RMX・SJ13-分解・組み立てをした二つのクランクケースの状況とエンジン作動状態

RMX250-SJ13 整備資料



2014.09.23.その②. 分解・組み立てをしたエンジン②の状況


今回、分解したクランクケースは三個、
ここでは、エンジン②の内部状況と組立状況を説明します。
その後にOHした三台のエンジンの状況もリンクしておきます。

元気でも「命取りの要因」は潜んでいるものです。
エンジン②は「命取り寸前」の状態でした。

「中古のRMX や RMXエンジンを入手したら、“絶好調”でも、必ずクランクケースを分解してベアリングとオイルシールを交換。」このことを思い知らされました。
SJは 性能がレーサーに近い分だけ 耐久性もレーサーに近いのですから。

エンジン②の状態
クランクケースの中はきれい
開けてビックリ!これは危なかった
交換したベアリングとオイルシール
トランスミッションの状態
排気バルブの状態
ピストンの状態
OH後のエンジン音

※参考-その他のエンジンのOH状況
エンジン④→こちら
エンジン⑤→こちら と こちら と こちら
エンジン⑥→こちら と こちら と こちら


     
2.RMX②の内部状態と組み立て状況 - ゴリゴリ感はここから

     
a.バリバリの正選手エンジン


2013年3月にエンジン換装。エンジンは分離給油の R・S型です。→→→こちら
エンジントラブルを起こしたRMX①に、エンジン換装用として入手したRMX②のエンジン(※こちら)を載せました。
新品のピストンとリングを組んでありますが、クランクケースは未分解です。

・パワーロスになるので全開にしませんが、
  7000~8000rpmは回します。( アスファルト上ですからネ。)

・月に2度くらい163号~165号を 100㎞程度走ります。
  バキバキ・ガシャガシャ音とゴリゴリ感が気になりますが、
  アイドリング,加速、最高速等まったく問題がありません。

・ギヤオイルの減りもなく、変質や変色もありません。
 
・しかし、 2サイクルエンジンって、
  『シャイ~ン、シャイ~ン.』 だったはず…。
・ついでだから、クランクベアリングとオイルシール交換です。


      
b.取り付けボルトはなぜか緩め、中はとにかくきれい

・右クランクケースカバーの12本のボルト、
  8M・Tレンチの根元を片手で持ってすっと外れる。
  こんなものかなあ…。

・中はとにかくきれい。
  ケースの隅に残っているオイルもきれい。
  ギヤやクラッチハウジングが光っている。

・これが普通の状態。 RMX①のエンジンももそうでした。
 先に説明したエンジン③が異常だったのです。


・エンジン③で「タガネで割った」スリーブハブのナットが
  ソケットだけですぐに緩んでしまった。
・規定トルクは 600~800㎏・㎝だから、これは緩すぎ。
・スリーブハブ、プライマリードリブンギヤもこの通り。 ・ドライブプレート厚:2.8~3.0㎜ ( ばらつきあり ) 
  ※使用限度 2.5㎜。
・スプリング長:48㎜ ※使用限度46.2㎜。


・きれいの原因、普通の原因、 それは…。

・クランクシャフト右のオイルシールの取り付け方向!

・これを間違うと大惨事。


      
c.開けてビックリ、『 これは危なかった!』


クランクケースを分割。

左クランクケースに大問題!

・左の写真で分からない方は右の写真を見てください。
・クランクシャフト左のベアリングの玉が何個かありません。

・エンジン①のクランクシャフト右ベアリングもそうでしたが、
  クランクケースのどこにも外れた玉が見つからない。

・「バキバキ・ガシャガシャ音」と「ゴリゴリ感」の原因は
  コレだったのです。

・ギヤオイルの減りや変質・変色がなかったのは
  ギヤオイルと関係ない左ベアリングだったから。
・ギヤオイルに異状がなくても、
  クランクベアリングが損傷している場合もあるのです。


・左クランクケースのベアリングハウジングは
  刻印が見えなくなるほど削られています。
  浅いクラックもあります。

・右側の写真は エンジン③のものです。

・エンジン①の左クランクケースとの交換も考えましたが、
 『 このまま使ったらどうなるのか 』 を知るために交換せず。
・ベアリング挿入力も普通でゆるくなし。

・付いていたベアリングは左右とも NACHI 63/28。 刻印は内側。
  63/28を外すときは 27Mソケットが内輪にピッタリ。
  ソケットを当てて大きなハンマーで一撃。
  ベアリングプーラー 19-603 では脚がじゃまになります。


     
d.ベアリング・オイルシール交換


  交換したのは

・クランクシャフト左右ベアリング:NTN 63/28
・クランクシャフト左右オイルシール
・ドライブシャフト左オイルシール
・シフトシャフトオイルシール
・エンジンスプロケットスペーサとOリング
・プライマリードライブスペーサOリング
・ドライブシャフト左右ベアリング、
・カウンターシャフト左右ベアリング
 ・シフトカムベアリングは「ガタなし・引っかかりなし」で交換せず。

 


      
e.トランスミッションの状態


ワッシャやブッシュの磨耗状態を知るために分解しました。

⑤ワッシャ: 廃盤。このまま使用。

⑦ カラー
  内径×外径×巾×厚=25×28×10×1.45㎜。
  まったく磨耗なし。交換せず。

⑧ワッシャ
  内径×外径×厚=25×33.8×1.0㎜
  まったく磨耗なし。交換せず。

⑪ロックワッシャ⑫サークリップ
  ギヤに少しガタがあったので交換したかガタは治らず。に交換

⑭スラストワッシャ
  内径×外径×厚=20.2×29.8×1.0㎜
  新品:20×30×1.0㎜。磨耗あり。新品に交換

⑯ブッシュ
  内径×外径×巾×厚=20×24×10×2㎜。
  磨耗なし、交換せず。

⑰ワッシャ
  内径×外径×厚=17.15×29.75×1.0㎜
  新品:17.1×29.8×1.0㎜。
  内径と外径にやや磨耗。新品に交換。

エンジン③でもそうでしたが、トランスミッションのワッシャやブッシュは交換する必要はないようです。

サークリップだけは外せば新品に交換です。

・カウンターシャフトのギヤは分解せず。


      
f. 排気バルブの状態

・久しぶりの排気バルブです。
・前回から 2000㎞以上走っていますからこんなものでしょう。

・タール付着は布で拭き取れる程度。分解の必要なし。
  パーツクリーナーをかけて拭き取り。

・しかし、あまりきれいになりませんでした。

・こんなことなら分解して灯油漬けにした方が楽。
  しかし、不要不急の分解は慎みましょう。


      
g. ちょっと怖いピストン状態


ピストン側面の縦線傷も問題ですが、頂部の傷が気になります。

新品ピストンでしたが、クランクシャフト右ベアリング損傷のエンジン①にそのまま取り付けて走りましたからネ。

・ペーパーでカーボンを取った状態です。
・ピストン頂部に当たるものはありません。なぜこんな傷が付くのでしょう。
・縦線傷のほかに点傷もあります。
・そのうちにピストンが割れそう。もう少し走らせてピストン交換です。


・こんな傷が付くのはピストンが前後に振れているから。
・クランクシャフトベアリング損傷のままエンジン①に載せたこともあるが、
  他にも原因あり?
・とにかくもう少し様子を見ましょう。



      
h.OH後のエンジン音

★エンジン②-2014.09.22 (192KB)

・クランクシャフトにバランスウェイトを付けた 改良型の R・S型です。
・N型より回転はスムーズになりましたが、角が取れてマイルドになってしまいました。

・20:1 混合油+分離給油で 100㎞程度の試走をして給油。、ほとんど生ガソリンです。
・キャブレターセッティングは以前のまま。
・停車状態でのアイドリングと 1/3程度の軽いレーシング。
・『キン・キン』音が少し気にかかります。
・燃費がビックリするくらいよくなりました。オンロードタイヤで峠道をギャンギャン走らせて 20㎞/L程度。


i.エンジン②の現在


このクランクケースは、その後2018.06まで正選手RMX②で使用。
2018.06にドライブシャフトのギヤ取り付け溝の欠損が判明したので、2019.01にOH。
そのときに、クランクシャフト左右のベアリングとオイルシールを交換し、現在予備エンジンとなっています。→→→こちら。

つづく


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