警備員編



指導教育責任者資格で現場隊員卒業



1.検定持ち・現場の隊長で満足するな


検定二級資格をとって警備員A(検定持ち警備員をこう呼びます)になりました。

一つの現場をリーダーとして任されるようになりました。

慕ってくれる若い隊員も何人かできました。

資格手当もつき、時給も少しだけアップしました。

顧客から『おう、今日は来てくれたのか!』と喜んでもらえるようになりました。

会社に対してズケズケとものが言えるようになりました。

現場に行くのが少し嬉しくなりました。


これで満足してはいけません。

だって、給料はまだ世間の同年代の者よりずっとずっと安いでしょう?

あなたには10年計画があったはずです。

10年なんかすぐに過ぎてしまいます。

現状に満足してはいけません。
次のステップに移りましょう。


2.異なった警備業務をやる


あなたが交通誘導・雑踏警備(2号)をやっているのなら、施設警備(1号)もやってみましょう。

『えぇ〜ッ!また新兵サンで一からやるの?』

それは次のステップが警備員指導教育責任者資格だからです。

あとで詳しく説明しますが、
警備員指導教育責任者資格は1号〜4号の4種類あります。

管理職・独立を目指すあなたには少なくとも1号と2号の警備員指導教育責任者資格が必要になります。

警備員指導教育責任者資格を取るためにはその業務での従事実績が3年必要です。

「3年」といっても毎日3年間その仕事に従事しなければならないわけではありません。
1号と2号の両方をやって、3年たてば1号と2号の「3年の従事実績」が与えられます。

その従事実績を作るために別の種類の警備業務をやる必要があるのです。


また、管理職になったり独立したりする場合「いろいろな警備業務ができる」ことが必要です。

隊員だけでは現場を回せなくなった時には自分が現場に出なければならないからです。

異なった警備業務に従事することはあなたの10年計画に不可欠なことなのです。


3.
警備員指導教育責任者資格ってどんな資格?


警備会社の事務所には二種類の額が飾ってあります。

「認定証」と「警備員指導教育責任者資格者証」の二つです。


「認定証」は警備業をやることを公安委員会が認めた証明書です。
これがなければ警備業をやることはできません。

もう一つ警備業をやるために必要な資格があります。

法律で「警備業をやるためには各営業所ごとに・営業する警備業務種別ごとに警備員指導教育責任者を置かねばならない」と定められています。

つまり、施設警備と交通誘導・雑踏警備をするためには各営業所ごとに施設警備の指導教育責任者と交通誘導の指導教育責任者がいなくてはならないのです。

この指導教育責任者は選任と呼ばれて、公安委員会に届けられています。

選任になるためには当然指導教育責任者資格が必要です。
※厳密には選任指導教育責任者を「指導教育責任者」と呼び、指導教育責任者の資格を持っている者を「指導教育責任者資格者証保持者」と呼びます。


ただし、違った種別の指導教育責任者を一人でやることができます。

1号と2号の指導教育責任者資格を持っていれば1号と2号の選任を一人でやることができます。

会社にとっては選任一人分の給料で1号業務と2号業務をやらせられるのです。

ほとんどの警備会社は1号業務と2号業務をやっています。

隊員が200人を超えるような大きな警備会社では、教育・指導・書類作りが大変になりますので、別々の選任を置いています。

しかし、それより小さな規模の警備会社や隊員数の少ない支社・営業所では一人でやらせるのが普通です。

だから、この二つの指導教育責任者資格を持っている者が必要となります。

一つの指導教育責任者資格では大きな警備会社でない限り選任になることはできないでしょう。

つまり管理職となるためには少なくとも1号と2号の指導教育責任者資格が必要なのです。


『チョット質問です!』

どうぞ。

『もしかして指導教育責任者資格を持っていれば、自分で警備業をやれるンじゃないですか?』

その通りです。


営業所(本部・主たる営業所)が一つなら自分が選任になれば済みます。

指導教育責任者資格を持っている者を雇う必要がないので経費がそれだけ助かります。

警備員指導教育責任者資格は「自分で警備業を始めるための資格」でもあるのです。
独立を目指す者にとって必ず必要な資格なのです。


できれば1号〜4号すべての指導教育責任者資格を取ることです。

『分かりました。私は頑張ってすべての指導教育責任者の資格を取ります!』

残念ですが、法律が変わったのでそれはチョット無理です。


私の取得した頃の指導教育責任者資格は一つでした。

どんな警備業務であれ、従事実績が3年あればこの資格を取ることができました。

そして、この一つの資格で1号〜4号すべての指導教育責任者資格を与えられました。
もちろん、法律が変わった今でもそのままです。
※旧資格者は特別講習という簡単な講習を受けて、1〜4号の新資格に切り替えました。

今では1号〜4号の別々の資格に分けられています。

1号〜4号の指導教育責任者資格を取るためには、1号〜4号の業務実績が別々に3年必要になりました。

もちろん別々に試験を受けなければなりません。

3号や4号業務をやっている警備会社は少ないので3号・4号の指導教育責任者資格を取ろうと思ったら会社を変わらなければなりませんネ。

あなたはあなたの所属する警備会社のやっている警備業務の指導教育責任者資格しか取ることができないのです。


4.指導教育責任者資格はこのようにして取る


指導教育責任者資格を取るためには公安委員会が行う講習を受けて試験に合格しなければなりません。

検定資格のような特別講習はありません。

だいたい、講習は年一回。

試験に合格して資格申請をすれば指導教育責任者資格がもらえます。
検定資格のように運転免許証のような小さな資格者証でなくて立派な賞状がもらえます。


指導教育責任者講習は7日間。

最終日に試験があります。

学科試験だけで実技試験はありません。

合格ラインは80点。

二級検定を取るよりずっと楽です。


『質問です!』

どうぞどうぞ。

『検定資格のように特別講習がないのでしょう? だったら、メチャクチャ難しいのではないのですか?」

  心配しないでください。
この講習は警備業協会が公安委員会から委託されてやっています。


『えっ!ここでもまた警備業協会が出てくるの!なにか、つながっていない?』

そんなことはありません。

その県の指導教育責任者資格講習は公共入札で決められます。
警備業協会しか入札する者がいませんので、警備業協会が落札してやっているだけです。


指導教育責任者資格講習は警備業協会が公安委員会より委託されてやっているので、講習を開催しているのは公安委員会です。

だから、検定資格の特別講習のように、自分の所属する警備会社が警備業協会の会員になっていないと受けられないということはありません。
誰でも全国どこででも受けることができます。


ただし、受講申込はその県によって違います。

@抽選で選ぶもの、A検定資格の「キャンセル枠」のように電話をかけて申し込むもの、B警察署の生活安全課の前に並ぶものがあります。

警備会社や警備員の数が多い首都圏では@、地方都市ではA、田舎の県ではBです。

私の住んでいる県ではBです。
9時申込開始で7時頃から並べば1番から2番を取ることができます。
その時の申込希望者の数にもよりますが、3番以内を確保できればまずOKです。


私の所属していた警備会社の隊員がAで申し込みました。

みなで9時から電話をかけ続け、一人が11時過ぎになってやっと「補欠7番」を得ることができました。
「キャンセル」があったので、その隊員はギリギリセーフとなりました。


警備員資格は講習を受けるまでが大変なのです。

田舎の県に知り合いがいたら、その県で受けた方が確実ですね。


5.
指導教育責任者資格も年々難しくなっている


この資格も年々難しくなっているようです。

私の頃の合格率は9割以上。
講習で居眠りをせず、講習期間中の毎晩1時間復習すれば合格できました。

それが最近、私の回りで不合格者が続出しています。
合格率は8割を切っているのではないでしょうか。

それでもまだ合格基準は80点。

検定資格の90点とは違います。
その内に90点に引き上げられるかもしれませんネ。


資格試験は年々難しくなるのが普通です。

検定資格が警備会社が仕事を得るための資格、指導教育責任者が営業所を作ったり警備業を始めるための資格です。

どちらの資格も警備業協会が実質上牛耳っています。

これらの資格を乱造すれば自分たちの首が絞まることになりますネ。


『お上と警備業協会の癒着だ!警備業協会って天下りの温床じゃないの?』

そんなことはないでしょう。

警備員資格取得を難しくするのは警備員の資質を向上させるためには当然のことです。

お上には大義名分があるのです。


とにかく、資格は年々難しくなっていきます。

「三年経ったら即、指導教育責任者資格」ですね。


また、検定二級をとればその後の従事実績が1年で指導教育責任者資格を取ることができます。

この点からも検定二級は有用なのです。


なお、指導教育責任者資格は会社が欲しがる資格ではありません。

隊員にこの資格を取らせても会社の受注は増えません。

指導教育責任者資格と検定資格は別のものです

検定二級以上の配置が必要な場所に指導教育責任者資格者を配置しても配置基準を満たしたとは言えません。
現場では検定二級が必要なのです。


『質問です!』

どうぞ。

『指導教育責任者資格は新任教育や現任教育のできる資格でしょう?
「教えることのできる者が現場では通用しない」というのはおかしな話ですね!』

確かに、少し矛盾しています。
自動車学校の先生が外で車を運転できないのと同じですね。


話を「指導教育責任者は会社が欲しがる資格ではない」に戻しましょう。

その会社が新たに営業所や支社を作るのなら、指導教育責任者資格を持っている者が必要になります。

その場合は管理職や幹部候補生に資格を取らせます。

そもそも、管理職は指導教育責任者資格を持っています。
わざわざ、現場の隊員にその資格を取らせる必要はありません。


しかも、現場の隊員がこの資格を取ると独立したり新参警備会社に移ったりする危険があります。

会社にとっては腕利きの隊員を失うだけでなく、競争相手を作ることになります。


現場の隊員に『君は3年の実績をつんだから、そろそろ指導教育責任者資格を取ってみてはどうだい?』などと勧める会社はありません。

それどころか、3年の実績を積んだ隊員が「指導教育責任者講習を受けたい」というと会社の妨害工作が始まります。

仕事をたくさん与えて7日間の休みを取れなくしたり、従事実績証明を書くのを遅らせたりします。

ひどい会社になると従事実績証明を書いてくれません。

申し込み時にこの実績証明書がないと講習申し込みはできません。


指導教育責任者資格を取るためには会社と一戦交わさなければなりません。
その会社を辞める覚悟がないと取れない資格です。

もっとも、そんな心の狭い警備会社に将来の発展はありません。
さっさと辞めてしまった方があなたのためでしょう。


6.ここまで来たら現場の隊員は卒業です


長い間ご苦労さまでした。
低賃金・重労働によく耐えましたね。

交通と施設の検定二級も取ったのですね。
指導教育責任者資格も1号と2号の二つ取ったのですね。
10年計画は着々と進んでいるじゃないですか。

しかし、警備学校を卒業するのはもう少し先です。
まだ、隊員の教育・管理、専任業務、営業を覚えなければならないからです。

そろそろ会社から管理職への打診があるはずです。
迷わず受諾しましょう。

給料は月給になり、ボーナスも出ます。
「〇〇長」という名刺も社章も与えられます。
専用の社用車も与えられます。

ここで初めて「世間で言う正社員」となったのです。


しかし、仕事は24時間・365日のフリーパス、会社にとってあなたは使い放題となります。

警備会社に雇われている限り低賃金・重労働は変わらないのです。

「我が物と思えば軽し傘の雪」

警備学校卒業まであと一頑張りしましょう!



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