SPnet 選任業務編



・読者からの指摘-2号2級検定テキストの「道交法36条」に関する記述について





2級検定は年々難しくなってきていました。
警備員がその資格を持っていれば、配置基準のかかった単価の高い現場へ入れることができるからです。
しかし、オリンピック・パラリンピックを控えて警備員と検定資格者がたくさん必要となりました。
内閣府は警備業法施行規則を改正して警備員の教育時間数を減らし、配置基準を緩和し、検定特別講習の定員制限を廃止しました。
※今までは講師一人に対し学科講習40人以下、実技講習10人以下。この制限を廃止。
しかし、教える側にも限度がある。そこで「以前より試験内容が易しくなり合格し安くなっている」ことは充分考えられます。
今が検定資格をいちばん取りやすい時でしょう。
ただし、オリンピック・パラリンピックが終われば検定資格者があふれます。当然、検定資格テストは難しくなります。
今回は、道交法36条と37条についての追加説明です。
テキストの36条に関する部分の説明は分かりにくく、何をどう説明しているのか分かりません。
読者から「検定テキストの間違いだ」との指摘を受けましたので、それを検討してみました。
2級検定講習でこの部分の理解に苦しんでいる受講生は参考にしてください。


検定テキスト「36条の“交差点においては”の説明」についての指摘
検定テキスト「36条2項についての説明」に対する指摘
36条2項についての別の説明
検定テキストは法律書ではない
2級検定受講者のための「36条・37条」の深読み



1.読者からの指摘


北海道で警備員をされている方よりメールをいただきました。
昨年秋に交通誘導検定二級に合格されたそうです。

勉強中に道交法36条に関する検定テキストの記載に疑問を持ち、
テキストの編集者である全国警備業協会に質問しているのですが、納得できる答えをもらえないそうです。

36条は条文の記述が込み入っています。
さらに、テキストの説明も根拠を示さず結果だけが書いてあるので余計分からなくなります。
検定二級講習を受けている方も困っていると思います。

ここでは、読者からの指摘を考えてみようと思います。
以下では便宜上この読者をAさんと記述します。

まず、36条についての説明を読んでください。→→→こちら

この頁は2012.04.26に書いたものを、2020.01.04に書き直したものです。

    
2.検定テキスト「36条の“交差点においては”の説明」についての指摘


Aさんの一つ目の指摘は「36条の“交差点においては”の説明について」です、
※交通誘導警備業務の教本(2級)・72頁20行目・平成23年1月27日発行・11版
※私のテキストは平成22年7月14日・10版ですが同じです。


a.条文

・道交法36条(交差点における他の車両等との関係等)
「車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、次項の規定が適用される場合を除き次の各号に掲げる区分に従い当該各号に掲げる車両等の進行妨害をしてはならない
  一.車両である場合 → その通行している道路と交差する道路(以下「交差道路」という。)を左方から進行してくる車両及び交差道路を通行する路面電車
  二.路面電車である場合 → 交差道路を左方から進行してくる路面電車

 2.車両等は交通整理の行なわれていない交差点においては
    その通行している道路が優先道路(道路標識等により優先道路として指定されているもの
    及び当該交差点において当該道路における車両の通行を規制する道路標識等による中央線又は車両通行帯が設けられている道路をいう。以下同じ。) である場合を除き
    交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、
    当該交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない


 3.車両等(優先道路を通行している車両等を除く。)は、交通整理の行なわれていない交差点に入ろうとする場合において、
    交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、徐行しなければならない

 4.車両等は、交差点に入ろうとし、及び交差点内を通行するときは、
    当該交差点の状況に応じ、交差道路を通行する車両等、反対方向から進行してきて右折する車両等及び当該交差点又はその直近で道路を横断する歩行者に特に注意し、
    かつ、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。」

  (罰則 第一項については第百二十条第一項第二号 第二項から第四項までについては第百十九条第一項第二号の二)


・道交法37条
車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない。」
 (罰則 第百二十条第一項第二号)


b.テキストの記述


テキストは36条の条文をあげたあと次のように説明しています。

・本状は、交通整理の行われていない交差点における他の車両等との関係及びすべての交差点における車両等の一般的義務を定めたものである。
・第1項から第3項までの規定は、「交通整理の行われていない交差点」における車両等の通行方法のうち、主として、他の車両等との関係について規定したものである。
・「交通整理の行われていない交差点」とは、信号機の表示する信号による交通整理も警察官等の手信号による交通整理も行われていない交差点のことであり、
  「交差点内において」とは、交差点の中はもちろん、交差点に入ろうとするときも含む
  このような交差点において異なった方向の道路から同時に又はそれに近い状態で車両等が通行した場合、
  交差点内で危険が生じたり、交通の円滑が阻害されたりするおそれがあるので、この規定が設けられている。
・第1項は‥。』※「・」は一字下げの部分


c.Aさんの指摘1


①.テキストの「交差点内において」とは36条のどの文言か?

・36条の中にあるのは「交差点において」,「交差点に入ろうとする場合」,「交差点内をつうこうするとき」だけで「交差点内において」という文言がない。
  36条の説明として「交差点内においてとは…」と書いてあるが、どの文言を説明しているのか?し
  ここで説明しいる「交差点内において」とは「交差点において」(36条1項・2項)の間違いではではないのか?

②.テキストの説明では36条1項2項が「交差点に入ろうとするとき」にも適用されてしまう。

・テキストの「交差点内において」を36条1項・2項の「交差点において」だとすると、
  36条1項・2項は「交差点に入ろうとするとき」にも適用されることになる。

・36条は「交差点において」(1項・2項)、「交差点にはいろうとする場合において」(3項)、「交差点内を通行するときは」(4項)と区別している。
  だから、36条1項・2項の「交差点において」とは「交差点内」のことで「交差点に入ろうとするとき」は含まれない。
  36条1項・2項は交差点内での優先順位を定めたもので、交差点に入ろうとする場合には適用されない。
  テキストの記述は『「交差点において」とは「交差点の中」の意味である。』と変更されなければならない。


d.考察-テキストの「交差点内においてとは…交差点に入ろうとする場合も含む」は36条1項・2項の「交差点において」の説明ではない。


Aさんの言う通りです。全警協は分が悪いですね。

しかし、テキストの「交差点内において」とは36条1項・2項の「交差点において」の説明なのでしょうか?

テキストは「本条は‥、」と説明を始めています。
「交差点内においてとは‥」の説明はこの中にあります。

このあと、「第1項は‥」と各項の説明をしています。

つまり、「交差点内においてとは‥」の説明は36条1項・2項の説明ではなく、36条全体の説明で使われているのです。


テキストが言いたいことは次のようなことなのです。

『・交通整理が行われていない交差点では、「どちらが優先するか」・「劣後する方は何をしなければならないか」を決めておかないと交通が渋滞したり事故が起こったりする。
    そこで、36条は交差点での優劣とその内容を定めた。
    ここで「交差点での」とは「交差点の中」だけでなく「交差点に入る場合」も含んでいる。
  ・36条は、
    1項・2項で「交差点の中での優劣とその内容」を、
    3項で「交差点に入ろうとする場合の優劣とその内容」を、
    4項で「優劣に関係なく、交差点に入ろうとするとき・交差点を通行するときの義務」を定めている。
  ・それでは、各項の説明に移ろう。
    まず第1項は‥。』

このように書けば問題はなかったのです。
要するに説明が下手なだけなのです。教え方が下手なだけなのです。

全警協テキストでは、36条1項・2項の「交差点において」に「交差点に入ろうとする場合」を含めるとは言っていません。
また、「交差点に入ろうとする場合」と「交差点の中」をはっきりと区別しています。
※テキスト74頁の36条3項の説明ではこの二つを区別しています。
   ★★07     
選任のための法律知識・

【広告】
1000Wモーターで最高40km/h
ZonDoo には最高108km/hもあります※購入
250㏄扱いでしょう。※要問合せ




3.検定テキスト「36条2項についての説明」に対する指摘


Aさんの次の指摘は、36条2項についてのテキストの説明についてです。交通誘導警備業務の教本(2級)・73頁22行目


a.条文


「2.車両等は交通整理の行なわれていない交差点においては
    その通行している道路が優先道路(道路標識等により優先道路として指定されているもの
    及び当該交差点において当該道路における車両の通行を規制する道路標識等による中央線又は車両通行帯が設けられている道路をいう。以下同じ。) である場合を除き
    交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、
    当該交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない
。」


b. テキストの説明についての疑問


イ.テキスト説明


『・「その通行している道路が優先道路である場合を除き」とは、
    優先道路と優先道路が交差する場合 及び 明らかに広い道路と交わる狭い道路が「優先道路」となっている場合のことであり、
    その優先道路を通行している車両等にはこの項の規定を適用しないという趣旨である。
  ・このような場合、第1項の規定にいう「次項の規定が適用される場合」には当たらないので、
    同項の「左方車両等への進行妨害の禁止」義務が適用されることになる。』※「・」は一字下げの部分


もっと分かりやすく説明しろぉ~ッ! こんな説明で金を取るなぁ~ッ!

これはAさんが言っているのでも私が言っているのでもありません。
このテキストを読んだ受講生が心の中で叫んでいることです。


ロ.テキストの説明の忖度説明


「その通行している道路が優先道路である場合を除き…当該交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない」とは
・優先道路と優先道路が交差する場合 → 優先道路 VS 優先道路
・明らかに広い道路と交わる狭い道路が「優先道路」となっている場合 → (明らかに広い+非優先道路)VS(明らかに狭い+優先道路)
その優先道路を通行している車両等にはこの項の規定を適用しない → 36条2項が適用される場合ではないので36条1項の左方優先が適用される。

つまり、36条2項に該当せず36条1項の左方優先が適用されるのは
・相手が優先道路 VS 自分が優先道路
・相手が(明らかに広い+非優先道路) VS 自分が(明らかに狭い+優先道路)

結局、36条2項に該当しないのは、
・優先道路 VS 優先道路
・(明らかに広い+非優先道路)VS(明らかに狭い+優先道路)
※「優先道路 VS 優先道路」で道幅の広狭を言及していないのはそれが「同じくらいの道幅」であることを前提にしているからでしょう。

36条2項に該当するのは上の場合以外だから、
・優先道路 VS 非優先道路
・(明らかに広い+非優先道路)VS(明らかに狭い+非優先道路)
・(明らかに広い+優先道路)VS(明らかに狭い+優先道路)

※(明らかに広い+優先道路)VS(明らかに狭い+非優先道路) → 「優先道路 VS 優先道路」に含まれる。
※(道幅同じ+非優先道路)VS(道幅同じ+非優先道路)も36条2項該当になってしまうので、全警協さんは何か説明を追加して、36条2項に該当しないとするでしょう。

だから、多分、テキストが説明したい「36条2項に該らない場合」は
・(道幅同じ+非優先道路)VS(道幅同じ+非優先道路)
・(道幅同じ+優先道路)VS(道幅同じ+優先道路)
・(明らかに広い+非優先道路)VS(明らかに狭い+優先道路)


もちろん、テキストの説明を推測した部分があるので、これが「テキストの説明したいこと」かどうか分かりません。
また、推測しなければならないのは説明が不足しているからです。
テキストの説明は何を言っているのか、何を言おうとしているのかさっぱり分かりません。
「説明を理解できないのは読む方の責任」ではなく「理解させられないのは説明する方の責任」です。
テキストの説明を理解することを放棄して条文を素直に解釈してみましょう。
   ●●     
選任のための法律知識・








c.36条2項についての別の説明



・「その通行している道路が優先道路である場合」 → イ.自分が優先道路
・「その通行している道路が優先道路である場合を除き」 → ロ.自分が非優先道路
・「交差道路が優先道路であるとき」 → ハ.相手が優先道路
・「その通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるとき」 → ニ.相手が明らかに広い非優先道路

・36条2項が適用されるのは、
①.ロ VS ハ → 自分が非優先道路 VS 相手が優先道路 → 36条2項適用 → 相手をじゃましてはいけない → 相手の優先道路が優先
②.ロ VS ニ → 自分が非優先道路 VS 相手が(明らかに広い+非優先道路) → 36条2項適用 → 相手をじゃましてはいけない → 相手の明らかに広い道が優先。
・要するに、「どちらが優先道かハッキリと分かる場合」 → 「非優先道 VS 優先道」、「(非優先道+明らかに狭い)VS(非優先道+明らかに広い)」

これ以外の場合は、36条2項が適用されず、36条1項に戻って「左方車優先」となる。

・36条2項に該当せず、36条1項が適用されるのは

③.(非優先道路+道幅同じ)VS(非優先道路+道幅同じ)
④.(優先道路+道幅同じ) VS (優先道路+道幅同じ)
⑤.(優先道路+明らかに狭い) VS (非優先道路+明らかに狭い)
・要するに、「どちらが優先道かハッキリ分からない場合」です。

結局、テキストの結果と同じになりませんか?


d.Aさんの指摘


①優先とは「他に勝ること」であり、「優先道路 VS 優先道路」というのはおかしい。
  優先道路と優先道路では、お互いの優劣がなくなる。
  テキストの記述「優先道路と優先道路が交差する場合」は「非優先道路と非優先道路が交差する場合」と変更されなければならない。

②36条2項は「非優先道路  VS (非優先道路+明らかに広い)」については定めているが、「非優先道路 VS非優先道路」については定めていない。
 「非優先道路VS非優先道路」については36条2項の「除き」によって36条1項が適用されるのではなく、36条2項を経由しないで36条1項が適用される。

そうですよねぇ? Aさん‥。


e.考察


・①について

確かに「優先 VS 優先」というのは矛盾します。

しかし、条文解釈では「条文の文言の意味を狭めたり拡げたりすること」はできても、「まったく違う文言に置き換えること」はできません。
まったく違う文言に置き換えることは立法で、法解釈ではありません。

だから、テキストが解釈として「優先道路と優先道路が交差する場合」を持ち出してきた場合、
批判するの「そこに至った解釈過程・それを持ち出してきた理由」であり、その結果ではありません。

それゆえ、『「優先 VS 優先」というのは矛盾するから、
テキストの記述の「優先道路と優先道路が交差する場合」を「非優先道路と非優先道路が交差する場合」と変更されなければならない』とは言えないのです。

言えるのは『テキストは〇〇〇〇の理由で「優先道路と優先道路が交差する場合」と結論付けたが、〇〇〇〇は △△という理由で、△△〇〇と解釈せねばならない。
そうすると、「非優先道路と非優先道路が交差する場合」となるので、テキストの結論は妥当ではない。』ということなのです。

結局、Aさんの「①批判」は論拠不足で妥当なものではありません。


・②について

『36条2項は「非優先道路  VS (非優先道路+明らかに広い)」については定めている』
この部分はOKです。
「その通行している道路が優先道路である場合を除き」 → 自分が非優先道路
「その通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるとき」 → 「(自分が非優先道路+明らかに狭い)VS(相手が明らかに広い)」
   → 「(自分が非優先道+明らかに狭い)VS(相手が優先道+明らかに広い)」は「非優先VS優先」の問題だからここでは外れる
   → 「(自分が非優先道路+明らかに狭い)VS(相手が非優先道+明らかに広い」

『「非優先道路 VS非優先道路」については定めていない。』
これもOKです。

『「非優先道路VS非優先道路」については36条2項の「除き」によって36条1項が適用されるのではなく、36条2項を経由しないで36条1項が適用される。』

この部分は解釈論として検討すべきです。
・36条1項は「次項の規定が適用される場合を除き…左方車が優先」としています。
・つまり、まず36条2項に該当するかどうか判断 → 36条2項に該当しない場合に36条1項が適用される
・だから、先に36条2項に該当するかどうか検討しなければなりません。
・36条2項は「非優先道路VS非優先道路」について規定していない → 「非優先道路VS非優先道路」は36条2項に該当しない → 36条1項が適用される。
・結局、全ての場合について「36条2項をを経由して36条1項が適用される」のです。

だから、この部分の批判は当たっていません。

そもそも、テキストの説明では「非優先道VS非優先道」の場合に36条2項が適用されてしまいます。
批判するのなら、その部分です。
『テキストの解釈をそのまま適用すると「非優先道VS非優先道」に36条2項が適用されてしまう。
どのような解釈をして「非優道VS非優先道」を36条2項から除外するのか?』

この部分については、現在検定講習を受講している方に任せましょう。

    
4.全警協のテキストは法律書ではない


全警協の警備員向けテキストの記述は、すべて「〇〇である」・「〇〇しなければならない」と断定的に書いてあります。
その根拠が示されていません。

それが条文に定められているものなのか、条文解釈の通説なのか、最高裁の解釈(判例)なのか、下級審の解釈(裁判例)なのか、警察庁の解釈なのか。
それを示さず、すべて「〇〇である」・「〇〇しなければならない」と書いています。

法律書なら、次のように表現を異にしてその根拠を示しています。
「〇〇である」(〇条〇項)、「〇〇と解するのが通説である」、「最高裁は〇〇としている」(最高裁〇年〇月〇日)、
「〇〇とする裁判例がある」(〇〇高裁〇年〇月〇日)、「警察庁の解釈運用基準では〇〇とされている」、「〇〇と解すべきだが△△と解する者もいる」

「〇〇である」ことの根拠を示さなければ、それ以上の論争ができないからです。


全警協のテキストが「根拠を示さず断定的に書いてある」のには理由があります。

それは、全警協のテキストは法律書ではなく、警備員の手引き書・現場マニュアルだからです。
現場の警備員が知りたいのは一つ、「〇〇である」・「〇〇しなければならない」こと。
解釈論争や別の解釈を持ち出すとややこしくなります。

全警協のテキストは現場の警備員のためのものなのです。

このような編集意図を理解してテキストと接しなければなりません。


私は指導教育責任者資格や検定資格講習を受ける者に注意します。

『講習やテストではテキストに書いてあることが正解。
  それが通説でなくても、最高裁の判断と異なっていてもテキストに書いてあることが正解。
  万が一、条文と異なっていてもテキストに書いてあることが正解。
  テキストに間違いを見つけても気にしてはいけない。
  自分の法律知識をすべて捨て、テキストに書いてあることを覚え、テストではテキストに書いてあった通りのものを選ばなければならない。』

全警協のテキストを法律書だと思ってはならないのです。
   ★★08     
選任のための法律知識・

【広告】
特定小型原動機付自転車にも
アシスト自転車にも該当しません。



5.2級検定受講者のための「36条・37条」の深読み



2級受講者のために、36条と37条の条文と私の現在の解釈を上げておきます。参考にしてください。
ただし、解釈の正しさは保証しません


a.条文


・道交法36条(交差点における他の車両等との関係等)
「車両等は、交通整理の行なわれていない交差点においては、次項の規定が適用される場合を除き次の各号に掲げる区分に従い当該各号に掲げる車両等の進行妨害をしてはならない
  一.車両である場合 → その通行している道路と交差する道路(以下「交差道路」という。)を左方から進行してくる車両及び交差道路を通行する路面電車
  二.路面電車である場合 → 交差道路を左方から進行してくる路面電車

 2.車両等は交通整理の行なわれていない交差点においては
    その通行している道路が優先道路(道路標識等により優先道路として指定されているもの
    及び当該交差点において当該道路における車両の通行を規制する道路標識等による中央線又は車両通行帯が設けられている道路をいう。以下同じ。) である場合を除き
    交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、
    当該交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない


 3.車両等(優先道路を通行している車両等を除く。)は、交通整理の行なわれていない交差点に入ろうとする場合において、
    交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるときは、徐行しなければならない

 4.車両等は、交差点に入ろうとし、及び交差点内を通行するときは、
    当該交差点の状況に応じ、交差道路を通行する車両等、反対方向から進行してきて右折する車両等及び当該交差点又はその直近で道路を横断する歩行者に特に注意し、
    かつ、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。」

  (罰則 第一項については第百二十条第一項第二号 第二項から第四項までについては第百十九条第一項第二号の二)


・道交法37条
車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない。」
 (罰則 第百二十条第一項第二号)


b.条文の意味


イ.36条1項-原則は左方優先

・交通整理の行なわれていない「交差点においては」 → 交通整理の行われていない「交差点の中では」
・「次項の規定が適用される場合を除き」 → 「2項が適用される場合を除き」 → 「どちらが優先道かハッキリと分かる場合を除き」
   → 「どちらが優先道かハッキリしない場合」は → 「次の各号に掲げる区分に従い‥通行妨害をしてはならない」
・2号 → 車VS車は左方車優先
・「どちらが優先道がハッキリしていな場合」は「左方車が優先」 → 「左方車の進行を妨害してはならない」


ロ.36条2項-「交差道路が明らかに優先道と分かる場合」はそちらが優先

・交通整理の行なわれていない「交差点においては」 → 交通整理の行われていない「交差点の中では」
・「その通行している道路が優先道路である場合」を除き → 「自分が優先道路ではない」 → 「自分が非優先道路」の場合は
・「交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるとき」は
   → 「交差道路が優先道路,明らかに道幅が広い場合」は → 「どちらが優先道かハッキリ分かる場合」は
・「当該交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない」 → 相手が優先


ハ.36条3項-「交差道路が明らかに優先道と分かる場合」は交差点に入る場合に徐行

・交通整理の行なわれていない「交差点に入ろうとする場合において」 → 交通整理のおこなわれていない「交差点に入る前には」
・「交差道路が優先道路であるとき、又はその通行している道路の幅員よりも交差道路の幅員が明らかに広いものであるとき」は
   → 「交差道路が優先道路,明らかに道幅が広い場合」は → 「どちらが優先道かハッキリ分かる場合」は
・徐行しなければならない


ニ.36条4項-「交差点に入るとき、入ったあと」は全ての車と歩行者に注意して安全に走らなければならない

・「交通整理の行なわれていない交差点」という文言がない → 信号があってもなくても、警察官の交通整理があってもなくても → すべての交差点では,
・「交差点に入ろうとし、及び交差点内を通行するときは」 → 「交差点に入る前」と「交差点に入ったあと」は
・「交差道路を通行する車両等」と → 「自分に優先する車も、自分に劣後する車も全ての車」と
・「反対方向から進行してきて右折する車両」と → 「右折する対向車」 → 「こちらが直進なら37条でこちらが優先、こちらが右折なら相手が右方車でこちらが優先」 → 「劣後車」と
・「交差点又はその直近で道路を横断する歩行者」に
・「特に」注意し → これら以外の車や歩行者にも注意し、
・「かつ、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。」
・要するに、どんな交差点でも、交差点に入る前と入った後は全ての車と歩行者に注意し、安全な速度と方法で走らなければならない。


ホ.37条-右折車は直進車と左折車に劣後する

・「交通整理の行なわれていない交差点」という文言がない → 信号があってもなくても、警察官の交通整理があってもなくても → すべての交差点で,
・「交差点で右折する場合において → 交差点で右折する場合は
・「当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない」 → 直進車優先、左折車優先
・既に説明したように、直進車が対向直進車なのか、右折車が左方右折車なのかについて解釈が分かれる。


つづく。




前へ/交差点での優先順位(36条・37条・43条)   次へ/横断歩道での歩行者等の保護(38条・38条の2)   選任業務編目次へ   警備総索引   SPnet2.TOP   SPnet   SPnet番外