策」を考えました。


ヘッド,ピストン,シリンダーの状態
排気バルブの状態
排気バルブスペーサの役割
排気バルブスペーサ穴が削られる原因とその対策
バルブ磨耗はエンジンを組んだ2013年1月にすでに始まっていた/右側のスペーサ穴がより削られることと、右ミドルバルブに溝がある(R・S型)こととの関係(推測)


・このエンジンは「6万円・不動SJ13-R・S型」からRMX②に換装したもの。→→→こちら

・ピストンとリングを新品に変えて、2013年3月に分離給油でデビュー。→→→こちら

・2014年9月、クランク左ベアリング破損によりクランクケース内オーバーホール。→→→こちら

・それから、2016年3月にエンジン⑤の実走テストのためRMX②から下ろすまで
  元気に走っていました。→→→こちら

・デビューから3年間使用しましたが、あまり走らないので合計走行距離は5000㎞未満です。


     
1.シリンダーヘッド,ピストン,シリンダーの状態


・シリンダーヘッドは問題ありません。
・前側にカーボン堆積がありますがこんなものです。
・ピストンヘッドに問題はありません。
・傷は前回オーバーホールの時と同じです。
・カーボン堆積は却って好調な走りを現しているようです。


・ピストンの前側です。
・縦傷は「クランク右ベアリング損傷のエンジン①に取り付けて運転したため」
  すぐに付いたもので(※こちら)、その時からそれほど増えていません。
・ピストンの後ろ側です。
・こちらの縦傷も変わりはありません。
  まあ、ピストン自体は交換した方がよさそうですネ。


・シリンダーの状態を、見た通りに写真撮影するのは難しいものです。
  付着したオイルを拭き取らないで撮影しました。
・縦傷だらけのように写っていますが、まったく問題はありません。
  1年半前の前回オーバーホールの時と何も変わっていません。
こちら
排気バルブ側も問題はありません。


    
2.排気バルブの状態


  オイルとカーボンでドロドロの状態から灯油とスチールウールで洗浄しました。

  何の問題もありません。

  と、言いたいところですが…。


  排気バルブがこの様な状態になっていました。

  使えない部品が分かりますか?

・a1 : エキゾーストローバルブ・レフト→使用不能
・a2 : エキゾーストローバルブ・ライト→使用不能
・b1 : エキゾーストミドルバルブ・レフト→使用不能
・b2 : エキゾーストミドルバルブ・ライト→使用不能
・c1 : エキゾーストバルブセットガイド・レフト→使用可能
・c2 : エキゾーストバルブセットガイド・ライト→使用可能
・d1・d2 : エキゾーストバルブスペーサ→使用不能


(エキゾーストロアバルブ)

  バルブの上側が削られています。
  これではこの上に接するミドルバルブとでカーブが作れません。

  ミドルバルブがセットされる溝も削れています。
  これではミドルバルブが自由に動くことができません。


(エキゾーストミドルバルブ)

  ロアバルブの溝に入る接合ボルトの溝が壊れています。
  これではミドルバルブはロアバルブの溝の中を自由に動く事かできません。
  「使用不能」は一目瞭然です。


(エキゾーストバルブセットガイド)

  使えるのはこれだけです。

  このバルブガイドは排気バルブ孔に固定されているから、
  シリンダー内に突き出すことはなく、削られることはないのです。
  三つのバルブを合わせてみると、カーブが一致しません。
  これでは排気バルブの役割を充分に果たせません。
  中回転から高回転域へのつながりが悪かったのは削れた排気バルブのせいで、
  キャブレターのせいではなかったのかもしれません。


(エキゾーストバルブスペーサ)

  片方が割れています。
  穴も削れています。
  これはカバーを開けたときに分かったこと。
  こんな状態でもガンガン走れるのが、SJ13。
  やはりエンデュローレーサーのDNA。



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3.エキゾーストバルブスペーサの役割


このスペーサはどんな役割をしているのでしょう。

このスペーサがなくてもバルブは上下します。

  スペーサがないと、ロアバルブは「ピンで止まるまで」シリンダー内に突き出します。

  スペーサがあると、スペーサがピンのストッパーになります。
  スペーサでバルブの突き出し量を調整しているのです。
  また、ロアバルブシャフトのカバーとなって、
  ロアバルブのピン穴が削れるのを防いでいます。


  もちろん、スペーサの穴がここまで削れてしまってはその役割を果たせません。
  これではスペーサがないのと同じです。
  その結果、バルブはシリンダー内に突き出し、
  ピストンリングで削られることになります。


このスペーサはまだ入手できます。※ 11263-29E00/スペーサ、エキゾーストバルブ/1015円

PJ12,RJ16と共通です。

それほど高価な部品ではないので、ストックしておいて、排気バルブ点検時に交換するようにした方がよいでしょう。


     
4.スペーサ穴が削られる原因と対策


・排気バルブ孔にカーボンが溜まると、
  オイルでネバネバ状態になりバルブが自由に上下できなくなります。

・しかしエンジンの回転数の変化によりバルブは無理やり上下させられます。
  そこでピンがスペーサ穴を削ってしまうことになります。

・スペーサは下側(シリンダー側)が削られています。
  つまり、エンジン回転が下がりバルブが下がるときに下がらないので、
  ピンに力がかかって、ピンがスペーサ穴の下側を削ったのです。

・ピンに下向きの力がかかり、これにエンジンの振動が伝わってスペーサ穴を削るのです。

・スペーサ穴の下側が削られれば、ストッパーの役割を果たさずバルブはシリンダー内に突き出します。
  スペーサ穴が削られた分だけバルブがシリンダー内に突き出しビストンリングで削られる。
  これが少しずつ積み重なってバルブが削られてきたのです。

対策はバルブ孔をきれいにすること。
さらに、バルブ自体のバリや変形を修正して「バルブがバルブ孔の中を自由に上下できるようにする」こと。

これをバルブが壊れる前にしなければなりません。
そのためには定期点検をするしかないのです。

なお、上記のようにスペーサばまだ入手できますが、ロアバルブとミドルバルブは廃盤・在庫なしです。
もう、新品部品を入手することはできません。

SJ13を走らせるためには、程度の良い中古部品を探すことも必要ですが、定期点検をしてバルブを損傷させない事が不可欠です。

ツーリングですれ違う黄色いDRZ400-SMが 「同じバイクだと思って」 手を挙げてくれるようなロートルですから。

    
5.2017.01.09追記  実はもっと前から症状は出ていた



最近、排気バルブのチェックが二件ありました。→→→28000円エンジンの検証正選手RMX②の排気バルブ定期点検

そこで、少し気になってこのシリンダー/エンジン② を取り付ける時の写真(2013年1月)をチェックしました。


a.初めからこの状態


左がこのシリンダー/エンジン② の最初の状態、右が今回の状態です。

  なんと、このバルブには初めからこれだけの削れがあったのです。
  そして、3年前は「これが異常だ」とは思わなかったのです。
  まあ、今回のこの状態になると、さすがに異常だと気づくでしょうが。


なお、R・S型のバルブには右側(正面から見て左側)のミドルバルブに突起が動くための溝があります。
SJ13の排気バルブのスペーサ穴とロアバルブ穴は右側の方が左側より多く削られます。→→→こちら
今回でも割れたスペーサは右側です。
そのこととの関係でR・S型から右側のミドルバルブに溝をつくり、「ミドルバルブが自由に動くようにした」のかも知れません。

  当時は、清掃した段階でもバルブ磨耗の異常に気づいていなかったようです。
  「きれいになりました」と平気でこんな写真を使っています。
  メチャクチャ削れているじゃないですか!
  これが当時使った組み上がりの写真です。
  これで何の疑問も感じなかったのです。→→→こちら



b.スペーサ穴にもすでに磨耗・変形が


これも当時の写真です。

  右側バルブスペーサ(写真右側)にはっきり判る穴磨耗・変形があります。
  今なら、「これは危険だ」と新しいスペーサに交換するでしょう。
 
  これを平気で組んだようです。(削れた方を左側に組んでいます)
  今回割れたスペーサは右側です。
  右側に組んだスペーサの状態がどうだったのか気になります。



つまり、今回のバルブ磨耗はエンジンを組んだ2013年1月にすでに始まっていたのです。

それから、2016年4月まで3年間、ガンガン走れば今回のような状態になるのも納得できます。

年月とともにSJ13は壊れていきますが、メンテ知識・技術は増えていくようです。


つづく




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